憩「私が三箇牧の部長に!?」 恭子「私が姫松の監督に!?」 和「私が虎姫に!?」 (143)

速報での初SSです
アニメの全国版が放送されてた頃に大まかな話の流れを考えたので
個人戦やコクマのルールなど色々とおかしい所があると思いますが
このSSだけの勝手な設定だと思って下さい
そしてオリキャラ風なキャラが何人か出ます
このSSの作者は麻雀素人です
それでは投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515134043

………インターハイ最終日………


長きに渡る戦いが終わり今日女子高生最強雀士が決まる
残り試合もついに2試合となった
個人戦の5位決定戦と
その後から行われる個人戦決勝である

………インターハイ個人戦5位決定戦終了後………


智葉「結局去年より2つも順位を下げてしまったな」

やえ「私よりも上の順位なのに随分な態度だ、まあ今回は負けたけど私に足りない物が分かったし次は」

智葉「さて残すは決勝のみだな」

やえ「おい!!聞いてんのか!!」

智葉「ふっ…悪かったな、長くなりそうなものでな」

やえ「まったく…お前とはミドルで優勝を争った仲だが、親しき仲にも礼儀ありだぞ」

やえ「さて改めて…決勝が楽しみだな」 キリッ

智葉「宮永照の圧勝…良くて荒川憩との一騎打ちだろう」

やえ「ふふっ!」

智葉「何か可笑しいこと言ったか?」

やえ「私を準決勝で破った2人を忘れてもらっては困る!お前らもそう思うだろ!!」

洋榎「…せやな…決勝では恭子を応援せなアカンな…」

咲「…そう…ですね…私も和ちゃんを応援しないと…」

智葉「何だかこの2人元気無いな…(宮永咲はともかくいつもは騒がしい愛宕洋榎まで…)」

やえ「どうせ一緒に決勝に進んで戦おうと約束したのに、自分だけ準決勝で負けたからとか大した理由じゃないだろう」

智葉「十分過ぎる理由だと思うが」

やえ「駄目だな!王者は孤高でなくてはならない!!」

………インターハイ個人戦決勝終了後………


照「(なんとか個人戦も優勝出来た…けど…)」 チラッ

憩「もっと…もっと力が欲しい…」 ゴゴゴゴ

和「ううっ…咲さん…みんな…」 ポロポロ

恭子「私はもうこれ以上…麻雀は打てん…」 カタカタ

照「(まあ…時間が経てば落ち着くでしょ…)」

---インターハイ会場PV前---


宮 永 照 44000
荒 川 憩 43600
原 村 和 *6800
末原 恭子 *5600


智葉「ほら、私の言った通りじゃないか」

やえ「ふん!、コイツらもお前もコクマでまとめて追い抜いてやるわ!!」

智葉「ところで何でこんな所に居るんだ?」

やえ「部員達の温かい慰めが逆に辛くて抜け出して来た」

智葉「まあ…私も似たようなものだ…」

叶わぬ約束…届かぬ願い…
色々な思いを残しながらインターハイは幕を閉じた…
しかし雀士達の戦いに終わりは無い

これは、運命を乗り越えてもなお
勝利者になることが出来なかった者達の物語である

………インターハイ終了から3日後………


憩「私が三箇牧の部長に!?」

一旦終わりです
続きは来週投下します
来週からは第1の主人公荒川憩編です
これからは週一回投下を目標に頑張ります

激戦区北大阪で地区大会団体戦2位の三箇牧高校
そんな三箇牧高校麻雀部に新たな部長が誕生しようとしていた
インターハイ2年連続個人戦2位の荒川憩である

しかし三箇牧高校麻雀部は2つの不安要素を抱えていた
1つは戦力面である
部員数は引退する3年生を除いてもまだ26人と少なくないものの
全国クラスの相手とまともに戦える人材は少ない
そしてもう1つは
三箇牧高校麻雀部で1年前に起こったある出来事に端を発した
部内での派閥争いである

………インターハイ終了後から3日後・三箇牧麻雀部部室………


憩「私が三箇牧の部長に!?」

部長「何か問題でもあるんか?」

憩「今三箇牧麻雀部には大きく分けて3つの派閥が存在するのはご存知ですよね?」

部長「やるからには勝ちにこだわりたい「荒川派」、趣味と遊びの範囲で楽しくやりたい「反荒川派」、そしてどちらにもつかない「中立派」やな」

憩「私が部長になると部の方針が勝利至上主義に傾いて、反荒川派の人達が退部してしまうとは考えなかったんですか?」

部長「そこらへんはあんたの裁量に任せる、それに…」

憩「それに?」

部長「せっかく世代最強雀士がおるんやから頂点目指すのも悪くないやろ」

部長「それとも誰か他に適任がおるんか?」

憩「…「小林」、「五十嵐」、「木吉」辺りはどうでしょうか?」

部長「全員あんたの派閥の人間やないか…」

憩「そうですね」

部長「まああんたとしては信頼出来るのに、部長を任して個人戦に集中したいゆうのも分からんでも無いが…」

憩「他に挙げるなら「高橋」はどうでしょうか」

部長「中立派の2年生のトップのアイツか…それも考えた、けど…」

憩「けど?…」

部長「アイツにはトップを支える方が性に合ってると思うんや」

部長「とにかくうちはあんたに部長をやって欲しいんや、アンタなら間違いなく強いチームを作ってくれるやろ」

憩「強いチーム…分かりました、謹んでお受け致します」

部長「おおっ!…やってくれるか!!」

憩「来年には千里山を倒して全国に行けるチームを作ります」

部長「大きく出たな、勝算はどれぐらいや?」

憩「今のままだと3…イエ2ほどかと…」

部長「2割か…」

憩「いいえ2%です」

部長「千里山とはそこまで差があるんか…」

憩「千里山は既に1年生と2年生だけでも全国クラスの打ち手が5人以上揃っています」

部長「うちは引退する3年生を入れても4人もおらんな…」

憩「まともにやったら余程の事が無い限り勝てません」

部長「じゃあどうするんや?」

憩「そこで私が部長になれば3つの改革を行います」

部長「3つの改革?」

憩「1つ目は3軍制の導入です」

部長「千里山がやっているやつやな」

憩「3軍は基礎練習、2軍は長所を伸ばしたり短所の克服、1軍は実戦の中で勝てる麻雀の会得が主です」

憩「2つ目は全体的な練習量の増加です」

部長「1年前でも崩せなかったそこに手を付けるか…」

憩「今のままでは千里山を倒して全国を目指すチームとしては少な過ぎます」

憩「そして3つ目、個人的にはこれが一番の改革だと思います」

部長「それは何や?」

憩「団体戦のオーダーの組み方の見直しです」

部長「それはあんたを先峰から移動させるっちゅうことか?」

憩「はい、後ろから順番に強い選手を並べます」

部長「なあ荒川…最後の一つのことについてやけど…」

憩「何ですか?」

部長「あんたが大将に回りたい理由は、何度もうちらがあんたの作ったリードを守れずひっくり返されて、それがイヤになったからなんか?」

憩「…いいえ、あくまで戦略上の理由です」

部長「そうか…」

部長「最後に1つだけええか?」

憩「何ですか?」

部長「強いチームを作ろうとするあまり大切なコトを忘れんでくれや」

憩「…分かりました…絶対日本一のチームを作ります!」

部長「…本当に分かっとんのか…」


………………

………次の日・三箇牧麻雀部部室………


部員A「いよいよ憩が部長か…」

部員B「就任挨拶で何を言うか楽しみだな」

部員C「つかみは大事やぞ」

??「アンタらが浮かれていられるのも今のうちだけや!!」

部員X「我ら「反荒川派三人衆」が存在する限り!」

部員Y「たとえ荒川が部長になろうとも!」

部員Z「貴様ら荒川派の好きには絶対させへん!」

部員A「うるさいヤツらが来たで」

部員B「憩の部長就任を阻止出来んかったくせしてな」

部員C「(憩は部長になったらコイツらの扱いどーすんのやろな)」

………………


憩「この度○○前部長の推挙により三箇牧高校麻雀部の新部長に就任することになりました荒川憩です」

憩「これまでは自分自身の修練に勤しんでいれば良かったのですが」

憩「これからは部の舵取りという大任を任され誠に身が引き締まる思いです」

憩「不慣れな部分も多々あり何かと至らぬ点もあると思いますが、誠心誠意麻雀部に尽くしていきたいと思います」

部員A「(まずは手堅い挨拶から入ったな…)」

部員B「(手堅いっつうか堅いやろ…)」

部員C「(最初に前部長に推された点を強調したのは、前部長がトップだった中立派を取り込む狙いやな…)」

憩「私は運にも恵まれ、インターハイで2年連続で個人戦準優勝という栄誉を得ました」

憩「チャンピオンが卒業するからと言って当然油断せず、来年度こそは優勝するつもりです」

憩「しかし先日私は部長就任を打診され、新たな目標が増えることになりました」

憩「それは三箇牧高校麻雀部を来年度インターハイで優勝出来るぐらい強いチームにして、団体戦も優勝することです」

憩「日本一のチームを作るのが前部長との約束であり、団体戦と個人戦の両方優勝の二冠を達成することが私自身の新たな夢です」

憩「しかし、これは私1人の力ではどうやっても不可能な話なのです!」

憩「みなさんこれからどうか私に力を貸して下さい!!よろしくお願いします!!」 ペッコリン

パチパチパチパチ

部員A「私の力で良ければいくらでも貸したるわ!!」

部員B「うおおおぉ!三箇牧ばんざーい!!荒川憩ばんざーい!!」

部員C「(荒川派は当然としても中立派の反応も悪くない…)」

荒川憩の部長就任挨拶はいい雰囲気のまま終わった…
かに思われた…が…


憩「あっ!?…すいません、緊張してて1つ言い忘れてました」

部員A「百戦錬磨のお前でも緊張することがあるんか?」

部員B「何か堅かったもんな」

部員C「(緊張して堅かったというのも、言い忘れたというのも多分ワザとやろな…)」

憩「私は三箇牧麻雀部が日本一になるために、今すぐ2つの改革を行いたいと思います」

………………

部員X「みんな騙されたらアカン!前部長が荒川を部長に推したホンマの理由を考えてみい!!」

部員A「なんやホンマの理由って?」

部員Y「荒川派以外の人間が部長になった場合、そいつが荒川の意にそぐわない場合攻撃される恐れがあるからやろ!!」

部員B「憩はそんなことせんやろ」

部員Z「せんと言い切れるんか?荒川が1年前3年の先輩達に何をしたか忘れたんか!!」

憩「待って下さい!」

部員X「なんや?なんか言い訳でもあるんか?」

憩「せっかくですから1年前三箇牧麻雀部で何が起こったかを、この場にいる全員に知ってもらってはどうですか?」

部員Y「なんやと!?」

部員A「まあ…噂程度でしか知らん1年もおるやろうしな…」

部員B「そんなの誰が説明するんや?やっぱ言い出しっぺの憩か?」

部員Z「貴様ら荒川派の人間はダメや!自分達に都合の言いように話すに決まっとるわ!!」

部員C「それはアンタらが説明しても同じことやろ」

憩「ここは高橋さんにお願いしようと思います」

部員Q「私か…まあそんな気がしてたけど…」

部員X「中立派の2年のトップの高橋なら文句ないわ」

部員A「まあコイツなら変なことは言わんやろ」

部員Y「ちゅうか本来なら荒川なんかよりもコイツが部長になるべきやと思うわ」

部員B「なんやと!!コラ!!」

部員Q「ええと…何から話せばいいのかな…」

部員Q「そうだな…まずは私達が入った頃の三箇牧麻雀部がどんな状態だったかから」

部員Q「私達が入部した頃三箇牧麻雀部は、好きな時に集まって、好きなように打って、好きな時に帰るというものだった」

部員X「それこそが本来三箇牧麻雀部のあるべき姿やろ!」

部員A「そんなのは麻雀部とは呼べん!」

部員Q「その頃三箇牧麻雀部は5つのグループがあったけど」

部員Q「それぞれが対立することなくそれなりに仲良くやっていた」

部員Q「その象徴の1つが団体戦のメンバーの選出方法」

部員Q「5つのグループから1人ずつ選ばれるという形で均衡を保っていた」

部員Q「ところがそんな三箇牧麻雀部のあり方に異を唱える新入生が現れた」

部員Q「後にこの世代の3強のうちの1人に数えられる「荒川憩」である」

部員Q「荒川は同調する他の新入生達をまとめ上げ1年生だけのグループを作ってしまった」

部員Q「そしてこのグループは後に「荒川派」と呼ばれることになる」

部員Q「彼女たちの考えはこうである」

「もっとちゃんと練習した方がいいですよ」

「団体戦も上手い人部内上位5人を出した方がいいですよ」

部員Q「意外にもこの考えは元々あった5つのグループのうち2つのグループにはある程度賛同を得られた」

部員Q「元々似たような考えを少しは持っていたが」

部員Q「部の平穏を乱してはいけないと、なかなか言い出せなかったらしい」

部員Q「しかしながら当然他のグループには…」

「つい最近入って来たばかりの1年のくせに生意気や!!」

部員Q「全く受け入れられなかった」

部員Q「荒川派の改革を求める姿勢に反対した3つのグループは」

「私達は今までの平和な麻雀部を守るんや!」

部員Q「と称して「平和派」と名乗る連合を組んで荒川派に対抗をしだした」

部員Q「荒川派と平和派は議論を尽くしたが、どちらも主張を譲らず」

部員Q「どちらの主張にも一定の理解を示す「中立派」を交えても結論は出なかった」

部員Q「荒川派と平和派の対立は日に日に深まっていき」

部員Q「そんなある日決定的な事件が起きてしまう」

部員Q「荒川派の1年生の1人が何者かから、物を隠されるなど嫌がらせを受けてショックで退部してしまったのだ」

部員Q「犯人はすぐに見つかったものの、なんとそれは平和派の3年生だった」

部員Q「犯人とされる3年生は退部させられたが、事態はこれで終わらなかった」

部員Q「荒川派のメンバーが「荒川」、「小林」、「木吉」、「五十嵐」の4人を残して全員退部してしまうのである」

部員Q「退部した理由は「勉学に励みたい」、「麻雀より面白いことを見つけた」、「部内の派閥同士の争いが嫌になった」など理由は様々だったが」

部員Q「この頃から部内では不穏な噂が流れ始める、その噂とは…」

「実は退部した荒川派のメンバーは平和派のメンバーに苛められて辞めたのではないか…」

部員Q「というものである」

部員X「これに関しては荒川派の策略だと思うわ!」

部員A「ほう…どんな策略や?」

部員Y「この先気が弱くて戦力にならなそうなメンバーを切って、平和派を攻撃する材料にする策略や!」

部員B「それはどう考えても下策やろ」

部員Z「でも、噂を流したんは貴様ら荒川派なんやろ!」

部員C「(確かに噂を流したのは私達やったけど…)」

憩「(ふふっ!…どうせ辞めんなら最後くらい私の役に立ってもらわんとなぁ!)」

部員Q「先の事件のこともあって噂の効果は絶大だった…そして平和派の中にも」

「もしかしたら私達の中に苛めを行っている人間が居るのではないか…」

部員Q「と疑心暗鬼になってしまう者も出始めた」

部員Q「事態を重く見た当時の顧問や部長など部の上層部は、少々強引な手段で解決しようとする」

「お前らも雀士のはしくれなら麻雀で決着を付けろや!」

部長Q「それは荒川派と平和派で麻雀で勝負をして負けた方は勝った方に従うというものであった」

部員Q「その勝負の内容とは「荒川派4人」対「平和派の3年生30人」による勝ち抜き戦である」

部員Q「荒川派1人と平和派の3年生3人で半荘1回を打ち、トップ以外は交代し、新たな交代要員を出せなくなった方が負けというルール」

部員Q「部内では当時の荒川はインターミドルの実績はあるものの、部内の練習を見る限りそれ程怪物だとは思われてなかった」

部員Q「そのため勝負自体は荒川派に不利だと思われていたが…」

………1年前………


部員A「こっちの一番手は憩でええんか?万が一憩が負けた時点でこっちの負けやろ」

部員C「いや…むこうがトップ取っても2人交代することを計算に入れんなら、例え憩が負けたとしても25人以上削ってくれていればその時点で私達の勝ち確や」

部員B「そんな計算は無意味や!」

部員C「なんで無意味なんや?」

部員B「憩が負けるわけ無いからや!そうやろ!」

憩「ふふっ!まあうちに任しといてや!、それに…」

部員A「それに?」

憩「今日は久しぶりにあんまり手加減せんで打つつもりや」 ポキポキ

………………


当時の3年生Ⅰ「くっ…まさか1人対3人の状態で10連続サンコロやなんて…」

当時の3年生Ⅱ「普段は手ぇ抜いて打ってたんか…」

当時の3年生Ⅲ「こんなバケモンやと分かっとったら麻雀で勝負なんかせんかったのに…」

憩「納得いかないなら2周目に入ってもいいんですよ?」

当時の3年生Ⅰ「何やと?」

憩「ただし、その場合はこちらも少しだけ本気を出させてもらいます」 ゴゴゴゴゴ

………現在………


部員Q「結果は荒川派の圧勝…いや、荒川の圧勝だった」

部員Q「その荒川のあまりの強さに相手方の平和派はもちろん、立会人を務めた中立派の面々まで震え上がった…」

部員Q「しかし同時に別の大きな印象を部全体に与えることになった、それは…」

荒川は口先だけのヤツじゃない
荒川がいれば三箇牧麻雀部は全国に行けるんじゃないか

部員Q「というものである」

部員Q「そして勝負前の取り決め通り、荒川派の要求である」

団体戦メンバーは部内実力上位5人を選出すること
練習時間を決めてそれを守ること

部員Q「この2つが部内で実施されることになるが」

部員Q「1つ目に関しては問題無くすんなり移行できたが、2つ目の部分でまた一騒動起こる」

部員Q「荒川派と平和派で想定していた練習時間に倍以上の開きがあったのである」

部員Q「そこで荒川派はこう主張した」

「勝負前に勝った方に従うと決まったんやから、私達の決めた練習時間を守るべきや!」

部員Q「ところが平和派の3年生達はこう反論した」

「従うんは練習時間を決めるっちゅうことだけや!」

「それに100歩譲ってあんたらが決めた練習時間に決まってもや!」

「勝負に負けたんは平和派の3年生やから、平和派の2年生、1年生は従わんでもええやろ!」

………1年前………


部員A「どうするんや!あいつらが想定してる練習時間は1日1時間ぐらいやぞ!」

部員C「それにしても負けたんは3年生やから2年生、1年生は従わんでもええとは…」

部員A「そういう逃げ道を残しとくために勝負の時に2年と1年を動員せんかったんやろ!」

部員B「ふん!…やる前から負けた場合のことを考えてとる奴らなんか所詮憩の敵やない!」

憩「(でも自分達に味方してくれた後輩達を守ろうとする姿勢は悪くない…恐らくここらへんが今回の落としどころに繋がるやろな…)」

部員A「で?本当にどうするんや?」

部員C「…私はまた部の上層部に判断を委ねる形を取るべきやと思うわ」

部員A「あいつらに任せたらどう転ぶか分からんやろ、それに…また麻雀で決着付けろ言う可能性は無い!」

部員B「憩の圧倒的な実力がバレてしもうたからな」

部員C「委ねるのは形だけや、実際は私達に有利な裁定を下すように脅すんや!」

部員A「ほう…何か脅す材料あんのか?」

部員C「最初に私達の仲間が嫌がらせを受けて退部した事件、部の体裁を守るためか知らんがその詳細を学校側に報告しとらん可能性が高い」

部員B「十分あり得そうな話やが…憩はどう思うんや?」

憩「…そのカードは切らん方がええと思うわ」

部員C「なんでや?」

憩「部の上層部が開き直って学校側に報告して、学校側が警察に連絡するなどして事が大きくなってしもうて」

憩「三箇牧麻雀部が活動の自粛、さらには次の大会の出場辞退にまで発展したら困るんや」

部員C「なるほど…」

部員A「せっかく麻雀部の慣例ぶっ壊して団体戦に私達が出場出来るようになったのに、出場辞退という判断されたら元も子もあらへんからな」

憩「(本当は別の理由があるんやけどな…実は最初の嫌がらせ退部事件…あれは私のでっち上げや!)」

憩「(退部させられた先輩の買収、退部した子との口裏合わせ、その他諸々の工作は完璧や!)」

憩「(それでも詳しい調査が入るとでっち上げだとバレる可能性が万に一つぐらいはある…)」

憩「(それに部の隠蔽体質はこれからも利用させら貰わんとな…フフッ!)」

憩「私は今回はこれで潮時やと思う」

部員A「それは練習時間に関してはあいつら寄りでええっちゅうことか?」

憩「そういうことや」

部員B「まあ…麻雀勝負の功労者の憩がそう言うんやったら…」

憩「やる気のある子は自主練などして足りない分を補おうとするやろ、それに…」

部員C「それに?」

憩「ウチはあんたらと一緒に全国を目指せればそれでええ…」

部員A・B「憩…」

部員C「………」

憩「(まあ2年生になる頃には気が変わるかもしれんけどな…)」

部員A「でも麻雀勝負で勝ち取ったんが、団体戦で実力上位5人を出場させる権利だけっちゅうのは少ないやろ」

部員B「憩がええって言うとるんやからええやろ!」

部員C「(でも、もし本当にこの程度で引き下がるんやったら…私は荒川憩という人物を買いかぶり過ぎやったかも知れんな…)」

憩「(さて…部の練習時間で譲歩する代わりに平和派の3年生には全員退部してもらうとしてや…)」

憩「(他にも何か一つ欲しいところやな…)」

………現在………


部員Q「結局部の練習時間に関しては「1日1時間」と平和派寄りな内容に決定した」

部員Q「しかし予想だにしなかった出来事が起こる」

部員Q「突然平和派の3年生達が、表向きな理由を一切告げずに全員退部してしまったのである」

部員Q「(これに関して私は荒川派と平和派の3年生の間で何か密約があったと思うわ)」

部員Q「そして残った平和派の2年生、1年生の中でも分裂が起こる」

「荒川は智力も雀力もうちらの遠く及ばない怪物や」

「そんな怪物を相手にかつての麻雀部を取り戻すために戦うんよりかは、今の環境を受け入れたほうがマシや」

「荒川もこれ以上悪いようにはせんやろう…」

部員Q「という諦めムードが流れ平和派の半数以上が中立派に流れてしまった」

部員Q「残った平和派のメンバーはというと…」

「追い出された先輩達の無念はうちらが晴らす!」

「今度は私達が荒川を追い出す!」

「荒川のやり方は気に入らん!」

「これ以上荒川の好きにはさせん!」

部員Q「荒川に対する対抗色が強いのばかりであった」

部員Q「彼女達は圧倒的に強い荒川に抵抗するため」

部員Q「荒川に対する対抗色を前面に打ち出したグループ…「反荒川派」と名乗るようになった」

部員Q「それから荒川派と反荒川派の間で小さな争いはいくつかあったが…」

部員Q「双方退部者を出すような大事にはならず今に至る」

部員Q「…こんなところでいいか?」

憩「中立的な立場での説明ありがとうございます」

部員A「しかし短期間で40人近く退部者出したのに、よく問題ならんで大会出場出来たもんやな」

憩「(そこらへんは上層部の連中が上手くやったのと…私があえて放置しといた隠蔽体質の大勝利や!)」

部員Q「最後に何か質問ある人いる?」

部員X「おるわ!!」

部員Q「なんだ?」

部員Y「アンタじゃない荒川にや!」

憩「なんですか?」

部員Z「そんなの決まっとるわ!」

部員X「なんで先輩達を麻雀部から追い出した!!」

憩「なぜ私が先輩達を追い出したと思うんですか?」

部員X「とぼけんな!!「部内の練習時間で譲歩する代わりに平和派の3年生は全員退部すること」そんな取り引きを先輩達に持ち掛けたやろ!!」

部員Y「そして先輩達がこれに応じる…これは追い出した以外の何物でも無いやろ!!」

憩「先輩達がそう言ったんですか?」

部員Z「いや…先輩達は…」

「荒川派とは約定を結んだ、お前達はこれから何も心配せんでええ」

部員Z「としか言わへんでその内容は教えてくれんかったけど…状況的にはそれしかあり得んやろ!!」

憩「そうですか…それなら私が答えられることはありません」

部員X「アンタらが先輩達を追い出してないと言うんやったら、1年前に先輩達と結んだ密約の内容を公開すべきや!」

部員Y「それが出来ないんは何か後ろめたい理由があるからやろ!」

憩「その問いには答えられません」

部員Z「なんで答えられんのや!」

憩「答えられないことを答えたも同じになるからです」

部員X「ほれ見いや!やっぱり何か後ろめたい理由があるんやろ!」

部員Y「中立的な立場のあんたから見てもそう思うやろ!」

部員Q「いや…そうとは言い切れない」

憩「(ほぅ…さすがに気づいたようやな…)」

部員Z「なんで言い切れないんや!?」

部員Q「先輩達は教えてくれない、荒川は答えない、このことから導き出される理由は1つしかない」

部員X「なんやそれは?」

部員Q「密約の中に「内容を公表しない」というものが含まれている」

部員Q「これはあくまで私個人の想像だけど、1年前に荒川派と平和派の3年生達が結んだ密約の内容は」

壱 部の練習時間は「1日1時間」で合意する
弐 平和派の3年生は全員退部する
参 ???(恐らく平和派に有利な内容)
肆 この約定の内容は公表しないこととする

部員Q「みたいな感じだったと思うわ」

部員A「(さすがに反荒川派のボンクラ共とは違うようやな…)」

部員B「(スゲェな…ほぼ正解や)」

部員C「(中立派のトップを務めるだけのことはあるわ…)」

部員X「参の???が平和派に有利な内容だと思うのは何でや?」

部員Q「壱に対して弐では重すぎて釣り合わない、その埋め合わせを参で行う感じだろうと予想させてもらった」

部員Y「確かに理にかなってはいるが…これはあくまであんたの想像やろ?」

部員Q「その通り、本当のことはそこにいる荒川派の4人ともう卒業した当時の平和派の3年生しか分からない」

部員Z「参が平和派に有利な内容ならうちらも知らんうちに恩恵を受けとるはずなんやが…」

部員X「ああ!もう1年以上前に決まったことなんて時効でええわ!」

部員Y「先輩達ももう卒業しておらんし無効でええやろ!」

部員Z「だから先輩達とどんな密約があったかさっさと教えろや!」

部員Q「(こいつら完全に荒川派の罠にはまったな…いや…)」

憩「(ふふっ!…勝手に墓穴を掘っているだけや!)」

憩「それほど気になるのならお教えしましょう…ただし」

部員X「ただし?」

憩「先輩達と結んだ約定は破棄させてもらいます」

部員Y「真実を明らかにするために必要なことやったら仕方あらへん」

部員Z「やっぱり内容を公表せんことも含まれとったか…」

部員Q「(こいつら気付いてないのか?…今の荒川派に約定を破棄させるデメリットが無いことに…)」

憩「殆どはさっき高橋さんのおっしゃった通りです」

部員X「で?、参の???の内容はなんやったんや?」

憩「それは…」

部員Y「それは?」

憩「「荒川派は残った平和派の2年生と1年生の部員を攻撃して麻雀部から追い出してはならない」というものです」

部員Z「なんやと!?」

部員Q「(やっぱり平和派に有利な内容だったか)」

部員X「私達は知らん間に先輩達に守られてたんやな…」

部員A「それは思い違いや!」

部員Y「なんやと!」

部員B「アンタらが麻雀部を追い出されんかったんは憩の温情によるもんや!」

部員Z「なんでや!」

部員C「だってアンタらは「平和派」やなくて「反荒川派」と名乗っているやないか」

部員X「そんな屁理屈が通ると思っとんのか!!」

部員A「…麻雀勝負で負けた先輩達が何言うたか覚えとるか?」

部員Y「な…なんや急に!?」

「従うんは練習時間を決めるっちゅうことだけや!」

「勝負に負けたんは平和派の3年生やから、平和派の2年生、1年生は従わんでもええやろ!」

部員A「これは屁理屈やないんか?」

部員X「くっ…そんなら最初の質問に戻るわ!」

部員B「なんやったっけ?最初の質問って?」

部員Z「なんで貴様ら荒川派が先輩達を追い出したか?やろ!!」

部員C「そんなの先輩達が屁理屈言ってゴネたからやろ」

憩「まあそれも少しはあると思いますが…」

部員X「じゃあ主な理由はなんや!」

憩「先輩達の方から「自分達が全員退部するから練習時間と残りの平和派の後輩を攻撃するのは勘弁してくれ」と言ってきたんですよ」

憩「(まあ…そうなるように仕向けたのは私やけどな…)」

部員Y「そんなのアンタらに都合のいいように言うとるだけやろ!」

憩「しかし一度は断りました」

部員Z「えっ!?」

憩「そこで私達はこの取引を密約とすることを条件に受け入れることにしました」

部員X「それがホンマやったらなんで密約なんかにしたんや?」

部員Y「確かに…アンタらが先輩達を追い出したいう印象は薄くなったかもしれんのに…」

部員A「密約にせんかったらどうなった?お前らは先輩達を自分達を守るために自らを犠牲にした英雄と祭りあげるやろ!」

部員B「憩に楯突いた奴らを英雄扱いなんて認められんわ!本来なら醜い敗北者としてもっと無様に麻雀部を追い出されんのがお似合いや!」

部員Z「貴様ら…先輩達のメンツを潰すために密約にしたんか!」

部員C「先輩達だって最後の抵抗で私達を悪役にするために密約にすることを了承したしそこはお互い様やろ」

憩「それでも私達が先輩達を追い出したと言うんですか?」

部員X「言うわ!!」

部員A「なんでや?」

部員Y「例え先輩達から言い出したことであっても…自分達が退部する代わりに部の練習時間の譲歩と後輩を攻撃せんことを約束させるなんて条件了承したらいかんやろ!」

部員Z「それを了承したっちゅうことは追い出したも同然やろ!!」

部員B「そんならどうすりゃ良かったんや?」

部員X「そんなの決まっとる…荒川派の無条件全面譲歩や!」

部員C「それじゃあ何のための麻雀勝負やったんや?」

部員Y「団体戦が部内実力上位5人出せるようになっただけで満足せいや!」

部員Z「やっぱり貴様らのやり方は気に入らんわ!!」

憩「それなら気に入らないついでに、もう1つ気に入らないかもしれないことを言わせてもらっていいですか?」

部員X「これ以上何かあんのか!?」

憩「先ほど話した2つの改革のうちの1つ、1日の練習時間を増やしたいという話です」

部員Y「い…異議ありや!部内の決めごとと荒川派と平和派の間の約束で練習時間は「1日1時間」となっているはずや!」

部員Z「そうや!そうや!これ以上の横暴は許されんぞ!」

部員A「お前らはアホか」

部員X「なんやと!」

部員B「部内規約は部長権限で改訂出来る」

部員Q「(部員の3分の2以上の賛成でも改訂出来るけどね…)」

部員C「それに荒川派と平和派の間に結ばれていた約定はさっき破棄されたやろ」

部員X「先輩達が自らの退部と引き換えにしてまで結んだ約定を簡単に破棄してええと思っとんのか!!」

部員A「何言っとんのや、あんたらも同意したやろ」

部員Y「私達がいつ同意した!」

………………

部員X「ああ!もう1年以上前に決まったことなんて時効でええわ!」

部員Y「先輩達ももう卒業しておらんし無効でええやろ!」

部員Z「だから先輩達とどんな密約があったかさっさと教えろや!」

………………

部員B「これが同意やなかったらなんなんや?」

部員Z「貴様らが隠し事するから真実を明らかにするため仕方なくやろ!」

部員C「アンタらいい加減見苦しいで」

部員X「まあ私達も少し抜かったかもしれんから話だけは聞いたるわ」

部員Y「気に入らんかったらまた反対するかもしれへんけどな!」

部員Z「どんぐらい練習時間増やしたいんや?」

部員X「3分か?」

憩「いいえ」

部員Y「そんなら5分か?」

憩「いいえ」

部員Z「まさか10分か?」

部員A「(相変わらずふざけた練習時間しか言わんな…)」

部員B「(コイツらそんなに練習したく無いんか…)」

憩「いいえ」

部員X「じゃあ何分や?」

憩「2時間です」

ザワザワ

部員A「なんかザワザワしとるな…」

部員B「フン!1日1時間というヌルい練習環境に慣れきった奴らには刺激が強かったようやな!」

部員X「2時間ってどうゆうことや!!」

部員C「1日の練習時間を2時間増やして「1日3時間」にするっちゅうことや」

部員Y「そないな小学生の算数レベルの話、言わへんでも分かるわ!!」

憩「当然ですが練習時間の増加は1軍、2軍、3軍全てで共通です」

部員Z「そんな急にスパルタな練習、軟弱な私達がついて行けると思うな!!」

部員Q「(確かに…1軍3時間、2軍2時間、3軍1時間ならまだ分かるが…)」

部員X「なあ荒川…確かにアンタは優秀や、アンタの言うとおりにすれば三箇牧麻雀部は千里山を倒して全国に行けるかもしれん…」

部員Y「でも楽しく麻雀打てればそれでいいと思っとるヤツにまでキツい練習を強いるのはちゃうやろ!」

部員Z「私達は貴様の操り人形やない!!、やっぱり貴様のやり方は気に入らん!!、貴様には従えん!!」

憩「(…まあ、予想通りの反応やな)」

部員A「それがお前らの答えか?」

部員X「あ?」

部員C「憩が前部長に推されて部長に就任した以上、憩が正当な麻雀部の部長なのは言うまでもないことやな」

部員Y「…何が言いたいん?」

部員B「憩のやり方が気に入らんのなら麻雀部から出て行け!!ってことや!!」

ザワザワザワザワ

部員X「アンタの腹心の部下はこう言うとるが、当然アンタもそう考えていると思ってええんやな?」

憩「…今の私から言えることは1つしかありません」

部員Y「なんやそれは?」

憩「私を信じて下さい」

部員Z「信じられんな!…と言うたら?」

憩「それなら私を部長に推した前部長を信じて下さい」

………荒川憩部長就任から一週間後・三箇牧麻雀部部室………


部員O「あれ?荒川部長は?」

部員P「今日は部長会議で遅くなるって言ってたでしょ」

部長O「そうやったな、すっかり忘れとったわ」

ガチャ
憩「どうや?ちゃんとやっとるかー?」

部員D「あっ…部長、部長会議お疲れ様です」

部員E・F「お疲れ様です!」

部員O・P「お疲れ様です」

憩「ほう…ちょうど暫定レギュラーで打っとんのかー」

………………

部員C「親やし聴牌即リーや!」 ビシッ!

部員A「親リーかかっても全速前進や!」 トン!

部員B「親リー相手でも突撃!突貫!特攻や!」 トン!

部員Q「お前達はもう少し防御を意識した方がいいと思うわ」

部員B「自分が防御得意やからって偉そうやな!」

部員Q「別にそんなつもりで言ったわけでは無い」

部員A「攻撃が最大の防御や!」

部員C「私をこいつら2人と一緒にしてもろうたら困るわ!」

部員A・B「なんやと!」

部員C「私は普通の攻撃型、こいつら2人はさらに尖った猪突猛進型や!」

部員A「せめて突撃型って言えや!」

部員Q「極端な突撃思考は上手く行けば大勝ちも狙えるが大負けする可能性も上がるだろう」

部員B「文句あんのなら部内ランキングで私らを超えてから言えや!」

………………

憩「結局今日は10人しかけえへんか…」

………………


憩「でもアナタが残ってくれて助かったわー」

部員Q「お前が私を信じろ、私を部長に推した前部長を信じろと言ったんだろう」

憩「ふふっ!…そうやったな」

部員Q「で?、なんで私が残ってくれると助かったんだ、他の派閥との取り次ぎ役にでもするためか?」

憩「それもええかもしれんなー」

部員Q「じゃあ本当の理由はなんだ?」

憩「ウチ以外の団体戦メンバーが全員攻撃型やとバランスが悪いやろ」

部員Q「それだと全員攻撃型の白糸台はバランス悪いだろう」

憩「白糸台はちぃと特殊なケースやね、白糸台が強い理由はみんなといる時に後で話すわ」

部員Q「そうか…あと単に攻撃型と言っても3人ともタイプ微妙に違うな」

憩「まあそうやな」

部員Q「五十嵐は一般的な攻撃型だが他の2人はもっと尖っている」

憩「全ツ型…突撃型とでも言えばええんかな」

部員Q「その中でも小林は速度、木吉は火力に特化している」

部員Q「あの2人の麻雀はムチャクチャだと思う」

憩「というと?」

部員Q「まず2人に共通してるの基本的に降りない」

憩「せやな」

部員Q「そして小林の方は聴牌速度を優先させるあまり、鳴きまくった挙げ句役が無いとか初心者みたいなことを平気でやる」

憩「で?それで止まるんか?」

部員Q「それでもリンシャンやハイテイで無理やり和了ろうとするんだよな」

部員Q「木吉の方は逆に全く鳴かない」

憩「鳴いたらリーチかけられんからなー」

部員Q「それはいいんだけどこいつも大概頑固過ぎる」

憩「というと?」

部員Q「昨日なんか」

「今日は国士で和了りたい気分や!」

部員Q「とか言い出して半荘2回全局国士無双狙いとかやり出しただろ」

憩「で?結果は当然知っとるよな?」

部員Q「半荘2回で国士無双聴牌3回、和了り1回だったな」

部員Q「こんなムチャクチャな麻雀やっているのに、2人とも部内ランキングが私より上なのが不思議だわ」

憩「ふふっ!あの子達は多少防御に目をつぶって特化することによって、それぞれ「速度」、「火力」において私に匹敵するモノを持っとるからな!」

部員Q「…やっぱり防御を犠牲にしないでその2つをトップレベルで両立させているあんたが1番不思議だわ…」

憩「それは…まあウチは天才やし…」

部員Q「自分で言うか?」

憩「一般人より遥かに強い実力を持っとるのに、自分のコトを凡人とかゆーとるヤツの方がムカつくやろ」

部員Q「あんたが誰のことを言っているか分からないけど…まあそれは置いといてだな」

憩「置いとかれたかー」

部員Q「小林と木吉、あの2人は危険だと思う…」

憩「あの子達の麻雀にリスクが伴うのは承知の上や」

部員Q「いや…危険だと思うのは心の方だ」

憩「ほほう…それは?」

部員Q「あんた…「荒川憩」という圧倒的な強者の側に居る時間が長いせいで気が大きくなっている気がする」

憩「それはあの子達が自分自身も圧倒的な強者であると勘違いしとるっちゅーことか?」

部員Q「そこまでは言ってない、でも…」

憩「でも?」

部員Q「高校に入学する前からのあんたの仲間であること、あんたが与えた副部長の地位、さらに部内ランキングの2位と3位」

部員Q「これらのことが影響して態度が大きくなって強気で過激な発言が目立ってきているのは確かだと思う」

憩「まあ…そういうところはあるかもしれんけどな」

部員Q「このままではあんたの後ろ盾が無いと何も出来ない人間になる可能性があるだろう」

憩「ふふっ!」

部員Q「何か可笑しいこと言ったか?」

憩「私が選んで連れてきた子達を甘く見られては困るわ!」

部員Q「ほほう…」

憩「まずあの子達が「虎の威を借る狐」みたいに言われとるが、私もあの子達には助けられてる」

部員Q「例えば?」

憩「私が言いづらいことをズバズバゆーてくれる」

部員Q「部長就任挨拶の後の話だな」

憩「まあ…余計なことも言うてまうけどな…」

憩「とにかく私があの子達を副部長にしたんは、信用出来ると判断したからや!」

憩「それにあの子達には私を支える特別な2本の柱になってもらいたい」

部員Q「特別な2本の柱?」

憩「「私が過ちを犯しそうになった時命がけで止めてくれる柱」と「いついかなる時も私に付き従う柱」の2本の柱や」

部員Q「それは流石にあの2人に期待し過ぎだろう」

憩「駄目ならあぐりちゃんとアナタを加えた4本柱でもええわ」

部員Q「けっこういい加減なんだな…」

憩「それよりあの子達の態度が大きくなったんは、先輩達が引退した影響で部内ランキング2位と3位に浮上した影響の方が大きいんやと思うわ」

部員Q「私もそんな気がしてきたわ…そう言えば木吉が…」

「文句あんのなら部内ランキングで私らを超えてから言えや!」

部員Q「とか言ってたな」

憩「それに関しては一理あるかもしれんな」

部員Q「えー?」

憩「日本一を目指す麻雀部なら実力至上主義になるのも仕方ないことや」

部員Q「…今の麻雀部の部員が練習に来ない理由はなんでだと思う?」

憩「一番の理由は練習がキツいからやろ」

部員Q「部内ランキング上位の連中が幅を利かせている現状が嫌になったせいもあると思うが」

憩「それやったら何か?、実力も志も低いヤツらがのさばってた数年前の麻雀部の方がええと?」

部員Q「そうは言ってないだろう」

憩「でもちょっと寂しいところもあるな」

部員Q「えっ!?」

憩「ちょっとヒドいこと言ってええか?」

部員Q「…それは内容次第だな」

憩「そんなら勝手に言わせてもらうわ」

憩「だってそうやろ?私から見ればレギュラー外の部員もアナタもあぐりちゃんも牛も!」

憩「辛うじて全国レベルの下の方に引っかかっとる永も、全員等しく今はまだ取るに足らんレベルの打ち手や!」

憩「それなのにその中で部内ランキングを引き合いに出して偉そうにしとるんは!」

憩「私から言わせれば「五十歩百歩」、「どんぐりの背比べ」もええところや!」

憩「これを寂しいと言わず何と言えばええんや!」

部員Q「(…一番危険なのはこいつかもしれないな…)」

………………


部員A「今更やけど今日は10人しかおらんのやな」

部員C「憩が部長に就任してから一番少ないな」

部員B「でも流石に荒川派は7人全員来とるで!」

部員A「中立派は3人しか来とらんやないか」 チラッ

部員Q「なんで私の方を見るんだ?」

部員C「あんたが中立派のトップだからやろ」

部員B「あんたが中立派のメンバーを引っ張ってこい!ってことや!」

部員A「役に立たんな」

部員Q「(こいつら…)」

部員Q「私としては練習に来るかどうかは個人の意志を尊重したい」

部員A「でもお前が呼びかければ来るかもしれんやろ」

部員Q「…今の状態でそんなことはしたくない」

部員B「どういう意味や?」

部員Q「少し自分の胸に手を当てて考えろ」

部員B「なんやと!」

部員C「そういうことか」

部員A「何がそういうことなんや?」

部員C「どうやら中立派の奴らはあんたらの態度が不満らしい」

部員B「なんやと!」

部員C「まあ部長である憩の昔からの仲間で副部長で部内ランキングの2位と3位なら」

部員C「ある程度増長するのも仕方のないことや」

部員Q「いや…全然仕方なくないだろう」

部員B「中立派の奴らが私達の態度に不満やと!?一番不満なんは実はアンタやないんか!?」

部員C「なんでそう思うんや?」

部員A「お前だけ荒川派の2年生で役職何も無いからやろ」

部員C「そのことに関してならちゃんと憩から説明受けたわ」

「部内の情勢が落ち着いたら、ちゃんとアナタに相応しい役職を与える」

「それまではアナタが荒川派の保険や」

部員C「とな」

部員A「保険ってどうゆうことや?」

部員Q「恐らく「部長の不信任案」対策だろう」

部員B「「部長の不信任案」?、部員の3分の2以上が賛成したら部長を解任出来るという部内規約のあれか!」

部員A「そんなもん通るわけ無いやろ」

部員C「可決に必要な票は18票、荒川派は7人全員反対するとして」

部員C「反荒川派が6人全員賛成するとしても、13人の中立派のうち12人が賛成せんと届かない数字やな」

部員Q「可決された場合は直ちに部長を選出する選挙が行われるが…」

部員Q「不信任された部長とその部長の下で副部長だった者は立候補出来ない」

部員A「つまり不信任案が通ったとしても荒川派から部長候補を立てられるように保険ってことやな」

部員B「気に入らんな!憩に相応しくない後ろ向きで弱気な策や!」

部員C「でも正直なところ不安もあるわ」

部員A「不安?」

部員C「私が反荒川派や中立派の立てた候補に負けると判断された場合に」

部員C「憩は私を捨ててそいつにすり寄って恩を売る可能性あるやろ」

部員A「反荒川派や中立派が立てて来そうな候補と言ったら…」 チラッ

部員Q「私か…」

部員B「そうなったら絶対勝てんやろ」

部員C「はっきり言うな…」

部員Q「なあに…その時は私があんたを副部長に任命するわ」

部員Q「それなら荒川もそれ以上あんたを無下には扱えまい」

部員C「それはどうも…」

部員Q「(仮に私が部長になったとしても私1人の力では荒川憩を御しきれない…)」

部員Q「(荒川派の誰かの協力が絶対必要だ…)」

部員C「(このまま荒川政権が続いても部内のNo.4やけど…)」

部員C「(万が一高橋政権に移行した場合、上手く立ち回れば部内のNo.2も狙える…)」

部員A「なんで憩はそんな自分の首を絞めるかもしれない部内規約を残しておくんや?」

部員C「私やったら反抗の芽は摘み取っておくわ」

部員Q「私は逆だと思うわ」

部員B「逆?」

部員Q「あえて「部長の不信任案」を提出させて、自分に従わない者を麻雀部から追い出す口実にするためだと思うわ」

部員Q「部長と言えども理由なく部員を退部させることは出来ない」

部員C「そこで部の結束を乱す反乱分子として追い出すんやな」

部員A「回りくどいやり方やな」

部員B「私はもっと単純な理由だと思うわ」

部員Q「ほほう…どんな理由だ?」

部員B「憩は自分が負けるわけ無いと思っているからや!」

部員B「あの時もそう言ってたやろ」

部員C「あの時って?」

部員B「アンタが半年ぐらい前に」

「今こそ反荒川派のヤツらを追い出す好機や!」

部員B「とか言ってた時や」

部員C「ああ!…先輩達が卒業した直後か!」

………3月上旬………


部員C「今こそ反荒川派のヤツらを追い出す好機や!」

部員B「どうしたんや急に?」

部員A「先輩達が卒業したこのタイミングでか」

部員C「逆にこのタイミングしかないやろ」

部員B「どういうことや?」

部員C「4月になったら入部した新1年生のうち何人かを自分の派閥に取り込んでまうやろ」

部員A「それはこちらも同じことやろ」

部員B「私は憩の判断に従うわ」

憩「新1年生を私達とあの人達の争いには巻き込みたく無いとこやな…」

部員C「それなら今月中に反荒川派のヤツらを攻撃して…」

憩「でも却下やな」

部員C「なんでや?」

憩「今あの人達を追い出そうとすれば中立派が黙ってないと思うわ」

部員A「中立派の連中も倒せばええやろ」

憩「そう簡単にはいかへんわ、先の戦いで私達と平和派の争いを余所に中立派は全く人材を失っとらん」

憩「それどころか平和派の分裂で逆に人員を増やすという始末や、それに…」

部員B「それに?」

憩「私自身が反荒川派の人達を追い出すことに価値を見いだせんのや」

憩「平和派の、特に3年生の先輩達は志は低かったかもしれんが」

憩「かつての麻雀部を守ろうとする信念があった」

憩「ところがあの反荒川派の人達からはそれすら感じられん」

憩「何も無い人達に私達が負けるわけがあらへん」

憩「そんな人達を追い出すのに私達が労力を割く必要はあらへん」

………現在………


部員A「負ける気がせんのやったら保険なんかいらんやろ」

部員B「せやから憩に相応しくない後ろ向きで弱気な策や言うとるやろ!」

部員A「私に言われても困るわ!憩に直接言えや!」

部員B「…まあ…憩にも何か考えがあるんやろ」

部員A「相変わらずお前の中で憩は絶対やな…」

部員B「とにかく私としては憩の足を引っ張るヤツらは全員いなくなってくれれば何でもええ!!」

部員Q「あんたも残念だったな」

部員C「何が?」

部員Q「新1年生が入る前に分かりやすい手柄を立てられなくて」

部員C「別に…(いくら手柄を立てた所で、憩に私をこの2人と同列に扱う気なんか無いやろ)」

部員P「先輩達、どうかしたんですか?」

ゾロゾロ

部員C「あんたらがやかましくするから1年生達が集まって来たわ」

部員B「なんや!私達のせいなんか!」

部員A「そもそもお前が中立派の連中が練習に来んくなったんは私達の態度のせいとか言い出すからやろ!」

部員Q「いや…元々はあんたが今日は10人しか来てないとか言い出したからだろう」

部員B「別に大した事や無い!練習に戻ってええで!」

部員D「あっ…はい…」

部員E「そう…ですね…」

部員F「分かり…ました…」

部員P「「憩の足を引っ張るヤツらは全員いなくなってくれれば何でもええ!!」と聞こえましたが?」

部員B「あぁん?」

部員O「ちょ!?…ピーちゃん!?」

部員A「流石に1年の中でもレギュラーに最も近いと言われる森永やな」

部員C「上級生相手でも物怖じせん、ええ根性しとるわ、あんたの妹なだけのことはある」

部員Q「ふふっ…私と違ってミドルの実績もあるしな」

部員B「ふん!アンタがミドルで活躍出来るっちゅーことは、憩や小走や辻垣内が暴れまわった頃よりミドルのレベルも落ちたもんやな!」

部員P「いいえ、私のミドルの実績なんて個人戦でベスト16にも入れない程微々たるものです」

部員A「謙虚さも持っとるようやな」

部員B「まあ…そんな事はどうでもええわ!」

「憩の足を引っ張るヤツらは全員いなくなってくれれば何でもええ!!」

部員B「これに対して何か文句あんのか!!」

部員P「文句というわけでは無いですけど…」

部員B「けど?」

部員P「荒川部長の足を引っ張った人がいなくなるのなら、部員は誰もいなくなるんじゃないですか?」

部員B「誰もいなくなるとはどういう意味や!」

部員P「言った通りの意味です、先の団体戦の地区予選決勝を思い出してみて下さい」

部員B「団体戦の地区予選決勝やと!?」

部員P「荒川部長が先峰戦をトップで終えて…その後どうなりましたか?」

部員B「くっ…私が次峰戦から千里山の追い上げを許して…」 ギリッ

部員C「中堅戦終了時には前部長がほぼ並ばれ、副将戦で前副部長がまくられて…」

部員A「私が大将戦でリードを広げられたんやったな…」

部員Q「まあ…千里山の見事な逆転勝利だな…」

部員P「千里山に逆転勝利を許したのもそうですが、もっと重要なことがあります」

部員A「なんやそれは?」

部員P「荒川部長以外の4人がマイナス収支だったことです」

部員B「…何が言いたいんや?」

部員P「つまり先輩達は荒川部長の足を引っ張ったということです」

部員C「(はっきり言い過ぎやろ…)」

部員A「私達が試合で憩の足を引っ張ったのは認めるわ…でもお前らレギュラー外だったメンバーにも責任あるやろ!」

部員B「私達がレギュラーになったのはアンタらが私達より弱いからやろ!」

部員P「その通りです」

部員O「えっ!?」

部員P「私達は全員荒川部長の足を引っ張ったんです」

部員C「なるほどなぁ~」

部員Q「それで「誰もいなくなる」か…」

部員B「私が言うとったのは試合以外で足を引っ張るヤツらっちゅー意味や!」

部員P「それなら試合で足を引っ張るのは構わないと?」

部員B「そうは言うとらんやろ!!」

部員E「でも足を引っ張ったと言っても前部長と永輪殿は仕方ないのでは?」

部員A「仕方ないとはどういう意味や!」

部員D「相手が「大阪四天王」と「五大三年大将」でしたし…」

部員O「「大阪四天王」はまあ分かるんやけど…「五大三年大将」って何やったっけ?」

部員P「「五大三年大将」とはインターハイの団体戦で特に評価の高かった5人の3年生の大将のことで、そこに名を連ねるメンバーは…」

部員C「永水の「石戸」、宮守の「姉帯」、有珠山の「獅子原」…」

部員B「「五大三年大将筆頭」姫松の「末原」!」

部員A「「五大三年大将最強」千里山の「清水谷」!」

部員Q「この大阪の2人は5人の中でもさらに別格と言われている」

部員O「「大阪四天王」と「五大三年大将」ってどっちが凄いんや?」

部員P「うーん…四天王末席の江口さんと三年大将最強の清水谷さんが同じぐらいの評価だから「大阪四天王」の方が格上かな?」

部員C「それにしても団体戦と個人戦、両方で決勝進出した末原を差し置いて、清水谷が三年大将最強なんやな」

部員A「フン!末原が決勝行けたんはまぐれやろ!!運が良かったからや!!」

部員B「(末原に恨みを持っとるコイツが言うと何かアレやな…)」

部員Q「と言うと?」

部員A「まず団体戦は準決勝の中堅戦で愛宕洋が有珠山をトバしたからや!」

部員A「そして個人戦は準決勝でその愛宕洋も宮永照も憩も辻垣内もおらん方の組に入ったからや!」

部員B「小走、原村、宮永咲も全然楽な相手とちゃうやろ…」

部員C「相手のレベル考えたら準決勝より一回戦はもっとキツいな」

部員F「末原さんの決勝トーナメント一回戦の相手って確か…」

部員D「「予選の六強」のうち3人やな」

部員O「「予選の六強」?、何やそれは?」

部員P「「予選の六強」とは個人戦の予選で飛び抜けて好成績を残した6人の選手で…」

予選1位 宮永 照
予選2位 荒川 憩
予選3位 辻垣内 智葉

部員C「ここまでは全試合トップやな」

予選4位 小走 やえ
予選5位 福路 美穂子
予選6位 神代 小蒔

部員Q「そしてこの3人は上位3人と同卓した場合以外は予選を全試合トップで終えている」

部員P「「予選の六強」は個人戦の決勝進出も有力と言われていたけど…」

部員O「6人の内2人しか行けてへんのやな」

部員C「福路と神代は1回戦で小走と末原に敗れ…小走は準決勝で原村と末原に敗れ…」

部員B「辻垣内は準決勝でチャンピオン宮永照と我らが荒川憩に負けたんや!」

部員F「原村さんと末原さんの予選の順位は確か…」

部員Q「原村が1年生最高順位の13位、末原が予選突破ラインの下から2番目の15位だな」

部員A「私に言わせたら末原の予選15位ですら出来過ぎや!」

部員B「(コイツ…まだ言うか…)」

部員Q「さっきも似たようなこと言ってたが、あんた個人戦の決勝見なかったのか?」

部員A「見たわ!それがどうかしたんか?」

部員Q「私の目から見て、決勝の末原に勝てそうな日本の高校生は2人しか思いつかないが」

部員C「チャンピオンと憩やな」

部員P「今の末原さんは日本の高校生で3番目に強いと?」

部員Q「いや…さすがにそこまでは言わないけど…」

部員A「それが出来過ぎやと言うんや!」

部員A「もし個人戦決勝のアレが実力と言うんなら、楽に団体戦優勝出来たはずや!」

部員B「団体戦終わった後に覚醒したんやないか?」

部員C「いや、団体戦決勝の末原も十分凄かったやろ」

部員P「大将戦を4位でバトンを受け取ったわけですが…」

部員Q「3位だった阿知賀をかわし、トップの白糸台、2位の臨海にあと一歩まで迫ったな」

部員A「それに…末原も自分より清水谷の方が上だと認めとる」

部員A「個人戦の前に自身が「五大三年大将筆頭」と呼ばれとることについて聞かれた時こう言っとった」

「他の4人と並ぶだけでも恐れ多いのに、それ以上なんてとんでもないことです」

「3年生の大将の頂点として相応しいのは私の理想で憧れの打ち手でもある清水谷竜華さんです」

「3年生の大将として彼女より上の称号は要りません」

部員B「末原は自分より清水谷を3年大将のトップに推したんやが…」

部員P「結局この2人は他の3人とは別格というイメージが出来てしまいましたね…」

部員C「もし、それが狙いやったとしたら?」

部員Q「最初からそれが狙いだとしたら「末原恭子」は「荒川憩」クラスの怪物だな」

部員B「たぶんそれが正解やろ、前に憩が末原のことを」

「あれは「愚直さとしたたかさを兼ね備えた怪物」やな」

部員B「と言うとった」

部員Q「ほほう」

部員A「ずる賢いだけや」

部員O「どういうことでっか?末原が言っとったことは嘘なんか?」

部員Q「いや…恐らく末原が3年生の大将の頂点に相応しいのは清水谷だと言ったのも」

部員Q「清水谷を理想で憧れの打ち手だと言ったのも本心から出た言葉だろう」

部員C「本心やからこそ人を動かすに足る」

部員Q「でも自身がそのことを言うことでの周りの反応など、後の影響をちゃんと計算に入れている」

部員A「それが末原の限界や!あいつは知略に関しては憩と互角に戦えるかも知れんが…」

部員A「肝心の麻雀の実力と人の上に立つ器が憩に比べると圧倒的に足らんわ!」

部員C「知略が互角なだけでも十分凄いやろ…」

部員Q「末原さんの計算とは?」

部員P「今回のように個人戦でも決勝進出した場合世間の評価が…」

「団体戦と個人戦両方で決勝進出した末原と」

「その末原に自分より上だと言わせた清水谷」

「やっぱりこの2人は「五大三年大将」の中では別格だな」

部員Q「となることは頭の中にはあっただろう」

部員D「結局末原さんの謙虚さと実力面での評価が上がりましたね…」

>>121はミスです

部員A「それが末原の限界や!あいつは知略に関しては憩と互角に戦えるかも知れんが…」

部員A「肝心の麻雀の実力と人の上に立つ器が憩に比べると圧倒的に足らんわ!」

部員C「知略が互角なだけでも十分凄いやろ…」

部員P「末原さんの計算とは?」

部員Q「今回のように個人戦でも決勝進出した場合世間の評価が…」

「団体戦と個人戦両方で決勝進出した末原と」

「その末原に自分より上だと言わせた清水谷」

「やっぱりこの2人は「五大三年大将」の中では別格だな」

部員Q「となることは頭の中にはあっただろう」

部員D「結局末原さんの謙虚さと実力面での評価が上がりましたね…

部員E「個人戦で決勝に行く自信があったのですか?」

部員F「というより末原さんより清水谷さんの方が個人戦で大活躍する可能性があったのでは?」

部員Q「その場合は…」

「清水谷が3年生の大将の中で最強だったな」

「末原の言ってた通り3年大将の頂点に相応しいのは清水谷だな」

部員Q「となっていただろう」

部員C「むしろこっちが本命の可能性もあるな」

部員Q「あるいは、やはり…」

「末原はこのことを早くから見抜いて自分より上だと言ったんだな」

「やっぱりこの2人は「五大三年大将」の中では別格だな」

部員Q「となる可能性もあるが」

部員P「末原さんの狙いは「五大三年大将」の序列を、清水谷さんの下に自分を含めた4人にすること…」

部員P「もしくは清水谷さんと自分の下に他の3人にすること…だったと?」

部員O「そんなら姉帯や石戸や獅子原が段違いの成績を残した場合どないするつもりやったんや?」

部員Q「(石戸は個人戦出てないがな…)」

部員P「それは…」

部員A「それでも勝算はあったと思うわ!」

部員A「あいつは弱虫やからな!」

部員A「自分1人が3年大将の頂点に立っとる状態さえ避けられれば何でもええ!」

部員A「そう思っとったはずや」

部員P「先程から末原さんについてよく知っているような口ぶりですね」

部員A「そりゃまあ…施設と中学が一緒やったし…」

部員O「施設ってもしかして…「荒川院」でっか?」

部員A「「荒川院」やと!?、誰があんな所!!」

部員B「フン!あんな所で悪かったな!」

部員A「なんで私が「荒川院」出身やと思った?」

部員O「それは…」

部員Q「お前が高校に入学する前から荒川憩の仲間だったからだろう」

部員C「(確かに荒川派の半数以上は「荒川院」出身やが…)」

部員A「というかお前の口から「荒川院」という言葉が出てきたことに驚きや!」

部員D「「荒川院」のこと知っとったんやな」

部員O「そらもう常識やろ?金持ちがええコトしとるとこや!」

部員C「大きくは間違っとらんけど大雑把な言い方やな…」

部員P「「荒川院」とは古くから大阪の政財界や麻雀界に一定の影響力を持っている「荒川家」」

部員P「その「荒川家」が出資している、親のいない子供や事情があって親と一緒に暮らせない子供を預かって、生活の面倒を見ている施設ですよね…」

部員O「そうそれや!ウチが言いたかったんはそういうことや!」

部員Q「あとそこで飛び抜けて優秀と認められた子供は」

部員Q「「荒川家」の一員として迎えられ、荒川の名を名乗ることが許されるんだったよな」

部員C「それが「荒川家」が「荒川院」を作った目的やろ」

部員O「どういうことでっか?」

部員P「つまり「荒川家」がたくさんお金を出してまで「荒川院」を作った理由は」

部員P「表向きは身寄りのない子供達や事情があって親と一緒に暮らせない子供達を助けるためだけど…」

部員P「本当は集めた子供達の中から優秀な子供がいた場合養子にするためだったってこと…」

部員B「まあそんな人材はめったにおらんのやけどな」

部員Q「(そして「荒川院」にはさらに黒い噂がある…)」

部員Q「(集められた子供達に「荒川家」に対する忠誠心を植え付ける洗脳教育…)」

部員Q「(さらには違法な人体実験をしているというものだ…)」

部員Q「(だがこれはあくまでも噂だ…それに「荒川院」出身者が大勢居そうなこの場で言うべきことでは無いな…)」

部員Q「(もし噂が本当だった場合「荒川家」の手の者が私を口封じに消しにくるかもしれない…)」

部員B「どうかしたんか?難しい顔をして?」

部員Q「いや…何でこいつが「荒川院」の出身でもないのに高校に入る前から荒川憩の仲間だったのかなぁ…と思って」

部員A「気になるか?」
部員Q「それはまあ…」

部員A「ふっ…それを説明するには少しばかり昔話をしないといかんな…」

………3年前・大阪の某中学校………


立「いよいよ私達の世代が中心になる時が来た!」

立「「荒川憩」にぶっ壊された先輩達の仇は私達が取る!」

みなも「…そうだね」

立「心配するな、私がエースで部長になろうとも、お前と私の関係が変わることは無い!」

みなも「えっ!?」

立「「えっ!?」ってなんだよ?」

みなも「いや…エースは由華ちゃん、部長は須摩子ちゃんになるんじゃないかと思って…」

立「じゃあなにか!?私がその2人より下だとでも言いたいのか!?」

みなも「そうは言ってないけど…」

立「ふん!だったら変なこと言うなよ」

みなも「………」

………………

ガラガラ

恭子「4人とも揃っとるか?」

由華「はい」

みなも「あっ…末原先輩…体はもう大丈夫なんですか?」

恭子「何がや?」

みなも「いや…個人戦で会場行く途中で雷に打たれて…救急車で病院に運ばれて…」

須摩子「私たち「七つの真実」は地震、雷、火事、大山風で死ぬことはあらへん」

みなも「でもダメージは受けるんでしょ?」

恭子「そんなもん個人戦で荒川に痛め付けられたことに比べたら大したことあらへんわ!」

須摩子「あの後病院から脱走して個人戦に出たんやったな」

立「ナナミやモーリンもムチャクチャなヤツだったけど、コイツも相当だな」

恭子「まったく…あの2人余計なことしてくれたわ」

由華「あの2人とは藤白先輩と高橋先輩ですか?」

須摩子「やっぱあん時の雷は偶然やなかったか…」

みなも「確かに七実お姉ちゃんの能力なら雷を落とすぐらい可能だけど…なんで…」

須摩子「そりゃあ「荒川憩」と恭子を戦わせないためやろ」

立「なるほど、でもナナミらしくない策だな」

恭子「せやからあの2人言ってるんやろ!」

………さらに1週間前・とある大阪のビルの屋上………

明日香「久しぶり七実、元気そうだな」

七実「こんなとこに呼び出して一体何の用や?」

明日香「実はお前に頼みたいことがあってな」

七実「まさか「恭子がこのままだと「荒川憩」に壊されそうだから個人戦に出られないようにしてくれ!」」

七実「とか下らんこと抜かしたりせんやろうな!?」 ギロッ

明日香「何か間違ってるか?今の恭子が荒川と戦えば…」

七実「間違いなくやられるやろうな」

明日香「じゃあ何で…」

七実「アンタは昔から恭子に甘いわ!」

七実「それぐらいで壊れるんやったら、それまでのヤツやったってことや!」

明日香「お前は相変わらずだな…」

七実「それに俺はその程度で壊れるようなハンパな鍛え方はしとらん」

明日香「確かに…何度か死にかけてたな」

明日香「だが相手はあの「荒川院の魔術師」だぞ」

明日香「現に恭子の世代は恭子以外みんなあいつに壊された」

七実「所詮ソイツらは俺のシゴキから逃げ出したヤツらや!ハナから全く期待しとらん!」

明日香「いや…普通身の危険を感じて逃げ出すだろう」

七実「せやけど代わりに下の世代が経験を積むことが出来たやん」

明日香「「阿倍野の四大天」か…あの子達はあの子達で凶兆が出てるな…」

明日香「まあそこは恭子に任せるとしよう」

七実「アンタが2コ下の世代の須摩子らの世代のことを1コ下の世代の恭子に丸投げすんなら」

七実「俺も恭子のことはアンタに丸投げするわ」

明日香「そう言うと思った…」

七実「それが託すってもんやろ」

明日香「ここで恭子を壊されたら託すも何もないだろう」

七実「せやから壊れんゆーとるやろ!」

明日香「どうあっても協力してくれるつもりないんだな…それならこっちも考えがある」

七実「ほほう…どんな考えや?」

明日香「あんまり言いたくないが、お前私に借りがあったよな?」

七実「借り?従が主に尽くすのは当然やろ」

明日香「あれは2年前のことだった…」

七実「2年前?…団体戦でアンタ以外が足を引っ張って負けたことか?」

明日香「それは別にいいんだけどね…問題はその後よ」

明日香「泣いて許しを請うあの子達を半殺しにしただろう」

七実「この俺が特別に目を掛けてやったっちゅーのに、大事なとこで足を引っ張るからいけないんや!」

七実「殺されんかっただけマシやと思え!」

明日香「いや、私が止めなかったらあのまま殺しそうな勢いだっただろう」

明日香「とにかく私が止めなかったらお前は殺人者になってた」

明日香「そうなると表麻雀界(競技麻雀の世界)で生きて行くのは困難というもの」

七実「そんなら裏麻雀界(賭け麻雀の世界)で生きてけばええやろ」

明日香「あの後警察に連れて行かれたお前が、早く解放されるようにお前の実家に頭を下げたのも私だ」

七実「家出中の「藤白家」が身元引き受け先とはおかしいと思っとったんやが…あんたの仕業やったんか」

明日香「さすがは「大阪六大雀家」、効果は絶大だったな」

七実「こういう権力に訴えるやり方は好かんな!アンタが何もせんでも、その気になればいつでも脱走出来たわ!」

明日香「でもおかげで家族と仲直り出来ただろう」

明日香「まだあるぞ、お前がいなくなった後、お前が練習相手に連れて来た元他校のエース達が反乱を起こして…」

七実「ああもう!わかった!わかったわ!」

明日香「何がわかったんだ?」

七実「アンタの言うとおりにする」

明日香「ふふっ…」

七実「何がおかしい!?」

明日香「お前は私のことを恭子に甘いと言ったが…お前は私に甘いな」

七実「そりゃあアンタだけは最後まで俺を裏切らんかったからな!」

明日香「あの子達がいつ裏切った?」

七実「俺の期待を裏切ったやろ!」

七実「それに…」

明日香「それに?」

七実「アンタには主従を超えた友情を感じとる」

明日香「それは友としては大変ありがたいことだが…参謀や謀略家としては私は失格だな」

七実「どういうことや?」

明日香「参謀は時には嫌われる覚悟で主君を諫めることも必要だったろう」

明日香「そして謀略家なんて人に嫌われてナンボな仕事よ…」

七実「アンタたまによく分からんコト言うよな」

明日香「分からないなら分からないでいい、だが今回はその友情に縋らせてもらう」

>>1ですが
久しぶりなのでトリップ間違えました

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 18:40:15   ID: S:uyGd56

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