勉三さん「キテレツくん!ワスの残像になんてことするダスか!?」 (49)

コロ助「あ、勉三さんナリ」

キテレツ「おーい、勉三さーーん!!」

勉三さん「おっとキテレツくん、そっちは残像ダスよ」

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キテレツ「ええ!?」

コロ助「どこにいるナリかー?」

勉三さん「こっちダス」

スウウウゥゥゥゥ……

キテレツ「べ、勉三さん!?」

コロ助「不思議ナリィ…」

勉三さん「いやぁ、実は今まで隠してたんスけど、分身を出せるようになったんスよ」

キテレツ「ぶ、分身!?」

コロ助「勉三さんすごいナリィ!」

勉三さん「長い浪人生活、何も特技を生み出さないのはむなしいと思ったのがきっかけなんスよ」

キテレツ「ど、どうやったの?」

勉三さん「いやぁ、反復横跳びを1日1000回やるようにしたんスよ。たしか三浪の頃からやり始めたッスねぇ…」

コロ助「勉三さんは六浪だから、三年間で、えっとえっと…」

勉三さん「大学に受かるまで約100万回反復横跳びをやったことになるッス」

キテレツ「継続は力なり、か…」

キテレツ「すごいなぁ。僕の研究に何か生かせるかもしれない」

勉三さん「いやぁ、それほどでもないッスよ」

キテレツ「勉三さん、もういっかい分身してくれないかな?」

勉三さん「いいッスよ」シュパパパパ

コロ助「すごいナリ!でも一体しか出せないナリね…」

勉三さん「いやあ、これがワスの限界っス…」

キテレツ「勉三さん、ちょっとこの分身貸してくれないかな?」

勉三さん「分身はデリケートなんで研究対象として使えるかどうか…」

キテレツ「少しだけだから、上手くいけば分身を増やせるかもしれない」

勉三さん「本当ッスか!?」

コロ助「キテレツ、どうするナリか?」

キテレツ「まあ一旦家に帰ろうよ」

~キテレツ宅~
コロ助「それで、どうするナリ?」

キテレツ「コロ助、分身機って覚えてるかな?」

コロ助「えーと、確かアニメ11話の…」

キテレツ「あれを使えば、自分の分身をつくることができるだろ?」

コロ助「勉三さんの努力は無駄だったナリか!?」

キテレツ「いや、あの機械には欠点があって、分身の知能、運動能力などがオリジナルの半分になっちゃうんだ」

コロ助「それは困るナリねぇ…」

キテレツ「そこで、その欠点を補うのにこの分身が使えそうなんだよ」

キテレツ「僕の予測だけど、これはおそらく分身というより残像なんだ。勉三さんもそう言ってたしね」

コロ助「どういう意味ナリか?」

キテレツ「つまり、勉三さんが瞬発的にあまりにも速く移動したがために、時空に取り残されたものがこれなんだと思う」

コロ助「さっぱりわからないナリ…」

キテレツ「でも確か勉三さんは2つ以上残像は残せないんだよな…。そこがよくわからないけど…」

コロ助「ああもう!!キテレツはいつも話が長くて武士にはさっぱりナリ!!」

キテレツ「ごめんごめん、とにかくこの機械の改良に取り組むことにするよ」

コロ助「武士は協力するナリ!」

キテレツ「えーと、この容器の中に勉三さんを入れて、っと…」

コロ助「何だか勉三さん本人を実験に利用してるみたいでかたじけないナリ」

キテレツ「その心配はいらないよ、この勉三さんは本来存在しないはずの像なんだから」

コロ助「そういうもんナリか…」

キテレツ「さあ、今日の研究は夕方までかかるぞ!!」

コロ助「せっかくの日曜日なのに、キテレツは友達と遊ぶべきナリよ…」

~三時間後~

キテレツ「ふぅ…、なんとか一段落ついたな…」

コロ助「ねえキテレツゥ、勉三さんの分身、こんなにちっちゃくなっちゃったナリ」

キテレツ「それでいいんだよ、そのほうが分身を増やす上で都合がいいんだ。あとで大きくするからさ」

コロ助「ワガハイもう疲れたナリ…」

キテレツ「僕も少し休もうかな…」


キテレツ母「英一ィ、みよちゃんから電話よ」

キテレツ「あ、しまった!!」

~みよちゃん宅前~

みよちゃん「フン!」

キテレツ「ごめんみよちゃん、うっかり約束を忘れちゃってたよ…」

みよちゃん「何時間待ってたと思ってるのよ?どうせ研究に夢中だったんでしょう?」

キテレツ「いやぁ、実はこんなのを研究してて…」

みよちゃん「なによ、こんなの大嫌い!!」

ガシャーーーン!!

コロ助「ああ、勉三さんを地面に叩きつけちゃったナリ!」

キテレツ「た、大変だ…!」

みよちゃん「さようなら、」ドアバタン

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コロ助「キテレツ、直りそうナリか?」

キテレツ「だめだ。一旦凍らせてたせいで、粉々だよ…」

コロ助「これじゃあ勉三さんに顔向けできないナリィ…」

キテレツ「とりあえず、勉三さんに起こったことを伝えに行こう…」

~勉三宅~

勉三さん「ええ、ワスの残像が!?」

キテレツ「ごめんなさい、勉三さん…」

コロ助「かたじけないナリ…」

勉三さん「あああ、大変だ…、大学の学園祭のステージ発表に出場することになってたのに…」

キテレツ「ええ!?」

勉三さん「ああぁぁぁ…、僕は一体どうすれば…」

キテレツ「ごめん勉三さん、必ず何とかするから…」

勉三さん「大丈夫ッスよ、心配かけてすまねえッスね…、大学のみんなに明日謝りに行くっスから…
あはは、アハハハハハ……」

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コロ助「勉三さん、そうとうがっくりしてたナリ…」

キテレツ「そりゃそうだよ…、何年もかけてやっと得た特技だったんだからさ」

コロ助「それよりも、出場をドタキャンしたことの迷惑を気にしてたみたいナリ…」

キテレツ「…しょうがない、僕のポリシーに反するけど、あれしかないか…」

コロ助「何か方法があるナリか!?」

キテレツ「航時機だよ」

コロ助「ああ、なるほどナリ!航時機で今日の午前中に戻るナリね?」

キテレツ「そんな細かい移動はできないよ…」

コロ助「じゃあどうするナリか?」

キテレツ「勉三さんの浪人生時代に行くんだ」

コロ助「そこで勉三さんが分身を習得するのを阻止するナリか?」

キテレツ「問題はそこなんだよ。勉三さんは分身技を得たことで、大学のステージ発表に出ることに決めたんだろ?」

コロ助「そうナリ」

キテレツ「もし分身を習得した過去を変えてしまったら、未来に大きく影響してしまう…。
それは絶対にやってはいけないことなんだ」

コロ助「じゃあどうするナリか!?」

キテレツ「浪人生時代の勉三さんに、よりハードな特訓をさせる…」

コロ助「かわいそうナリ!!」

キテレツ「しょうがないよ…。勉三さんが分身を3つ以上出せるようにすれば、ステージ発表もなんとかなる」

コロ助「でも…」

キテレツ「よし、じゃあ出発!!」

コロ助「あああ、待ってナリー」

キテレツ「三年前の表野町へ!!」

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キテレツ「………着いたよ」

コロ助「もう着いたナリか?」

キテレツ「移動する年数が少ないからね。
いいか?コロ助、この世界の人とは接触しないように。未来が変わっちゃうから」

コロ助「言われなくてもわかってるナリ!」

キテレツ「それじゃ、勉三さんのとこへ行こう」

~勉三宅(三年前)~

勉三さん(三年前)「ああああ、勉強が捗らない…。僕はなんて情けないんだ…」

キテレツ「」窓コンコン

勉三さん「ん?誰スか?」

コロ助「おじゃまするナリーー」

勉三さん「わわわ、君は一体どなたッスか?」

キテレツ「勉三さん、おじゃましまーす」

勉三さん「あれえ?キテレツくん、少し見ない間に大きくなったッスねぇ」

キテレツ「事情は後で話すからさ。勉三さん、毎日反復横跳びしてる?」

勉三さん「おや?よく知ってるッスね」

コロ助「やっぱりこの頃からやり始めたみたいナリねーー」

勉三さん「??」

キテレツ「勉三さん、実は…カクカクシカジカ」

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勉三さん「ええ!?それじゃ、君たちは未来から来たんスか?」

コロ助「そうナリー!」

勉三さん「いやあキテレツくん、あっぱれッスよ。賢いンスねえ…」

キテレツ「いやぁ…」

コロ助「学校の成績はイマイチナリねーー」

キテレツ「ム、余計なこと言うなよコロ助。」

勉三さん「きっとワスよりはできるッスよ…」

キテレツ「それでね勉三さん、今話したように勉三さんは将来分身が出せるほど成長するんだ。
だから是非今のうちにもっと訓練をして、3つ以上分身をだせるように…」

勉三さん「刈野勉三、自分の特技を伸ばすことに躊躇い無し。きっと4つ分身を作れるまで粘るッスよ」

コロ助「やったナリーーー!!」

キテレツ「ありがとう、勉三さん」

勉三さん「そして花のキャンパスライフ、きっと謳歌してみせるッスよ!!」

コロ助「武士は応援してるナリ!」

キテレツ「あ、勉三さん。特訓も大事だけど高尾大学に受かれる程度の勉強も頑張ってね。
(未来が変わっちゃうから…)」

勉三さん「なあに、分身に比べたら朝飯前ッス」

キテレツ「よし、じゃあぼくたちはもう帰ろうかな」

勉三さん「三年後にまた会おうダス!」

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~現代~
コロ助「過去の勉三さん、嬉しそうだったナリ」

キテレツ「僕もホッとしたよ。あの様子だったらきっと大丈夫さ」

ブタゴリラ「おーーーい!!キテレツーー!!!」

コロ助「あ、ブタゴリラなり」

キテレツ「トンガリもだ」

トンガリ「庭なんかで何やってるのさ?」

キテレツ「いやぁ、ちょっとね…アハハ」

コロ助「草むしりナリ」

トンガリ「この暑いのにご苦労様だねぇ…」

ブタゴリラ「おい、そんなことよりこれ見ろよキテレツ!」ペラリ

コロ助「ワガハイが読むナリ!!」パシッ

トンガリ「コロ助は漢字は無理でしょ」

コロ助「えーとえーと、」

ブタゴリラ「漢字も読めないなんて、ウチの野菜が足りてねえんじゃねえか?」

コロ助「武士は平仮名だけで十分ナリ!」

キテレツ「貸してよコロ助。えーとなになに………。ええ!?すごいや!」

コロ助「なにがすごいナリか?」

トンガリ「勉三さんが大学で有名人なのさ!」

キテレツ「奇跡の影分身、その名も勉三ショー、7月3日午後2時開催……」

コロ助「ワガハイ絶対見に行くナリーー!!」

キテレツ「成功したんだね、よかったー」

トンガリ「成功?」

ブタゴリラ「よし、んじゃあ明日みんなで行こうぜ!!みよちゃんも誘ってさ!」

キテレツ「そ、そうだね」

ブタゴリラ「そんじゃ明日12時表野駅集合な!」

トンガリ「またねー」



キテレツ「うーん、みよちゃんを誘いにいかないと…」

コロ助「はやく行くなり!ワガハイ明日が楽しみでウキウキしてるナリ」

キテレツ「まだ怒ってるだろうなあ…。」

コロ助「はやく誘いに行くナリ」

キテレツ「コロ助、行ってきてくれよ」

コロ助「ワガハイ、くよくようじうじした男は嫌いナリ!堂々としとくナリよ」

キテレツ「わ、わかったよ…」

~みよちゃん宅前~
キテレツ「うう、押すぞ、押すぞ…」

コロ助「はやくピンポン鳴らすナリ!」ドン

キテレツ「あっ」ピーンポーン


みよちゃん「あら、キテレツくんじゃない」ドアガチャ

キテレツ「あ、みよちゃん!えーと…」

みよちゃん「さっき来た時に忘れ物したの?」

コロ助「ワガハイたちがみよちゃんの家に入ったナリか?」

みよちゃん「ついさっき遊びに来たじゃないの。忘れたの?」

キテレツ「そうか!!航時機で勉三さんに会ったことで未来が変わったんだ!」

コロ助「すごいナリねー。キテレツ、よかったナリね!」

みよちゃん「??」

キテレツ「あ、それでみよちゃん。明日勉三さんが大学でステージに出るんだ
表野駅に12時集合なんだけど…」

みよちゃん「ブタゴリラくんたちも来るのね。あたしも行くわ」

コロ助「よかったナリー」

キテレツ「じゃあブタゴリラたちにも伝えとくね。それじゃまた明日ー」

~翌日 12時表野駅~

ブタゴリラ「よし、全員揃ったな!!」

みよちゃん「キテレツくんがまだよ」

トンガリ「あいついっつも一番最後だよなー」

コロ助「きっともうすぐ来るナリ…」


キテレツ「やあ、みんなごめんごめん!」

ブタゴリラ「おせーぞキテレツ!!野菜が足りてねえだろ!!!」

キテレツ「ごめんごめん」

みよちゃん「じゃあ行きましょう」

コロ助「何で遅れてきたナリか?」ヒソ

キテレツ「一応分身機も持ってきておいたんだ」

~電車~
ガトンゴトンガタンゴトン

ブタゴリラ「にしても俺、もう長いこと勉三さんに会ってねえなあ」

みよちゃん「勉三さんが大学に入って以来ほとんど会ってないんじゃないかしら」

トンガリ「東北生まれの勉三さんに、都会での生活が馴染めてるのかねえ…」

コロ助「どうなってるナリかキテレツ?」ヒソ

キテレツ「僕たちが思ってる以上に未来をいじっちゃったのかもしれない…。
こりゃあ少しマズイことになるかもしれないぞ…」

~高尾大学 学園祭~

ワイワイワイワイ

みよちゃん「すっごくいっぱいお店があるわねー」

トンガリ「僕、人混みは苦手だよ…」

ブタゴリラ「んだよ、八百屋がねーじゃねえか」

トンガリ「ブタゴリラくらいしかお客さんが来ないよ…」

ブタゴリラ「んだとう!?お前に野菜の価値がわかってたまるかってんだ!!」

トンガリ「やめてよぅー!」

みよちゃん「もう、ブタゴリラくん。大学でくらいやめときなさいよ」

コロ助「みんなー!勉三さんがいるナリ!」

キテレツ「勉三さん!!」

勉三さん「おや、キテレツくん!みんなも久しぶりッスねえ…」

コロ助「勉三さん!高尾大学に受かってよかったナリねー」

トンガリ「ぷっ、コロ助のやつ」

みよちゃん「コロちゃんったら、忘れたの?」

勉三さん「ハハハ。コロちゃんはブラックジョークが上手くなったッスねえ…」

キテレツ「ひょっとして…東大に…」

勉三さん「そのとおりッス。言わなかったッスか?」

コロ助「勉三さんすごいナリーー!!」

勉三さん「いやぁ、ありがとう。今日はみんなよく来てくれたッスね
農学部の友人が通ってる高尾大学から、ゲストとして呼ばれたんス。
東大からはるばる来たんスよ」

ブタゴリラ「楽しみにしてるぞ、勉三さん!!」

~午後1時50分~
ブタゴリラ「でっけえホールだなあ」

トンガリ「ママの友人の結婚パーティの時ほどの広さはないけどねー」

ブタゴリラ「んだと!?スイカが1000個入る程度の大きさで威張るな!!」

トンガリ「はぁ…」

コロ助「二人ともうるさいナリ。武士は周りの目が恥ずかしいナリよ」

ブタゴリラ「うっせえ、ジャガイモの目を気にして、コロッケが作れるかってんだ!」

トンガリ「目じゃなくて芽でしょ。」

みよちゃん「コロちゃんの言うとおりよ。勉三さんの演技まで静かに待ちましょうよ」

キテレツ「もうすぐ始まるみたいだよ」

司会「まもなく、舞台演技が始まります。開演後は出入りができませんので、
お手洗いに行く方はお早めに願います」


コロ助「うわあ、照明が消えたナリ」

ブタゴリラ「映画みてえだな」


司会「プログラム五番は、東京(未来)大学から特別ゲストとして招待された、
刈野勉三さんの分身演技です。」

客「ワアアアアアアアア!」

ブタゴリラ「いよいよ始まるぞ!!」

キテレツ(聞き間違えかな…)

勉三さん「いやー、どうもッス」

客「あれが刈野勉三?」ヒソヒソ
客「思ったよりも冴えない奴だなあ…」ヒソヒソ

勉三さん「え、えーと、ほ、本日はお越しいただいて…」
客「聞こえねーぞ!!!」ブーブー

トンガリ「品のない奴らだねえ…」

みよちゃん「勉三さん大丈夫かしら…」

キテレツ(もし勉三さんが分身をしくじったら、この分身機で…)


勉三さん「えーと、えーと…」
客「いいからお前はやく始めろよーーー!!!」ブーブー




勉三さん「おっと、そっちは残像ダスよ」

客「!?」

勉三さん「」シュパパパパパパ

勉三さん「さーて、ワスの時間を始めるダス」


客「おい、何だ何だ!?分身が1,2………8体!?」

ブタゴリラ「いいぞー勉三さーん!!」

みよちゃん「勉三さーん、頑張ってーーー!!」


コロ助「キテレツ、勉三さん、ワガハイたちが思ってた以上に頑張ってたみたいナリ」

キテレツ「うん、そうだね。この分身機はどうやら必要ないみたいだ」

勉三さん「秘技、多重影分身!!」シュパパパパ

客「分身が3倍に増えたぞ!?」

ブタゴリラ「すげえ!!マンガで見たやつだ!!」

キテレツ「すごいすごい」

コロ助「過去を変えといてよかったなりねー」

勉三さん「このホールをワスの吐息で埋め尽くすまで、このショーは終わらないッスよ!!」

トンガリ「なんだか気持ち悪い表現だね…」

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キテレツ「いやー、勉三さん、すごい演技だったよ」

勉三さん「ありがとうダス…」

みよちゃん「ホールの半分が勉三さんになった時はびっくりしちゃった」

トンガリ「というよりショックだったよ」

ブタゴリラ「タダで見せてくれたお礼に、今度八百八に来たときは安く売るよ、勉三さん」

勉三さん「ハアハア、み、みんな、ありがとうダス…」

コロ助「勉三さん、顔色悪いナリよ?」

勉三さん「ううぅ……」バタン

キテレツ「勉三さん!!」

みよちゃん「大変!!」

キテレツ「す、すぐに救急車を!!」

勉三さん「無駄ッス、ハアハア、ワスはもう助からないッス…」

キテレツ「そ、そんな…」

勉三さん「ワ、ワスは、六浪もして、偏差値35の大学にしか入れない、どうしようもねえクズっす…ハアハア…
生きていても仕方ないんスよ…」

みよちゃん「そんな!」

コロ助「違うナリ!!勉三さんはとってもいい人ナリ!!クズなんかじゃないナリ!!」

トンガリ「人の価値は偏差値なんかで測れないよ!!」

ブタゴリラ「勉三さん、生きろ!!」

勉三さん「命がけの演技であることははじめからわかってたんス……。でも、」

ブタゴリラ「わかってたのになんで!!なんでだよ、勉三さん!?」

勉三さん「でも、ワスの一番大切な友人たち、君たちにワスの最後の輝きを見て欲しかったんスよ
どうせ死ぬのに、自殺なんてそんな、そんな終わり方って…」

キテレツ「こ、こんなのないよ!!これじゃあ自殺と何も変わらない!!」

勉三さん「ハアハア…、ゲホゲホゲホッ。みんな、こんな無様なワスを許してほしいダス…」

キテレツ「べ、勉三さん!!」

勉三さん「さようなら……、ワスの大切な友人たち…」ガクッ


ブタゴリラ「べ、勉三さーーん!!!」

コロ助「うわーーーん!!!」

みよちゃん「こんなことって、あんまりだわ…」

キテレツ「ぼくが過去をいじったばっかりに…」

トンガリ「おいキテレツ、どこに行くんだよ!?」

キテレツ「ぼく、ちょっとトイレへ…」

コロ助「キテレツ!!」

キテレツ「お、追わないでくれ!!」ダッ


キテレツ「ぼくが過去をいじったばっかりに…。ぼくは人殺しだ、死のう…」

??「キテレツくん、キテレツくん」

キテレツ「え?」

勉三さん「さっきのは残像スよ」

キテレツ「えええええ!!!??」

勉三さん「そもそもワスが分身演技を会得しようと思ったのは、過去のくらーいワスと決別するためッス
あの大量のワスの分身の一つ一つには、ワスの暗い過去が凝縮されてたんスよ」

キテレツ「ええ…!?」

勉三さん「さっきの分身の場合、大学に入ってからのワスの暗い気持ちが込められて作られてたんス」

キテレツ「ということは…」

勉三さん「あの分身が死んだことで、ワスの心の中のわだかまりが完全になくなったということダス
つまり過去の自分、それが強い念を伴って現れたものが残像なんスよ」

キテレツ「じゃあ僕の分身機も…」

勉三さん「きっと君のご先祖様が強い、何らかの思いを込めて作ったんじゃないスかね」

キテレツ「ありがとう勉三さん、きっと発明に役立てるよ」


コロ助「キテレツゥーーー!!」

みよちゃん「キテレツくん!」

ブタゴリラ「急にどこ行ってたんだよ!?」

トンガリ「あの後勉三さんの死体が消えちゃってさ、あれも分身じゃないのかな、ってわかったんだよ」

勉三さん「そのとおりッス」

トンガリ「わ、勉三さん!!」

ブタゴリラ「本物かよ!?」

キテレツ「この勉三さんは間違いなくほんものさ」

コロ助「確かに顔が活き活きしてるナリ」

勉三さん「みんな、改めて今日はありがとうッス。帰りにみんなで喫茶店さ寄らねえスか?」

みよちゃん「いくいくー!!」

コロ助「ワガハイもいくナリー!」

ブタゴリラ「野菜はあるんだろうな?」

トンガリ「それしか持ちネタないの?」

勉三さん「よし、じゃあ決まりッス。キテレツくんも来てくれるッスよね?」

キテレツ「もちろんだよ、勉三さん」

~完~

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