モバP「浜口あやめと緊張自縛体験談」 (24)
P「む」
P「忍びかっ」
カカッ
あやめ「お見事」
P「あやめ……」
P「平日だぞ」
あやめ「存じております」
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P「見ろ、フローリングに刺さった手裏剣を」
P「あやめは敷金・礼金という概念を知らないだろう」
あやめ「未だ修行中の身なれば……」
P「普通に喋れ」
あやめ「はい」
P「夜半の不意打ちは困る」
P「事務所か休日の外出時に頼む」
あやめ「それでは意味がありませんっ!」
P「隣人の心象を損ねるのだ」
ドンッ
あやめ「ひっ」
P「噂をすれば」
P「壁ドンだ」
スイマセン
ハイ
スイマセン
P「待たせたな」
あやめ「……」
P「今日は帰れ」
P「ほら、MAXコーヒー」
P「好きだったろ」
あやめ「いえ、そのような設定は……」
あやめ「それより、わたくしは悔しいですよっ!」
あやめ「里の高弟ともあろうお方が、このような六畳一間で」
あやめ「世間の目を気にしながら、その日暮らしを続けているなどと……」
P「言うな」
P「忍びの世は終わったのだ」
あやめ「共に里の再興を誓った仲ではないですか!」
あやめ「あの桃園の誓いをもう忘れてしまわれたのですか!」
P「マジで記憶にない」
P「いいか、忍びでは食べていけぬのだ」
P「あやめにわかるか、履歴書の空白を埋める辛さを」
P「特技の欄に土もしくは水遁としか書けぬ切なさを」
あやめ「わたくしはExcelも使えますので、さほど苦労はしないかと」
P「Vlookupもか」
あやめ「マクロも組めますよ」
P「Officeを導入したのか……俺の許可なく……」
P「まあいい、駅まで送ろう」
あやめ「あの身のこなし、里長の座も夢ではありません」
あやめ「いかがですか? 一度里に戻られてみては……」
P「プロデュース業はどうする」
P「あやめを置いていけというのか」
あやめ「それは……しかし、顔を出すだけでも」
P「下らん」
P「過去は全て捨てたのだ」
P「今の俺は、いちプロデューサーでしかない」
あやめ「……みな、寂しがりますよ?」
P「……」
P「コーヒー、冷めるぞ」
あやめ「甘すぎませんかこれ」
―――
――
D「君か」
P「私です」
D「相変わらず気配を消すのがうまい」
P「失礼、癖になっていまして」
D「本題に入ろう」
パサッ
P「これは?」
D「局の構成作家のプロフィールだ」
D「住所氏名生年月日、特技趣味得意な体位……全て網羅してある」
P「私に、どうしろと」
D「これ以上言わせるつもりかね」
P「……かしこまりました」
D「報酬ははずもう」
D「今週中に頼むよ」
P「はい」
P「……」カチャカチャ
あやめ「暗器の手入れですか」
P「平日だぞ」
あやめ「心配には及びません。合鍵がありますので」
P「お金がかかったろう」
あやめ「HDDの中身も改めさせてもらいました」
P「なにっ」
あやめ「くの一ものがお好きなのですね」
あやめ「しかも緊縛属性もお持ちとは」
P「……何が望みだ」
あやめ「用件は簡単です」
あやめ「今回の依頼を反故にしていただければ」
P「ならん」
あやめ「これもプロデュース業のひとつ、とでも仰るのですか?」
あやめ「担当アイドルの前でも、そのように言えますか?」
P「……」
あやめ「我々は忍びなれど、最低限の矜持は持ち合わせております」
あやめ「このような汚い仕事を引き受けるなど、里の沽券に関わりますよ」
P「前も言ったろう、俺は忍びではない」
あやめ「確かにそうですね」
あやめ「まっとうな忍びであれば、忠義も信念も無い任務を受けることなどありませんから」
P「……」
あやめ「プロデューサー殿、あなたは半端ものです!」
P(人の性的嗜好を暴いたくらいで、ここまで強気に出るとは……)
P「何と言われようと俺の考えは変わらん」
あやめ「そこまで強情にされては、致し方ありません」
あやめ「こちらも強硬手段に出るまでです」
シュルシュル……
P「荒縄!」
P「縛ろうというのか」
あやめ「ご明察」
あやめ「プロデューサー殿、手伝っていただけますか?」
P「うむ、わかっている」
P「まさかこんなに早く悲願成就の日が訪れるとはな」
ギュー
あやめ「あんっ」
P「すまん」
P「加減がわからなくてな」
あやめ「よいのです」
あやめ「プロデューサー殿、心変わりしていただけましたか?」
P「ああ、やはり悪いことはよくない」
P「あやめの説得でやっと気づくことができたよ」
ギュー
あやめ「ふあっ」
P「やはり悪いことはよくない」
P「ところで服はどこまで脱がせばいいのだ」
あやめ「ご、ご随意に」
P「いいのか」
P「よおーし」
ギュウギュウ
あやめ「こ、これはなかなか……」
P「ふん、他愛もない」
P「所詮あやめもくの一、血には逆らえないということか」
あやめ「どういう意味ですかっ!」
P「俺たちは生まれついての忍びであり、生涯そのくびきからは逃れられないということさ」
P「一般人として世にとけ込もうなど、どだい無理だったんだ」
あやめ「さきほどの言葉は嘘だったのですか!」
あやめ「それにわたくしが縛られるのが好きなことと、何の関係があるのです!」
P「緊縛好き→くの一、くの一→緊縛好き、つまり緊縛好き=くの一なのさ」
P「アイドルとして生きていこうだなんて甘い考え、通用するはずがない」
P「さらばだ、俺は行く」
あやめ「プロデューサー殿!」
P「すぐ帰る」
P「冷蔵庫のジュース好きに飲んでいいぞ」
P「梅の実力(みりょく)も入っている」
あやめ「伊藤園……」
シュババッ
P「……」
―――
あやめ「まっとうな忍びであれば、忠義も信念も無い任務を受けることなどありませんから」
―――
―――
あやめ「くの一ものがお好きなのですね」
―――
P「ふ」
P「俺としたことが、情にほだされるとは」
P「しかたない、今回だけは……」
P「"プロデューサー殿"として、一肌脱いでやるか」
パリーン
D「何奴!」
P「私です」
D「君か」
D「家を間違えちゃいないかね?」
P「いいえ、合っていますよ」
スチャ
D「ふん……」
シュバッ
P(速い)
ザクッ
P「ぐあっ……」
D「衰えたな」
D「以前のお前なら避けられていた」
D「長いこと娑婆にいるといいことがないな、お互い」
P「負けるわけにはいかない……」
P「俺はあやめのプロデューサーなんだ」
P「あやめが俺の帰りを(緊縛されて)待っているんだ」
P「うおお!」
ピカー
D「これは」
D「レーザーポインター!」
D「人の目に向けてはいけないと、あれほど注意書きに書いてあるのに!」
P「パワポ発表には……」
P「必須アイテムだ!」
ズバッ
ブシャー
勝 負 あ り !
―――
――
P「む」
P「忍びかっ」
カカッ
あやめ「お見事」
P「あやめ……」
あやめ「今日は休日、でしょう?」
P「やれやれ」
あやめ「不逞の輩を斬っていただけたそうですね」
あやめ「感謝しております」
P「知らんな」
あやめ「プロデューサー殿、里のみんなが待っておりますよ」
あやめ「もはや何のしがらみも無いではありませんか」
P「いや、まだ残っている」
あやめ「え?」
P「あやめをトップアイドルにするという任務がな」
あやめ「プロデューサー殿……」
あやめ「わたくしも、お慕いしております」
あやめ「その、今後とも何卒よろしくお願いいたします」
P「いいんだ」
P「フローリングの件は許さん」
ドンッ
P「……」
あやめ「……」
――
P「隣人への謝罪もすんだ」
P「お楽しみはこれからだ」
シュルシュル……
あやめ「それは!」
P「トラロープだ」
P「荒縄はちくちくして痛いからな」
あやめ「プロデューサー殿、わたくしの体を気遣って……」ジーン
P「勘違いするな」
P「阪神ファンなんだ」
あやめ(嘘っぽい)
P「よぉし、亀甲からいくぞ!」
あやめ「はいっ!」
おわり
ゆがんだ浜口あやめ像
html依頼してきます。
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