鞠莉「未来から果南を助けにきたよ」 果南「え?」(100)

2017年 9月20日 16:00

学校

果南「今日はショップの仕事あるから先帰るね!」

ダイヤ「わかりましたわ」

鞠莉「果南goodbye!」

果南「ばいばい!」

千歌「よし、じゃあ練習再開しよ!」

ーーーーーーー

ーーー

船着場
水上バイク「キュルルル ビィーーーーーーン」

果南(今日の予約確認して……晩御飯は何にしようかなん♪なんてね)ビィーーーーーーン
 
バチバチバチバチ ビュイーーーーッ ザバーーーッ!!

果南「わっ!」ドボン

ブクブクブク………

果南「ぷはっ!」

果南(か…雷…?…)

???「oh…!アイムソーリー…怪我はない?」ヒョコッ

果南(今度はピンクのクルーザーから変な女が出てきた…)

果南「ちょっと…!学校の教材ごと海に落ちたじゃない!」

???「ごめーん果南…乾かせばなんとかなるっしょ♪」

果南「そういう問題じゃない…!だいたいあんなスピードだしたら…あれ?」

???「?」

果南「アンタなんで私の名前知ってんの」

鞠莉「まあまあ…それは後で話すから。果南の家でね」

果南「………このあと仕事あるんだけど…」

鞠莉「先行ってるねー」ビィーーーーーーン

果南「人の話聞かないし…なんなんだよ」ビィーーーーーーン

果南の家

???「おかえり」

果南「なんで家知ってんの…しかも勝手に上がり込んで…あんた誰…とにかく仕事終わったらすぐ追い返すから」

???「仕事ならキャンセルになると思うよ」

果南「…は?」

果南「…………キャンセルのメールが来てる…」

???「ね?」

果南「さてはアンタが予約したんだね!!冷やかしか!」グイッ

???「違うって…!じゃあ電話かけてみなよ!予約受けたとき番号聞くでしょ…」

果南「………」ピッピッピッ

果南「もしもし…予約いただいたんですが…あ……はい…そうですか……失礼します…」ガチャッ

???「ね?」

果南「…はーっ…とにかく帰ってくれない?あんた私の友達にすっごく似てるけどこんな憎ったらしくない」

???「まぁ…当たらずとも遠からず…かな?」

果南「………?」

???「私はね…小原鞠莉…12年後の未来から来たの…!」

果南「…………」

鞠莉(30)「小原家は2029年ついにタイムマシンを発明したわ…それに乗ってね」

果南「えーっと…1、1、0…と」

鞠莉「わーーーーっ!通報しないで」ガシャン

果南「そんな話信じられるわけないでしょ!」

鞠莉「分かった分かった…これ私の免許証…交付日が未来の日付になってるでしょ?」

果南「偽造かもしれない」ジロッ

鞠莉「じゃあこれ…未来から持ってきた缶ビール…ア○ヒスーパードライ。製造年が2029年」

果南「飲酒でクルーザー運転してんの?」ギロッ

鞠莉「違う!!今日の夜飲もうと思ってたの!!」バンッ

果南「なんかのイベント用かもしれない」ギロッ

鞠莉「じゃあこの未来から持ってきた静岡新聞…これも日付が2029年9月20日でしょ?」

果南「あんた暇だねー…新聞まで作っちゃって」

鞠莉「あーもーホント腹立つコイツ!!」ビシッ

果南「あんたが勝手に突っ込んできてイライラしてるだけじゃん」

鞠莉「とにかく私は2029年からきた鞠莉なんだってば!!30歳!」

果南「分かった分かった…」

鞠莉「果南……!」

果南「いい精神病院探してあげる」ピッピッピッ

鞠莉「だーーーやめてー!!!」ガシャン

果南「とにかく…もう帰って!…私の友達の名前勝手に使わないでよね!」テクテク………バタン

鞠莉「待ってよ果南!!小学校で転校してきたとき初めて友達になったのが果南とダイヤだった…!…初めてハグしてくれたときも嬉しかったしスクールアイドルやって失敗もして…」

果南「……」

鞠莉「果南の弱点だって知ってるよ!怖いのがダメ!!二年ぶりに会った果南は冷たくてムカついたけどあとからそれが私のためだって分かって嬉しかったし怒れたし……仲直りできてアクアでまたスクールアイドル始められたのに………なのに……」

ガチャッ

鞠莉「……?」

果南「本当に…鞠莉……?」

鞠莉「……」コクン

果南「全く……小原家って一体…」

鞠莉「信じてくれたのね!かなーーん」スリスリ

果南「うう…で…なんで来たの…てかどうやって…」

鞠莉「そうね…ま、乗ってみよっか…ついてきて」トコトコ

果南「………」トコトコ

船着場

果南「もしかしてこのクルーザーがタイムマシン…」

鞠莉「イェース!…操作方法説明するね」

果南「うん」

鞠莉「まず…タイムカイロのスイッチレバーを上げてオン!」ガチャッ

鞠莉「これが最後にタイムトラベルした年月日」

果南「2029年9月20日…」

鞠莉「そして行きたい年月日と時間を打ち込む!」ピッピッピッ

果南「へー…」

鞠莉「そうね、私達が初めてしゃべったあの日にしよ…2007年…」ピッピッピッ

果南「覚えてるんだ…」

鞠莉「よし…じゃあいくよ…見てて」ビィーーーーーーン  バチバチバチバチ

ビュイーーーーッ

ーーーーーーーー

2007年

バチバチバチバチ ザバーーーッ

鞠莉「着いた…」

果南「……あんま景色変わってないけど」

鞠莉「海の上だからね…陸に上がってみよっか」

ーーーーーーーー

果南「たしかに…内浦の面影はあるけどやっぱ違うね…」

鞠莉「10年経てば結構変わるものよ…私にとっては22年だけどね」

果南「あーおばさんだもんね」

鞠莉「おばさんって言わない!」

ドカッ

鞠莉「あっ」

少女「ピギヤッ!!!」ドテッ

果南「あー…」

少女「うゆ…うえっ…ピギャーーーーーーーーー!!!!」

果南「あーあ…泣かした」

鞠莉「ええっと…」オロオロ

???「ダイヤー!どうしたのー?」タッタッ

鞠莉「!」

果南「え?じゃあこの子は昔のダイヤ…」

鞠莉「逃げるわよ!」ガシッ

果南「ええー?」タッタッタッタッ

ーーーーーーー  

鞠莉「ハァハァハァハァ…30代に全力疾走はベリィハード…」

果南「全くー…ぶつかっといてなんで逃げるのさ」

鞠莉「あの子は多分過去のダイヤでしょ…それでこっちに走ってきたのはこの時代の果南よ…」

果南「過去の…私…」

鞠莉「いい果南…この時代には子供の頃の果南と今の果南…二人いるのよ…」

果南「あー…なるほど…」

鞠莉「私だって二人いるわ…」

果南「昔の自分に会えるなんておもしろそ!そーだ高校上がったら素直にぶつかれって教えてきてあげよ!」タッタッ

鞠莉「っだめだってばー!」ガシッ ズルズルズル

果南「なんでよー…」

鞠莉「過去や未来の自分に会ったり話したらだめなのよ…!タイムパラダイスが起こるわ…」

果南「パラドックス(矛盾)でしょ…なんで英語を間違えんのさ」

鞠莉「そ、そうだった…とにかく会ったらだめ!話もね!」

果南「なーんだ…残念」

鞠莉「まだタイムマシンが発明されてそこまで時間がたってないからね…ほんの些細なことが未来にどんな影響があるか分からないの」

果南「そうか…歴史を変えることになっちゃうんだね」

鞠莉「最悪…歴史を変えてしまうと自分が存在しないことになるかもしれないよ…?」

果南「え…どういうこと…」

鞠莉「例えば…例えばね?もしあそこで過去の果南の行動を変えてしまったとする…」

果南「う、うん…」

鞠莉「それが色々な事象に影響して…あそこでもし私と果南が会わなかったら…」

果南「会わなかったら…?」

鞠莉「今ここにいる私は消えることになる…」

果南「消える…??」

鞠莉「そう…つまり会ってないんだから全く別の小原鞠莉って人が存在することになると思うの…」

果南「………」ゾクッ

鞠莉「あのハグ事件はまだ起こってないんだからその可能性はあるわ…」

果南「ハグ事件って…」

鞠莉「これでタイムトラベルが危険ってことは分かったでしょ…2017年に帰ろ」トコトコ

果南「ヘビーなことになったねー」トコトコ

ーーーーーーー
船着場

果南「あのさぁ」

鞠莉「なぁに?」

果南「クルーザーがタイムマシンなんだよね…?なんでこんな派手なピンクにしたの」

鞠莉「どーせ作るなら可愛くてシャイニーな方が良くない?」

果南「全然よくわかんない」

鞠莉「いーのいーの」

果南「原理どうなってるのこれ」

鞠莉「次元転移装置の電源をオンにしてから47ノットスピードを出せばタイムトラベルが行えるわ」

果南「47ノット…約85キロか速いね」

鞠莉「因みに次元転移装置のエネルギーは電力だけど普通のバッテリーじゃあ追いつかなくてね」

鞠莉「んー難しいけど核エネルギーよ…と言ってもゴミからね」

果南「??????」

鞠莉「意味分かってなさそうね…簡単に言うと空き缶でも空き箱でもゴミを分子レベルで分解してエネルギーとして利用できるのよ」

果南「じゃあ次元転移装置はゴミが燃料なんだね」

鞠莉「そゆこと。さ、帰るよ」

ーーーーーーーー

バチバチバチバチ ザバーッ

鞠莉「2017年に戻ってきたよ」

果南「本物だったんだね…これ」

鞠莉「まあね…プロジェクトはパパ… 先代が初めてから約30年もの月日を経て完成したのよ」

果南「先代…?鞠莉のお父さんが先代なら今の小原家は…?」

鞠莉「……私がCEO」

果南「!」

鞠莉「私が結婚しないから跡取りがねテヘペロ」

果南「鞠莉…いったい何しに過去へ来たの…過去の自分に会うリスクを抱えてまでなんできたの?」

鞠莉「今夜すべて話すよ…果南」
 
果南「………」

ーーーーーーーーーー

午後7時 果南宅

鞠莉「ふーお風呂気持ちよかったー!」

果南「早速話聞かせてもらうよ」

鞠莉「そう焦らない~果南もビール飲む?」プシュッ

果南「未成年だし。てか鞠莉ビール飲むんだね…高そうなワイン飲んでるかと思った」

鞠莉「そうだったね…ビールはちかっちに勧められて好きになった………未来でね」

果南「千歌ビール飲んでるんだ…似合いそう」クスクス

鞠莉「…………」

果南「そうだ未来の話聞かせてよ!どーなってるのかな~私!」

鞠莉「果南…」

果南「ウチのショップ大きくなってるかな!曜はフェリーで旅行に連れてってくれてるかな…!千歌は旅館で元スクールアイドルの美人女将に落ち着いてたりね!てかラブライブはどうなった」

鞠莉「果南!!!」

果南「!!」ビクッ

鞠莉「私は……私は未来から果南を助けに来たのよ」

果南「……え?」

鞠莉「果南は一週間後…9月27日に死んじゃうのよ…」

果南「……………」

鞠莉「27日果南は…アクアの皆と船上バイキングに行く…その時船が火事になるの」

果南「………確かに行くことになってる………それで?」

鞠莉「アクアの皆を救命ボートに
乗せる誘導をしてた果南は乗り遅れちゃう…」

果南「なるほどね…」

鞠莉「そこからは私も救命ボートにいたから詳しくはわからない。けど次の日果南は水死体で見つかったわ…多分迫る火の手から逃れようと海に飛び込んだんだろうってのが警察の見解」

果南「そうするかもね」

鞠莉「けどかなり沖のほうだったし海流も荒くてきっと力尽きちゃったのね」

果南「確かに…服も着てるし私でも溺れちゃうかもね」

鞠莉「だから…ね?助けにきたの」

果南「そっか…でもそれが私の運命なら受け入れるよ」

鞠莉「はぁ!?だめよ果南!」

果南「アクアのみんなを助けられて海で死ねるならそれもまーいっかなーって…」

鞠莉「そんなことはゼッタイさせない!」

果南「鞠莉……タイムマシンで未来の歴史をねじ曲げることって…本当にいい事だと思う?」

鞠莉「…良い悪いとかどーでもいいの…」

果南「鞠莉…」

鞠莉「アクアの皆を救わなきゃいけないの私は…そのために…」

果南「みんな?」

鞠莉「……」

果南「待ってよ鞠莉…みんなってどういうことよ?私だけなんでしょう死んだのは?」

鞠莉「…………」

果南「鞠莉!」

鞠莉「ちかっちは…捕まった。曜は船と運命を共に。ダイヤは気をおかしくして薬物のオーバードーズで死んじゃった。みんな……いなくなっちゃった…」

果南「はぁ?全然意味わかんないんだけど」

鞠莉「事故から5年立ったときみんなやっと傷も癒えてお酒でも飲もうってなった」

果南「………」

鞠莉「けどお酒を飲んで酔ってきたルビィは果南が死んだのは自分のせいだって言い出したの…言わなくてもいいことを」

果南「なんでよ」

鞠莉「なんでも自分が救命ボートに乗り込むときに怖がってモタついたからサポートした果南が逃げ遅れたんじゃないかって…」

果南「そんなの誰のせいでもないよ」

鞠莉「ずっと自分を責め続けてたのね…お酒の勢いでルビィは告白した。けど真相を知ってやっと癒えてきた心の傷がひらいちゃったのね」

鞠莉「ちかっちはある日ルビィを殺しちゃったの」

果南「そんなの…」

鞠莉「果南と妹を失ったダイヤは薬物に依存しちゃってね…美しかったダイヤの面影は最期なかったわね」

果南「………曜は?」

鞠莉「船上バイキングを主催した会社は結局倒産しないでまだ会社が続いてたのよ。事故なんてなかったかのように」

果南「それとこれとなんの関係が…」

鞠莉「それが許せなかったのか曜がフェリーで特攻したの。まあテロみたいなもんね」

果南「そんなの逆恨みじゃ…」

鞠莉「………みんな果南が死んでからおかしくなってっちゃったのよ…結局特攻されたバイキング船も曜のフェリーも沈没」

果南「そんな…」

鞠莉「だから私は小原家のプロジェクトに携わってタイムマシンの開発を待ってついにきたのよ…みんなを助けにね」

果南「わかったよ…鞠莉」

鞠莉「…」

果南「12年間よく頑張ったね。未来の私を…みんなを救おう!」

鞠莉「…果南…!」

果南「で……どうする?」

鞠莉「果南が船上パーティーに行かなければいーの」

果南「……断ろうか?」

鞠莉「ただ前も言ったようにタイムトラベルについてまだ何もわかってない…だから今後の行動がどう影響するかはわからないわ」

果南「じゃあ行ったとしてもそのときの行動次第で未来は変わるってこと?」

鞠莉「うん…そう思う」

果南「仮にあたしが行かなかったとしても火災が起こるなら他のメンバーが…」

鞠莉「………ありえる」

果南「それはそれで…」

鞠莉「分かった、じゃあ果南は予定どおり参加する。それで私も参加するわ」

果南「…確かにできるけど…ああいうのって名前と身分証明書ほしいじゃん?事故したとき誰がいないのかわかるように」

鞠莉「………」

果南「小原鞠莉が二人乗ることになるよ?」

鞠莉「大丈夫いろんな時代に行くってことは当然自分が二人いる可能性でてくるってことも想定済み」ゴソゴソ
 
果南「…?」

鞠莉「生年月日と名前が違う免許証何枚か持ってきたよ」

果南「………結局偽造してるじゃん


鞠莉「有印文書偽造だっけな…?まあ堅いこと言わないのこの際」

果南「ジョークじゃすまないよ」

鞠莉「この時代の小原鞠莉としては発行が平成28年の20歳でいこ」

果南「30のくせに…」

鞠莉「……20歳で通るかな」
 
果南「まあ通るんじゃない…ちょっと老けてる20歳たくさんいるし」

鞠莉「老けてるって…」

果南「じゃあ一週間後の船に私は予定通り、鞠莉も参加して救うってことでいいね!」

鞠莉「どうなるかは当日にならないと分からないから…できれば出火することを防ぎたいけど」

果南「そうだね…」

鞠莉「よし」スクッ

果南「どこ行くの?」

鞠莉「話まとまったしシャンパン でも買って宴といきましょ!」

果南「………」

ーーーーーーーーー

2017年10月21日 朝

チュンチュン…

鞠莉「スースー…」

鞠莉「んん…寒…あれ?」

鞠莉「あーそっか果南の家で寝たんだった…え…?」

鞠莉「ここテラスじゃん…なんで外にいるんだろ」

ガラッ

果南「おはよ、おきた?」

鞠莉「なんでこんなとこにいるの私」

果南「自分が酔っ払って出てったんじゃん」

鞠莉「ジョーク?」

果南「いいから早く中入りなよ」

鞠莉「よいしょ…果南学校は?」

果南「ご飯食べたら行くよ」
 
鞠莉「えーじゃあマリーひとり?」

果南「マリーは二人いるよ」

鞠莉「いやそういうことじゃない」

果南「しょーがないじゃん。鞠莉が学校来るわけには行かないでしょー」

鞠莉「確かに」

17:00 学校

千歌「じゃ、今日はこれでおしまい!」

バイバーイ ワイワイ ヨハネ!

果南(鞠莉何してるかな)

鞠莉「チャオ!果南何か考え事してるでしょー!」

果南「何にも考えてないよー(鞠莉が二人って何か変)」

鞠莉「そう?マリーの思い過ごしー?」

果南「未来で分かるよ」ボソッ

鞠莉「え?」

果南「なんでもない!じゃ、また明日ね!」タッタッ

鞠莉「…………」

鞠莉「なんか私のfutureに関係あるのかしら?」

果南「ただいまー…」

鞠莉「おかえり果南」

果南「このたくさんの新聞は?」

鞠莉「一回未来に帰って持ってきたのよ、事故の詳細を少しでも知ろうと思って」

果南「資料集めね」

鞠莉「それから静岡県警のメインコンピュータにハッキングして当時の捜査資料もダウンロードしてきた」カタカタ

果南「…鞠莉犯罪やらかし過ぎ。てかそんな簡単にハッキングできるもんなの?」

鞠莉「小原家だからね」

果南「答えになってないし」

鞠莉「うーんだめだ…船が沈没して捜査の手がかりが残ってないみたい」

果南「…なんか妙だね」

鞠莉「?」

果南「乗務員全員死亡…それから乗客も何人か死んでてそれで船の引き上げすらしないって」

鞠莉「……まあね」

果南「ねぇ鞠莉」

鞠莉「……うん」

果南「事件の真相ってもっと意外なんじゃないかって…そう思うんだ」

鞠莉「怪しいスメルがプンプンするね」

果南「もしかして」

鞠莉「警察組織の上層部が黒幕で意図的に起こされた事件」

果南「……」

鞠莉「ま、わかんないや。本当に事故なのかもしれないし…私の目的はアクアのメンバーを救うことだから」

果南「鞠莉…」

鞠莉「よし、段取りを説明するわ」スッ

果南「おっけい」

鞠莉「記事によると原因不明の火災が13:40分に発生。ここで船内はパニックに。乗務員が非常用ボートを降ろしたのが14:00だね」

果南「ここまでは割りとスピーディーだね」

鞠莉「アクアメンバーが救命ボートに乗った時間は分からないけど救命ボートが降りたら即座に私と果南でルビィをマークする」

果南「分かった」

鞠莉「見つけたら果南はそのままアクアを連れて救命ボートに行って」

果南「鞠莉は?」

鞠莉「私がルビィを助けに行くわ」

果南「それじゃ鞠莉が死んじゃうんじゃ…?」

鞠莉「だから事前にマークするのよ…どこにいるか分かれば間に合うと思うの」

果南「…確かにね」

鞠莉「これを用意したわ」ガチャ

果南「トランシーバー?」

鞠莉「そ。片耳にイヤホンしてて」

果南「なるほどね」

鞠莉「アクアのみんながいる中私達が直接会話するわけにはいかないしね」

果南「そうだね」

鞠莉「助けだしたらトランシーバーで呼ぶからルビィを受け渡す。そして私と果南が別々のボートに乗って脱出する」

果南「完璧だね」
 
鞠莉「大丈夫……きっと上手くいくよ」

果南「ふふっ…信じてるよ」

ーーーーーーー

9月27日 13:00 

出火まで約40分

千歌「すごーーーい!おいしそー!!」

花丸「食べ物たくさんずらー!!!」

果南(出火まで40分…鞠莉はどこに…?)

鞠莉「かなーん!食べ物とりにいこー!」

果南「う、うん!おっけー」

ピピッ

果南(来た!)

鞠莉(30)『果南、聞こえる?』

果南「聞こえるよ」ボソッ

ーーーーーーー

9月27日 13:00 

出火まで約40分

千歌「すごーーーい!おいしそー!!」

花丸「食べ物たくさんずらー!!!」

果南(出火まで40分…鞠莉はどこに…?)

鞠莉「かなーん!食べ物とりにいこー!」

果南「う、うん!おっけー」

ピピッ

果南(来た!)

鞠莉(30)『果南、聞こえる?』

果南「聞こえるよ」ボソッ

鞠莉『なるべく非常口に近い席で待機してて…残り15分になったらルビィをマーク』

果南「了解」ボソッ

善子「誰と喋ってるのよ」

果南「どぅわ!!」

善子「まさか天界の声がついに…!」

果南「なんでもないよ!早く席とっちゃお!」

善子「変な人ー」

花丸「善子ちゃんに言われたくないずら」

ーーーーーー

13:20 出火まであと20分

鞠莉(今のところまだ何も起こってない…)

ピピッ

鞠莉「…どうかした?」

果南『ルビィがトイレに向かったよ』

鞠莉「おっけい」チラッ

ルビィ「♪~」テクテク

ーーーーーーー

鞠莉「これもこれもおいしー!」パクパク

果南「太るよー」

鞠莉「おいしーんだもん」

ピピッ

鞠莉『ルビィが戻ったよ』

果南「………」チラッ

ルビィ「迷うなー…何食べよ」

千歌「こんなに美味しい食材食べ放題なのに一人会費5000円で大丈夫なの?」

鞠莉「大丈夫らしいよ?」

ダイヤ「なぜですの?」 

曜「チケット5000円で買わない?って言ったの鞠莉ちゃんだよね?もしかして足りない分鞠莉ちゃんが払ってくれてるとか…?」

ダイヤ「!!…ホントですの?」

鞠莉「ノンノン…この船上バイキングの会社は小原家の系列だから割引ではいれちゃったの」

果南「!!!!!」

果南(どういうこと…この船…小原家が関与してる…?)

ーーーーーーー

そして…

        ー13:40ー

ジリリリリリリ!!!!

果南(来た…)

千歌「何!」

ダイヤ「火災報知器…?」

放送「ただ今船内で火災が発生しました。救命ボートをおろします。係員の指示に従ってすぐに避難してください」

果南「ルビィ!」

ルビィ「うぇ…はい…」

果南(よし、このまま段取り通りに…)

果南「離れないで、いくよ」

ピピッ

果南「鞠莉…避難するわ。ルビィはここに居る」ボソッ

鞠莉『分かった』

ワーワー! ハヤクニゲロ! ケムリダ!

係員「皆さん落ち着いて!こちらへ!」

ルビィ「あっ…」

果南「なっ…なに?」

ルビィ「梨子ちゃんから貰ったシュシュ…さっきの人混みで落としちゃったみたい」

果南(ルビィ…それを取りに戻ったんだね…)

ルビィ「さっきまであったんだもん!きっとすぐこの辺に!」ダッ

果南「ルビィ!」ダッ

ルビィ「え?」

バチィィン!!

梨子「ちょっと…」

ダイヤ「……」

ルビィ「痛い…何するの…………」

ルビィ「果南ちゃん…」

果南「……逃げるよ。梨子には申し訳ないけど」

ダイヤ「………ルビィ、果南さんの言うとおりですわ」

千歌「果南ちゃん…なんか怖いよ…」

果南「グズグズ言ってないで逃げるよ!」

ルビィ「うん…」

花丸「………」

鞠莉「大丈夫。生きて帰ったらまたみんなでおそろいのもの買いましょ」ニコッ

ルビィ「………」グスッ

果南(ごめんねルビィ…)

ーーーーーーー

救命ボート

果南「ルビィ、ほら捕まって」

ルビィ「うん」グッ

果南「よし…これでひとまず…」

ルビィ「……いない」

果南「え?」

ルビィ「花丸ちゃんがいない!」

善子「ズラ丸!?さっきまで居たのに…」

曜「ルビィちゃんのシュシュ…取りに行ったんじゃ…」

果南「………」

果南(マズい…ルビィを助けたら今度は…)

果南「ちょっと探してくる!」ダッ

ダイヤ「危ないですわ!防火扉がもう閉じているかもし」

果南「うるさい!」ダッダッ

ダイヤ「……果南さん…」

千歌「なんか今日の果南ちゃんイライラしてるなー…こういうときこそ果南ちゃんなら落ち着いて避難できそうなのに」

鞠莉「…………」

ーーーーーーーー

船内

ピピッ

果南「鞠莉!ルビィは避難させたけど今度は」

鞠莉『花丸でしょ?』

果南「なっ…知ってるの?」

鞠莉『もう外まで連れてったから大丈夫。果南はアクアと合流して』

果南「良かった…鞠莉はどこにいるの?大丈夫なの?」

鞠莉『大丈夫、あとで落ち合いましょ』プツッ

果南「ふーっよかった…じゃあ戻らないと…まだ避難できてない人が多くて混むだろうし」ダッ


ドカーーーーーン!!!

グラッ

果南「うわっ」ドテッ

果南「…爆発?」

果南(燃料タンクに引火したかな…これはホントにヤバイ…」ダッダッ

果南「くっ」グラッ  ゴンッ!!

果南(倒れた拍子に頭打った…痛い…ヤバイめまいが………)ドタッ

ガシッ

果南「…え?」ボーッ

鞠莉「やっとみつけた」

果南「鞠莉……こんなとこで…………何やってるの………(こっちは現代の鞠莉か…)」

鞠莉「今日の果南変だったからね。おかしなActionするんじゃないかって思ったのデース!」

果南「全く…」

鞠莉「さ、早く救命ボートに戻ろ…立てる?肩かすよ」


果南「ありがとう…」ヨロッ

ーーーーーーー

救命ボート

タッタッ

ダイヤ「果南さん!鞠莉さん!」

果南「はぁ…ごめんダイヤ」

ダイヤ「全くですわ…鞠莉さんも急にボートを降りて船に戻るし…」

鞠莉「イッツジョーク♪」

ダイヤ「死んでいたらジョークじゃ済まされないですわ!!!」

果南(そうか…今日この事件が起こるって私が分かってたから…)チラッ

ダイヤ「だいたいアナタはいつも身勝手な行動を…!」ガミガミ

鞠莉「鼻息がベリィハード」

果南(私の異変に鞠莉がすぐに気付いて助かったってわけだね…)

果南「…花丸は?」

ダイヤ「ええ…綺麗な女の方が背負って来てくださいましたわ」

果南(鞠莉…)

ーーーーーーー
果南が飛び出した直後

鞠莉「ちょっと私も行ってくるね」ダッ

ダイヤ「ちょ、鞠莉さん!!」

鞠莉「もう後悔したくないの」ニコッ

ダイヤ「もうホントに…」

女性「エクスキューズミー、この子救命ボートに乗せてくれる?」

ダイヤ「はい…?は、花丸さん!」

女性「少し煙吸い込んじゃって気絶してるけどすぐに外に出したから大丈夫だと思うよ」

ダイヤ「そうですか…ありがとうございます、あの!よろしければお名前教えていただけませんか!」

女性「気にしなくていいわ。お互い仲間を守りましょ」

ダイヤ「は、はぁ…」

女性「じゃ、またどこかでね」

ダイヤ「あ、あの!ここから飛び出していった金髪の女の子止めてください!」

女性「まああの子なら大丈夫よ…じゃあね」タッタッ

ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

ダイヤ「そしたらあなた達がすぐ帰ってきたのですわ…もうホントに危ない真似は…」

鞠莉「グレェイトな女の人ね」

果南(鞠莉…)

ダイヤ「でも…なぜか何年も前から知ってるような…懐かしいような…そんな気持ちがしたんですわ…

 
果南「………そっか」

果南(とりあえずこれで全員…あとは陸で鞠莉と連絡取るか…」

ーーーーーーーーー

船内

ガチャ

???「who? ……誰だ」

鞠莉「あなたがこの事件の黒幕ですね…」

???「…………」

鞠莉「小原CEO」

父「……なんのことだかわからんね…そもそも君は誰かな?」

鞠莉「訳あって名乗れないけど…真相を話させてもらおうと思ってね」

父「………」

鞠莉(…嘘っていってよ…パパ。)

鞠莉「今、小原家は社運をかけた事業に失敗し多額の負債を抱えてるわね?」

父「ほう…そのことは小原家でも一部の人間しか知らないはずだが」

鞠莉「……負債を抱えた小原家を手っ取り早く立て直すためにあなたはこの事件を仕組んだ」

父「……」

鞠莉「火災に見せかけて船を沈め…多額の保険金を得る…」

父「よくできた妄想だ」

鞠莉「今考えればおかしな点はたくさんあるわ。まず火災から係員の手際があまりにも良すぎる。そして乗船する人数よりかなり余裕をもたせた数ある救命ボート…」

父「災害に備えることは当然のことだ」

鞠莉「一番変なのは火災が発生してから爆発したことかな…」

父「……」

鞠莉「この船の設計図…」パラッ

父「!!…馬鹿な…それは私の書斎にあるんだぞ…」ハッ

鞠莉「…………この船の設計図からどう考えても火元のキッチンと燃料タンクの位置が遠すぎる…タンクに火がまわるには早すぎる」

父「…………」

鞠莉「あなたは船を沈めることで証拠を消して権力で静岡県警上層部を買収してまで揉み消そうとしたのね」

父「お前いったい…」

鞠莉「あなたの娘も乗ってるわね…けどあなたは一人も犠牲者を出すつもりはない…」

父「………」

鞠莉「本当は火災なんて起きてないんだから!!」

父「!!!」

鞠莉「恐らく煙の匂いがするよう生成した催涙ガスを映画で使うような無害な煙と混ぜて充満させた…火災報知器との組み合わせで皆が火災が起きたと勘違いする」

父「……………」

鞠莉「そして全員が船外へ出た頃に爆弾を爆発させ船を沈める…火災なんて発生してないんだから誰も死なないしむしろ死亡者ゼロってことで小原家の株が上がるってわけね」

鞠莉(ま、本来はこの段階でルビィが防火扉に閉じ込められ果南が戻り…沈没の渦に巻き込まれるってアクシデントが起こったわけだけど…)

鞠莉「そして沈む直前にそこのモーターボートで脱出するってわけね」

父「お前…何者なんだ」

鞠莉「それは言えない…けど…もうやめて」

父「………」

鞠莉「みんなに…みんなに正直に話して…小原家を立て直しましょ…?こんな……こんなやり方間違ってる…」

父「もう引く訳にはいかない…それにお前にはどれだけ深刻なことかわかってない!!!」

鞠莉「………」

父「もう倒産寸前なんだ…家族を…社員を守るにはこうするしか…」ガクッ

鞠莉「………みんなを守りたい気持ちはすごく分かるわ」

父「……」

鞠莉「…けどね…やり直しのきかない人生なんてないわ…このままいったらきっと後悔するわよ…未来でね」

父「………」

鞠莉「どーんなみーらいかはー…だれーもまーだしーらない…でもー楽しくしたいほんとにー…」

父「………?」

鞠莉「アクアってスクールアイドルの曲」

父「…アクア……鞠莉……」

鞠莉「娘が廃校阻止しようと頑張ってるんだからさ……大丈夫…皆となら乗り越えられるよ…小原家の社員ならね」

父「……………そうだな」

鞠莉「……」

父「ありがとう…目が覚めたよ…ここを出たら自首する」

鞠莉「………うん」

父「少しだけ頼みを聞いてくれないか」

鞠莉「……何ですか」

父「この事を娘には黙っておきたいんだ。娘はスクールアイドルで今一番頑張ってる…そんな娘の邪魔をするわけにはいかないんだ」

鞠莉「………」

父「小原家は娘を跡継ぎにして…私は引退という形をとる」

鞠莉「………そうですか」

父「私は逮捕されるから…もうしばらく娘に合う訳にはいかない。………似てるんだ」

鞠莉「…?」

父「君はすごくうちの娘にそっくりなんだ…性格も…声も…だから…最後に私のことを呼んでくれないか…?…最後の頼みなんだ」

鞠莉「…………………………」

鞠莉「分かったよ……」



   





     鞠莉「……パパ。」

グラッ

ザバーーーッ  ゴゴゴゴ

鞠莉「!!!」

父「まずい!」

ザバーーーッ

鞠莉「………………………………」ブクブクブク

ガシッ  バシャッ

ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

果南の家

鞠莉「んん…」

果南「あ、起きたね」

鞠莉「あれ…ここは?」

果南「私の家」

鞠莉「んん…何があったの」

果南「そうだね…色々信じられないこと」

鞠莉「色々ありすぎるよ…今日何日?」

果南「9月29日」

鞠莉「29!?」ガバッ

果南「おっ」

鞠莉「2日も寝てたの」

果南「鞠莉の体感だと2時間かな」

鞠莉「……………全然意味分かんないんだけど」

果南「あのあと私達は無事脱出したよ」

鞠莉「アクアは?」

果南「全員助かった」

鞠莉「そっか…」

果南「昨日鞠莉が水死体で発見されたけどね」

鞠莉「そっかそっか……はぁ!?」

果南「ホント」

鞠莉「じゃあ全員助かってないじゃん」

果南「うーん…」

鞠莉「あれ…?でもこの時代の私が死んだら私も消えるはずなんだけどな」

果南「違う違う、死んだのは30歳の鞠莉。あと小原家のCEO」

鞠莉「………待って。頭の処理が追いつかない」

果南「二人の水死体が上がったんだよ…女性と男性の。一人は小原家のCEOって分かったけど女性は身元不明だった。まあこの時代の人じゃないんだから当然だけど」

鞠莉「当たり前のこと聞いていい?」

果南「どーぞ」

鞠莉「じゃあなんで私生きてるの」

果南「鈍いなぁ…私が助けに行ったんだよ。タイムマシンで一昨日の事故直後へ戻って」

鞠莉「…………」

ーーーーーーーー

昨日 午前11時

果南「…………そんな」

果南(あれから鞠莉と全然連絡が取れないと思ったら…死んだなんて…」

果南「新聞には……一人は小原家のCEO…と、身元不明の女性…」パラッ

果南(鞠莉は花丸を届けたあと逃げていない…何かあったんだ)

果南「そんな…どうすれば」

果南「!」

果南「そうだタイムマシンで昨日に戻って私が助けに行けば……!」

果南(きっと船内にいたんだ…事件の真相を探るために…!)ダッ

キュルキュル ブィーーーーン

果南「到着時刻は…14:00」ピッピッ

果南「そしてタイムカイロオン」ガチャン

果南(あとは加速するだけ…!)ビィーーーーーーン

   バチバチバチバチ ザバーン




10月27日 14:00

バチバチバチバチ ザバーン

果南「……!……あの船か」ビィーーーーーーン

救命ボート

ビィーーーーーーン! ザバァ

ダイヤ「!!…なんか凄い勢いでクルーザーが…」

善子「きっと時空を飛び越えて…」ギラン

ビィーーーーーーン

果南「船が沈没しかけてる…!!」

バシャッ

果南「船室から人が飛び降りた…?」

ビィーーーーーーン

ーーーーーーーー

鞠莉「………」

果南「ま、そんなわけで近づいたらおじさんが鞠莉を抱えて飛び込んだってわけよ。」

鞠莉「…パパ…」

果南「二人を乗せて陸までいったらおじさんは『その子にありがとうと伝えてくれ』っていってどっか行っちゃった」

鞠莉「そういうことね…」

果南「タイムマシンの使い方あたしに教えといてよかったね」

鞠莉「ほんとに…」

果南「あと鞠莉を連れてかえってきたら新聞の記事が変わったんだよ…死亡者ゼロに」

鞠莉「そっか…果南が助けてくれたことによって変わったのね」

果南「つぎ、鞠莉の番。一体何があったの」

鞠莉「うん…実は…」

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

果南「そっか…黒幕は鞠莉のお父さんだったんだ」

鞠莉「ある日いきなり引退する、時期CEOは鞠莉だって残していなくなっちゃったの。こういうことだったのね」

果南「未来の歴史はこれで変わってるはずだから未来へ帰ったら別かもね」

鞠莉「うん…きっと自首しなくても自分から失脚するつもりだったのね…本当はこんなこと間違ってるってわかってたんだ」

果南「未来ではどうだったの?」

鞠莉「さっき言った伝言からずーっと会ってない」

果南「そっか…未来へ戻ったら会えるといいね」

鞠莉「うん…」

果南「…………」

鞠莉「ま!暗い話はここまで!!作戦成功したんだし、未来へ帰る準備しよ」

果南「あ、そうそう沈没から助けたとき流れてきた船の残骸巻き込んじゃってさ、クランクシャフト壊れちゃったかもしれない」

鞠莉「………え?」

果南「エンジン載せ替えれば走れるようになるしタイムカイロは大丈夫だから」

鞠莉「…………あのクルーザーのエンジンは2029年に小原家の発明で作った最新のターボエンジン…この時代で載せれるエンジンじゃあの船の速度を海で47ノット出せないと思う……」

果南「…え」

鞠莉「タイムカイロが生きてても47ノット出せなければ帰れないわ…」

果南「そんな……」

ーーーーーーー

造船所

おじさん「47ノット出せるエンジン?」

鞠莉「そそ」

おじさん「うーん船の重さにもよるけど海で47ノットは無理じゃないかなぁ…そんな飛ばしてなにを捕まえるんだい?」

鞠莉「私スピード狂なのよ♡47ノット出すにはどうすれば良いかな?」

おじさん「んーそうだな…波が穏やかな湖面で一番馬力の強いエンジンのせてやればそれくらいは出るんじゃないかなぁ」

鞠莉「……わかったわ」

ーーーーーーー

果南の家

果南「で、どーするのよ」

鞠莉「んーアイディアはあるといえばあるわ」

果南「どんな」  

鞠莉「波の抵抗って思ったより強いからね…じゃあ波と同じ方向に走らせていけばそれくらい出るんじゃないかって」

果南「難しいと思うなー…海って必ずしも波の方向が一定じゃないし」

鞠莉「まあまあ、別に47ノット出るなら海じゃなくてもいいのよ?」

果南「……?」

鞠莉「river……川なら上流から下流に向かって走らせれば…この時代で載せられる一番パワーのあるエンジンに載せ替えてね」

果南「……なるほど…でもそれでもでるかなー…」

鞠莉「もちろん利用する力はこれだけじゃないよ?」

果南「え?」

鞠莉「見て、未来から持ち込んだ新聞」パラッ

果南「2017年10月1日…この時代のやつだ」

鞠莉「そ。これは本来果南が水死体で発見された記事が書かれてたからずっととっておいたの。いまは変わってるけどね」

果南「それがいったい…」

鞠莉「ここみて…台風が静岡県直撃…避難勧告発令」

果南「……まさか」

鞠莉「そう…1日に台風の影響で川が増水してかなりの濁流が起こる…いわゆる鉄砲水ね」

果南「………」

鞠莉「これを利用すれば47ノットでそうじゃない?」

果南「……危険すぎる」

鞠莉「けどそうするしか道はない…やるしかないよ。私はこの時代の人じゃないんだから」

果南「…………」

鞠莉「あと2日でエンジンを載せ替えて嵐の日に…川の上流からBack to the future!!」ビシッ

果南「どこの川…」

鞠莉「沼津といったら……駿河湾に流れ込む狩野川でしょ!!」

ちなみに≫1は静岡県民です

果南「狩野川か…なるほど」

鞠莉「ま、あとは駿河湾に突入する前に47ノットに達することを祈るだけね」

果南「海に入ったら絶対高波で転覆するね…本当に成功するかな……」

鞠莉「……成功させなきゃ」

ーーーーーー

9月30日 正午

鞠莉「あの造船所のおじさんに感謝しないとね…たった2日でエンジン載せてくれて」

果南「ほんとにね」

鞠莉「さ、じゃあ果南の家のクルーザーで牽引して上流に運んだら結んでおきましょ…台風が来る前にね」

果南「ちょっと風が強くなってきたからね」

鞠莉「そうそう、それから今日は沼津市内のホテル取るからそこで泊まるよ。果南もね」

果南「え?なんで?」

鞠莉「明日は海が荒れるから淡島から出るのは危険。果南連れてくのは最後の晩餐がしたいから♪」

果南「最後の晩餐て…成功したら未来で…」

鞠莉「果南はかわいいとこあるねー」

果南「うるさい!」

ーーーーーーーー

9月30日  夜 ホテル

鞠莉「なんだかんだ10日以上居座っちゃったねー」

果南「そうだね…ちょっと寂しいよ」

鞠莉「…久々に会えて嬉しかったよ」

果南「……鞠莉」

鞠莉「明日私はレンタルした車で上流に行ったらそのまま未来へ帰るから…果南はこの部屋に居てね」

果南「見送りは…?」

鞠莉「台風なんだからホテルのロビーまででいーよ……それに私が行ったあと帰れないでしょ運転できないんだから」

果南「偽造免許でレンタルしたくせに…車どうするの」

鞠莉「私が帰ったあと警察に電話入れて。不審な放置車両があるってね…返さないとレンタカーショップに申し訳ないし」

果南「ホント未来の鞠莉はすごいことやるよね」

鞠莉「大丈夫料金は前払いしてあるから」

果南「そういう問題?」

鞠莉「いーのいーの」

果南「全く…」

鞠莉「そうだお酒のも!」

果南「だから私まだ未成年だって…」

鞠莉「まあまあ…ほら私一回も果南と飲んだことないからさ」

果南「…………ちょっとだけだよ」

プシュッ

果南「うわぁ…苦い…」

鞠莉「まあいつかわかるよ」ゴクッゴクッ

果南「絶対にわかんないと思う」

鞠莉「こんなに美味しいのに」

果南「鞠莉はおばさんだからね」

鞠莉「おばさんっていうな!」

果南「あははは」

鞠莉「ふふっ…はははは」

ーーーーーーー

ーーーー

10月1日 午後5時

ホテル

鞠莉「じゃあ……行くね」

果南「鞠莉…」

鞠莉「未来でまた会おっか」

果南「ありがとうね…最初は全然わけわかんなかったけど…色々楽しかった」

鞠莉「果南…?」

果南「………」ギュッ!

鞠莉「か…果南?」

果南「未来で会ったらさ…こうやって……またハグしよ?」

鞠莉「…………約束ね」ギュッ

果南「なんでだろうね…こっちにはこっちの鞠莉がいるのに…すごく寂しい…」

鞠莉「私のほうが寂しいよ。12年ぶりだったからね」

果南「そうだよね…」

鞠莉「じゃあ、もういくね」

果南「うん…さよなら…未来の鞠莉」

鞠莉「さよならじゃなくて……またね、でしょ?」

果南「………」ジワッ

鞠莉「泣くの?」

果南「泣いてなんかないよ!……早く行きな」フン

鞠莉「じゃ、またね果南……未来でね」バタン

果南「…………」

ーーーーーーー

5:30 狩野川上流堤防

ブルルルルルル………キッ

バダン  ビュオーーーー

鞠莉「すごい風ね…」

鞠莉「船もすごい揺れる…」グラグラ

鞠莉「よし…目標時間セットして…」ピピピ

鞠莉(大丈夫………絶対成功する)

キュルルル ビィーーーーーーン

鞠莉「よし!!」ビィーーーーーーン

ーーーーーーー

テレビ「~続いてのニュースは~」

果南(何だろうこの虚無感)ボケー

テレビ「狩野川に掛かる御成橋が半分ほど決壊しました。消防本部は濁流により橋を支える支柱が崩れたためとの見解です。橋の修理にはもうしばらく掛かりそうな模様です」

果南「………」

果南「!!!」

果南(ヤバイ……このままじゃ鞠莉が下ってきたとき崩れた橋に激突する……)

果南「伝えなきゃ…鞠莉の携帯に…」スッ

果南「………ってこれじゃこの時代の鞠莉にしか繋がらない!」

果南「!……トランシーバーで…」ピピピ

果南「鞠莉!鞠莉!」

ーーーーーーー

ーーーー


鞠莉「………」ビィーーーーーーン…

トランシーバー『鞠莉…鞠莉…」

鞠莉「………」ビィーーーーーーン


ーーーーーーー

ーーーー

果南「エンジン音で聞こえないか…なんか伝える方法は………」

果南「………くっ」ダッ

ホテル  フロント

ダッダッ

果南「すいません懐中電灯貸してください!」

ホテルマン「は、はいどう」パシッ

果南(鞠莉…!)ダッダッ

ホテルマン「…………?」


ーーーーーーー

ビュオーーーー

果南「すごい風だ…」

果南「鞠莉…」ダッダッ

ビュオーーーー

果南「!」ドテッ

果南「いてて…」

ウー

果南「…?」

消防隊員「君大丈夫かい?なんで外にいるんだ?」

果南「いえ…もうすぐ家に帰るんで…」

消防隊員「橋も決壊してるしこんな時に外に出てはだめだろう」

果南「はい…すぐ帰ります」スクッ

消防隊員「危ないし助けがいるだろう?…すぐほかの隊員を呼ぶから…」

果南「大丈夫です!………私を助けられるのは鞠莉だけですっ」ダッダッ

消防隊員「……?」

ーーーーーーー

狩野川堤防

果南「ハッハッハッハッ」ダッダッ

果南(問題は…橋のどっち側が落ちたか…もしこっち側だったらどうやって伝えよう…」

果南(ええいそんときは川渡ってやる…!)ダッダッダッダッ


ーーーーーーー

御成橋

果南「ハァハァハァ」

果南「ほんとに…半分崩れてる…けど残ってるのは………………」

果南「こっち側………!!」

果南「よし…」ダッダッ

ビュオーーーー

果南「くっ…」ヨロヨロッ

果南(橋の上は遮るものがないから風が……)



ーーーーーーー

同時刻 鞠莉


ビィーーーーーーン

鞠莉「……30ノット…」チラッ

鞠莉「やっぱり加速に時間がかかる…」

ビィーーーーーーン

鞠莉「せっかく助けたのに……ここで失敗するわけにはいかないっ………!」

ビィーーーーーーン

ーーーーーーー

ビィーーーーーーン……………

果南「……エンジン音…!鞠莉…」

ビュオーーーー

果南「くっ……」ズリッ…ズリッ

果南「…よし!」ガシッ

果南(なんとか柵を掴んだ…)

ビィーーーーーーン

果南「タイムマシンだ…」

果南「お願い………気付いてっ…!!!」スッ






    ピカッー  ピカッー

鞠莉「………ライト…?」ビィーーーーーーン

鞠莉(この合図…)

鞠莉「…!!……橋が半分しかない……上にいるのは…」

果南「………っ」ピカーッ

鞠莉「……バカ南………部屋にいろっていったのに…」ニコッ

鞠莉「ありがとう………!!」グイッ

ビィーーーーーーン

果南「……船がこっち側に寄せてきた…気付いたかな…」

ポォーーーーッ‼ ポォーーーーッ‼

果南「……汽笛…気付いてくれた…!」

ビィーーーーーーン

果南「鞠莉ーー!!!!まーたーねー!!!」

ビィーーーーーーン

鞠莉「助かったよ…果南」ビィーーーーーーン

44……45……46……

鞠莉「……未来へ…!」

バチバチバチバチ……………

果南「………っ」

バチバチバチバチ



ビュイーーーーッ

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー


2017年11月3日

部室

果南「ハクシュン!!」クシュン

ダイヤ「風邪でもひいたんですの?」

果南「なんでもないよ…」ズビビッ

花丸「そいえば忘れてたずら…はい、ルビィちゃん」スッ

ルビィ「うぇ……!ルビィのシュシュ……!」

花丸「落ちてたから…」

ルビィ「花丸ちゃん…」ウルウルウル

善子「よかったねズラ丸。助かって」

花丸「それが…煙吸い込んで急に体の力が抜けて意識も薄くなったとき女の人が来たずら…」

果南「………」

善子「女の人…?」

花丸「あのとき…」

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

花丸「……!……あった…ルビィちゃんのシュシュ…」スッ 


ギギィ………

花丸「!!!…防火扉が…」ダッ

クラッ

花丸(!!!……いきなり…力が……………意識が遠く……)フラフラ

ガシャン!!

花丸「………っ」

女性「もう大丈夫だよ……花丸」ガシッ

花丸「…………」

ーーーーーーー

ーーー

花丸「防火扉が閉まる前に食材が乗ってたテーブルを挟み込んでくれた女の人がオラを担いでくれたんだけど………そこから覚えてないずら…」

善子「でもその人ズラ丸の名前知ってるなら知り合いじゃないの?」

花丸「うーん…よくわからないけど……すごい優しい声で…なんか聞いたことあるんだけど……うーん」

果南(……鞠莉のお陰でアクアは救われた…)

鞠莉「?……果南どうしたの?」

果南「なんでもなーい。なんでもー。」

鞠莉「変なのー」

果南「変でいいの。」

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

2029年9月20日

バチバチバチバチ……ザバーーーッ!

鞠莉「………戻ってきたかな…」

ザーッ

鞠莉「海だ…ふぅ…疲れた」

ポォーーーーッ!!!!

鞠莉「!!!」

ガシャッ………バキバキバキバキ!

ドボン

鞠莉(……大型フェリー……)ブクブクブク


ーーーーーーーー

ーーーー

旅館  十千万

鞠莉「んん…」パチッ

千歌(29)「あ!目を覚ました!曜ちゃーーん!」

鞠莉「………ちかっち…?なんで着物なんか…」

千歌「これでも仕事中だからね…!」

ドタドタドタ

曜(29)「ま、鞠莉ちゃん!!!大丈夫!?ごめんね!ほんとに!!!」アワアワ

鞠莉「え…っと…どゆこと?」

千歌「鞠莉ちゃんが乗ってたクルーザーに曜ちゃんが船長として乗ってたフェリーがぶつかっちゃって……」

曜「ほーーーんとにごめん…!よかったー鞠莉ちゃん……」

鞠莉「二人共…すごく久々にあった気がする…」

曜「私は二ヶ月ぶりかな…シアトルまで運航で出てたから」

鞠莉「運航…」

千歌「えー私は昨日ぶりじゃん!もー…」

鞠莉「ソーリーソーリ…!なんでもないわ…ごめんね曜」

曜「ううん私は大丈夫…だけどごめんクルーザー弁償しないと…」

鞠莉「いいって曜」

曜「でも…」

鞠莉「これでいいの…。これで」

千歌「とにかく鞠莉ちゃん家まで送ってくよ!表に止めてある車に先行ってて!」

鞠莉「お、オーケー…」

ーーーーーーー

ホテル小原  自室

ピッピッピッ

鞠莉「もしもし…新聞部屋に届けてくれるかしら…?」


ピンポーン

鞠莉「…………」ペラッ

2029年 9月20日

鞠莉「未来へ戻ってきたのね…」

ガチャン

鞠莉「………………」ハッ

果南(30)「もー…今日クルージングいく約束したのにいつまでもこないからー」

鞠莉「果南………」

果南「ねぼすけさんだねー全く。まぁアクアの会議のときもあの手この手で寝てたしね!」クスクス

鞠莉「アクア…」

果南「ほら、いくよ鞠莉!」スッ

鞠莉「う、うん」ヨイショッ

果南「あ、そうそう行く前に……」

鞠莉「?」










果南「ハグ………………しよ?」ニコッ




元ネタはバック・トゥ・ザ・フューチャーです

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