【ガルパン】そど子「西住さんのお母さん!その不良みたいな服装は校則違反よ!!」 (52)



 最終章のお話です

今回は他校ではなく大洗学園艦が舞台です

よろしくお願いしマウス




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― 大洗


沙織「新しい戦車が見つかったんですか?」

桃「うむ、学園艦の下の方で反応があってな、種類まではわからんが間違いなく戦車があるようだ」

沙織「じゃあ!早速取りに行かなくちゃ!!」

桃「う、うむ…そのだな…船の下は船舶課なんだが…反応はさらに底の方なんだ」

沙織「え?そうなの?」

そど子「そうよ、それに船舶課より下は風紀の及ばない大洗のヨハネスブルグと呼ばれる無法地帯なのよ」

沙織「あ、そど子先輩」

そど子「園みどり子先輩よ!!まったく…そんなとこに行くなら名誉風紀委員長の私が一緒じゃないとね」

沙織「助かります!」

そど子「でも、身の危険を考えると何人か頼りになる人が必要ね…」

沙織「じゃあ、あんこうの皆にも連絡…」


???「それには及びません」




しほ(スケバンスタイル)「戦車のしほ!!」

百合(スケバンスタイル)「生け花の百合!!」

好子(スケバンスタイル)「散髪の好子!!」


しほ・百合・好子「「「 我ら!年増三姉妹!! 」」」


沙織「し、しぽりん…」


そど子「ちょっと!!西住さんのお母さん、その不良みたいな服装は校則違反よ!!」


しほ「せからしか!!…コホン、どうやら治安の悪い所のようですから、腕利きの私達の出番のようですね」

沙織「どこから、その話を聞いたの?」

桃「わ、私から…ママさん達にお願いしたんだ」

沙織「河嶋先輩が?」




桃「うむ…西住は今度の無限軌道杯の準備もあるだろうし…」

桃「五十鈴や秋山は生徒会の引き継ぎで忙しいから…」

沙織「私も河嶋先輩から引き継ぎあるんだけど」

桃「わかってる!!これは私の我儘なんだ…私の力で大洗に何かを残したかったんだ…」

沙織「なるほど」

桃「それで私の跡を継ぐ武部なら頼ってもいいかと思ってな…」

沙織「で、しぽりん達にお願いしたわけだ」



しほ「厳密に言うと戦車が見つかったけど、どうしたらいいか悩んで泣いていた河嶋さんから聞き出しました」

桃「うわぁ!!西住のお母さん、それを言わないでぇ!!」

好子「そんなわけで私達が協力しようってことにしたんですよ!!」

百合「この船の下にどんなスリルが待っているのかドキドキしてきますわ」

沙織「そ、そうなんだ…あれ?おばあは?」




 グァシャァァンッ!!(ドアを蹴り破る音)


久子(リーゼント)「おばあの出番だ!コラァ!!」


しほ「!?」

好子「!?」

百合「!?」

沙織「お、おばあ…」

そど子「ちょっと!!ドアはちゃんと開けて入りなさいよ!!それにその髪型も校則違反!!」

桃「あわわわ…」




久子(リーゼント)「“待”ってたぜェ…呼ばれる“瞬間”をよォ!!」ビキッ


沙織「おばあ…なんて髪型してんの、それにそんな特攻服まで…」

しほ「おばあクン…、ドエレー“COOOL”じゃん…」ビキッ

沙織「んもー、年考えなよぉ」

久子「アタシは見てみたいのさァ“寿命の向こう側”ってヤツをよォ…」ビキビキィ!

沙織「おばあ、それ洒落にならないから麻子の前で言うのやめてね」

久子「あ、はい…」

そど子「もう!冷泉さんのおばあさんも他の皆も校則以外の服装は禁止よ!!」

沙織「ほらー、しぽりん達もそんな格好止めて普通の服に着替えてきなさーい」


ママさん「「「「 はーい 」」」」




……


しほ(大洗制服)「じゃあ行きましょうか」

桃「え、その恰好が普通なんですか?」




桃「よし、じゃあ出発するぞ」

しほ「ちょっと待ってください」

桃「な、なにか、不備でもありましたか?」

しほ「いえ、ここに来る前にこんな新聞を拾いましてね…」ピラッ


 『ダブリやねん!河嶋桃さん 留年待ったなし!』


桃「……」

沙織「何これ!?河嶋先輩、来年も学校にいるんじゃん!!」

桃「ち、違う!!確かに厳しいとこはあるけど卒業はできる!!…よ、予定だ」

好子「その言い方ですと、その後の進路…大学入試の方は…」

桃「だ、大丈夫だ!本番の試験ではちゃんと決めるから!!」

百合「弾を当てる感覚でヤマ勘で試験を当てようというのは危険なのでは?それに河嶋さんは…命中率もおよろしくないですし」

桃「う、ううっ」

久子「留守番して勉強してろ」

沙織「そうですよー、同級生になって年上の河嶋先輩を“ももりん”なんて呼びたくないですよ、私」

桃「わかった、よろしく頼む…」

沙織「じゃあ!行こっか!しぽりん、よしりん、百合、おばあ、そど子先輩!!」

桃「……」

そど子「先輩ってちゃんと呼んでくれるのは嬉しいけど、そど子呼ばわりは定着なのね…」






………


― 学園艦 最下層


百合「なんともまぁ…時代錯誤な風景ですわね」

好子「昭和の時代でしかお目にかかれない不良達の日常ですね」

しほ「なんだかワクワクしてきますね」

そど子「ちょっとピクニックじゃないのよ!!」

そど子「いい!?私から離れないで!、ここでは少しでも気を抜いたら誘拐なんて日常茶飯事なのよ」

久子「そういえば、沙織は?」



沙織「きゃあぁっ!!」ズルズル



しほ「あら、沙織さんが不良達に引きずられて連れて行かれてますね」

好子「なんだか出荷される家畜みたいです」




沙織「ちょっと!見てないで助けてよぉ!!」ズルズル…



久子「可哀想に…沙織を運ぶなんて腰への負担を考えているのか」

そど子「早く!武部さんを助けに行くわよ!!」

百合「あわてなくても沙織さんの匂いは判りますから、見失う事はないですよ」

久子「沙織の重量を運んでるなら、すぐ追いつくだろ」




不良A「おい、こいつ…」ズルズル

不良B「やだ、重っ…」ズルズル

沙織「やだもー!!」ズルズル




……

……


― BARどん底


百合「クンクン…沙織さんの匂いが…ここにいますね」

そど子「まるで警察犬ね」



カトラス「…いらっしゃい」

ムラカミ「…フン」

ラム「…」ニヤニヤ

フリント「♪のんでーのんでー…」


好子「どうやら、BARのようですね」

久子「へえ、なかなか風情があるじゃないか」

カトラス「オーダーは?」


しほ「芋のロック」

好子「黒ホッピー、ナカはキンミヤで」

百合「冷酒を升グラスでお願いします」

久子「生中だ」


カトラス「…え、えーと」

そど子「何、普通に酒を飲もうとしてるのよ!!制服姿での飲酒は許さないわよ!!」




そど子「ねえ?ここにウェーブのかかった髪型の恋愛に縁が無さそうな娘がいるはずなんだけど、知らないかしら」

ムラカミ「あん?」

ラム「おほっ!あー、ソイツなら…」

フリント「奥で掃除しているよ」


沙織「んもー、こんな汚い部屋じゃ男の人呼べないよー!!」ゴシゴシ

そど子「武部さん!…足に鉄球まで付けられて…なんて酷い事を!」


カトラス「さっきの彼女の特徴の表現も充分酷いと思うけど…」


しほ「沙織さん!!」

沙織「あ、しぽりん」




しほ「大丈夫でしたか!沙織さん!!」

沙織「…」

好子「心配したんですよ!!」

沙織「…」

百合「御怪我が無くてなによりです!」

沙織「…」

久子「アタシ達が来たから、もう安心だぞ」

沙織「ねぇ…」



沙織「なんで、皆、私じゃなくて足に付いた鉄球の方に話しかけてるの…」

しほ「あ」




しほ「え、えーと…ですね」

沙織「うん」

好子「く、暗くて判りにくくてですね…」

沙織「うん」

百合「鉄球と沙織さん丸くて似てるし」

沙織「なるほど」

久子「あと両方とも重いからな」

沙織「じゃあしょうがないね」

しほ「そうですね…」


一同『あははははは』



沙織「やだもー!!」ブオンブオン

しほ「ちょ、沙織さん鉄球を振り回さないで!!」




好子「さぁ、行きましょう、武部殿」

ムラカミ「おっと待ちな、ソイツはアタイらのモンだぜ」

ラム「この船底を全部掃除するまでは出してあげられないね~」

フリント「そういうこと」

沙織「ええ…」

そど子「そんなの横暴よ!」

百合「そうですわ!」

久子「沙織は丸いけどルンバじゃねぇ!!」

カトラス「…だったら勝負…勝ったら開放してあげる」

しほ「望むところです」

沙織「み、皆…無茶はしないでね」




フリント「まずは私、」

  シュルシュル…

フリント「このロープをほど…」


百合「縄プレ…縄裁きなら、私にまかせてください!」

 ビシーン!!

フリント「ほどい…え?」


百合「これを…こうして…」

 シュルシュル…グイッ…グイッ

フリント「え?ちょっと…なんで私に縄を掛ける…きゃあっ!!////」

 ビシィッ!!

しほ「おお…これは見事な亀甲縛りね」

好子「六角形も寸分違わってないです!!」

久子「一本の縄でこれだけとは…凄いな」

百合「私が、日活ロマンポルノで学んだ、秘技“鬼六スペシャル”ですわ!」

沙織「ゆ、百合…こんなこと、いつも旦那さんとしてるの?////」

フリント「いやぁぁん!!ほどいてぇぇっ!!/////」




フリント「うぅ…お嫁に行けない…」シクシク

ラム「つ、次はアタシだよ!この手旗信号を読み取れるもんなら…」バッ!


しほ「!!」ティキーン!!

しほ「“イカの功より、年の功”ですって!!イヤミか貴様ッッ!!」


ラム「おほっ!?ま、まだ信号し終えてないのに!?」


好子「凄いですね西住殿!!先読みですか?」

しほ「勘でもありますが、出だしの内容から、どうみても“イカの功~”の始めの部分よ間違いないわと思ったからよ」


ムラカミ「なんなんだ…このオバサン達は…」

カトラス「どいて…次は私」




 スッ…

カトラス「指相撲よ」

久子「じゃあ、アタシが行こうかね」

久子「おい小娘」

カトラス「なに?」

久子「見ての通り、アタシは貧弱な老婆だ」


しほ(嘘ね)

好子(嘘ですね)

百合(嘘ですわね)

沙織「嘘!?おばあ貧弱だったの!?」


久子「アンタと指相撲したら指の…手の骨がグシャグシャ…大変なことになるかもな」

カトラス「…え」ビクッ




久子「加えて、アタシには身内が孫娘一人だけでね…」

カトラス「そ、そう…」

久子「これで手が不自由に何て事になった日にゃ、孫はアタシの為に介護に明け暮れるんだろうねぇ」

カトラス「う…」

久子「身内びいきじゃないけど優秀で自慢の孫なんだ…」

カトラス「うぅ…」

久子「あの子の明るい未来を…アタシのせいで台無しにしちまうのかねぇ…ううッ…」ウルッ

カトラス「うぁ…」


しほ「はい!レディ・ゴォー!!」

カトラス「え?」



久子「フンッ!!」

 ガシィッ!!

カトラス「ちょ!?…いきなり」

好子「ワーン…ツー…」

カトラス「ぐっ…何これ…指が…動かない」

百合「フォー…ファーイ…」

久子「ほれほれ~」グリグリ

カトラス「くっ…なんで…老婆の…こんな細い指なのに…」

しほ「…テーン!!」

久子「やったぜ」

沙織「おばあ、ちょっとセコイよ」

久子「勝てばいいのだ」


そど子「ひぐっ…れ、冷泉のおばあさん…腕がづかえなくなっても私が一緒に面倒みてあげるからぁぁ」グスグス

沙織「ほらぁ~、そど子先輩が心配して泣いちゃってるよ」

久子「すまんな、そど子…ほらこれで涙を拭け」

そど子「ビぃーン!!」

沙織「それ、私のハンカチなんだけど…」


カトラス「…」(よ、よかった…腕が使えなくるおばあさんにならなくて…)

ムラカミ「ああ!!もう!!まどろっこしい!!」




ムラカミ「こんな連中、一発殴っちまえばそれで済むだろうよ!!」グォッ


 バッ… パシィッ!


ムラカミ「!!…な」

好子「……」

ムラカミ「あ、アタシの拳を片手で受け止め…」

好子「いいパンチですね…でも」ニコリ

好子「パンチってのは…」ゴァッ!


 ビシュッ!!(ムラカミの顔に寸止め)


ムラカミ「うお…」

好子「こうやるんですよ」


沙織「よしりん、す、凄い…」

百合「流石、理髪店だけにパンチの扱いはお手の物ですね」





お銀「ふふん、やるじゃないか」




ラム「お、おやびん…」

ムラカミ「あ、あの…すんません…」

お銀「なーに、なかなか骨のあるヤツ等が来たってことだろ、どんな骨かは見たことないけどね」

沙織「あ、貴女は?」

お銀「子分達が世話になったな」

そど子「子分…という事は貴女が彼女達のリーダーね」

お銀「ああ、アタシはお銀、人呼んで…」


しほ「“かげろうお銀” ね!!」

お銀「竜ま…え?」

好子「そういえば、どことなく、くのいちっぽいですね」

お銀「いや…竜巻なんだけど…」

百合「一人だけ、へそをお出しですし、色っぽさを強調してますね」

お銀「…」

久子「エロいな、この後入浴シーンでもあるのか」

お銀「違う!!“竜巻のお銀”だ!!」クワッ!




 ドンッ!!(瓶をテーブルに叩きつける)


お銀「BARどん底名物、ハバネロクラブのワンショット対決、受けて立つかい?」

しほ「どれどれ…ペロッ」

お銀「海賊シルバー船長も泣いて飛び出す…軽はずみで舐めたら…」

しほ「なによこれ、物足りないわね」

お銀「やけど…え!?ええっ?」


しほ「芋焼酎ぅ~(国民的青狸風)」キコキコーン

しほ「せっかくだから、これを足しましょうか」ドポドポ

お銀「え…」

好子「でしたら、これもどうですか!!マぁムシぃ~」

しほ「いいわね!!」

百合「では私も、どぉくだみぃ~」

お銀「ちょ…待って…」

久子「アクセントでコイツはどうだ、サルミアッキぃ~!!」

しほ「ようし!他にも色々と入れてみましょうか!」

好子・百合・久子「「「 いーねー! 」」」

お銀「……」



しほ「それでは、これをレッツ・ラ・まぜまぜ!!」


しほ「できあがり!!」




しほ「さぁ!ママさんスペシャル飲み比べ対決よ!!」

お銀「え…うそ…これ飲むの…」

ラム「おやびん!!アタシラの仇を!!」

ムラカミ「たのんます!!」

フリント「お願いします」

カトラス「口直しは用意しておきます」

お銀「くっ…し、仕方ないねぇ!!あ、荒波に飲まれても酒には飲まれない、そ、それが海賊の流儀ってもんさね!!」ダラダラ


沙織「うわぁ…」

好子「流石ですね!!私達の方も負けてられないですよ!!」

久子「ああ、おめえの出番だ、そど子!沙織!」

そど子「え」

沙織「え」




沙織「いやいやいや!私を助ける為の勝負なのに、私が出るのはおかしいでしょ!」

百合「でも、ここにいる中で勝負に参加してないのはそど子さんと沙織さんだけですから」

そど子「武部さん、自身の自由は自分で勝ち取るものよ」

沙織「そど子先輩…私も道連れにしたいだけなんでしょ」

そど子「そ、そんなことないわ」

しほ「さぁ!!グイッと飲んでもらいますよ!!」


お銀「…」

そど子「…」

沙織「…」


しほ「レディー、ゴォーッ!!」


 グイッ!!


お銀「べふぇぇっ!!」ブーッ!

そど子「へぼォッ!!」ブーッ!

沙織「やだぼォおぇぇぇぇ…」ブーッ!


ラム「おぅやぁびぃぃぃん!!」




お銀「……」チーン

そど子「……」チーン

沙織「……」チーン


ラム「あぁ…おやびんまで…」

ムラカミ「いったいなんなんだよ…コイツら…」


しほ「いやー、流石BARね、酒の種類が豊富よねー」グビグビ

好子「そういえば、このメンバーでお酒を飲むのは初めてですね」ゴクゴク

フリント「さ、酒盛りをはじめてる…」

百合「でも、このBAR…少々薄暗くて…私好みではありませんね」

久子「だったら大改装するか?」

しほ・好子・百合「「「 いーねー!! 」」」

カトラス「え?」

久子「やっぱり大漁旗は外せないよな」

百合「私、船盛り用の船を持って来ましたわ」

好子「床屋の入口にサインポールが欠かせないように、でっかい提灯もぶら下げましょうよ!」

しほ「いっそ、店の制服も海女風で褌にしましょうか?」


カトラス「いやーっ!!私のどん底がー!!」

ムラカミ(褌か…悪くないかもな…)



今回はここまでとなります

続きは不定期になりますが投下させてもらいます

よろしくお願いします

いつもありがとうございます

続きを投下させていただきます





……

………


― 大洗 生徒会室


杏「どー、五十鈴ちゃーん、私が座ってた椅子の座り心地は?」

華「まだ落ち着かないですが、この椅子に座る者として恥じないよう努力してまいります」

柚子「ふふっ、そんなに畏まらなくても五十鈴さんなら大丈夫よ」

優花里「そうです!私も副会長として五十鈴殿をしっかりサポートしますので!!」

華「頼りにしています、優花里さん」

みほ「二人は戦車道では装填手と砲手だからね、きっと上手く行くよ」


麻子「それに、生徒会には沙織もいるしな…河嶋先輩、ここ間違っている、さっきと同じミスだぞ」

桃「え!?そ、そうなのか」


柚子「桃ちゃん~冷泉さんが勉強教えてくれるんだから頑張らないと」

杏「がんばれ、かーしま、夢のキャンパスライフが待ってるぞ!」

桃「待ってて下さい会長!私もすぐに追いつきますからね、あと柚子、桃ちゃんと呼ぶな!!」

麻子「それだと今の会長の五十鈴さんと同学年になるぞ」

桃「黙れ、私にとって会長は会長なんだー!」

みほ「あはは…そういえば河嶋先輩、沙織さんはどうしたんですか?」




桃「た、武部か…」ビクッ

優花里「武部殿なら、ママさん達と一緒だと思いますよ」

みほ「え?」ビクッ

麻子「おばあも西住さんとこに行ってくるって言ってたぞ」

みほ「そ、そうなんだ…」(し、知らなかった…)

華「今頃、行ったことのない新しい学校で騒いでいるんじゃないですかね?」

みほ「だといいんだけど…」

桃「え、えーと…」(皆には新しい戦車を見せて驚かせるつもりだから話してなかったよー!)

華「ふふっ、何故か耳を澄ませば、いつものあんこう音頭の音色が聞こえてくるような気がします」 ア…ンア…

みほ「……」(何だろう…いやな予感がする…)


 コンコン…コンコン…


華「あら、誰でしょう?どうぞ入ってください」




エリカ「失礼するわ」

みほ「え、エリカさん!?」

まほ「久しぶりだな…」

みほ「お姉ちゃんまで?」

杏「どったの?黒森峰のトップ二人が揃ってウチなんかに」

エリカ「いきなりの訪問でごめんなさい、報告する事がありまして」

エリカ「…実は今度の無限軌道杯、私は隊長として黒森峰を率いることになるわ」

優花里「おお!それはおめでとうございます」

麻子「それで、私達に宣戦布告か」

エリカ「それは抽選会場でも出来るわよ…今度は一緒にお茶でも飲みながらね」ニヤリ

華「では、その時には逸見さんを元副隊長さんとお呼びすればいいのですか?」ニヤリ

エリカ「是非そうして頂戴、…っと話が逸れたわ」

エリカ「ここへ来たのは…私の隊長就任をね…」


エリカ「家元に承認してもらう為に、ここへ来たのよ」

みほ「え?」




みほ「ちょっとまって、お母さん達はどこかの学校に行ってるんだよね?」

優花里「さぁ?私は行き先までは聞いてないです」

華「私もです」

麻子「私もだ」

みほ「え、エリカさん…お母さんがここにいるって知ってたの?」


エリカ「家元に連絡したら大洗にいるって言ってたわよ」

みほ「あわわわ…」

まほ「な、なぁエリカ…報告はお母様が熊本に戻ってからでもいいんじゃないのか…」

エリカ「なに言ってるんですか、無限軌道杯まで時間もないんですよ」

エリカ「それに隊長も留学の準備もあるでしょうし」

まほ「そ、そうだが…」(いやな予感がする…)

桃「何!!留学だと!?」




桃「に、西住のお姉さんは大学決まっているのか?」

まほ「あ、ああ、ドイツの方に戦車特待生としてな」

杏「ほえー、流石だねー」

柚子「大学でも活躍を期待しています」

まほ「ありがとう、私以外でもダージリンやカチューシャも海外へ行くと聞いている」

優花里「皆さん、すごいですね」

まほ「ヘッツアーのチームも大学で戦車道を続けるのか?」

杏「う~ん…戦車道の前にね」チラリ

柚子「進学の方で…」チラリ

桃「……」




桃「納得いかん!!何故だ!!私は全国大会優勝校の副隊長だぞ!!」

桃「その私に声が掛からずに、なんで私に負けた連中の進路が安泰なんだぁ!!」

まほ「……」

エリカ「うわぁ…」

優花里「そもそも、それまでの実績が違いますし…あと私達の勝利と言わないのは如何かと思いますよ」

麻子「言ってて恥ずかしくないのか…あと、そこ間違ってるぞ」

桃「うるさい!!こんなの不公平だぁ!!わぁ~ん!!」  …アン…ン


みほ「そんなこと、どうでもいいです!!」

桃「え?…私の進路がどうでもいい…」

みほ「ええ、そうです!お母さん達が学園艦に紛れ込んでるんだよ!!早く逃げないと!!」

まほ「そ、その通りだな、こうしている間にも何が起こるかわからんのだし」


華「逃げるって…別に捕って喰われる事でもないと思いますけど」

エリカ「別にやましいことがあるわけでは無いのですから、普通にお会いすれば良いのでは」


みほ「……」(捕まったら大変な事になるの、華さん!!)  …アン

まほ「……」(普通じゃない…普通じゃないの知ってるだろ!エリカ!!) …アアン




ゴモヨ「た、大変です!!」




麻子「風紀委員が慌てて、どうした?」

パゾ美「識別に無い戦車がこっちに向かっている」

優花里「戦車ですって!!どんな戦車ですか!!」

パゾ美「よくわからない、上に砲塔もないっぽいし戦車なのかどうかも」

優花里「ほうほう」

ゴモヨ「一つだけわかるのは…」


ゴモヨ「その戦車の上で西住隊長のお母さん達が踊っているってことだけなの」


みほ「いやぁぁぁ!!」ガクガク

まほ「うわぁぁぁ!!」ブルブル


 ゴゴゴゴ……

    ……アアアン アン♪ アン♪


しほ(あんこうスーツ)「あんこうの踊りの時間だ!オラァ!!」ビキビキィ!




――アアアン アン♪ アアアン アン♪ アアアン アアアン アン アン アン♪


沙織(あんこうスーツ)「河嶋先輩!!戦車、見つかったよー!!」

優花里「武部殿!!おお!!あれはマークⅣ戦車!!」

華「他の戦車とは随分造形が違いますわね」

優花里「何分にも古い戦車ですからねぇ…」


好子(あんこうスーツ)「でも、この戦車は便利よ!」

百合(あんこうスーツ)「ええ、これだけ上部が平らですから」

久子(あんこうスーツ)「やっぱり、ひし形戦車!走りながら踊っても…」


好子・百合・久子「「「 大丈夫!! 」」」


麻子「おばあ、元気そうだな」


お銀(あんこうスーツ)「久々に甲板に上がって来たと思えば…」バッバッ

ラム(あんこうスーツ)「おほっ!まさかこんな踊りをさせられるとは!」モサッモサッ

ムラカミ(あんこうスーツ)「いいんじゃねーか、これはこれで」ドスドス

フリント(あんこうスーツ)「ムラカミは気楽でいいねぇ(ううっ…恥ずかしい////)」フリフリ

カトラス(あんこうスーツ)「店は改装されるし…もうなんなのよ…」クルクル

桃「お、お前達!?」




お銀「桃さん、お久しぶりです!しほさんから聞きました、桃さんが仲間の為に戦車を必要だって」

桃「え?ああ…」

ラム「桃さん~こんな荒くれ者どもを率いていたなんて流石っす!!」

ムラカミ「アタシがステゴロで負けたなんて始めてだったぜ」

桃「え…その…この人達は…生徒では…」

しほ「話してみたら、河嶋さんにお世話になった方達みたいでして快く協力してくれました」ヒソヒソ

好子「河嶋殿の顔を立てて私達は河嶋殿のお使いという事で話してあります」ヒソヒソ


そど子(あんこうスーツ)「まったく…散々だったわ」

麻子「おお、そど子も一緒だったのか」

ゴモヨ「そど子~」

パゾ美「そど子が一緒で、よくこの状況を見過ごしたな」


そど子「うーん、私も校則違反よ!!と言ってやりたかったけど…」

麻子「けど、なんだ」

そど子「西住さんのお母さん達ね、あんこう踊りで不良達を更生させちゃったのよ」


みほ「え?」

まほ「は?」




………

……



― 少し前の話 学園艦 船下


しほ(あんこうスーツ)「私は今からお前達と踊る!!」


不良A「は?」

不良B「そんな恥ずかしいカッコできねぇよ」

好子(あんこうスーツ)「たしかにあんこうスーツでの踊りは恥ずかしいでしょう…」

百合(あんこうスーツ)「ですが、その踊りの恥ずかしさも三日も経てば消えます」

久子(あんこうスーツ)「だがな!!お前たちが高校生活三年間を周りを妬んで何もせずにいた日々だったとしたら、もっと恥ずかしいとは思わんか!!」

不良A「うっ…」

不良B「…で…す…」




しほ「我慢せず、思いっきり叫べ!!」

不良B「恥ずかしいですッ!!」

不良A「アタイ達だって、もっと青春をしたいよ!!チキショーッ!!」

好子「それでいいんです!!心に素直になるそれが青春なんです!!」

不良A「先生ェ…」

百合「貴女達は今、自分の殻を打ち破っているんですよ!!」

不良B「で、でも…アタイ…次はどうすればいいのかわからないよ…」

久子「だったら、新しい自分に生まれ変われ」スッ


 あんこうスーツ


元不良A・B「「先生ェ!!」」

しほ「さぁ!!着替えて一緒に踊るわよ!!」


沙織「えっと…『それはしほ達にとって、生徒との絆をより深めたいという願いから発した行為であった、これは趣味ではない』」

沙織「『もし、趣味だと呼ぶ者があれば出るところへ出てもよい、しほ達はそう思っていた』…これでいいの?」

好子「はい!ありがとうございます」

そど子「継続の隊長の言い方じゃないけど、このナレーションに意味なんてあるの?」

久子「このナレーションが重要なんだぞ、そど子」






……

………


そど子「…とまぁ、こんな感じで次々と不良達は更生したってわけ」

華「まぁ、それは素晴らしいですわね」

みほ「えっ…ということは…」

まほ「その…あのあんこうスーツを着た大集団が下に控えているって事か…」

そど子「その通りよ」


まほ「わ、私は急用を思い出した!!これで失礼する!!」バッ

みほ「わ、私も実家に帰らなくちゃ行けないような気がするから!!一緒に行こうお姉ちゃん!!」バッ


ガシッ!!

  ガシッ!!


まほ「!?」

みほ「!?」




まほ「な、なんだ…か、体が動かない…」

みほ「わ、私も…まるで…鉄球でも着けられたような…重さが…」


沙織「やだもー、みぽりん、どこ 行くの?」ガシッ!

みほ「さ、沙織さん…」ガクガクブルブル


まほ「み、みほ!では私の方は…いったい…」チラリ


桃「頼む!!西住のお姉さん!!私が推薦を取れる方法を教えてくれ!!」ガシッ!




まほ「は、離してくれ!!」

桃「そんなこと言わずに!!協力してくれ!!」


しほ「みほぉ~、まほぉ~」タッタッ


みほ「あわわわ…お母さんが!!お母さんがぁっ!!」

まほ「あぁぁぁ!!お母様が来る!!離せ!!離せぇ!!」

桃「頼む!!私を助けてくれ!!」


まほ「助けて欲しいのは私の方だぁぁぁっ!!」




しほ「んもー、みほもまほも母親離れ出来ないのねー」


みほ「…」(ああ…もうダメだぁ…)

まほ「…」(もういやだ…帰ったら、すぐに日本を離れよう…)


 プルルルル…


しほ「あら、電話ね」ピッ


しほ「しほしほ~…」

しほ「…ええ、解ったわ…次の無限軌道杯からは貴女が隊長なのね…」

まほ「まさか!?」


しほ(あんこうスーツ)「最後にエリカ、黒森峰の隊長として恥じない様に振り舞うのですよ」


みほ「その姿でよくそんなこと言えるよね…」

まほ「エリカ…電話で済む報告だったじゃないかぁ!!エリカぁぁぁーっ!!!」




― 黒森峰 飛行船内


小梅「良かったんですか、隊長を置き去りにしてきて」


エリカ「“居残”る奴は…“熟女(ママさんチーム)”と“踊(あんこう踊り)”っちまっうのよ…」





みほ・まほ「「もういやぁぁぁ!!」」



 END



 この物語は、ある学園の廃校に戦いを挑んだ生徒の母親達の記録である

 高校戦車道界においてまったくの年齢対象外のこのチームが現れてから

 各校を全国行脚なし遂げた奇跡を通じて、その原動力となった愛と踊りを

 余すところなくSS化したものである。


以上です

ありがとうございました



BCには行かないの?



― オマケ


 まほ留学後の テレビ電話での会話


エリカ「西住隊長…私に隊長が務まるでしょうか…」

まほ『……』…ウィーン

エリカ「隊長?聞いてますか?」

まほ『あ、ああ…聞いている…大丈夫だ、エリカなりの方法でやってみなさい』…ウィーン

まほ『自分を信じろ、そして付いてきてくれる隊員も信じるんだ』

エリカ「ありがとうございます」

まほ『うむ…それで一つだけ聞きたいのだが…』…ヴィーン

エリカ「はい」

まほ『私は日本を発つ前に、黒森峰の事もあるからエリカにだけは連絡先を教えたよな』

エリカ「はい」

まほ『……』


ヴィーン ヴィーン


しほ『まほ、そこ掃除機掛けるからちょっとどいて』


まほ『お母様にここを教えたんだな』




まほ『お母様にここを教えたんだな』

エリカ「……」

まほ『沈黙は肯定とみなすぞ』

エリカ「家元がどうしてもと言うので…」

しほ『ハンバーグ御馳走してあげるって言ったら教えてくれたわ』

エリカ「あ!家元、それは言わないでください!!」

まほ『……』

エリカ「隊長ありがとうございます、私やっていけそうです、失礼します」プツッ

まほ『……』


まほ『何しに来たのですか…お母様…』

しほ『まほったら、留学するのにコレを忘れたから届けに来てあげたのよ』


 あんこうスーツ


まほ『体操着を忘れた小学生の親のノリでドイツまで来ないでください!!』



 以上です

 ありがとうございました

>>49

ありがとうございます

次はBCかマジノで考え中です

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