客「ライザップ全然効果ねぇじゃねェか!!!」トレーナー「申し訳ありません!」 (21)


客「ったく、ふざけんなってんだよ!」

トレーナー「…………」

客「こっちは一ヶ月、あんなに頑張ったってのに……」

トレーナー「はい……」

客「ライザップ全然効果ねぇじゃねェか!!!」

トレーナー「申し訳ありません!」


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客「おたくのテレビCMあるじゃんか。芸能人のたるんだ体が引き締まるやつ」

トレーナー「ございます……」

客「あれ見て、『ライザップならオレもムキムキになれる!』と思ったわけよ。いいCMだよ、あれ」

トレーナー「ありがとうございます」

客「でも、全然ダメだったじゃねェかよ!!!」


客「この一ヶ月、あんたの言う通りにマジ頑張ったよ!」

トレーナー「はい……」

客「ダンベルにバーベル、マシントレーニングもやった! やりまくった!」

トレーナー「こなされておりました」

客「でも、なんも変わらなかったよ!!!」


客「他にも糖質制限も頑張った」

客「大好きだったご飯、パン、ケーキも全部抜いたよ」

トレーナー「おっしゃる通りです」

客「けど、全然意味なかった! 無駄に腹が減っただけだ!!!」


客「見ろ、オレの体! 一ヶ月前となんも変わってない! なーんもな!」

客「説明しろよ! なんで変わらないんだよ!」

トレーナー「あの、それは、ですね」

トレーナー「入会時にもご説明しましたが、やはりお客様の体質ではあまり効果は……」

客「体質ゥ!?」


客「なに? なんなの? 自分の無能さの責任をこっちに押し付けてくるわけ!?」

トレーナー「いえ、押し付けるというわけでは……」

客「いっとくけど、これでもオレ仲間内じゃ一番健康なわけよ。病気もしたことない」

客「なんなら、健康診断書見せてやろうか? どっこも異常ないから! どっこも!」

トレーナー「お客様が健康なのは分かります。それだけ大きな声で怒鳴れるのですから……」

客「なんだそりゃ! 皮肉か!」


客「あ、分かった!」

客「あんた、手ェ抜いたろ! 真面目にプログラム組まなかっただろ!」

トレーナー「いえ、そんなことは決して……」

客「ウソつけ! 絶対そうだ! 手を抜いたに決まってるんだ!」


客「アンタのその目! 完全にオレを見下してるもん! 軽蔑してるもん!」

トレーナー「してませんよ……」

客「いーや、してる! オレを化け物を見るような目で見やがって!」

トレーナー「…………」


客「オレは人じゃないし、この世界にはハプニングで現れたばかりでまだまだ新参者だ……」

客「だけど、それ相応の知能はあるし、今は人間と共存してる! 人間と同じなんだ!」

トレーナー「存じております」

客「だから、客がオレだからってちゃんと仕事しないのは差別なんだぞ! 許されないんだぞ!」

トレーナー「差別したつもりなど決して……」

客「じゃあなんで、全然結果にコミットしないんだよ!!!」


客「あ~……もういい!」

トレーナー「料金は全額、返金させて頂きますので……」

客「当たり前だよ! 全然効果なかったんだから!」

客「これで金までむしり取られたら、本当にしかるべき所に訴えるところだ!」

客「じゃあな!」

トレーナー「申し訳ありませんでした……」


トレーナー「ふぅ……」

同僚「隣の部屋で聞いてたけど、今の客、ものすごく怒ってたな」

トレーナー「ああ……参ったよ。まだ耳がキンキンする」

同僚「だけど、本人は頑張ったのに全然効果がなかったなら、怒るのも当然か……」

トレーナー「そういうけど、あの客をムキムキにするなんて無理だよ……」

トレーナー「なにしろ、異世界からやってきたとかいうお客でさ……」

同僚「おいおい、それをどうにかするのがオレたちの仕事だろうが?」

トレーナー「だって、今の客……」


トレーナー「スライムなんだもん……」










おわり

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