モバマスより輿水幸子と小日向美穂(たぬき)などのSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
前作です↓
緒方智絵里「らびっとぱにっく」
緒方智絵里「らびっとぱにっく」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518709081/)
最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519982670
―― 羽田空港 国際線ターミナル
ダンッ
幸子「カワイイボクが戻りましたよ、プロデューサーさん!!」
P「おお、幸子! 無事だったか!!」
幸子「無事じゃないところに行かせた自覚はあるんですね!?」
幸子「というか連絡してたじゃないですか、今日帰ってくるって!」
P「いやぁまあそうなんだが、帰国途中に遭難するくらいのウルトラCはやりかねないからな」
P「ともあれ改めて、『カワイイボクには旅をさせよ ~輿水幸子の世界一周~』お疲れさん。日本でも大好評だったぞ」
幸子「フフーン! 全世界にボクのカワイさを知らしめることができましたね!」
P「いやーこれは偉業だぞほんとに。あと行ってないのは北極と南極と深海と宇宙くらいだな」
幸子「……行かせようとか思ってませんよね?」
P「めでたい! まったくめでたい! 祭りだ祭りだ!!」
幸子「ちょっと!!」
P「ま、とにかく久しぶりの日本だ、しばらくゆっくりするといい。ご両親もお待ちかねだぞ」
幸子「……もう、わかってませんねプロデューサーさん!」
P「?」
幸子「しばらく休むだなんて言語道断! せっかく日本に舞い戻ったこのボクを放っておくつもりですか?」
幸子「そんなの、10,000カラットのダイヤモンドを後生大事に箱詰めしておくようなものですよ!」
P「ほぉ、抜かしおるわ……」
P「んなら帰る前に事務所に顔でも出してく?」
幸子「当然です! みんなボクがいなくて慢性的カワイイ不足で苦しんでいたことでしょうしねっ」
P「カワイイが不足するとどうなる」
幸子「知らないんですか?」
幸子「脚気になります」
P「リアルにきつい」
幸子「両親に至っては既に壊カワイイ病のおそれがあるので先にちょっと電話してきますね」
ブロロロ
P「こっちも色々あってなぁ。何人か新しい子も入ったんだよ」
幸子「ボク、テレビが映るとこにあんまりいませんでしたからね……。皆さんお元気なんですか?」
P「うん。楓さんと茄子さんはいつも通りだし、芳乃も美嘉も近頃ますます好調だし、寮組も何人か新メンバーを加えつつ平和だ」
P「周子と紗枝とか、菜穂や智絵里や由愛とは顔合わせまだだよな。改めて紹介するわ」
幸子「ふうむ。それは少々心配ですね。ボクと直接対面することでKRS(カワイイリアリティ・ショック)を受けてしまわないか……」
P「なーに大丈夫だ、みんな対抗できるくらいカワイイ」
幸子「なら安心ですね!!」フフーン
P「……でこれ何?」
幸子「何ってお土産ですよ。メキシコの部族の人から友好の印にと受け取ったものです」
幸子「ボクが個人的に所有していてもいいのですが、友好の印ならやっぱり皆さんがいる場所に飾った方がいいかと」
P「めちゃくちゃ緑色なんだけど大丈夫なの? 被ったらCV山寺宏一の超人になったりしない?」
P(――うーむ。家で休むと思ってたから、幸子おかえりパーティーの準備はまだ終わってないが……)
P(まいっか、一旦事務所に顔出すくらいは)
ブロロロロロロ……
―― 事務所
美穂(狸)「ぽこ~」ノビノビー
美穂(あぁ、最近あったかくて気持ちいい……)
美穂(って、いけないいけない。事務所でもうっかり狸に戻っちゃうこと増えたなぁ)
美穂(ああでも、みんなもう知ってるし……たまのお昼寝くらいいいよね)
美穂(だって、このソファが気持ち良すぎるのがいけないんだもん……)ウトウト
カツカツカツ
P「――ってちひろさん今会計課に行ってるわ。ちょっと呼んでくる」
美穂(あっ。この声、プロデューサーさん♡)
美穂(と、あれ? 匂いがもうひとつ――)
P「てことで先に入っといてくれ。まだ誰もいないと思うけど」
幸子「まったく仕方ありませんね。あんまりボクを待たせないでくださいよ?」
美穂(!?)
美穂(あ! 幸子ちゃん帰ってくるの今日だったっけ! えっ、でも今!?)
美穂(じゃ、じゃあ空港からここに!? 直で!? パーティーの準備まだ……じゃなくて!)
美穂(私まだ狸なんだけど!!)
美穂(あああ戻っあっ慌てて上手くできな、ああっままま間に合わないだめだめだめ!!)
ガチャッ
幸子「おはようございます! カワイイボクの帰還ですよ!!」
幸子「って誰もいないんでしたっけ。……あれ?」
美穂「……………………」死~ん
幸子「」
幸子「……た、たぬき?」
美穂(こ、この手を使うしかない……)
美穂(小日向流狸寝入り術奥義、『死んだふり』……っ!)
美穂(事務所でいきなり狸が死んでたら、さしもの幸子ちゃんもびっくりしちゃうはず)
美穂(プロデューサーさんを呼びに事務所を出て、その間に人に戻れば……!)
美穂(化かすみたいで後ろめたいけど、これしかないっ)
幸子「……」
幸子「」サッ、ササッ、キョロキョロ、シュババッ
幸子「まったく、帰ってくるなりこれなんですから……」テクテク
美穂(!?)
幸子「プロデューサーさんもボクのことを甘く見過ぎです」
幸子「世界の幸子はこの程度じゃびっくりしませんよ? カメラどこです?」キョロキョロ
美穂(ぜ、ぜ、全然動じてない……!!)
幸子「それにしてもよくできてますねこれ。毛並みも綺麗だし……」モフッ
幸子「あれ? あったかい……」モフモフ
美穂(ひゃぁん)
幸子「うーん。ぬいぐるみにしては、すごくよくできてるような……」モフモフモフ
美穂(ひゃぇ、あ、だ、だめそこは)
幸子「……っていうかこれ本当にぬいぐるみなんですかね。ひょっとしたら――」
美穂「ぽ」
幸子「ぽ?」
美穂「ぽこーーーーっ!!」シュババッ
幸子「わぁ!? な、なんですかなんですか!?」
タタタタタタタッ……ササッ
ポンッ>
美穂(人)「あ、あれぇ幸子ちゃん! も、も、戻ってたんだぁ!?」ヒョイッ
幸子「美穂さん……?」
幸子「……今そっちに狸が一匹」
美穂「たたたたたたぬきってなんのことかな!? 私ぜんぜんわかんないぽこ!!?」
P「――いやーそれでもう参りましたよ、見られるだけで発狂ゲージが溜まるのなんの」
ちひろ「どこの世界の話ですかそれ。さて、幸子ちゃん、おかえりなさ――」
ガチャ
幸子「お久しぶりですねぇちひろさん!」
美穂「ちひろさん、プロデューサーさん、おはようございます!」
ちひろ「あら、美穂ちゃんも来てたんですか?」
P「あーそれなら先に連絡しときゃよかったな。幸子とタイマンじゃ疲れたろ?」
幸子「どういう意味ですかそれは!」
美穂「疲れるなんてそんな! 久しぶりに幸子ちゃんに会えてすっごく嬉しいです!」
幸子「ほら、美穂さんもそう言ってるじゃないですかっ。相変わらず失礼なプロデューサーさんですね!」
P「すまんすまん。ジュース買ってきたからこれで勘弁してくれ」
幸子「許します!」
美穂「あはは」
美穂「……あ、あははは……」
私と幸子ちゃんの間には、一つ大きな問題があるのです。
というかほぼ私個人の問題なのですが。
私の正体が化け狸だと明かされたのは、かなり最近の話……。
その時にはもう、幸子ちゃんは世界一周の長期ロケに旅立っていて……。
つまり彼女は、私の正体をまだ知らず。
私も、言い出せないままでいたのでした。
―― 後日 事務所
P「……あれ、そうだったっけ?」
美穂「はい、実は……」
紗枝「輿水はんは、この事務所に長くおらはったんどすか?」
P「美穂とほぼ同期。だからまあ、付き合いも短くはないんだが」
周子「そういや最初は正体隠してたね。うちじゃすっかり周知の事実だけど」
美穂「それで、どうやって切り出そうかなぁって……」
周子「どうも何も、普通に言えばいいんじゃないの?」
紗枝「そう簡単にもいかへんと思いますえ」
P「そうか?」
紗枝「今までずうっと隠してはったことを明かすんどす。相手はんがどう出はるか心配になるんも当然や」
P「それしきで怒ったり引いたりする幸子じゃないと思うんだが……」
周子「まあ随分修羅場くぐってきてるみたいだしね(テレビで見てたし)」
紗枝「言うたら、美穂はんの心構え次第やと思いますけど……」
紗枝「知っとる人間に正体明かすいうんは、それなりに覚悟が要るもんどす」
P「一理あるか。俺らにとっちゃ日常になってるものの……」
周子「幸子ちゃんにとっては違うかも、か」
美穂「黙ってたこと、まずは謝らなきゃって思うんですけど……ふ、踏ん切りがぁ……」
P「…………」ポクポクポク
P「!」チーン
P「よし、じゃあこうしよう」
周子「お、なんか思いついたん?」
P「幸子のリアリティラインを……下げる!」
美穂「リアリティ?」
紗枝「らいん~?」
周子「……って何?」
P「たとえばアクション映画を観るとするだろ?」
周子「うん」
P「そういう時プライベート・ライアンとアベンジャーズどっちの方がリアルかとか比べたりするか?」
周子「たとえの意味がよくわかんないけど、そこまでしないでしょ普通」
P「そう。ノルマンディー上陸作戦のシーンは圧巻だが、わざわざそれと比較して『超人ヒーローなんているわけねーだろ』とは普通言わない」
P「そういうもんだとわかってるからな。観る作品に応じて、リアリティを要求するラインを上下させてるんだ」
P「かの巨匠ジョージ・ルーカスはスターウォーズについて、『宇宙じゃ音なんて出ない』と言われた時こう返したそうだ」
P「『俺の宇宙じゃ出るんだよ』……とな(※俗説)」
美穂「え、ええっと……?」
紗枝「はて、どういう事どすか?」
P「つまり、現代日本の普通の日常に帰ってきていきなり『私は化け狸です』なんて言われたらそりゃ驚く」
紗枝「そうどすやろなぁ」
P「けど、それ以外にあれこれ周りで不思議なことが起こったら……?」
周子「狐に化かされたり、座敷が空飛んだり、街中うさぎでいっぱいになったり、みたいな?」
P「そう。そういうのに慣らされると、受け手のリアリティラインは思いっきり下がる」
P「そして『狸? あ、そういうこともあるかもね』と受け入れ準備が整うって寸法よ」
美穂「なるほど……っ!」
周子「なんかヤクザの交渉法みたいやな」
紗枝「最初にごっついもん吹っ掛けて、徐々にはーどるを下げてく手口どすな~」
P「人聞きの悪いこと言うんじゃありません」
ガチャ
由愛「失礼、します……」
智絵里「プロデューサーさん、午後からのレッスンの件で……あ、みなさん」
P「お、二人とも」
P「そうそう。ちょうどこの子らがいい例じゃないか」
由愛・智絵里「「?」」
美穂「そ、そっか。智絵里ちゃんはうさぎさんだから、元からこういうものだって思ってるし……」
周子「由愛ちゃんは事の始まりが兎とサメの大決戦だから、ライン下がりっぱってわけか」
P「だから二人とも一瞬で順応したろ」
由愛「あ……あの、どういう……?」
P「いやほら、幸子っているだろ? 久しぶりにうちに帰ってきた――」カクカクシカジカ
智絵里「な、なるほど……」
由愛「私、知ってます。テレビで見たことがあって」
由愛「そっか……。輿水幸子ちゃんって、ここのアイドルだったんですね」ワクワク
P「うん。でまあ、そんな感じの計画を立案したんだが」
P「エージェント・ゴースト!」パチンッ
小梅「呼ばれて、飛び出てぇ……」ニュッ
美穂「小梅ちゃん!? い、今どこから!?」
小梅「えへへ……ず、ずっとプロデューサーさんの、後ろにいた……」
小梅「は、話は、聞かせてもらった……よ」
小梅「幸子ちゃんを、びっくりさせればいいんだよね……?」
P「多少語弊はあるけど、そんな感じ」
小梅「えへ、えへへぇ。久しぶりだから、た、たのしみぃ……」
輝子「お、お手柔らかに……な、小梅ちゃん……」ニョキッ
美穂「わぁ!? 輝子ちゃんも!?」
輝子「机の下で、ジメジメしていました……」フヒ
P「うむ……。現場指揮は二人に任せる」
P「幸子リアリティライン低下作戦、開始だ!」
小梅・輝子「「おーっ」」
美穂(だ、大丈夫かなぁ……?)
―― アイドル女子寮 食堂
みく「せーのっ」
一同『幸子ちゃん、おかえりなさーーーいっ!』
幸子「フフフーン! 皆さんお変わりないようで何よりです!」
楓「幸子ちゃんも、期間内に無事帰還できて良かったです……ふふっ」
幸子「楓さんは本当にいつも通りですね!」
響子「お料理いっぱい作りましたから、どんどん食べてくださいねっ!」
美嘉「みんなも遠慮しないでねー★」
ワイワイ ガヤガヤ
小梅「幸子ちゃん、こっちこっち……」グイグイ
幸子「わっ、小梅さん! 引っ張りすぎですよ!」
小梅「えへへぇ……久しぶりで、うれしくて……♪」
輝子「小梅ちゃんも、喜んでるんだ……もちろん私も……」
輝子「だから、大目に見てやってくれ……オニナラタケみたいに、広い心で……」
幸子「も、もう……///」
輝子「小梅ちゃん……あんまり……」ヒソヒソ
小梅「うん、わかってる……よ。プロデューサーさんも……」ホワホワホワ
P(驚かせる作戦みたいになっちゃってるけど、危ない目に遭わせたり怖がらせすぎたりはしないでな)
P(パーティーにかこつけて、みんな挨拶がてら……くらいの感じで頼む)
P(まあ、ちょっとした隠し芸大会くらいに思えばいいよ。楽しませてやってくれ)
小梅「……って言ってたし」
小梅「それじゃあ、まずは……」
紗枝「輿水幸子はん、お初にお目にかかります~」
周子「どーもー初めましてー。それから、長期ロケおつかれさんでーす」
幸子「おや? お二人は……」
紗枝「うち、小早川紗枝いいます。幸子はんとは入れ替わりであいどるになりました~」
周子「で、あたしは塩見周子。こっちのはんなりさんと一緒に京都から上京してきたん。どうぞよろしゅうにー」
幸子「あ! プロデューサーさんが言ってた、新しい人ですね?」
紗枝「はいな♪ ままま、ここはご一献~」トクトク
周子「オレンジジュースだけどね」
幸子「おっとっと、どうも……」
小梅(幸子ちゃんちょっと人見知りしてる……)
輝子(世界一周した後なのに……カワイイ……)
周子「さてさて、ご挨拶も済んだところでー?」
紗枝「舞をひとさし、ご覧に入れますえ~♪」
幸子「はえ?」
幸子「舞いですか?」
紗枝「ほんの余興でしかあらへんけど、ちぃと心得がありますよって~」
周子「お囃子はあたしが。そちらさんは世界中回ってきて、長いこと和の心に触れてないんじゃない?」
幸子「和の心……舞い……」
幸子「いいですね! 喜んで拝見します!」パァァ
紗枝「そしたら~……ほいっ」
周子「ほい、ほい、ほい」トンツクトンツク
紗枝「はっ、ほっ、は~い♪」
一同『おお~』パチパチ
紗枝「こーんちきちん♪ こーんちきちーん♪」
ポッ ポッ
幸子「ん?」
幸子「…………おや?」
紗枝「まつりばーやしーがー♪ おこしやすー♪」
ポポッ シュポポポポッ
幸子「!?」
幸子「ひ、火が……浮いてる!?」
幸子「紗枝さん紗枝さん! あ、危ないですよ!」
紗枝「はてぇ、何がどすか~?」コンチキコンチキ
幸子「火が! 周りで火が飛んでますよっ!?」
小梅「わぁ、人魂みたい……!」キラキラ
紗枝「あぁ、これうちの火どすえ」
幸子「えぇ……!?」
紗枝「芸みたいなもんどす~♪ あ、そ~れっ♪」
ポポポッ シュババーーーッ
周子「京都名物、大文字焼の空中再現でござーい」
一同『おおー!!』ワッ
紗枝(大したことはできひんけどど、狐火やったら今でも出せますえ~)
周子(燃え移んないよう気を付けてねー)
紗枝(普通の火やあらへんから安心どす~♪)
幸子「な、なんだか凄いものを見たような……」
小梅「綺麗だったね……」
志希「どーーーーーーーんっ!!」ガバー
幸子「フギャーーッ!?」
志希「はすはすはすはすはす」
幸子「うなじーっ!?」
フレデリカ「やあやあ幸子ちゃん! 久しぶり~♪」
幸子「フレデリカさん、志希さ……耳の裏ーっ!?」
志希「ふんがふんが」
幸子「つむじーっ!?」
志希「はひふはひふ」
幸子「外ハネーっ!?」
志希「くちゅん!」
輝子「くしゃみした……」
小梅「外ハネ強い……」
志希「は~堪能した。あ、幸子ちゃん帰ってたんだねー。おかえりー」
幸子「言うより嗅ぐ方が先なんですか!?」
志希「いやぁあたしもカワイイ成分が足りてなくってさー。すぐにでも補給しないとダウンしちゃいそうだったから?」
幸子「……なら仕方ありませんね!」フフーン
フレデリカ「それでそれで、世界一周どうだった? フランス行ってきた? マチュピチュは? 龍脈地図できた~?」
幸子「龍……脈? はよくわかりませんけど、行けるところはあらかた回ってきましたよ!」
幸子「ドイツの国境警備隊に捕まりかけた時、持ち前のカワイさ一本で乗り切ったのはまさにハイライトでしたねぇ……」
フレデリカ「あ、ごめん聞いてなかった」
幸子「どうしてこのタイミングで聞いていないでいられるんですか! 志希さんも何か……」
志希「」
幸子(あっ! 何も考えてない時の顔だ……!)
フレデリカ「シキちゃんシキちゃーん。起きてる~? ぼんじゅ~?」
志希「ジャンボアメフラシになりたい」ポケー
志希「てことでー」
幸子「どういうことで?」
フレデリカ「実は幸子ちゃんに、お祝いのプレゼントを用意しといたんだ~」
幸子「プレゼントですか? そ、それはありがたいですねっ。一体何を……?」ワクワク
フレデリカ「はい、子うえきちゃん!」
幸子「子うえきちゃん!?」
子うえきちゃん(……)
志希「子うえきちゃんはねー、母体のうえきちゃんから枝分かれしてできた個体なんだー」
志希「これも一種の単為生殖ってヤツかにゃ?」
幸子「うえきちゃんってあの、事務所の隅にある得体の知れない植物ですよね? あれ、まだあったんですか……」
フレデリカ「プロデューサーが毎日こまめにお水あげてくれてるんだよ~♪」
志希「手乗りサイズだけど、この子も立派なうえきちゃんなんだってさー」
フレデリカ「そうそう! フラメンコ流したらノリノリで踊るし」ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー
子うえきちゃん(グネグネグネ)アノノアイノノォオオオォーヤ ラロラロラロリィラロロー
フレデリカ「褒めたら喜ぶし。子うえきちゃーん、今日もきれいだよー♪」
子うえきちゃん(ニタァ…)
幸子「明らかに知性があるんですけど……」
幸子「不思議なものを貰ってしまいましたね……」
輝子「う、うちのトモダチとも、仲良くなれるかな……」
茄子「幸子ちゃん、こっちこっち~」パタパタ
芳乃「共にお茶をば頂きましょうー」
幸子「茄子さん、芳乃さん。それじゃあお言葉に甘えて……」
コポポポ…
茄子「あら、茶柱♪ 幸子ちゃん、ついてますね~」
幸子「まあ幸子の幸は幸運の幸ですからね! これくらい当然です!」
芳乃「ほー。茄子さんとわたくしにもー、茶柱が立っておりましてー」
幸子「本当ですか? お二人もボクに負けず劣らず……」
幸子「……なんか茶柱長くないですか?」
茄子「そうでしょうか?」ニョキニョキニョキ
芳乃「そうでしてー?」ビヨーーーン
幸子「今まさに伸びてますけど!? え、それどうなってるんですか!?」
茄子「どうもこうも、ただの茶柱ですよ~?」
芳乃「ふぉーすの力を信じるのでしてー」ブゥウンブゥウン
茄子「うふふっ、チャンバラごっこができそうですね~♪」フォンフォン
芳乃「地の利を得ましてー」ヒュンヒュン
幸子「何か茶柱で頂上決戦が始まった!?」
輝子「……こちらエージェント・マタンゴ……作戦は順調。そ、そちらは引き続き、待機されたし……」
卯月『はいっ。エージェント・スマイル、待機がんばりますっ』
蘭子『神より祝福されし戦乙女の使者(エージェント・ブリュンヒルデ)、抜かりないわ!』
輝子「じゃあ、そろそろ次のフェイズに……」
バタバタバタバタバタバタバタバタ
??『みなさーーーんっ』
幸子「? 外がなんだか騒がしいですねぇ……?」
奏「ああ、そろそろ通りかかる頃ね……」カララ
桃華『幸子さん、よくぞご無事で!』
幸子「桃華さん!? しかも自家用ヘリ!!」
桃華『残念ですがわたくし、この後どうしても外せないお仕事がございますの!』
桃華『必ず埋め合わせは致しますから、どうかお許しくださいましねーーーーっ』
バタバタバタバタバタバタバタ……
バサァッ
幸子「ヘリから垂れ幕が!?」
祝
☆
輿
水
幸
子
殿
御
帰
国
みく「めたくそ目立っとるにゃ」
響子「桃華ちゃーーーんっ! 危ないからブンブンもほどほどにねーーーーっ!」
周子「ゲームをピコピコて言うオカンみたいやな」
幸子「」ポカーン
茄子「それじゃ新隠し芸いきますね~。新春サメショー!」
キシャー
幸子「どこからともなく空飛ぶサメがーッ!?」
智絵里「」パタン
由愛「智絵里さん!?」
藍子「高森藍子、ゆるふわお手玉をしますっ」ユルゥ…フワァ…
幸子「お手玉の滞空時間がやたらと長い!?」
未央「ヒュー! あーちゃんのゆるふわオーラも絶好調だぜー!」
茜「元気があればお手玉も遅くなる! 一つ学ばせて頂きましたっ!!」
未央(原理はさっぱりわかんないんだけどね!!)
菜帆「太鼓を叩きますよ~♪」ポンポコポーン
幸子「太鼓はどこに!? 音はどこから!?」
芳乃「法螺貝も合わせましょー」ブオオー
イヴ「私もやりますぅ! 秘技、ブリッツェン傘回し~っ!」
ブリッツェン「ブモモモモモモモモモモモモモモモモ!!」グルグルグルグルグル
幸子「重力が行方不明!!」
こずえ「さちこー……」クイクイ
幸子「こずえさん?」
こずえ「さちこはー……けもの、すきー……?」
幸子「けもの……動物ですか? 好きですよ? 人を襲うのとか以外は!」
こずえ「おー……。こずえは、いかもすきー……」
幸子「イカ」
こずえ「たこもすきー……」
幸子「タコ」
こずえ「さちこはー……?」
幸子「い、いまいち謎のチョイスですが……好きですよ? 偏食はカワイくありませんからね!」
こずえ「おおー……」ウン
こずえ「ならよしー……」テコテコ
幸子「な、何の話題だったんでしょうか……」
凛「幸子」ポフッ
幸子「わっ、今度は凛さん?」
凛「大丈夫。私達は普通のアイドルだから」グッ
幸子「普通じゃないアイドルがいるんですか!?」
加蓮「ねえねえ聞いて聞いて、奈緒のもふもふが当社比五割増しになってる! 怪現象!?」
奈緒「これは湿気のせいだっ! あっちょっやめろっ、今お団子解いたら……!」
加蓮「わぷっ!?」ボフッ
奈緒「おわーっ!?」ブワワワッ モッフゥゥーーーーッ
幸子「普通とは」
凛「あれくらいは普通だと思う」
幸子「凛さんさては感覚がマヒしてますね?」
輝子「ヒィィハァアーッ!! まだまだいくぜェーーーッ!!」ドリュレドリュレドリュレ
幸子「どこからギターが!?」
小梅「わ、私もいきま~す……死霊の盆踊り~……」オドロオドロオドロ
周子「よっ! Z級!」
奏「抜群の再現度!」
紗枝「千両役者~!」
幸子「後ろに何かいませんか!? いますよね!? たくさん踊ってるんですけど!?」
小梅「あの子も喜んでる~……♪」
ワーワー キャーキャー ダバダバ
モッチャンモッチャン ソドップ
幸子「はぁ……はぁ……物凄いものをたくさん見た気がします……」
楓「うふふ~地に足が着かんたーめん~♪」フワフワ
幸子「楓さんは酒瓶を持って浮いてるし」
幸子「しばらく見ないうちに、皆さんはっちゃけるようになりましたねぇ……」
ガチャ
卯月「幸子ちゃん、おかえりなさい!」
蘭子「再び運命の交叉せし日に喜びを!」
幸子「あ、お二人とも遅かったですね――って」
美穂(狸)「…………ぽこ」
卯月(美穂ちゃん、大丈夫……?)ヒソヒソ
蘭子(もはや賽は投げられたわ……)ヒソヒソ
美穂(ぽこ)コクコク
美穂「…………」モジモジ
美穂「………………」モジモジモジ
幸子「……ひょっとして、美穂さんですか?」
美穂「!!!」
卯月「あ……っ!?」
蘭子「そ、それは……」
美穂「」カタカタカタ
幸子「ほら、やっぱり! なんとなくカワイイオーラが美穂さんと似通っていると思ったんですよ!」
卯月(カワイイオーラ?)
幸子「美穂さんなんでしょう? あの事務所にいたのも!」
美穂「……」
ポンッ!
美穂「ご……」
幸子「ご?」
美穂「ご、ごめん、本当はそうなの!」
幸子「何かと思えば……もう。今まで黙ってたんですか?」
美穂「うん……でも、知られたら引かれちゃうかも、とか……」
美穂「今まで言わなかったことも……怒られるかなって、なかなか言い出せなくて……」
幸子「確かに、思うところが無いでありません」フンス
幸子「ですが、カワイイ女性には隠し事の一つやふたつはあるものですからね!」
美穂「え……っ?」
幸子「ボクに隠していたのも、それなりの苦悩があってのことでしょう。それを責められたものじゃありません」
幸子「むしろ、思い切って言ってくれたことを褒めてあげたい気持ちです! ナイスカワイイ! カワイイ決意です!」
美穂「さ、幸子ちゃん~……」ジワワ
卯月・蘭子((ほ……っ))
芳乃「あちらは丸く収まったようでしてー」
楓「幸子ちゃん、流石です♪」
美嘉「ほらほらっ、お料理まだたくさんあるよー★」
幸子「だ、そうですよ。ボクらも行きましょう!」
美穂「う……うん!」
ワイワイ ザワザワ
キャッキャウフフ ムーチョムーチョ
…………
幸子「美穂さんって狸だったんですか!!?!!?!!!???!」
輝子(じ、時間差からの満点リアクション……!)
小梅(さすが幸子ちゃん……!)
周子「いやまあそこらへんはほら、かくかくしかじかの次第でさー」
幸子「カワイイ狸がカワイイ人になってアイドルに……」
幸子「世界中の神秘を見てきたつもりですが、灯台下暗しとはこのことですね……!」
紗枝「ちなみにうちは狐どす~」コンコン
菜帆「ハーフですけど~、私も狸ですよ~♪」ポンポコ
智絵里「う、うさぎですっ」フスフス
みく「みくはネコチャンにゃ!」ニャーン
周子「みくちゃん人やん」
みく「そこは乗らせろにゃあ!!」フシャー!
楓「私はうわばみで~す♪」ウイーヒック
美嘉「って、もう、楓さん!? いつの間にそんなに飲んでたの!?」
美嘉「――あ、それとアタシ、悪魔なんだ。アタシも今まで黙っててごめん!」バサッ
イヴ「サンタとトナカイですぅ♪」
こずえ「こずえはー……こずえだよー……?」
幸子「もう何でもアリですね!!」
アハハハハ…
グビグビ ウプッ
カエデサーン!?
周子「――って感じで、こっちは平和に終わったよ」
P(電話)『だろうな。あいつ気は小さいけど器はデカいからなあ』
周子「最初からわかってたって? じゃ何でリアリティラインがーとか言ったん」
P『今のウチがどんな感じか一番端的に伝わるかなーと思って』
周子「……それもそうか」
周子「しかしまあ、アレやね」
P『?』
周子「……あたしら普通の人間のつもりでいたけど、完全に感覚マヒしとるやん」
P『それな』
―― 後日 事務所
幸子「おはようございまー……」
幸子「あ」
美穂(狸)「………………」死~ん
幸子「…………」
美穂(チラッ)
幸子「…………」テクテク
美穂(チラチラッ)
幸子「とうっ」ワシャワシャーッ
美穂「ぽこーっ♡」モフモフモフモフ
P「仲いいね君ら」
ポンッ!
美穂「えへへ、なんか嬉しくて……♪」
P「事務所で狸が死んだふりしてるくらいじゃ動じないな。流石幸子だ」
幸子「当然ですよっ。これくらいで驚いてちゃ――」
ガシャーン ニョロニョロニョロニョロ
キャー グオーン フンフンフフーン
幸子「心臓がいくつあっても足りなフギャーッ!?」
美穂「幸子ちゃーんっ!?」
P「増殖した子うえきちゃんの大群が幸子を飲み込んだーっ!?」
バァン!!
周子「祭りの場所はここかーい!?」(芝刈り機装備)
フレデリカ「プロデューサーごめーん! なんか増やしちゃった~!」(高枝切りバサミ装備)
志希「ホロホー! ホロホロホー!!」(ガスマスクと火炎放射器装備)
P「バッキャロウ! 午前0時過ぎにうえきちゃんにお水あげるなってあれほど!!」
美穂「ぷ、プロデューサーさん! どんどん押し寄せてきますよー!?」
志希「ホロホロホー!!!」ゴアァァアア
P「室内で火はやめろパイローッ!!」
幸子(もみくちゃにされる中、ボクは思うのでした)
幸子(世界って平和だったんだな…………と)
~オワリ~
以上となります。お付き合いありがとうございました。
依頼出してきます。
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