霞「最高の司令官」 (38)
シリアス注意
最後に安価あり
書きためてるのですぐ終わります
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提督「なんだ霞、こんな所にいたのか」
霞「あら、何か御用かしら?。ちょっと考え事をしてたの」
提督「...隣いいか?」
霞「えぇ」
提督「...」
霞「...」
提督「あのさ、俺にも聞かせてくれないか?」
霞「...それは司令官の事かしら?」
提督「あぁ」
霞「長くなるわよ」
提督「構わないさ」
霞「分かったわ...」
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私は、司令官の事を帝国海軍一の軍人だと思ってるわ。
私が鎮守府に着任した頃、司令官も初めてその地位に就いたばかりのペーペーだった。最初の頃こそ司令官の戦術はお世辞にも良いとは言えなかったけど、現場で戦う私達艦娘の意見を積極的に聞いて一緒に戦術を立てるうちに、彼のズバ抜けた能力は遺憾無く発揮されていった。
今思い返しても、あの頃の私は司令官に酷い事を言いすぎてしまったわ。
次第に彼に恋する子が増えていったのはこの頃だったわね。
まぁ、当然といえば当然よね。司令官は私達に犠牲者が出ないよう常に注意を払っていたし、鎮守府の中でもストレスが溜まらないよう頻繁にイベントを開いて楽しませてくれた。おまけに話していて楽しいし、顔だって悪くないんだから好きになるなって方が無理よね。まぁ結局、私は最後まで素直になれなかったんだけど。
そういえば、司令官と初めて大喧嘩したのは、その頃だったわ。
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司令室
霞「なんで撤退させたのよ!」
提督「霞が大破したからだ」
霞「私はまだ戦えたわ!あと少しで敵の主力艦隊を叩けたのに...!」
提督「大破状態での進軍は何があっても認めていない。これまでだってそうだったろう?」
霞「そんなもんケースバイケースよ!少なくとも今回は多少の損害があったってあいつらを倒せたらお釣りが来るくらいの大戦果よ!」
提督「多少の損害だと?それは万が一お前が轟沈したときのことを言ってるのか?」
霞「そうよ」
提督「バカを言うな!お前の命を賭けてまで得る戦果になど価値はない!」
霞「バカはあんたの方でしょうがこのクズ!そんな甘ちゃんがよく司令官なんてなれたわね!これは戦争なのよ?なんの犠牲もなく勝利が得られると思ってるの!?」
提督「この戦争は今までの戦争とは違うんだ。正しい戦術と正しい判断、そして優れた君たち艦娘という存在があれば、この戦争は一つの犠牲もなく勝利できるんだ」
霞「フン、笑わせないでちょうだい。それならこの戦争が4年以上続いてる理由は何よ?」
提督「簡単な話だ。霞のように犠牲者を出してでも勝利を得ようとする指揮官がいるからだ」
霞「話が見えないわね」
提督「...これは一部の人間しか知らない極秘情報だが、深海棲艦は轟沈した艦娘だ。そして艦娘は轟沈した深海棲艦から生まれる」
霞「へー。そんな子供騙しの嘘に騙されると思った?バカじゃないの?」
提督「信じてくれなくていいさ。とにかく俺は君たちを誰一人として沈ませる気はないし、そうまでして勝利を得る気はない」
霞「あんたみたいな無能の元で働かされるこっちの身にもなってちょうだい。このクズ司令官。[ピーーー]ばいいのに」
提督「...」
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司令室
霞「なんで撤退させたのよ!」
提督「霞が大破したからだ」
霞「私はまだ戦えたわ!あと少しで敵の主力艦隊を叩けたのに...!」
提督「大破状態での進軍は何があっても認めていない。これまでだってそうだったろう?」
霞「そんなもんケースバイケースよ!少なくとも今回は多少の損害があったってあいつらを倒せたらお釣りが来るくらいの大戦果よ!」
提督「多少の損害だと?それは万が一お前が轟沈したときのことを言ってるのか?」
霞「そうよ」
提督「バカを言うな!お前の命を賭けてまで得る戦果になど価値はない!」
霞「バカはあんたの方でしょうがこのクズ!そんな甘ちゃんがよく司令官なんてなれたわね!これは戦争なのよ?なんの犠牲もなく勝利が得られると思ってるの!?」
提督「この戦争は今までの戦争とは違うんだ。正しい戦術と正しい判断、そして優れた君たち艦娘という存在があれば、この戦争は一つの犠牲もなく勝利できるんだ」
霞「フン、笑わせないでちょうだい。それならこの戦争が4年以上続いてる理由は何よ?」
提督「簡単な話だ。霞のように犠牲者を出してでも勝利を得ようとする指揮官がいるからだ」
霞「話が見えないわね」
提督「...これは一部の人間しか知らない極秘情報だが、深海棲艦は轟沈した艦娘だ。そして艦娘は轟沈した深海棲艦から生まれる」
霞「へー。そんな子供騙しの嘘に騙されると思った?バカじゃないの?」
提督「信じてくれなくていいさ。とにかく俺は君たちを誰一人として沈ませる気はないし、そうまでして勝利を得る気はない」
霞「あんたみたいな無能の元で働かされるこっちの身にもなってちょうだい。このクズ司令官。死ねばいいのに」
提督「...」
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今思い出しても酷いわね。もしこの頃に戻れるなら、私を殴って司令官を心から褒めてやりたいわ。けど、この頃の私には司令官の思いやりは全く理解できなかったの。
それからも私と司令官の衝突は何度もあったわ。とは言っても、さっき話した大喧嘩以前にも口論は何度かあったのよ。ただ、私の発言はドンドンエスカレートして言って、周りの子に注意されるほどになってしまったの。
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提督「(最近、任務の失敗が目立つようになってきた。サーモン沖の突破がなかなか出来ない。おまけに艦隊が帰投するたびに霞に罵倒されるもんだから参ったもんだ...)」
潮「あの、提督...?」
提督「え?あ、あぁ、すまないボーッとしてたよ」ハハハ
潮「...霞ちゃんの事ですか?」
提督「まぁな...」
潮「外せばいいじゃないですか」
提督「え?」
潮「私が代わりに艦隊に入りますから、霞ちゃんを外せばいいんですよ」
提督「そうは言ってもなぁ」
潮「お願いします。私は提督の辛い顔はもう見たくないんです」ギュッ
提督「潮...」
潮「私じゃダメですか...?」
提督「すまない、君じゃ力不足と言うわけではないんだ。ただ霞の実力はこの鎮守府でも指折りだ。だからこの海域を任せられる駆逐艦は彼女しかいないんだ」
潮「提督のバカ...もういいです」
提督「潮...ごめんな...」
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司令官の様子がおかしくなり始めたのはこのサーモン沖攻略の時だったわ。これまで破竹の勢いで新海域を解放していた司令官は、大本営から絶大な信頼と期待を置かれてた。そのせいもあってここで初めてその勢いを止められて、明らかに焦っていたわ。
しかも私は帰投する度に彼に罵声を浴びせた。最初の頃は憎まれ口を叩きながらもアドバイスをしていたのだけれどね。
多分、その時は気づかなかったけど、私は司令官に恋をしていて、大好きな司令官が不甲斐なく落ち込んでる事とか、私を敵視してる潮があいつにべったり寄り添ってたことにイラついてたんだと思う。そうでもなきゃあそこまで酷いこと言えないわよ。
潮も潮で、私を艦隊から外さない司令官に嫉妬と怒りが混じったような感情で接してたから、それも辛かったのかもね。
司令官は、大本営、私、そして潮からのプレッシャーを常に受け続ける日を送ってたのね。
事件が起きたのはそれから1ヶ月ほど後のことだったわ。
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霞「...帰投したわ」
提督「今回もダメだったか...」
霞「何?嫌味のつもり?そらそうよね。もう何週間も同じ海域を攻略できずにいるんだから!あんたはそうやって椅子に座って偉そうに指示してればいいんだから気楽でいいわよね!」
提督「...」
霞「フンッ、沈黙は肯定。ついに認めたわねクズ司令官」
潮「...いい加減にしてよ」
霞「ハァ?何がよ?」
潮「提督が嫌味を言ったことなんてある?一度でも私たちに偉そうにしたことあるの?どうして霞ちゃんは提督を苦しめることばっかり言うの?」
提督「やめてくれ、潮」
潮「提督も提督です。どうしてこんな子が主力艦隊なんですか?私じゃダメなんですか!?」
提督「何度も言ってるだろう。これは霞にしか任せられないんだ」
霞「口ではなんとでも言えるわね。実は私を沈ませるためにあんなとこに何度も送ってるんじゃないの?」
提督「そんなことする訳ないだろ!!!」
霞「どうだか。あーあ、早く有能な司令官が来ないかしら。あんたみたいな能無しクズ司令官なんか誰も求めてないのよ。さっさと辞めてくれないかしら?」
潮「提督!!こんな発言許していいんですか!?この発言に対しては霞を処分するべきです!」
提督「(なんだろう、もうどうでもいい。うるさいなぁ。うるさい。うるさい。うるさい。)うるさい!!!」
霞 潮「!!」
提督「私室に戻る。少し放っておいてくれ」
霞「そうやって逃げるのね。いいわ、潮にでも慰めて貰えば?」
潮「ッ!提督がそんな優柔不断な人だとは思いませんでした。今日限りで秘書艦は退任させて頂きます」
提督「うん。もう大丈夫だから...」
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提督「もしもし、元帥ですか?お久しぶりです」
提督「えぇ。実は相談がありまして、人事異動を...」
提督「いえ、私はここが適任だとは思えなくて...」
提督「どうしても不可能ですか?あの、じゃあ例えば、もしもこの鎮守府の指揮系統が崩れた時に、補助が可能な人材はいますか?」
提督「よかった...。その方をすぐにこちらへ派遣して頂けませんか?」
提督「ありがとうございます!それでは失礼致します...」ガチャッ
提督「(これで良いんだ。もう俺ができることは何もない。俺が霞に拘りすぎたせいで、潮との関係も最悪だ。もう俺には辛すぎて...)」
提督「鎮守府に提督は二人もいらない。後は任せたぞ」
パァン
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司令官の遺体が見つかったのは翌日の、新しい司令官の補佐が到着した日だった。あれだけ揉めた後だったから、司令官が朝礼を開かなかったのも、朝ごはんを食べに来なかったことも、私を部屋まで様子を見に行かせるほどの気分を起こさせなかった。
第一発見者は補佐官を案内した秘書艦の潮。辞めると言いつつも七駆の皆に説得されて任務に戻ったらしい。
司令官の机の上には遺書が置かれていた。けど内容は大本営への遺言くらいで、私たちへのメッセージはなにもなかった。
遺書によると、司令官には私と同じくらいの歳の妹がいたらしい。けど深海棲艦の攻撃で司令官を除く家族が全員死亡。司令官には帰るところもなかったのよ。
司令官の遺体を見つけた時の潮の様子は凄かったわよ。鎮守府全体に響くほどの悲鳴で皆何事かと部屋から飛び出したのよ。そしたら、あれが発狂っていうのね。訳のわかんない言葉をわめきながら司令官の遺体に抱きついて、そのまま気絶しちゃったの。
私?あんたも見てたでしょ。すぐに後を追うつもりだったわよ。
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霞「あんたにこの話をするのは初めてだったわね」
提督「相変わらず私のことを司令官とは呼んでくれないんだね」
霞「当たり前じゃない。私の司令官はあいつだけよ」
霞「でもね。不思議なことがあるの」
提督「なんだい?」
霞「ずっと聞こうか迷ってたんだけど、どうして私は処分されなかったの?」
提督「というと?」
霞「司令官を死に追いやったのは私じゃない」
提督「うーん、そこはノータッチにしとくとして、まず我々大本営側では、その件は軟弱な精神を持った無能な指揮官が自らの非凡に発狂し自決したってことで処理されてるんだ」
霞「なによそれ...」
提督「それにね、遺書にも別に君たちへの恨み言も書いてなかったし、大本営は君たちの中に処分するべき人間がいるとは思ってないんだよ」
霞「まぁ、もう私には関係のないことね。もう明日には本土へ帰れるんだから」
提督「霞、しつこいようだけどね、彼の後を追うなんてことはしないでくれよ?前も言ったが、彼は最後まで君たち艦娘を愛していた。もし恨んでいたなら君たちを殺してから死ぬこともできたはずだ」
霞「分かってるわよ。ていうか、そろそろ行ってくれない?一人になりたいの」
提督「ごめんごめん。君がしたことは許されないことかもしれない。けど償う方法は生きていればいくらでもあるんだ。だから...強く生きてくれよ」
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司令官、ごめんなさい。あなたには謝りたいことが多すぎて、なにから謝っていいかわからないくらいだわ。
私は他のどの司令官より優れていたあなたを、ある意味盲信していたの。だから私はあなたに過度な期待や要求をして、あなたを困らせた。それでもあなたは期待に応えて、ますます私達の士気を上げてくれた。
私はそんなあなたを誰よりも強い信念を持った人だと思ってた。けど実際はもうなにも残っていない人だった。
だからあなたは私達の期待に応えようと努力してくれた。なのに、そんな中で拒絶されたあなたにはもう生きる意味が分からなくなったのよね。
ごめんなさい。ごめんなさい。
あなたは最高の司令官でした。
大好きです。司令官。
1
すまん、当然他にも艦娘はいるけどこの二人に焦点当てたかったから出してなかった
夢オチENDで書きます。
↓5まで先に出た高速戦艦2、重巡2、駆逐1隻ずつ出すのでよろしく
今度は潮が出てねーじゃねーかって?
潮は風邪でお休み中です
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「ミ...!スミ!」
提督「霞!起きろ!」
霞「うぅん...司令官...?」
霞「司令官!?」ガバッ
提督「おぉ、どうしたどうした?もうすぐブリーフィング時間だぞ。珍しく現れないもんだから心配して来てみたら...」
霞「司令官...」ポロポロ
提督「おっ、おい!大丈夫か!?」
霞「少しの間でいいから...抱きしめて頂戴...」
提督「...分かった」ギュッ
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提督「何か嫌な夢でも見たのか?うなされてたし...」
霞「...そうね。悪夢だったわ」
提督「それってどんな「あんたを失う夢よ」」
霞「しかも私のせいで...」
提督「そっか。夢の中とはいえ、辛い思いをさせてごめんな?」
霞「ううん。謝らないで。それとね司令官、あなたに言いたいことがあるの」
霞「あなたは最高の司令官よ。いつもクズなんて言ってごめんなさい。私はあなたが大好きなの」ギュッ
提督「霞...」ナデナデ
霞「よしっ!それじゃあ準備するから部屋から出てちょうだい!」
提督「うん、それでこそいつもの霞だ」
提督「霞、俺も霞のことが大好きだよ。それじゃ司令室で待ってるから」
霞「わ、分かったわ!///」
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司令室
霞「失礼します」ガチャッ
曙「あら霞、おはよう。あんたが遅刻なんて珍しいわね。雪でも降るのかしら?」
霞「ちょっと寝坊しちゃって!ごめんなさい」
金剛「うーん...」
比叡「お姉様、どうしたんですか?」
金剛「なんだか今朝の霞はいつもより素直な気がシマス!」
曙「言われてみれば確かにそうね。いつもなら『あんたには関係ないでしょ!』くらい言いそうなもんだけど」プッ
羽黒「曙ちゃん、それは言い過ぎですよ...!」
霞「そっ、そうよ!流石にそこまで酷くないわよ!」
提督「いや、確かに変わったよ」
霞「司令官まで!いくらなんでもそんな酷い性格してないったら!」
提督「いやいや、元が酷いとかじゃなくて、なんか言葉遣いが丸くなったっていうか...」
金剛「表情も柔らかい気がシマス!」
比叡「あっ!確かに!眉間にシワがよってない霞ちゃんは初めて見た気がします!」
パン!
足柄「はいはいそこまでー!今日はいよいよサーモン沖の解放っていう一大作戦の日なんだから、そろそろ気合い入れていくわよ!」
比叡「足柄さん、それ私のセリフですよぉ!」
曙「飢えた狼は人のセリフまで自分のものにしなきゃ気が済まないのね」フッ
提督「足柄...」
足柄「そんな目で見ないでよ!別に比叡のこと意識したわけじゃないんだから!」
ハハハ アシガラネエサン... ハグロマデ!
霞「(全部夢でよかった。夢とはいえ、司令官を失う悲しさを味わった以上、私は今後司令官に対して誠実に向き合って生きていくわ。もちろん、他の人に対しても。司令官、あなたは夢の中でも大切なことを教えてくれるわね...)」
提督「よし、それではブリーフィングを始める!今回の目標は~」
潮は天使
分かりにくい終わり方ですみません
おわりです
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