凛「かよちん?部室の前で何してるの?」 (13)
キーン コーン カーン コーン
凛「あ~、先生に呼び出されたせいで部室に行くの遅れちゃったにゃ。ん?」
花陽「……」
この日、課題を忘れた事により職員室へ呼び出しをくらった凛は何故か部室へ入らず扉の前で佇む花陽を発見した。
凛「かよちん?何をしてるの?」
花陽「り、凛ちゃん。しぃー」
凛「んむむ」
慌てて凛の口を塞ぐ花陽。
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凛「ん~~、ん~~」
花陽「あっ、ご、ごめんね」
凛「ぷはぁ、いきなり何するにゃ」
花陽「あのね…実は…」
そう言って部室の中を指差す花陽。
凛「え?中に何かあるの?」
花陽「その…」
花陽は一体何を目撃したのか。当然、部室の中を覗く凛。
凛「にゃっ!」
花陽「どうしよう…凛ちゃん…」
凛「これは…」
その時、凛の目にした光景。それは…
海未「皆んな、今日もありがとう~。うふふ」
誰も居ない空間で自分の世界に浸る園田海未の姿であった。
凛「これは…うん。悩むよね」
花陽「でしょ?声を掛けるわけにはいかないよね?」
凛「うん。声を掛けたら多分大変な事になるにゃ」
海未は実家が日舞の家元であり、普段の言葉遣いからも分かる様に礼儀正しく品行方正で大和撫子とは彼女の為にある言葉と言っても過言ではない程である。そんな彼女が人知れず妄想爆裂させているのである。
海未「うふふ。それじゃあ、次の曲にいっちゃうよ~」
海未は高い実力の反面、恥ずかしがり屋でメンタルが弱い所がある。最初はスクールアイドルを始める事すら反対していた程で、だからこそ花陽は部室に入らないでいた。
凛「とりあえず、部室に入らないで直接屋上に行っちゃおうか?」
花陽「それは…出来ないの」
凛「え?どうして!」
花陽「私の練習着…部室なの。私がお手洗いに行ってる間に海未ちゃんが来たみたいで」
凛「あ~…そうなんだ…それじゃあ、海未ちゃんが落ち着くのを待つしかないね。かよちんの為にも海未ちゃんの為にも」
花陽「うん」
凛「でも、あの海未ちゃんが一人であんな事してるなんて…」
そこで、凛は思い返す…
海未『山頂アッタクです』 『大丈夫です。熱い気持ちがあれば…』
凛(あっ、意外じゃないかも。海未ちゃんって自分の世界に浸りやすい性格かも)
凛は海未が時々暴走する事を思い出したのである。
花陽「そうだね。まさか、海未ちゃんが…」
そこで、花陽は思い返す…
海未『ラン、ララララ~。ありがと~』
花陽(あれ?そう言えば、私…前にもこんな体験した事ある)
花陽に至っては過去にも海未が妄想に浸っている所目撃していたのを思い出したのである。
凛「…」花陽「…」
二人は海未に妄想癖がある事を再認識したのである。
凛「ま、まあ…もうじき終わるよ」
花陽「う、うん」
しかし、それは間違っていた。
海未「ララララ~。ありがとう~。それじゃあ、盛り上がって来た所で~」
終わるどころかどんどんとのっていく海未の姿がそこにはあった。
花陽「終わる気配がないよ?」
凛「そうだね。ライブの盛り上がりも最高潮に達して来ちゃったね。お客さんいないけど」
花陽「ど、どうしよう…誰か」
凛「しっ。今、考えるてるにゃ」
普段、おちゃらけている事の多い彼女は勘違いされる事が多いが決して考えなしで行動する様な事はない。
凛(考えるにゃ。この状況を海未ちゃんもかよちんも傷つけずにやり過ごす方法を)
花陽「凛ちゃん…」
凛「…」
凛は今、自分が置かれている状況を冷静に見渡し、咀嚼し、解決策を見つけ様とした…
凛「ねえ、かよちん?」
花陽「え?」
凛「もういっか?」
が、何も思い浮かばなかったので凛は考える事をやめた。
花陽「ええ?」
凛「もう、部室入っちゃおうか?なる様になる気がするにゃ」
花陽「えええ?諦めちゃうの?」
凛「うん。もう、開き直って入っちゃおうよ」
花陽「で、でも…それだと、海未ちゃんが…」
凛「だよねぇ」
にこ「ちょっと。部室の前で何やってるのよ?」
凛「え?」
花陽「にこちゃん」
ここに来て、にこ襲来。
花陽「あのね。実はかくかくしかじかで…」
にこ「ふ~ん。そうなの。で?」
花陽「え?」
にこ「入ればいいじゃない」
花陽「で、でも…海未ちゃんは…」
にこ「別に海未だってスクールアイドルなんだし。構わないでしょ」
そう言ってにこは部室の扉を開けた。
にこ「ノリノリね」
海未「ラン、ララ…ラ…ラ…」
その後、海未が恥ずかしさに耐えきれず部室を後にした。
キーン コーン カーン コーン
花陽「……」
凛「かよちん…何してるの?」
花陽「凛ちゃん、しー」
凛「え?」
花陽「あのね…実は…」
そう言って、部室の中を指差す花陽。
凛「これは…」
その時、凛が目撃した光景。それは…
絵里「………」ぽけ~
誰も居ない部室で一人気を抜きまくった表情でぽけ~っとしている絢瀬絵里の姿だった。
凛「絵里ちゃん…凄い頭の悪そうな表情してるにゃ」
花陽「そ、そんな事は…。でも、誰も居ないと思って物凄い油断してるね」
凛「うん。昔の絵里ちゃんからは想像もつかないにゃ」
昔の絵里。それは、まだ絵里がμ’sに加入する前の話である。μ’sに加入する前の彼女のイメージはお堅い生徒会長。クールで賢く自分にも他人も厳しい。そんなイメージでありの気の弱い花陽などは恐怖の対象でもあった。
凛「ポカーンと口を開けてるにゃ」
花陽「う、うん」
絵里「はっ…はっ…はっ………ああ…」
凛「あれは…クシャミが出そうで出なかったんだね」
花陽「そ、そうだね」
絵里「………」ぽけ~
凛「絵里ちゃんって一人の時っていつもあんななのかな?」
花陽「あんなって…どうだろう?普段気を張りつめてる事が多かったからその反動で…とか…」
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