安価でニート脱却 (44)
とりあえず主人公決めます。
名前と性別>>2-3
容姿と年齢>>4-5
年齢は16~19歳くらいまでで
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518677004
田井中 一郎丸
蟻原 千子 (ありはらちこ)女
千子だった場合、年齢17歳 赤い瞳、金髪ツインテール、綺麗な美少女
小さい頃に思った。
自分は「この人生の主人公」だと。
それは間違っていない。
でも、「この世の不思議は主人公たる自分に降り注ぐ当たり前のこと」だと思ったのが失敗だった。
すぐに誤解は解けた。
中学生になる頃には学校、学年というコミュニティに溶け込めなかった。
今や「人生の主人公」は安価荘1001号室に住む、ただの高校中退ニート女だという訳だ。
千子「はぁ…」
起きたのは昼過ぎだった。いつも通りだ。
おはようと言う相手もいないので、とりあえず顔を洗うことにした。
千子「何食べよ…」
ニートだって空腹にもなる。最近ちょっとお腹のあたりがたるんできた気もするが。
千子「ま、いいか。見せる相手もいないし」
??「おーい、蟻原さーん」
部屋の外から聞こえたのは安価荘の管理人の声だった。
千子「……はい」
管理人
名前と性別>>9-10
容姿と年齢>>12-13
リーニン・カーン 男
巽 玄(たつみ げん)
男
35歳
日に焼けたガチムチのおっさん
巽「おっ、蟻原さん! こんにちは」
千子「ど、どうも…」
こんがりと日に焼けて筋肉質なので、手羽先の唐揚げみたいだ。
管理人越しに見る外は、日差しが強く夏の熱気で満ちている。
いや、管理人自体からも熱気が漂っているようだった。
巽「実はね、そろそろ草刈りをしようと思ってね。暇なら手伝ってくれないかな?」
千子「……そ、そんなこと…」
巽「ダメかな…? まあ、無理にとは言わないけどね!」
なんて明るい笑顔なんだ。明るすぎて、こちらまで焦げつきそうなくらいだ。
巽「じゃあ、ほかの部屋の人も誘ってくるから考えておいてね」
千子「はい…」
千子「やばっ…髪ボサボサ…。寝間着のままだし」
身だしなみを整える。といってもあくまで家から出るような格好ではない。なぜかって?
私はニートだからだ。
千子「草刈りか…。どうしよ」
どうしよ、というのは「どうやって断るか」という意味だった。
…思いつかない。
千子「私がニートだからか…。どうせ毎日家にいるもんなぁ」
巽さんが来るまでに何かしておくか…>>16-17
観念してホームセンターに草刈りに必要なものでも買いに行きますか
とりあえずホームセンターに行くことにした。
跳ねた髪をといて、Tシャツにジーンズをはいた。
私の一張羅だ。
千子「行くか」
外はやはり夏の熱気で満ちていた。日は照りつけ、蝉がうるさく鳴いている。
暑い。その原因は季節なんかじゃなく…やはりあの人だった。
巽「やあ!」
…暑い。
千子「あ、どうも」
巽「草刈りの件、1005号室の>>19さんと1102号室の>>20さんも手伝ってくれるんだって。蟻原さんはどうかな?」
千子「今から道具を買いに行こうかと…」
ミシェル
女
刈谷 草彦
今は夏休みにあたる時期なのだろう。平日の昼過ぎに、小学生くらいの子供達が気持ちよさそうに自転車を漕いでいる。
千子「小学生の時は外で遊んだっけ」
巽さんの言っていたことを思い出してみる。
「1005号室のミシェルさんと1102号室の刈谷さんが手伝ってくれる」
引っ越した時に挨拶はしてないので、他の部屋の人と面識はない。ミシェルというのは外国人の名前だったが…。
陽の高いうちに外に出たのは、いつぶりだろうか。
安価荘は各階5部屋あり、1001~1005、1101~1105からなる10部屋の構造だ。なぜ桁が大きいのかは不明だが千子が来た時からそうだった。
ホームセンターは冷房が効いていて、外のうだるような暑さとは無縁だった。
鎌と軍手と飲み物を買った。ニートで引きこもりなだけに世間体を気にしてはいないが、近所付き合いは良好にしておきたい。
半ば無理矢理な誘いだが、必要な出費だと思おう。
安価荘に着く頃には、すでに草刈りが始まっていた。
巽さんと、もう2人。おそらくミシェルさんと刈谷さんの姿があった。
ミシェルの容姿>>23
刈谷の容姿>>24
気立ての良さそうなモジャ毛のメガネ
巽「おかえり。蟻原さん!」
2つ目の太陽かと見紛うほどの笑顔だった。
巽「2人とは初対面なんだってね。紹介するよ。こちら漫画家の刈谷さん。こっちはニートのミシェルさん」
しゃがんでいた2人は立ち上がり会釈した。
巽「どうも…。蟻原です…」
正直、こういう時にどういった態度で挨拶すべきかよくわからない。
ミシェル「…ってニートじゃないよ! バイトしてまーす!」
巽「そうなの? ごめんごめん。はははは!」
金髪赤眼で、お人形のような女の子だった。youは何しに来たの? といつか聞いてみよう。
刈谷「僕も漫画家じゃなくて漫画家志望なんだけどなぁ」
細身で特徴的な髪をした男が刈谷さんだ。
巽「まあ、どっちも似たようなものだし、作業を続けよう!」
聞けばミシェルさんは私と同い年だった。
街の方の喫茶店でバイトをしているらしい。
刈谷「刈った草はここに集めよう」
巽「もうだいぶ進んだね。少し休憩しようか」
ミシェル「さすがに疲れましたー」
たしかに、体力的にも精神的にも少し辛い。そして日差しが痛い。明日にはすぐそこの彼のように、こんがり焼けているかもしれない。
日陰で座って休んだ。コンクリートの床はひんやり気持ちいい。ブロック塀の向こうに人影があった。その人影はこちらに向かって来る。
巽「ああ、あの人は…」
どうやら住民のようだ。
名前・性別>>27-28
容姿>>29
遊佐 野々花(ゆさののか)
女
今久 利人(いまひさ よしひと)
男
茶髪のギャル 20
遊佐「おー、ちょうどいい感じー?」
ラフな格好をした茶髪の女の人だ。
…なんだろう。
次から次へと、普通に生活していて絶対に相容れない類の人と出会う。それもこの安価荘の住人だった。
巽「ありがとね! じゃ、これお駄賃」
遊佐「いいっすよ。交換条件だったから」
巽「いやいや、これ重いし…」
遊佐「本当にいいって。ほら、切り分けて来るから」
しかしまあ、こんなに年が近い人がこの荘にいたとは。
刈谷「じゃあ、そろそろ再開しようかな」
巽「いいのいいの。もう少し休もう! ほら、遊佐さんがスイカ買ってきてくれたから」
ミシェル「スイカー?!」
刈谷「おお、ありがたい」
夏の風物詩のスイカ。ニートになってから食べてないので、楽しみだ。そして、あのお姉さんは遊佐というらしい。
誰もそれに触れなかったが、それほどスイカに夢中なのか。
遊佐「ほーい、どうぞー」
見た目によらず…というのは失礼だろうか。だが、かなり手慣れた感じがある。
千子「あ…あの、ありがとうございます」
刈谷「ありがとう、遊佐さん」
どうしても、私のぎこちない礼と刈谷さんの柔らかな言い方とを比べてしまう。
巽「食べたらまた頑張ろうね!」
その後、遊佐さんも加わって計5人で草刈りは無事に終了した。
起床時刻は6時30分。
久しぶりに外に出て活動した私は、日が沈むとすぐに眠りについた。
これまた久しぶりに、朝食をとることになりそうだ。
…何かあったかなぁ。
玄関から呼び鈴の音が聞こえた。昨日、管理人たる巽さんが使わなかったアレだ。
千子「…誰だろ」
こんな朝から物好きが訪ねてきた。何かの勧誘だろうか。きっとうまく断れないが、引っかかることもないだろう。
恐る恐るドアを開ける。その先にいたのは…>>36
母親
千子「え、おか…」
母だった。勧誘よりも何よりも、意表を突いた来客に唖然とした。
母「千子…。夏の間だけでも帰ってきなさい」
何を言っているのだろう。そこに私の居場所などない。
だが、そんなこと言える訳もなかった。
千子「そんな…突然言われても」
母「お父さんだって心配してるのよ? それに…」
私には兄がいる。今年から大学に進学し、都会に行った。
おそらくだが、両親は兄がいない寂しさを紛らわすために、私というスケープゴートを用意しにきたのだ。
千子「少し時間をちょうだい…。準備とかもあるし」
母「そう…。お母さんね、今日は近くのホテルに泊まるから。また明日、迎えに来るわ」
千子「うん…」
どうしたものか。
千子「帰りたくねええええええぇぇぇぇぇ!!!!」
叫んだ。もちろん母の姿が見えなくなってからだ。
我に返って気がつく。他の住人に聞かれるのではないかと。
……呼び鈴が鳴った。予感は的中したようだ。
千子「…はーい」
再び玄関に向かう。謝らなければ。
ドアの先にいたのは…>>39
巽
ドアノブが熱かった、気がした…。
巽「やあ、蟻原さん。おはよう!」
そこには朝から笑顔な管理人がいた。
千子「た、巽さん…。おはようございます」
巽「さっきの人、君のお母さんだよね? 部屋の番号聞かれてさ…」
千子「ええ、はい」
母に部屋を聞かれたことはないし、教えていなかった。
お互いに会う気はなかったのだ。
巽「綺麗になった庭でラジオ体操するつもりだったんだけど、ちょっと心配になってね。そしたら案の定、叫び声も聞こえてきたし」
やはり聞かれてた。外にいた巽さんが聞いたなら他の部屋の住人にも…。
とりあえず、巽さんに事情を話す。
年頃の娘の部屋に入るのも…という気づかいか、ただ単に気まぐれか喫茶店に誘われた。
巽「そうだ蟻原さん。この辺に朝早くからやってる喫茶店があるんだけど、朝食も兼ねてどうかな?」
千子「あ、はい。ぜひ…。あ、でも私お金あんまり…」
巽「何行ってんの! もちろん私のおごりさ。私から誘ったのだからね!」
とのこと。まさにお天道様を拝む気持ちだ。
申し訳なかったが、巽さんには外で待ってもらい着替えた。
苦肉の策として昨日の芝刈り時とは違う、ギリギリ着て外に出ても大丈夫そうなシャツを選んだ。
…いつか服を買いに行かなくては。
千子「お待たせしました」
巽「いいんだよ、さあ行こうか」
巽さんは自前のラジオを日陰に置いていった。多分誰も盗らないだろうけど、少し心配だった。
なんでだろう。
喫茶店に向かい始めた私たちの元に人影が近づく。
巽「おや……」
その人影は荘の住人の>>43だった。
ミシェル
ミシェル「蟻原さんの声、私の部屋まで聞こえてましたー」
恐れていたことが早速現実に……
千子「あの、すみません」
ミシェル「それはいいよ! それより、蟻原さん何かあったのですかー?」
優しい。この美少女め……!
巽「蟻原さん、よかったら彼女もご一緒するかい? ほら、君たち同い年だしさ」
千子「はい。ミシェルさん、いいですか?」
そうだった。私とあの赤眼金髪美少女は同い年なのだった。
ミシェル「私でよければお供しまーす!」
巽「というか今から行く喫茶店ってのは、ミシェルさんもよく知ってるところなんだよね」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません