10年後のラブライブ (196)

THE 3名様 ~ラブライブ 失われた風景~の「あれから…」の続き。

THE 3名様 ~ラブライブ 失われた風景~ - SSまとめ速報
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ジリリリリ

「ん…んん…んあ…もう…後…10分だけ…」



理事長「今日から新学期が始まります。新しい顔も増えて…」

絵里(おかしい…。うちの学校に決まったって確かに言ってたはずなのに。どうしたのかしら…)

理事長「なので、皆さんも気を引き締めて」

「すいません。寝坊しましたーーーー」

理事長「あら?新学期早々遅刻なんて…変わってないわね」

絵里「あ、頭が痛いわ」

穂乃果「いや~、やっぱり新人だと担任にはなれないんだねぇ。でも、まさか絵里ちゃんのクラスの副担任を任されるなんてこれも運命だよね」

絵里「……」スタスタ

穂乃果「いや、教員試験をパスするのに時間が掛かっちゃったからさ。絵里ちゃんとは二歳しか違わないのに」

絵里「……」スタスタ

穂乃果「あの~…絵里ちゃん?聞いてる?」

絵里「高坂先生?ここは学校であなたは教師なんですよ?」

穂乃果「う、うん。そうだね」

絵里「いつまでも学生気分じゃ困るの」

穂乃果「はい…」

絵里「分ったなら…絵里ちゃんと呼ぶのはやめなさい」

穂乃果「はい…」

絵里「分ったなら良いわ。さあ、行くわよ」

穂乃果「そっか。そうだよね。私、自覚が足りなかったんだ」

生徒「あっ、絵里ちゃん。おはよ~」

絵里「おはよう……」

穂乃果「生徒に人気なんだね」

絵里「まあね……」

キーンコーンカーンコーン

絵里「はい。皆んな席に着いて」

ワイワイ ガヤガヤ

絵里「ほら。聞いてるの?席に着いて」

生徒「あ~やっぱり今年も絵里ちゃんが担任だ」

絵里「先生をちゃんづけで呼ばない。いいから席に着きなさい。いつまで経っても始まらないわよ」

生徒「は~い」

絵里「え~、これから1年間皆さんのクラスを担当する…」

生徒「しってる~」

絵里「そうですか……。じゃあ、あとは副担任の先生にお任せします」

穂乃果「えっと…皆さん初めまして。先生の名前は…」

カキカキ

穂乃果「高坂穂乃果です。先生もこの学校の卒業生で…」

生徒「はーい。質問!」

穂乃果「え?」

生徒「先生って恋人居るんですか~?」

穂乃果「へ?居ないけど…」

生徒「じゃあ、絵里ちゃんと一緒だ~」

絵里「余計な事を言わない」

穂乃果「え、えっと…」

生徒「先生いくつ~?」

穂乃果「27歳…」

生徒「え~思ったより年上だったし」

穂乃果「い、いや…」

生徒「先生ってなんか子供っぽい~」

生徒「だよね~」

穂乃果「あっ、あの…」

絵里「ほら。高坂先生を困らせないの。まだ、新任なんだから」

生徒「は~い」

絵里「はい。出欠取るわよ」

穂乃果「はあ。疲れた~」

絵里「今日は完全に舐められてたわね。生でいい?」

穂乃果「あっ、ビール飲めないんだ。なんか甘い奴を」

絵里「すいません。生一つとカシスオレンジ」

穂乃果「はあ。私達も高校生の時ってあんな感じだったっけ?」

絵里「高校生なんてあんなもんよ」

穂乃果「そうかなぁ。だってさ…」

穂乃果「え~先生は皆さんの夢を全力でサポートしたいって思ってます。高校生活残り一年。悔いの残らないように」

生徒「いい歳して夢って…」

生徒「恥ずかしいよね?」

生徒「別に夢なんてないしね?」

生徒「先生ってもしかして熱血タイプ?」

穂乃果「って感じだし」

絵里「今の子達って結構冷めているのよ。夢を見る事は恥ずかしい事だって」

穂乃果「夢を見るのは恥ずかしいかぁ。なんか寂しいなぁ」

絵里「夢を追いかけるのは素晴らしい事だけどそれを押し付けるのも私は違うと思うの」

穂乃果「うん。それが分からない程私ももう子供じゃないよ」

絵里「まあ、悩んでてもしょうがないわ。それに全員が全員そうだとは限らないのよ?」

穂乃果「え?どういう事?」

穂乃果「えーーーー!!!絵里ち…絢瀬先生がアイドル研究部の顧問?」

絵里「プライベートだから絵里で良いわよ」

穂乃果「は~、アイドル研究部まだあったんだねぇ」

絵里「正確にはアイドル同好会だけどね」

穂乃果「え?そうなの?」

絵里「部員が一人しかいないのよ」

穂乃果「え?そうなの?」

絵里「ええ。一年生の頃から細々とやってたみたいなんだけどね。私が元スクールアイドルだって話を職員室で聞いたみたいで」

穂乃果「なるほど。なんか、にこちゃんみたいだね」

絵里「そうね。でも、現実はもっと酷いわ。部室もなければ練習場所もなし」

穂乃果「え?屋上は?」

絵里「危ないからって立ち入り禁止になっているのよ」

穂乃果「そうなんだ。で?その子は何年生の子なの?」

絵里「ウチのクラスの子よ?支倉さんって子なんだけど」

穂乃果「あ~、あの茶髪の子だよね?」

絵里「え?もう覚えたの?」

穂乃果「ウチのクラスの子は全員覚えたよ」

絵里「そうなの。凄いわね」

穂乃果「そうかな?」

絵里「流石は穂乃果。そうでなくっちゃ。ねえ?穂乃果もアイドル同好会に顔を出してみない?」

穂乃果「私が?」

絵里「そうよ。それが良いわ」

穂乃果「でも、新任だし…放課後は他にやる事があるんじゃや ないの?大丈夫かな?」

絵里「大丈夫よ。何も放課後まるまる顔を出す訳ではないから」

絵里「で?高坂先生は今日も遅刻したという訳?」

穂乃果「ち、遅刻はしてないですよ?」

絵里「あのねぇ、最低でも10分前に来るのは社会人として常識なのよ」

穂乃果「悪しき日本の風習だなぁ」

絵里「何か言いました?」

穂乃果「い、いえ」

絵里「全く。だいたい社会人にもなって朝起きれないってどう言うことなのよ。だから実家に居ればいいのに」

穂乃果「だって実家には雪穂達が居るし…」

同僚「あはは。絢瀬先生も朝から新人教育に精が出るね」

絵里「あっ、いえ…」

穂乃果「そんな事言うけど昨日遅くまで連れ回したのは絢瀬先生じゃん。散々愚痴聞かされるし」

絵里「くっ。と、とりあえず。あなたは一限目から授業でしょ?用意しなくていいの?」

穂乃果「え?あっ、そうか」

絵里「はあ。先が思いやられるわ」

キーンコーンカーンコーン

生徒「礼」

穂乃果「はい。お願いします。えっと…これから1年間、数学を担当する高坂穂乃果です。よろしくお願いします」

生徒「知ってるって~」

生徒「だって先生このクラスの担任じゃん。昨日自己紹介したばっかりなのに」

穂乃果「あ、あはは…そうだったね」

生徒「高坂先生ってもしかして天然?」

穂乃果「いやぁ…どうだろ」


絵里「はあ…心配になってコッソリ見に来てみれば。この調子で大丈夫かしら?」


穂乃果「じゃあ、今日はこの1年間でどんな風に授業を進めていくかをですね」


絵里「それにしても、あの穂乃果が数学教師か。何がどうなるか分からないものね」

生徒「あっ!絵里ちゃんがこっそり見に来てる」

穂乃果「え?。絢瀬先生が?」

絵里「やばっ!?」

生徒「あははー。絵里ちゃんって高坂先生の保護者みたい」

穂乃果「なっ。ちょっと絵里ちゃん。私ももう子供じゃないんだから」

絵里「だから絵里ちゃんはやめなさいって言ってるでしょ」

同僚教師「絢瀬先生…何やってるの?」

絵里「え?あっ…あはは」

生徒「あはははは」

穂乃果「は、ははっ…ん?」

支倉「ふふふっ」フリフリ

穂乃果(支倉さん…。何で笑顔で手を振りながらこっち見てるんだろ)

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「あっ!授業終わっちゃった。えっと…今日はここまで」


支倉「先生!」

穂乃果「え?な、何かな?」

支倉「先生ってもしかして絢瀬先生の後輩だったりする?」

穂乃果「う、うん。そうだけど?」

支倉「やっぱりだ!ねえ、先生。放課後音楽室に来てくれませんか?」

穂乃果「音楽室に?」

支倉「うん。待ってるからね」

穂乃果「あっ、ちょっと」

絵里「どうやら気づいたみたいね」

穂乃果「うわっ、絵里ちゃん。どこから」

絵里「絵里ちゃん禁止!」

穂乃果「気づいた?」

絵里「あなたがμ’sの高坂穂乃果って事によ」

穂乃果「なるほど。もう10年経つのにね」

絵里「そうね…」

穂乃果「って言うか絢瀬先生は暇なの?」

絵里「授業がないのよ…」

穂乃果「なるほど」

~放課後~

支倉「待ってましたよ、高坂先生。遅いじゃないですか」

穂乃果「あ~ごめん。放課後ってやる事が多くて」

支倉「じゃあ、本題に入りますけど高坂先生ってあの高坂穂乃果ですか? 」

穂乃果「あ~…それは…」

支倉「違うんですか?」

穂乃果「えっと…」

絵里「別に隠す事ないじゃない」

穂乃果「絢瀬先生」

絵里「そうよ。高坂先生はμ’sの高坂穂乃果よ」

支倉「やっぱり」

穂乃果「ちょっと、絵里ちゃん」

絵里「いいじゃない。私もバレたんだから。時間の問題よ」

穂乃果「それで?支倉さんはもしかしてμ’sのファンだったとか?」

支倉「いえ。μ’sの事は知ってましたけどそこまで詳しくは…」

穂乃果「え?そうなの?」

絵里「まあ、私達が活動してた頃ってまだ小さかっただろうしね」

支倉「はい。でも、絢瀬先生が元スクールアイドルだって聞いて調べてμ’sについて詳しくなりました」

穂乃果「そうなんだ」

支倉「はい。中学生の頃にラブライブを見てそれからずっとスクールアイドルに憧れてました。高坂先生。お願いします。私にスクールアイドルを教えて下さい」

穂乃果「ええ?教えるって言っても。何を教えれば。だいたい、私達の頃は顧問なんていなかったし誰も教えてくれなかったもんね?」

絵里「私も最初はそう思ったけど…。これも何かの運命だって考え方も出来るわ。ね?少しくらい力を貸すのもいいんじゃない?」

穂乃果「まあ…それもそっか」

支倉「やった!」

穂乃果「ん~でも何から始めればいいんだろう?私達の時って何から始めたっけ?」

絵里「さあ?私は最初から参加してた訳じゃないから」

穂乃果「あっ、そっか。そう言えば支倉さんは作詞はできるの?」

支倉「少しくらいなら」

穂乃果「作曲は?」

支倉「出来ません。ピアノは少し弾けるけど」

穂乃果「衣装作りは?」

支倉「多少なら」

穂乃果「うん。私よりはマシだね。でも、作曲が出来ないとなるとなぁ」

絵里「そうね。それが問題よね。私達の時は運良くメンバーに音楽に精通してる子が居たから良かったけど」

支倉「それなら一応考えがはあるんです」

穂乃果「え?そうなんだ!なんだ~しっかりしてるじゃん」

絵里「無計画で始めるのは高坂先生くらいのものよ」

支倉「新任の音楽の先生がなんと自分で作曲出来るらしいんですよ。だから、教えて貰おうかなって」

穂乃果「へ~そうなんだ。音楽の先生って…えっと…桜内先生だったっけ?」

絵里「確か。まだ挨拶程度しか交わした事ないけど」

穂乃果「ふ~ん。でも、物腰柔らかそうな人だったよね?うん。良いんじゃない?」

支倉「ですよね!よ~し。そうと決まったらさっそく」

絵里「それもそうだけど。もしラブライブを目指すならどちらにせよあなた一人じゃ無理よ?同時にメンバーを勧誘もしなければダメ」

支倉「ですよね」

穂乃果「うん。むしろ、そっちの方が先だよ」

ワイワイガヤガヤ

教頭「であるので新任の先生方は」

穂乃果「教頭先生話し長いね。いつ乾杯始まるのかな?」

絵里「毎年そうなのよ。ほら?理事長も苦笑いでしょ」

穂乃果「って言うか教頭先生いたんだね。うちの学校も」

絵里「あなたねぇ…一応生徒会長もやってたんでしょ?なんで知らないのよ」

穂乃果「だって…」

教頭「なので気を引き締めていきましょう。乾杯」

乾杯ーーー

穂乃果「やっと始まったよ」

ワイワイガヤガヤ

同僚「ねえ?高坂先生ってあのμ’sの高坂穂乃果なのよね?」

穂乃果「え?はい…そうですけど。知っていたんですか?」

同僚「勿論。世代だもんね」

同僚「うん。私達世代はμ’sとかA-RISEとか凄い応援したもん」

同僚「UTXでのライブとか見に行ったよ」

穂乃果「へ~そうなんだ」

同僚「まさかスクールアイドルと同じ職場になるなんて思わなかったなぁ」

同僚「ねえ?三人も居るなんてね」

穂乃果(ん?三人?)

穂乃果「え?三人って?」

絵里「穂乃果~飲んでる~?」

穂乃果「絵里ちゃん…うわっ。酒くさ」

絵里「何よ~。随分な言い草ね~。チューするわよ」

穂乃果「うわぁ。絵里ちゃんがこんなに酒癖悪いとは…。そんなんだから男の人が逃げちゃうんだよ」

絵里「何?何か言った?」

穂乃果「何でもない。何でもないよ」

絵里「も~、今日は最後まで付き合ってもらうからね?覚悟してなさい」

穂乃果「分かったよ。聞こえてるんじゃん。皆んなごめんね?」

同僚「あはは…大丈夫」

同僚「絢瀬先生。ちょっとイメージが変わったかも」

穂乃果「あはは…それは私もだよ」







桜内「ふふっ」

穂乃果「あっ、ごめんなさい。うるさかったですよね?」

桜内「いえ。大丈夫ですよ。私、賑やかなの大好きですから」

穂乃果「あっ、そうなんですか。良かった」

桜内「絢瀬先生と仲が良いんですね」

穂乃果「高校の頃からの付き合い何ですよ。私達音ノ木坂出身で」

桜内「有名ですもんね。お二人とも」

穂乃果「あ~まぁ。知ってました?昔の事ですけど…。もしかして、桜内先生も音ノ木坂?」

桜内「私は一年生の頃まで。進級する前に転校しちゃったんです」

穂乃果「へ~そうなんだ。じゃあ、音ノ木坂に来るのは凄い久しぶりなんですね」

桜内「……そうですね」

桜内「本当久しぶり…」

穂乃果「?」

桜内「あっ、いえ。それで、高坂先生はアイドル研究部の顧問を引き受けるんですよね?」

穂乃果「ん~、まだ決定って訳ではないんですけどね。まだ、部じゃなくて同好会ですし。あっ!それで桜内先生にお願いしたい事があったんです」

桜内「私に?」

穂乃果「桜内先生作曲が出来るんですよね?」

桜内「ええ…まあ…それをどこで?」

穂乃果「そのアイドル同好会の部員の支倉さんって子に聞いて。ぜひ桜内先生に作曲の仕方を教えて欲しいって」

桜内「私にですか?」

穂乃果「はい。力になってあげたいんです。教師として。スクールアイドルの、この学園の先輩として」

桜内「もしもし?うん、うん。私は元気にやってるよ?そっちは?ふふっ。そうなんだ。あの…今日ね、スクールアイドルの手伝いをしてくれないかって言われたの。え?誰にって?それを聞いたらきっと驚くと思うな…。うん、それじゃあ」

ガチャ

桜内「スクールアイドルかぁ。懐かしいなぁ…」

翌日

穂乃果「と言う事で支倉さん。先ずは部員を集める事から始めます」

支倉「絢瀬先生は?」

穂乃果「絢瀬先生は忙しいので今日は来ません」

支倉「え~」

穂乃果「あと、一応桜内先生にもお願いはしてみたけど」

支倉「え?本当ですか?教えてくれますって?」

穂乃果「それが…答えを聞くの忘れちゃったんだよね」

支倉「え?何それ?」

穂乃果「文句だったら絢瀬先生に言ってください」

支倉「え?どう言う事?」

穂乃果「いや…とにかく」

コンコン

支倉「ん?は~い」

ガチャ

穂乃果「あっ!」

梨子「私もお手伝いします」

支倉「え?本当ですか?」

梨子「うん。でも、やるからには厳しくいくわよ?」

支倉「え?」

穂乃果「あれ?桜内先生って思ったより熱血?」

梨子「で?どう言う計画でいくつもりだったんですか?」

穂乃果「取り敢えず部員を増やして曲もジャンジャン作ってって感じだよね?」

支倉「はい」

梨子「なるほど。わかりました」

穂乃果「おおっ!理解が早い」

梨子「要するにノープランという訳ですね」

穂乃果「いや、だから」

梨子「いいですか?冷静に考えて下さい。がむしゃらに部員集めをしても2、3年生はもう殆どが部活に入っているんです」

支倉「はい」

梨子「と言う事は2、3年生からの新規開拓は難しいと言う事は分かりますよね?」

穂乃果「確かに…言われてみれば」

梨子「と言う事はどう言う事か分かりますよね?」

支倉「一年生を狙うって事ですか?」

梨子「そう言う事」

支倉「じゃあ、チラシを作って一年生を主にして勧誘すれば」

穂乃果「そうと決まればチラシを作らなきゃ」

支倉「はい」

梨子「それもいいですけど!いくらスクールアイドルが人気だからってなんの実績もない実態も分からない同好会に一年生が入ろうと思いますか?」

支倉「思わない…かも…」

梨子「でしょう?ならやるべき事は一つ」

穂乃果「そっか!ライブ!」

梨子「そう言う事です。それも狙うのは部活動説明会」

穂乃果「その手があったか!そうか。目から鱗だよ。部活動説明会なら少なくとも一年生は絶対に目にする」

支倉「強制的にお客さんが入るって事ですね」

梨子「このチャンスを使わない手はないわ」

穂乃果「ですね。桜内先生賢い」

梨子「いえ。誰でも思いつきます」


絵里「ふ~ん。それで部活動説明会でライブをやると?」

穂乃果「うん。そう言う事」

絵里「って言っても説明会は来週よ?間に合うの?」

穂乃果「取り敢えず曲はμ’sの曲で行こうって事になったからさ歌とダンスの練習に集中出来ると思うんだよね」

絵里「それでも一週間じゃ」

希「穂乃果ちゃんもすっかり先生やなぁ。ウチもびっくりや」

穂乃果「私はもうすぐ結婚って方がびっくりだよ」

希「は?何それ?穂乃果ちゃんもう酔っ払ってるん?」

穂乃果「え?違うの?え?絵里ちゃん言ってたよね?こないだ?」

絵里「私が?」

穂乃果「うわっ。最悪。酔っ払って適当言ったでしょ?」

絵里「記憶にないんだけど…」

穂乃果「絵里ちゃん酔っ払うといつも言ってるよ?希が裏切ったーーーって」

希「だから、それはえりちの勘違いで」

絵里「どうだか」

希「もう。いつからそんなに捻くれてしもうたんか」

絵里「どうせ私は捻くれてるわよ」

穂乃果「明日学校あるからね?考えて飲んでよ?」

絵里「」

絵里「分かってるわよ」

希「まあ、えりちの事は放っておいて。そうかぁ、その穂乃果ちゃんのクラスの子は」

絵里「担任は私よ?」

希「穂乃果ちゃんのクラスの子は一年の頃から一人でやってたんや?」

穂乃果「うん。みたいだね」

希「なんかその話聞くと重なるなぁ」

穂乃果「だね…」

希「えりちももっと早くに力を貸してあげれば良かったやん」

絵里「仕方ないでしょ。私だって色々あるのよ」

希「なんや色々って。えりちもつまらん大人になってしまったなぁ」

絵里「やめて。その言葉心に凄い突き刺さる」

希「しかし、音楽の先生を仲間に出来たのはラッキーやったなぁ」

穂乃果「そうなの。しかも凄く頼りになるしさ。歳下なのに。なんか物腰柔らかそうなイメージだったんだけどもしかしたら海未ちゃんタイプかも」

希「あはは。穂乃果ちゃんってつくづくそのタイプと相性いいんやな」

穂乃果「そうかな?」

希「そうやって。な?えりち?」

絵里「ZZZ」

希「うわっ、寝とる」

穂乃果「絵里ちゃんってロシアの血が流れてるのにお酒弱いよね。やっぱり関係ないのかな」

梨子「という事で練習場所の確保をしなきゃいけません」

穂乃果「で、高校の時の絢瀬先生ってまあ最初はおっかなくて


支倉「え~、意外ですね」

穂乃果「でしょ?今からじゃ信じられないよね」

梨子「あの…」

支倉「でも、絢瀬先生って今でもたまにクールを気取ってる時ありますよね」

穂乃果「あるある。あれやめた方がいいよね?」

梨子「真剣にやる気あるんですかっ!!!!」

穂乃果「え?あっ…」

支倉「あります。あります」

梨子「説明会まで時間がないんです。練習場所を早く確保しないといけないでしょう?」

支倉「桜内先生って怒ると怖いですね」

穂乃果「だね。絶対に怒らせないようにしなきゃ」

支倉「そう言えばμ’sの時はどんな感じでやってたんですか?」

穂乃果「練習?」

支倉「もそうですし全体的に活動を」

穂乃果「私達の頃は屋上が使えたからそこを練習場にしてたよ。後は三人の時は裏にはとかかな。校庭とか体育館は他の部の邪魔になっちゃうしね」

支倉「へ~え?三人?」

梨子「μ’sも最初は三人だったんですか?」

穂乃果「はい。最初は幼馴染の園田海未ちゃんと南ことりちゃん。実は理事長の娘なんだけどその三人でやってたんです」

支倉「ええ?理事長の娘さんもμ’sのメンバーだったんですか?なんですかそれ?μ’sのバーゲンセールですね」

梨子「それもびっくりだけど…理事長って歳いくつ?とても高坂先生と同じ歳の娘がいる様には見えない」

穂乃果「取り敢えずさ裏庭でいいんじゃないの?一人なんだし」

梨子「そうね。それが一番いいかも」

支倉「やっぱりそうなりますよね。でも、裏庭って…」

~裏庭~

不良生徒「……」

支倉「いつもあの人が居るんですよね」

梨子「な、なるほど」

穂乃果「あの子は?」

梨子「あれは二年生のリボンですよね?」

支倉「二年生の志賀仁美さんですね」

穂乃果「知ってるの?」

支倉「有名ですからね。音ノ木坂唯一のヤンキーって事で。誰かと喋ってる所は見た事ないですけど」

梨子「こんな人気の無い所で何をしてるのかしら。まさか…」

穂乃果「あの~」

志賀「あん?」

梨子「高坂先生?」

支倉「わっ、わっ」

穂乃果「二年生の志賀さんだよね?」

志賀「だったら何?センコーがなんの用だよ?」

支倉「センコーですって?死語ですよね?」

梨子「そ、そうね。あまり良くない言葉ね」

穂乃果「ここで何してるのかな?」

志賀「なんだっていいだろ。何?ここに居たらいけないの?悪さなんて何もしてないけど」

穂乃果「うん。それは分かってるよ。そうじゃなくてね?実はこの裏庭でスクールアイドルの練習をしたいんだ。だから、お邪魔していいかな?」

志賀「スクールアイドル?何それ?」

穂乃果「うん。実はここにいる支倉さんはアイドル同好会でスクールアイドルをやってるんだ」

支倉「こ、高坂先生。ここはやめましょうよ。他の場所で…」

穂乃果「え?なんで?」

支倉「だって…」

志賀「別にいいんじょない?私のものじゃないし」

支倉「え?」

穂乃果「本当?ありがとう」

志賀「別に…」

支倉「あれ?思ったより…」

ガサガサ

子猫「にゃ~」

穂乃果「あっ、猫ちゃん」

猫「にゃ~ 」スリスリ

志賀「あっ…」

支倉「猫ちゃんが志賀さんに…」

梨子「もしかして懐いてる?」

志賀「…」

穂乃果「ここにいつもいるのって?」

志賀「うるさい。関係ないだろ」ダッ

バサッ

穂乃果「行っちゃった…」

猫「にゃ~」

梨子「あら?何か落として行ったわ」

穂乃果「これって…パンの耳?あっ!猫ちゃんの餌か」

支倉「私、志賀さんの事ちょっと誤解していたかもしれないです」

梨子「そうね」

穂乃果「所で」

梨子「はい?」

穂乃果「あの制服は校則違反ですよね?」

梨子「そうですね。それだけは注意しないと」

支倉「どこで買うんですかね?桜内先生」

梨子「なんで私に聞くの?」

穂乃果「さあ、それじゃあ練習を開始します」

支倉「はい」

穂乃果「…」

支倉「…」

穂乃果「何から始めようか?」

支倉「ですね」

梨子「もう慣れて来ましたけど。随分と行き当たりばったりですね」

支倉「いや~あはは。ですね」

梨子「やる事は沢山あるんですよ。何を歌って踊るのかもそうですし」

穂乃果「いや~でも、歌はともかく先ずは基本からやらないと」

梨子「残り一週間何ですよ?基本は大事ですけどそれだけで終わっちゃいます」

絵里「桜内先生の言う通りね」

穂乃果「絵里ちゃん…」

絵里「ある程度基本のステップを練習したらすぐに曲の練習に移るべきね。本格的にダンスの練習するのはその後よ」

穂乃果「ん~、そうか」

支倉「いやぁ…疲れた。絢瀬先生って結構スパルタですね」

穂乃果「でしょ?でも、絵里ちゃんなんてマシな方なんだよ?」

絵里「呼び方」

穂乃果「分かってますってば。メンバーの中にかなり体育会系がいてさ。普段は全然そんな感じじゃないんだよ?なのに急にスイッチが入ってランニング15kmやろうとか続けて遠泳をやろうと言いだすんだから」

支倉「ええ?それってもうトライアスロンじゃないですか」

絵里「確かにあれはきついわよね」

梨子「そうですね。あの後何もする気にならなかたっし」

絵里「え?」

梨子「え?」

穂乃果「え?」

支倉「ん?」

穂乃果「いや、とにかく。練習をした後はキッチリ休む。もう暗いしダラダラ喋ってないで解散」

支倉「先生も喋ってたましたけどね」

支倉「それじゃあ、先生。また明日です」

穂乃果「は~い。また明日」

絵里「さてと、それじゃあ私達も演出を考えなきゃね」

穂乃果「演出?あっ、そっか。μ’sの時はヒデコ達が手伝ってくれてたけど」

絵里「そうよ。今度は私達がサポートに回る番なんだから」

梨子「そうですね。音響から照明まで、私達が何とかしないと」

穂乃果「よーし、可愛い後輩の為にも気を引き締めていかなくちゃ」

支倉「ふぅ。それにしても絢瀬先生の練習厳しかったぁ。なんか疲れたけどこの調子なら来週までになんとかなりそうな気がして来たな」

ザッ

志賀「よぉ」

支倉「え?あっ、し、志賀さん」

志賀「ちょっとあんたに話があるんだ」

支倉「え?な、何かな?」

志賀「あんた…スクールアイドルなのか?」

支倉「そ、そうだけど?」

志賀「そっか。あの…その…」

支倉「うん?」

志賀「いや、やっぱり…」

支倉「あっ、もしかして…スクールアイドルに興味あるの?」

志賀「あっ…いっ…その…」

支倉「ちょっと、待って。その時代遅れらの学帽取って?」

バサッ

志賀「ちょっと」

支倉「やっぱり。凄い美人。これ。私の制服着てみてよ」

志賀「おいっ」

支倉「わ~、やっぱり。何さ。超正統派美人じゃん」

志賀「そ、そ、そんな事」

支倉「これは…イケる」


穂乃果「えーーーーー!?」

梨子「あ、あなた…志賀さんなの?」

志賀「くっ…」

支倉「そうですよ。他に誰に見えるんですか?」

梨子「いや…余りの変わりように…」

絵里「服装は人を作るって言うのは本当なのね」

支倉「しかも、なんと志賀さんはスクールアイドルに興味津々なのです」

穂乃果「え?そうなの?」

志賀「まあ…子供の頃からアイドルが好きで…でも、私はこんなんだし…」

穂乃果「いやいや、普通の服装してれば超正統派アイドルって感じだよ?」

梨子「ねえ?髪も長くて綺麗だし」

志賀「で、でも…喋り方とかも乱暴だしさ」

支倉「いや、むしろそれもキャラが立ってて良いんじゃないかな?ねえ?」

穂乃果「うん。ギャップ萌えとか狙えるよね?」

絵里「そうね。女性人気も狙えそうね」

穂乃果「ね?壁ドンとかいけそうだよね」

梨子「うん。激しく同意出来るわ」

穂乃果「え?」

梨子「え?」

支倉「ですって?皆んなこう言ってるけど…どうする?」

志賀「その…でも…」

絵里「やってみたら良いんじゃないの?」

支倉「志賀さん。いや、仁美ちゃん。一緒にスクールアイドルやろう?」

志賀「…おう」

ザッ

志賀「ふぅ…」

穂乃果「おおっ。凄い。志賀さん踊り完璧じゃん」

梨子「元々運動神経も抜群なのね」

支倉「先輩の私の立場がなくないですか?」

志賀「μ’sの曲は死ぬ程見たし練習もしたから」

穂乃果「そうなんだ。なんだか照れるなぁ」

志賀「勿論。Aqoursの曲も踊れる」

穂乃果「Aqours?Aqoursって?新しいスクールアイドル?ここ数年教員試験の勉強で忙しかったから。絢瀬先生知ってますか?」

絵里「いや、私も最近のは…亜里沙達の世代で止まってるわ」

支倉「Aqours…。Aqoursって5、6年前にラブライブで優勝したグループの名前じゃないですか?私がスクールアイドルに憧れる前なんで詳しくないですけど」

志賀「皆んな、何言ってるんだ?Aqoursのメンバーが目の前にいるじゃねえか」

絵里「え?目の前?」

穂乃果「いや、私は違うよ?」

絵里「それは分かってるわよ」

穂乃果「え?じゃあ…」

梨子「…」

支倉「桜内先生?」

穂乃果「え?嘘?」

梨子「別に黙ってた訳ではないんですけど…」

志賀「皆んな、知らなかったのか…」

穂乃果「あ~、本当だ。桜内梨子で検索したらAqoursで出てきた」

絵里「え?待って?頭が追いついていかない。何?桜内先生もラブライブ優勝経験者って事?」

支倉「と言う事は…ラブライブ優勝経験者が三人も居るって事ですか?最強の布陣じゃないですか」

絵里「って事は…Aqoursの曲も?」

梨子「はい。作曲は私がやってました」

支倉「ちょっと、びっくりですね。もしかして、他の先生もラブライブ優勝経験者が居たりしませんよね?」

梨子「いや…多分この三人だけだと思うけど」

志賀「それでも、十分凄い事だけど」

支倉「確かに」

希「へ~、それでいよいよ明日なんや?どうなん?調子は」

穂乃果「形にはなったと思うけど。なんか自分の時より緊張しちゃうよ」

希「ふ~ん。そんなもんなんかな。でも、びっくりやなぁ。あの、Aqoursのメンバーが音ノ木坂で教師をしてたなんて」

穂乃果「え?希ちゃんはAqoursの事知ってたの?」

希「一応ラブライブは毎年チェックしとるからなぁ」

梨子「すいません。なんか…私までμ’sの飲み会に参加させて頂いて」

希「ああ、ええんよ。むしろ飲み仲間が増えて嬉しいわ。μ’sの飲み会なんて言ってもいつもえりちと穂乃果ちゃんとウチの三人しか集まらんから。他は皆んな忙しいみたいでなぁ」

梨子「そうなんですか」

希「で、えりちは直ぐに酔いつぶれるやろ?実質穂乃果ちゃんと2人やしな」

梨子「あはは…意外ですよね」

絵里「何よぉぉぉ。希のバカァァ。裏切り者ォォォ」

梨子「な、何があったんですか?」

希「気にせんでええよ。いつもの事だから」

ツバサ「あっ、やっぱりここに居た」

穂乃果「あっ、ツバサさん」

希「おっ、珍しい」

梨子「え?嘘?」

ツバサ「あら?あなた…どこかで…確か…」

穂乃果「Aqoursの桜内梨子さんですよ」

ツバサ「あっ、そうだわ。数年前のラブライブで優勝した!あの時見てたわ。ラブライブも私達の頃と比べて随分と規模が大きくなったわよね」

梨子「あの…え?A-RISEの。芸能人じゃないですか。どうして…」

希「あ~、そっか。梨子ちゃんからするとスクールアイドルのA-RISEってよりも芸能人のA-RISEの方がピンと来るんやな」

梨子「あっ、そう言えばダイヤさんが昔そんな事を言ってた様な」

穂乃果「大丈夫なんですか?」

ツバサ「何が?」

穂乃果「マスコミとか」

ツバサ「いいのよ。せっかく穂乃果さんに教えて貰ったのに滅多にこれないし。私、ここのおでん大好きなのよ?」

穂乃果「それで…今日は何かあったんですか?」

ツバサ「ああ…ちょっと報告が。こないだ歌番組でアーティストのNIKOと一緒になったんだけど」

希「それって」

穂乃果「どう考えてもにこちゃんだよね?」

ツバサ「ええ。やっぱり矢澤にこさんだったわ」

希「そっか。にこっち。元気にやってるんやな。まあ、どっからどう見てもサングラス取ったらにこっちやったけどな」

穂乃果「急に連絡取れなくなっちゃったから心配してたんだよ。安心したよ」

ツバサ「そうね…。うん。元気か…」

穂乃果「え?何ですか?」

ツバサ「矢澤にこさんがあなた達と連絡を絶ってる理由は何となく知ってるでしょ?」

穂乃果「はい。人気No.1になるまで私達とは会わないって宣言してましたから」

希「だからウチ等も敢えて連絡を取ろうとは思わんかったけど」

ツバサ「そう。6月にライブがあるみたいなんだけど」

穂乃果「6月?」

ツバサ「多分…最後のライブになるだろうから」

希「は?最後のライブ?何?引退でもするん?」

梨子「そう言えば…アイドルのNIKOって。こないだネットのニュースに…」

ツバサ「ええ。もう、思う様に歌えないんですって」

穂乃果「え?」

ツバサ「喉が…限界なんですって。きっと、矢澤さんはあなた達にそんか姿見られたくないと思うけど…だけど…」

穂乃果「嘘…」

~部活動説明会当日~

支倉「さ~本番です。ドキドキしますね」

志賀「大丈夫。練習通りやれば」

支倉「なるほど。確かに」

梨子「二人とも頑張ってね」

絵里「私達も全力でサポートするから」

穂乃果「…」

支倉「先生?」

穂乃果「え?ああ…うん。頑張って!あなた達なら大丈夫」

はいっ!

絵里「穂乃果」

穂乃果「高坂先生でしょ…」

絵里「穂乃果…。頼むわよ」

穂乃果「絢瀬先生。そんなことより髪切ろうよ!」

支倉「さ~本番です。ドキドキしますね」

志賀「大丈夫。練習通りやれば」

支倉「なるほど。確かに」

梨子「二人とも頑張ってね」

絵里「私達も全力でサポートするから」

穂乃果「…」

支倉「先生?」

穂乃果「え?ああ…うん。頑張って!あなた達なら大丈夫」

はいっ!

絵里「穂乃果」

穂乃果「高坂先生でしょ…」

絵里「穂乃果…。頼むわよ」

穂乃果は絵里の肩にタオルを掛け、腰まである髪をさわりながら、語りかける。

絵里「えっ・・・・いきなり・・・・」

穂乃果「そんなこと言わずにイメチェンしちゃおうよ!」

絵里「高坂先生が言うのなら・・・・」

穂乃果は、絵里の髪をはさみで肩のラインでカット

髪が30センチほどバッサリ落ちる。

>>81
訂正

穂乃果は絵里の肩にタオルを掛け、腰まである髪をさわりながら、語りかける。

絵里「えっ・・・・いきなり・・・・」

穂乃果「そんなこと言わずにイメチェンしちゃおうよ!」

絵里「高坂先生が言うのなら・・・・」

穂乃果は、絵里の髪をはさみで肩のラインでカット

髪が30センチほどバッサリ落ちる。

教員「次はバレー部お願いします」

支倉「次だね」

志賀「ああ…」

支倉「心の準備は?」

志賀「大丈夫。肝は座ってる方だから」

支倉「良かった。私もドキドキが心地いいくらいだよ」

教員「バレー部ありがとうございました。続けてアイドル同好会」

絵里「さあ、二人とも。出番よ」

梨子「大丈夫。二人なら出来るわ」

穂乃果「うん。二人とも…ファイトだよ!」

支倉「…」

志賀「…」

梨子「良く…やったわよ。たったの一週間であそこまで」

支倉「で、ですよね?まあ、一週間であそこまで出来れば。ね?」

志賀「う、うん」

支倉「でも…もうちょっと、興味持ってもらえると思ったんだけどなぁ」

教員「それでは、アイドル同好会お願いします」

支倉「皆さん。こんにちは。私たちは」

ワイワイ ガヤガヤ

支倉「あっ、私たちはアイドル同好会です」

生徒「でさ~」

生徒「え?マジで?」

生徒「それってヤバくない?」

支倉「あの…」

支倉(誰も話を聞いてない)

志賀「支倉先輩!」

支倉「え?あっ、えっと…今日は私達がどんな活動をしているか紹介したいと思います」

ワイワイ ガヤガヤ

支倉「いや~失敗しちゃったなぁ。まさかあそこで転んじゃうなんて。でも、誰も見てなかったし」

志賀「先輩…」

支倉「うん。そうだね。無様な所を見られてなくて良かった」

梨子「そんな…無様だなん…」

絵里「そうね。無様だったかもね。無様でみっともなかったかもしれない。だってたった一週間ぽっちしか練習してないんですもの」

梨子「絢瀬先生。それは」

絵里「でも、私はそんなあなた達をかっこいいと思ったわ。やっぱり、一生懸命な人はかっこいい。私はそう思うわ」

支倉「先生…」

絵里「きっとそれを見てくれてる人は必ずいるわ」

トントン



支倉「それにしても、だいぶ髪切ったのですね・・・」

絵里「そうですね、だいぶ変わりましたね。」

支倉「ほんとはショートにしたかつたのでしょ?」

絵里「うん、どうしようかな」

支倉「せっかくだから、ショートにしてみようよ。」

支倉「顎のラインでそろえるくらいが似合うかも」

支倉はハサミを持ち出し、絵里の髪を顎のラインでそろえる。

支倉「このくらいでどうでしょうか」

一年生「失礼します」

穂乃果「入部したいんだって」

支倉「え?嘘?」

志賀「だって…」

一年生「あの…先輩達のライブかっこ良かったです」

穂乃果「私達の時も最初は上手く行かなかったけど、それでも見てくれてる人は必ずいるんだよ。ですよね?」

絵里「ええ。そうね」

すると穂乃果は、サイドテールを解いた後、まっすぐに一つ結びにした。

穂乃果「ねぇ、みんな。」

ハサミをもって一つ結びにした髪の結び目から断髪。

穂乃果「ほら、これが穂乃果の髪だ」

穂乃果「ほら、みんなも髪切ろうよ!」

一年生「先輩達、髪なんか切ってどうしたのですか?」

5月

支倉「いや~、良かった。念願の部室。うれしいなぁ」

志賀「毎日同じ事言ってるよな。先輩って変な奴だよな」

支倉「だって嬉しいんだもん。念願の部室に新部員!ね?白木ちゃん?」

白木「はい!」

支倉「それにしても先生遅くない?」

白木「今日は三年生の進路相談だって言ってましたよ」

支倉「へ~」

志賀「へ~って…先輩行かなくて良いのか?」

支倉「え?あっ、忘れてた」

絵里「それで…これは?」

生徒「将来の夢はお嫁さんです」

絵里「ふざけてるの?」

生徒「まさか。本気ですよ」

絵里「はあ。明日までにちゃんと書いてくる事」

穂乃果「……」

生徒「はーい。失礼しました」

絵里「全く。頭痛くなっちゃうわよ」

穂乃果「あはは…」

髪切ったエリーの参考画像はよ

トントン

絵里「どうぞ」

鬼崎「失礼します」

絵里「さっ、座って」

鬼崎「はい」

絵里「進路希望は書いてきた?」

鬼崎「…」

絵里「ほら?進路希望表だして?」

鬼崎「それが…」

絵里「もしかして書けてないの?」

鬼崎「…」

絵里「だって、あなた大学に行くって言ってなかった?」

鬼崎「…」

絵里「どうしたの?ちゃんと答えて」

鬼崎「大学には…行かない」

絵里「え?じゃあ、働くの?」

鬼崎「…」

絵里「二年生の時の三者面談では○○大学に行くって…」

鬼崎「…」

穂乃果「何かやりたい事があるの?」

鬼崎「…」

絵里「答えたくないの?」

鬼崎「すいません。実は○○大学に受かる自信がなくて。迷ってたら…でも大丈夫です。○○大学に挑戦します」

絵里「そう」

鬼崎「すいません。そういう事なんで。失礼します」

ガララ

絵里「どう思った?」

穂乃果「何か隠してますね」

絵里「そうね」

トントン

支倉「失礼します」

絵里「どうぞ」

支倉「すいません。用紙を忘れてしまいました」

絵里「なるほど。一年多く高校生やる?」

支倉「大丈夫でーす」

穂乃果「それじゃあ、お先に失礼します」

絵里「高坂先生。先に行って待ってて」

穂乃果「え?また、今日も行くの?」

絵里「良いでしょ?どうせ帰ったって暇なんでしょ?」

穂乃果「デートかもしれないじゃん」

絵里「ふっ」

穂乃果「今鼻で笑った」

>>98
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=62189992

穂乃果「で酷いんですよ。絢瀬先生ったら。お店に着いたら絢瀬先生のキープしてるお酒全部飲んじゃいましょうよ」

梨子「全部飲む前に倒れちゃいますよ」

穂乃果「あれ?」

梨子「どうしたんですか?」

穂乃果「あの子…うちのクラスの…」

鬼崎「……」

穂乃果「鬼崎さん?」

鬼崎「あっ、先生」

梨子「鬼崎さんのお家ってこっちの方だったの?」

鬼崎「いや…そう言う訳では…」

穂乃果「え?じゃあ、こんな所で何をしてたの?」

鬼崎「な、何でも」

梨子「ここってバイクショップじゃないもしかして、鬼崎さん…バイクが好きなの?」

鬼崎「うん。あそこに飾ってあるバイクがずっと欲しくって」

穂乃果「へ~そうなんだ。鬼崎さんバイクに乗るんだ。あれ?でも、音ノ木坂ってバイクの免許は取って良いんだっけ?」

梨子「申請さえしてあれば免許の取得自体は問題ないはずですけど。何ぶん女子校ですから」

穂乃果「なるほど。それで?鬼崎さんの欲しいって言うバイクはなんてバイクなの?」

鬼崎「あれはRZってバイクなんですけど。250ccだけどナナハンキラーって言われるくらい早くて…」

穂乃果「あ~…」

鬼崎「あっ、すいません。つい夢中になってしまって」

穂乃果「ふふっ。鬼崎さんバイクが大好きなんだね」

鬼崎「はい。子供の頃からずっと好きで…大人になったら……いや…何でもないです」

穂乃果「え?鬼崎さん」

鬼崎「それじゃあ」

絵里「それね」

穂乃果「え?何が?」

絵里「鬼崎さんの進路希望が白紙の理由よ」

梨子「バイク関係の仕事に就きたいとか?」

絵里「そうね」

穂乃果「でも…だったら最初から」

絵里「穂乃果も知ってるでしょ?夢を追う事が出来る環境って凄く恵まれている事なの。この職に就くとそれが嫌でも分かるわわ」

穂乃果「うん」

絵里「二人とも忘れないで?理由は色々あるだろうけど自分の夢を追う事が出来ない人もいるって事を」

穂乃果「でも、それって」

絵里「だから!私達教師が居るのよ。ね?」

梨子「そうですね。私達が全力でサポートしないと」

穂乃果「ですね」

絵里「さて、仕事の話はここまでにして飲みましょうか」

穂乃果「程々にね」

コンコン

鬼崎「失礼します」

穂乃果「あっ、きたきた」

鬼崎「何ですか?」

穂乃果「進路希望の件だけど」

鬼崎「あれだったら○○大学に行くって昨日」

穂乃果「本当は違うんじゃないの?」

鬼崎「え?」

穂乃果「本当はバイクの専門学校に行きたいんでしょ?」

鬼崎「そんな事一言も。だって…あんなのただの趣味だし」

穂乃果「鬼崎さん」

鬼崎「…無理だよ。うちの親…私に凄い期待してるんだ。元々バイクは父親の趣味だったんだけど」

穂乃果「そうなんだ」

鬼崎「うん。子供の頃はよく後ろに乗せてもらったなぁ」

穂乃果「うん」

鬼崎「最初は小学生の時に受けた全国一斉の学力テストで凄いいい点取っちゃって。そしたら親が変に期待しちゃってさ。ただのまぐれだったのにね」

穂乃果「だから、○○大学に行くって言ったの?」

鬼崎「うん」

穂乃果「それ…親御さんには言ったの?」

鬼崎「言う訳ないよ。言える訳…だって…」

穂乃果「言ってみなよ」

鬼崎「でも…」

穂乃果「言ってダメなら諦めればいいじゃん」

鬼崎「そう言う事じゃないんだよ。親がガッカリする顔を見たくないから。自分の夢さえ叶えばそれで良いなんて考え方私には出来ないんだよ」

穂乃果「うっ」

鬼崎「そう言う事だから…先生。私は○○大学に行くよ」

鬼崎「あの・・・・・、先生、髪切って可愛くなりましたね」

穂乃果「>> 111」

絵里「で?言い返せないまま職員室に帰ってきたと」

穂乃果「あ~、私単純に考えてた…最悪だ。教師失格だよ」

梨子「親の期待を裏切ってまで自分の夢を叶えたくないか」

穂乃果「でも…やっぱり、いくら考えてもおかしいと思う。だって、誰の人生でもない。自分の人生なんだよ」

絵里「高坂先生の言ってる事は最もだって私も思うわ。でも、誰しもがそうやって割り切れる訳じゃないのよね」

穂乃果「あ~どうすれば…」

ベテラン教師「若い先生がそうやって生徒の為に悩んでいる姿を見るとまだまだ日本も捨てたもんじゃないと思えますね」

ベテラン教師「それにしても、2人とも髪切りましたね 」

穂乃果「私は自分で切りましたから」

絵里「>>115

なんでなんの脈絡もなく髪切ってんだよ

穂乃果「いやぁ…全然上手くいかなくて。どうしたら良いか…」

ベテラン教師「私も子を持つ親だからね。我が子にはずっと笑顔でいて欲しいって思うんだよ。鬼崎さんの親御さんも同じだと思うけどねえ」

穂乃果「笑顔が…」

穂乃果「鬼崎さん!」

鬼崎「先生…」

穂乃果「鬼崎さん、あのね」

鬼崎「進路希望なら変えないよ」

穂乃果「鬼崎さん、バイクが好きなのはお父さんの影響だって言ってたじゃん」

鬼崎「そうだけど」

穂乃果「悲しむかな?」

鬼崎「え?」

穂乃果「お父さんは鬼崎さんがバイクの専門学校に行きたいって言ったら悲しむのかな?応援してくれないかな?」

鬼崎「それは…」

穂乃果「いくら考えてもやっぱり私はやりたい事はちゃんと言った方がいいと思う。あなたの人生なんだから」

鬼崎「だから、私は…周りの期待を裏切ってまで夢を叶えたいなんて思わないって言ってるだろ」

穂乃果「周りとか親の期待とか関係ないだろ。夢を諦める事を人のせいにするな。そんなの無責任だ」

鬼崎「くっ…」

穂乃果「それに、ご両親は分かってくれるよ。鬼崎さんの事を見てたら分かる。だって、あんなに嬉しそうにお父さんが教えてくれたバイクの事を話してたんだもん」

絵里「それで鬼崎さんはなんて?」

穂乃果「親御さんに話して見るってさ」

絵里「そう。良かったわ」

穂乃果「でも、本当に良かったのかな?あんな事を言って。本当に無責任なのは私の方かもって…」

絵里「それは私達にも分からないわ。何が正解かなんて。やってみて初めて分かる事もあるから」

穂乃果「うん。そうだね。所で絵里ちゃんはなんで教師を目指したの?」

絵里「私?私は…」

穂乃果「うへぇ…生徒会の仕事って凄い大変なんだけど」

海未「仕事を溜め込むからこうなるんです」

ことり「三人で頑張ろう?」

穂乃果「はあ…終わるのに後何時間掛かるのかなぁ」

トントン

海未「はい?」

希「やってる?」

海未「希?」

絵里「明かりがまだついてたから。随分と苦労してるみたいね」

穂乃果「いやぁ…つい溜め込んじゃって。どれから手をつければいいのか…」

絵里「なるほど。そう言う事…」

穂乃果「うわぁ。絵里ちゃん凄い」

絵里「ってな感じでやればスムーズに行くわよ」

海未「流石は絵里です」

ことり「絵里ちゃんって教えるの上手だよね」

絵里「そう?」

穂乃果「そうだよ。絵里ちゃんって先生とか向いてるんじゃないの?」

絵里「私が先生?」

希「確かに。向いてるかもな」

穂乃果「うん。絵里ちゃんぴったり」

絵里「そうかしら…」

穂乃果「うん」

絵里(あの時の穂乃果の何気ない一言がキッカケだなんて)

店主「へい。焼き鳥お待ち」

穂乃果「うわぁ。待ってましたぁ。あ~、私もビールが飲みたらなぁ。挑戦してみようかなぁ」

絵里(なんて言ったら調子に乗るだろうから内緒ね)

穂乃果「焼き鳥美味しいよ?」

絵里「言われなくても食べるわよ」

穂乃果「へ~。で?さっきの答えは?」

絵里「ん?それは…内緒」

ことり「絵里ちゃん、穂乃果ちゃん、髪切ったの?」

希「2人とも結構バッサリいきましたね」

絵里「うん。支倉さんと高坂先生が切ってくれたの」

穂乃果「穂乃果も自分で切っちゃった。えへへ・・・・・」

穂乃果「ん~ふぁ~疲れたぁ。絵里ちゃんああ見えて人使い荒いからなぁ。ん?あれは…」

虎太郎「…」

穂乃果「お~い。虎太郎く~ん」

虎太郎「ん?げっ…穂乃果さん…」

穂乃果「げっとはなんだ~げっとは。美人に声かけられたんだから少しは喜びなって」

虎太郎「そうっすね」

穂乃果「あらら。そっけない。思春期なのかね。で?こんな所で何してるのさ?もしかして…デート帰りかな~」

虎太郎「そ、そんなんじゃないっすよ。バイトの帰りで」

穂乃果「な~んだ。そうなの。つまらない。彼女とかいないの~?モテるでしょ~?このこの~」

虎太郎「穂乃果さん。言ってる事がおばさんみたいっすよ」

穂乃果「なっ。おばさん…」

虎太郎「冗談っすよ」

穂乃果「そっか。おばさんか…」

虎太郎「だから冗談だって…」

穂乃果「あっ…所でにこちゃんは…元気?」

虎太郎「姉貴は…最近ずっと会ってないんで…」

穂乃果「そう…なんだ」

虎太郎「うん」

穂乃果「そっか。うん。まあ、便りがないのが元気な証拠って言うし」

虎太郎「NIKOってアーティスト。あれが姉貴だってのは気付いてるでしょ?」

穂乃果「え?まあ…うん」

虎太郎「まあ、あれで気付かない方がおかしいよね。結構人気だったみたいなんだけどね」

穂乃果「みたいだね。このご時世にCDも結構売れたみたいだもんね」

虎太郎「うん。でも、今結構ネットとかで叩かれてるみたいなんだよね。質が落ちたとかさ。落ち目だとかさ」

穂乃果「…」

虎太郎「発表とかはされてないんだけどさ。多分6月のライブが最後になると思うから。これ…チケット。本当はこれを渡しに来たんだ」

穂乃果「虎太郎君…」

6月某日

ザーッ

花陽「凄い雨だね」

穂乃果「うん。凛ちゃん、来れたんだ」

凛「当たり前だよ。だって…」

絵里「久しぶりね。皆んなで集まるの」

希「そうやなぁ」

海未「流石にことりは無理みたいですが」

穂乃果「真姫ちゃんは?」

花陽「それが…忙しいみたいで。今日も来れるか…」

その日、アーティストNIKOの最後のライブが行われた。

NIKO「~~~♪」

凛「やっぱり、にこちゃんだ。この声…やっぱりにこちゃんだよ」

花陽「うん。そうだね…」

NIKO「~~っ!?」

客「なんだよ。やっぱり声出てないじゃないか」

客「もう終わりだな。NIKOも」

凛「くっ。にこちゃんの事。何にも知らないくせに」バッ

絵里「凛!」

凛「うっ」

NIKO「~~♪」

客「ダメだ。もう聞いてらんないな」ヒソヒソ

客「もう帰るか?」ヒソヒソ

希「にこっち…」

穂乃果「…」

ダッダッダッ

真姫「はあ…はあ…はあ…。にこちゃん…」

その日、アーティストNIKOの最後のライブが行われた。
客が席を立ちライブが終わっても、NIKOは歌う事を暫くやめなかった。

コツ コツ コツ

にこ「…」

真姫「…」

にこ「関係者以外立ち入り禁止のはずよ?」

真姫「にこちゃん…久しぶり…」

にこ「来ないで。あんたに同情なんかされたくないのよ」

真姫「にこちゃん…」

にこ「ふふっ。まさか…こんな終わり方になるなんてね。んふふ…ふふふっ…あはは…あはははは……はは…うっ…くっ…うぁぁぁぁぁん」

真姫「にこちゃん…」ダキッ

にこ「うあぁぁぁぁぁぁ」

真姫「……」

カキーーン

ソフト部「オーライ。オーライ」

穂乃果「……」

支倉「先生。先生聞いてますか?」

穂乃果「んあ?…ごめん。なんだったっけ?」

支倉「合宿の件ですよ。来月から夏休みなんですからね」

穂乃果「ああ…合宿ね。それなら、ん~どうしようか?」

支倉「早めに決めないと~どこも借りれなくなっちゃいますよ」

穂乃果「そうは言ってもなぁ」

梨子「それなら。私、いい所知ってますよ」

支倉「ほんとですか?」

梨子「うん。私の実家の近くに旅館があるの。海も近くにあるし合宿にはちょうど良いと思うわ」

支倉「わぁ。最高じゃないですか。流石、桜内先生」

穂乃果「いや~助かります」

梨子「いえ。子供達の為ですから」

支倉「イェーイ。合宿。楽しみだなぁ」

白木「はい。楽しみです」

志賀「遊びに行くんじゃないだろ?」

絵里「そうよ。志賀さんの言う通り」

支倉「絢瀬先生…」

穂乃果「絢瀬先生って毎回そうやって登場しますね」

絵里「う、浮かれるのは良いけどもその前に大事な事があるでしょ?」カァァァ

支倉「大事な事?何かあったっけ?」

絵里「期末テスト。7月の一週目よ?」

支倉「げっ。期末テスト…」

穂乃果「なんかどこかで見た光景…」

絵里「言っておくけど赤点を取る様であれば合宿はなしよ」

支倉「えーーーー。そんなぁ。ラブライブのエントリーだって控えてるんですよ?」

志賀「赤点を取らなきゃいいじゃねぇか」

支倉「仁美ちゃんだってヤバイでしょ?ヤンキーなんだから」

志賀「ヤンキーじゃねえよ。それに…」

絵里「職員室で聞いたけど志賀さんは学年3位らしいわよ?」

支倉「え?嘘?なんで?え?じゃあ…」

白木「私も赤点はないですかね」

支倉「えーーー。私だけ?」

絵里「本当。どこかで見た光景ね。高坂先生」

穂乃果「え?何のことかな?」

桜内「高坂先生…。赤点だったんですか?」

支倉「先生、よく教師になれましたね」

穂乃果「な、何いってるのさ。そんな事より。支倉さんは何が出来ないの?」

支倉「数学ですけど」

志賀「なんだ。高坂先生の教科じゃんか。教えて貰えば?」

絵里「いや、流石にそれはダメよ。自分で勉強しなさい」

穂乃果「それでも、分からない所があったら質問しにきなよ。そしたら教えてあげるから」

支倉「は~い」

希「へ~、期末テストかぁ。なんか、ウチ等の頃も似た事があったなぁ?穂乃果ちゃん数学大の苦手やったもんなぁ」

穂乃果「そ、そうだっけ?」

梨子「え?それなのにどうして数学を?」

穂乃果「いやぁ…なんでだっけなぁ?」

絵里「あれじゃない?海未とケンカした時」

穂乃果「海未ちゃんと?ああ…受験の時ね!」

海未「穂乃果!受験生なんですからもうちょっと真面目にやったらどうですか?」

穂乃果「真面目にやってるじゃん」

海未「真面目にやってたらこんな点数取るわけないでしょ?」

穂乃果「真面目にやってこの点数なんだよ。現実を見なよ」

海未「それはこっちの台詞です。忙しい絵里にも迷惑を掛けてると言うのに。あなたと言う人は。もう、呆れました」

穂乃果「あ~、そんな事言うんだ」

海未「悔しかったら次のテストで見返せる点数を取ったらどうですか?そしたら、私も頭を下げて謝りますよ」

穂乃果「言ったね?後悔するよ?」

穂乃果「ってな事があって数学を猛勉強したんだよね」

梨子「それで数学教師に…」

希「穂乃果ちゃんらしい理由やろ?」

絵里「まあ、それで本当になっちゃうんだからビックリよね」

穂乃果「時間は掛かったけどね」

支倉「高坂先生。質問に来ました。教えてください」

穂乃果「うん。それは良いんだけど…。支倉さん何年生だっけ?」

支倉「三年生ですよ。何言ってるんですか?」

穂乃果「だよね?まずくない?高校三年生で因数分解もまともに出来ないって結構問題だよ?よく進級出来たね?」

支倉「まあ、他が良いんで。国語なんて中間で98点ですから」

穂乃果「おおっ。確かにそれは凄い。それなのになんで数学はダメなんだろうか」

支倉「なんででしょう?」

穂乃果「うん。わかった。支倉さんは数学が苦手って言う意識はあるの?」

支倉「はい。ハッキリと」

穂乃果「そっか。その苦手意識が邪魔なんだね。私もそうだったんだけどさ。数字を見るだけで嫌になっちゃうの」

支倉「そうなんです。数字を見てると頭が痛くなるんですよ」

穂乃果「あ~、昔の私と一緒だなぁ」

支倉「先生はどうやって苦手意識をなくしたんですか?」

穂乃果「え?私の場合は…見返してやる~って一心で解いてたなぁ」

支倉「え~なんか暗いですね」

穂乃果「まあ…そうだね。じゃあ、逆にさ支倉さんはどうして国語とかはいい点数取れるのかな?」

支倉「それは国語が好きだからですよ」

穂乃果「ふ~ん。どうして好きなの?」

支倉「だって、国語ってストーリー性があるじゃないですか。面白いんですよ」

穂乃果「まあ…でも、漢字テストとかは関係ないでしょ?暗記だし」

支倉「それもコツがあるんですよ。漢字には成り立ちがあるんですよ。そこに私は物語性を見出したのです」

穂乃果「そう言う事だよ」

支倉「」

支倉「え?何がですか?」

穂乃果「そう言う風に何か面白味を探してさ。例えば数式にも成り立ちってのがあるからさ。それに物語性を見出してみたら興味が持てるかも」

支倉「なるほど。言われてみればそうかもしれないですね。どうやって物語性を見出せば良いんですかね?」

穂乃果「例えばさ。マイナス×マイナスはどうしてプラスになるのか」

支倉「そうなるとしか習ってないですけど?」

穂乃果「でしょ?ただ、そう暗記しろって教わったんでしょ?」

支倉「はい。まあ、これくらいなら暗記できますけどね」

穂乃果「例えば支倉さんはお小遣い貰ってるかな?」

支倉「はい。月4千円です」

穂乃果「うん。例えば支倉さんが無駄遣いをする事が増えると残高はどうなるかな?」

支倉「減ります」

穂乃果「無駄遣いをやめると残高は?」

支倉「増えます」

穂乃果「だよね?無駄遣いをの回数が減る。これをマイナスと考える。で、無駄遣いした時に引かれる金額もマイナスでしょ?そうすると無駄遣いが減った回数×無駄遣いした時に引かれる金額=無駄遣いをやめて増えた金額になる訳じゃん」

支倉「おおっ!確かに!マイナス×マイナスがプラスになりました」

穂乃果「でしょ?って感じにやっていけば数学も面白く感じるかもしれないよ」

支倉「なるほど。そう言う事なんですね」

穂乃果「勉強もやり方一つなんだよ」

絵里「……」

穂乃果「絢瀬先生?どうしたんですか?」

支倉「めっちゃ驚いてますね」

絵里「いえ…穂乃果がちゃんと数学を教えられてると思って…」

穂乃果「いや…教師だから…って言うかここ職員室だからさ…」

絵里「…」ポロポロ

穂乃果「いっ!?」

支倉「え?」

同僚「え?絢瀬先生?どうしたんですか?」

絵里「なんか…嬉しくて…。あんなに教えても怖いくらい身に付かなかった穂乃果が…立派になって…」

穂乃果「ええ?そんな?」

支倉「高坂先生どれだけ出来なかったんですか?」

穂乃果「ふぁ~疲れた。さて、テストも作り終わったし帰ろうかな」

梨子「あっ!じゃあ、ちょうど良かった。絢瀬先生が先に行ってるらしいんですよ」

穂乃果「また?飲んでばっかりいるからいい人が見つからないんだよ」

梨子「あはは…。どうします?高坂先生も行きますよね?」

穂乃果「いやぁ、私はやめときます。この後行く所があって」

梨子「あっ、もしかして…」

穂乃果「違いますよ。そんなんじゃないですって。実家に帰るだけなんで」

梨子「あっ、そうなんですか。高坂先生の実家ってここから割と近いんですよね?どうして一人暮らしを?」

穂乃果「まあ…なんとなく一人暮らしの方が気が楽かなって」

梨子「そうなんですね」

穂乃果「そうなんです」

梨子「分かりました。じゃあ、絢瀬先生には私から言っておきますね」

穂乃果「絵里ちゃんのお世話よろしくね」

梨子「あっ、はい」

穂乃果「あ~、雨が降り出しそうだなぁ。急いで帰らなきゃ」

虎太郎「…」

穂乃果「あっ、虎太郎君…」

虎太郎「穂乃果さん。この前はライブ…来てくれたみたいで。ありがとうございました」

穂乃果「いや…そんな、お礼を言われる程じゃ…」

虎太郎「…」

穂乃果「…」

虎太郎「…」

穂乃果「あの…にこちゃんは?」

虎太郎「姉貴は…事務所に残る事にしたみたいです」

穂乃果「え?そうなの?」

虎太郎「はい。少し休憩したら後輩の育成に力を入れるって。結構もう割り切ってるみたいで。アイドルをプロデュースして伝説を作るって。本当、太い神経してるよ」

穂乃果「そっか」

虎太郎「はい。まあ」

穂乃果「そっかぁ」

虎太郎「はい。それから…一応姉貴から穂乃果さんに伝言があるんですけど」

穂乃果「え?伝言?」

虎太郎「穂乃果が教師なんて世も末ねって」

穂乃果「へ?それだけ?」

虎太郎「はい」

穂乃果「む~……そっか。直接言いに来ればいいのに。でも、なんか久しぶりににこちゃんっぽい台詞を聞いたなぁ」

虎太郎「それじゃあ、俺はこれで」

穂乃果「え?もう言っちゃうの?」

虎太郎「はい。これから家族で小旅行に行くんで」

穂乃果「そうなんだ。じゃあさ、私からもにこちゃんに伝言!頼まれてくれる?」

虎太郎「え?まあ…良いっすけど」

穂乃果「お土産よろしくって!」

虎太郎「きっとセンス悪いっすよ」

穂乃果「うん」

ガララ

穂乃果「ただいま~」

穂乃果母「あら?お帰り。遅かったじゃない」

穂乃果「テストを作るのに時間掛かっちゃってさ。パソコンとにらめっこで目が疲れたよ」

穂乃果母「は~、あんたからそんな台詞が出るなんて。どうりで歳をとる訳だわ」

穂乃果「なにそれ?って言うかお父さんは?」

穂乃果母「町内会の寄り合い」

穂乃果「は?娘が帰って来てるのに?雪穂達は?」

穂乃果母「今日は記念日だから外食するんですって」

穂乃果「へ~。そうなんだ。仲良いんだね~。こりゃ、穂むら。も安泰だ。で?誰も居ないのに私はなんで実家に呼ばれた訳?」

穂乃果母「別に大した用事じゃないんだけどね。あんた、付き合ってる人とか居ないでしょ?」

穂乃果「え?何?なんでそんな事聞く訳?決め付けないでよ」

穂乃果母「いるの?」

穂乃果「居ないけどさ」

穂乃果母「じゃあ、ちょうど良かった。実はお見合いの話があってね」

穂乃果「げっ。お見合い?」

穂乃果母「そうよ。常連さんの息子さんなんだけどね」

穂乃果「いやだよ。別に困ってないしさ」

穂乃果母「そんな事言わずに。写真だけでも見てみない?」



希「で?結局こっちの方に来た訳や」

穂乃果「だってさ…」

絵里「いいじゃない。会ってみたら?もしかしたら、良い人かもよ?」

梨子「もしかして、タイプじゃなかったとか?」

穂乃果「そう言う訳じゃないけどさ。私と十は離れてるんだよ?」

希「え?アカンの?」

穂乃果「え?希ちゃんはオッケーなの?」

希「別に愛があれば年の差なんてええんやない?」

絵里「そうなの?何?もしかして、希の彼氏って…」

希「だからちゃうって」

穂乃果「はあ。もう嫌になっちゃうよ。なんか悩みとかも段々生々しくなって行くって言うかさ…」

絵里「良いじゃない。言われるだけ…。私なんて誰にも言われないのよ?亜里沙も気を使ってそう言う話し絶対にしないし。こないだも、気を使われるのが嫌で自虐的な事を言ったらね…」





絵里「は~、私もこの歳で一人なんて。もう結婚出来ないかもしれないわね。これと言った趣味もないし貯金を趣味にしようかな~」

亜里沙「…」

絵里「あっ…あの…目指せ貯金1億円~。なんて無理か~」

亜里沙「あっ、私ちょっと…出てくるね?」

絵里「き、気を付けてね~」

絵里「ってな感じで。ああ言うのが一番傷つくのよ。何がいけないのよ」

梨子「飛び抜けて美人だしモテそうなんですけどね。絢瀬先生…」

希「あれやない?えりちは美人過ぎて男の人も近寄り難いとか」

穂乃果「いや、単に酒癖が悪いんだと思うよ」

絵里「そんなに悪い?」

穂乃果「うん。どうせそろそろ荒れるでしょ?」

梨子「それとも理想が凄く高いとか」

絵里「そんな事ないわよ。普通よ普通」

希「きっと全部なんやろうな」

絵里「なっ、なんで私の話になってるのよ。穂乃果の話だったでしょ?」

穂乃果「絵里ちゃんが勝手に話を奪って言ったんでしょ。私だって本当は泣きたいんだよ。妹に先を越され親にはプレッシャーを掛けられ。はあ…高校の頃が懐かしいよ…」

絵里「そうね」

希「あかん。そろそろ、面倒くさくなる頃や。梨子ちゃん今日はお開きにしようか?」

梨子「そうですね」

絵里「嫌だ~。帰りたくない~」

希「あ~もう手遅れやったか」

梨子「みたいですね」

穂乃果「ね?言ったでしょ?そろそろ荒れるって」

絵里「私の何がいけないのよ。結婚もしてないのに結婚式に呼ばれるのが多くて誰よりも結婚式場に詳しくなっちゃったわよ」

希「穂乃果ちゃん。責任持って連れて帰ってな?」

穂乃果「いや、そこは希ちゃんでしょ?」

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「はい。それじゃあ後ろの人テスト集めて」

支倉「先生~」

穂乃果「どうしたの?」

支倉「今日から練習再開ですね」

穂乃果「うん。でも、まだ安心するのは早いよ?」

支倉「大丈夫ですよ。今までにないくらい自信満々なんですから!」

穂乃果「そう。それは良かった」

支倉「先生!早く部室に来て下さいよ。私、大変な事に気付いたんですから」

穂乃果「大変な事?何それ?」

支倉「それは部室で話します」

絵里「え?ライブを?」

支倉「はい。私気付いたんです。私達って一回もライブをやってないんですよ」

志賀「確かに。もうそろそろラブライブのエントリーも始まると言うのに」

穂乃果「まあ、でもそれは仕方ないよ。作曲の方だってまだ勉強中でしょ?」

梨子「それが支倉さんって飲み込みが早くて。割と形になってきたと言うか」

穂乃果「そうなんですか?」

絵里「ダンスの方も支倉さんも白木さんもさまになってきたものね」

穂乃果「作詞の方も白木さん結構いい感じなんだよね?海未ちゃんのとこにコツとか教えて貰いに行ったもんね?」

白木「はい。今結構書き溜めてて」

支倉「え?って事は…ライブが出来る!」

絵里「その前に…一番大切な事を忘れてない?」

支倉「へ?なんですか?」

絵里「グループ名は?」

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「忘れてたなぁ…グループ名。私達の時ってどうやって付けたんだっけ?希ちゃんが付けたの様な…ん?」

生徒「馬鹿!もう知らない」

永山「あっ…」

穂乃果「あの子は…」

永山「はあ…」

穂乃果「何かあったの?」

永山「高坂先生…」

穂乃果「何かあったんなら話聞くよ?」

穂乃果「はい。コーヒーで良かったかな?」

永山「ありがとうございます…」

穂乃果「喧嘩しちゃった?」

永山「私が悪いんです。私と麗ちゃん…佐伯さんって中学一年生の時に仲良くなってそれからずっと一緒だったんです。けど…」

穂乃果「けど?」

永山「高校に入学して…初めてクラスも別々になって。最初は麗ちゃんが居なくて大丈夫かなって不安だったんですけど。ちゃんとクラスに友達も出来て。昨日、学校の帰りに麗ちゃんとパフェを食べに行く約束をしてたんです。でも、クラスの子に誘われちゃって…断れなくて…それで…」

穂乃果「え?約束すっぽかしたの?」

永山「いえ…連絡は入れたんです。パフェは別の日でいいかなって。でも…」

穂乃果「そっか」

永山「それで…謝ろうと思って」

穂乃果「う~ん。なるほど」

永山「私…どうすればいいですか?麗ちゃんとこのまま疎遠になるなんて絶対に嫌なんです」

支倉「あ~、グループ名。思いつかない…」

志賀「だからさ、爆音少女とかいいだろ?」

支倉「絶対に嫌」

白木「私もそれはちょっと…」

穂乃果「ねえ?白木さん」

白木「はい?なんですか?」

穂乃果「白木さんって佐伯さんの事知ってる?」

白木「同じクラスですよ?佐伯麗音さんですよね?」

穂乃果「どんな子なのかな?」

白木「明るく元気でそれでもってしっかり者って感じですよ」

穂乃果「あ~そうなんだ」

支倉「なになに?もしかして、勧誘ですか?四人め入れちゃいます?」

穂乃果「違う違う」

支倉「なんだ。つまらないな」

梨子「私も授業を受け持ったますけど真面目でいい子ですよ。佐伯さん。確か…B組の永山さんと仲が良いんじゃなかったかな」

穂乃果「ふ~ん」

梨子「何かあったんですか?」

穂乃果「ああ…後で…」

佐伯「…」

穂乃果「佐伯さん…だよね」

佐伯「高坂先生…?」

穂乃果「こんな所で何してるの?」

佐伯「別に。これと言って何もしていですけど?」

穂乃果「そう…」

佐伯「はい」

穂乃果「実はさ…」

佐伯「ああ…もしかして、みなみとの事?」

穂乃果「え?」

佐伯「先生が見てたの気づいてましたから」

穂乃果「そ、そうなんだ。じゃあ…」

佐伯「別に…怒ってないですよ。我ながら子供じみてるなぁって反省してたんです」

穂乃果「そっか」

佐伯「少し寂しかったんですよね。みなみが私の知らない所で新しい友達を作って」

穂乃果「寂しかったか…」

佐伯「最初は心配してたんです。みなみって人見知りだから。私が居なくてもクラスに馴染んでいけるのかなって。それが、クラスにちゃんと友達を作って。人の気も知らないで楽しそうに。私はこんなにもみなみの事を考えてるのにって。本当…押し付けがましくて最低…」

梨子「そんな事ないわよ」

佐伯「桜内先生?いつから」

梨子「ごめんなさい。話を盗み聞きする様な真似して」

佐伯「いえ…」

梨子「私も似た様な経験があるの」

佐伯「先生が?」

梨子「高校の頃にスクールアイドルをやってたんだけど」

佐伯「え?桜内先生がですか?」

梨子「そうよ。自分でもびっくりするけどね。友達に誘われて最初は三人で」

梨子「私以外の二人は小さな頃からの幼馴染でね。スクールアイドルも最初はその二人で始めたの。そこに転校生だった私が誘われる形で加入したの」

穂乃果「そうだったんだ」

梨子「その誘ってくれた子が作詞をしてて私は作曲を担当してたから仲良くなるのに時間が掛からなかったわ」

梨子「でも、私達の仲が深くなっていくに連れてもう一人の子はどこか疎外感を感じてたみたいで」

佐伯「嫉妬…ですか?」

梨子「って本人は笑いながら言ってたけどね」

佐伯「え?その人と先生…今は」

梨子「ふふっ。青春時代なんて色んな事があるわ。失敗したり嫉妬したり挫折したり。傷ついたり傷つけたり。そんな事ばかりよ」

佐伯「先生…」

梨子「だからって訳じゃないけど。本音でぶつかった方が良いよ。大事な事を伝えずに後悔するより。そうですよね?高坂先生」

穂乃果「うん。そうですね」

絵里「へぇ。桜内先生がねえ」

梨子「そ、そんな大した事は言ってないですよ」

穂乃果「え~、そんな事なかったですよ。カッコ良かったですよ。青春時代なんて色々な事があるわよ。って!」

希「おおっ!かっこええなぁ。学園ドラマの先生みたいや」

梨子「や、やめて下さい。そんなんじゃないですから」

穂乃果「桜内先生照れてる~」

絵里「珍しく顔真っ赤ね。私より早く酔っ払っちゃったのかしら?」

梨子「もう。そんなんじゃありません」

花陽「穂乃果ちゃん酷いよ」

穂乃果「うわぁ。どうしたの?」

花陽「職場にAqoursのメンバーが居るのに教えてくれないなんて」

穂乃果「え?ああ…だって花陽ちゃん普段飲みに来ないし。まあ、子育てとかあるから当たり前だけど」

花陽「あ、あの。私、ラブライブで優勝した時会場で見てましたぁ。さ、サイン貰っても良いですか?」

絵里「花陽…。一応私達スクールアイドルとして先輩なのよ?」

花陽「そんな事は関係ないよぉ」

希「花陽ちゃんはお母さんになっても花陽ちゃんやなぁ。なんか嬉しいわ」

梨子「ふふっ」

穂乃果「ん?どうしたんですか?」

梨子「なんか…。佐伯さんと永山さんの事を見てたら昔の事思い出しちゃって」

穂乃果「青春時代?」

梨子「はい。色々あったなぁって」

店主「お客さん。タクシー呼んであげるからもう帰んな」

お客「だ、大丈夫…」

穂乃果「ん?あっちで何かあったのかな?」

梨子「さ、さあ…」

絵里「酔っ払いじゃないのぉ?」

希「酔っ払いはえりちや」

店主「ちょ、ちょっと大丈夫?タクシーが来るまで座ってな」

お客「うっ…平気…」フラフラ

花陽「大丈夫かな?」

穂乃果「いや、どう見ても大丈夫じゃなさそうだよ。ちょっと言って来るよ」

梨子「あっ!?」

穂乃果「へ?何?」

梨子「ルビィちゃん?」

ルビィ「ふえ?」

穂乃果「え?知り合い?」

花陽「Aqoursのメンバーだよ」

~穂乃果宅~

ルビィ「ん…んん…お姉ちゃん…」

梨子「すいません。高坂先生」

穂乃果「平気平気。それにこのまま歩かせる訳にも行かないし。もう一人もいるし…」

絵里「うぅ…グスッ…グスッ」

梨子「あはは…寝ながら泣いてますね」

穂乃果「うん」

梨子「そっか。ルビィちゃんは東京の大学に入学してたのよね。あっちでは会うけど東京で会うのは初めてだから」

穂乃果「そうなんだ。それにしても、何があったのかね?結構酔ってたみたいだけど」

梨子「そうですね。心配だわ」

チュンチュン

ルビィ「ん…んん…ここは…どこ?」

穂乃果「あっ!起きた?」

ルビィ「へ?あれ?μ’sの穂乃果ちゃん?」

穂乃果「おおっ!本当だ!桜内先生の言う通りだ!」

ぴ、ピギィィィィィィィ

穂乃果「ど、どうしたの?急に?」

ルビィ「ど、どどどうしてμ’sの高坂穂乃果さんが…」

穂乃果「え?ああ…そっか。何から説明すればいいのか…。私と桜内先生は同じ学校で教師をしてるんだよ。で、昨日たまたま近くで飲んでたらルビィちゃんが酔い潰れてたって事なんだけど」

ルビィ「そ、そそそそ…そ…」

穂乃果「いや、落ち着きなって」

絵里「そうよ。お味噌汁作ったけど飲む?酔いが醒めるわよ?」

ルビィ「へ?」

ピギィィィィィィィ

ルビィ「あ、ああ絢瀬…あや…絢瀬絵里…さん…」

穂乃果「もう。絵里ちゃん隠れてなよ」

穂乃果「結構酔ってたみたいだけど何かあったの?」

ルビィ「そ、それは…」

穂乃果「いいよ?嫌なら無理に言わなくても」

ルビィ「ごめんなさい」

穂乃果「…あっ!ルビィちゃんは今日は何か予定があるの?」

ルビィ「え?」

穂乃果「買い物付き合ってよ」

ルビィ「わ、私がですか?」

穂乃果「他にいないじゃん」

ルビィ「でも…良いんですか?」

穂乃果「もちろん。高校時代の桜内先生の話とかもじっくり聞きたいし。うしし…」

絵里「さあ、そうと決まったら朝御飯食べちゃいなさい」

穂乃果「だね!」

穂乃果「ほら?ルビィちゃん。この服可愛いよ」

ルビィ「本当だ~」

絵里「こっちの方が可愛いわよ」


絵里「ここのクレープ凄い美味しいのよ?」

穂乃果「やっぱりクレープって言ったらイチゴだよね」

ルビィ「あはは。穂乃果さん。顔にクリーム付いてますよ」

穂乃果「え?本当?」

穂乃果「いやぁ、久しぶりに遊んだね」

絵里「そうね。毎日毎日忙しくて暇なんてなかったものね」

ルビィ「あの…今日はありがとうございます」

穂乃果「いやいや。こっちこそ。付き合ってくれてありがとうね」

ルビィ「また…遊んでくれますか?」

穂乃果「もちろん!」

ルビィ「嬉しいです」

穂乃果「ふふっ。そう言えば、ルビィちゃんはお姉さんがいるの?」

ルビィ「え?」

穂乃果「いや、寝言でお姉ちゃんって言ってたから」

ルビィ「はい。私には姉が一人居るんです。美人で優しくて頭が良くて自慢のお姉ちゃんなんです」

絵里「あら?私みたい」

穂乃果「そうだね」

絵里「何よ?」

穂乃果「別に」

ルビィ「だから、私はそんなお姉ちゃんにずっと憧れてて。いつかお姉ちゃんみたいになりたいって。東京の大学に入学したのもお姉ちゃんが通ってたから。時間は掛かっちゃっけど…」

穂乃果「そうなんだ」

ルビィ「はい。お姉ちゃんみたいになるんだって。でも、現実はもっと厳しくて。全然上手くいかなくて…」

ワイワイガヤガヤ

ルビィ「あの…○○学部の黒澤ルビィです」

ワイワイガヤガヤ

ルビィ「あの…出身は…」

ワイワイガヤガヤ

ルビィ「あっ…」


バイト「黒澤。2番テーブル早く片付けろ」

ルビィ「は、はい」

客「まだ、注文した物がこないんだけど」

ルビィ「た、ただいま…」

ガシャーン

ルビィ「あっ…」

客「黒澤ぁ」

ルビィ「ただいま…」

シーン



『そっちでの生活はどう?』

ルビィ「うん、うん。上手くやってるよ。だから、しょっちゅう電話掛けて来なくてもいいよ。うん。じゃあね、お姉ちゃん」

ピッ

シーン

ルビィ「…… 」

教師「黒澤。こないだのレポート間違いだらけだぞ」

ルビィ「す、すいません」

教師「しっかりしろよ」

ルビィ「はい…」



店員「黒澤ぁ。早くしろぉ」

ルビィ「は、はい。今行きます…」

ルビィ「…」

穂乃果「よしっ!カラオケでも行こうか!」

ルビィ「え?今からですか?」

穂乃果「うん。今から」

ルビィ「でも…」

絵里「歌は嫌い?そんな訳ないわよね?スクールアイドルAqoursの黒澤ルビィちゃん?」

ルビィ「はい」

穂乃果「どんなに頑張っても上手くいかない時もあるよ。」

穂乃果「まあ、でもそんな時は連絡してよ。その時は愚痴くらい聞くからさ!」

ルビィ「ありがとう…ございます」

理事長「と言う事で学生の本分を忘れる事なく夏休みを楽しんでください」

絵里「理事長からのお話でした。以上を持ちまして一学期終業式を閉式します」


キーンコーンカーンコーン

支倉「あっぶなぁかったぁ」

志賀「先輩あんなに自信満々だったのにギリギリなんだな」

白木「良いじゃないですか。無事クリア出来たんですから」

絵里「そうね。欲を言えばもうちょっと点数欲しい所だけどね」

支倉「まあ、いいじゃないですか。これで合宿も行いますし」

梨子「それもそうだけど。グループ名は?結局夏休みまでライブも行わずに来ちゃったけど」

支倉「ちゃんと考えて来ましたよ。三人で今日まで考えてこようって言ってたんです」

穂乃果「へ~そうなんだ」

志賀「じゃあ、私から。私が考えたグループ名は…暴走天国!どう?」

支倉「だから絶対やだって。何?暴走天国って?暴走って…アイドルだよ?」

志賀「違うよ。暴走天国って書いてミッドナイトパラダイスって読むんだよ」

支倉「無理があるよ」

志賀「じゃあ、先輩はどうなんだよ?」

支倉「ふふ~ん。私?私はねぇ…どうしようかなぁ。言っちゃおうかなぁ」

志賀「白木はなんか考えて来たのか?」

白木「私は…you'sなんてどうですか?」

志賀「ユース?」

白木「はい」

梨子「ユース…そっか!青春って意味ね!」

志賀「はい。それからyouの複数形であなた一人じゃない。仲間が居るよって意味も…」

支倉「あの…私のは?」

絵里「だからスペルがyou'sなのね?」

白木「はい。音ノ木坂の先輩グループμ’sからも少し拝借したのもありますけど」

志賀「いいんじゃないか?うん。いいよ!」

支倉「いや、待ってよ。私の…」

穂乃果「じゃあ、今日からあなた達はyou'sだ!」

支倉「え?私のは?」

絵里「そしたら、夏休みに入る前にやる事が出来たわね!」

支倉「やる事?」

穂乃果「ラブライブにエントリーだよ!」

支倉「あっ!」

白木「ついに!」

志賀「やるしかねぇか」

穂乃果「よし!それじゃあ、夏休みは忙しくなるよ」

はいっ!

一学期 完

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