【ゲート】×【異世界食堂】洋食のねこや 彼の地にて、斯く営業せり (27)

桑原「隊長、準備完了です」

伊丹「よし、弾込め!安全装置!いつものように営門を出たら戦闘地域ということを
忘れずに注意と警戒を怠らないように。乗車!」

桑原「各員、乗車!」

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倉田「ん?なんだ?」

伊丹「おい、どうした?」

倉田「いや、道の脇になんかドアみたいなのが…」

伊丹「本当だ、各車、停止!」

伊丹「洋食のねこや…これどう見ても日本語だよな?」

倉田「なんなんでしょうね?」

栗林「銀座事件のときの遺物でしょうか」

伊丹「だとしてもドアだけこんなところに立ってるっておかしいだろ?」

富田「何かのトラップでは…」

伊丹「落とし穴とかはないようだな、ドアノブにも仕掛けはなしと…」

桑原「隊長、気をつけてくださいよ」

伊丹「うわぁっ!」

桑原「隊長!どうしました!?」

栗林「隊長!」

倉田「隊長!」

伊丹「嘘だろおい…、なんかドラえもんのどこでもドアみたいになってる…、向こう側が本当に洋食屋になってるぞ…」

桑原「どういうことです?」

伊丹「わからん、『門』が開いた時に銀座にあった店の中だけここに繋がったとか…」

倉田「そんなことってあるんですか?」

黒川「まあなにがあっても不思議じゃありませんからねえ」

伊丹「とにかく調べてみよう、要救助者や拉致被害者がいるかもしれん。笹川、工作機材の中にファイバースコープ
あったろう、頼む」

栗林「脅威となりそうな存在は見当たりません」

伊丹「よし、倉田、栗林、黒川、富田、古田、俺に続け。東、勝本、仁科はドアの周辺の警戒。残りは
警戒しつつ車輌で待機。おやっさん、あと頼みます」

桑原「了解です」

伊丹「よし、突入用意!着け剣!」

店主「なんか表が騒がしいような…」

アレッタ「なんでしょうね?」

チリリン♪

アレッタ「あ、いらっしゃいませ…ひいいいっ!」

店主「わああっ!なんだなんだ!?」

栗林「突入ー!」

伊丹「あ、あれ?」

栗林「ちょっと、なにこれ…」

アレッタ「あ…あの…」

店主「あの…皆さん、自衛隊の人ですか?」

伊丹「はあ、そうですけど…」


伊丹「おーい、みんな、大丈夫みたいだ。こっちに来てくれ」


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桑原「それで、こちらのご主人のお祖父さんが毎週土曜日に異世界でこのお店の営業を始めたと…」

黒川「にわかには信じ難い話ですね」

富田「隊長、どうしますか?」

伊丹「よし、とりあえずメシにしよう」

桑原「えっ」

富田「えっ」

黒川「えっ」

栗林「えっ」

伊丹「なんだ、腹減ってないのか?」

栗林「いや、確かにお腹減ったなとは思ってましたが…」

伊丹「すみません、12人ですけどいいっすか?」

店主「え…ええ、お好きな席へどうぞ」

伊丹「心配すんなって。給料も出たしおごるよ。こう見えても尉官だぜ、陸士や陸曹とは支給額が違うんだから」

黒川「い…いや、そうじゃなくて…」

栗林「でも危なかったなあ、手榴弾投げ込むところだったわ」

店主「勘弁してくださいよ…」

アレッタ「あの、マスター、この人たちって一体…」

店主「ああ、この人たちは自衛隊っていってな、俺の国の軍人さんだよ」

黒川「自衛隊は軍隊ではありません」

伊丹「いや、こっちの人に憲法9条とか言ってもわかんないから」

店主「いやあ、東京で異世界の門が開いたのはテレビや新聞で知ってましたが、まさか
こっちの世界にもつながるとはねえ」

桑原「隊長、上にはどう報告しましょう?」

伊丹「いや、やめとこう。こちらにご迷惑が掛かるかもしれないし、何より信じてもらえないと思う」

栗林「ですよねえ…」

富田「いいのかなあ…」

店主「ちょっと待ってくださいね、いま日本語のメニューを持ってきますから」

伊丹「ええ、お願いします」

クロ(いらっしゃい、何にする?)

伊丹「わあっ!なんだ!?」

倉田「あのウェイトレスさん、頭の中に直接話しかけてきましたよ!?」

栗林「なに?テレパシーってやつ?」

富田「さすがは異世界だなあ…」

伊丹「そうだ、我々の場合、支払いは日本円の方がいいですよね?」

店主「まあ、どちらでもいいんですが…」

伊丹「じゃあ俺はお好み焼きセットをシーフードで!お前らは?」

倉田「隊長、ここまで来てお好み焼きですか?」

伊丹「いや、メニューにあったし普通の料理なら宿営地でも食えるから」

栗林「じゃあロースカツ定食!」

倉田「じゃあ俺はハンバーグ定食!」

古田「自分は日替わり定食を」

アレッタ「はーい、今日の日替わり定食はポークソテーですよ」

黒川「みんな順応早いですね…」

桑原「そうだな…」

倉田「隊長!あのウェイトレスさん角が生えてるっすよ!尻尾はどうなのかな?」

伊丹「お前ねえ…」

栗林「もうやだこいつ…」

クロ(お待たせした)

伊丹「おっ、来た来た」

富田「じゃあすみません、ご馳走になります」

伊丹「じゃ、いただきまーす」

栗林「あっ、これおいしい」

倉田「本当だ、これもうまいですよ」

伊丹「うーん、隠れた名店を発見したな」

富田「隠れた名店っていうか、隠れ過ぎでは…」

古田「…」

伊丹「古田、どうした?なんか気に入らないことでもあるのか?」

古田「いえ、そうじゃないんですが…」

店主「あれ?お客さんもしかして調理担当の方ですか?」

古田「あ、やっぱりわかります?」

店主「ええ、長らくこの仕事やってると、同業者の人はすぐわかるんですよ」

古田「自分、以前は和食の料理人やってて、今度、現地の人たちに料理を振る舞う任務があるんですが、
こっちの洋食をうまく現地の人向けにアレンジしてるなあって感心してしまって…」

店主「いろいろとコツがありましてね」

黒川「あの2人、料理人同士気が合うみたいですね」

桑原「職人の道は職人が知るってことかなあ」

伊丹「うーん、それにしてもお好み焼きうまいなあ、ビール頼んだらまずいよな?」

栗林「ダメに決まってるでしょう」

伊丹「よーし、じゃあそろそろ行こうか。すみません、勘定お願いします」

アレッタ「はーい」

伊丹「あ、しまった、金おろすの忘れてた。えーっと、カードで」

アレッタ「えっ」

アレッタ「あ…あの、マスター、これ、どうしたら…」

店主「ああ、いいよ。俺がやるから。うーん、こっちで営業するようになってから、
カード払いのお客さんが来たの初めてだなあ」

伊丹「でしょうねえ」

店主「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

栗林「あのご主人の言ってた通りですね、出た途端にドアが消えました」

富田「こりゃあますます信じてもらえないでしょうねえ…」

伊丹「よーし、大休止終了!出発!」


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アレッタ「マスター、変わったお客さんでしたね」

店主「ああ、俺も少々のことでは驚かない自信があったが、あれはちょっとびっくりしたな」

クロ(何事もなくてよかった)

店主「今日はもう例の最後のお客さん以外は来ないだろうなあ、ビーフシチューの支度をしたら
店じまいの用意だな」


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ヤオ(まさかこんな処で迷ってしまうとは…、人里からどんどん離れていっている気がする…)

ヤオ(これでは路銀があってもなんの意味もないな、腹が減った…、『緑の人』たちに逢う前に
野垂れ死にすることになろうとは…)

ヤオ(なんだあの扉は…、異質な魔法の気配を感じる…、頼む、我への救いであってくれ…!)



                      終

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