コナン「博士…何で…」 (56)
博士「…」
~数日前~
目暮「くそっ!待てっ…!」
白鳥「ダメです、見失いました!」
目暮「逃したか…しかし、殺人は防げた!一刻も早く、被害者を病院へ運ぶんだ!」
部下「はっ!」
白鳥「この数日間で、立て続けに起きてますね。しかし、何故こんな事が…。」
・・・…
蘭「あっつーい!夏が来たって感じだねー!」
平次「毎年こんな調子で気温が上昇したら、たまらんで~。」
毛利「その暑い中、わざわざお前の東京見物に付き合ってんだろーが!」
平次「そやから、このボウズと二人でえぇ言うたやんけ」
蘭「ホントに仲良しなんだねー、二人とも!」
コナン「ハハ…」
毛利「ん?あそこにパトカーが沢山止まってるな。事件か?」
平次「ちょい行ってみよか。姉ちゃん、悪いけどジュースでも買ってきてくれへんか?」
蘭「うん、ちょうど喉乾いてたし、買って来るね!」
「おや、目暮警部ではありませんかー!」
目暮「まーた君か、毛利君!」
毛利「はい!私、毛利小五郎、事件が起きれば真っ先に飛んできますので!」
目暮「ふん、事件が起きて君が来るんじゃない、君が居る所に事件が起きるんだ。」
毛利「またまたー、警部はご冗談がお上手ですなー!」
白鳥「おや、コナンくん、久しぶりだね。家族でお出かけかい?」
コナン「うん、平次兄ちゃんが大阪から遊びに来たから、観光案内してるんだ!」
平次「今まで落ち着いて観光出来ひんかったからな、ちょうど夏休みやし、遊びに来たんや。そやけど、まぁた事件が起きてしもうたみたいやなぁ。」
毛利「それで、警部殿、どんな事件が起きたんですか?
目暮「被害者は四人。第一被害者の名前は、工藤茂樹。高校生だ。三日前、バイトを終え、自宅に向かって帰る姿が最後の目撃情報だ。翌日、バイト先にも来ず連絡もとれない彼を心配した店長が、自宅で血まみれの彼を見つけた。」
平次(おい、工藤やなんて、縁起悪いの~)ヒソヒソ
コナン(バーロォ、工藤なんて名字、何処にでもあんじゃねーか。)ヒソヒソ
平次「凶器は?」
白鳥「毒物だよ。それもかなり強い…ね。毒物を調べようとしたが、何故か反応が起きず、一体どんな形なのかすら分からない。しかし、尋常ではない量の血を吐いていた。」
次「…おい、工藤…」
コナン「…」
白鳥「第二の被害者は、工藤健、17歳。サッカー部の主将で、夜にランニングをする習慣があったそうだ。二日前の夜10時頃、親にランニングに行くと伝え、そのまま帰らなかった。心配したご両親が探しに行き、近所の公園で大量の血を吐いて倒れている彼を見つけた。」
平次「ど…同一犯の仕業か!?」
白鳥「分からない。しかし、大量の吐血、工藤という名字、そして、何のそ反応にも引っ掛からない毒物からして、我々は同一犯の線で捜査をしている。」
平次(おい、工藤…お前…)
コナン(…バーロォ、ぐ、偶然だよ…)
毛利「して、三人目の被害者は?」
白鳥「…工藤信二、高校生です。」
平次コナン「なっ…!」
白鳥「彼は、二人目の被害者と同様、サッカー部に所属していました。また、彼は大変頭が切れ、優等生だったそうです。彼もまた、友達と遊ぶと伝え、還らぬ人となりました。」
コナン「ふ、ふざけんな…!」
平次「ほんま、ふざけとるな。で、おたくらがここに居はるいうことは、ここでも同一犯による犯行が?」
目暮「あぁ、しかし、殺人だけは防げた。」
平次「!ホ、ホンマか!?何でこの近辺で犯行があるって分かったんや?!」
目暮「…工藤新一だよ。」
コナン「!?」
平次「く、工藤と犯行現場がどう関係するんや…」
白鳥「第一被害者の犯行現場から、第二、第三と、工藤新一の家に向かっているんだよ。」
目暮「工藤という名字を聞いた時、工藤くんを思い出してな。身近に工藤くんという子が居れば、犯行現場が彼の家に伸びていることはすぐに気付く。」
平次「なっ…」
白鳥「そして、第四の被害者は…阿笠博士だ。」
コナン「お、おい…嘘だろ…」
白鳥「何とか被害を避けることは出来たが…博士は今、病院で治療を受けている。コナンくん。」
コナン「……っ…」
白鳥「博士に伝言を頼まれたよ。君に伝えてくれと。そして、意識を失った。」
平次「なんて言ったんや!?」
白鳥「…その伝言が、どういう意味かは分からない。」
平次「もったいぶんなや!はよ言わんかい!」
白鳥「………ウォッカ、蘭くん、哀くん………そして……」
コナン、平次「……!!」
白鳥「光彦くん…と。」
コナン「な、何で光彦が…!」
平次「光彦っちゅーんは、お前の同級やったな。何か関係性があるんか…?」
目暮「それだけではない。工藤くんの居場所を突き止めようとしたが、見つからないんだ。」
コナン(まぁ、そうだろうな…)
平次「あいつは今どっかで事件の捜査しとるんちゃうんかな~。」
目暮「私が言いたいのはそういうことではない!彼の出生記録、写真、戸籍…すべてが無いんだ!」
コナン「!?」
目暮「そして、光彦くんだが…彼もまた、行方が分からない。」
平次「おいおい、ヤバいんとちゃうか?ウォッカ、光彦…残るは…」
コナン「蘭…!」ダッ
平次「お、おい!俺も行くで!」
毛利「警部殿!私も蘭を探しに行きます!」
目暮警部「頼む、毛利君。我々は、哀くんを保護しに行く!」
疲れてきた…
コナン(どこだっ…蘭っ…!)
平次「工藤!待てぇーや!何の手掛かりもなしに捜すのは無理があるで!
コナン「バーロォ!!それでも捜さなきゃ、蘭が危ねぇんだぞ!黒ずくめの奴等も、油断出来ねぇ!」
平次「そやから、まずは…!?」
コナン「どうした、服部!」
平次「あれ、光彦っちゅーヤツやないか?」
コナン「!おい!光彦!」
平次「聞こえんのか…何や、工場に入って行くで?」
コナン「あそこはもう廃屋になってる…後つけるぞ!」
……
光彦「…」
平次「何や…一人で何する気や?」
コナン「!誰か来るぞ!」
光彦「…どういうつもりです?僕をこんなところに呼び出すなんて…」
?「どういうつもりも何も、分かってきたんでしょ?」
平次「薄暗ぉて、よぉ見えへんな…誰や?」
コナン(あれは…!)
光彦「もちろん分かってますよ。何もかも。あなたは僕を警戒し、一度たりとも隙を見せなかった。」
?「今起きてる一連の事件…あなたの仕業なんでしょ?…円谷くん。」
光彦「…さすがですね、灰原さん。」ニヤリ
光彦「それとも、シェリー…とでも呼んだ方が良いですか?」
灰原「あら、そのくだらないコードネームは捨てたのよ。お返しするわ。」
光彦「…いつから気付いた?」
灰原「…組織に追われている身としては、転校先の学校くらい、調べるわ」
光彦「ほう…なるほどね…」
平次(…どういう意味や?)
灰原「工藤くんがあの学校へ転校する直前、もう一人転校生が居たわ。季節外れの、ね…。」
灰原「何故、あんな時期に転校なんかしたのかしら?」
光彦「…簡単な事さ、工藤新一を始末するためさ。」
ガンッ
コナン「ぐぁっ!」
平次「くっ!」
ウォッカ「ネズミ二匹取っ捕まえましたぜ」
光彦「縛れ」
灰原「工藤くん!?」
光彦「灰原さん、あなたは何も分かってない。何故、あんなあからさまな方法で事件を起こしたのかを。」
灰原「…えぇ、分からなかったわ。今まであんなにも証拠を残さなかった組織が、今回に限り、証拠を残すなんて…。」
光彦「…もう、終わらせたかったんですよ。」
誰か見てる?
光彦「シェリー…いや、灰原さん。組織にあなたが所属していた時、何故自由な振る舞いが出来た?」
光彦「あなたが作った新薬、あれを飲んで逃げるあなたを、何故誰も追わなかった?」
灰原「それは…」
光彦「気付いていたハズです。組織から逃れるのは不可能だと。
…まぁ、薬を飲んで死んだと思ったあなたの体が縮んだのは、正直驚きましたがね…神に感謝しました。」
灰原「だけど…!あなたたちは私を追って来たじゃない!殺そうとしたでしょ!」
光彦「……ウォッカ。」
ウォッカ「はい。」
ドサッ
灰原「…ジン!」
ジン「…シェリー…」
光彦「僕の命令も聞かず、あなたを探し、追い続けた男…いや、ゴミてす。確かにジンはあなたを殺そうとした。しかし、それはジンの、あなたに対する愛情ですよ。」
灰原「…どういう事…」
光彦「このゴミは、私の手の届かない場所へ、あなたを逃がそうとした。私に捕まれば、あなたがどうなるか知っていたから。しかし、常にあなたの側には僕が居た。中々チャンスがなかったようですね…」
ジン「シェリー…すまない、助けられなかった…」
光彦「ウォッカ、殺れ」
ウォッカ「…アニキ、すんません…」
パァンっ
灰原「…い、いやぁぁぁぁ…!!」
コナン「…くっ、み、光彦…てめぇ…」
平次「う…いてて、歪みに歪んだ愛情っちゅーことかい…」
光彦「あぁ、コナンくん、君にもプレゼントがあるんですよ。受け取ってもらえますか?」
コナン「…プレゼント?」
ウォッカ「ほらよ」
ドサッ
蘭「……」
コナン「ら、蘭!」
平次「…おい、ボウズ…この姉ちゃんに何したんや…!何で、こんな姿に…」
光彦「罰ですよ。」
コナン「あ…あ…ら、蘭…」
光彦「一つ目の罰。それは、あなたが生きてたからです、コナンくん。だから、両手の人差し指をちぎった。」
コナン「蘭…蘭…!蘭!」
光彦「二つ目の罰。あなたのせいで灰原さんは組織を裏切った。直接でなくとも、きっかけはあなたです。だから、髪の毛を引きちぎった。」
平次「人間のする事やない…」
光彦「三つ目の罰は、灰原さんとあなたが出会った。
だから、足首を切り落とした。」
コナン「…やめろ……もう……やめてくれ……」
光彦「四つ目の罰。灰原さんは、徐々にあなたに惹かれていった。だから、両目を抉りとった。」
灰原「…ひ、ひどい…」
光彦「最後の罰。灰原さんは、完全に、あなたに心を奪われた!だから!どうしたと思いますか?フフフ」
コナン「………」
平次「…殺したんか…?」
光彦「そんな訳ないでしょ、もったいない。そんな鬼畜に見えますか?」
光彦「犯したんですよ、彼女を。そして、性器をぐちゃぐちゃに切り裂いた。楽しかったですよォー!『新一!新一ー!』って叫んで、来るはずもないアナタを信じて!アハハハハッ!愉快だぁ!」
コナン「てめぇ…殺してやる!」
光彦「まぁまぁ、そう怒らずに…さぁ、イッツ ショー タイム!」
灰原「やめて…来ないで…」ガタガタ
コナン「灰原!逃げろ!」
平次「無理や!完全に怯えて、動けるはずない!」
光彦「さぁ、灰原さん…一緒に幸せになりましょうよ…フフフフフフフフ」
灰原「た、助けて!工藤くん!」
コナン「灰原!」
光彦「…あなたも…アナたモこナンくん二たすけヲモトメルノカァーっ!!!!」
パァンッ
コナン「ぐぁっ…!」
光彦「消えろ…!苦しみながら…!」
パァンパァン !
コナン「ぅ…ぁ…」
光彦「最後はやはり、頭に…ね…」
パァン
コナン「…!は、服部……!」
服部「……」
光彦「おやおや、コナンくんを庇うなんて、泣けるねー。しかし、もう庇う者が居なくなった。コナンくん、さようなら。」
バンッ!
目暮「光彦くん、逮捕する!」
光彦「…そうか、もう終わりですか…灰原さん、お元気で。」
灰原「工藤くんっ!」
コナン「…大丈夫だ…まだ生きてる…」
~数日後、病院~
コナン「なぁ、博士、何で光彦は俺の正体や転校先まで知ってたんだろうな…」
阿笠「あぁ、儂が喋ったからじゃよ。」
コナン「な!?何でだ!?」
阿笠「儂の哀くんを奪う君が憎くてな…」
コナン「博士…何で…」
阿笠「…」
完
くぅ~疲w
こういうスレでの光彦の立ち位置が不憫でならない…
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