10年後のラブライブ (204)

キーンコーンカーンコーン

小学生の頃。卒業式では絶対に泣かない。笑顔で卒業するんだって意地を張ってた。でも、最近は泣いても良いんじゃないかなって思ったりする。だって、涙が必ずしも悲しいものだとは限らないって知ったから。

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絵里「随分とトントン拍子じゃない?」

希「いやぁ…そうかなぁ?」

絵里「そうよ。だって、希から報告受けたのが半年前でしょ?…まさか?」

希「それはちゃうよぉ」

穂乃果「まさかって絵里ちゃん…。それにしてもことりちゃんも知ってたんだね」

ことり「うん。希ちゃんからドレスの相談も受けてて」

穂乃果「おおっ!流石はμ’sの衣装担当!」

ことり「うふふ。この仕事についてこんな嬉しい事ってないね」

絵里「私の時もよろしくね」

穂乃果「いつになる事やら」

絵里「何か言った?」

穂乃果「いや、別に」

絵里「もう。ビールおかわり」

穂乃果「え~まだ飲むの?」

絵里「今日はお酒を飲んでいい日なのよ。クリスマスイブイブなんだから」

希「そしたら、えりちは365日イブイブやなぁ」

穂乃果「全く。いつから絵里ちゃんはあんな風になっちゃったのかな。昼間はいい先生なのに」

ことり「あはは…」

絵里「また何か言ったわね?」

穂乃果「なんでもありませんってば。絢瀬先生」

希「ふふふ。そう言えば!そっちも決まったらしいやんか」

穂乃果「ん?何が?」

希「ラブライブ!」

穂乃果「あっ、ああ!うん!お陰様でね」

希「10年振りのラブライブって訳や」

穂乃果「そうだね。今回は顧問としてだけど」

希「どんな感じなん?」

穂乃果「ん?ふふっ。私達を越えるらしいよ」

希「私達?」

絵里「μ’sを越えるんですって。いえ、μ’sだけじゃなくってAqoursもA-RISEも」

希「おおっ!なるほど。楽しみやなぁ」

穂乃果「うん。そうだね」

梨子「もしもし?」

曜『もしもし!梨子ちゃん?あの子達決まったんだって?』

梨子「ええ。曜ちゃんや果南ちゃんの協力があったから。二人に感謝ね」

曜『そんな~私達は大した事してないよぉ』

梨子「そんな事ないわ。本当に感謝してる。あの子達を内浦に連れて行って良かったわ」

曜『本選は来月なんだよね?』

梨子「うん。そうよ」

曜『多分…いけそうにないなぁ。けど、テレビの前で皆んなで応援してるよ!』

梨子「ありがと。それじゃあ、明日も早いから切るね?皆んなにもよろしく」

曜『うん。おやすみ』


キーンコーンカーンコーン

支倉「さぁ、残すとこ後1ヶ月!ラブライブで優勝する為にも~がんばりましょい!」

志賀「ましょいって…。センスが古いよ」

支倉「え~そうかな?そんな事ないよね?」

白木「私はかさね先輩らしくて良いと思いますよ」

支倉「え?それはどう言う事なの?」

志賀「そのままの意味だよな~白木~?」

支倉「え~何それ~」

白木「ふふっ」

支倉「あっ、今凪ちゃん笑ったでしょ?酷い」

ガラガラ

穂乃果「元気がいいね~」

支倉「あっ、高坂先生」

志賀「先生遅いぞ!」

穂乃果「いやぁ、冬休みって言ってもやる事が結構あってさ。教師も大変なんだよ」

支倉「へ~大人は大変ですねぇ」

穂乃果「そっ、大人は大変なの」

絵里「コラ。生徒の前でそんな事言わないの」

穂乃果「げっ、絢瀬先生…」

絵里「げっとは何よ。げっとは」

梨子「うふふ。今日も皆んな元気ね」

支倉「そりゃあ、そうですよ!」

志賀「なんたってラブライブ本選進出だもんな。嫌でも気合い入るぜ」

白木「そうですね!気合い十分です」



絵里「テストもギリギリ合格ラインだったしね」

支倉「え?あはは…そうでしたっけ?」

志賀「そんなんで、卒業出来るのかよ?」

白木「あっ…」

穂乃果「ん?」

支倉「で、出来るよ。失礼だなぁ」

絵里「して貰わなきゃ私達も困るわ」

梨子「ですね。ふふっ」

支倉「も、もう。卒業の心配は良いですから。練習始めましょうよ」

絵里「そうね。じゃあ、軽くアップから始めましょうか」

志賀「先輩!どっちが先にゴールするか勝負しようぜ!」

支倉「望むところだ!」

絵里「アップだって言ってるでしょ」

志賀「わ、分かってるよ」

穂乃果「あはは。怪我だけはしないようにね」

支倉「はーい」

穂乃果「ん?白木さん?」

白木「え?は、はい?」

穂乃果「行くよ?」

白木「あっ、はい」

志賀「はあ…はあ…はあ…。あれ?先輩こんなに体力あったっけ?」

支倉「はぁ…はあ…。ふぅ。ふふっ、日頃の鍛錬の賜物だよ~。すっかり、Aqours式が体に染み付いたみたい」

梨子「Aqours式…」

穂乃果「元を辿れば園田流…」

志賀「ちぇ。最初は私の方が体力あったんだけどなぁ」

支倉「まあ、先輩としての意地かな」

志賀「言ってくれるじゃねえか!こうなったら先輩が卒業するまでに抜き返すからな。勝ち逃げはさせねぇぞ」

白木「…」

支倉「望むところ。絶対に負けないから」

絵里「だから~、アップで競わないの」

絵里「ワン、ツー、スリー、フォー。ワン、ツー、スリー、フォー」

支倉「はっ…」ばっ

志賀「はっ…」ばっ

白木「あっ…」

絵里「白木さん。どうしたの?ズレてるわよ」

白木「す、すいません」

絵里「ちょっと、休憩にしましょうか」

支倉「はーい」

穂乃果「白木さん。どうしたの?集中出来てないみたいだけど?」

梨子「具合が悪いの?」

白木「あっ…すいません。あれ?疲れてるのかな?」

志賀「大丈夫かぁ~?無理すんなよ?怪我するぜ?」

支倉「そうだよ!三人揃ってのyou'sなんだから!」

白木「三人…揃っての」

支倉「そうだよ!三人揃ってだからね!」

白木「先輩…」

支倉「ん?何?」

白木「いえ…なんでもないです」

支倉「そう?」

白木「はい」

支倉「変な凪ちゃん」

志賀「先輩はいつも変なだけどな」

支倉「そんな事ないよ」

志賀「いや、ある。あはは」

白木「……」

~数日後~

絵里「ワン、ツー、スリー、フォー。ワン、ツー、スリー、フォー」

梨子「白木さん。ここ数日、調子が悪そうですね」

穂乃果「うん。そうですね」

絵里「はい。今日の練習はここまで」

支倉「はぁ。疲れた~」

志賀「まっ、私は余裕だったけどなぁ」

支倉「私だって余裕です~」

絵里「もう。すぐに競わないの」

梨子「頼もしい限りね」

志賀「帰りにラーメンでも食って帰ろうぜ」

支倉「そうだね。それがいい」

絵里「もう暗いんだから真っ直ぐ帰りなさい」

支倉「え~」

絵里「え~じゃないの」

白木「…」

穂乃果「白木さん」

白木「え?はい?」

穂乃果「ちょっとおいで」

白木「え?な、なんですか?」

穂乃果「いいからさ」

白木「は、はい」

志賀「ん?なんだ?白木が連れてかれたぞ?」

支倉「どうしたんだろ?」

穂乃果「白木さん。ここ数日、集中出来てないでしょ?」

白木「え?あっ…すいません。でも、あの…別に…やる気がないとかそう言う訳ではなくて」

穂乃果「うん。それは分かってるよ」

白木「ただ…気づいちゃって。いえ、分かっては居たんです。でも…最近、毎日が楽しくて。それが当たり前になってきちゃったから…。ラブライブが終わったら…先輩は引退してすぐに学校も卒業しちゃうんだって」

穂乃果「そっか」

白木「なるべく考えない様にはしてるんです。今、一番大事な事はラブライブで優勝する事だから。でも、卒業とか…具体的な言葉を耳にしちゃうと…どうしても意識しちゃって。それで…」

穂乃果「それで?」

白木「寂しいんです。先輩が卒業しちゃうのが寂しいんです」

穂乃果「よしっ。言っちゃおう」

白木「え?」

穂乃果「白木さんの気持ち。全部ぶつけちゃいな」

白木「で、でも。せっかくラブライブ優勝に向けて頑張ってるのに。そんな余計な事を言って先輩達の邪魔を」

穂乃果「三人揃ってのyou'sなんでしょ?」

白木「そうですけど」

穂乃果「ね?」


白木「…」トボトボ

志賀「あっ!白木が帰ってきた」

支倉「本当だ」

志賀「高坂先生と何を話してたんだ?」

白木「その…」

志賀「んん?」

支倉「凪ちゃん?」

白木「先輩…」

支倉「ん?何?」

白木「寂しいんです」

支倉「え?」

志賀「どうした?」

白木「かさね先輩が卒業しちゃうのが寂しいんです」

支倉「凪ちゃん…」


志賀「なるほどな。それでここ最近心ここに在らず状態だったのか」

白木「だって…」

志賀「全く…夏の合宿の時と言い。仕方ない奴だな。白木は」

白木「仁美先輩は寂しくないんですか?」

志賀「寂しいよ。出来ることならこの毎日がずっと続いて欲しいさ。でも、それは無理だろ?仕方ない事なんだよ」

白木「…」

志賀「だからさ、白木。ラブライブで優勝して三人の最高の思い出を作ろうぜ。な?」

支倉「あ~あ~。私は幸せ者だなぁ。可愛い後輩にこんな事を言って貰えて」

白木「先輩…。うぅ…うわぁぁぁん。せんぱぁぁぁい…寂しいよぉぉぉ」

支倉「よしよし」




梨子「卒業か…」

絵里「教師として綺麗事はいくらでも言えるけど。大人の私でも別れは辛いものね。特に…今の三年生には私も思入れが強いから…」

穂乃果「だからこそ、ちゃんと言いたい事は言った方が良いのかなって」

白木「うわぁぁん。先輩…」

支倉「ありがとう、凪ちゃん。嬉しいよ。ラブライブ、頑張ろ?」

白木「うん…うん」

志賀「ふふっ。ほんと、白木は泣き虫なんだから」

白木「仁美ちゃんも。嬉しかったよ」

志賀「ま、まあ…な」

穂乃果「よしっ!今日はこのままラーメン食べに行こう。先生が奢ってあげる!」

支倉「え?本当ですか?」

穂乃果「うん。今日くらい良いよね?」

絵里「仕方ないわね。特別よ。ご馳走様、高坂先生」

梨子「ご馳走様です」

志賀「先生。ご馳走様!」

白木「うぅ…グスッ…ご馳走様です。高坂先生」

穂乃果「うん…うん?」

店員「へい!お待ち」

支倉「わ~美味しそう。頂きます」

白木「見てください。スープが光ってますよ」

志賀「ん~美味い。練習の後のラーメンは格別だな」

梨子「本当だ。美味しい。ここのラーメン屋さんは知らなかったわ」

穂乃果「それは良かった。さて、私も頂こうかな」

絵里「ん~相変わらず美味しいわね。昔と同じ味」

支倉「絢瀬先生も来た事あるんですか?」

絵里「元々ここはμ’sのメンバーの行きつけでね」

凛「じゃ~ん。ここが凛の行きつけのラーメン屋さんにゃ~。ね~かよちん」

花陽「うん。凄く美味しんだよね」

穂乃果「高校生なのに行きつけがあるなんて…凛ちゃんおっとな~」

ことり「凛ちゃんかっこいい」

凛「え~そうかにゃ~」

希「ん?えりち?真姫ちゃん?どうしたん?」

絵里「私…ラーメンを食べに来たのって初めてで…」

真姫「私も…」

凛「え~そうなの?」

にこ「普段何を食べてるのよ。あんた達は…」

真姫「んっ」ツルツル~

絵里「んっ」ツルツル~

凛「どう?真姫ちゃん?絵里ちゃん?」

絵里「ハラショー。ラーメンってこんなに美味しいのね」

真姫「美味しい…。凄く美味しいわ」

凛「でしょ?ここのラーメンは最高に美味しいの」

にこ「なんで得意げなのよ」

凛「それは凛の行きつけだからにゃ」

花陽「替え玉お願いします」

海未「ええ?まだ食べるのですか?」

穂乃果「さすが花陽ちゃん」

希「ふふっ。花陽ちゃんは将来有望やなぁ」

ワイワイガヤガヤ

支倉「へ~そうなんですね」

梨子「青春の思い出ですね」

穂乃果「うん。そうなの。まさに思い出の店」

ガラガラ

店員「いらっしゃい」

凛「お腹ぺこぺこだ~」

花陽「久しぶりだね。何を食べようかな」

穂乃果「あっ!」

凛「あっ!」

ありがとうございました~

志賀「いやぁ~食った食った~」

支倉「美味しかったね」

白木「はい。高坂先生。ご馳走様でした」

凛「ご馳走様でした」

穂乃果「うん。まあ…うん。そうね…喜んで貰えたなら何よりです」

花陽「ごめんね、穂乃果ちゃん。私達まで…」

支倉「それじゃあ、私達はこっちなんで。ご馳走様でした」

白木「先生、ご馳走様でした」

志賀「ご馳走様~。星空さん!陸上頑張って下さい!」

凛「うん。ありがとう」

梨子「あっ、私も今日は…」

穂乃果「え?そうなんですか?」

梨子「知人がこっちに来てるみたいなので。お疲れ様です」

穂乃果「お疲れ様」

絵里「さあ、私達も行きましょうか」

凛「いや~相変わらず美味しかったにゃ~」

絵里「すっごい偶然よね。私も何年ぶりだったかしら」

穂乃果「見計らったかの様なタイミングだったもんね」

花陽「ご、ごめんね」

海未「あれ?穂乃果?」

穂乃果「え?あっ、海未ちゃん?」

海未「凛と花陽もいるじゃないですか。珍しい」

ことり「あっ!?」

穂乃果「え?おおっ!?」

絵里「偶然って言うか…奇跡に近いわね」

海未「そうですね。真姫や希にまで出会すとは…出来過ぎですね」

希「うん。スピリチュアルやな」

凛「うわっ。久しぶりに聞いたにゃ。その台詞」

穂乃果「凛ちゃんのその口癖も久しぶりに聞いたよ」

凛「いやぁ、皆んなとこうして歩いてると昔に戻ったみたいでついつい。普段は気を付けてるんだけどね」

絵里「毎日一緒に歩いてたものね。この道も」

真姫「一人居ないけど」

希「ん?真姫ちゃん寂しいの?」

真姫「希こそ」

希「まあね。ずっと会ってないからなぁ。ほら?ここまで来たら、9人でこの道を歩きたいやん?」

真姫「そうね」



絵里「それじゃあ、私はこっちだから」

希「ウチも。今はこっちに住んでるんよ」

凛「そっかぁ。絵里ちゃんと希ちゃんはここでお別れかぁ」

ことり「あれ?穂乃果ちゃんは…こっちじゃないよね?」

絵里「あっ!?そう言えば…」

穂乃果「いやぁ~、なんか皆んなと歩いてたら…つい」

海未「では、穂乃果もここで?」

穂乃果「ん~…いや、たまには実家に顔を出そうかな」

海未「そうした方がいいですね。全然帰ってないみたいなので。雪穂が怒ってましたよ?」

穂乃果「あはは…本当…」

海未「はい」

花陽「それじゃあ、私達もこっちだから」

凛「短い時間だったけど楽しかったよ。次に皆んなが揃うのは…二月だっけ?ラブライブも応援に行きたかったけど…」

穂乃果「うん。ありがとう。頑張るよ」

凛「じゃあ、またね」

花陽「またね」

ことり「バイバ~イ」

海未「さようなら」

真姫「…」

穂乃果「ん?あれ?真姫ちゃん家もあっちじゃ…」

真姫「ラブライブ本選進出。決まったらしいわね」

穂乃果「うん。お陰様でね」

真姫「おめでとう。懐かしいわね、ラブライブ」

穂乃果「そうだね」

海未「あれから10年ですからね」

真姫「10年…。気づけばあっという間ね。覚えてる?音楽室で穂乃果と初めて話した時の事」

穂乃果「うん。覚えてるよ。真姫ちゃんピアノ弾いてたよね」

ことり「え?そうだったの?」

穂乃果「その時ビビッと来てね。スクールアイドルやろうって勧誘したんだけど」

真姫「お断りします」

穂乃果「って断られたの。海未ちゃんにも最初そう言われたよね」

海未「だって、穂乃果はいつも唐突過ぎるんですよ」

真姫「違いない。でも、私の高校生活が楽しかったのは穂乃果のその唐突のなさのお陰かも」

穂乃果「え~そんな事ないよ」

真姫「ううん。μ’sがなかったら…私は…」

穂乃果「真姫ちゃん?どうしたの?何かあったの?」

真姫「別に…何もないわ。今年のラブライブの地区予選。こころちゃん達も出場したんでしょ?」

穂乃果「うん。そうなの。結果は…残念だったけど」

真姫「うん。分かってる。その時、にこちゃんは来なかったのかな?」

穂乃果「来てないって聞いたけど。実際はどうだったんだろ」

ことり「にこちゃんの事だからこっそり来てたかもしれないよね」

真姫「そうなの。ねえ?にこちゃんはどうして私達の前に姿を表そうとしないのかな?」

穂乃果「え?」

真姫「卒業してから10年…。仕事を抱えてたり家庭を持ったり。皆んないつも忙しくて中々顔を合わせる事も少なくなって来て。それが仕方のない事だってのが分からない程私はもう子供じゃないけど…。でも、たまに思うの。もう、μ’sの皆んなが揃う事はないのかなって。今日みたい日は特にね」

穂乃果「真姫ちゃん…」

真姫「例え会わなくてもμ’sの絆に変わりはないって。分かってるんだけどね。でも、寂しく思えてくるのよね」

海未「そうですね」

真姫「まっ、にこちゃんは素直じゃないし強がりだから。意地でも張ってるのかもしれないわね。それはそれで…にこちゃんらしいのかな?なんて…」

穂乃果「うん。そうかもね」

真姫「ごめん。辛気臭くしちゃって。じゃあ、私こっちだから」

穂乃果「うん」

穂乃果「…行こうか?」

ことり「うん」

海未「…」

穂乃果「…」

ことり「…」

穂乃果「一緒に過ごす時間が長くなれば長くなる程さ、絆は深くなってその人の事をどんどん好きになっていくのに…。時間が進めば進むほどどんどん会える回数も減って来るなんてさ。現実って結構残酷だね」

海未「そうですね。けど、いつまでも青春が続く訳ではありませんから。それぞれの人生があるんです。真姫も言っていた様に仕方のない事なんです」

穂乃果「そうだね。仕方のない事なんだよね。でもさ、」

海未「でも?」


穂乃果「やっぱり、ちょっぴり寂しいって思っちゃうんだよなぁ。私も…」

海未「…」

ことり「…」

海未「そうですね」

ことり「うん」

ゴーン ゴーン ゴーン

パン パン

白木(この三人で挑む最初で最後のラブライブ。最高の思い出にしたいです。だから、優勝出来ます様に)

志賀(去年は私にとって怒涛の一年でした。今年はラブライブで優勝します)

支倉「皆んなが今年も健康でいられますように。受験が上手くいきますように。そして、ラブライブ優勝できます様に」

白木「かさね先輩…。声に出てますよ」

支倉「え?嘘?」

志賀「先輩欲張り過ぎだよ」

白木「ふふっ。神様も大変ですね」

支倉「かなぁ?なかなか一つに絞れなくて」

志賀「って言うか…先輩って受験生だったんだよな」

支倉「もち!」

絵里「あっ!?ほら、居たわよ!」

穂乃果「本当だ!おーい!」

志賀「ん?あっ!?先生達だ」

穂乃果「あけましておめでとう」

絵里「おめでとう」

志賀「先生、あけましておめでとう」

白木「おめでとうございます」

穂乃果「あれ?支倉さんは?」

白木「さっきまで一緒に居たんだけど…どこに行っちゃったんだろう?」

絵里「あそこにいるのがそうじゃない?」

支倉「お~い。たすけてぇ」

支倉「はあ…はあ…はあ。人混みって苦手」

穂乃果「あはは…。確かに凄い人混みだね」

支倉「先生…。来てたんですね。あけましておめでとうございます」

穂乃果「おめでとう、支倉さん」

絵里「おめでとう」

支倉「あれ?桜内先生は?」

穂乃果「実家に帰ってるよ。正月はあっちで過ごすんだって」

支倉「へ~。じゃあ、お二人で来たんですか?」

穂乃果「いや、後はことりちゃんと…」

支倉「おおっ!南先輩も来てるんですね」

穂乃果「うん」

ことり「お~い」

亜里沙「たこ焼き買って来たよ!」

支倉「南先輩!あけましておめでとうございます」

志賀「おめでとうございます」

白木「おめでとうござ…あっ!」

亜里沙「ん?」

支倉「三代目!」

亜里沙「あっ、あ~you's ちゃん達!」

支倉「え?三代目も一緒だったんですか?」

亜里沙「まあね~。今年は一人で年を越す事になっちゃいそうだったからさ」

支倉「へ~そうだったんですね。…あっ、おめでとうございます」

亜里沙「ありがとう」

支倉「え?」

亜里沙「おめでとうって言うから」

支倉「ち、違いますよ。今のは新年の挨拶で」

亜里沙「あ~そうなんだ。私って帰国子女だから」

支倉「え?そうなんですか?でも、言われてみれば」

絵里「コラ!うちの生徒をからかわないでちょうだい。帰国子女って…いつの話をしてるのよ。日本に来て何年経ってると思ってるのよ」

亜里沙「あはは。この子可愛い性格してるから…つい」

絵里「ついじゃないわよ。全く…」

亜里沙「ごめん~お姉ちゃん」

支倉「え?お姉ちゃん?今、絢瀬先生の事をお姉ちゃんって言いました?」

亜里沙「うん」

穂乃果「え?知らなかったの?」

支倉「ちょ…ちょっと待ってください。え?って事は…」

志賀「何か重要な事に気が付いたのか?」

支倉「うん」

支倉「絢瀬先生も帰国子女?」

絵里「…そうよ?」

支倉「え~そうだったんですか?」

志賀「え?それだけ?」

支倉「いや、絢瀬先生が帰国子女だったんだよ?ビックリしたでしょ?」

志賀「別にそこまで…」

亜里沙「って言うか…私達姉妹は外国人だよ?」

支倉「え?えーーー?絢瀬先生が外国人?ちょ、ちょっと待ってください。え?そうなんですか?」

絵里「あのねぇ…亜里沙…。からかうのはやめなさいって言ったでしょ?」

支倉「え?やっぱり、嘘だったんですか?」

志賀「だろうな…」

白木「絢瀬絵里って思いっきり日本人名ですもんね」

亜里沙「本当はロシアとのクウォーターなんだよ」

支倉「へ~クウォーター…それも嘘とか?」

絵里「いや、それは本当よ。祖母がロシア人なの」

支倉「えぇ…それはそれで驚き…絢瀬先生がクウォーターだったなんて。凄い…」

亜里沙「んふふ。サインしてあげようか?」

支倉「え?どうしよう?貰っておくべきなのかな?」

絵里「貰わなくて大丈夫よ。価値ないから」

亜里沙「え~酷い」

ことり「亜里沙ちゃん…随分お茶目な性格に成長したね」

穂乃果「そうだね。昔は…」

亜里沙「雪穂…これは…シュークリーム?」

雪穂「違うよ。餡子。豆を煮たものだよ」

亜里沙「ハラショー」

穂乃果「って感じの天然少女だったのに。時の流れを感じるね」

絵里「本当…あの頃は純粋で可愛かったのに…」

ことり「今も可愛いは可愛いと思うけど…」

亜里沙「ラブライブ本選進出決まったんだって?」

支倉「は、はい」

亜里沙「そっか。凄いじゃん。おめでとう。おっと、これは新年の挨拶じゃないよ」

支倉「わ、分かってます。ありがとうございます」

亜里沙「私達が取り返せなかった優勝旗。楽しみにしてるね」

支倉「…はい!期待してて下さい」

亜里沙「うん。期待してる」

ゴーン

白木「あっ、除夜の鐘が全部鳴り終わっちゃいましたね」

穂乃果「本当だ。いつの間に…」

絵里「さっ、もう遅いからあなた達は帰りなさい」

支倉「え~。まだ大丈夫ですよ」

絵里「ダメよ。帰ってもう寝なさい」

支倉「ちぇ~。じゃあ、今日は凪ちゃん家に泊まりに行こうか」

白木「え?私ん家?」

支倉「ダメ?」

白木「いいですけど…」

支倉「よ~し。決定!じゃあ、行こう!」

志賀「先輩元気だなぁ」

支倉「それでは、先生方、南先輩、三代目…じゃなくて」

亜里沙「いいよ。三代目で。なんかカッコいいし」

支倉「では、三代目。私達はこれから白木邸に行ってまいります」

穂乃果「気をつけてね」

絵里「夜更かしし過ぎないようにね。練習はもう明後日からあるんだから。生活リズムは崩さないように」

支倉「はーい。それでは!」

亜里沙「本選かぁ」

絵里「何?羨ましいの?」

亜里沙「羨ましいよ。私達はお姉ちゃん達と同じ景色を見る事が出来なかったからね」

穂乃果「…」

ことり「…」

亜里沙「本当、羨ましい。私はもう挑戦する事すら出来ないからね」

穂乃果「挑戦出来るって事は実は凄い幸せな事なんだよね」

絵里「でも、それに気づくのって必ず後になってからなのよね」

亜里沙「そうなの。職業柄色んな子達と話す機会があったけど。世の中には現役でも挑戦する事すら叶わない子達もいるんだから」

穂乃果「うん」

亜里沙「だから、あの子達には本気で優勝して貰いたいね」

穂乃果「もちろん。本気で優勝するつもりだよ」

絵里「そうね」

亜里沙「よし!じゃあ、you's が優勝した時の記事を今の内に考えておかなくちゃね」


梨子「ワン、ツー、スリー、フォー。ワン、ツー、スリー、フォー」

絵里「はい。今日はここまで」

支倉「え?もう終わりですか?」

絵里「そうよ。今日はもうお終い」

志賀「まだまだ出来るぜ?もうちょっとやろうよ」

白木「そうですよ。だって…明日はラブライブ…」

絵里「そう。明日はいよいよラブライブだから無理をしない様に」

支倉「そうですね。そうしましょう」

志賀「え?先輩…いいのかよ?」

白木「今日で最後なんですよ?」

支倉「うん。でも、それで無理して疲れが残っても仕方ないし」

絵里「そう言う事。疲れ過ぎて寝坊されても困るし」

志賀「まあ、確かに…先輩はその心配があるな」

支倉「あ~それを言われると…」

穂乃果「お~い」

支倉「あっ、高坂先生。どこに行ってたんですか?」

穂乃果「許可を取れたよ!」

絵里「ハラショー!ナイスよ、高坂先生」

梨子「じゃあ、準備してきちゃいますね」

絵里「ええ。よろしく」

支倉「先生方はなんの話をされてるんですか?」

穂乃果「ん?んふふ~ん。なんだと思う?」

支倉「さあ?何なんですか?」

志賀「分かんないから聞いてるんじゃねぇか」

絵里「あなた達…今日のこの後の予定は?」

支倉「え?私は帰ってご飯食べて寝るだけですよ」

志賀「私も」

白木「私もです」

絵里「そう。それなら、皆んな一回家に帰って明日の準備と着替えを取りに帰りなさい」

支倉「どう言う事ですか?」

穂乃果「今日は学校に泊まっちゃおうって事だよ」

支倉「ええ?学校にですか?」

志賀「そんなのいいのかよ?」

穂乃果「うん。許可を取れたって言ったでしょ!」

絵里「支倉さんが寝坊しちゃうといけないからね。特別よ」

支倉「本当ですか?」

穂乃果「うん。嘘なんかつかないよ」

支倉「やったーー!」

白木「今日の夜を皆んなで過ごせるんですね」

志賀「まあ、仕方ねぇな。付き合ってやるかなぁ」

白木「嬉しい癖に」

志賀「なっ、馬鹿…まあ、そうだな」

穂乃果「じゃあ、一旦解散して準備してまた学校に集合って事で」

バーン

支倉「おおっ!ここに布団を敷いたんですね!」

志賀「って言うか…こんな部屋あったのか」

白木「初めて入りましたね」

穂乃果「実はこの部屋…私達がアイドル研究部だった時に使ってた部屋だったりして」

支倉「え~そうなんですか?」

穂乃果「うん。本当は支倉さん達にも使わせてあげたかったんだけどね」

支倉「へ~ここがμ’sが使ってた部室…」

志賀「最後の最後に部室が出来たって感じだな」

白木「そうですね」

梨子「皆んな~ご飯出来たわよ」

穂乃果「お~」

志賀「待ってました!」

支倉「わ~い。桜内先生の作ったご飯は合宿振りですね~楽しみ~」

梨子「あんまり期待しないで」

支倉「何言ってるんですか。あのキツイ合宿を乗り越えられたのは桜内先生の作ったご飯があったからですよ。ねー?」

白木「ふふっ、そうですね」

梨子「そう言って貰えると作った甲斐があるってものだわ」

絵里「じゃあ、料理を運んじゃいましょう」

穂乃果「それじゃあ、皆さん。御一緒に」

「頂きます!」

支倉「はむっ。ん~やっぱり美味しい」

梨子「ふふっ。ありがとう」

志賀「先生!おかわりある?」

梨子「もちろん。用意してるわ」

白木「ちなみに…これはなんて料理なんですか?」

志賀「オムそばだろ?食べた事ないの?」

白木「焼きそばならありますけど」

梨子「う~ん。おしい!これはヨキソバです」

支倉「ヨキソバ?初めて聞きましたね」

穂乃果「うん。私も初耳だ」

絵里「あの…こっちのスープは何かしら?」

梨子「ああ…それは…シャイ煮です。シャイ煮改」

絵里「シャイ煮?」

穂乃果「シャイ煮って何?」

梨子「まあ、海鮮スープ的な?」

志賀「おおっ!でも、美味い!凄い美味い」

白木「本当だ!こんなの初めて食べた」

支倉「でも、どうして改なんですか?」

梨子「それは…オリジナルには色々と問題点があったから。ビジュアル的にも…金額的にも…」

支倉「へ~そうなんですね」

絵里「それにしても美味しいわね。シャイ煮」

穂乃果「ねぇ!美味しいね」

梨子「ふふっ。そう言って貰えて良かったです」

志賀「シャイ煮とヨキソバおわかり!」

白木「え?またですか?」

絵里「よく食べるわね。志賀さん」

穂乃果「この食べっぷりは花陽ちゃんを彷彿とさせるね」

絵里「いや、花陽の食べっぷりはもっと凄かったと思う」

「ご馳走様でした~」

志賀「あ~食った食った~」

白木「美味しかったですね」

支倉「仁美ちゃん何杯食べた?」

志賀「ん~?さあ?」

穂乃果「さあ、ご飯も食べ終わったし」

志賀「このまま寝るのは勿体無いよなぁ」

支倉「だよね。夜の学校かぁ。肝試しでも」

絵里「しません」

支倉「即答…」

穂乃果「あはは…」

絵里「明日はラブライブなんですから。夜更かししないで…」

穂乃果「まあ、けど。このまま寝るのも勿体ないし。良いもの見せてあげるよ」

ガチャ

支倉「わぁ。屋上…初めて入りました」

白木「いいんですか?屋上って立ち入り禁止じゃ」

穂乃果「私達がいるから今回は特別!」

支倉「綺麗だねぇ。イルミネーションみたいだよね」

白木「私達の街ってこんなに綺麗だったんですね」

志賀「うん。初めて知ったな」

支倉「高坂先生。よく知ってましたね」

穂乃果「ん?ああ、前に言ったでしょ?私達の頃は屋上は立ち入り禁止じゃなかったからね」

絵里「よくここで練習したものね」

穂乃果「うん。覚えてる?絵里ちゃん?」

絵里「ええ。10年前のあの日…。私達もこうしてここから夜空を眺めたんだわ」

穂乃果「忘れる訳ないか。9人で見た最後の星空だったもんね」

絵里「そうね」


支倉「…」

志賀「…」

白木「いよいよ、明日ですね」

志賀「おう」

支倉「思えばあっという間だったね」

志賀「そうだな」

支倉「ありがとうね」

志賀「は?何が?」

支倉「一緒にスクールアイドルをやってくれて」

志賀「別に…先輩の為じゃねぇよ。私は私がやりたいからやってるだけだよ。むしろ、お礼を言いたいのはこっちの方さ」

白木「私も同じです。先輩達とやりたいからやってるんです。こちらこそありがとうです」

支倉「仁美ちゃん…凪ちゃん…」

志賀「よしっ!今日のこの景色は目に焼き付けて置こうぜ。きっといつか今日と言う日が懐かしくなる日が来るだろうからさ」

支倉「うん。そうだね」

梨子「さあ、そろそろ部屋に戻るわよ」

支倉「はい。戻ろっか?」

志賀「おう」

白木「はい」

チュン チュン

支倉「ん…ん~…良い天気だ。お~い。良い天気だよ」

志賀「ん?んん…ふぁ~…眠い…」

白木「ふぁ~…先輩…おはよう…ございます。早いですね」

支倉「ほら。起きて!良い天気だよ。ラブライブだよ!」

絵里「ふふっ。起こしに来る必要もなかったみたい」

梨子「そうですね。私は朝食の準備をしてきます」

穂乃果「さあ!今日はラブライブだよ!」

支倉「はいっ!」

志賀「うわっ。高坂先生。いつの間に」

白木「テンション高いですね」

穂乃果「三人共!ファイトだよ!」

ワイワイ ガヤガヤ

ルビィ「うっ…相変わらず凄い人の多さだね。アキバドームは…」

理亞「当たり前でしょ。ラブライブ…しかも、今年は10周年のアニバーサリーなんだから。それより、本当に来るの?」

ルビィ「うん。一緒に見ようって誘ってくれたんだ」

理亞「そ、そう。ねえ?私…変な格好してない?」

ルビィ「大丈夫。可愛いよ」

理亞「ならいいけど。で、花丸と善子は?」

ルビィ「やっぱり来れなかったみたい」

理亞「ふ~ん。そうなの。まあ、別にいいけど」

「お~い。ルビィちゃ~ん」

ルビィ「あっ、来たみたい」

理亞「え?ちょ、まだ心の準備が…」

ルビィ「ことりさん。おはようございます」

ことり「おはよう。ルビィちゃん」

理亞「ほ、本物の南ことり…さん」

ことり「ん?あっ、この子が噂の理亞ちゃん?」

ルビィ「はい。鹿角理亞ちゃんです」

ことり「よろしくね。理亞ちゃん」

理亞「あっ…えっ…は、はい。よろしく…お願いします。こ、ことりさん」

支倉「うわぁ~…凄い…」

志賀「テレビで見るよりなんか…圧倒的だなぁ」

白木「こんな所で歌うんですね。大丈夫かな、私…」

絵里「大丈夫よ。努力は嘘をつかない。使い古された言葉だけど…敢えて言わせて貰うわ。大丈夫!あなた達なら出来る。ね?」

梨子「そうですね。私が保証するわ」

志賀「へっ、当たり前だぜ」

白木「そうですね。やってやりましょう!」

穂乃果「よしっ!行ってきな!you's 」

支倉「はい!行って来ます!」

支倉「さあ、ここからは先生達も居ない。私達三人だけだね」

白木「ですね」

支倉「泣いても笑ってもこれがラスト」

志賀「リーダー。最後に頼むよ」

支倉「うん。私達は…学年もバラバラで元々仲が良かった訳でもないし趣味も性格も全然違う。それが、スクールアイドルを始めて…スクールアイドルを通して繋がれた。私はスクールアイドルをやって良かった。こんな素敵な仲間に巡り会えたんだから。だから、後はやる事は後一つ。ラブライブ優勝!取りに行くよ」

志賀「おう!当たり前だぜ」

白木「全力で行きましょう!」

支倉「さあ、今までの気持ちを全部乗せて歌おう」

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。

バーーーーーン

支倉「~♪」

志賀「~♪」

白木「~♪」


梨子「ついに始まりましたね」

絵里「ええ。そうね」

穂乃果「ふふっ、随分頼もしくなったね」

支倉「~♪」

支倉(見ててください、先生。今日、先生達を越えて見せますから)

穂乃果「うん。見てるよ。しっかりと」

亜里沙「やってるね、あの子達」

絵里「亜里沙!来てたのね」

亜里沙「当たり前、仕事だもん。頑張ってね、you's。私達が乗り越えられなかった壁。乗り越えて」

理亞「あの子達…。イキイキとしてる」

ルビィ「うん。凄い楽しそう」

ことり「楽しいに決まってるよ。だって、あの子達、スクールアイドルが大好きなんだから」

ルビィ「はい」

理亞「そうですね」

教え子「園田先生!先程から何をご覧になっているのですか?」

海未「ラブライブ。スクールアイドルの甲子園ですよ」

教え子「スクールアイドル?」

教え子「先生はアイドルが好きなんですか?」

海未「はい。大好きです」

教え子「え~意外~」

海未「ふふっ、そうですか?」

凛「あの子達。頑張ってるんだね」

コーチ「星空~準備は出来たか?」

凛「はい!よ~し、これは負けてられないね」



子供「お母さ~ん。アイドルが歌ってるよ~」

花陽「うん。歌ってるね~。お母さんも昔あそこで歌ったんだよ?」

子供「そうなの?」

花陽「うん」

子供「へ~、私も大きくなったらお母さんやあのお姉ちゃん達みたいなアイドルになりたいな」

花陽「うん。きっとなれるよ」

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

真姫「ラブライブか…。懐かしいわね、何もかも…」

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

希「へ~、これがえりちや穂乃果ちゃんの…。なるほど、you's か…」

あんじゅ「次、出番よ?」

ツバサ「ええ…分かってるわ」

英玲奈「ああ…そうか。今日はラブライブだったな」

あんじゅ「この子達を見てると…思い出すわね。スクールアイドルだった…あの頃を」

英玲奈「そうだな。必至だったな、あの頃は」

ツバサ「何を言ってるのよ。私達だってまだまだこれからよ」

スタッフ「そろそろスタンバイお願いしま~す」

ツバサ「さあ、行きましょうか。私達も負けてられないわ」

英玲奈「ああ」

あんじゅ「そうね」

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』


善子「へ~これが、リリーの教え子の。まあ、そこそこじゃない」

花丸「そこは素直に凄いって言うズラ」

善子「分かってるわよ」

花丸「あ~、マルも会場に行きたかったズラ~」

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

聖良「いいじゃないですか、you's。やっぱり、頑張ってる人は輝いて見えます」

スタッフ「鞠莉様。そろそろ…」

鞠莉「ごめん。ちょ~と待ってて」

スタッフ「はい」

鞠莉「ふふっ。やっぱり、スクールアイドルは私を熱くさせるわ」


支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

ダイヤ「この子達がルビィの言っていた音ノ木坂学院のスクールアイドル。ふふっ、なんだか…画面越しのこの子達の熱に当てられてしまいそうですわ」


曜「ほら!あの子達が出てるよ」

果南「おお!頑張ってるね~」

曜「私達が教えてあげた事ちゃんと身についてる」

果南「そりゃあそうだよ。三人共最後まで頑張ったんだもん」

「お茶淹れたよ~」

果南「え~私はビールの方が…」

曜「果南ちゃんはこの後仕事があるんでしょ」

果南「そうだったっけ?」

曜「お茶ありがとう。千歌ちゃん、この子達が」

千歌「この子達が…音ノ木坂学院のスクールアイドル…。輝いてるね」

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

こころ「いいパフォーマンスをしますね。彼女達」

ここあ「私達に勝ったんだ。当たり前だろ」

こころ「そうですね。じゃないと困りますね」

ここあ「ふん。負けたりしたらしょうちしねぇからな」

『わぁぁぁぁ』

支倉『~♪』

志賀『~♪』

白木『~♪』

アイドル「あっ、そうか。今日はラブライブ」

アイドル「凄い声援ですね、先生」

にこ「そうね」

アイドル「あれ?先生興味ないのかな?先生って確か…」

にこ「ふふっ」

アイドル「先生?」

にこ「何でもないわ。さあ、練習再開するわよ」

わぁぁぁぁ。

志賀(楽しい。最高に楽しい)

白木(ずっとこのまま踊っていたい。永遠にこの時間が続けばって思うほど)

支倉(良かった。何度でも言うよ。私はスクールアイドルで良かった。私は幸せだ)

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。



カシャ カシャ

亜里沙「あの子達。良い顔するね」

絵里「うん。素敵だわ」

「終わっちゃった?」

亜里沙「あっ!来れたんだね」

雪穂「はあ…はあ…急いで来たんだよ」

亜里沙「雪穂!」

穂乃果「遅かったじゃん」

雪穂「全く…。お姉ちゃん携帯の電源入ってる?」

穂乃果「え?あ~気がつかなかった」

梨子「あっ、妹さんですか?」

穂乃果「はい。妹の雪穂」

雪穂「初めまして。いつも姉がお世話になってます」

梨子「いえ、こちらこそ」

雪穂「それで?どうなの?結果は?」

穂乃果「この歓声が答えだよ」

わぁぁぁぁぁぁぁ

雪穂「って事は?」

穂乃果「うん」

支倉「はあ…はあ…はあ…」

志賀「はあ…はあ…やった…」

白木「はあ…はあ…はい…私達…」

『Love Live!優勝 音ノ木坂学院 you's 』

穂乃果「見事にやられたよ」

わぁぁぁぁぁぁぁ。

支倉「やった。やったぁ。私達…やったんだ」

白木「はい…うっ…うわぁぁぁん。私達…」

志賀「バカッ。優勝したんだぞ…グスッ。勝ったのに泣く奴があるか」

白木「グスン…仁美先輩だっで」

志賀「泣いて…なんかねぇよ…グスッ…バカ…グスッ」

絵里「優勝おめでとう」

梨子「素晴らしかったわ」

志賀「絢瀬先生…桜内先生…」

穂乃果「支倉さん、志賀さん、白木さん。おめでとう。感動したよ」

支倉「先生…うぅ…グスッ…。うぁぁぁぁぁん。先生…先生ぇぇぇ」

穂乃果「よくやった。よくやったよ」

この日、私は初めて知りました。悲しくなくてもが溢れてくる事が本当にあるんだって事を。

支倉「うぅ…グスッ…うぁぁぁぁん」

亜里沙「さあ、笑って笑って。この写真は表紙に使うんだから」

志賀「痛い、痛い。あんまり押すなよ」

白木「いいんですよ。今日は」

支倉「ほら、二人とも!もっと笑って」

志賀「先生!先生達も一緒に写ろうよ!」

絵里「え?でも…」

亜里沙「ほら、お姉ちゃん達も早く並んで」

絵里「じゃあ…」

梨子「そうですね」

穂乃果「じゃあ、皆んなであのポーズ行こうか?」

支倉「あのポーズ?」

穂乃果「うん」

亜里沙「じゃあ、撮るよ?」

支倉「せーの」

「ラブライブ!」

カシャ

キーンコーンカーンコーン

支倉「では、次期部長を…仁美ちゃんに任命します」

志賀「おう!任せとけ!you'sはこれでおしまいだけど音ノ木坂アイドル研究部(仮)の伝統は私が守る!」

白木「これからもよろしくお願いしますね。仁美先輩」

穂乃果「よっ!志賀部長!にくいよ~このこの~」

志賀「へへ~」

支倉「仁美ちゃんも出会った頃と随分変わりましたよね」

絵里「そうね。最初はいかにも硬派を貫くって感じだったものね~」

支倉「あ~制服なんかも改造してましたしね」

志賀「それは触れるな」

梨子「やっぱり、you'sはこれで終わりするの?」

志賀「まあ…you'sは私達3人だけの物かなって」

梨子「そう」

支倉「あの~なんか私…引退みたいな雰囲気になってますけど」

志賀「え?違うの?」

支倉「まだ来るからね!」

白木「本当ですか!」

支倉「うん。ラブライブは優勝したけれどまだ受験が残ってるんで!皆さん、手伝って下さい!」

志賀「なんか締まらないなぁ、先輩は」

白木「そう言えば受験生でしたね。まあ、先輩が来てくれるの私は嬉しいですけど」

絵里「支倉さん…数学以外は優秀なんだけどね」

支倉「お願いします。数学教えて下さい」

穂乃果「まあ、私が教えてあげるから」

カァーカァー

志賀「もう夕方かぁ」

白木「早いですね」

支倉「それでは、先生さよなら~」

絵里「はい。さよなら」

梨子「さよなら」

穂乃果「さよなら~」

絵里「あら?そうなの?」

穂乃果「はい。また明日」

絵里「さあ、私達も帰りましょうか」

穂乃果「うん。ん~明日から三学期かぁ。なんかあっという間の一年だったなぁ」

絵里「そうよ。これからどんどん、どんどん時の経つのが早くなっていくのよ。あ~いやぁ。あっと言う間に30目前」

穂乃果「いや、そういう事じゃなくてさ。これでも、私と桜内先生は教師一年目だからね」

絵里「あぁ、そう言えばそうだったわね」

穂乃果「そうなんだよ。ん?」

梨子「…」

穂乃果「どうしたの?桜内先生」

梨子「いや…あそこ…なんか、様子のおかしい人が…」

男「…」キョロキョロ

絵里「え?何?不審者?」

穂乃果「まさか…いや、でも…何してるんだろ?学校の中に入ろうとしてる?うちの学校は結構セキュリティガバガバだから…。矢澤姉妹とか亜里沙ちゃんとか出入り自由だったもんね」

梨子「だとしたら…マズイですよね?警察呼びますか?」

絵里「いや、あれだけで不審者と決めつける訳にもいかないし…」

男「…」キョロキョロ

絵里「どうしようかしら。ん?穂乃果?」

穂乃果「あの…うちの学校に何か用でしょうか?」

男「え?」

穂乃果「この学校の教師をしてる者ですけど先程から学校の中を気にしている様ですけど?保護者の方ですか?」

男「あっ、ああ…娘が…」

梨子「なんだ。娘さんがうちの生徒なのね」

穂乃果「そうだったんですね。えっと…呼んできましょうか?何年生の…」

男「……28」

穂乃果「え?」

男「娘は今年で28歳なんだよ」

穂乃果「ええ?28歳?え?どう言う事?留年とかって」

絵里「いや、うちの学校に留年生は今の所いないわよ。って言うか28じゃ私と同い年よ」

梨子「どう言う事なんですか?」

男「娘はこの学校の卒業生で。近々結婚してしまうんだ。それで、娘が通っていた高校はどんな学校だったのかなと思ってちょっと見に来ただけなんだよ」

穂乃果「なんだ。そう言う事かぁ」




梨子「すいません。不審者なんて言ってしまって…」

男「まあ…大人の男が女子校を覗いてたら誰でもそう思うだろう。そんな事は分かっていたさ」

穂乃果「そうまでして…娘さんが結婚してしまうのが寂しいんですね」

男「寂しい。寂しいに決まっているだろう。相手の男をぶん殴ってやりたい」

穂乃果「え?え?」

絵里「ちょっと、穂乃果。何スイッチ入れちゃってるのよコソコソ

穂乃果「いや…だって、まさか…」コソコソ

梨子「あの…もしかして、なんですけど」コソコソ

絵里「え?何?」コソコソ

梨子「28歳で音ノ木坂の卒業生で近々結婚って事は…」コソコソ

絵里「……ん?ああっ!?そうよね?」コソコソ

穂乃果「希ちゃん?」コソコソ

梨子「ですよね?確定ではないけど…」コソコソ

絵里「えぇ…希のお父様なの?」コソコソ

穂乃果「ちょっと…絵里ちゃん聞いて来てよ」コソコソ

絵里「私が?」コソコソ

穂乃果「希ちゃんと言えば絵里ちゃんでしょう」コソコソ

絵里「えぇ…なんて言って聞けばいいのよ」コソコソ

男「はぁ…」

絵里「あの…」

男「ん?」

絵里「勘違いだったら申し訳ないんですけど…娘さんの名前って…もしかして、東條希さん?」

男「希を知ってるのか?」

絵里「え、えぇ…物凄く…」

希「あのね!お父さん聞いて?」

希父「ん?どうした?」

希「私ね、今高校で部活始めたよ!」

希父「希が?」

希「うん。でね、この金髪の子!前に話したでしょ?私の親友の絵里ちゃん!でね、こっちの小さくて可愛い子がにこちゃん!部長なの」

希父「そうか、そうか。希が部活を」

希「うん。お陰で毎日楽しいよ!あっ、この三人は一年生で…」

梨子「希さん…結婚反対されてるのかしら?」コソコソ

穂乃果「いやぁ、だって式の準備もしてるはずだし…両家の顔合わせもしてるでしょ?」コソコソ

梨子「ですよね?」コソコソ

希父「…」

絵里「あの?」

希父「そうか。君が希の親友の…」

絵里「え?」

希父「希から話は聞いているよ。ありがとう」

絵里「へ?えっと?」

希父「昔から仕事が忙しくてね。あの子には随分と寂しい思いをさせてしまってね。あの子はなんと言うか…辛くても心配かけまいと私達の前ではいつも気丈に振る舞っていてね」

絵里「あぁ…何となく分かる気がするわね」

穂乃果「うん。そうだね」

希父「その上私の仕事の都合で転校も多くてずっと友達も出来ず。寂しかったはずなんだ。でも、あの日、彼女が嬉しそうに言ったんだよ。友達が出来たって」

絵里「それが…私?」

希父「そう。それが君なんだ」

絵里「希がそんな事を…」

希父「だから、父親としてお礼を言わせて貰うよ。ありがとう」

絵里「そんな…お礼を言われる様な事は。むしろ、いつも助けて貰っているのは私の方で…」

穂乃果「希ちゃん優しいもんね」

希父「そう。優しい子なんだよ。だから、あの子には悲しい思いはして欲しくないんだ」

絵里「は、はあ…」

穂乃果「あの…もしかして…結婚を反対なさってるんですか?」

希父「反対はしていない。けど、心配なんだよ」

穂乃果「え?心配?」

希父「そうだよ。相手の男が酷い男だったらどうする?あの子を悲しませる様な男だったら?自分の事を棚に上げているのは分かってる。けど…心配なんだよ」

梨子「でも、お相手とはお会いになってるんですよね?」

希父「数回会った程度だ。本性など分からん」

絵里「ですけど…希が選んだ相手ですから。そんな、酷い人は」

希父「一度で良いんだ」

絵里「え?」

希父「一度で良いから…」

翌日

絵里「はあ…休日何をしてるのかしら…私は…」

穂乃果「だって仕方ないじゃん。放って置くわけにもいかなしい…」

梨子「一度自分の目で相手の男性を見定めたいなんて…よっぽど希さんの事が可愛いのね」

絵里「でも…これじゃあ、まるで…」

希「あはは。それでね…」

男性「へ~そうなんだ」

希父「…」

絵里「ストーカーよ」

梨子「側から見たらそれこそ変質者ですね」

穂乃果「だから、放って置くわけにもいかないんだよ」

希父「希ぃ…」

希 「ふふっ。でね」

男性「うん。うん」

希父「…」じぃー

穂乃果「希ちゃん楽しそ~。私達の前とはまたなんか感じが違うね」

絵里「そりゃあそうでしょ。好きな人前なんだから。ね?」

梨子「え?そ、そうですね」

男性「さて、そろそろ行こうか」

希「うん」

希父「あっ、店を出た」

穂乃果「え?追いかけるの?」

絵里「はあ。私は一体何を…」

梨子「あ、あの…お会計…」

希「でね~、そこで私が言ったんだ」

男性「あはは。希は面白いね」

穂乃果「どこ行くんだろうね?って言うか希ちゃんさっきから喋りっぱなしだね

梨子「聞き上手なんでしょうね」

希父「くっ」

穂乃果「ね。しかも、なんか…見てると凄い紳士だよね。歩いてても常に希ちゃんを道路に歩かせない様にしてるし」

絵里「本当…。いい物件を見つけたわよね、希」

穂乃果「あっ、お店に入っていったよ!」

希「ん~…これ!これなんて似合うんやない?」

男性「じゃあ、ちょっと試着して来ようかな」

希「うん」

絵里「お買い物デートか…。私…何してるのかしら」

穂乃果「絵里ちゃん…。大丈夫だよ」

絵里「何がっ!?言っておくけど穂乃果だって私と一つしか違わないんだからね」

穂乃果「わ、分かってるよ」

男性「どう?似合ってる?」

希「うん。似合ってるよ。カッコいい!」

男性「本当?まあ、元が良いからなぁ」

希「いやいや、私のファッションセンスのお陰じゃない?」

男性「お~、言うねぇ」

希父「くっ、イチャつきおってからに…」

梨子「ま、まあまあ」

穂乃果「本当…楽しそうだね」

絵里「って言うか彼の前だと喋り方変わるのね、希。関西弁はどうしたのよ。関西弁は…」

希「ん~美味しい」

男性「だろう?おっ、こっちもそろそろかな。よっと!」

希「おおっ!上手!」


穂乃果「綺麗な夜景の見えるレストランでも行くのかと思った」

絵里「何言ってるのよ。お好み焼きデートなんて深い仲じゃなきゃ出来ないわよ。それ、そろそろじゃない?」

穂乃果「ガッテン!よっと」

絵里「あら、上手」

男性「大丈夫か、希?送ってくよ?」

希「大丈夫やって。すぐそこなんやから」

男性「そう?じゃあ」

希「うん。おやすみ。楽しかったよ」

男性「おやすみ、希」

穂乃果「もう解散するんだ」

梨子「って言うか…同棲してないんですか?」

希父「いや、しているはずだ。まさか…やはり、上手くいってなくて…」

梨子「それは無理がありますよ。今日一日見てましたけど悪い所が一つも見つかりませんでしたもん。希さんのお相手」

希父「いや、でも」

穂乃果「あの…希ちゃんに幸せになって欲しいんですよね?」

希父「分かってる。非の打ち所がない好青年だと言う事も分かった。それでも…」

穂乃果「だったら…」

絵里「それでも、心配なのよ。お父様にとって希はいつまで経っても小さな女の子のままなのね」

穂乃果「そう言う…ものなのかな」

絵里「そう言うものなのよ。きっと…」

希父「希ぃ…」

梨子「あの…」

穂乃果「さてと…どうしよっか?デートも終わったみたいだし」

希父「希…」

梨子「あの…」

穂乃果「ん?どうしたの?」

梨子「希さんがこっちに向かって歩いて来てますけど」

穂乃果「え?希ちゃんが?」

希父「なんだって?早く隠れないと…」

絵里「いや…もう手遅れみたい…」

希「お父さん…それにえりち…穂乃果ちゃんと梨子ちゃんも…。どうして…」

希父「いや、あのな…決してお前達を…」

希「たち?」

絵里「はあ…白状するしかないわね」

希「ふ~ん…そういう事」

希父「すまない。しかし…」

穂乃果「あの…希ちゃん。お父さんは心配だったんだよ。大事な一人娘がお嫁に…」

希「心配って言ったってもう籍も入れてるし。そもそも、もう同棲だってしてるし」

絵里「やっぱり、そうよね?」

希父「なんだ?じゃあ、やっぱり上手くいってなくて今は別々に」

希「違うよ。今日はあの人は実家に用事があるって帰ったの」

希父「そ、そうか…」

希「はあ…こんなくだらない事に皆んなを巻き込んで…」

希父「…」

絵里「いや、私達なら大丈夫だから…」

希「あのね、お父さん」

希父「ん?」

希「私…今、凄く幸せよ」

希父「………」

希「大丈夫だから。ね?」

希父「…そうか。嫌になったら私の元にいつでも帰って来ていいからな」

希「うん。ありがとう、お父さん」

穂乃果「まっ、一件落着かな?」

絵里「そうね」

ガラガラ

穂乃果「ただいま」

穂乃果母「あら?穂乃果?何よ。帰ってくるなら連絡くれればいいのに。お父さん明日は休みだからって飲みに出掛けちゃったわよ」

穂乃果「いいよ別に。夕飯はもう食べたし。通り掛かっただけだから直ぐに帰るし」

穂乃果母「はあ…いつからそんなに冷たい子になっちゃったのかしら。お父さん、あんたが帰ってくるの凄い楽しみにしてるんだからね」

穂乃果「え?そうなの?」

穂乃果母「そりゃあそうよ。いつも、次穂乃果はいつ帰って来るんだってしょっちゅう言ってるんだから」

穂乃果「へ~そうなの?」

穂乃果母「そうなの」

穂乃果「ふ~ん。もしさ、私が結婚するとか言い出したら…お父さん寂しがるかな?」

穂乃果母「…何?あんた、相手いるの?」

穂乃果「違うよ。もしもの話し」

穂乃果母「あんたが幸せになるなら嬉しいかもしれないけど…寂しがるでしょうね。まあ、何にせよ、あんたの結婚相手は大変だわ。雪穂の時もそうだったけど」

穂乃果「ふ~ん。まあ、そんなもんか」

穂乃果母「そんなもんよ。で?実際の所どうなのよ?」

穂乃果「何もなくて嫌になるよ」

二月某日。

穂乃果「ん~」

絵里「な~にそわそわしてるのよ」

穂乃果「だってさぁ」

梨子「ふふっ。落ち着かないですよね」

穂乃果「落ち着かないよ。だって、うちのクラスだけでも…結構いるでしょ?今日発表の子…」

梨子「支倉さんも今日なんでしたっけ?」

穂乃果「うん。第一志望が今日で…第二志望が来週って言ってたね」

梨子「受かってると良いですね」

絵里「そうね」

プルルル

穂乃果「あっ、電話!」

ガチャ

梨子「もしもし、音ノ木坂学院です」

穂乃果「誰かな?」

絵里「さあ?」

梨子「…そうですか。はい、はい。ちょっと…はい」

穂乃果「ん?どうしたんだろう?」

梨子「あの~どなたか出前頼みました?天せいろが作れないから普通のせいろ蕎麦で良いかって」

同僚教師「あっ、大丈夫ですよ」

梨子「もしもし~、はい。普通のせいろ蕎麦で。はい、よろしくお願いします」

ガチャ

梨子「お昼に届きますって」

穂乃果「ま、紛らわしいなぁ…」

プルルルル

絵里「立て続けね」

穂乃果「せいろ蕎麦も作れなかったのかな?」

ガチャ

梨子「もしもし?…うん。うん。本当?おめでとう。一度学校に帰ってくるのよね?」

穂乃果「え?生徒?生徒から?」

絵里「この様子だと受かったみたいね」

梨子「じゃあ、切るわよ。うん、学校でね」

ガチャ

梨子「鬼崎さん、専門学校合格したみたいです」

穂乃果「本当!絵里ちゃ~ん!」

絵里「穂乃果ぁ」


梨子「良かったですね。鬼崎さん」

穂乃果「うん。大好きなバイクの勉強が出来るんだね」

絵里「そうね」

プルルルル

梨子「はい。あっ、山口さん!うん…」

穂乃果「山口さんだって!」

絵里「山口さんの第一志望は国立の筈だから…今日は第二志望の発表かしら」

梨子「本当?それじゃあ、一安心ね」

穂乃果「おおっ!山口さんも受かったみたい!」

絵里「今年は順調ね」

穂乃果「電話…来ないね」

梨子「そうですね」

穂乃果「結局…うちのクラスは16人中12にが合格。3人が不合格。そして、支倉さんから連絡が来ない」

絵里「もう、とっくに帰って来てもいい時間なのに…夕方よ?まさか…ショックで帰って来れないとか…」

穂乃果「ちょっと…変な事言わないでよ」

絵里「ごめん」

ガラガラ

志賀「先生ぇ!先輩の結果は?」

絵里「コラ!ノックもしないでいきなり入って来ないの」

志賀「だってぇ」

白木「すいません。とても気になっちゃって」

絵里「まだ、支倉さんから連絡がないのよ」

志賀「え?だって、もう夕方だよ?まさか…ダメで帰って来づらいとか…。こないだ先輩派手に転んでたもんなぁ」

支倉「縁起でもない事言わないでよね」

志賀「だってよぉ…ん?あっ!?先輩!」

穂乃果「支倉さん!」

絵里「遅かったじゃない。どうだったの?」

支倉「あはは…実は携帯の充電が切れてしまいまして」

絵里「そうなの。で?なんで遅かったの?」

支倉「まあ…その…色々と…」

穂乃果「え?何?結局どうなの?」

志賀「そうだよ、先輩。どうだったんだよ」

支倉「駄目でした」

穂乃果「え?…そう…か…」

志賀「先輩…あの…どんまい」

白木「あの…先輩頑張りましたよ。うん。数学が絶望的だったのに…」

支倉「いや、うん。まあ、でも…第三志望の違う学部は受かったから」

穂乃果「第三志望は受かったの?」

支倉「はい!取り敢えず…浪人は免れたかなって感じ?まあ、悔しいですけどね…」

穂乃果「ふう。取り敢えず…私立は全員結果が出て一安心って所だね」

梨子「そうですね。支倉さんも第二志望が受かったし」

絵里「今日はとことん飲みましょう。うん、そうしましょう」

穂乃果「うん。そうだね。節度を持って飲もう!」

絵里「そうね」

穂乃果「じゃあ、取り敢えず。乾杯!」

穂乃果「後は…生徒を送り出すだけかな…」

梨子「そうですね。私達の仕事も後少し。ちょっぴり寂しいかな」

絵里「来年度も仕事は続くんだからね。で、どうだった、この一年は?」

穂乃果「どうだったかなぁ…。私は教師として生徒達をちゃんと導く事が出来たのかなって。10年前の私が今の私を見てなんて言うかなぁ」

絵里「さあ…なんて言うかな」

穂乃果「…」

梨子「…」

絵里「穂乃果…梨子」

穂乃果「ん?」

梨子「何ですか?」

絵里「ずっと…いつの日も今の気持ちを忘れないでね」

穂乃果「え?…うん…ぷっ。あはは。絵里ちゃん急に先輩ぶってかっこつけちゃって~」

絵里「な、何よ?穂乃果が先にシリアスな空気作ったんじゃない」

穂乃果「え~そうだっけ?どさくさに紛れて梨子ちゃんの事名前で呼んだし」

絵里「なっ、別に良いじゃない。プライベートなんだから。ねえ?」

梨子「はい。嬉しいです」


穂乃果「ふぅ。結局、絵里ちゃん飲み過ぎるし。明日休みだから良いけどさ」

ワイワイ ガヤガヤ

穂乃果「絵里ちゃん無事に家に着いたかな?着いたら連絡するって言ってたけど」

ワイワイ ガヤガヤ

ドスッ

穂乃果「痛っ、おっと…わぁ」

ポロッ

「あの…スマホ落としましたよ」

穂乃果「あっ、ありがとうございます」

「いえ…あっ!?」

穂乃果「え?あれ?どこかでお会いしましたっけ?」

「あっ、いえ。すいません。はい、スマホ」

穂乃果「あっ、どうも。ありがとうございます」

千歌「ふふっ、こちらこそ。ありがとうございました」

穂乃果「え?」

千歌「やっと言えた。それでは」

穂乃果「あっ、はい。本当、ありがとう…ございました」

ワイワイ ガヤガヤ

穂乃果「何だったんだろ?」

ゴーン ゴーン

穂乃果「あっ、海未ちゃん!ことりちゃん!」

海未「穂乃果!」

ことり「皆んなはもう来てるの?」

穂乃果「うん。来てるよ」

カシャ

海未「へ?な、何んですか?」

亜里沙「激レアスリーショット頂きです」

海未「亜里沙!」

穂乃果「カメラ持って来たんだね」

亜里沙「うん。流石に挙式中は控えますけどね。皆さんお揃いではないんですか?うちのお姉と真姫さんは受付をやってましたけど」

穂乃果「さあ?」

凛「あっ!穂乃果ちゃ~ん」

花陽「凛ちゃん待って~」

穂乃果「噂をすればってやつ?」

ことり「だね」


亜里沙「それにしてもいよいよ希さんも結婚ですか」

凛「プリンセスの日だもんね。ウエディングドレス楽しみだな」

花陽「そうだね。きっと綺麗だろうなぁ」

ことり「うん」

亜里沙「お姉ちゃんなんか昨日から緊張しまくりで」

穂乃果「そうなの?受付で会った時には平気そうだったけど」

海未「絵里の事ですからそう振る舞ってるだけですよ」

ことり「と言いつつ海未ちゃんもさっきまで緊張してたよね」

穂乃果「容易に想像できるなぁ。その光景が」



司会「それでは、新婦入場です」

ジャーンジャーンジャジャーン

ガチャ

希「…」

希父「…」

凛「希ちゃん出て来た!」

花陽「綺麗…」

ことり「本物のお姫様みたい…」

真姫「そうね」

希「…」スタスタ

希父「… 」スタスタ

穂乃果「希ちゃん、おめでとう」

海未「綺麗ですよ。希!」

希「皆んな…」

絵里「希…おめでとう」

希「えりち…うん。ありがとう」

神父「それでは…誓いのキスを」

穂乃果「キャー誓いのキスだってぇ」

花陽「わぁ~」

凛「見てるこっちもドキドキしちゃうにゃ~」

ことり「はぁ~。希ちゃん…可愛ぃ」

海未「なんだか…文化祭の劇を思い出しますね」

絵里「あ~…あったわね。そんな事。ロミオとジュリエットね」

真姫「希がジュリエットをやったのよね」

絵里「あの時は邪魔が入ったのよね~。海未?」

海未「そ、そうでしたっけ?」

チュッ

希「ふふっ」

ことり「きゃ~、素敵ぃ」

海未「本当…好きですね、ことり」



穂乃果「さっ、挙式も終わったし外に出るって」

絵里「ええ」

希「えりち」コソコソ

絵里「ん?希?何よ?行かなくていいの?」

希「ブーケ。えりちの方に投げるからね」

絵里「希…」

穂乃果「良かったね、絵里ちゃん」

凛「もしかしたら、今日素敵な出会いがあるかもしれないね」

絵里「そんな…別に…そうね」

希「ふふっ、じゃあ、えりち。ちゃんと受け取ってな」

絵里「うん」

司会「それではブーケを投げて下さい」

希「はい」

希(えりち。受け取ってな)

ヒョイ

穂乃果「おおっ!こっちの方に飛んで来た!」

海未「絵里チャンスですよ」

絵里「はあっ!」ガシッ

希「ナイスえりち!」

絵里「おっと…あら…」ポロ

凛「あっ、危ないにゃ」ガシッ

絵里「え?」

希「え?」

花陽「凛ちゃん…」

スタッフ「おめでとうございます。それでは前にお進み下さい」

凛「あれ?ごめん…絵里ちゃん」

絵里「うん。だ、大丈夫…よ?」

スタッフ「それではお名前を聞いてもよろしいですか?」

凛「えっと…星空凛です」

スタッフ「あの、日本代表の星空凛さんです」

ワー ワー

穂乃果「流石、凛ちゃん。有名人…」

ことり「絵里ちゃん…大丈夫?」

絵里「え、ええ…別に気にしてないわ」

スタッフ「それでは…一言頂けますか?」

凛「え、え~…○○さん。希ちゃん結婚おめでとうございます。えっと…あの…ブーケを取れて嬉しいです。えっと…私も早く希ちゃんに続け様に…えっと…彼氏と…あっ…え~頑張ります」

スタッフ「それでは新郎新婦と記念のお写真を」

希「凛ちゃん…」

凛「あっ、希ちゃん。ごめんね?凛が…」

希「いや…そうじゃなくて…」

絵里「え?何?あの子、今なんか口を滑らしてなかった?」

穂乃果「凛ちゃん彼氏いるの?今そう言ったよね?」

海未「確かに…言ってましたね」

亜里沙「これはいいスクープが手に入りましたね」

絵里「やめときなさいよ」

亜里沙「分かってるよ。そっち関係は担当外だから」

ことり「じゃあ、次は凛ちゃんの番かもだね!」

海未「そうですね」

真姫「…」

花陽「ま、真姫ちゃん?」

真姫「花陽は知ってたの?」

花陽「ま、まあ…」

真姫「そうなんだ…私は知らなかったわ」

花陽「いや…真姫ちゃんいつも忙しくて…前に真姫ちゃんが急に来れなくなった時に私も聞いたんだけど…」

真姫「うん、気にしてないから。それに、相談されても…私は答えられないし…」

穂乃果「うわっ、すっごい気にしてる!?」





男「であるからして~結婚には三つの」

凛「今時三つの袋をスピーチで言う人っているんだね」

海未「そうですね」

真姫「…」

穂乃果「真姫ちゃんは凛ちゃんに恋人がいる事にショックを受けてるの?それとも知らなかった事にショックを受けてるの?」

真姫「だから、ショックは受けてない」

絵里「真姫…。頑張りましょう!」

真姫「何がっ!?」

梨子「ふふっ。希さん。綺麗ね」

ルビィ「そうだね。まさか、μ’sの希さんの結婚式に出席する事になるなんて…嬉しいね」

梨子「理亞ちゃんとか花丸ちゃんは羨ましいがるんじゃない?ダイヤさんもか」

ルビィ「そうかも」

梨子「ふふっ」

ルビィ「どうしたの?」

梨子「最近、ルビィちゃん笑顔が増えて良かったと思って」

ルビィ「え?…穂乃果さんや希さんのお陰かな…」

司会「それでは、ここで新婦の希様へお祝いのスピーチを。御友人を代表して絢瀬絵里様。お願いします」

絵里「え?もう?」ガタッ

穂乃果「頑張れ、絵里ちゃん」

凛「まだ、泣くのは早いよ!」

絵里「わ、分かってるわよ」

希「えりち…」

絵里「○○さん、希さん。本日はご結婚おめでとうございます。
ご両家並びにご親族の皆様方にも、心よりお祝い申し上げます。
ただいまご紹介に預かりました、新婦の希さんの親友の絢瀬絵里と申します。
希とは高校一年生からの付き合いで…」

絵里「絢瀬絵里です。よろしく」


希「あの…」

絵里「あなたは?」

希「私は…。ウチ、東條希」

絵里「…希は私にとって…いつも…楽しい時はもちろん…何をやっても上手く行かない時も…私が今酷く落ち込んでいる時も…まだまだ大丈夫だよって隣に寄り添って一緒に歩いてくれて…そんな、希に私は何度も救われました」

希「えりち…」

絵里「私の青春時代を思い返すと…いつもそこには希がいてくれて…」

絵里「さあ、希。今日中に終わらせるわよ」

希「え~こんなに仕事溜まってるやん」

絵里「そうよ」

希「明日にしようよ」

絵里「ダメよ」

ガラガラ

にこ「希、絵里。まだ、終わらないわけ」

希「おっ、援軍が来たよ!えりち」

絵里「あら、本当。さあ、にこ。早く終わらせるわよ」

にこ「はあ?何で私が…」

希「だってなあ?」

絵里「だってねぇ?」

にこ「だって何よ」

希「ふふっ。あはは」

絵里「そうよね。あはは。あはははは」

にこ「は?え?何?」

絵里「本当に色んな事があって…。グスッ…すいません。これ以上思い出すと…泣いちゃいそうで。えっと…そんな、希が結婚する事が心の底から嬉しいです。なので、私達のやり方で○○さんと希を祝福したいと思います」

希「私達?」

ジャーンジャーンジャーンジャーン

真姫「ふふっ」

希「真姫ちゃん?」

穂乃果、海未、ことり「愛してるばんざーい。ここで良かった~」

希「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん…」

花陽、凛「私達の今がここにある~」

希「凛ちゃん、花陽ちゃん…」

5人「大好きだばんざーい。始まったばかり。明日もよろしく。まだ、ゴールじゃない」

希「グスッ…皆んな…もう、化粧が崩れてしまうやん」

絵里「さあ、愛してるばんざーい。ここで良かった」

ガチャ

希「え?」

にこ「私達の今がここにある~」

絵里、にこ「大好きだばんざーい。始まったばかり~。明日もよろしくね。まだ、ゴールじゃない」

希「にこっち…どうして…だって…」

9人「ラ~ラ~ラ、ラララララ~ラ~。ラララ、ラララ、ラララララララ~ラ」

絵里「ごめんなさい、希。黙ってて。驚かせ様と思って」

にこ「久しぶりね、希」

希「バカ。久しぶりなんてもんやないやろ。もう…」

にこ「そう…かしら。まあ、希。結婚おめでとう」

希「うん、ありがとう」

穂乃果「やっと揃ったね。9人」

真姫「うん、そうね」

亜里沙「よ~し。今年は二度目の大役ですね、私」

にこ「ちょっと押さないでくれない」

真姫「仕方ないでしょ。何よ。久しぶりに顔を出したと思ったら」

花陽「け、喧嘩しないで。二人とも」

ことり「久しぶりだね~二人のやり取り」

海未「そうですね。高校時代に戻った様ですね」

穂乃果「あっ、じゃあ私、久しぶりに髪の毛結っちゃおうかなぁ」

凛「じゃあ、凛もそうしようかな!」

希「ふふっ。皆んな変わらないなぁ」

絵里「そうね。皆んな大人になったけど9人揃うと昔みたいになっちゃうのよね」

亜里沙「雪穂、もうちょっと屈んで?ルビィちゃんが写らない。真姫さんとにこさんはもうちょっとくっついて下さい。いいですか?取りますよ?笑って下さい」

カシャ

キーンコーンカーンコーン

志賀「はあ。暇だなぁ。せっかくラブライブに優勝して部室も手に入れたってのに。先輩は今日は来ないって言うし。二人じゃ持て余すなこの部室。」

白木「そうですね。練習しましょうか?」

志賀「二人で?」

白木「そうですよ。来年度はラブライブ連覇を目指して。燃え尽き症候群なんて起こしてる場合じゃないですよ」

志賀「そうだなぁ。やるかぁ…」

コンコン

白木「ん?誰だろ?は~い」

ガチャ

杉崎「あのぉ…」

白木「あら?生徒会長!?」

杉崎「絢瀬先生来てる?」

白木「今日はまだ。来てないですけど」

杉崎「あっ、そうなんだ。高坂先生も?」

志賀「高坂先生もまだ来てねぇよ。何?何か用事?」

杉崎「来ていないならいいの。ごめんね」

志賀「待てよ、杉崎。用事があるんだろ?ここで待ってろよ」

杉崎「え?い、いいの?」

志賀「別に構わねぇよ」

杉崎「じゃあ…お邪魔します」

志賀「おう」

白木「ん?」

志賀「…」

杉崎「…」

白木「あの…お二人は知り合いなんですか?」

志賀「まあな。中学が一緒なんだよ」

白木「そうだったんですね」

志賀「まあな」

白木「えっと…」

志賀「中学の時周りから避けられてたからな。私は」

白木「あ~…なるほど」

志賀「何がなるほどなんだよ!」

杉崎「志賀さん…変わったね」

志賀「は?別に変わってねぇよ。何も」

杉崎「ううん。変わったよ。ラブライブも優勝して…アイドル部の部長にもなって。凄いよ」

志賀「ふ~ん。お前は何も変わらないな、杉崎」

白木「ちょっ、仁美先輩?」

志賀「いつも、周りを気にしてびくびくと自信がなさそうで。生徒会長なんかやってるからてっきり変わったのかと思ったら。なんだよ…昔のままじゃねぇか」

白木「先輩?二人の関係はよく知りませんけど…言い過ぎじゃ」

杉崎「大丈夫。本当の事だから…」

白木「…?」

杉崎「生徒会長に立候補して…私も変われるかなって思ったんだけど。ダメだった…。私はずっと私のままだった…」

志賀「で?先生達に何の用事なんだよ?」

杉崎「あっ、うん。大した事じゃないんだ。卒業式の送辞の事で担任の先生に相談したら絢瀬先生と高坂先生に聞いてみたらって言われて」

白木「絢瀬先生と高坂先生にですか?何でだろう」

杉崎「私も理由は知らないんだけど」

志賀「それで、うちの部室に来たって訳か」

杉崎「うん」

志賀「くだらねぇ。送辞くらい自分で考えろよ」

杉崎「そうだよね。ごめんね。私…帰るね」

ガチャ

白木「え?ちょっ…先輩?」

志賀「いいんだよ。放っておけ」

白木「は、はい」

志賀「ああっ、くそ。ムシャクシャする。私も今日は帰る」

白木「え?」

ガチャ

穂乃果「で、結局四次回までやったんだから」

梨子「元気ですね。絢瀬先生も」

穂乃果「でしょ?ん、あれ?志賀さん?どうしたの?」

志賀「帰るんだよ」

穂乃果「え?」


梨子「で?何があったの?」

穂乃果「まさか、喧嘩したの?」

白木「いえ…私は何も」

梨子「じゃあ、どうして?」

白木「実はかくかくしかじかで」

穂乃果「なるほど。杉崎さんとねぇ」

白木「はい。なんか…険悪って言うか…仁美先輩が一方的に嫌悪してる様な感じで。生徒会長も凄い遠慮してる風でしたし」

梨子「中学時代に何かあったのかしら?」

白木「多分…そんな感じでした」

穂乃果「ん~なんだろ。杉崎って…私はあんまり知らないんだけど」

梨子「大人しい感じの子ですよ。生徒会の仕事も真面目に取り組んでいますし。ただ…」

穂乃果「ただ?」

梨子「ちょっと、気が弱くて自分の意見を中々言えない所があるなぁって」

白木「ああ…そう言えば、自分を変えたくて生徒会長に立候補したって言ってました」

穂乃果「自分を変えたくてか…」

コンコン

杉崎「はい」

穂乃果「やっ!」

杉崎「高坂先生」

穂乃果「なんか私に用事があったんでしょ?」

杉崎「ああ…それでしたら、もういいんです。すいません、わざわざ来て頂いたのに…」

穂乃果「まあまあ、そう言わずに。話してご覧よ」

杉崎「卒業式の送辞のアドバイスを頂きたくて」

穂乃果「あ~、なるほどね。私も絢瀬先生も元生徒会長だったからかな?山田先生でしょ?言ったの」

杉崎「はい」

穂乃果「やっぱりね」

杉崎「…」

穂乃果「で?」

杉崎「え?」

穂乃果「志賀さんとは何があったのさ?」

杉崎「それは…」

穂乃果「言ってご覧よ。もしかしたら、力になれるかもしれないじゃん。言いたくないなら無理にとは言わないけどさ」

杉崎「どうしてですか?」

穂乃果「ん?」

杉崎「どうして…先生は私なんかに…」

穂乃果「先生だからね。生徒が悩んでたらトコトン付き合うよ」

杉崎「私も高坂先生みたいだったら…」

穂乃果「どう言う事?」

杉崎「私と志賀さん。幼馴染なんです」

穂乃果「え?そうなの?」

杉崎「はい。幼稚園の頃から一緒でクラスも同じになる事が多かったので仲も良かったんです。けど…」

穂乃果「けど?」

杉崎「中学の時…」

志賀「おいっ!亜矢!あれ持って来た?」

亜矢「え?あっ、あの…。ごめんね。忘れちゃって」

志賀「え?忘れてたなの?何やってんだよ、バカ」

亜矢「ごめん、仁美ちゃん」

志賀「もう、いいよ。私、先に行ってるからな」

亜矢「ごめんね。仁美ちゃん」


クラスメイト「ねえ、亜矢ちゃん。今、志賀さんに嫌な事言われてなかった?」

杉崎「え?」

クラスメイト「なんかさ、志賀さんって酷くない?言葉遣いも乱暴だし」

クラスメイト「あっ、それ。私も思った。怖いよね~」

クラスメイト「ね~、クラスメイトに不良がいると迷惑だよね?」

杉崎「そ…」

クラスメイト「え?何?」

志賀「あ~、やべぇ、やべぇ。忘れ物しちまった。こりゃ、亜矢の事言えないな~」

クラスメイト「亜矢ちゃんも迷惑だよね?あんな人がクラスに居ると」

杉崎「…」

ガタッ

杉崎「え?」

クラスメイト「あっ、違うの。その…」

志賀「そうかよ…そんな風に思ってたんかよ」

杉崎「仁美ちゃん…」

志賀「悪かったな、迷惑かけて」

ガチャン

杉崎「仁美ちゃん…」

穂乃果「そっか。タイミングが悪かったんだね」

杉崎「違うんです。私がいけないんです。あの時…私が…」

穂乃果「まあ、たらればを言い出したらキリがないよ」

杉崎「でも…今日も勇気を出してみたんです。いいキッカケだと思って。でも、ダメでした。きっと、許してくれまぜ。私はそれだけ酷い事をしたんです。」

穂乃果「あのさぁ…」

杉崎「え?」

穂乃果「さっきから、誰に言い訳してんの?」

杉崎「先生?」

穂乃果「話せって言ったのは私だけどさ。言い訳して自分に言い聞かせて。こんな自分だから許して貰えなくても仕方ないって思いたいんじゃないの?このまま、やり過ごす方が楽だもんね。これ以上傷付かなくてすむしね」

杉崎「そんな…」

穂乃果「ん?何?言いたい事があるならハッキリ言いなよ」

杉崎「そんな事ある訳ないじゃないですか」

穂乃果「そんな事あるから何も行動しないんじゃないの?」

杉崎「だから、今日勇気を出して会いに行ったって言ったでしょう」

穂乃果「で?何もせずに帰って来たんでしょ?自分の気持ちを伝えたの?志賀さんの気持ちを聞いたの?」

杉崎「それは…」

穂乃果「ほら、そんなの何もしてないのと一緒じゃん。結局、杉崎さんはさ、これ以上傷付きたくないだけなんだよ」

杉崎「そんな訳ないでしょ。大好きな幼馴染と疎遠になって。このままで良いなんて思ってる訳ないじゃないですか。ただ、どうしていいか分からないから」

穂乃果「自分に言い訳する暇があるんなら、その気持ちを志賀さんにぶつければいいだろ!」

杉崎「…」

穂乃果「思ってる事があるんなら伝えた方がいいよ」

杉崎「高坂先生…怒ってたな。当たり前だよね。こんなウジウジした子なんて…」

コンコン

杉崎「…はい?」

ガチャ

志賀「…」

杉崎「え?ひ…志賀…さん。どうして…」

志賀「高坂先生に呼び戻されたんだよ。校外に居たのによ」

杉崎「高坂先生が?」

志賀「送辞…書くんだろ?」

杉崎「…うん」

志賀「先生達は新学期の準備とかで忙しいから変わりに手伝ってやってくれって言うからよ」

杉崎「そうなんだ」

志賀「…」

杉崎「…」

志賀「やるんだろ?早くしてくれない?」

杉崎「ごめん」

志賀「…」

杉崎「…」

志賀「あのさぁ、黙ってたら何にも始まらないんだけど。どう言う風に進めていくんだよ」

杉崎「…」

志賀「はあ…もういい。喋りたくねぇんなら」

杉崎「違うの」

志賀「は?」

杉崎「私は…あの時の事を…謝りたくて」

志賀「…」

杉崎「あの時…私に勇気があれば。勇気を出して否定していれば志賀さんは傷付かずに…」

志賀「あのさぁ、私が陰口を言われて怒ってると思ってんの?」

杉崎「え?だって…志賀さんは…」

志賀「それだよ」

杉崎「え?」

志賀「なんだよ、志賀さんって」

杉崎「だって…」

志賀「お前なんかに庇って貰わなくたってなんて事ないんだよ。私が気に入らねえのはな、お前が勝手に距離を置いた事なんだよ」

杉崎「だって…あんな事しといて…私は…友達だなんて…胸を張って…」

志賀「お前の都合なんかしらねぇんだよ。大好きな幼馴染に距離を置かれる事がどれだけ悲しい事だと思ってるんだよ」

杉崎「仁美ちゃん…」

志賀「ったく。お前が優しい奴だって事は…誰より分かってるつもりだったんだ。あの時の事だってちゃんと分かってたよ」

杉崎「仁美ちゃん…あの…」

志賀「何だよ?」

杉崎「やり直したい。私…仁美ちゃんともう一度…もう一度…友達に…」

志賀「あのさぁ、何言ってんの?」

杉崎「……やっぱり、今更だよね」

志賀「何度も言ったじゃねぇか。距離を置いてたのはそっちだろ?私は…まあ、私の方も意固地になってたけど…私は…いつでも…ほら?なんだ?これ以上言わせんなよ」

杉崎「仁美ちゃん…じゃあ…」

志賀「あれから…随分と時間が経っちまったな」

杉崎「うん」

志賀「まあ、なんだ。これから、取り戻そうぜ。亜矢」

杉崎「仁美ちゃん…うぅ…うぁぁぁぁぁん」

志賀「なんだよ。泣き虫は治ってないのな」

梨子「良かったですね。仲直りが出来て」

白木「ちょっと、嫉妬ですけどね」

絵里「随分と荒療治をしたらしいじゃない?高坂先生?」

穂乃果「荒療治ってのは大袈裟だよ。ただ、幼馴染と仲悪くなっちゃうのは寂しいなって思っただけ」


志賀「ほら、早く考えちまおうぜ。終わったら…ラーメンでも食べに行こうぜ」

杉崎「うん」


穂乃果「ほんと、良かったよ」

白木「ですね」

あおーげーばー とーおーとしー

理事長「皆さん。卒業おめでとうございます」

わがーしのーおんー

杉崎「風薫る3月。希望胸を膨らませて…」

おしーえのにわーにも

絵里「卒業生、起立」

はやーいくーとせー

穂乃果「…」

絵里「え~、今日で皆さんがこの教室に来るのは最後になりますね。思えば…皆さんは私が初めて担任を持った学年で…その分…その分…思入れが…強くて」

生徒「絵里ちゃん…泣かないで…」

生徒「うぅ…グスッ」

絵里「ごめんなさい。もう、大丈夫。色々な事があったけど、あなた達のお陰で私は教師と言う職業に就いて良かったって心から思えました。だから、皆んな…ありがとう。そして、卒業おめでとう。どうか、これから、一生をかけて幸せになって下さい」

生徒「絵里ちゃ~ん。うわぁぁぁん」

生徒「グスッ…うぁぁぁぁぁん」

支倉「ほら、お食べ~」

アルパカ「め~」

支倉「ふふっ。美味しい?」

志賀「あっ、居た!」

白木「先輩~」

支倉「あっ、仁美ちゃん、凪ちゃん」

志賀「こんな所で何してるんだよ」

白木「そう言えば、うちの高校ってアルパカを飼ってたんですよね?それも、三匹も…」

支倉「そうなんだよ。こうして、たまに餌をあげてたんだよ?私は」

志賀「へ~知らなかったなぁ。先輩そんな事してたの?」

支倉「まあね。二人が入部する前の話だけど」

志賀「先輩…どうすんの?」

支倉「え?何が?」

志賀「これからさ」

支倉「進学だよ?大学受かったって言ったじゃん」

志賀「いや、そうじゃなくて」

白木「校舎を見て回ったりしないんですか?」

支倉「ん~どうしようかなぁ」

白木「え?どうして?」

支倉「だって…どこに行っても思い出の面影があって。せっかく泣かない様にしてたのに泣いちゃうかもしれないじゃん」

志賀「いいじゃねぇか、今日くらい泣いたって。涙は別に悲しいもんじゃないんだぜ」

白木「そうですよ。どんな思い出もいつか懐かしくなる時が来るものですよ。あの時見ておけば良かったって」

支倉「そっか。じゃあ、見ておこうかな」

支倉「やっぱり、私達の思い出と言えばここだよね。いつもここで練習したもんね。部室もないから着替えるのもここだったし」

志賀「裏庭かぁ。最初は私だけのサボり場所だったんだけどなぁ」

支倉「そうなの?サボってたの?」

志賀「え?あっ、知らなかったんだっけ?」

支倉「知らなかったよ」

白木「まあ、別に驚きはしませんけどね」

志賀「どう言うことだよ」

支倉「音楽室~。第二の練習場所だね。いやぁ、このピアノには本当にお世話になったよ」

志賀「よくここで唸ってたもんな。作曲上手くいかなくて」

支倉「そうだよ。凄い苦労したんだから」

梨子「最初は全く出来なかったものね」

支倉「桜内先生」

梨子「早いものねぇ。作曲の仕方を教えてくれって頼まれたのが一年前。まさか、私が再びスクールアイドルに携わるとは思わなかったわ」

支倉「そうなんですか?」

梨子「そうよ。支倉さんのお陰ね。ありがとう」

支倉「そんな…お礼を言いたいのは寧ろこっちの方で。所で高坂先生と絢瀬先生は一緒じゃないんですか?」

梨子「絢瀬先生は泣き止むまでちょっと引っ込んでるって」

支倉「結局、号泣してましてもんね。絢瀬先生」

白木「高坂先生は?」

梨子「どこに行ったのかしら?」

梨子「悔しさを紛らわせるために着衣水泳しに行ったらしいよ」

その頃穂乃果は近くの池で、着衣のまま水遊びしていた。

>>187訂正

支倉「悔しさを紛らわせるために着衣水泳しに行ったらしいよ」

その頃穂乃果は近くの池で、着衣のまま水遊びしていた。

ガチャ

支倉「部室にも居ませんねぇ」

志賀「どこ行っちまったんだろうなぁ」

絵里「誰を探してるの?」

白木「絢瀬先生!?」

支倉「探してたんですよ。絢瀬先生」

絵里「私を?」

支倉「あと、高坂先生を」

絵里「高坂先生は…どこに行ったのかしら?」

支倉「やはり、行方不明ですか」

絵里「すぐどこか行くんだもの、あの子」

支倉「まあ、いいや。絢瀬先生」

絵里「ん?何?改まって」

支倉「絢瀬先生が居てくれたから私はアイドル研究部を続ける事が出来ていました。先生が顧問を引き受けてくれたから。せ先生、ありがとうございました」

絵里「もう…何よ。最近、涙腺緩いんだから…やめてよね」

支倉「後は高坂先生だけなんだけど…」

志賀「どうする?探す?」

白木「でも、すれ違いになっちゃいませんかね?」

志賀「あ~、ありえる」

梨子「ここで待ってれば来るんじゃないかしら?」

絵里「そうね。それがいいわ」

支倉「さて…」

志賀「どこにいくの?先輩」

支倉「高坂先生来ないし。トイレに行こうかと」

支倉「そういえば高坂先生確か、近くの池にいるらしいです」

志賀「どうする?行ってみる?」

白木「もうずぶ濡れになっていませんかね?」

支倉「う~高坂先生どこに行っちゃったのかなぁ」スタスタ

穂乃果「…」

支倉「あっ!」

穂乃果「おっ!支倉さん」

支倉「やっと見つけた」

穂乃果「ん?もしかして、探してた?」

支倉「はい。そりゃあ、もう」

穂乃果「そっか」

支倉「はい」

支倉「もうーこんなずぶ濡れになってー、一体何しでかしてるんですか?」

穂乃果「>>194

えへへへへ・・・・・

支倉「高坂先生」

穂乃果「ん?」

支倉「私…教師を目指します」

穂乃果「…」

支倉「高坂先生の様な教師に」

穂乃果「うん」

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