希「最近…えりちの様子がおかしいんよ」 (51)

凛「ふんふふ~んふん。穂乃果ちゃ~ん。希ちゃ~ん。今日練習終わったら遊びに行くにゃ~」

穂乃果「ええ?絵里ちゃんの様子が?」

希「そうなんよ。何かコソコソしてると言うか…」

凛「穂乃果ちゃん?希ちゃん?」

希「ん?ああ…凛ちゃん」

凛「真面目なトーンでお話しなんてしてどうしたの?」

希「えっとな…」

穂乃果「なんか絵里ちゃんの様子がおかしいんだって」

凛「絵里ちゃんの?」

希「そうなんよ」

凛「ふ~ん。そうなんだ」

希「ふ~んっ…興味ないの?」

凛「大ありにゃ!」

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絵里「……」

穂乃果「と言う事で…ベタに絵里ちゃんを尾行だよ!」

希「ウチ等って結構な頻度で誰かを尾行してるよ」

凛「相手は殆ど絵里ちゃんかにこちゃんだけどね」

穂乃果「それにしても…図書室で何してるんだろ?本も読まないみたいだし」

凛「ね?何してるのかな?」

絵里「……」キョロキョロ

希「なんか周りを気にしてる」

穂乃果「なんか怪しいね」

凛「あれじゃ不審者にゃ」

絵里「えっと…」

穂乃果「ん?なんか本を取り出したよ?」

凛「なんだ。やっぱり本を読みに来ただけなんだ」

絵里「……」パタッ

穂乃果「あっ。もう閉じた」

希「本当や。やっぱり怪しいなぁ」

凛「ねえ?絵里ちゃん図書室から出て行ったよ?」

穂乃果「もう?何がしたかったんだろ?」

凛「どうする?後を追う?」

希「いや…さっき開いてた本がなんか怪しいな。ちょっと確認してみよ」

穂乃果「うん」

希「えっと…さっきえりちが開いてた本は…これやな。どれどれ?」

穂乃果「何かあった?」

パラパラ

希「いや…何も…何の変哲もない」

バサッ

希「ん?」

穂乃果「なんか本から落ちたよ?」

凛「何だろ?紙みたいだけど」

希「本に挟まってたのかな?」

凛「ねえ?これ手紙みたいだよ?」

穂乃果「手紙?」

「お返事ありがとうこざいます。まさか、返事を貰えるなんて思ってなかったし私以外にこの本を読んでる方が居たなんて…ビックリです。えっと…なんてお呼びしたらいいのかな?私の事はエリーって呼んで下さい。お返事待ってます」

凛「え?何これ?誰かの手紙?」

穂乃果「この本を通して手紙のやり取りしてるのかな?携帯電話があるこのご時世に?顔も知らない相手と?うわっ、ちょっとロマンチック。ことりちゃん好きそう」

凛「でも、勝手に見ちゃって良かったのかな?凛なら嫌だな」

穂乃果「うん。そうだね…。このエリーって人に悪い事したかな…」

凛「だね。どこの誰かは分からないけど…」

希「いや…えりちやろ」

穂乃果「え?何が?」

希「この手紙の差出人や」

穂乃果「え?そうなの?」

希「それしかないやろ。さっきえりちが本開いてたやん」

穂乃果「あっ、そっか。そもそも絵里ちゃんを尾行してたんだっけ」

凛「すっかり忘れてたにゃ」

穂乃果「え?じゃあ、絵里ちゃんは誰と文通してるの?」

希「そんなん知らんよ」

凛「まさか…男の人かな?」

希「それはないやろ。学校の図書室なんやから」

凛「ピーターソン先生とか」

希「ない」

凛「そんな食い気味に否定しなくても…」

希「どうする?あの手紙の主…待つ?」

凛「え~…来るまで待つの?絵里ちゃんに聞きに行こうよ」

希「そんなの…無理やろ」

穂乃果「そうだよ。コソコソやってるのに教えてくれる訳ないじゃん」

穂乃果「取り敢えず部室に戻ろうよ」

凛「それがいいにゃ」

希「え~ここで待ってようや」

穂乃果「だって今日相手が来るとは限らないじゃん」

~部室~

ガチャ

穂乃果「あっ、絵里ちゃん」

絵里「あら?遅かったじゃない」

希「ウチ等はえりちが来る前に一度部室に来てたんやけどな」

絵里「あ~、そうだったの?こりゃ失敬」

穂乃果「なんか絵里ちゃんご機嫌だね」

絵里「え?そう?そうかしらん?」

穂乃果「かしらんって…」

希「えりちはどこで油売ってたの?練習が始められないやん。ちょっと。たるんどるんやない?」

絵里「え?ああ…ごめんなさい。まあ、でもまだ他の皆んなも来てないんだしいいじゃない」

花陽「あっ、私は居るよ~」

凛「あっ、かよちん居たんだ~。全然気がつかなかったにゃ」

花陽「えっ…結構目に入る所に座ってるんだけどなぁ」

希「まあ、いいわ」

穂乃果「所でさ、絵里ちゃんはなんでそんなにご機嫌なの?」

絵里「べっつに~。何でもないわよ」

穂乃果「ふ~ん」

ガチャ

にこ「お疲れ~」

真姫「お疲れ様」

穂乃果「あっ!真姫ちゃん!にこちゃん!」

にこ「何?今日はこれだけ?海未とことりは?」

穂乃果「あ~海未ちゃんとことりちゃんは生徒会の…あっ!?やばっ!!!生徒会の仕事忘れてた。海未ちゃんに怒られる」

ガチャ

にこ「行っちゃった…」

花陽「ど、どうしようか?帰って来るまで待ってる?」

真姫「そうね。それが良いんじゃない?私もやる事あるし」

にこ「何よ?やる事って?」

真姫「別にいいでしょ?」

絵里「な~に?言えない事なの?」

真姫「なっ、違うわよ」

絵里「本当かしら?」

真姫「な、何よ。なんかにこちゃんみたいよ?」

絵里「え?それは嫌だわ」

にこ「なんですって?」

希「……」

~翌日~

絵里「ふふんふ~ん」

穂乃果「また尾行する事になるとは…」

凛「希ちゃんそんなに気になるの?」

希「え?いや…あれやん?上手くいったらえりちをからかうネタが出来るやん?」

穂乃果「いや…流石にさ。人の手紙を勝手に見るのは良くないじゃん。ねえ?」

凛「うん。プライバシーの侵害にゃ」

希「わ、分かってるよ。別に手紙の内容まで見ようなんて言ってないやん?」

穂乃果「ならいいけど。それにしても…昨日の今日だけど。もう返事来てるのかな?」

凛「だとするとハイペースだよね」

絵里「ふふふっ」

穂乃果「あっ、絵里ちゃんが本を開いた」

絵里「!?」

穂乃果「おっ?何かを発見したみたい」

凛「手紙だよね?」

絵里「うふふ」

穂乃果「手紙読んでる。凄い嬉しそう」

凛「中身が気になるにゃ~。でも、流石にあの中身を勝手に見るのは人として最低な行為にゃ~。でも、気になる」

穂乃果「凄い気になるね」

絵里「ふふっ。さ~て、今日も練習頑張ろ」

穂乃果「わ~絵里ちゃんご機嫌だね」

希「でも、よく知りもしない相手とよくやり取り出来るなよね」

穂乃果「文通ってそれが醍醐味なんじゃないの?いいじゃん、プラトニックで」

希「いや、だから…相手は女子なんやからプラトニックも何もないやん」

穂乃果「まあ…」

凛「ねえ?」

希「ん?」

凛「二人が話してる間に絵里ちゃん出て行っちゃったよ?」

穂乃果「あり?ほんとだ…」

穂乃果「さあ、穂乃果達も部室に戻ろうか?」

凛「そうだね」

希「さっ、戻って練習や。当分ライブがないからってウカウカしてたら直ぐに体が鈍っちゃうよ」

穂乃果「だね。さ~練習頑張るぞ~」

ドン

穂乃果「あっ、ごめんなさい」

海未「いえ…こちらこそ。ん?」

穂乃果「あっ、海未ちゃん」

海未「穂乃果?それに凛と希も。図書室で何をしているのです?」

穂乃果「いやぁ…ちょっと気になる本がね」

海未「穂乃果が読書ですか?」

穂乃果「まあ」

凛「海未ちゃんは何しに来たの?」

海未「へ?いや…あの…何でもいいじゃないですか」

凛「うん。まあ…別に隠す必要も…」

希「なんかバレたら困る事でもあるん?」

海未「そ、そんな事ある訳ないじゃないですか。用事が済んだら部室に行きますから。先に行ってて下さい」

穂乃果「は~い」

海未「ふう。行ったようですね」


穂乃果「海未ちゃん怪しかったね?」

凛「うん。絶対何か隠してたにゃ。顔に出るんだから白状すればいいのに」

穂乃果「気づいてないんだよ。本人は」

希「ウチ…思ったんやけどな」

穂乃果「何?」

希「例えば…海未ちゃんがコソコソしてたのは文通相手に手紙を出す為とか?」

凛「え?海未ちゃんが?」

穂乃果「それ…穂乃果も思ったよ。それなら図書室で海未ちゃんがコソコソしてたのも納得いくもんね」

希「うん。そうやろ?」

凛「え?って事は絵里ちゃんは海未ちゃんと文通してるの?μ’s内で文通してるの?それって…」

希「傑作やな」

穂乃果「うん。傑作だね。まあ、確証はないけどね」

~部室~

穂乃果「絵里ちゃん来ないね?海未ちゃんも」

凛「そうだね。文通ってそんなに楽しいのかな?」

穂乃果「楽しいんじゃない?ねえ?」

希「え?ああ…どうなんやろうね?ウチはやった事ないから」

ことり「なんのお話ししてるの?」

穂乃果「え?えっと…文通って楽しいのかな~って」

ことり「文通?」

穂乃果「うん」

ことり「ん~…私はやった事ないからなんとも言えないけど…」

穂乃果「だよね」

希「このご時世やった事ある方が珍しいやろ」

ことり「でも、楽しいんじゃないかな?」

穂乃果「やっぱり?」

ことり「うん。文通って携帯のメールと違って人の手で書くでしょ?」

凛「うん。なんだか面倒くさいにゃ」

ことり「そうなの。だからその分書いてくれた人の気持ちがこもってる様な気がしない?」

穂乃果「する!分かる!あけおめメールよりも年賀状貰った方が嬉しいもんね」

ことり「でしょ?それに手紙の筆跡を見てその人の事を想像したりどんな時間に書いたのかな~って考えたり。ね?メールじゃそんな事は出来ないでしょ?」

穂乃果「なるほど。流石ことりちゃん」

凛「こういう事はことりちゃんに聞くのが一番だね?」

希「ん?ああ…そうやな」

ことり「ふふっ。でも、どうしてこんな話題になったの?」

穂乃果「え?ああ…えっと…穂乃果と凛ちゃんで文通でもしようかなって」

ことり「穂乃果ちゃんと凛ちゃんで?」

穂乃果「う、うん。でもあれだね?毎日会ってるしね」

凛「そうだね。やめようか?」

穂乃果「だね」

~翌日~

絵里「んふふ~」

穂乃果「絵里ちゃんご機嫌だな~」

凛「ね!」

にこ「何かいい事でもあったのかしら?」

希「さあ?良い人でも出来たんやない?」

にこ「は?え?そうなの?ダメよそれは。アイドルなのよ?止めなきゃ」

穂乃果「ちょっ、ストップ」

にこ「ちょっと、離しなさいよ」

凛「にこちゃんが出て行くとややこしくなるにゃ」

にこ「なんでよ。だって止めなきゃいけないじゃない」

穂乃果「いや、違うから。絵里ちゃんに良い人なんて出来ないから」

凛「そうにゃ、そうにゃ」

にこ「なんでそう言い切れるのよ」

穂乃果「もう、希ちゃん」

希「あ~ごめん、ごめん。ちょっと、にこっちをからかってみようかなって思っただけやから」

にこ「え?そうなの?」

希「うん。えりちがそんな事する訳ないやん」

にこ「ま、まあ…。でも、あれなんか怪しいわよ?幸せオーラ全開って言うか…」

穂乃果「ほら?絵里ちゃんって幸せな人だから」

にこ「なによそれ」

絵里「ふふ~ん」ガタッ

にこ「ちょっ、絵里?どこ行くのよ?」

絵里「え?お手洗いよ」

穂乃果「あっ、なんだ。トイレか」

絵里「な、なに?」

穂乃果「いや…」

絵里「…まあ、いいけど」ガチャ

パサッ

にこ「ん?今何か落としていかなかった?」

穂乃果「え?」

にこ「何かしら?ん?手紙?」

「こんにちは。なんて…この手紙を書いている時は実は夜だったりします。本当は夕方から手紙の内容を考えていたんですけど聞きたい事が沢山あって…。だって、私以外にこの本を読んでいる人がいた事に本当にビックリしちゃって。あなたに興味しんしんなんです。えっと…どうしよう。質問です。読書がお好きなんですか?」

にこ「完全に男じゃないっ!!!!!!」

希「ちゃうわっ!!!!!」

穂乃果「絵里ちゃん…手紙だとこんな感じなんだ…」

凛「別人みたいにゃ」

にこ「いや、アウトでしょ。何があなたに興味しんしんなんす!よ。完全に恋してるじゃない。問い詰めなきゃ」

希「違うって言うてるやろ。話を最後まで聞いて」

にこ「話って何よ」

穂乃果「いや、本当に違うんだよ。にこちゃん」

にこ「どう言う事?」


希「実はな…」

にこ「…なるほど。それで絵里はこの学校の生徒と文通してると?」

希「だから相手は男やないんよ」

にこ「分かんないじゃない。例えばピーターソン先生とか…」

希「だからそれはないって言ってるやろ」

にこ「そ、そう?」

凛「わー、にこちゃんも怒られたにゃー」

にこ「ふ~ん。まあ、別に絵里が誰と文通してたって良いんだけど」

穂乃果「まあ、この事は一応秘密って事でさ」

にこ「え?なんでよ?」

穂乃果「ほら?プライバシーだし」

にこ「別に誰にも言わないけど」

ガチャ

絵里「ねえ?部室に紙が落ちてなかった?これくらいのルーズリーフなんだけど…」

にこ「え?こ、これ?」

絵里「そ、そう。にこ!ありがとう!助かったわ」

にこ「う、うん」

絵里「……中身…見た?」

にこ「え?いや…見てない…けど」

絵里「そう。なら良かった」

希「何か見られたら困るものでも書いてあるの?」

絵里「え?いやぁ…タダのメモよ。」

希「ふ~ん」

絵里「さて…」

希「どこに行くん?」

絵里「だからお手洗いに」

希「さっき行ってきたんやろ?」

絵里「いや…だから…メモをなくしちゃったから探してたのよ。と言う事で私はお手洗いに行ってくるから」

ガチャ

にこ「あれは図書室に行ったのね」

穂乃果「だろうね」

凛「凛でも分かるにゃ」

希「…」

にこ「それにしても。絵里も可愛い所あるわよね」

穂乃果「うん。そうだね」

にこ「まあ…いいんじゃない?楽しそうだし。相手が誰なのかは気になるけど」

穂乃果「ああ…それがね。相手は」

にこ「相手分かってるの?」

希「ウチ等の中では海未ちゃんやないかって事で落ち着いたんよ」

にこ「海未?」

凛「海未ちゃんが図書室でコソコソしてるのを見たんだよ」

にこ「じゃあ、絵里と海未はお互いが相手だって分からずに文通してる訳?」

穂乃果「多分だよ?」

にこ「何よそれ?面白過ぎるんですけど。じゃあ、そんなに気にする様な事でもないのね?相手は海未だから」

海未「私が何ですって?」

にこ「え?」

穂乃果「海未ちゃん…」

海未「今私の話をしていたでしょう?」

にこ「居たなら声掛けなさいよ」

海未「今来たところです。それで?」

穂乃果「えっと…ほら?海未ちゃんこないだ図書室で何かしてたじゃん?何してたのかなって」

海未「え?」

凛「海未ちゃんに聞いちゃうの?」

穂乃果「何も思い浮かばなくて…」

海未「そ、その…」

にこ「何よ?言えない事なの?」

海未「そう言う訳では…」

希「……海未ちゃん?何してたん?」

海未「実は…借りていた本を返すのをすっかり忘れていて」

穂乃果「え?それだけ?」

海未「はい。普段穂乃果に口酸っぱく忘れ物をするなと言っている手前…恥ずかしくて」

凛「それでコソコソしてたの?」

海未「そうなんです。卑怯ですよね…。自分のミスを隠す様な事して…」

穂乃果「なんだ~。そう言うこと」

海未「はい。本当に申し訳ありません」

穂乃果「いや…海未ちゃん。気にしなくていいよ。別に穂乃果達何も迷惑してないし。それに誰だって忘れる事はあるから」

海未「で、ですが…」

穂乃果「いや、本当に。気にし過ぎ」

にこ「って言うかどんだけ真面目なのよ」

海未「ほ、穂乃果…」

凛「ん~でも、海未ちゃんじゃないとなると…ふりだしに戻るって事かぁ」

海未「ふりだし?」

穂乃果「いや…こっちの話だから」

海未「は、はあ…」

希「ウチは…正直そんな気がしたんよね…」

穂乃果「え?そうなの?」

希「だって海未ちゃんやったら絶対に顔に出るやろ?」

穂乃果「ああ…確かに」

海未「あの…本当になんの話を…」

凛「でも、希ちゃんが海未ちゃんじゃないかって言い出したんだよ?」

希「うん。そうやけど…」

凛「希ちゃんの考えてる事がイマイチ分からないにゃ」

海未「私の名前が出ているのにどうして蚊帳の外なのでしょうか…」

それからも、えりちの文通は続いた。

絵里「うふふ」

穂乃果「見て?一人で笑ってるよ」

にこ「はっきり言って気持ち悪いね」

絵里「……待ち遠しいな」ボソッ

穂乃果「今の聞こえた?」

にこ「聞こえた。あれ無意識かしら?」

穂乃果「だろうね」

絵里「えへへ」ニヤニヤ

穂乃果「ねえ?今日はニヤニヤしてるよ?」

にこ「えへへって…もう昔の面影が1ミリも残ってないわね」

ことり「最近絵里ちゃんご機嫌だね」

絵里「え?そうかしら~?」

ことり「うん。幸せオーラが凄い。もしかして良い人出来た?」

絵里「違うわよ。そんなんじゃないって」

ことり「そっかぁ。てっきり絵里ちゃんに恋人でも出来たかと」

希「ことりちゃん。えりちに恋人なんて出来ないって」

絵里「希?」

穂乃果「うわっ。希ちゃん行ったよ」

にこ「何がしたいのよ、希は…」

希「な?そうやろ?アイドルやもんな?」

絵里「そうね。それに仮に恋人が出来たら希にちゃんと言うわよ。安心しなさい」

希「お~それは安心やなぁ」

絵里「ふふっ。希もちゃんと言うのよ?」

希「分かっとるよ。もしかしたら明日報告する事になったりして~」

絵里「あら?言うわね。全然そんな素振り見せない癖に」

希「えりちに言われたくないな~」

にこ「ねえ?あれってどう言う感情での行動なのかしら?」

穂乃果「希ちゃん?」

にこ「うん」

穂乃果「さあ?」

カァーカァー

海未「さっ、早く着替えて下さい」

穂乃果「はーい」

花陽「ねえ?帰りにクレープ食べて帰らない?美味しいクレープ屋さんが出来たの」

凛「クレープ?ご飯じゃなくて?」

花陽「うん」

にこ「あ~あそこのクレープ美味しいわよね」

穂乃果「最近ファミレスばっかりで飽きたもんね」

海未「太りますよ?」

穂乃果「じゃあ、海未ちゃんは来ない?」

海未「行きます」

絵里「今日は私も行こうかしら」

穂乃果「絵里ちゃんも行けるの!」

希「珍しいやん」

絵里「そんな事ないわよ」

希「なんか最近忙しそうやったから」

絵里「へ?そう?」

穂乃果「じゃあ、今日は全員で行けるね!」

真姫「ごめん。私は遅れて行くわ」

凛「え?真姫ちゃん来れないの?」

真姫「ちょっと残ってやる事があるから」

花陽「それだったら待つよ?」

真姫「別に待ってなくていいわよ。後から行くから先に行ってて」

花陽「でも…」

真姫「本当にいいから」

花陽「そ、そっか」

穂乃果「じゃあ、待ってるよ」

真姫「ええ。悪いわね」

穂乃果「真姫ちゃん用事ってなんだろうね?」

花陽「最近真姫ちゃん忙しそうだよね?」

凛「曲作りかな?」

海未「それだったら家でやると思いますが」

穂乃果「確かに…」

にこ「まっ、真姫の協調性がないのは今に始まった事じゃないし」

凛「真姫ちゃんもにこちゃんには言われたくないと思うにゃ」

にこ「何ですってぇ?」

絵里「ふふっ。もう、喧嘩しないの」

希「………」ジィー

絵里「ん?」

希「……」プイッ

絵里「?」

一週間後

穂乃果「はあ…今日も絵里ちゃんの逢引きをこっそり覗き見して…何してるんだろ…」

にこ「逢引きではないでしょ」

希「……」

凛「それなしても文通相手は一向に現れないね?」

穂乃果「うん。いつ来てるんだろ?」

にこ「私達が練習してる時間に来てるんじゃないの?」

穂乃果「って事は部活やってないのかな?」

希「もしかしたら放課後って可能性もあるけどな」

絵里「なっ…ないっ!?」

穂乃果「んあ?絵里ちゃん何を騒いでるんだろ?」

にこ「図書室で大きな声出してμ’sの評判が下がるじゃない」

凛「大袈裟にゃ」

絵里「ど、どうして」

穂乃果「何があったのかな?」

凛「無いとか言ってたよね?」

希「あっ、えりちがこっちに来るよ」

穂乃果「隠れなきゃ」

絵里「あ、あの…あそこの棚にあった本って貸し出されちゃいましたか?」

図書委員「え?」

絵里「あそこの…あの…」

図書委員「えっと…ちょっと分からないですけど…昨日新しい本を入荷したので読まれていない古い本は処分したので。もしかしたら…」

絵里「そ、そんな…」

穂乃果「本…処分されちゃったんだ…」

凛「絵里ちゃんかわいそう。凄く落ち込んでるにゃ」

にこ「まあ…仕方ない事だけど。でも…そうね。嫌な終わり方になっちゃったわね」

希「……」

絵里「はあ…」トボトボ

穂乃果「絵里ちゃん…。どうする?絵里ちゃんも出て行ったし」

希「あの!?」

図書委員「はい?」

希「処分された本って何処に持って行かれるんですか?」

図書委員「え?」

希「昨日処分された本。親友が大好きな本なんです」

穂乃果「希ちゃん…」

絵里「はあ…」

希「元気ないやん」

絵里「希…」

希「ため息の原因はこれかな?」

絵里「な、なんで…なんで希がこの本を…」

穂乃果「ごめんね、絵里ちゃん。実は絵里ちゃんが文通きてるの知ってたんだよね」

絵里「そうだったの?でも、どうして…だって、この本は…」

にこ「処分された訳じゃなかったのよ。町の図書館に寄付してたんですって」

希「毎日楽しみにしてたんやろ?やり取りするの」

絵里「う、うん」

穂乃果「中見てみなよ」

絵里「ええ」

ペラ

絵里「手紙…」

「こんにちは。いつもありがとうございます。今日はあなたに言いたい事があります。私と会ってくれませんか?それで…もし良かったら友達になれたら嬉しいなって。同じ本を読んで感動出来るあなたと友達なりたいです。明日、放課後裏庭で待ってます。」

凛「持ってかれる前にちゃんと手紙を差し込んでくれてたんだね」

絵里「そうだったんだ」

穂乃果「えへへ。良かったね」

凛「めでたしめでたしにゃ」

にこ「行って来なさいよ。文通の相手も待ってるわよ」

絵里「ええ。ありがとう」

にこ「お礼なら希に言いなさい。言い出したのは希だから」

絵里「そうだったの。希…ありがとう」

希「ああ…うん。別に?お礼なら焼肉でええから」

絵里「ふふっ。そうね。それじゃあ、行ってくるわ」

ガチャ

にこ「でも、良かったの?」

希「ん?」

にこ「本当は寂しかったんでしょ?絵里が文通に夢中になってるの」

希「まあな。少しはね。でも…えりちが悲しそうな顔する方が辛いかな」

にこ「なるほど」

~裏庭~

真姫「はあ…来るわけないか。そうよね。だいたい読んでいるかも分からないのに返事も待たないで勝手に場所も時間も指定して…」




真姫「でも…勇気を出したんだけどな…」

絵里「真姫?」

真姫「え?絵里?あっ…エリーって…もしかして…」

絵里「ちょっ、ちょっと待って?文通?」

真姫「う、うん」

絵里「あ…ああ…」カァァァ

真姫「……」カァァァ

絵里「あの…私?変な事書いてなかった?」

真姫「ちょっと…可愛らしかったかも」

絵里「そう」

真姫「うん」

絵里「ぷっ…ふふ…あははは」

真姫「え?」


絵里「そうなんだ…真姫だったのね。そっか。真姫が文通をね」

真姫「な、なによ?私が文通してたらおかしいの?自分だってそんなキャラじゃない癖に」

絵里「ふふっ、違うのよ。気に障ったならごめんなさい。でもね、まさか相手がメンバーだったなんて。私達って本当…切っても切れない関係なのね。これって運命よね。少し恥ずかしかったけど」

真姫「………そうね。ふふっ、おかしいわね。」


穂乃果「いや~まさか…絵里ちゃんの文通相手が真姫ちゃんだったとは…」

凛「海未ちゃんじゃなかったけど遠からずって感じだね」

にこ「良かったわね。希」

希「ん?何が?」

にこ「なによ?とぼけちゃって」



真姫「そう言えば…会って直接聞こうと思ってた事があったの」

絵里「え?」

真姫「絵里があの本を読んだきっかけって?ほら?あの本ってなかなか珍しいじゃない?古いし…同年代で読んでる人なんて見た事なかったから」

絵里「あ~…あの本は。私の…高校で初めて出来た友達が面白いからって勧めてくれた本なの。だから、思入れが強い本なの」

真姫「え?その友達って?」

絵里「ふふっ」

にこ「どういう事よ?」

希「え?いや~…」

にこ「とぼけるんじゃないわよ」

穂乃果「え?にこちゃんどうしたの?」

凛「なんで怒ってるの?」

にこ「絵里に初めて出来た友達なんて希しか居ないでしょ?」

穂乃果「あっ!って事は…希ちゃんはあの本の事知ってたの?そう言う事だよね?」

希「あはは…そうなるね」

凛「なんで言ってくれなかったの?それなら話は早かったかも知れないのに」

希「いや~。ごめん、ごめん。ほら?何となく察してよ?」

穂乃果「分かんないよ。どう言う事?何を察すればいいの?」

凛「分かんないにゃ」

にこ「あんた達どんだけ鈍感なのよ」

穂乃果「も~教えてよ」

希「あはは…ごめんて」

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