夕張「でも斬新な兵器で戦局を好転！なんて負けフラグだと思うんですけど」

提督「流石は当事者、説得力が違う」

夕張「とりあえず、投稿用の箱を置いてみんなのアイデアを集めればいいんですね？」

提督「そうそう」

一週間後

夕張「…」

提督「…」

夕張「随分集まりましたね」

提督「実は言い忘れてたことがある」

夕張「なんですか唐突に」

提督「この公募したアイデアは幾つかを選出して大本営に渡すんだけど、そのあと審議会があってだな」

夕張「はい」

提督「その審議会、他国の海軍からヴェスタルやユニコーンといった艦も招致してアイデアの採用を検討するんだ」

夕張「工作艦の皆さんですね」

提督「で、『あまり変なアイデア持ってこないでくださいね？外交のこともあって大本営はピリピリしてますから』
　　　と明石に言われた」

夕張「なるほど」

提督「というわけで、この書類全部に目を通して選出する作業をしなきゃならんので手伝って？」

夕張「はあ」

提督「一枚目、提案者は清霜」

夕張「『誰でも戦艦になれるシステム』」

提督「自分がやりたいだけだろそれ」

夕張「まあそうでしょうね」

夕張「『追加の艤装ユニットを装着することで誰でも戦艦のようになれる！』」

提督「『追加艤装は自立した戦艦型兵器として移動が可能！この上に艦娘が乗って移動できるので疲労も軽減！』」

夕張「『鬼・姫クラスと遭遇した際は艦娘と合体して運用！』」

提督「『追加艤装と合体という方式なので拡張性も高い！』」

提督「勇者なロボットを彷彿とさせるな」

夕張「『レッツ・マイトガイン！』とか『ファイナルフュージョン！』とか叫んでそうですね」

提督「そしてこの感嘆符の量もガッツ足りてそう」

夕張「でも意外と実用性高そうですよ」

提督「文章が不安だがまあ一応上に出しとくか…」

夕張「では次行きましょう」

提案「二枚目、提案者はあきつ丸」

夕張「『海上鉄道連隊』」

提督「海の上に列車走らすのか」

夕張「『艦娘の艤装の技術を応用した車両を造る』と書いてますね」

夕張「『物資の輸送、特二式を搭載しての揚陸支援、列車砲を使っての支援砲撃』」

提督「補給艦と揚陸艦とモニター艦でいいだろそれ」

夕張「却下にしときますね」

提督「三枚目、提案者は加賀」

夕張「『陸軍の15cm高射砲を転用した新型高角砲』」

提督「加賀がこういうのに参加するとは珍しいな」

夕張「あの方は防空戦闘の重要性をよく知ってますからね」

提督「とはいっても五式高射砲は戦略爆撃機を撃ち落とすのが目的で開発されたんだ、使えるのか？」

夕張「2門しか作られたことのない砲ですからなんとも…でもドイツ製のレーダーと連動しての運用だったので量産は難しいかと」

提督「発射速度も遅そうだし、近接信管を使ってやっと実用レベルか」

夕張「重爆が対艦攻撃に用いられ始めて、なおかつ巡洋艦レベルの艦艇を防空仕様として運用するならアリですね」

提督「紺碧とか旭日な艦隊みたいだな

夕張「というわけで却下と」

提督「次は綾波からか」

夕張「『汎用艦娘型自律兵器』」

提督「艦娘型ロボットを量産し、ハイローミックス化ねぇ」

夕張「ロボットアニメの量産型みたいなものですね」

提督「実用性はありそうだし一応採用で」

夕張「間髪入れず、次！」

提督「天津風の提案か」

夕張「『艦娘に搭載できる新型ミサイルとその発射機』」

提督「ターターミサイルでも運用する気か？」

夕張「でもいけると思いますよ？」

提督「まあ採用しとくか」

提督「次は秋津島から」

夕張「『深海棲艦への対応改修を既存の兵器に行う』」

提督「秋津島にしては真面目なこと考えるな」

夕張「艦娘・妖精の運用する兵器にも限度はありますし、いい案かと」

提督「『戦闘機に対深海棲艦用のミサイルを搭載したりするだけだから簡単かも！』とあるな」

夕張「小さい割に火力の高い深海棲艦を相手にするのは大変だったという話も聞いたことがあります」

提督「じゃあ採用っと、次は大和」

夕張「『この世界以外の艦娘を配備』…？」

提督「なんだこれ」

夕張「まあ内容からするに『架空艦』の艦娘を作ろうってことでしょう」

提督「確かに『辿った歴史、逸話、人々からの想いなどから構成される思念体の具現化』が艦娘だとは言うが」

夕張「私たちはいいですけど、実在しない艦は微妙ですね」

提督「邂逅可能な艦娘も建造できる艦娘も大戦期のばかりなのも、大きい戦争のほうが逸話が多くなりがちだからだったか」

夕張「そうですね。それに航路の安定化や敵艦への攻撃翌力向上などの面、他にも色々懸念材料はありますね」

提督「却下だな」

提督「ちょっと休憩、疲れた」

夕張「それにしても皆さん色々考えてますねー」

提督「ああ、特に大和は何だったんだろうな」

夕張「まあ宇宙戦艦に改装されたことがあるような方ですし、色々あるんでしょう」

夕張「…」

提督「…」

夕張「やっと選出作業が終わりましたね」

提督「まさか昨日の夜に始めて、次の日の15時までかかるとは」

夕張「いやもう55分なんで実質16時みたいなものですよ」

提督「まさかうちの鎮守府の艦娘たちがこんなにはっちゃけた内容書く奴ばかりだとは思わなかった」

夕張「『訓練用簡易艤装わかばシューター』『基地航空隊にA-10』『景気付け用大型スピーカー（怪獣映画の音楽CD付）』」

提督「特にヤバいのはそれらへんだったな…」

提督「因みに大本営への提出が今日の18時までなんでちょっとその作業してくるわ」

夕張「お疲れ様ですー」

提督「ああ、手伝ってくれてありがとう」

夕張「あー疲れた」

夕張「…でも景気付け用スピーカーはちょっと欲しいかも」

そして1か月後

大　本　営　発　表

新兵器『外部接続型追加艤装』開発完了セリ

提督「『誰でも戦艦になれるシステム』が採用されて、しかもこんな短期間で開発されるなんてなぁ」

夕張「海外の工作艦の皆さんも気に入ってたらしいですよ」

提督「試作段階では清霜も色々関わったらしいな」

夕張「その結果がこれですか」