ジャン「もしかして俺、入れ替わってる!?」 (43)




キャラ崩壊、無理やり設定。




・・・・・・・・



ジャン「ここ数週間で、わかったことがある。一つ、俺と…あっちの俺が言うにはパラレルワールドっていう世界の俺は、不定期に、入れ替わる。」


ジャン「あっちの世界は2017年らしい。世界は壁には覆われていない。言い尽くせないほどにこことの違いがある。」


ジャン「向こうの世界の俺は、コウコウセイというやつらしい。がくせい寮に入っていて、同室は…あっちの世界の、マルコと、ライナーと、ベルトルトだ。」


ジャン「なぜか空調整備が常に行われている部屋。食べるものや飲むものには基本困らず、信じられないことに巨人も存在しないらしい。」


ジャン「高速で動く鉄の乗り物、空に浮かぶ鉄の乗り物。黒い板には鮮明に写真が映される…仕組みは説明してもらったがわからなかった。」


ジャン「夢のような話だが、俺はもうすでに5回アイツと入れ替わってる。入れ替わるタイミングに条件がないか探るために、入れ替わった瞬間の記録をとってみたところ、三つの条件と二つのルールが発見された。」



ジャン「一つ、入れ替わる瞬間は気を失う。その間、マルコによると1分程度らしい。二つ、気が抜けているときに入れ替わりやすい。5回中3回が休日で、1回は昼の食事の時間、そして…最初の一回目は、眠る前だった。そして三つ目、入れ替わりたいと思っても入れ替われない。いくら気を抜いてみても、入れ替わりたいっつう気持ちがあると入れ替わりにくい。」


ジャン「二つのルールっつうのは、まず一つに身体が入れ替わっても身に付いた訓練とかの動きは俺の方に残ってること。だから訓練前にあっちの俺に入れ替わった場合、俺は死を覚悟しなければいけない。二つ目は、入れ替わった先で俺が過ごす時間とあっちの俺がこっちで過ごす時間が同じとは限らない事。前に、俺が3時間あっちで過ごしたのに戻ってみたら10分しか経ってないってこともあった。」



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数週間前__訓練兵男子部屋


マルコ「ジャン、今日は休日だけどジャンは何か予定があるのか?」

ジャン「え?いや、俺は…別に、何も予定はねえよ。寝る。」

マルコ「せっかくなら、座学の勉強でも…」

ジャン「試験までまだあるだろ、お前は真面目す…ぎ……?」ドサッ

マルコ「…あれ、ジャン?もう寝た…にしては早すぎる、おいジャン!ジャン!?」

アルミン「わっ、ど、どうしたのマルコ、急に大きな声を出して…」

マルコ「ジャンがいきなり気絶したんだ!」

アルミン「え!?」

ザワザワ







「……!…ん!……じゃ…ん!」

ジャン「……」

ジャン「(うるせぇな、マルコ…そんなに名前を呼ばなくても……今日は…休みだろ…)」

まるこ「じゃん!よかった…目が覚めたんだね?」

ジャン「……マルコ、お前それは何のジョークだ?」

まるこ「え?」

ジャン「いや…だから、その服…は?それ何て書いてあるんだ…?って、おい、ここ…何処だよ!?ハァ!?なんだ此処ッ…」

らいなー「じゃん、目が覚めたのか!」

ジャン「ラ…ライナー…?」


ジャン「(これは何だ??悪い夢か?マルコは異国の字が書かれた薄い服を着て、て、ライナーは…特に変わった様子は見られないが、見たことねえ服だ。そして何より、この部屋。なんだ、この部屋。見たことねえし、全てが異質だ。)」

ジャン「…ッ、ラ、イナー、便所どこだッ…案内しろッ…」

らいなー「はぁ?トイレなら…あっちの扉だが、お前大丈夫か?顔色悪いぞ。」

ジャン「ッ…」ダッ


ガチャッ

バッ

ジャン「ぅ、げえぇえ…!」


その日俺は初めて知った。

人間は、自分の許容範囲が超えることが起き続けると、平常を保っていられないと。



まるこ「…じゃん、出てきてくれないか?体調が悪いんだろ?出てこなくてもいいから、今の様子だけでも…」

ジャン「早く覚めろ、覚めろッ、覚めろッ…覚めろよクソッタレ!!」

まるこ「…だめだ、中で何か言ってるみたいだけど、良く聞こえない。」

らいなー「混乱しているみたいだが…参ったな」

べるとると「らいなー、まるこ…時間だよ」

らいなー「あー…すまん、べるとると。先に行っててくれないか?さすがにこのまま放っておけないだろ。」

まるこ「べるとると一人で行かせるのもな、らいなーも行っておいでよ」

らいなー「もしもの時、この扉をぶち破れるのは俺だけだと思う。俺がここに残る、お前がべるとるとについていってやってくれ。」

まるこ「…確かにそうだね、僕がべるとるとについてくよ。行こう、べるとると。」

べるとると「う、うん…。じゃん、落ち着いたらでておいで。今日の給食は君の好きなオムライスらしいから…」

まるこ「じゃん、体調が治らなかったら休んでもいいから、トイレから出てちゃんと水飲むんだぞ。じゃ、先に行くね。頼んだよ、らいなー。」

らいなー「あぁ、すぐ行く。」


らいなー「…」

ジャン「…」

らいなー「…生きてるか?」

ジャン「…………あぁ…」


らいなー「…どうしたってんだ。」

ジャン「…」

らいなー「出てこれないか?」

ジャン「いや…出る、少し落ち着いて…きた、気がする…」

らいなー「おっ…」


ガチャ


らいなー「…水飲むだろ。ほら、飲めよ。ひどい顔だぞ、じゃん。今日…授業休むか?」

ジャン「…?」

らいなー「…?どうした、とりあえず飲めよ」

ジャン「…こ…これ、何だ?ガラス…じゃねえよな、透明だ…その、らいなー。授業って…ハハ、俺ら…休みじゃなかったっけか…」

らいなー「…じゃん、そりゃペットボトルに決まってんだろ。それに今日は平日だ。どうしたんだ、怖い夢でも見たのか?お前らしくない動揺の仕方だな…」

ジャン「ぺっと…ぼとる…??このボトルが…ペット…?」

らいなー「貸せ。」グッ カシュッ…

らいなー「ほら、開いたぞ。とりあえず飲んで…そこ座れ。」

ジャン「………」

らいなー「それで?」

ジャン「はっ?」

らいなー「水飲んで、座って、すこしは落ち着いただろ。どうしたんだ、今日のお前は」

ジャン「…えっ」

ジャン「(そりゃこっちのセリフだ…どうしちまったんだ、この部屋は…お前は…あいつらは…)」

ジャン「…ライナー…ここは、トロスト区か…?」

らいなー「…?いや…ここは、104号室だ。」

ジャン「?…今は、八百四十…西暦、いくつだ?」

らいなー「はぁ?……2017年。」

ジャン「……ここは、どこなんだよ…」

らいなー「………日本……だが……。お前…本当に、どうしたんだ……」

ジャン「……はぁ、無理だ…もうわけがわかんねぇ…」

らいなー「………」

ジャン「字?もわけわかんねえし、もう全部、わけわかんねえ、ライナーも、頼りにならねえし、」メソ、

らいなー「……な、泣くなよ…」

ジャン「……」

ジャン「(知らねえ世界、知らねえもの…知らねえ文字。たぶん目の前のこいつも…知らない人間だと思った方が、正しいのかもしれねえ…)」

らいなー「…。」

ジャン「…らいなー、一ついいか?信じてもらえないかもしれねえけど…」

らいなー「! お、おう。」

ジャン「俺、たぶん、お前らの知るじゃん・きるしゅたいんとは別人で、その、お前らも俺の知るライナー達じゃねえんだ…と、思う…。」

らいなー「…」

ジャン「(…普通に考えたら信じられるわけない話だ……笑われるか…?もし、笑われたら…とりあえず、さっきの便所…鍵がついてたから、そこに籠城して…)」

らいなー「あー…信じがたいが、まぁ…今のお前の状況を見て、なんとなくわかった。それで?どこまでわかる?」

ジャン「は……?」

らいなー「俺らの名前くらいは分かってるみたいだが…ほかのクラスメイトの名前はわかりそうか?ここにあるお前の私物がどれかとか、そういう…」

ジャン「ちょ、ま、待てよらいなー!何でそうすぐに信じるんだよ!?」

らいなー「なんだ、ジョークだったのか?」

ジャン「ジョークじゃねぇけどッ…」

らいなー「なら問題はないな、今はとにかく…いろいろと話すべきだと、思う。」

ジャン「お、おう……」

らいなー「それで、わかることはあるのか?」

ジャン「えっと…お前らの名前は、わかる…というか、お前らによく似た知り合いがいるっつうのが正しいのか…、ほかのクラスメイト…ってのは、思い当たらねえ。私物…も、正直どれがどれかは…」

らいなー「…そうか、わかった。」

らいなー「…とりあえず、出るか」

ジャン「…は!?」

らいなー「話は聞いたが、正直全くわからん。とりあえず、お前は今日風邪をひいて喉を傷めて、喋れないということにしておけ。風邪ってのは…わかるか?」

ジャン「…わかる…この部屋から出るのか?」

らいなー「あぁ。これをつけろ。」

ジャン「マ……マスク…?」

らいなー「お、わかったか。」

ジャン「耳にかけられるようになってんのか…うお、ここに固い…なんだ?針金が入ってる!」

らいなー「耳にかけたらそこを指でつまんでやる、そうするとマスクの上の部分が鼻の形に添うだろ」

ジャン「す、すごいな…うちにもこれがあったら、座学で習った死体からの感染病予防にも使える…!」

らいなー「…(さらっとえぐい事を言ったが…まぁいいか)」

らいなー「外に出れば、今のお前を見る限り…知らない事と危険がいっぱいだ。まるこ達に合流するまでは俺から絶対離れるな」

ジャン「わ、わかった!」

らいなー「それから変に騒ぐと目立つ。静かにしてるんだぞ。」

ジャン「な、なぁらいなー…俺はやっぱり部屋にいた方が…」

らいなー「何の使い方もわからない、ましてや俺たちの知り合いのじゃんでもないお前をここに一人で置いとけるわけないだろう。」

ジャン「そ、それもそうか…わかった」

らいなー「じゃあ、さっさと行くぞ。ほら、これが上着でこっちがお前のカバンだ。えーと…スマホは充電中か?」

ジャン「すま…?」

らいなー「…わかった、スマン。ああ、あった…これがお前のだ、カバンの中にでも入れとけ。なくすなよ。」

ジャン「え、あ、あぁ…この黒い小さな鉄の塊がなんの役目を果たすんだ?」

らいなー「後で説明してやる。今ならぎりぎり授業に遅刻で間に合うんだ、行くぞ」


ジャン「お、おう」

ジャン「………」

らいなー「学校と寮は隣りあわせだ。寮を出てすぐ目の前のあのでかい白い建物が俺らの高校なんだが…」

ジャン「……そんな目で見られても、わかんねぇよ…」

らいなー「…だよな。」

らいなー「ジャン、何かあったらすぐに俺を呼べよ。お前の席はまるこの隣だ、教室に入ったらまるこの隣に着けばいい。数学はやったことあるか?」

ジャン「す、数式……一応あるが、ここのと同じかどうかは…」

らいなー「そうだな…もしも教師に当てられたら俺が助けよう。お前はこのかばんに入ってる…この教科書と、ノートを開いてればいい。」

ジャン「あ、あぁ…わかった…」

らいなー「(まぁ、今日は簡単な内容だと思うし教科書さえあれば大丈夫だろう。)」

ジャン「(教科書…たぶん、教材の事だよな?…字が読めねえけど…大丈夫なのか…?!)」



__2年Aクラス教室


ガララララ


先生「遅いぞー、お前ら」

らいなー「遅れてすみません」

ジャン「あっ、遅れてすみません!」

先生「お?なんだなんだ、じゃん、どうした~。今日は随分と素直で元気だな。まあいい、二人とも席につけ~」

らいなー「さっき言った通り、うまくやれよ」コソッ

ジャン「あ、あぁ…」

ジャン「(な、なんで遅れたのに怒鳴られねえんだ…?)」


スッ


まるこ「じゃん、おはよう。もう大丈夫なの?」

ジャン「あ、あぁ…おう…」

まるこ「そうか、良かった。お前にしては珍しく取り乱してたから心配してたんだ。また体調が悪くなったらすぐ言うんだぞ。」

ジャン「あぁ…ありがとな。まるこ…お前…」

ジャン「(俺の知ってるマルコじゃねえけど、こいつは変わらねえな…)」


先生「こら、じゃん。お前遅刻してきたのにおしゃべりはだめだろ~。よしっ、前に出てこの問題解いてみろ~。」

ジャン「…!」

ジャン「あっ…(数式は同じだ…!たぶん、解けるぞ…!)」

らいなー「…(大丈夫か、アイツ…?)」ハラハラ



カッ カカッ カッ カッ


ジャン「で…できました。」

先生「お~…いや、公式を使わずに解いたのか…そんな遠回りしなくても、この公式を使えば簡単に解けるんだぞ?」

ジャン「えっ…?」

先生「まぁ解けたからな、戻っていいぞ。」

ジャン「は、はい…」

先生「ところでじゃん、この字は何だ?」

ジャン「えっ?…「回答」って、書きました…」

先生「??」

らいなー「先生!公式の説明をお願いします!」

先生「あ、ああ、そうだな!戻っていいぞ」

ジャン「…失礼します」ペコ


ザワザワ  あのジャンが… ザワ 礼儀正しいぞ…


先生「はい静かにー。じゃあ公式の方から…39pを開け~」


らいなー「(アイツの話は、よくはわからないが…嘘じゃない気がする。嘘だとしたら手が込んでるし、もしもじゃん以外の人間が嘘をついて成りすましているとしたら似すぎてる。ありえない。)」

らいなー「(何より、あの時…吐きそうになったときに、良く知ってるはずの自分の部屋のトイレの場所を把握してなかった。あれはとても演技には見えねえ。)」

らいなー「(もしもあれが…記憶喪失や、精神病なら、俺たちが良く知るあのじゃんは帰ってくるのか…?)」


らいなー「(俺らの…ヒーローのじゃんは………)」


べるとると「…らいなー」

らいなー「あ、あぁ。どうした?」

べるとると「じゃんの調子は?やっぱり、どこか変みたいだ…あんな簡単な問題、じゃんが解けないわけがないよ…」

らいなー「……いや…それがな…」

カクカクシカジカ


べるとると「…それ、本当かい?」

らいなー「嘘ではないと思うが…どうだろうな。」


べるとると「そう…ジャン……なのかもしれないな…」

らいなー「…?何か言ったか?小声過ぎて聞き取れなかった」

べるとると「…いや、何でもないよ。授業に集中しよう、当てられたくない」

らいなー「?……そうだな」




べるとると「…………」


べるとると「…覚えてるのは、僕だけだ………。」


_________昼休み


らいなー「ジャン!お前、現代文酷かったな。一文字も読めなかったのか?」

ジャン「字…字が、俺の知る字と全く違うんだよ……!」

まるこ「何を言ってるんだ…?」

らいなー「あぁ、まるこ。実はな…」

カクカクシカジカ

まるこ「え!?じゃ、じゃあ彼はじゃんであってじゃんでないって事かい…?」

らいなー「そういうことだ。」

ジャン「……」

べるとると「…とりあえず、食堂に行こう。ジャン、今日のお昼は…オムライスなんだよ。好きだろ?」

ジャン「えっ…!す、好きだ。」

べるとると「ほら。早く行こう。」

らいなー「…べるとると、お前…」

まるこ「状況の呑み込みが早すぎる……」



_________食堂


らいなー「持ってきてやったぞ」

ジャン「わ、悪い…」

まるこ「仕方ないさ、仕組みがわからないんだから。はい、これお前の分のお茶。」

らいなー「べるとると、何してるんだ?」

べるとると「…ジャンに、ここの通貨を教えてたんだ。」

ジャン「あぁ、役に立ちそうだ。これがいちえん、ごえん、じゅうえん。ごじゅうえん、ひゃくえん、ごひゃくえん…せんえん、ごせんえん、いちまんえん。」

べるとると「うん、数字は同じだから、1000を求められたら1000を出したらいい。基本、法外な値段を出す場所はこの近くにはないから。」

ジャン「で、これが俺の財布だ!」どやっ

らいなー「ブフォッ」

まるこ「ちょ、わ、笑ってやるなよ!ジャンは真剣なんだから!」

らいなー「くくっ、わ、悪い悪い!あまりにも子供くさくてよ」

べるとると「らいなー、早くご飯食べよう。ジャンがお腹空いたって。」

まるこ「そうだね、食べようか。」

ジャン「おう。」

まるこ「いただきまーす」

らいなー・べるとると「いただきます」

ジャン「…」

ジャン「イタダキマス。」

ジャン「…」モグ

ジャン「…!?は、う、うめぇ!肉が入ってる!うまっ…え、うめぇ!」バクバク

らいなー「お、おお、そうか?」

べるとると「そんなに今日のオムライス美味しいの?」

まるこ「べるとるとは今日もパンなの?いつもと変わらないけど、おいしいよ、オムライス。」

ジャン「水も心なしかうめえ気がする…」

らいなー「…な、なぁジャン?これ食ってみるか?」

ジャン「…なんだそれ…揚げ物だよな?」

らいなー「唐揚げだよ。おら、食ってみろ」

ジャン「じゃ、じゃあ…イタダキマス。」ぱくっ

ジャン「………!!!!」

ジャン「う、うめえ……!!」ワナワナ

ジャン「オムライスも、からあげも、ぽっきいもすげえ旨かった……」

ジャン「……怖い世界だけど、恵まれてんな…」

ジャン「(宗教には入ってねえが、今ばかりは感謝するぜ…神様…)」


べるとると「…らいなー、一ついいか?」

らいなー「どうした?」

べるとると「ジャン…あの調子でさ、あれは大丈夫なの?」

らいなー「あれ?授業なら隣のまるこが全面的にフォロー…」

べるとると「違う!そっちじゃなくて…今のジャン、全然怖くないから…ジャンに恨みのある奴が、今のジャンを見たら、間違いなく喧嘩沙汰になると思うんだけど…」

らいなー「…!」

まるこ「そんなの、僕らが止めればいいだろ。」

べるとると「だ、だめだ…!じゃんと約束しただろ、もう僕らは喧嘩しないって」

らいなー「……そう、だな…とりあえず、絶対に一人にさせるな。」

べるとると「うん…」

まるこ「……(じゃんとの約束は大事だ、破ったら絶交だって言われてるし…でも、その約束のために僕らを守ってくれたアイツを見捨てていいのか…?)」




ジャン「…(難しい話してんのか…三人で話されちゃ、俺どうしたらいいのかわかんねえんだけど…)」


ジャン「(その後の授業は、マルコの手伝いもあって何とか乗り切れた。実技、ここでは体育というらしいがその科目では元々の俺の記録らしい短距離走の記録を1秒縮めたらしく、先生から褒められた。)」



______学生寮104号室


ジャン「…で、手書きでちょっとわかりにくいかもしれねえが、俺のいた世界はこんな感じになってる。この壁の中に人類はいるんだ。」

べるとると「…(あれ?)」

ジャン「巨人は、でかいやつで15mとか…60mっつう特殊な奴もいるが、まぁとにかく基本的には3~15mが多いな。壁の外にいるから、これに向かってくのが調査兵団だ。」

まるこ「ジャンも、兵士なんだろ?この…巨人とかいうのと、戦うのか?」

ジャン「はっ、ごめんだね。俺が目指してるのはこっちだ。一番安全なところ…内地だ。ここには憲兵団がつく、だから俺はそっちを志願してる。調査兵団になりたいなんて抜かす奴は、命知らずの死に急ぎ野郎だけだ。」地図トントン

まるこ「そうか…」ホッ

ジャン「おっと、憲兵団ってのは誰にでもなれるわけじゃないぜ?優秀な上位10名者のみが志願する権利を得られる。」

らいなー「なれそうか?」

ジャン「今は断言できないが、まぁ俺の実力と周りの実力を見る限り…俺は5位くらいには入れると思うぜ。」

らいなー「すごいじゃないか」

べるとると「ね、ねぇ…どうしてここの壁の中には、人類が住んでないんだ?」

ジャン「あ?あぁ、そこは…前は住んでたんだが、巨人に侵攻されたんだよ。ひどい話らしいだよな、ウォールマリアっつうんだが…ここが突破されただけで、数十万の人間が死んだんだ。食糧不足も酷ぇせいで、俺ら兵士にも薄い味のスープと味気のねえパンしか配給されねえ。」

べるとると「そう、だったんだ…理解行ったよ。」

らいなー「……そう、なのか…」

ジャン「ここはすごいよな。屋内に入れば快適で、あたりを囲う壁も…巨人もないんだろ?飯にも恵まれてて…正直、羨ましくて仕方ねえよ。」

まるこ「ジャン………」


ジャン「お前らには感謝してる、正直…お前らが俺からしたら本当は他人だってわかった瞬間、縛り上げられて転がされてもおかしくねえのに、こんなに親切にしてくれてよ…」

らいなー「いや、礼なんていらないさ。お前はジャンだ、じゃんじゃなくとも…それは変わらないみたいだしな。」

べるとると「あぁ…困ったことがあれば、僕らがなんとかするよ。じゃんがそうしてくれたように。」

まるこ「うん、当たり前だろ。僕ら、親友なんだから。」

らいなー「(とりあえず精神病の線を強く見て間違いなさそうだからな…次の休みにでも、精神科につれていこう。いや、脳外科のほうがいいのか?)」

べるとると「…(もう、このジャンが来てから…かなり経ってる…いつ、戻ってくるんだ…)」

まるこ「(じゃんは、僕ら三人を守ってくれたから。強くないのに。だから今度は僕らが支える番だからね。)」

ジャン「あぁ、助かるぜ。ありが…………と、う……?」





ジャン「(なんだ、すげえ眠気が……………だめだ、保ってられn…)」ドサッ

らいなー「ジャン!?おい、どうした!!」

まるこ「ジャン!?大丈夫!?ジャン!!」

べるとると「あ、朝の時と同じだ…!」

>>16
すみません、訂正

「ひどい話らしいだよな、」→「ひどい話だ、」

「…ン!・・・・・・・ジャ……ン!…ジャン!」





_____________訓練兵男子部屋



アルミン「ジャン!よかった、目が覚めたんだね?」

コニー「おいジャン!話の続き!コウコウセイがなんなんだよ?」

ジャン「アルミン…コニー…!?」

ジャン「(も、戻ってこれた!俺の寝具に…いつもの部屋だ!よ、良かった…!そうだよな、夢だよな!)」

コニー「おい、目が覚めたんなら教えてくれよ。ニホンが何なんだ?」

ジャン「は…?」

マルコ「…!ジャン、お前、ジャンなのか!?」

ジャン「え、ハァ!?お前には俺がどう見えてんだ!?」

マルコ「いや、お前がジャンってことはわかってて…あぁもう!ややこしい!」

アルミン「君はトロスト区出身、104期訓練兵のジャン・キルシュタインであってる?」

ジャン「そ、それ以外に何があんだよ…」

マルコ「ジャンが元に戻った…!」

コニー「なんだよ!もう元に戻っちまったのかよ、つまんねえ!」

アルミン「コニー、不謹慎だよ…よかった、元に戻って。医務室に連れていくか悩んだんだよ」

マルコ「お前、朝に倒れてからずっと様子がおかしくて…」

ジャン「は…?え、あ…(どうなってんだ???)」

ジャン「今…何時だ?」

マルコ「もう就寝時間だよ。」

コニー「ジャンが元に戻ったなら寝よっと。おやすみー」

アルミン「僕ももう寝るよ。でも、元に戻って本当に良かった…ジャン、僕とコニーの事わからないみたいだったから…安心したよ。おやすみ、二人とも!」

マルコ「おやすみ。…僕らも寝ようか、ジャン」

ジャン「…俺、どんな感じだった…?」

マルコ「……朝、倒れて…起きたと思ったら、布団にくるまって誰とも会話してくれなくて。僕の名前を呼ぶもんだから、返事したのに「お前じゃない!」って突っぱねられてね。あ、ベルトルトとライナーにも同じことをやってたから、ちゃんと謝っておいた方がいいかもしれないぞ。」

ジャン「……まじか…悪い、覚えてねえ…」

マルコ「…今日はもう寝た方がいいんじゃないかな、僕ももう寝るし…」

ジャン「あぁ…いや、上の二人起きてっかな…」

マルコ「ライナーとベルトルト?起きてると思うけど…」

ジャン「そっちに謝ってから、寝るわ…先寝てていいぜ」

マルコ「そっか、そうだね…その方がいいね。おやすみ、ジャン」

ジャン「あぁ、おやすみ…その、ありがとよ。」



ジャン「…起きてるか?二人とも…」

ライナー「あぁ…もう大丈夫なのか?」

ベルトルト「…」

ジャン「あ、あぁ。その…今日、俺のした事とか、言ったことを教えてくれねえか?」

ライナー「は?」

ベルトルト「…」

ジャン「悪い、本当に覚えてねえんだよ…頼む、教えてくれ。」

ベルトルト「…君が、マルコに殴りかかってライナーがそれを止めたんだ。」

ライナー「おいベルトルト、それは端折りすぎだろ」

ジャン「えっ…俺が、マルコを…?」

ライナー「あー…マルコがな、「ジャンが夕飯の時間になってもずっと布団から出てこない」っていうから、お前に近寄ってみたら俺らとマルコの三人の名を呼んでてな。返事したら、違うお前らじゃないって殴りかかって来たから、思わず羽交い絞めにしちまったんだ。」

ベルトルト「…君が、ずっと駄々をこねるから、力の強いライナーが君を抑えて食堂まで引きずっていったんだ。なのに、食事もちゃんととってくれなくて、お風呂の最中も動かないからアルミンとマルコが面倒見て…」

ライナー「コニーとエレンにおじいちゃんの介護って馬鹿にされてたなぁ」

ジャン「(な、何してんだよ俺……!!!)」

ライナー「部屋に戻ってきたお前は、ようやっと落ち着いた様子でな。そうしたら、今度はよくわからないことを話し始めたんだ」

ベルトルト「ねえ、ジャン……。クルマって、何?」

ジャン「は?クルマ?」

ライナー「………。」

ジャン「知らねえよ…記憶がねえんだって…」

ベルトルト「……そうだったね、ごめん」

ジャン「…?」

ライナー「話してた内容はちょっと良くわからなかったんだが、ヘイセイだとか、ニホンだとか…」

ベルトルト「…」

ジャン「そうか…その、迷惑かけて悪かった。ありがとよ。」

ベルトルト「……別に…君ももう寝床に戻った方がいいんじゃないか、こんな時間だし…」

ジャン「お、おう…」

ライナー「ベルトルト。すまん、ジャン…こいつ、たぶん珍しく名前を呼ばれたってのに違うって否定されてちょっと拗ねてんだ。あまり気にするな。」

ジャン「いや、それは俺が悪いわ。でも、あったことを教えてくれたのは本当に助かった。ありがとな、二人とも。それじゃ、遅くまで悪ィ…おやすみさん。」

ライナー「おう、おやすみ。」

ベルトルト「…おやすみ、僕の方こそ冷たくしてごめん。明日も訓練頑張ろう。」

ジャン「おうっ!」ニッ




ジャン「(今日はいろんなことがあったな……疲れた。)」モゾ

ジャン「(………ただ……何か、おかしいんだよな……俺…昔も、確か…似たようなことがあったような…)」


ジャン「………すぅ…」Zzz







_________数日後 男子寮104号室


ジャン「あれで最初で最後だと思ってたのによォ…」


ジャン「何で俺はまたここにいるんだ…!?!?」



らいなー「じゃーん、時間だぞ。そろそろ起きろ、飯が食えなくなる。」

まるこ「今日はお餅だぞ~」

べるとると「今日はじゃんが日直だろ。急がないと、日直の女の子が一人で仕事をする羽目になるよ」

ジャン「………よぉ……久しぶりじゃねぇか…」

三人「は?」




ジャン「………ってなわけで、また来ちまったみたいだ」

らいなー「…嘘だろ…」

ジャン「そりゃこっちのセリフだ…」

べるとると「はい、ジャンの分のお餅。」

ジャン「おぉ、すげえいい匂い…」

べるとると「お餅。すごい伸びるし、中がとても熱いから…気をつけて少しずつ食べるんだよ。」

ジャン「ありがとな。…はふっ…うめえええええ!!」モチィ

べるとると「ふふ……」

まるこ「何でそんなに順応が速いの、べるとると…」

べるとると「さぁ…彼と「はじめまして」の仲じゃないからかな…」

らいなー「来ちまったモンは仕方ねえ…。ジャン!」

ジャン「! お、おう!」

らいなー「お前に今から、「携帯」の使い方を教える!餅食いながらでいいからよく聞け!」

ジャン「携帯…?」

らいなー「この黒い奴だ。お前のはこの皮のケースがついてるやつな。」

ジャン「…!(これは…調査兵団のマーク!?)」

ジャン「な、なぁ…このマークって…」

らいなー「ん?いや…知らんな…確か前にネットサーフィンしてたら一目ぼれして買ったっつってたよな?」

まるこ「うん。ちなみに、僕のも買ってくれたんだ。ほら、これ!」

ジャン「(憲兵団のマーク…?)」

べるとると「ジャン、携帯の話に戻そう。」

らいなー「あ、そうそう…これな、いいか、ここを押すと画面が着く。これが電源ボタンだ。」

ジャン「…うおぉ…!?」

らいなー「で、…まるこ、かけてみてくれ」

まるこ「あぁ、うん…」ピッピッ


プルルルルルル


ジャン「!!??」

まるこ「僕、ちょっとトイレの方に行ってるよ」

らいなー「あぁ。ジャン、これが電話だ。画面が変わっただろ?これが電話が来てる時の画面だ。この緑のボタンをタップしてみろ。」

ジャン「…。」オソルオソル

ピッ

まるこ『もしもし?』

ジャン「!!!」

らいなー「これが電話だ。離れたところにいても、話ができる。」

ジャン「す、すげえ…」

ジャン「(この通信があれば…巨人討伐の効率も遥かに上がるんじゃねぇのか…?!座学によると巨人討伐に赴いてる調査兵団の主な意思疎通は煙弾銃、だが誤射や様々な問題で作戦失敗してしまう事も多いらしいがこれがあれば確実な作戦の…)」

べるとると「ジャン!」

ジャン「!? あ…わ、悪ィ。」

べるとると「急に考え込んで…大丈夫かい?」

まるこ「ちゃんとつながったみたいだね」ヒョコッ

らいなー「そこの、赤いボタンを押してみろ。」

ジャン「…」ピッ

らいなー「これで電話が切れる。この動作は覚えててくれ、もしもの時、俺らとお前の連絡手段になるからな。」

ジャン「…わかった」

まるこ「あっ!じ、時間!」

べるとると「大変だ、ジャン、食べ終わったお皿はそこに置いといていいから、こっちに来て。着替えを渡すよ」

らいなー「皿は俺が片しておこう」

まるこ「ごめんよじゃん…カバンの方は、僕が準備しておくよ。勝手に開いたって知ったら怒るんだろうな…」

ジャン「お、おぉ!!」



ドタバタドタバタ



まるこ「間に合うかな?」

らいなー「ギリギリだな…ジャン、着いたらちゃんと謝るんだぞ。お前の知らない女子だろうから名前を教えておくが……モブ下さんだ。」

ジャン「も…もぶしたさん。」

べるとると「仕事は、黒板を綺麗にすることと、花瓶の水を交換すること、それから全員分の日誌と朝ドリルを職員室の前の棚から教室へ運ぶことだけど…大丈夫そうかい?」

ジャン「た、たぶん…」

まるこ「何かわからないことがあったらモブ下さんに聞けばいいよ。じゃんはこの間日直を僕と交換したから、仕事の内容を知らなくてもおかしくはないから。」

ジャン「え…何で交換したんだ?」

らいなー「教室着いたぞ。」ガラララ

らいなー「おはよう、モブ下。」

ジャン「お、おはよう。悪ィな、遅くなっちまって」

モブ下「ひっ…い、いえ…だ、大丈夫です。あの、何でしたら私一人でやるので…」ビクビク

ジャン「え?い、いや…俺も係だよ、な?自分の仕事位するぜ…先にやってくれてたのか、ありがとな。」

モブ下「い、いえ…」

まるこ「ジャン、僕らはこっちに座ってるからね」

ジャン「おうっ。えーと、それで…進行状況は?」

モブ下「えっと、まだ黒板を消し始めたところで…」

ジャン「そうか、じゃあ黒板頼んでいいか?俺、花瓶の水換えてくるわ。」

モブ下「えっ…」

モブ下「(こ、この流れは…!「お前が俺に花瓶の水替えやらせたから俺の服が濡れちまったじゃねぇか~。クリーニング代と慰謝料出せよオラァ!」の流れ!?そ、それだけは嫌!)」


モブ下「あっ、あの、わ、私やります!!」

ジャン「えっ?あ…そっか、お前…黒板、上まで手届かねえもんな。(クリスタ位しかねえし…)」

モブ下「へぁ!?え、あ、はい!そうです!!」

モブ下「(あぁ!?でも、これはこれで「お前が俺に黒板けしなんざさせるから以下略」の流れに!?ど、どうしよう!)」

ジャン「でもこの花瓶結構でかいよな、重くて運ぶの大変じゃねぇか?」

モブ下「えっ…と、その、」

ジャン「じゃあ一緒にやろうぜ。」

モブ下「ええ!?」

ジャン「俺が持つわ。先行ってドアとか開けてくれ。」ヨイショ

モブ下「は…はい…」



モブ下「……??」

モブ下「ここです…」

ジャン「おう。よいしょっ…と。花出すぞ…って、お前これ!!」

モブ下「ひぃ!?」

ジャン「先がちゃんと切れてねえじゃねぇか!!なぁ、カッター持ってるか?」

モブ下「あ、あの、教室の備え付けの奴なら…」

ジャン「悪い、持ってきてくれ。」

モブ下「は、はい…」




ジャン「よし…これで、こうして、と」

モブ下「……ど、どうしてわざわざ水を貯めて、水の中でやるんですか…?手、冷たくないですか…?」

ジャン「あ?…水揚げの基本だろ、水の中で切れ味のいい刃物でスパッと斜めに切る。水の中じゃねぇと茎の中に空気が入るし、切り口もすぐに状態が悪くなる…っと、これで全部だな。花瓶の中に新しく水は入れたか?」

モブ下「は、はい!」チャプン

ジャン「オイ…多すぎんだろ、もっと浅くていいんだよ。…やったことねえのか?」

モブ下「い、いえ…その、すみませ…」シュン

ジャン「い、いや…その、悪かった。水は大体ここくらいまで捨ててくれ。」

モブ下「はい…」ジャバァ

ジャン「よし…これで完璧だ。…お、おい、あんま落ち込むなよ…なんか俺が悪いことした見てぇじゃねえか…」ハンカチフキフキ

モブ下「……」

ジャン「…あー…その、悪かったって。ありがとな、(カッターの場所とかわからねぇから)すげえ助かった。」頭ポンポン

モブ下「…?!?」

ジャン「黒板けしに行こうぜ。時間、そんなにねえだろ?」

ジャン「よいしょ…っと、花瓶の場所はここでいいのか?」

モブ下「う……うん…///」


まるこ「…!?」

らいなー「(ど、どういうことだ…!?花瓶の水を交換しに行って、帰って来たと思ったら二人の間の空気が明らかに変わってやがる…!)」

まるこ「(二人とも遅いなぁと思ってたけど、ま、まさか、ジャン!!お前!!学校で朝っぱらから何かやったのか!?恥を知れよ!!!)」

べるとると「………………」


ジャン「で、黒板消しな…(黒板の仕組みは同じみたいで安心したぜ。)」

ジャン「とりあえずさっさと消しちまおうぜ」

モブ下「はいっ!」


ケシケシケシ


モブ下「(上の方、届かないなぁ…じゃん君は、身長が高いから上の方も余裕そう…いつもそんなに大きく見えないのは、らいなーさんやべる何とかさんとか、大きい人と一緒にいるからなんだ…)」

ジャン「ん…?ぶはっ、お前全然上の方届いてねえじゃねぇか。」

モブ下「あ、…す、すみませ…」

ジャン「別に謝んなくていいだろ、届かねえもんは仕方ねえんだからよ…仕方ねえな」スッ

モブ下「…!!(う、後ろから…近い、近すぎるよジャン君…!!)」


らいなー「ジャーン?時間がやばいんじゃないか?黒板けしは俺とべるとるとでやっておくから、お前は二人で日誌を取りに行って来いよ。」スッ

モブ下「(わ、じゃん君の後ろかららいなーさんが…やっぱりでかい!)」

ジャン「え?いいのか、日直は俺らなんだろ?」

べるとると「ジャン。いいから、早く行かないと。」

ジャン「んだそれ…まぁでも、ありがとな。行こうぜ、モブ下。」スタスタ


らいなー「おい」こそっ

べるとると「ちょっと」こそっ

モブ下「は、はい…?(優等生の二人だ…やっぱり、優しいんだなぁ…)」

らいなー「…ジャンに色目は使ってくれるな。あいつは女に対して免疫がねえからよ…すぐにコロッと行っちまうんだ」

べるとると「ジャンに彼女を作らせるわけにはいかないからね…ダメだよ、モブ下さん。」

モブ下「えっ?」


ジャン「おい、モブ下?行こうぜ?(場所分からねえし)」

モブ下「は、はい!」タッ

ジャン「何話してたんだよ?」

モブ下「え、えっと…(こ、この三人、いったいどんな関係なの…?まさかそういう関係なの?気持ち悪い…じゃん君、いい人だと思ったけど、ちょっとさすがにそれは無理かも…)」


まるこ「…ひどいことするよ」


らいなー「なんの話だ?」

まるこ「さっきのだよ、別に…じゃんが好かれる機会をああやって潰さなくても…」

べるとると「君が言ってるのは、じゃんの話だろ。あれはジャンだ…じゃんの知らないうちに、知らない関係が築かれるのは、良くないと思うけど。」

らいなー「べるとるとの言うとおりだ。」

まるこ「…嘘つけよ、本当はじゃんに依存してるくせに。じゃんがいないと、優等生らしく振舞えないからそうやってじゃんを孤立させてるんだろ。」

べるとると「…」

らいなー「…まるこ、言葉は選べよ。俺たち友達だろ?」

まるこ「あぁ、友達だよ!そして僕とじゃんも友達だ!知ってるんだぞ、今まで二人がじゃんと仲良くなれそうな人達をじゃんから離してたことも!…良くないよ、こんなの…ッ」

べるとると「知ってたなら、ダメだと思うなら、どうしてもっと早く止めなかったんだ?」

まるこ「っ、」

らいなー「まるこ…お前も同じ穴の狢だ。黙ってろ、夢をかなえて医者になりたいならな。俺とべるとるとも、夢をかなえる。じゃんは俺らの夢をかなえようとしてくれてる…俺らは何も、じゃんに無理強いしたわけでもないんだぜ?あいつが選んだ道だ。」

まるこ「………」

べるとると「いいじゃないか。三人が夢をかなえて、親の期待に応えられるんだ。じゃんがその先で路頭に迷ったなら、その時は僕らで恩返しをしてあげればいいよ。」

まるこ「………間違ってるよ……」

らいなー「あぁ、間違ってる。だが…もう後戻りは出来ん。俺らは精一杯夢を叶えりゃいいんだよ。彼奴も俺らに囲まれてるおかげで成績は上位10位に入ってんだ…損ばかりしてるってわけでもない、これでいいんだよ。」


まるこ「………」

まるこ「………(ごめんよ、ジャン……)」

ジャン「重ェ…!」

モブ下「わ、私半分持つって…」

ジャン「いいんだよ、こういう力仕事は男がやれってよく言うだろ…!」

モブ下「(や、優しい…)」

ジャン「っしょ…ドア開けてくれ、モブ下」

モブ下「う、うん」


ガララララ


三人「!」

まるこ「おかえり、ジャン。うわ、全部持ってるのか?重いだろ、馬鹿だな…半分貸して。」タタッ

ジャン「お、おお悪ィ…だってよ、女に持たせるわけにはいかねえだろ。」

らいなー「おいおい、男女差別は良くないよな?」

べるとると「そうだよ、ジャン…モブ下さんも、ジャンに持たせてるみたいになっちゃって、可哀そうだ。」

ジャン「はっ?え、ああ…(こっちの世界だと男女の差がそんなにねえのか?価値観が違うのかもしれねえな…)悪い、モブ下」

まるこ「……(二人とも…もうやめてやってくれよ…)」

まるこ「ジャ、ジャン。ここに置けばいいから。仕事が三つとも終わったら、そこの表のところに名前を書いてね。」

ジャン「あぁ………あっ、(字…ここと違うんだった…!)ま、まるこ……」

まるこ「?」

らいなー「あ~、ジャン。いいぜ?俺が書いてやるよ。仕方ねぇな、本当に。」

ジャン「(さすがらいなー!察しがよくて助かる!)ありがとな。」

モブ下「(や、やっぱりこの人たちこういう関係なのかな…!?うわっ…やだな、早くほかの人来てよ…)」

ザワザワ ガヤガヤ


らいなー「あぁ、もう人が来たな。ジャン、来い。」

べるとると「今日の授業の説明するから…」コソッ

ジャン「おう、じゃあなモブ下!ありがとよ。」

まるこ「……」

モブ下「う、うん…」



らいなー「今日の授業は一時間目が…」

ジャン「…」フム

まるこ「………」


まるこ「……(人に嫌われようとしていないジャンを見ると…彼は、本当は好かれるべき人間じゃないのかと、思わされる…)」


まるこ「…………(じゃん……君だって、本当は優しくて、無駄な喧嘩は嫌いで、好きなものは好きだって正直に言えるいい奴なのに…)」



べるとると「………」


べるとると「(…邪魔、だなぁ……。)」

_____________昼休み


まるこ「あれ?ジャンは?」

べるとると「らいなー、同じ教室だろ?」

らいなー「あぁ、便所だとよ。移動教室はやっぱりややこしいよなぁ…」

まるこ「じゃあここで待ってれば来るかな」

べるとると「……」





___15分後


らいなー「…遅いな…」

べるとると「……」

まるこ「…あ、ジャンに電話をかけてみたらどうかな。せっかく使い方を教えたわけだし。」

らいなー「ハッ、そうだった。かけてみるか…」



プルルルルル


???『もしもし?』

らいなー「…!?(ジャンじゃねえ、誰だ?)」

???『いやぁ助かったよ、こいつさぁ、携帯のロックはずせっつっても外してくれなくてさぁ。でもそっちから掛けてくれりゃ世話ねえよな、優等生!』

らいなー「おい、誰だお前。」

???『校舎裏だ。さっさと来いよ。』ブチッ


三人「……」

___________校舎裏


モブ助「いやぁ、しかしお前も強情な奴だよ…いくら殴っても、携帯使わせてくれねぇんだもんな」

ジャン「……わから、ねぇんだよ……クソが…。」

モブ助「はぁいいんだよ、もうその冗談は。うぜぇ……さぁてと、優等生君は来るかね。」

ジャン「………」


ジャン「(5人で一気に襲い掛かってくるとは卑怯な奴らだ……ただ、こいつらは素人…市民と同じ…命が危険に脅かされる心配はねえ。)」



__________教室前


まるこ「は…!?助けに行かない…?!」

らいなー「あぁ。俺らが行ってどうする、喧嘩は避けられん。」

べるとると「……じゃんの意思に背くことはしたくないから……」

まるこ「ッ…何がじゃんの意思だッ!!!二人の意思だろ!?」

べるとると「…まるこ…」

まるこ「らいなー!場所を教えろ!僕一人でも行く!!」

らいなー「……」

まるこ「らいなー!!!」

らいなー「…中等部校舎の、裏庭だ。好きにしろ。」

まるこ「……」ダッ



べるとると「…らいなー、」

らいなー「わかってる。本当の場所は真反対の高等部校舎裏だ。昼休みの残り時間じゃ、中等部まで行ったらもう間に合わねえだろ…」

らいなー「アイツにも…ジャンにも悪いが、これでいいんだ。じゃんだって…わかってくれたんだからな…。」



_________校舎裏

モブ助「おい!何で来ないんだよ!!」

ジャン「俺が知るかよ…」

モブ助「クソが!!」

ジャン「……」


ジャン「…お前ら…何でらいなーとか…あいつらを狙うんだよ、あいつら…悪さするようなタイプでもねえのに…」

モブ助「……ハァ?お前何言ってんだ?」

モブ助「何しらばっくれてんだ?知ってんだぞ俺らは…お前らが、俺の仲間をボコったからだろうが!!」

ジャン「……は?いや…あいつらがそんなことするか…?何かの勘違いじゃ…」

モブ助「オメーもその場に居ただろうが!!俺らが!最初に!この学校で!名を上げるはずだったのによぉ!!お前らのせいで俺らは内申もこの学校内での立ち場もヤバイんだぞ!?」ガッドカッ

モブ助「それなのにっ、らいなーもべるとるとも…まるこの野郎も、平気で優等生ぶりやがって!!暴力沙汰も被害者面しやがった!!!」ガッ、ガッ

ジャン「っぐ………ぅ……!」

モブ助「俺らは退学になったっていいんだ…アイツら三人やってやる!!だからあいつらの親友のテメーをこうしてさらってきたってのに…」

ジャン「………」

モブ助「何で来ねえんだよ…!」

ジャン「……(知るかよ…俺が聞きてえよ、クソ痛ぇ…)」




____________



キーーンコーーンカーーンコーーン


モブ助「……!!」


モブ助「あ、あいつら…結局放課後まで来なかった…!」

ジャン「……」ゼェゼェ

モブ助「オメー…親友じゃなかったのかよ…」

ジャン「……」


「もう行こうぜ」「ちょっとやりすぎだろ」「先公に見つかったら面倒だぞ」「こいつを人質にする作戦は失敗だな」「次どうする?」「やっぱ直接あいつらを…」


モブ助「……お前……それでよく、やってられんな、こんな役目…」

ジャン「…(役目…?何のことだ…?)」


モブ助「行くぞ、オメーら。」


ジャン「………(何だってんだよ…どいつもこいつも…)」



らいなー「ジャン!!」

ジャン「…!」

べるとると「だ、大丈夫?ひどい…口が切れてる。水、飲めるかい?」

まるこ「ごめんッ……」

ジャン「おめ、ら……」

らいなー「アイツら、電話で間違った場所を伝えやがってな…走り回って探したら、こんな時間になっちまった」

ジャン「えっ……あ、そ…そうなのか…?」

らいなー「あぁ。本当にスマン…」

まるこ「……っ、」

べるとると「……まるこ。わかってるだろ…」

まるこ「っ……くそ……」

らいなー「起きれるか?」

ジャン「あぁ……、う…!」クラァ

まるこ「!」

ジャン「…くそ…」ドサッ

らいなー「……入れ替わったか」

べるとると「…どう説明して、辻褄を合わせようか?」

まるこ「…………………。」


______________夜 104号室


まるこ「(ジャンにはひどいことをしたな…)」

まるこ「(じゃんも…知らないうちに傷だらけになって、可哀そうに…)」


じゃん「…まるこ。お前また難しいこと考えてんのか?」

まるこ「えっ?」

じゃん「眉間にしわよってんぞ。何だよ、好きな女でもできたか?」

まるこ「い、いや…そんなことないよ」

らいなー「そうだろ、まるこは今から受験で忙しいんだ。そんなことをやってる暇はない。」

べるとると「そうだよ…頑張るって、僕ら一緒に決めただろう?」

まるこ「あ、う、うん…そうだよ、じゃん。」

じゃん「ふーん。恋愛は、励みになると思うけどな。ま、いいわ。俺もう寝るかな…」

らいなー「…なぁ、じゃん。」

じゃん「あ?」

らいなー「お前は、どんな場所に行ってるんだ?入れ替わってる間…」

じゃん「……貧相なところだよ。よく思い出せねぇんだけど…お前とかの、そっくりがいる。毎回あっちに行くと全部綺麗に思い出すんだけどな…ここに戻ってくるとうまく思い出せねぇ。ただ…怖いやつが居る世界だってことはわかった。あと…パラレルワールド、なんだろうな。ここの。」

べるとると「パラレルワールドって…平行世界のこと?」

じゃん「そっ。今度俺が入れ替わったら、もう一人の俺に教えてやっといてくれ。精神病だとかそういった疑いをかけられると面倒だからよ!」

らいなー「…ふうん」

じゃん「じゃあ、マジでもう寝るわ。体中痛ぇし…クソ、あっちの俺は鍛えてるくせに弱ェのかよ…」ブツブツ

じゃん「じゃあ、おやすみな」

三人「おやすみ、じゃん。」



まるこ「……………」



まるこ「………」


まるこ「……(昔は……真反対だった…。僕は…僕らは、いつも泣き虫のじゃんを守って……)」






_________________回想 数年前




じゃん「うわぁああん!」

らいなー「また殴られたのか?」

じゃん「げ、げーむ、とられたぁあ…!」

べるとると「また…よく来るあのいじめっ子?」

まるこ「じゃん、泣いてちゃだめだぞ!ほら、僕らがいっしょに行ってあげるから。取返しに行こう!」

じゃん「う"ん…!!」




まるこ(僕ら三人はいつもじゃんをいじめっ子から守っていた。)


まるこ(じゃんは、いつも泣いてばかりで…同い年なのに、まるで僕らはお兄ちゃんだった。)


まるこ(小学生の高学年になって、じゃんも泣く回数が減って来た。それでも、よくいじめられていて…じゃんは、いい子だった。)


らいなー「今日は何して遊ぶ?」

べるとると「カードゲームしようよ…この間の」

まるこ「いいね、面白そうだ!」

じゃん「あー…悪い、今日母ちゃんが風邪ひいちまっててさ。家帰って飯作ってやらねえとなんだ…」

まるこ「えっ。おばさん大丈夫?」

らいなー「つうかじゃん、お前……いいやつだよなぁ」

べるとると「どうしていじめられるんだろうね」

じゃん「う、うっせーよ!ばか!これでも最近鍛えてんだからな!!」

まるこ「あはは!」

じゃん「笑うんじゃねぇよ、まるこ!!」



まるこ(じゃんは、本当に模範的ないい子だった……と、思う。あのころからちょっと、口は悪かったけど…)


まるこ(中学生になって半ば……僕たちに、大きな変化があった。らいなーとべるとるとは、親に大学を決められて…遊ぶ暇なんてないと、強く言われたらしい。僕も、政治家になりやすいような頭のいい大学をいくつか挙げられて、そこに行くことを強制された。)



まるこ(それを、じゃんに伝えたら…あいつは、笑いながら、すごいな!って……)


まるこ(そして、あの事件だ……あの事件から、僕らの関係性は、大きく崩れた。)


まるこ(あれは、高校にはいってすぐの事だ…校舎裏で、知らない生徒がいじめられてて……)






じゃん「何してんだオメーら」

不良「あ?なんだオメーら」

らいなー「複数で弱い者いじめか?感心しないな」

不良「うるせぇなぁ、じゃあお前がやるか?サンドバッグ。」

べるとると「…らいなーは、強いよ。」

じゃん「力の差も見てわからねぇのかよ…」

まるこ「うわ、いじめられてるの中等部の子だよ…ほら、もう行っていいから。」

不良「おいおい何勝手に獲物逃してくれてんだ!」


まるこ(お決まりみたいなやり取りをして、僕らは不良グループ六人と喧嘩した…)


まるこ(その時はもう、じゃんもだいぶ強くて…戦力だった。)

まるこ(決着は、僕らの勝ちでついた。動けなくなった不良生徒のうち、一人は殴り飛ばされたときにやってしまったのか、骨が折れてた。)

まるこ(投げたのはらいなーだった。らいなーは、人の骨を折ったということに焦ってた。)

まるこ(そして、じゃんがいきなり僕らを殴った。理由は、僕らにはすぐわかった。)


まるこ(先生が駆け付けた時、立っていたのはじゃんだけだった。)



じゃん「俺がやりました。」


まるこ(じゃんは、1週間の停学処分を受けた。骨の折れた子は自主退学をした。それから、寮の室内でじゃんは謝り倒すらいなーと、僕たちに言った。)



じゃん「今後お前らに降りかかる喧嘩とか、全部俺が相手する。お前ら良い学校行くんだろ。じゃあ、喧嘩なんてすんなよ。絶対だ。何があっても、手出すな。絶対俺を呼べ。」

らいなー「で、でも、それじゃお前の進路は…」


じゃん「昔助けてもらった恩返しだ、それに…俺は別に馬鹿大学に行ってもかまわねえし、何なら高卒で働いたっていいんだよ。」


べるとると「君一人で、全員を相手にするの?」


じゃん「なんだよ、俺には出来ねえってか?わかった、今後俺が負けたらお前らは好きにしていいぜ。その代わり俺が負けるまでは約束は守ってもらう。」


まるこ「じゃん…どうして、そこまで…」


じゃん「はっ、知るかよ。強いて言うなら、俺は勉強漬けの日々は御免なんだよ。嫌われたほうが楽だ。それに、あの喧嘩はでかかった。お前らは間違いなく逆恨みされる。俺が居ねえと、お前ら良い大学いけねえだろ。でも、そうだな…俺が落ちぶれたら、お前らが養ってくれよ。なーんて…」


まるこ(じゃんは冗談を言って、そのまま寝てしまった。ただ、僕はらいなーとべるとるとがそれを冗談だと捉えていないと、顔を見てすぐにわかってしまった。)


まるこ(二人は、ああそんな名案があったのか、何て天才なんだろうこいつはって顔をして、目を輝かせていたんだ…)


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