兄(僕も今年で20歳…、彼女いない歴=年齢なわけだが)
兄(いい加減彼女欲しいよ。でも告っても知り合いの女は全敗だし…)
兄(最後の手段だ。片っ端からナンパしてみよう)
―街―
兄(街へ繰り出してみたものの、やはり勇気がいるよな)
兄(声をかけようと思っても脚がすくんじゃうんだだよなぁ。やっぱり止めようかな)
兄(お、めちゃくちゃ可愛い娘が歩いてくる。でも振られるのがオチだろうなぁ)
兄(いや、当たって砕けろだ)
兄(人生初のナンパだぜ)
兄「あ、あの…」
「はい?」
兄「こ、ここ、こここ、ここここんこん」
「?」
兄「こんにちは!」
「こんにちは」
兄「い、いいい、今お一人ですか?」
「はい、一人ですけど?」
兄「ああの、もしよろしければ僕と食事しませんか?」
「はい喜んで!」
兄「へ? ほ、本当にいいんですか?」
「もちろんですよ」
兄「あ、ありがとうございます! まさかOKしてくれるなんて。夢みたいだな」
「ぷっ」
兄「…何か?」
妹だった
>>6
使わせてもらう
妹「お兄ちゃん私よ、わ・た・し」
兄「え!? あ、妹だったのか。全然解らなかったよ」
妹「ちょっとイメチェンしてみたの」
兄「驚いたな、これじゃ解らないよ。いつもはボーイッシュなヘアなのにいきなりロングだもんなぁ」
妹「ウイッグよ」
兄「そのスタイルよく似合ってるよ」
妹「ふふっ、そうかな」
兄「でもチャラい男にナンパされないように気をつけてね」
妹「うん解ってる」
兄「家には遅くならないうちに帰ってきなよ」
妹「待ってよ。一緒に食事するんじゃないの?」
兄「そりゃナンパに成功したらであって」
妹「成功したじゃない?」
兄「家族はノーカウントだよ」
妹「そんなこと言わないで、細かい事は気にしない。さ、行こう」
兄「いいのか僕で?」
妹「もちろん」
―ファミレス―
妹「ねぇ、いつもナンパしてるの?」
兄「さっきのが初めてだよ」
妹「だよね。すごく緊張してた」
兄「頭が真っ白になっちゃって足が震えたよ。何喋ったかあまり覚えてないんだ」
妹「お兄ちゃんにナンパされるなんて思ってもみなかったわ」
兄「なんかすまんな」
妹「ううん、ちょっと嬉しかった…」ボソ
兄「え?」
妹「何でもない」
妹「家に帰るまでは彼氏彼女ってことにしない? 初ナンパ成功の記念ってことで」
兄「まぁいいよそれでも」
妹「じゃ恋人同士だから、あーん」
兄「やめろよ人前で恥ずかしい///」
妹「いいからいいから」
兄「///」モグモグ
妹「おいしい?」
兄「おいしいけどナンパした女にいきなりあーんされるとは思わなかったぞ///」
兄「次はどこへ行こうか?」
妹「カラオケボックス行きたいな」
兄「オケ」
―カラオケボックス―
妹「♪無神経なタイミングで~ 降り出して街を濡らす雨~」
兄「イエーイ」
兄「♪ハァ~踊り踊るなら、チョイと東京音頭、ヨイヨイ」
妹「…」
妹「曲のTPOってものをさ…」
兄「ごめん」
妹「連絡先交換しようよ」
兄「は?」
妹「私ナンパされたのよ? 普通は連絡先とか知らないはずでしょ?」
妹「ほら、スマホの連絡先の私のデータいったん消して。私のも消すから」
兄「何だかなぁ」
妹「私の番号はね…」
妹「彼氏ができたらやってみたいことがあったの」
兄「どんなこと?」
妹「膝の上に座って歌うの。いいよね?」
兄「…今日だけだぞ」
妹「えへへ」
チョコン
兄「歌わないの?」
妹「ちょっと休憩」
妹「…」
妹「ねえ、あれ何?」
兄「ん?」
チュッ
兄「!?」
妹「あ、ファーストキス奪われちゃった///」
兄「なんか今日おかしいぞ。どうかしたのか?」
妹「今は恋人同士なのよ? これ位ならいいでしょ?」
兄「ここまでだからね。後は本当の彼氏とやるんだよ」
妹「分かってる」
兄「そろそろ帰らないか?」
妹「まだいいじゃない、お父さんとお母さん今日も遅くなるって言ってたよ」
兄「じゃあと30分な。…なあ、そろそろ降りてくれないか? 腿が痛いよ」
妹「やだ。30分くらい我慢してよ」
兄「全く…」
妹「カラオケ楽しかったね」
兄「楽しかったけど腿が痛いよ」
妹「ごめんね」
妹「夜なんだから家まで送ってよ」
兄「まだ恋人同士なの?」
妹「デートは帰るまでがデートなんだから」
兄「まぁ同じ家だしな」
妹「送ってくれてありがと。今度はいつ会えるの?」
兄「四六時中」
妹「そうじゃないでしょ?」
兄「すまん、君が呼べばいつでも」
妹「そうこなくちゃ」
兄「じゃ、また遊ぼうぜ」
妹「うん、バイバイ」
バタン
カチャ
兄「ただいまー」
妹「おかえり」
兄「もう兄妹に戻っていいかな?」
妹「う、うん…」
妹(はぁ…)
―夕食後―
兄(まさか初ナンパの相手が妹とは)
兄(可愛かったな。でも何でイメチェンしたんだろ?)
兄「何かあったのか?」
妹「何かって?」
兄「女がイメチェンする時は何かあった時だってネットで見たことがあってな。例えば彼氏に振られたとか」
妹「知りたい?」
兄「まぁ話したくないなら無理に聞かないけど」
妹「…」
妹「聞いてもらおうかな」
妹「自分を変えようと思ってたからなんだ」
兄「どんな風に?」
妹「私ね、好きになっちゃいけいない人を好きになっちゃって」
兄「それは辛いな」
妹「イメチェンすれば自分が変わって想いを断ち切れるかなって考えたんだけど」
妹「初日にいきなり裏目に出ちゃった…」
兄「どういう事だい?」
妹「…今日その人にナンパされちゃったの」
兄「…」
兄「は!?」
妹「買い物に行く時だったんだけど、声掛けられてびっくりしちゃった」
妹「その時にやっぱり私はお兄ちゃんしかいないんだなって思ったわ」
兄「…」
妹「私だってこのままじゃいけないって分かってるけど、想いを断ち切ろうとしたら食事に誘われちゃうし」
妹「辛いよ、一番近い男性なのに一番好きになっちゃいけないなんて」
兄「まいったな…」
兄「ちょっと散歩に行かないか?」
妹「いいけど」
兄(頭を冷やそう)
兄「…」
妹「…」
兄「僕たちは兄妹なんだぞ?」
妹「分かってる」
兄「もっといい男は沢山いるよ。1度や2度交際を申し込まれたこともあるでしょ?」
妹「あるけど断ったよ。ハートがイケメンの人がすぐ近くにいるから」
兄「これからもっとモテると思うけどな」
妹「だから好きな人に声掛けられたじゃない。結果的には大成功よ」
妹「なのにどうすることも出来ないなんて…」ジワッ
兄(結婚するまで僕が守るって決めてたけど、辛さを和らげてあげるのも「守る」ってことなのだろうか)
妹「私の気持ち、受け入れてくれるなら今ここで抱きしめてよ。ダメなら思いっきりひっぱたいて」
兄「…」
兄「そこの公園へ行こう」
兄「…」
妹「…」
兄「歯食いしばって」
妹「!?」
妹「…っ」ポロッ
兄「…」ギュ
妹「…え? え?」
兄「僕が妹を叩くわけないじゃん」ナデナデ
妹「もうバカぁ…」パシッ
兄「でも歯食いしばってて」ギューッ
妹「く、苦し…」
兄「実の兄を好きになった人にバカ呼ばわりされたくないよ」
妹「お互い様でしょ」
兄「自分で引き込んでおいてそりゃないんじゃない」
妹「苦しいからちょっと緩めて」
兄「ああごめん」
妹「緩めすぎ」
兄「へいへい」
兄「今日は可愛かったよ」
妹「これから女らしくするね。髪も伸ばすから」
兄「僕のためにありがとう」
妹「髪が早く伸びるようにおまじないかけてほしいなぁ」
兄「これでいいかな?」ナデナデ
妹「ふふっ」
兄「帰ろうか」
妹「うん」
兄「…」
妹「…」
兄「離してくれないかな…」
妹「もちょっと」
>>31の訂正 最下段
誤(結婚するまで僕が守るって
正(彼氏ができるまで僕が守るって
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません