【モバマス】 ちひろ「結婚かぁ.....」 (117)



ちひろ「...........」カタカタ

ちひろ「さ、これで終わりっと」

ちひろ「あーもう日付跨いじゃったじゃない」

ちひろ「とりあえずコンビニで弁当と缶ビールを....」

ちひろ「ん? 友人からメールが」

ちひろ「....結婚しました、か」

ちひろ(結婚ねー。そういえば恋愛には縁のない人生だったなー)

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ちひろ(学生時代はお金を稼ぐための勉強ばっかりやってて恋愛どうこうって感じじゃなかったし)

ちひろ(今だって仕事が忙しくてそんなことやってる暇がない)

ちひろ「はぁ.....」

ちひろ「なーんか落ち込んできちゃったなぁ」

ちひろ「帰ろ」


____________


翌日 事務所内


ちひろ「今日も日課のサボテンに水をあげるとしますか」

千枝「お、おはようございます!」

ちひろ「あらこんな早くにどうしたの?」

千枝「学校に行くまでにその....千枝ちひろさんとお話がしたかったんです」

ちひろ「お話?」

千枝「はい! それでプロデューサーさんは....」

ちひろ(なるほど。きっとPさんには聞かれたくない話なのね)

ちひろ「いないから大丈夫よ。なにかあった?」

千枝「じ、実は恋愛相談に乗ってもらいたいんです」

ちひろ「恋愛!?」



千枝「はい?? ちひろさんはオトナの女性でけいけんほうふそうなので??」

ちひろ「あーうん。そうね。ハイハイ恋愛ね」

ちひろ(一番私に振っちゃいけない悩みじゃない??)

ちひろ(お金の悩みだったらすぐに解決できるけど...)

ちひろ(いや逃げちゃダメよちひろ。アイドルの悩みを聞いてあげるのも事務員の仕事??)

ちひろ(それに千枝ちゃんはまだまだ子供よ)

ちひろ(それっぽいことをいえば納得してくれるはず)


千枝「はい! ちひろさんはオトナの女性でけいけんほうふそうなので!」

ちひろ「あーうん。そうね。ハイハイ恋愛ね」

ちひろ(一番私に振っちゃいけない悩みじゃない!)

ちひろ(お金の悩みだったらすぐに解決できるけど...)

ちひろ(いや逃げちゃダメよちひろ。アイドルの悩みを聞いてあげるのも事務員の仕事!)

ちひろ(それに千枝ちゃんはまだまだ子供よ)

ちひろ(それっぽいことをいえば納得してくれるはず)


千枝「相談に乗ってもらえますか?」

ちひろ「もちろんよ! 恋愛経験豊富な私に任せて」

千枝「本当ですか! 千枝これでひゃくにんりきです!」

千枝「あでもアイドルは恋愛しちゃいけないって」

ちひろ「なに言ってるの。恋愛しないなんて女じゃな....いわ」

千枝「どうかしたんですか?」

ちひろ「....なんでもない」ニッコリ


ちひろ「本題に入りましょうか」

千枝「はい千枝ぷろ....同じクラスの男の子について聞きたくて」

ちひろ「同じクラスの男子ねー」

千枝「そ、その人もしかしたら千枝のことを好きなのかもしれません!」

ちひろ「んーなるほど。よくちょっかい出されたりとかするの?」

千枝「いえよく手を繋いできます」

ちひろ「手を繋ぐ!?」

ちひろ「え? 嫌じゃないの?」

千枝「......はい」

ちひろ(私よりも女の顔をしている!)

ちひろ(ま、待って! 手を繋ぐのって付き合い出してから半年経ったくらいにすることじゃないの!?)

ちひろ(付き合ってないしましてやお互いの気持ちも確かめてないのに手を繋げじゃうものなの!?)


千枝「千枝雑誌で読みました! ボディタッチの回数が多いほどその人の好感度の表れだって!」

ちひろ「え!? そうなの?」

千枝「え?」

ちひろ「そうそう。そうなのそうよ」ニッコリ

千枝「ぷろでゅ......同じクラスの男の子はよく頭を撫でてきたりしますし」

ちひろ(頭を....!?)

千枝「よくお姫様抱っこもしてもらいます!」

ちひろ(お姫様抱っこ!?)

千枝「これはもう千枝のことを好きなんじゃないんでしょうか!」


訂正

ちひろ「そうそう。そうなのよ」ニッコリ


ちひろ「......」

ちひろ(まずい。子供だからって舐めてたわ)

ちひろ(彼女の恋愛力は三十万)

ちひろ(ゼロの私にはとてもじゃないが意見なんてできないんだけど.....)

千枝「.......」キラキラ

ちひろ「....そうね」



ちひろ「それはもう脈アリね!」



千枝「本当ですか!」

ちひろ「もう脈アリ所じゃないわ! 結婚まで考えているはず!」

千枝「えええ!? 千枝が結婚....!」



千枝「千枝もっとその人をとりこにしたいです!」

ちひろ「そうね...とりあえず料理とか喜ばれるわ」

千枝「なにを作ればいいんですか!?」

ちひろ「え、えっと....牛丼」

千枝「牛丼?」

ちひろ「そ、そうそう! とりあえず男お腹が満たされればなんでもいいのよ」

千枝「なるほど!」

ちひろ「後はお金ね。古今東西老若男女お金でなびかない人間はいないわ」

ちひろ「政治家だってお金でなんとかなるのよ」

千枝「お、お金は千枝には難しそうです...」


千枝「けど出来る限り頑張ってみます!」

ちひろ「そうよ! 勝ち戦なんだから自信持って頑張ってね!」

千枝「ちひろさんは恋愛マスターですね」

ちひろ「れ、恋愛マスターなんてそんな」

ちひろ(彼氏いない暦イコール年齢なんですけどね)

千枝「じゃあ、今から学校なので行ってきます」

ちひろ「うん。行ってらっしゃい」

ガチャ バタン

ちひろ「...あれでよかったのかしら」

ちひろ「ま、まぁ本人は納得してたみたいだし大丈夫よねきっと!」


----------------------

翌日

事務所内

ちひろ「........」

ちひろ(少しだけ危機感が湧いてきたわ....)

ちひろ(小学生に恋愛談義で押されているなんて結婚はおろか彼氏が出来るのだって難しいはず)

ちひろ「とは言ってもなにをどうすればいいかなんて分かんないしー」

ちひろ「んー」

ちひろ(そうねー。まずは自分の武器を探そうかしら)

ちひろ(己を知らないと敵には勝てないものね!)


ちひろ「メモ用紙準備よしっと」

長所

ちひろ「まずは自分のいい所を書き出してみましょう」

ちひろ「そうねー」

長所 高収入

ちひろ「これははずせないわね」

ちひろ「後はなにかしらねー」

ちひろ「.....」

ちひろ「えっとー......」

ちひろ「スタイル! スタイルだったら若い人にも負けない!」

ちひろ「ふふ、そうよ。私はスレンダーなの」

ちひろ「これは自信を持ってもいい所よね」


長所 高収入 スタイル(超絶スレンダー!)

ちひろ「ふふ、なんだか自信が付いてきたわ」

ガチャ

悠貴「おはようございますっ」

ちひろ「あら悠貴ちゃ.....」

ちひろ「なにその格好」

悠貴「さっき更衣室で着替えてきましたっ!」

ちひろ「いやまぁそうなんだろうけどなんで水着?」


悠貴「今度番組で水着を着ることになったんですっ」

悠貴「衣装は自前で用意することになってプロデューサーさんに似合ってるかどうか聞こうと思ってたんですけど....」

ちひろ「......」

悠貴「ど、どうかしましたかっ?」

ちひろ(水着は子供っぽくてヒラヒラのやつなんだけど....」

ちひろ(この圧倒的な色気はなに!?)

ちひろ(え? 本当に13歳!?)

ちひろ(細いし手足長いし肌綺麗だし......)

ちひろ(どうしたらこんなスタイルを維持できるの!?)

ちひろ(それに比べて私は.....)

ちひろ「......」

ちひろ「なにがスレンダーよ!」バン!

悠貴「!?」


ちひろ「悠貴ちゃん」

悠貴「は、はいっ!?」

ちひろ「その衣装.....いいと思う」ゴフッ

悠貴「ち、ちひろさんっ!? 血が口から出てますよっ!?」

ちひろ「なんて声出してるのよ。なんともないわ」ダラダラ

悠貴「救急車ッ! 救急車呼びましょうっ。ちひろさんが死んじゃったら悲しいですっ!」

ちひろ「平気よ。じゃあこれからライザップに行ってくるから留守番頼むわね」

悠貴「あ、いやっ!」

ガチャ バタン

悠貴「.....行っちゃった」


----------------

数時間後

事務所内

ちひろ「うぅ......とりあえずビールをやめるところから始めようかしら」

長所 高収入 スタイル(超絶スレンダー!)

ちひろ「......」

長所 高収入

ちひろ「さ、気を取り直してどんどん書き出していきましょう」



ちひろ「とは言ってもあれも捻り出したものだからなー」

ちひろ「うーん.....」

ちひろ「.....」

ちひろ(あれ私の長所ってこれだけ?)

ちひろ(長所はいわば魅力みたいなものだから....)

ちひろ「魅力が一つしかないってこと?」

ちひろ「いやいやこう見えて学生時代後輩に一度だけ告白されたりしましたし!」

ちひろ「まぁ当時は恋愛に興味がなくて断ってしまいましたが...」

ちひろ「そうよ! 私が知らない私の長所があるはずよ!」


ガチャ

モバP「お疲れ様です」

ちひろ「あ、お疲れ様です」

モバP「悠貴から血を吐いたって聞いたんですけど大丈夫ですか?」

ちひろ「あーそれはえっとー大丈夫です!」

モバP「そうですか」

ちひろ「は、はい」

モバP「.....」カタカタ

ちひろ「.....」

ちひろ(相変わらずと淡白な人だなー)


モバP「すいません昼食がまだだったのでいいですか?」

ちひろ「あ、どうぞどうぞ」

パカ

モバP「.....」

ちひろ「へぇプロデューサーさんが弁当を持ってくるなんて珍しい....」

ちひろ「しかも牛丼みたいな弁当」

モバP「なんか渡されました」

ちひろ「女性にですか?」

モバP「まぁそうなりますね」

ちひろ(なるほど...私が千枝ちゃんにしたアドバイスは間違ってなかったみたい!)

ちひろ(最近の女子は男子に手作り料理を作る際牛丼なのよ!)


モバP「それでちひろさんはなにをしてたんですか?」

ちひろ「あそれは....」

ちひろ(.....折角だし私の長所を聞いてみようかしら)

ちひろ「私の長所ってどこだと思います?」

モバP「藪から棒ですね」

ちひろ「い、いいですから」

モバP「お金に一生懸命な所ですかね」

ちひろ「即答ですね!」

ちひろ「な、なんかもっとありませんか?」

モバP「んー」

モバP「.....」

ちひろ(なんか答えんかい)

ちひろ(あ、いいこと思いついた)

ちひろ「プロデューサーさんこのインカムと小型カメラを付けてください」

モバP「またどうしてですか」

ちひろ「私のいい所調査をアイドルを対象にしてもらいます!」

モバP「それは構わないんですけどなぜやるんですか?」

ちひろ「えっとー自分を客観的に見ていい方向を伸ばしていきたいなーなんて」




モバP「でしたら悪いところも聞いてみてはどうですか?」

モバP「悪いところを聞いてそれを直す努力をすれば自分をいい方向に高められると思いますが」

ちひろ「なるほど」

ちひろ(確かに一理あるわ)

ちひろ(私が恋愛出来ないのは私の悪いところにあるのかも)

ちひろ「わかりました! それで行きましょう!」

モバP「了解です」


―――

ちひろ 別室に移動中



ちひろ「ふー、モニターよし、マイクよし」

ちひろ「プロデューサーさん、聞こえますか?」

モバP『問題ないです』

ちひろ「それじゃ、アイドルを待ちましょうか」

ガチャ

ちひろ「早速誰かやってきましたね」

凛『……おはよ』

モバP『おはようございます』

ちひろ「凛ちゃんですか」

ちひろ「結構付き合いも長くなってきましたし私のいいとこの一つや二つは簡単に出てきそうですね!」

ちひろ「プロデューサーさん! さり気なく聞いてくださいね!」

モバP『ちひろさんの長所と短所を聞いてもいいですか?』

ちひろ「えー私の話聞いてましたー?」

凛『急になに?』

ちひろ「ほら警戒しちゃったー」


モバP『まぁ、色々とありまして』

凛『ふーん、まぁいいけど』

ちひろ「と、とりあえず話にはなりそうですね」

凛『いいところ……いいところね』

凛『……仕事に真面目なところかな』

凛『ほら、どんなに夜遅くまで仕事しても嫌な顔一つしないし』

凛『朝早くても眠そうな顔一切しないしさ』

凛『仕事してる人間からすれば当たり前なのかもしれないけどずっとそれをやり続けているのは凄いなって』

ちひろ「凛ちゃん……」ブワ

ちひろ「うんうん、そうやって私のことを見てくれてたのね」カキカキ

長所 高収入 仕事に真面目




モバP『なるほど、では短所はありますか?』

ちひろ「き、聞きたくないけど聞かなきゃダメよね…」

凛『……』

凛『性格以外でもいいの?』

モバP『……』

ちひろ「構いません」

モバP『はい』

凛『あのジャケットの色はないかなって』

ちひろ「」

――

別室

ガチャ

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「ジャケット、着替えたんですね」

ちひろ「うぅ……なんでですか都民ファーストカラーじゃないですか」

ちひろ「最近は流行りだと思ったのに……」

モバP「似合ってたと思いますけど」

ちひろ「気休めはやめてください!」

モバP「……辛いんだったらこれで終わりにしますか?」

ちひろ「続けましょう」

モバP「了解です」

――

モバP『ちひろさんのいい所と悪い所はどこですか?』

みく『長所? うーん、年下の面倒見がいいところにゃ!』

みく『悪いところはあんまり思いつかないけど』

モバP『直したほうがいいと思うところはありますか?』

みく『椅子から立ち上がる時によっこいしょって言うのはちょっとおばさんくさくてやめてほしいかなって』

ちひろ「……」

――

モバP『ちひろさんのいいところと悪いところはどこですか?』

智絵理『えっとー、あ! 三つ編みがとっても似合ってると思います……』

智絵理『悪いところは……あんまり思いつきません。ごめんなさい』

モバP『なんでもいいですよ』

智絵理『……い、いつもは優しいんですけど、お金のお話をすると目が怖い時が』

ちひろ「……」

――

モバP『ちひろさんのいい所と悪い所はどこですか?』

みく『長所? うーん、年下の面倒見がいいところにゃ!』

みく『悪いところはあんまり思いつかないけど』

モバP『直したほうがいいと思うところはありますか?』

みく『椅子から立ち上がる時によっこいしょって言うのはちょっとおばさんくさくてやめてほしいかなって』

ちひろ「……」

――

モバP『ちひろさんのいいところと悪いところはどこですか?』

智絵里『えっとー、あ! 三つ編みがとっても似合ってると思います……』

智絵里『悪いところは……あんまり思いつきません。ごめんなさい』

モバP『なんでもいいですよ』

智絵里『……い、いつもは優しいんですけど、お金のお話をすると目が怖い時が』

ちひろ「……」

――

モバP『ちひろさんのいいところと悪いところはどこですか?』

杏『……めんどい』

モバP『そう言わずに』

杏『いいところは毎朝飴をくれるところ』

杏『悪いところは夜になったら飴をくれなくなるところ』

ちひろ「……これはどう反応したものか」


――

ちひろ(それから何人ものアイドルに聞いてを繰り返して……)チラ

短所 ジャケットの色 お金にがめつい あの年でコスプレ趣味はない サボテンに話しかけている 

悪魔 鬼 コンプガチャの仕掛け人

ちひろ「ふ、ふ、ふふふふふふふ」

モバP「……」

――

翌日 事務所内

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「この廃棄と書かれた衣装の山はなんですか」

ちひろ「今日業者に捨ててもらうコスプレ衣装です」

モバP「大変似合ってたと記憶しているんですが」

ちひろ「私には必要ありません」

モバP「私の机に置かれているサボテンは」

ちひろ「大切に育ててください」

モバP「植物に話しかける姿は大変愛らしかったと思いますけど」

ちひろ「私には必要ありません」

モバP「昨夜私の家に届いた金のぴにゃこら太は」

ちひろ「なんの話でしょう」

モバP「大層お金がかかったでしょう。返却します」

ちひろ「私には必要ありませんので返却しないでください」


モバP「……本当にいいんですか?」

ちひろ「いいんです!」

モバP「……」

ちひろ「……」




ちひろ「や、やっぱり無理です!」ガバ



ちひろ「この衣装どれだけお金がかかったと思ってるんですか!」

ちひろ「サボテンだって疲れた私の心を許してくれる唯一の味方です!」

ちひろ「金のぴにゃこら太に至っては1000万円もするんですよ! おいそれとプレゼント出来るわけないじゃないですか!」


モバP「……どうしてこんなことを?」

ちひろ「それは……私は恋愛をその……したことがなくて」

ちひろ「恋愛をするために自分の長所を模索し、戦っていけたらいいと思って」

モバP「戦うって恋愛に身構えすぎじゃないですか」

ちひろ「……確かにそうですね」

ちひろ「でも、それでなぁなぁで済ましてきてもうこの年なんですよ?」

ちひろ「そりゃ、つい最近まではどうでもいいかなって思ってましたけど周りは既婚者ばかりだし……」

ちひろ(挙句の果てには小学生にまで恋愛力で負けるし)


モバP「なるほど」

ちひろ「……どうせ面倒な女って思っているんでしょ」

ちひろ「はいはいすみませんね。どうせこんな私は一生独身ですよ」

モバP「なら私と試しに付き合ってみますか?」サラ

ちひろ「……」カチンコチン

モバP「……驚かせてしまいました?」

ちひろ「え?」

ちひろ「あ、いや、ちょっと真顔でなに言ってるんですか!」

ちひろ「い、一応私のほうが先輩なんですよ!? からかうもんじゃありません!」

モバP「冗談のつもりはないんですけど……」


ちひろ「で、でも付き合うっていきなりそんな」

モバP「大丈夫です。お試しですから」

モバP「ちょっとでも違うと思ったら関係をすぐになかったことにするので」

ちひろ「つ、付き合うって手を繋いだり繋いだり繋いだりするんですよね!?」

ちひろ「そんなの絶対無理ですよ!」

モバP「いえ、お試し期間中は食事をしたりどこかに出かけるだけでボディタッチは一切禁止です」

モバP「それにデート中も少しでも気分を害したら途中で帰ってもらっても問題ないので」

ちひろ「で、デート……」

モバP「なにか不都合でもありますか?」

ちひろ「特にはないんですけど……」

モバP「じゃあ、決まりですね。仕事にしましょうか」

ちひろ「は、はい」

ちひろ(ど、どうしよう。押し切られてしまった……)

――

ちひろ「……」

ウィーンウィーン

文香(自販機に一万円札をずっと入れてるのですが……)

文香(あれはなにか意味のあるものなのでしょうか……)

ちひろ(わ、わからないわ)

ちひろ(プロデューサーさんはどういうつもりで付き合いましょうなんて言ったのかしら)

ちひろ(プロデューサーさんも女性関係で困っている?)

ちひろ(いえ、前にアイドルに迫られているところを目撃してるし……)

ちひろ(となると、プロデューサーさんは私のことをす、す、す)

ちひろ(な、ないないないない!)


ちひろ(それよりもなにを動じているのよ)

ちひろ(私は彼より一つ年上。事務所的にも一つ先輩)

ちひろ(取り乱してみっともない姿をみせるなんて情けないわ)

ちひろ「ふー」

ちひろ(落ち着くのよ千川ちひろ。あなたは余裕のある女)

ちひろ(よし。大丈夫)

かな子「えーでもパティシエの『彼氏』なんていたら太っちゃうよ~」

愛梨「でもかな子ちゃん。『付き合う』ならそっちのほうがいいよ」

チャリンチャリン

ちひろ「……!」イソイソ

文香「あの……小銭拾うの手伝いましょうか?」

ちひろ「い、いいの大丈夫! あ、あはは! おかしいわね手元が狂っちゃって……」

文香「いえ‥…でも……」

ちひろ「大丈夫! 大丈夫だからぁぁぁ!」ピューン

文香「あー……」

文香「行ってしまわれました……」

――

モバP「……」カタカタ

ちひろ「……」アタフタ

ちひろ(あーもう駄目。変に緊張しちゃって仕事にならないわ)

ちひろ(それにしても……)

モバP「……」カタカタ

ちひろ(さっきあんなことを言った本人なのに一緒にいて普通にしてるってなんか納得いかないわ)

ちひろ(全く私の気も知らずに……)

ちひろ(って、意識しすぎよ!)

ちひろ(大体プロデューサーさんは私のタイプじゃありませんし)

ちひろ(私のタイプは……)

ちひろ「……」

ちひろ(そ、そう!料理が得意な人ですね! うん。これは外せません)

モバP「作りすぎたからいります?」

菜々「な、なんて豪華なお弁当ですかしかも重箱!」

菜々「え、これ全部一人で作ったんですか?」

モバP「今日は早起きだったので」

菜々「ま、まさか菜々の懐事情を気にして多めに……」ホロ

ちひろ「……」

ちひろ(大体プロデューサーさんは私のタイプじゃありませんし)

ちひろ(私のタイプは……)

ちひろ「……」

ちひろ(そ、そう!料理が得意な人ですね! うん。これは外せません)

モバP「作りすぎたからいります?」

菜々「な、なんて豪華なお弁当ですかしかも重箱!」

菜々「え、これ全部一人で作ったんですか?」

モバP「今日は早起きだったので」

菜々「ま、まさかナナの懐事情を気にして多めに……」ホロ

ちひろ「……」

ちひろ(りょ、料理だけ出来てもダメですね!)

ちひろ(やはりお掃除もできないと)

李衣菜「ちょ、ちょっとプロデューサーなにやってるんですか!?」

モバP「……」フキフキ

李衣菜「ゴンドラに乗って窓ふきなんて超ロックですけど危ないですよ!」

モバP『ゴンドラ取扱い業務特別教育は講習しているので問題ありません」

ちひろ「……」

ちひろ(りょ、料理だけ出来てもダメですね!)

ちひろ(やはりお掃除もできないと)

李衣菜「ちょ、ちょっとプロデューサーなにやってるんですか!?」

モバP「……」フキフキ

李衣菜「ゴンドラに乗って窓ふきなんて超ロックですけど危ないですよ!」

モバP『ゴンドラ取扱い業務特別教育の講習は受けているので問題ありません」』

ちひろ「……」

ちひろ(掃除だけで来てもダメね! 几帳面過ぎる人間と付き合うと上手くいかないって言うし!)

ちひろ(たまには豪快な一面がある人がいいわね)

楓「お疲れ様です」

モバP「お疲れ様です」

楓「先週はお酒をご馳走して頂きありがとうございました」

モバP「いえ、日頃のお礼です」

楓「ふふ、でもダメですよ。自分がお金を出すからってお店のお酒全部飲んじゃ」

モバP「善処します」

ちひろ「……」

ちひろ(ご、豪快すぎてもダメね! たまには知的な部分を出してくれる人とかいいわね!)

アナスタシア「Доброе утро」

モバP「Доброе утро」

ちひろ「!」

アナスタシア「―――」

モバP「―――?」

アナスタシア「―――!」

モバP「―――」

ちひろ(な、なんかロシア語らしき言語で喋ってる!)

ちひろ「え、えっとー。ごめんなさい。今何について話しているんですか?」

モバP「政治です」

ちひろ「……」

モバP「すみません。ちょっと輿水さんの様子見てきますね」

ちひろ「あ、はい。行ってらっしゃい」

ちひろ「……」

ちひろ「あれ? でも幸子ちゃんって確か海外ロケじゃ……」

ちひろ「まぁ、誰かと間違えているのかもね」

ちひろ(それよりも、やっぱ繊細過ぎる人もダメね)

ちひろ「男の人だったらヒーローっぽいところがあったほうがいいわ!」

ちひろ(やっぱり少女漫画とかでもヒロインのピンチを男の子が救ってくれるのは定番になってるくらいだし!)

ちひろ「ん? なにやらテレビが騒がしい」

アナウンサー『先程、アメリカ国内のホテルに立てこもり、日本人アイドルの輿水幸子さんを人質に取っていた犯罪グループは――」

ちひろ「え!? 幸子ちゃんが!?」

アナウンサー『スーツを来た謎の日本人男性に救出されました』

アナウンサー『なおそれと同時に犯罪グループは男性の手によって無力化された模様です』

アナウンサー『男性は我々の取材に対し「他のアイドルの現場が残っているので」などと話、その場から忽然と姿を消しました』

アナウンサー『謎の男性の写真がこちらです』

ちひろ「」

ちひろ(さ、さっきまでここにいた人だァ――!)

ちひろ(どうしてそこにいるのというかどうやってアメリカまで行った!)


―――

一時間後

モバP「……」カタカタ

ちひろ「はぁ……」

ちひろ(200人近くのアイドルを一人でプロデュースしている人間が普通な人間なわけないわよね……)

ちひろ(それにしても限度ってものがあると思うけど)

モバP「……」カタカタ

ちひろ(あの発言から顔色変えずにずっと仕事してるし)

ちひろ(……なんか私、やっぱり遊ばれてるのかな)

モバP「あの」ガタ

ちひろ「は、はい?」

モバP「今週の水曜日。休みを取って遊園地に行きませんか」

ちひろ「え?」

――

同時刻

プロデューサーの机の下

乃々「……」ガクガクガクガク

輝子「……」ガクガクガクガク

まゆ「……」ゴゴゴゴゴゴ

まゆ(ふふ、ぜーんぶ聞いちゃいましたよー)ニコ

プロデューサーの皆さん。今日は終わりにさせていただきます。

――

ちひろ自宅

ちひろ「ま、まさか二人の休みが被っている日があるとは……」

ちひろ「……」

ちひろ(ど、どうしよう。凄い緊張する)

ちひろ「たかが同僚とお出かけするだけじゃないですか。なにをそんなに動揺しているの」

ちひろ「とりあえず私のほうがお姉さんなんだから彼をリードしなくちゃいけないんだから」

ちひろ(でもリードって具体的にどうすれば……)

ちひろ「……」

ちひろ(お、お金には困らせないようにしてあげよう……)

ちひろ「あ、そうだ。洋服……」

ちひろ「今のうちに決めていおいても損はないわよね」

ちひろ「えっとー、こんなんでどうかしら」

テレビの芸能人声『いやー、初デートで女性がズボンっていうのはないっすわ』

ちひろ「……」

ちひろ「そ、そうよね。ガッカリさせちゃうかも」

ちひろ「これならどうよ!」

芸能人『あ、でも結構年が行ってる人がスカート履くのはどうかと』

ちひろ「……」

ピ プツン

ちひろ「服装なんて似合ってればなんでもいいのよなんでも」


――

同時刻

事務所 机の下

まゆ「ふふふ……ふふ……ふるふる坊主頑張ってね」

輝子「ふ、フフ……リア充…・…爆発だ……」

まゆ「輝子ちゃんもっといっぱい作ろうね」

輝子「う、うん……」

乃々「も、もりくぼは……」

まゆ「手伝ってくれるよね?」ニッコリ

乃々「は、はいィ……」

乃々(なぜ……もりくぼがこんなことを……)

――

駅構内

ちひろ「……」テクテク

ちひろ(なんだか目が覚めちゃって待ち合わせの時刻よりも一時間早く来ちゃった)

ちひろ「さすがにこんなに早く来ているわけないよね」

ちひろ「あ……」

ちひろ(こんなところに鏡が)

ちひろ(髪型よしお化粧よし。服装もたぶん大丈夫。うん、いつもより可愛いわ)ユビサシ

ちひろ(ターンしてみちゃったりして)フフ

モバP「……おはようございます」ス

ちひろ「……」ピキ

ちひろ「……」ダラダラダラダラ

――

遊園地 ゲート前

モバP「そろそろ私の顔を見てもらってもいいですか?」

ちひろ「無理です」

モバP「そう言わずに」

ちひろ「……今朝のことはわすれてくださいね」

モバP「可愛らしくていいじゃないですか」

ちひろ「ほらそうやってすぐからかうじゃないですか!」

モバP「からかっているわけではないんですけど……」

ちひろ「はぁ……もういいですよ」

ちひろ「それよりもチケットをって、凄い列ですね」

ちひろ「とりあえず二人分私が――」

モバP「それならこちらに」ス

ちひろ「へぇ……やけに随分準備がいいですね」

ちひろ「いくらですか?」

モバP「お代はいりません」

ちひろ「え? いやいや、見栄を張らなくても」

モバP「取引先の方に優待券を譲っていただいたんです。だから代金はかかっていません」

ちひろ「な、なるほど」

モバP「ではいきましょうか」


ちひろ「あ、はい」

ちひろ「……」スタスタ

ちひろ(もしかして自分が購入したものだと私が遠慮しそうだからということでわざわざ優待券をもらった?)

ちひろ(さ、さすがに私の考えすぎよね)

ちひろ「あ、そういえばどうして今日は電車を使ったんですか?」

ちひろ「プロデューサーさん、車持っていましたよね?」

モバP「車のほうがよかったですか?」

ちひろ「いえ、そんなことはないんですけど、理由があったのかなって」

モバP「初めて出かける男と、車とはいえ密室で二人きりは負担をかけてしまうんじゃないかと思ったんです」

ちひろ「……そんな考えがあったんですね」

モバP「少し、考えすぎでしたか?」

ちひろ「い、いえ! その、気を使っていただけるのはありがたいというか、ちょっと優しいなって思ったっていうか」

モバP「ならよかったです」

ちひろ「……」

ちひろ(まずい。完全に主導権を握られているわ……)

ちひろ(お姉さんとしての威厳がなにもないじゃない!)

ちひろ(いつも仕事では私がリードしていたのに……)

ちひろ(で、でもこうやって仕事以外で優しくしてもらうのは正直嬉しいというか……)

ちひろ(ま、まぁ! デートは始まったばかりですし、これからですよ)

一旦終わりにさせていただきます。

また明日よろしくお願います。

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