モバP「待ちに待った合コン」 (84)

出会いがない

もちろん職場には女性が多い。
その中には俺に対して好意を持ってくれてる娘もいる。
だが相手は大事なアイドルだ。手を出すわけにはいかない。

P「そんなわけで合コンという訳ですよ。」

学生時代の友人に泣きつて合コンをセッティングしてもらったのだ。

忙しい合間を縫ってスケジュールを調整し、緑の悪魔をスタドリで買収し、
アイドルたちにバレないよう、秘密裏に事を進めてきた。
そしてついに今日が

モバP「待ちに待った合コンの日という訳ですよ!!」

友人A「いつになくテンション高いなお前」

友人B「まあでも気持ちはわかるよ友人Cが随分期待を持たせてくれたからなあ」

他の奴らも冷静を装っているがソワソワを隠しきれずにいる。

無理もない幹事のCからの事前連絡にはこうあった
「とびっきり可愛いこ用意できたぜ」
嫌が応にも期待が膨らむ。

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今日の作戦なんかをグダグダ話しているとCがやってきた。

友人C「お待たせ。準備できたらから行こうぜ。今日の相手はなんとJDだぜ!」

自分を含め三人が色めき立つ。
Cはなんというできる男だろう。持つべきものは友人だ。

友人C「紹介するよ。女の子側の幹事のカワチさん」

カワチ「こんばんわ、川内 尋といいます。」

AとBの期待値がまた上がっているのがわかる。
無理もない。
女幹事は基本自分以上に可愛いこは連れてこないが、
川内さんはかなり可愛い部類だ。
とういうことは他の娘も期待が持てるということになる。

だがなぜだろう?川内さんを見て俺は一人背筋に寒いものを感じていた。
まるで蛇に睨まれてたカエルだ。

友人C「俺と川内さんはこの後ちょっと用事があるから3対3になるけどよろしく頼むよ」

得意げにいうCにAとBブーブー言っているが俺は安堵を覚える。

川内「大丈夫です。とびきりの美女を用意しましたから。でも彼女たちまだ19なのでお酒はなしですよ」

川内さんは可愛く合掌しながらそう言って、行き先を指示した。

俺は渋る二人を促して会場に向かった。とにかく一刻も早くこの場を離れたかった。

会場はかなり洒落たカジュアルレストランだった。外装から会計の高さを察することができ
ついつい財布の中身を確認した

予約した旨を伝えると席に案内される。
女性陣はすでに到着しているようだ。

案内された席にいた三人の女性を見て俺たちは思わず息を飲んだ。

こんなレベルの女の子はそうそうお目にかかれない。
まさにとびきりの美女。
整った顔に抜群のスタイル。
信じられないまるでアイドルのようだった。

美波「今日はお願いしますね」
文香「よろしくお願いします・・・」
愛梨「楽しみましょうね〜。Pさん」

っていうか担当アイドルだった。
信じられない・・・

席につき自己紹介タイムが始まる

友人A「 Aっていいます。仕事は商社の営業マンやってます」

友人B「 Bです。IT関係の仕事でディレクターです!今日は出会えた奇跡にマジ感謝」

二人は抑えきれないテンションを努めて抑えながら自己紹介した。

自分の番が回ってきたがうまく話すことができない。

モバP「Pです。あの・・・よろしくオネシャス・・・フヒ」

気まずい実に気まずい。
今日は事務所の皆には大事な打ち合わせがあるからと嘘ついて出てきたのだ。
また日頃からアイドルからのアプローチをかわすのに、「今は色恋に興味はない。仕事が恋人
だ」と公言していた。

心なしか三人の目線が冷たい。

友人A「 三人は全員19歳なんだよね?同じ大学?」

愛梨「あっ私だけ18でした。ごめんなさい」

美波「もう愛梨ちゃん謝る必要ないよ」

文香「大学が全員別ですが三人とも知り合いなんです・・・」

美波「みなさんも全員ご友人なんですよね。普段からこうした事されてるんですか?随分肉食系なんですね」

言い方に棘があるよ美波さん後笑顔が怖い。

文香「合コンには一応恋人を見つけると言う建前はありますが、所詮恋愛はただ性欲の詩的表現をうけたものでから」

許して文之介。

愛梨「え〜そうなんですか?ダメですよそんなの!許せませんよ!Pさん!」

愛梨は少し知り合いである事を隠す努力しよう?


モバP「いえ・・・あの・・・そう言う訳では」

友人A「 愛梨ちゃん、もしかしてPに興味津々?」

友人B「ちょっと待ってよ!俺たちがいることも忘れないで!」

愛梨「でも今日はPさんと楽しくお食事できるからって聞いてきたんですよ?」

ちょっ!?愛梨さん??

友人B「えっ?何二人は知り合い?」

愛梨「はいーPさんとは美波「愛梨ちゃん」」

決定的な一言を発する前に美波が愛梨を制する
もう遅いと思うが。

美波「ごめんなさい。私たちお化粧直してきますね。」

友人A「 いいよいいよ」

友人B「いってらー」

美波たちが化粧室に行ってから俺に対する尋問が始まる。

ごめんなさい

こうか

友人B「それで?」

友人A「説明どうぞ?」

楽しいはずの合コン。今日のこの日を励みに激務をこなし、
カレンダーにはバツ印をつけて、もういくつ寝るかと歌ってたくらいなのに。
どんな悪魔の所業だこれは

モバP「彼女とは職務上の知り合いですハイ」

友人A「通らないだろそれは」

友人B「愛梨ちゃんどう見てもお前に対して・・・。あームカついてきた」

友人A「出会いがないとか抜かしてたくせに、あんなに可愛い娘とうまいことやってたわけだ」

誤解だと言いたいいがここは被害を最小限に止めることに専念すべきだ。
最悪の状況は三人とも俺の知り合いであることがバレることだ。
幸い三人とも俺にしかわからない程度には変装しているから、アイドルだってことは気づいてなさそうだ。


向こう側への根回しは今、美波がやってくれているはずだ。
愛梨の天然さ弩級だが、それでも美波なら美波ならなんとかしてくれる

今俺ができる最善の策は、愛梨が知り合いだと認めた上でそんな関係ではないこと説明することだろう。

モバP「愛梨は遠い親戚で今人手不足の事務所を手伝ってもらってる」

嘘は言っていない。
人類は皆一人の女性から分岐したのだから。

モバP「妹みたいなもので、向こうも俺に対して懐いているが、そう言う関係ではないです。」

我ながらナイスな言い訳だ。
これなら今までの態度に正当性を持たせつつ、こいつらの魔の手から愛梨を守る口実にもなる。

なんとか二人の追求をかわしつつ、愛梨には手を出させないように仕向けた。
愛梨さえ抑えておけば後は美波がいい感じになだめすかして、何事もなくこの場を収めてくれるだろう。

三人が化粧室から帰ってきた。愛梨が少しばかりショボンとしている。

美波と目があった。
いつも俺をフォローしてくれる時の「任せてください」って目だ。
安心する。

文香はと言うと少し口元に笑みを浮かべている。
彼女にしては珍しい何を話したのだろう。
少しエロい

愛梨「う〜ごめんなさいPさん。私つい浮かれちゃって」

愛梨がシュンとしながら上目使いで詫びてくる。
可愛い。

モバP「全く愛梨は相変わらずドジだな。おばさんには連絡しておくから、これが終わったら送っていくぞ」

愛梨のご両親にちゃんとあったのはアイドルやる許可をもらった時だけだが
よしこれだいい流れを作れそうだ。

文香「そうですか。なら私も送っていただきたいです。今日は叔父がいないので時間はいつでも大丈夫です」

えっ?文香さん??

美波「そうですね。じゃあ私も文香さんとご一緒してもいいですか?部屋は余ってますよね」

ンミナミィ!?!?!?

すみませんご飯食べてきます。後パチスロ打ってきます
再開は夕方すぎで

神に諭吉二人食われて無事死亡
続き書いてきます


事態が把握できない。二人は何を言ってるんだ?
友人達の俺に向ける目が完全にシリアルキラーのそれになっている。

モバP「せっ席替えしない?せっかくなんだからさ」

流れを変えなければと思い提案した席替え。

完全に悪手だった。

文香「では失礼します」

美波「じゃあ私も」

素早く右に文香が左に美波が座る
俺は有無を言わせず真ん中に座らせられる。

愛梨「二人ともずるいです。私もPさんの隣がいいのに〜」

愛梨「あっそうだ!いいこと思いつきました。私はここに座りま〜す」

何をするのかと思ってたら、俺の椅子の空いてる部分に座ってきた。

愛梨「えへへー。少し狭いですけど密着感があっていいですね。はいPさん。あーん」

そう言って愛梨が食べかけの甘いケーキがを差し出す。
まだ大丈夫だ。愛梨は俺の妹分ということになっている。
密着してる分、愛梨の特徴的な部分が押し付けられて強調されてるけど大丈夫だろう。

モバP「全く愛梨は相変わらず困ったやつだな、はいあーん」

よしこれでどう見ても兄妹が冗談でじゃれあってるようにしか見えないはずだ。
向こう側の席の気温が下がってる気がするが多分気のせいだ。

友人B「おいおい楽しそうだなー。じゃあ文香ちゃんもあーんしてくれない?」

文香の正面に座っているBがそう促す。俺がいうのもなんだがメゲないやつだ。

文香「・・・そうですね。ではこれをどうぞ。中々美味でした」

そう言って文香は料理をつまんだ箸を差し出した。
俺に。

モバP「えっと・・・あの・・」

文香「愛梨さんのは食べれて私のは食べれないのでしょうか・・・?」

青い目の威圧がすごい。
文香は時々こうなる。いつもがおとなしいだけにこうなるとテコでも動かない。
仕方なしに口を開ける

文香「あーんです」

自分でも口をアーンの形にして差し出してくる。
口の奥で光る舌が艶かしい。

すまぬ

恐る恐る美波の方を見る。
この流れだと彼女とも同じことする必要がありそうだったからだ。

美波「それ美味しそうですね。私も食べたいな」

さすが美波さん!弁えてらっしゃる。

美波「あーでも私からは届かない。誰か食べさせてくれないかなあ」

さすが美波さん・・・。

モバP「それではどうぞ・・・」

料理を美波の口元に運ぶも食べようとしない

美波「えっと。私はどうすればいいんですか?教えてくれないとわかりませんよ?」

そういうことですか、この小悪魔め!

モバP「・・・アーンしてください」

美波「ん?なんですか?」

モバP「アーン」

美波「はい!アーン。・・・うん美味しい」

ご満悦の美女三人に比べて
向かいの席の友人たちは冷え切っていた。

「お前とは今日で終わりだな」
俺に向ける目はそう語っていた。

勘弁しください。鬼さん悪魔さん。
卒業してもつるめる友人は貴重なんです。
大事な親友なんです。

学生時代、金がない時も友人達と安酒飲んで朝まで無駄に熱く語ったり
終電逃して片道20kmの道のり一緒に歩いて帰ったり、ナンパに挑戦して失敗したり
笑ったり喧嘩したりしながら過ごした。
そんな青春が蘇り少し泣きそうになった。

でも良く考えたら俺が悪いのかもしれない。
事務所の皆の気持ちを無下にして、騙して合コンに参加した俺の。

これから本当に仕事を恋人友人にして生きよう。


美波「なーんてごめんなさい兄さん。ちょっとからかい過ぎちゃいましたね」

美波の一言に固まっていた男三人がハッとなる。

文香「申し訳ありません。私たちとの約束を破ってこういう場にいる兄に、少し仕置をしようということになりまして。兄様反省していただけましたか?」

愛梨「まったくPさ・・・お兄ちゃんはメッですよ!」

友人A「んー?どういうこと?」

死んだ目をしていたAに光が戻る。

美波「愛梨ちゃんが親戚だって話は聞きましたよね。実は私と文香さんもそうなんですよ。子供の頃からの癖でつい兄さんって呼んでしまうんです」

聞いていたわけでもないのに、俺が話しそうなことはお見通しというわけだ。

文香「今日は親戚で集まる日だと決まっていたんですが、兄が仕事と偽ってこういう場に出席しようとしてると聞きまして」

愛梨「私たちもムッときちゃって、知り合いのつてを使ってちょっと懲らしめようってなったんです」

少し矛盾はあるがこれに乗っかるしかないようだ。

モバP「いやーごめん。どうしても合コン出たくってさー。集まりはまたあるからいいかなーって」

友人B「おいおい、お前それはまずいだろ。先にいえば日程の調整ぐらいできたのに」

友人A「まあまあ、そのおかげで三人と出会えたわけだしさ」

友人二人に笑顔が戻る

美波「すみません兄へのお仕置きは完了しました。もう一度自己紹介から始めましょう」

それからの三人の話術は見事だった。
連絡交換やデートの誘いをうまくかわし
それでいて相手が不快にならないように会話を回していく
美波はとにかく愛梨や文香もすごく上手だった。

誘いの多い芸能界で海千山千の業界人をかわし続けている彼女たちにとって
素人を手玉にとるくらいわけないということだろう。

表面上は大盛り上がりのうちに会は終了した。


その後三人は二次会の誘いを丁重に断った、

文香「すみません。この後親戚の集まりに兄を連れていかなければいけないので」

美波「おじさんにこってり絞ってもらいますからね」

言い訳も良くできてる。
AとBも満足げに帰っていった。
なんとか友情も守られた。めでたしめでたし

美波「めでたくないですよPさん」

文香「大事な案件の打ち合わせ」

愛梨「ぜんぶウソだったんですね!」

モバP「それについては謝るけど、だいたい君達もあんな場に出てくるなんて非常識だぞ!バレなかったらよかったものの!」

相手の痛いところをついてプロデューサーの威厳を取り戻す大作戦。

文香「大事な案件の打ち合わせは合同コンパのことでした。そう事務所全体のメッセンジャーグループに送信しておきますね」

モバP「やめてください死んでしまいます」

ダメでした。

美波「あそこのお店は346系列なので大丈夫です」

愛梨「いざとなったら数時間の記憶がなくなる薬があるからって」

なにそれ怖い。誰からの入れ知恵だ。

モバP「悪かったよ。もうみんなが不安になるようなことはしない」

しばらくは仕事を恋人するしかなさそうだ。
それも悪くないだろう。

愛梨「えへへお兄ちゃん」

愛梨が急に腕に絡みついてくる。
なにをするんだ急に。

愛梨「だってお兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんですよね?」

いやそれはさっきの場切り抜ける為の方便で
しかも君たちが考えたやつじゃ

愛梨「また嘘つくんですか?」

それを言われると弱い。
答えあぐねていると文香がもう片手握ってきた

文香「まさか振りほどいたりしませんよね?兄様」

そういって肩に頭を乗せてきた。

美波「はいはい二人ともそういうことはこの後ゆっくりやりましょう」

美波さんこの後とは?

美波「あれ?だって兄さんはこの後送ってくれるって言いましたよね?」

美波「私たちもまだ言いたいことがあります。きっちり受け止めてもらいますかね」

愛梨「これがいわゆるお持ち帰ってやつですね!私初めてです」

それはそう意味ではない。いやあってるのか?

文香「妹萌え文学の嗜みですよ兄様。荻野朔太郎さんもそういってました」

妹にラブレター送った人と一緒にしないで、
そもそも兄じゃないし。

美波「さあいきますよホラホラ」

引き摺られるようにしてタクシーに乗った。
向かう先はどこなのだろう。
色々諦めて事の顛末に身を預けるようして脱力した。

昨日はひどい目にあった。やはり合コンなんて、慣れない事するべきじゃないな。
そんなことを思いながら出社するとちひろさんが鼻歌を歌っていた。
どうせロクデモナイことだろう

モバP「随分ご機嫌ですね?」

ちひろ「いやー臨時収入が入りまして、これから定期収入としても見込めるんですよ」

本当にロクでもなかった。

席についてとメッセージがきてることに気づく。Cからだった。

友人C「いやー昨日はお疲れ、なんか結構盛り上がったけど釣果はなかったんだって?」

あったことはあったけど、釣られたのは俺だけど。
「まあ色々大変だっけそこそこ楽しかったよ」
と返信する。

友人C「埋め合わせと言っちゃなんだが、また合コン企画したんだけど、どうよ?」

もう合コンはうんざりだ。
断りを入れようとしたら、またメッセージ

友人C「今度はなんとJKだぞ。まあ流石にエロいことは期待できないけど。飯食うだけどもさ?日程は大体これ位でさ?」

ちょっとCさんJKはまずいですよ。
いくら俺でもそんくらいの分別はあるんだぜ。

俺はメッセージに二文字だけ返信すると
カレンダーに赤丸をつけた。

終わりです。
稚拙な文章読んでいただきありがとうございます。

実は先日事前に可愛いと聞いていたJDと合コンがありまして、
きっとこの三人のような美女が来るんだろうなとウキウキしながら当日会場に向かうと
可愛いJDが待ってるはずの席にはボストロール三姉妹が待っていました。

もりもり飯を食らうモン娘を見て心が折れそうになりましたが、
自分は猛獣の飼育員だと思うことでことなきを得ました。

皆さんも合コンの時は最低限写真の交換はしておきましょう。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年10月12日 (木) 22:23:36   ID: EvEV6KUP

まぁ、がんばれ。

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