狐娘「そんなもんよ」
男「はあ」
狐娘「というか世間はもっとあたしを崇めてもいいと思う」
男「まあそれは…うーん…」
狐娘「なんじゃい」
男「いや…600年生きてる割にはオーラがないというか…」
狐娘「まあコンビニの深夜バイトが『600年生きてる』って言ってもね…」
男「それですね」
狐娘「コスプレ限界ヤバ女だもんね」
男「その言葉使いも原因だと思いますけどね」
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狐娘「600年生きてるんだから年金くれよ、ハイパーおばあちゃんやぞ」
男「年金払ってるんですか」
狐娘「年金制度できた時からずっとね」
男「もらえるとき来るんですかね…」
狐娘「さあ…」
男「見た目がおばあちゃんならもらえるかもわかんないですね」
狐娘「500年くらいこれだから多分打ち止めでしょ」
男「最初の100年は成長してたんですね…」
狐娘「いや最初の100年は狐だったから」
男「いきなりその姿になったんですね」
狐娘「どうせなら耳と尻尾も人間にしてくれよとは思ったけどね」
男「それはちょっと…」
男「狐要素なくしちゃったらただ長生きなひとじゃないですか」
狐娘「いや600年やぞ・・・長生きの範囲ではないだろ…」
男「でも狐要素は大事ですよ」
狐娘「そうか…」
男「てか個人的にはもっと化け狐感出していいと思いますよ、尻尾増やせないんですか?」
狐娘「増やせるよ」ボフッ
男「スゲェ、九尾だ」
狐娘「立派なもんだろ…って何してんのキミ」
男「幸せ…っスね……」
狐娘「幸せならいいけど感覚としてはケツに顔突っ込んでるようなもんだからね」
男「えっ…セクハラ…」
狐娘「お前がな?」
男「出し入れ可能なんですねえ」
狐娘「おう化け狐舐めんなよ」
男「まあモフモフすぎて後ろの棚の煙草めっちゃ落としましたけどね」
狐娘「ごめんな…」
男「まあ言い始めたの俺ですから…」
狐娘「話戻すけど楽して金貰いたいよね」
男「当り前じゃないですか」
狐娘「割りとあたしならチャンスある気がするんだよね」
男「なんか昔からの知り合いに金持ちとか有名人のコネとかないんですか?」
狐娘「この町出身の有名人とか金持ちとか聞いたことある?」
男「無いですね」
狐娘「まあそういうことよ」
男「600年間この町から出たことないんですか…?」
狐娘「狐のときは全国走り回ってたけど人になると面倒でね…」
男「えぇ…」
男「歴史上の偉人とかに会ったことないんですか?」
狐娘「無いよ」
男「信長とか家康とか」
狐娘「北海道から出たことないって言ってるのにあるわけないじゃん」
男「600年生きてるのに」
狐娘「まあ出歩かないししゃーない、旅行はたまに行くけど」
男「変わった人とか見たことないんですか?」
狐娘「変わった人…?いくらでもいるけどなあ…」
男「記憶に残ってる範囲でいいんで」
狐娘「んー、あ、なんか全然道路とかない時代に北海道にきてるやついたわ」
男「それなら結構いるんじゃ…」
狐娘「いやーそいつさ、一人で歩いてきて『全国回って地図作ってる』って言ってんの」
男「伊能忠敬…」
狐娘「そいつに『この地図の完成を君と見たい』てプロポーズまがいのこと言われてさー」
男「伊能忠敬のプロポーズ…」
狐娘「歩きたくないから断ったけど」
男「そっちなんですね」
狐娘「まあ年齢はあたしから見たら全員かわらんし…」
狐娘「あっ!でも総理大臣には会うよ!」
男「えっ」
狐娘「なんか戸籍的なのが特殊だからどうせだし会って直接もらおう見たいなのがあって」
男「結構大事なんですね」
狐娘「総理変わるたびに行ってる」
男「いつごろからそういう風にやってるんですか?」
狐娘「んーあーいつからだっけなー」
男「結構最近なんですかね」
狐娘「あたしからしたら総理大臣って制度ができたのがちょっと前って感覚だからな…」
男「そうですよね…」
狐娘「でも最初に行った時の総理のおっちゃんめっちゃガラ悪かったよ」
男「へぇ」
狐娘「なーんつったかなー、高田…?吉田…?」
男「…吉田茂?」
狐娘「あー多分その人、まあまあ面白かったよ、一緒に酒飲んだり」
男「結構有名な人と会ってるじゃないですか」
狐娘「そうなの?」
男「そういえば」
狐娘「なしたん」
男「不老ではあるけど不死ではないんですよね」
狐娘「そうだね」
男「戦争とか戦とかの時どうしてたんですか?」
狐娘「どうしてたって言われてもなー…」
男「なんか劇的な体験とか…」
狐娘「畜生から人間に変化する以上に劇的な体験をした記憶はないかな…」
男「それは何というか…」
狐娘「ラブロマンスとかも特にないしな…」
男「化け狐の能力を活かした何かとか…」
狐娘「地域の肝試しとかお化け屋敷のバイトで幻影見せて驚かすくらいしか使わないかな…」
男「そうでしたか…」
狐娘「ごめんな…あっ家出娘匿うために人間に初めて能力使った時の話聞く?」
男「めっちゃドラマティックな話あるじゃないですか」
狐娘「…という話なんだけど」
男「滅茶苦茶面白かった…」
狐娘「マジで?今度飲み会で使おうかな」
男「いや飲み会ウケする話ではないですけど」
狐娘「えー」
男「面白い、の意味が変わってきますね…」
狐娘「じゃあやめとくかー」
男「いやーでもなんか会話してるとやっぱり化け狐なんだなーって感じはありますね」
狐娘「おっ」
男「大分話さないとダメなんでやっぱりダメですけどね」
狐娘「なんだよ…」
男「しゃーないですよ、オーラ出したいなら『のじゃ』とかおばあちゃんっぽくしゃべってみたらどうです?」
狐娘「お前のばあちゃん『なのじゃ』とか言う?」
男「言わないっすね」
狐娘「そういうことよね」
男「まあなんとなくそう言う気はしてましたけどね」
狐娘「あ゛----働きたくない」
男「そりゃあまあ」
狐娘「玉の輿に乗りたい人生だった…」
男「狐生では」
狐娘「語呂悪すぎるでしょ…」
男「ラブロマンスはないってさっき言ってましたけど伊能忠敬みたいな人ほかにいないんですか?」
狐娘「求婚してくるのは結構いるけど・・・」
男「誰か一人くらい金持ちとかいなかったんですか?」
狐娘「…この町の当時の豪族にプロポーズ食らったことはある」
男「へぇ」
狐娘「けどあたしからしたらみんなショタだし…ショタコンじゃないし…」
男「不老の金持ちって結婚に求めるハードル高すぎるでしょ…」
狐娘「ぶっちゃけ結婚もしたくないよね、狐に欲情する輩とかやだよ。金だけよこせ」
男「クズなあ」
狐娘「不老のものに働かせる社会が悪い、そのせいで歪んだのだ」
男「絶対もともとの性格でしょ」
狐娘「まあね」
狐娘「養ってくれよ」
男「もうなりふり構わなくなってきましたね」
狐娘「そのくらい働きたくない」
男「まあ気持ちはわからなくもないですけどね」
狐娘「けどまあ家賃はいらない分あたしは君より楽よね」
男「どこに住んでるんですか?」
狐娘「町の外れにある神社っぽいとこ」
男「もしかして公園の端っこにあるところですか…?」
狐娘「そこそこ、前に『せめて家くらい頂戴』って町長に言ったらくれた」
男「あそこ心霊スポット扱いされてますよ」
狐娘「知ってる、だから肝試しにきた人たちに幻術かけて遊んでる」
男「乗り気なんですね…」
狐娘「サービス精神いいだろ」
男「俺も昔そこで肝試しして幽霊見たと思ってたんですけどあなただったんですね…」
狐娘「多分そうよ」
男「まあそれもそうですよね、幽霊ってオカルトですしいるわけないですよね」
狐娘「化け狐の前でオカルトとか言っちゃう?」
狐娘「それでも光熱費スマホ代電気代はかかるからさー」
男「あんなお化け屋敷みたいなところでもライフラインあるんですね」
狐娘「幻術やぞ」
男「えっ」
狐娘「心霊スポットの神社が小綺麗でもアレだから基本幻術かけてボロに見せてる」
男「サービス精神・・・」
狐娘「内装は普通に綺麗な和室四畳半よ」
男「中に入ろうとしてくる輩とかいないんですか?」
狐娘「許可なく建物に触れたら瞬時に気絶する結界かけてるから」
男「いきなりめっちゃ化け狐っぽい話になりましたけど迂闊に人に話せない話ですね…」
狐娘「サービス精神が仇となったか…」
男「結界とかめっちゃ化け狐っぽいのに言ったらネタバレになっちゃいますからね…」
狐娘「人間どもの夢は壊せねえな!」
男「めっちゃ姉御肌な化け狐…」
狐娘「あたしの家に同居でいい?」
男「なんですか急に…」
狐娘「養ってよ…」
男「多分今の世の中化け狐の女の子とか需要もりもりなんでそういう人募りましょう」
狐娘「あたしに触れてエキノコックス感染しても嫌だし…」
男「持ってるんですか!?」
狐娘「いや持ってないけど」
男「さっき尻尾に抱き着いたのやっちまったと思いましたよ…」
狐娘「大丈夫大丈夫」
男「というか養ってもらうならそれこそ『のじゃ』とか言って適当なオタクの家に転がり込んだら一発ですよ」
狐娘「表面的なものでしか判断しない男は嫌かな」
男「金で選ぼうとしてる女が何を言っている」
狐娘「それはそれだから…」
男「面倒くさすぎる人だ…」
狐娘「総合的に考えて君がなかなかね」
男「金持ちにしてくださいよ、深夜バイトのフリーターに養っては鬼ですよ」
狐娘「尻尾もふり放題」
男「揺らぐんでやめてもらっていいですか?」
狐娘「君ちょろくない?」
男「ちょろくないです…お客さん来ましたよ、仕事ですよ」
狐娘「働きたくない…」
男「しゃーないっすよ」
狐娘「諦めないからな…」
男「はいはい…」
おわり
「畜生から人間に変化する以上に劇的なことはないかな…」
これを書きたかっただけなので満足です
おやすみ
>>16
これは便乗?
>>18
スマホで急に書き込みました本人です
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