【ガルパン】みほ「コンプレックスの檻の中で」 (35)

前作の後日談のようなものです。
前作:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521376418

まだ書ききってないのですが、今週中に終わらせるくらいの気持ちでスレ立てしました。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1521458364

西住みほは戦車道全国高校生大会で優勝した大洗女子学園の隊長である。
戦力に乏しい大洗女子学園を導いたその手腕と才能は、もはや「西住流」の肩書きがなくとも誰しもが認めるものだろう。
しかし他ならぬみほはまだ自分を認められずにいた。

みほ「お姉ちゃんだったらもっと上手くできたんだろうな……。」

戦車を降りた後、ベットに入るとつい口に出てしまう。
みほの姉であり黒森峰女学園の元隊長である西住まほはその世界では知らない者がいないほどの指揮官だ。
西住流の家元として常に周りの期待に応えてきた姉をみほは尊敬していた。
それだけではない、失敗して怒られても庇ってくれる姉、西住流でない戦車道を許してくれた姉、優しい姉が大好きだった。

だからこそみほは苦しむ。
どうして自分はできないのか、逃げてしまうのか、自分の中で越えられない存在となった姉と比べてしまうのか。
もうなんども繰り返した自己嫌悪。
それはまほ率いる黒森峰女学院を倒した後も変わることはなかった。

しかし変わったこともある。
逸見エリカとの関係だ。
嫌われていると思って避けていたのは過去の話で、今はお互いに支え合う大事な恋人だ。
月に何度かあるデートの後、みほの部屋に来ては慰め、 慰められ、体温を分け合う。
これが唯一姉に対する劣等感を忘れる方法であった。

乙 続き待ってます

続き書きます。
というか書き終わったので全部投下します!

みほ「エリカさん、早く会いたいな。」

口癖のようになってしまった言葉を吐き出し、眠りにつく。
自分で作ったコンプレックスという名の檻の中で、エリカが傷を舐めにくる時を夢見て。

次の休日、みほとエリカは町に出かけた。
それは周りからは親友同士に見えただろう。
昔の2人では考えられないくらい近い距離で、買い物したりお茶したり、所謂普通のデートを楽しんでいた。

その後、いつものようにみほの家に行くと、エリカがいつもとは違う表情で切り出した。

エリカ「みほ、私たち、このままじゃいけないと思う。」

みほ「え……?エリカさん……?」

みほは頭でそれを理解していたが、理解したくなかった。
いつかこのときが来るということを分かっていたが、分かりたくなかった。
混乱している内にエリカが続ける。

エリカ「はっきり言うわ。このままだと私たちはお互いに依存しきってしまう。そんなの、支え合っているとは言わない。」

エリカの厳しい言葉に、みほはうつむく。
厳しい言葉が正しいだけに、みほはなにも言えなかった。

エリカ「分かっているんでしょう?この関係は私たちが望んでいたものじゃないってこと。」

「その通りだ。」とみほは思った。
みほがエリカに抱いていた感情は、もっと暖かくてキラキラと輝いていたものであったはずだ。
決して冷たい檻の中でお互いの傷を舐め合うようなものではなかったはずだ。
エリカは檻から出るべく、みほの手を引いて出口に向かって進んでいるのだ。
それを分かっていながら、それでもみほは立ち止まる。

みほ「でも、私……。」

エリカ「大丈夫、私がついているわ。」

エリカに優しく抱きしめられたみほはそれでも消えない不安感に怯えていた。
出合った仲間に、姉に認められ、自分の戦車道を見つけてもなお消えない劣等感。
自分にとって特別な存在であるはずの仲間でも断ち切れない感情を、本当に忘れることができるのか。
エリカが前に進んだとき、自分は横にいることができるのだろうか。
みほの心は恐怖に支配されていた。

みほ「ごめんね、エリカさん。私に付き合わせちゃって。もう大丈夫だよ。」

エリカ「みほ……。」

みほが出した結論は逃げることだった。
エリカからも逃げ出そうと、必死で笑顔を作る。
しかしエリカはそれを許さない。

エリカ「ふざけないで!私からも逃げるつもりなら、私はあんたを絶対許さないから!」

みほ「逃げるなんて……そんな……。」

エリカ「あんた前に言ったわよね?『同じ』だって、『気持ちがわかる』って!だったら私があんたのことわからないわけないでしょ!」

みほ「だって!怖いよ……。私はエリカさんみたいに強くない。向き合うことなんてできない!」

みほは涙を流して訴えかける。
今まで誰にも話したことのない心の内、それをエリカにぶつけるように声を上げる。

エリカ「私が強い?バカじゃないの!あんたに嫉妬して!隊長のようになれない自分を責めて!それに堪えきれなかった私が強いわけないでしょ!」

みほ「だったら!だったら……なんで私と一緒にいてくれないの?エリカさんとなら私……。」

エリカ「みほ、目を覚ましなさい。そんなの自分たちを苦しめるだけよ。今ならまだ間に合う。」

みほ「来ないで!」

抱きしめようとしたエリカをみほは突き飛ばして拒絶する。
しかしエリカは諦めない。

エリカ「みほ、お願い。わかって。」

エリカは何度も何度もみほに近づいていく。
以前自分がされたように、みほに力を与えるために抱きしめようとする。
その度にみほに拒絶され、ベッドにぶつかり、机にぶつかり、ついには怪我をしてしまうが、それでも諦めない。

みほ「もうやめて!もう嫌だよ!エリカさんを傷つけたくなんてない!」

泣き崩れたみほを今度こそ抱きしめる。
みほはまだ逃れようと身を捩るがエリカがそれを許さない。

エリカ「離さないわ。私はあなたと一緒にいたい。だから離さない。」

みほ「どうしてわかってくれないの?私は自分と向き合うなんてできない!」

エリカ「みほ、あなたのことはわかってるわ。あなたが自分を認められないのもわかるし、向き合うのが怖いのもわかってる。」

みほ「じゃあなんで!」

泣き叫ぶみほにエリカは優しい笑顔を見せる。

エリカ「あなたを、愛しているから。愛する人と幸せになりたい以上に理由なんてないわ。」

ハッキリとした、自信に溢れた口調でエリカが言うと、みほは諦めたように力なく言葉を返す。

みほ「……そんな、勝手すぎるよ。」

エリカ「何言ってるの?こうさせたのはあなたよ。私をその気にさせておいて、ただで済むと思ってたの?」

みほ「エリカさん……。」

エリカ「離さないわ。あなたが自分と向き合えるまで、ずっとずっとそばにいる。」

みほ「じゃあその後は?」

エリカ「言わないと分からないの?」

エリカはみほを押し倒し、キスをする。

エリカ「なら分からせてあげる。」

しばらくして、ベッドの上でエリカの腕に抱かれたみほが一人言のように話しだす。

みほ「さっきのエリカさん、ボコみたいでカッコよかったなぁ。」

エリカ「はぁ?あの熊みたいってどういうこと?」

ボコとはみほが好きな熊のキャラクターだ。
いつも喧嘩を売っては返り討ちになり、ボロボロになりながらまた喧嘩を売る。なにがしたいのかよくわからない存在だ。
エリカはボコの良さがまったくわからないので少し強い口調になる。
それをまったく意に介さず、みほは答える。

みほ「あんなに拒絶されても真っ直ぐ向かってきて、やられてもやられても立ち上がって。カッコよかった。」

エリカ「やったのはあんただけどね。」

みほ「ご、ごめんなさい。」

コントみたいなやりとりに、エリカは笑う。
みほはなぜエリカが笑ったのかはわからなかったが、つられて笑顔になる。

エリカ「いいのよ。まさかあんたがあそこまで嫌がるとは思ってなかったけど。」

みほ「うん、自分でもびっくり。私、あんな風に怒鳴ったの初めてかも。」

実際みほが声を上げるのは戦車道で指示を出すときくらいだろう。
みほの記憶では少なくとも小学生のころまで遡らなければならないほどの大声だった。

エリカ「あら、2回も初めてをもらえるなんて光栄ね。」

みほ「エリカさん!」

エリカ「冗談よ。……機嫌、治った?」

みほ「うん、大きな声を出したからかな、なんかすっきりした。」

エリカの冗談に怒ったようなみほだったが、その顔は先ほどの泣き顔まで嘘だったかのように晴れやかだった。
だからエリカはここで切り出す。

エリカ「……なら答え、聞かせてもらえる?」

みほ「……正直ね、まだ自信がないんだ。」

みほは真っ直ぐにエリカを見つめ、ゆっくりと、言葉を捜しながら話す。
いつものエリカならばイライラして叱り飛ばすところだろうが、今日はじっと、みほを信じて答えを待つ。

みほ「 でもね、 …… いくら考えてもエリカさんと一緒にいたいってことだけは変わらなかった。」

みほ「だからエリカさんを信じる!エリカさんが愛してるって言ってくれた私を、私も愛したい!……です。」

その瞬間エリカはみほを強く抱きしめる。

エリカ「みほ!愛してる!愛してるから!」

みほ「うん!私もエリカさんのこと、愛してる!」

抱きしめ合う2人はいつものような甘い夜を過ごす。
それが檻の中ではないということだけが、ただいつもと違っていた。

以上です。

思ったより後日談っぽくならなかったですね。。。
まぁ前回はエリカの弱いところを書いて、今回はみほの弱いところを書いたってことで前編後編ぽくはなったのかな?

エリみほのいいところは2人の精神的な弱さだったり、自己肯定感の少なさだったりするところだと思うので、
それを表現しようとしたら結構重い話になってしまいました。
まぁ好きなんですがね。嫉妬に狂ったエリカとか罪悪感から言われるがままになるみほとか興奮します。

あと、夜の話ももっと細かく書きたかったんですが、全年齢版のほうにスレ立てしてしまったのでしょうがないですね。
多分みほが謝罪しながら怪我したところにキスしてうんたらかんたらとかになってたと思います。

ということで今回も見ていただいてありがとうございました。
次回はバカでエロい話を書こうと思っています。

乙 次回作も期待してる

おつおつ 今後も良いみほエリを頼むよ

>>31
乙あり
そう言ってもらえるとありがたい
期待に応えられるよう頑張ります

>>32
乙あり
いずれもっと明るいみほエリを書きたいと思ってはいます
というかこの2人はこのカップリングでないとダメな体になってしまったw

ちょっとテスト
♥️

この二人もっと増えて良いんやで、乙

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