梨沙「ただいまー……あー、疲れた」
P「レッスンお疲れ様。今日は一段とへとへとだな」
梨沙「ベテトレが妙に張り切っててね。なんか楽しそうだったし、いいことあったのかしら」
P「へえ、そうなんだ」
梨沙「ひょっとしてカレシかも! んー、そう考えたら気になってきたわ」
P「梨沙はそういう話好きだなぁ」
梨沙「当たり前でしょ、女の子だもん!」
P「なるほど」
梨沙「でも今はそれよりお腹すいたー。もうペコペコ……お菓子食べよ」
P「ははっ」
梨沙「あによー、成長期なんだから仕方ないでしょ!」
P「わかってるよ。ただ、梨沙がかわいいと思っただけ」
梨沙「………」
梨沙「アンタ、今の言い方おっさんくさくて結構キモイわよ……」ジトーー
P「うおぅ……厳しいなぁ」
梨沙「本当のこと言っただけでしょ。まあ、アンタはそれでちょうどいいんだけどね」ガサゴソ
梨沙「あ、ポッキーあった! これにしよーっと♪」
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その後
心「たっだいまー☆ レッスン頑張ってもうお腹ペコペコ☆ おやつ食べよーっと♪」
P「食べすぎには気をつけてくださいね」
心「大丈夫大丈夫、はぁと成長期だから!」
P「………」
心「黙んな☆」
P「いや、その歳でどのへんが成長期なんですか」
心「んー………」
心「知りたい?」
P「え?」
心「どのあたりが大きくなったのか……プロデューサーになら、見せてもいいよ?」ズイ
P「な、なんですか急に。なんでじわじわ距離を詰めてくるんですか」
心「最近すっかり暖かくなったよね……胸元が蒸れちゃうかも……」ヒラヒラ
P「………」
心「目、背けんな?」
P「う………」
ガチャリ
晴「あー、腹減った! お菓子お菓子!」
ありす「疲れた頭には甘いものが一番ですね」
桃華「お紅茶も一緒にいただきたいですわね」
心「………」スッ
P「ほっ……」
P(助かった……)
心「ほっ……助かった」
P「いやなんで心さんもほっとしてるんですか」
心「……ぶっちゃけ、勢いだけだと限界が」プイ
桃華「おふたりとも、何をしていらっしゃいますの?」
晴「はぁとさん顔真っ赤だぜ。Pがなんかしたのか?」
P「なんかしたのは心さんのほむぐっ」
心「なんでもないよーん♪ ささ、みんなでおやつ食べよ!」
ありす「………」ジーー
ありす「Pさん、あとでお話があります」
P「俺!?」
心「さーて、お菓子お菓子っと……あれ?」
P「どうかしました?」
心「食糧が減ってきてるねー。今日のぶんくらいは全然残ってるけど」
晴「あ、ホントだ。この前まで棚一杯にあった気がするのに……ポッキーなくなってるし」
ありす「この部屋を使っている人、多いですから。なくなるときは一瞬です。……あ、冷蔵庫にあったプリンもなくなってます」
桃華「茶葉も残り少ないですわね。また家から持って来ませんと……」
P「あとで俺が買い足しておきます。もうちょっとで仕事終わりそうなので」
ありす「いいんですか? 任せてしまって」
P「みんなはこの後もダンスレッスンだろう? そっちを頑張ってくれ」
ありす「わかりました。ありがとうございます」
心「さっすが我らのプロデューサー☆ イケメンっぷりに惚れちゃいそう☆」
晴「もともと惚れてるんじゃねーの?」
心「ぬへっ!?」
ありす(直球でいきましたね)
桃華(ど真ん中でいきましたわね)
一時間後
P「よし、終わり! さて、買い物行くか」
P「なんだかんだ、みんないろいろリクエストしてたからな……お菓子にカップ麺に缶詰めにアイスに」
P「全部買ったら結構な荷物になりそうだし……ひとりくらい、手伝いがほしくなってきた」
P「………」チラッ
飛鳥「………」
P「実はさっきからずっとソファーでくつろいでいる子とか、手伝ってくれないかなぁ」
飛鳥「みんなにカッコつけた癖に、十個以上年下の少女に頼るのかい?」
P「最近、重いものを持つとすぐに疲れるようになってきててさ」
飛鳥「オジサンだな、キミ。ボクらと一緒にレッスンを受けたほうがいいんじゃないか?」
P「……ダメか?」
飛鳥「別に駄目とは言っていないさ。この後ずっとフリーだし、手伝おう」
P「ありがとう、飛鳥」
飛鳥「キミには普段から世話になっているからね。このくらいは当然さ。だからキミもまどろっこしい言い方はしないで、最初から素直にお願いすればいいのに」
P「飛鳥に素直を説かれてしまった」
飛鳥「そういうことは素直に言わなくていいんだ」ツンツン
P「痛い痛い、おでこ突っつかないでくれ」
事務所近くのスーパー
飛鳥「コンビニじゃないのか……」
P「スーパーのほうが安いからな」
飛鳥「まあ、正論か」
P「飛鳥は相変わらずコンビニが好きなんだね」
飛鳥「人類の叡智が詰まっているからね」
P「そこまでか」
飛鳥「あぁ、そこまでだ」
P「言い切ったなぁ。スーパーにはあまり来ないのか?」
飛鳥「最近はそうだね。実家にいたころは、母親と一緒によく買い物に来ていたけれど」
P「懐かしいなぁ。俺も昔はよく母さんに着いて行って、カートをガラガラ走らせてはしゃいでたもんだ」
飛鳥「男の子だね、Pは。今日はカートでレースをしなくていいのかい?」
P「さすがに今はしないよ。もう大人だぞ?」
飛鳥「フフ、だろうね」
P「そういえば、最近レースゲームにハマってるって本当か? よく練習してるって何人かから聞いたんだけど」
飛鳥「あぁ……負けっ放しは趣味じゃないんだ」
P「? よくわからないけど、今度俺も一緒に遊んでいい?」
飛鳥「キミが?」
P「うん。久しぶりにやりたいから、相手がいてくれるとうれしい」
飛鳥「ボクも練習相手が欲しいと思っていたところだ。喜んで」
P「よしっ。じゃあ本番までにちゃんと練習しとかないとなー」
飛鳥「負けても駄々をこねるのは禁止だよ」
P「しないよそんなこと」
飛鳥「ふふっ、冗談さ」
飛鳥「ボクも一層練習を頑張ろう。キミ相手に無様な姿は見せられないしね」
P「ということは、他の子相手には無様な姿を見せたことあるのか?」
飛鳥「………」
飛鳥「さて、まずはプリンか」
P(逃げたな……)
飛鳥「………」ジーー
P「どうかした? ネギをじっと見つめて」
飛鳥「前々から疑問に思っていたんだが……なぜ『風邪をひいたときにネギを首に巻くと良い』という慣習が伝わっているのだろう」
P「あー、あるよな、そういうの。なんでも、ネギから自然に出てくる成分を口から吸収することで血行がよくなったり胃腸の働きがよくなったりするらしいぞ」
飛鳥「ふぅん、なるほど。一応、科学的根拠はあるわけか」
P「昔の人は、そこまで知らずにやっていたんだろうけどな。でも、そういう経験則が実際にきちんと意味を持っているって考えると、なんだかすごいよな」
飛鳥「成功と失敗を繰り返して前に進んできたのがヒトだからね。古臭いと切り捨てるだけじゃつまらないとボクは思う」
P「その過程に価値があるっていうやつかな」
飛鳥「そうだね。ちなみに、キミは首に巻いたこと、ある?」
P「ない。巻くくらいだったら食べる」
飛鳥「身も蓋もない答えだ」
P「ネギ好きだし」
飛鳥「そうか」
P「ところで、どうしてネギをカゴに入れているんだ」
飛鳥「好きなんだろう?」
P「でも、今日は自分で料理する気分じゃ」
飛鳥「なら、他の誰かが作ればいい」
P「他の誰かって……」
飛鳥「まぁ、お約束ってやつさ。今日はなんとなく、そういう気分なんだ」クス
P「えーと、アイスは買ったし、これで全部かな」
飛鳥「………」ヒョイ
P「? あ、ポッキー……晴がリクエストしてたな。忘れてた」
飛鳥「まだいくつか忘れ物があるよ。麦茶の茶葉とか、紙皿とか」
P「ありがとう……というか、飛鳥」
飛鳥「なんだい」
P「あの時、ちゃんと話聞いていたんだな。ずっと雑誌を読んでいたから、びっくりした」
飛鳥「……勝手に耳に入ってきたんだ」
P「そうか」
飛鳥「そう」ヒョイ
P「………」
P「今カゴに入れたチョコレートは、リクエストした人いなかった気がするんだが」
飛鳥「キミが忘れているだけじゃないか?」
P「じゃあ、誰が欲しいって言っていたんだ」
飛鳥「……いつも小梅の後ろにいる子」
P「とんでもないものに押しつけたぞ……欲しいなら欲しいって素直に言えば買ってあげるのに」
飛鳥「キミが欲しい」
P「俺は売り物じゃない」
飛鳥「だろうね」フフ
帰り道
P「結構長居しちゃったな」
飛鳥「あれこれ寄り道していたからね。意外と盛り上がってしまった」
P「ちゃんと見てみると、スーパーって結構面白いもの置いてるんだな」
飛鳥「勉強になったかもしれないね」
P「レジのお姉さんも綺麗だったし、今後はもっと来てみようかな」
飛鳥「それ、今度みんなに言いふらしておこう」
P「やめてくれ」
飛鳥「嘘だよ。ボクとキミとの秘密にしておいたほうが楽しそうだ」
P「まったく」
P「夕陽がまぶしいな」
飛鳥「夕陽に照らされながら、ふたり並んでレジ袋片手に帰途につく。風情を感じないか?」
P「確かに、ドラマとかで見るとほっこりするシーンだと思う」
飛鳥「なんだか少しだけ、家族みたいだ」
P「兄妹?」
飛鳥「さあ、どうだろうね。ひょっとして親子かも」
P「俺、そこまで老けてないぞ……」
飛鳥「それもそうか、すまない」
飛鳥「そういえば……キミは将来子どもができたとして、なんと呼ばれたいと思っている?」
P「ん? そうだな……パパ、かな」
飛鳥「なるほど。じゃあ往こうか、パパ」
P「おい」
飛鳥「ふふっ。ほら、早くしないと置いていくよ?」
P「あ、ちょっと待ってくれ! こっちのほうが袋重いんだぞ!」
飛鳥「大人の男だろう? そのくらいのハンデは我慢するべきだ」スタスタ
P「今日の飛鳥、やけに元気だな……!」
飛鳥「もうすっかり春だからね。ボクの心も、すっかり雪解けの季節なんだろう。きっと」
飛鳥「これからの一年も、キミと共に在れば退屈しなさそうだ」
飛鳥「ね?」
P「ぜーぜー」
飛鳥「いや、さすがに息切れ早すぎないか?」
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
コンビニもいいけどスーパーもいいですよね
シリーズ前作:的場梨沙「アタシっていつも素直だから嘘考えるの苦手なのよね」
などもよろしくお願いします
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