デレマス×ワールドトリガーのクロスSSです
(ワートリキャラは出てきません)
バトル物ですが、出血・死亡等残酷な描写はありません
設定は基本ワートリ・デレマス両原作準拠ですが、一部独自解釈・改変をしています
基本台本形式、戦闘シーンは地の文が入ります
上記の内容でも良い方はお読み下さい
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507432889
──本部長室──
P(ボーダー本部長)「新田隊、A級部隊昇格おめでとう!」
ちひろ(本部長補佐兼外務・営業部長兼メディア対策室長)「そして私からもっ♪昇格おめでとうございます!私からのプレゼントは本部長の物と一緒に、新田隊作戦室に送ってありますからね!」
新田美波(新A級8位 新田隊隊長 オールラウンダー)「ありがとうございます、P本部長!ちひろさん!」ペコッ
P(ボーダー本部長)「ランク戦についてだが…
当然これからはこれまでのB級ランク戦ではなく、A級のランク戦に参加してもらう。これでランク戦に参加しているA級部隊は全部で8隊になったから、新田隊はA級8位からのスタートだ。ほら」ピッ
美波「!」
A級 チームランキング
1位 木場隊
2位 片桐隊
3位 速水隊
4位 鷹富士隊
5位 向井隊
6位 和久井隊
8位 新田隊 New!
美波「A級8位…新田隊…!」ドキドキ…!
相葉夕美(新田隊 ガンナー)「や、やっと実感が湧いてきたかも…!」ドキドキ
十時愛梨(新田隊 オペレーター)「ふわぁ…!私、嬉しくて暑くなってきちゃいました~!」ヌギッ
夕美「だ、だめだよ脱いじゃっ!Pさん居るんだからっ!」バッ
美波「愛梨ちゃんっ!トリオン体だし、暑いのは気のせいだから!」アセアセ
愛梨「えへへ、そうでした~」
P「あーごほん…ここからは隊として格上のチームから囲まれてのランク戦になる。決して楽な戦いではないだろうが、更に上を目指して頑張ってくれ。応援してるぞ」ニコ
美波「はいっ!美波、頑張りますっ!」グッ
夕美「これからもよろしくね、新田隊長♪」キュ
美波「ゆ、夕美ちゃんっ…!いつも通り美波でいいから!」
夕美「ふふ、はぁい♪」ニコニコ
大槻唯(新田隊 オールラウンダー)「ふわぁ、ゆい達もついにA級かぁ~…!ヤバ、なんかドキドキしてきた!ランク戦ちょぉ楽しみだね~♪」
愛梨「でも、どうして財前隊の皆さんは昇格試験を受けなかったんでしょう~?私達と同じくらい強いのに…」
鷺沢文香(新田隊 スナイパー)「何か事情がおありなのでしょう…私には推し量りかねますが…」
P「ん~…時子がA級ランク戦にビビってたりしてな!」ハハッ
美波「ええっ、あの時子さんがですか!?…うーん、ちょっと考えられないです」タラー
夕美「あはは…でも確かに、試験の相手の木場隊も和久井隊もすっごく強かったもんね」
唯「ね~!特に木場さんとかまぢ強すぎっしょ!ゆいシールドごと真っ二つにされて落とされちゃったしー!」ニコニコ
P「真っ二つにされた話を嬉しそうにするな」
唯「てへっ☆」ペロ
文香「木場さん…いえ、木場隊は恐らく、あれでも本気では無いのでしょう…流石不動のA級一位…歴戦の猛者たる貫禄を感じる戦いぶりでした…」
P「まぁ…木場隊が試験で本気なんて出したら、どの隊も合格出来ないよ」
美波「さ、最後はなんとか木場さん落とせたし、受かったんだから結果オーライだよ!」
ちひろ「そうですよ?難しい試験に変わりはないんですから」
P「あはは、分かってますよ。新田隊は強いです」
文香「…」ニコ
愛梨「えへへっ…」テレテレ
夕美「向こうはのあさんの援護もあったから、私と美波ちゃんと唯ちゃんの三人掛かりでやっとだったね。それでも、私達の連携の勝利だよっ」ニコッ
愛梨「唯ちゃんの陽動、美波ちゃんの援護!そして、それを活かしたエースの夕美ちゃんが決めてくれました♪」
夕美「愛梨ちゃんの情報支援もね♪」
愛梨「あっ!えへへ、そうでした♪」
ちひろ「因みにあの後、木場さんが夕美ちゃんの事褒めてましたよ♪いい動きだった、って」
唯「まじー!?すごいじゃん夕美ちゃーん♪」
夕美「あ、あれは半分まぐれみたいなもので…えへへっ」テレッ
P「まぐれでも木場さんから1本取れる奴なんてそうはいないぞ?」
夕美「それはそうだけど…」
P「2丁拳銃の銃撃の合間にスコーピオンの剣戟を織り交ぜて隙を減らし、かつ攻撃に幅と厚みを持たせる夕美のスタイルは、磨けばもっと鋭くなる。頑張ってな」
夕美「…!はいっ!」パアァ
美波「夕美ちゃん、スコーピオンずっと練習してたもんね!」
夕美「うん、この前早苗さんに弟子入りしてら教えて貰ったから!それに美波ちゃんや唯ちゃんにも、いっぱい練習に付き合って貰ったしね!ありがとっ♪」ニコッ
モーミズクサイヨー♪ ソウダヨユミチャン! フフッ、ゴメンネ?
P「(早苗さんか…確かに彼女はスコーピオンと拳銃(ハンドガン)使いだし、師匠にはピッタリかもな)」
P「(もっとも早苗さんは左右両方にスコピ入れてるけど。両方にハンドガン入れてる夕美とはある意味逆のパターンだな。早苗さんはスコピがメイン武器、夕美はハンドガンがメイン武器だし)」
P「夕美、新しい技を覚えても無理にそれを使おうとして視野を狭めるなよ?動きが固くなって落とされやすくなるからな。あくまで『使える武器が一つ増えただけ』だ。いいな?」ポフ
夕美「もぉっ、分かってます!Pさん、私達もうA級なんだよ?そんなミスしませんっ」
P「あはは、ごめんごめん。一応な」
夕美「むー…(私、まだPさんに頼りない子って思われてるのかな…)」プクゥ
ちひろ「…!」ピクッ
ちひろ「…夕美ちゃん、今スコーピオンと拳銃のアステロイド(通常弾)は何ポイントくらいでしたっけ?」ニコニコ
夕美「スコピのポイントですか?使い始めたばかりなので、まだ5421ですっ。アステロイドは…(チラッ)9864です!スコピを入れた事で点が取りやすくなって、アステロイドもじわじわ伸びてきてますっ♪」ニコッ
唯「このペースならよゆーで10000乗っちゃいそうだよねー文香ちゃーん♪」ギュッ
文香「きゃっ…!は、はい…恐らく乗るでしょう…」
P「いちま…え?」
ちひろ「夕美ちゃんはシューター・ガンナーランキング5位ですよ?ねっ」ニコッ
夕美「えっ、もうそんなに行ってたんだ!知らなかった…」
P「うっそ」
唯「ほんとー♪」ペカー
P「夕美、手の甲見せて…ホントだ。9864」
夕美「もー、疑ってたの!?」プクゥ
P「い、いやそんな事ないぞ?」
夕美「どーだか!」
文香「他のポジションに比べ比較的威力が低く、点の取りにくいガンナートリガーで10000ポイント近くを取る事は…おそらく非常に困難です…。夕美さんよりポイントが上のガンナーは鷹富士隊の隊長…茄子さんのみだったと記憶しています…」
ちひろ「文香ちゃんの言う通り、シューター・ガンナーランキングでの5位以上のランカーは茄子さん以外は全員シューターですね。つまりガンナーだけに絞れば、夕美ちゃんはボーダー全体で2位の実力者です」ニコ
夕美「そ、そうだったんだ、最近ランキング見てなかったから…でも、えへへ…ちょっと嬉しいな」テレテレ
美波「ふふっ、本部長さん?」ニコニコ
唯「んふふー、Pちゃんポジション別5位の夕美ちゃんになんて言ったっけー?愛梨ちゃん覚えてるー?」ニヤニヤ
愛梨「はい、覚えてますっ♪」ニコッ
P「す、すまん夕美…いや、てっきりまだ9000前半くらいだと…お前ら成長早いなぁ」
夕美「もう、Pさんったらおじさんみたいな事言わないのっ♪まだ若いんだから」クスッ
P「よし…夕美」
夕美「うん?なぁに、Pさん?」
P「今度俺と個人ランク戦をしよう。夕美と戦いたくなった」ニッ
夕美「…!はいっ!(認められた、って事かな?ううん、どっちにしても嬉しい…!)」パアァ
美波「(ふふっ…良かったね、夕美ちゃん)」ニコニコ
P「一本も取れなくても泣くなよ?1万超え並みの実力を持つランカー相手に手加減はしないぞ」ニヤニヤ
夕美「なっ…!?泣きませんーっ!Pさんこそそんな大口叩いて、恥かいちゃっても知らないんだからねっ」プンプン
P「はいはい」ナデナデ
夕美「もー…ふふっ」ニヨニヨ
文香「…」ムゥ
愛梨「(夕美ちゃんいいなぁ…)」
唯「ねぇねぇPちゃん、戦いの話はそれくらいにしよ?」
P「そうだな、暑苦しい話はこれで終わりだ。よぉし、今夜は新田隊で昇格祝いに焼肉行くか!俺の奢りだ!」
美波「や、焼肉ですか…?(Pさんの前で臭う系のはちょっと…)」タラー
夕美「うーん…(勘弁して欲しいかなぁ…)」
文香「…ぁ…ぅ」←焼肉に挑戦してみたいけど言い出しづらい
P「あぁ、新田隊だけでやりたいのか。ごめんな。気を遣わなくてもいいから、楽しんで来な」ニコッ
美波「えっ?あっあの、そうじゃなくて…」
夕美「き、来て欲しいよ?けど、その…うぅ」モジモジ
唯「んもーPちゃーん、女の子相手に焼肉とかあり得なくなーい?」
P「え?そ、そうか?」
唯「まぁゆいはいいけどー。Pちゃんだから特別だよ?」ギュッ
愛梨「あ!唯ちゃんズルいですっ!私も、えいっ♪」ギュッ
夕美「あっ…!」
P「おっと…いきなり抱きついたら危ないぞ」
ちひろ「…」オォン…
文香「…」ピクッ
夕美「そ、そうだよ二人とも!それにPさんはお仕事中なんだからっ!こぉら、離れなさい!」
唯「やー♪」ギュー
愛梨「やーです♪」ギュー
P「仕方ないな…A級になっても甘えん坊は治らないのか?」ワシャワシャ
唯「きゃー♪」
愛梨「えへへ、くすぐったいですー♪」
夕美「もーっ…!」プクー
文香「…」ジトー
ちひろ「…本部長?」ゴゴゴ…
P「!…あーゴホン。お前ら、そろそろ離れて…」
コンコン ガチャ!
Pちひ新田隊「!」
速水奏(A級3位速水隊 隊長 シューター)「失礼しま…あら?昼間から女の子を二人も侍らせて…いけない人ね、本部長さん」クス
P「えっ!?ち、違っ」
文香「違いません」
P「文香!?」ガーン
文香「…」ツーン
宮本フレデリカ(速水隊 アタッカー)「おはぼんじゅーるー♪ザ・フランス人の宮本・エッフェルトゥンヌ・フレデリカでーす!んふふー、新田隊の皆おめでとー♪」
一ノ瀬志希(速水隊 オペレーター)「同じく帰国子女のアメリカン志希ちゃんでーす♪トゥンヌフレちゃんよりは外国人要素あるかもー?あ、A級昇格おめでとぉ♪」
フレデリカ「あはは、大事なエッフェル部分略されたー♪あっでもでも、トゥンヌフレちゃんって響きなんか可愛いね!」
志希「え、全然わかんなーい」シラー
フレデリカ「…!!」ガーン
塩見周子(速水隊 スナイパー)「はいはーい、フレちゃんのフランスっぽさと同じくらい京都なしゅーこちゃんですよーっと。美波ちゃん、速水隊からのお祝いの品だよー。全部これに入ってるから」スッ
美波「わぁ、大きな袋…!ありがとう、速水隊の皆!」
城ヶ崎美嘉(速水隊 オールラウンダー)「手渡しでゴメンね美波ちゃん、今日はプレゼント多くて大変でしょ?直接新田隊の作戦室に持ってけば良かったんだけど、アタシ達これからエキシビジョンマッチあるからさ」テアワセ
美波「ふふっ、大丈夫だよ。ありがとう美嘉ちゃん」
フレデリカ「…いじいじ」ショボン
P「こらフレデリカ、孤月の鞘で俺の背中をいじいじするんじゃありません。くすぐったいから」
フレデリカ「あ、じゃあ本部長がフレちゃんをいじいじするー?しちゃう?」ウワメヅカイ
P「s………………………せんわ」
ちひろ「その間は何ですか?」ニコニコ
P「…いえ何も」メソラシ
愛梨「あのぉすみません、エキシビジョンマッチって何でしたっけ~?ランク戦じゃないですよね?何かのイベントですか?」
ちひろ「外部向けの公開イベントのようなものです。ポイント&ランキング変動なしのランク戦用広域仮想空間での模擬訓練…いわゆる模擬ランク戦ですね」
愛梨「へぇ~っ…」
ちひろ「今撮影クルーが来てるんです。(私の支配下にある)〇〇局がゴールデン帯に放送するんですよ」ニコッ
愛梨「そうなんですかぁ。面白そうですね♪」
周子「そう言えばさ、新田隊の『エンブレム』はどんなマークにするか決まった?」
夕美「まだだよ。これから決めるの!」
唯「速水隊は唇のエンブレムだよね?」
奏「そう。セクシーな唇の中に、吸血鬼のように鋭く尖った歯が1本覗かせてるの。意味は…分かるかしら。新A級隊長さん?」ニコ
美波「えぇっと…な、なんとなく?」
奏「ふふっ、充分よ」
夕美「それで、速水隊はどこと戦うんだっけ?」
奏「木場隊と向井隊よ」
唯「木場隊…!A級1位の…」ゴクリ
文香「それと、全部隊一の瞬間火力と大胆な戦術が特徴の向井隊ですか…」
美波「その組み合わせって、誰かが決めたんですか?」
P「上層部の会議で決めた。美城司令、俺、ちひろさん、麗(マストレ)さん、真奈美さん、早苗さん、川島さん、楓さん、留美さんの合議だよ」
P「あ、ブラックトリガー使いの子達も居たっけな…何もしてなかったけど。えっと、まず木場隊から決まって、速水・向井両隊は真奈美さんの推薦。周りがそれに賛成する形で決まった」
P「もっとも、最終決定権があるのはちひろさんだけどな。メディア対策室長もやってるし」
ちひろ「3隊とも人気のチームですから♪」ニコッ
P「木場隊は言うまでもなくA級1位としての強さ…そして3隊共通して分かりやすい格好良さと美しさを兼ね備えてる。老若男女幅広い層に受ける人選だな。つまり…」チラ
ちひろ以外「「「(数字の取れる人選…)」」」チラ
ちひろ「?」ニコニコ
P「それに、まぁなんだ…鷹富士隊や片桐隊の戦い方はちょっとド派手というか、荒っぽいというか…あー…」タラー
ちひろ「仮想空間とはいえ仮にもこの街を守る立場である私達ボーダー隊員が、多少の損壊ならまだしも民家を次々と粉々に破壊しまくるような映像は…ちょっと組織のイメージ的に良くないかなぁと…あはは」タラー
新田・速水隊「「「(なるほど…確かに)」」」タラー
P「(片桐隊の早苗さんと心さんにはだいぶゴネられたな…『またテレビ出たい』って。もう充分出てるのに)」タラー
ちひろ「という訳で、この3隊に決まったのでした!ちゃんちゃん♪」ニコッ
奏「(この話は終わり、って事ね…)」
夕美「え、えーと…速水隊の皆頑張ってね!相手はA級だし強いけど、私応援してるよ!」
周子「…ん、相手はA級?夕美ちゃん、新田隊も来シーズンからは木場隊や片桐隊なんかとも何回も当たるんだよ?もちろんウチらともね。他人事みたいに言ってるけどさー」ニヤニヤ
夕美「あっ、そうでしたぁ…やだ、B級気分が抜けてないのかも。恥ずかしい~…」ホッペオオイ
奏「それに、A級には色んな仕事も振られるわ。忙しくなるわよ」クスッ
唯「んぅー、ゆい大丈夫かなー…ちょっと不安になってきたかも」
フレデリカ「だいじょぶだよー、こんなフレちゃんでも何とかやれてるから♪」ニコッ
唯「えーっ、フレちゃん元々何でもやればできる子じゃーん!」
フレデリカ「んふふ、ありがとー♪でも、唯ちゃんもやれば出来る子だよー?」
唯「!…えへへ、そぉかなー?」テレテレ
フレデリカ「うんうん、唯ちゃん出来る子ー!へいかもん、フレンチはぐはぐー♪」チョイチョイ
唯「やーんもーフレちゃん大好きー♪めっちゃはぐはぐしちゃうー☆」ギュー
フレデリカ「フレちゃんも唯ちゃん大好きぃ♪」ギュー
唯「あは、段々アガってきたかも♪」
フレデリカ「ほんと?良かったぁー♪ところで唯ちゃん、フレンチはぐはぐってなーに?」
唯「分かんなーい♪えへへぇ~」
フレデリカ「そっかー♪」
唯「でも楽しー♪」
フレデリカ「楽しいねー♪」
ワチャワチャワチャワチャ
P「…」
ちひろ「…」
奏「…」
文香「…」ペラッ
夕美「…」タラー
周子「(誰かつっこまんかい)」
志希「にゃはは、アッツアツだねー。志希ちゃんちょっと嫉妬しちゃうなー…」イジイジ…
フレデリカ「あらら~、ごめんねシキちゃ~ん。シキちゃんもはぐはぐ、しるぶぷれ~?」バッ
唯「おいで志希ちゃん、しるるぷれー!」バッ
志希「やたー♪んー、良い匂い…♪」ギュー ハスハス
奏「志希ちゃん、あなた最初からそれが目的でしょう?」
志希「…ソンナコトナイヨー♪」プイッ
奏「もう…」フゥ
フレデリカ「カナデちゃんもフレはぐする~?」
奏「素敵なお誘いだけど、遠慮しておくわ」
愛梨「(ふれはぐ…?)」
美波「ふふっ。相変わらず楽しそうだね、美嘉ちゃん」クスクス
美嘉「そりゃ外から見るとそうかもどけどさー…中にいると色々大変なんだって」クテン
美波「そうなの?」
美嘉「マジだって…」
志希「…」ソォーッ
周子「(おっ、失踪するか?)」チラ
P「志希。逃げてもいいが響子に言いつけるからな」
志希「に゛ゃ!?」ビクー!
周子「(あっ、瞬殺された)」
文香「…」ペラッ
P「さて、五十嵐隊にメッセージ送っとくか。五十嵐隊五十嵐隊…」パネルスッスッ
志希「ま、待って!ごめんなさい、行く、行くから響子ちゃんには言っちゃダメぇ!」グイグイ
P「分かった分かった、引っ張るな」
志希「…もー(ちょっと失踪ごっこして、本部長に構って欲しかっただけなのにー…)」ムッスー
P「…あ、美波。午後の防衛任務は片桐隊、輿水隊、綾瀬隊、岡崎隊と一緒だからな」
美波「あ、はいっ!」
周子「Pさーん、こんな日くらい新田隊の防衛任務のシフト外してあげてもええんとちゃう?」ツンツン
P「こんな日だからこそだよ。A級はボーダー全体の模範として見られるからな。新田隊なら変に気を緩める事も無いだろうが、そういう分かりやすいアピールは大事だ。…けど、まぁ周子の気持ちはよく分かるよ」ナデ
周子「んっ…そか(急に撫でたらびっくりするやん…別にええけど)」カァ…
奏「(ふふっ…周子の綺麗な白い肌も、良い事ばかりじゃないのね)」クス
美嘉「奏ちゃん、そろそろ行かなきゃ!」
奏「そうね、行きましょう…じゃ、Pさん。私達が舞う姿、ちゃんと見ててね?」ウインク
P「おう、ここから見てるよ」ニコッ
奏「ふふっ、ありがと」スタスタ
周子「んじゃ、自慢のイーグレットでキュートな拓海ちゃんのピュアなハートを撃ち抜いてくるわー」スタスタ
フレデリカ「じゃあアタシは自慢の孤月で一刀両断っ!ずっばーん♪」
志希「あたしは隊室でおひるね~♪にゃっ」
P「響子」ボソッ
志希「はっ!?(ビク-!)…ゴメンナサーイ」ハイライトオフ
美嘉「ほらほら、ちゃっちゃと歩く!」グイグイ
志希「オソウジガンバリマス…オリョウリトクイナンデス…キョウコチャンコワイ…」ヨタヨタ
奏「…あ、そうだ。美波」ピタッ
美波「!」
奏「新田隊の皆も…A級に上がったという事は、私達はもうライバルよ。当然だけど、当たった時は手加減しないから。遠慮なく勝たせて貰うわ」ニコ…
美波「勿論!私達だって負けませんっ!いつか速水隊も抜いて見せます!」
速水隊「…」ゴゴゴ…
新田隊「…っ」
ピリ…ッ
P「(青春だなぁ)」
美嘉「へー、美波ちゃんも言うじゃん。何隊を抜くって?」ニヤ
夕美「か、勝つもん!私、そろそろ10000超えそうなんだからねっ!」
周子「ところが夕美ちゃん。ウチの10000超えは3人、そしてこちらのフレ公はなんと20000超え!大変お高くなっております」
夕美「えっ、うそぉ…」
フレデリカ「いえーす、今月一点限りの大特価♪更になんとぉ!フレデリカをもう一つお付けしちゃいまーす♪」
周子「一点限りじゃないんかい」
唯「ぐむむ、ゆいの語彙力じゃ勝てない…!文香ちゃん助けて!」
文香「…」ペラッ
唯「って本読んでるしー!?んもー!」ユッサユッサ
文香「…」ガクンガクン
周子「締まらんなー」
奏「…ま、ランク戦の枠の外では同じボーダーの仲間だもの。防衛任務で一緒の時はまたよろしくね」ニコッ スッ
美波「あっ(握手…)…うん!こちらこそ、よろしくお願いしますっ」ギュッ
奏「(ふふっ…少し心配だったけど、気持ちでは負けてないみたいね。良かった)」
奏「じゃあまたね。さ、行きましょうか」フリフリ
バタン
P「やっと静かになったな」
夕美「ふうっ…一瞬空気がピリついた時の速水隊、なんていうか…迫力?威圧感?凄かったなぁ」
P「強者の風格って奴だな。本気の木場隊からのプレッシャーはもっと凄いぞ?真奈美さんなんて捕食者の顔してるからな。こんな顔」ガォー
美波「ふふっ。怒られちゃいますよ?」クスクス
唯「あ、木場さんに言いつけちゃおー♪」
P「えっ!?…そ、それは良くないんじゃないかなぁ唯ちゃん…」アセアセ
唯「んふふ、どーしよっかなー♪」ニコニコ
P「み、美波隊長…助けてくれ」プルプル
美波「うーん…じゃあ、今夜ウチに来てくれたら許してあげますっ♪」
夕美「えぇっ!?だ、だめだよぉ!」アセアセ
美波「えっ?いや、新田隊A級昇格の打ち上げをウチでやろうかなって思ったんだけど…ダメかな?」
夕美「…う、打ち上げ?」キョトン
美波「?うん、そうだけど…」
愛梨「いいですね!じゃあ美波ちゃん、お邪魔しますっ♪文香ちゃん、一緒に行こっ♪」
文香「はい、愛梨さんさえよろしければ…」
愛梨「えへへ、決まりですねっ♪」
夕美「え、えっと…じゃあ私も」
唯「夕美ちゃーん、なんだと思ったのー?」ニヤニヤ
夕美「えっ!?…な、何でもないよぉ!」カァ
唯「うりうりー、吐いちゃいなってー♪」
夕美「も、もー!何でもないってばぁ!」カアァ
唯「やーん夕美ちゃんかわいー♪」
夕美「もおぉ唯ちゃんのばかぁ!」ポカポカ
唯「きゃー♪」
P「うーん…美波の家か」
ちひろ「?どうかされたんですか?」
P「美波のお父さん、ちょっと怖いんですよね…ガタイも大きいし、見えない何かがお父さんの近くにいる気がするし、なんか髪と帽子が一体化してるように見えるし…」
ちひろ「えぇ…」
美波「………気のせいです♪」ニコッ
P「…そうかなぁ」
美波「はい♪」
P「…まぁそうだよな。んじゃ、お邪魔するよ。後で連絡くれな」
美波「分かりました!」
ちひろ「新田隊は確か、この後A級昇格についての雑誌のインタビューでしたよね?」
美波「はいっ!そろそろ行きます!皆、行こっ」
唯「はーい♪」
愛梨「志希ちゃん大丈夫かな…?」
??「大丈夫ですよぉ「きゃあっ!?」きゃんっ!?」ガンッ
佐久間まゆ(B級6位輿水隊 オペレーター)「いたぁい…なんで…?…あっ、トリオン体に換装するの忘れてました」ウルウル
美波「(びっくりした…)ま、まゆちゃん、驚かせてごめんね?居たの気付かなくて」ドキドキ…
まゆ「いえ、突然机の下から声を掛けたまゆが悪いんです…あぅ」ウルウル
星輝子(B級17位早坂隊 アタッカー)「だ、大丈夫か…?まゆさん…」ナデナデ
まゆ「はい…(Pさんにかっこ悪いところ見せちゃいました…うぅ)」ショボン
愛梨「あっ、輝子ちゃんだ!こんにちは♪」
輝子「フヒ…こ、こんにちは」オドオド
夕美「こんにちはっ♪」
美波「輝子ちゃん、こんにちは」ニコッ
机「」ガタ…
唯「!」ピクン
机「」シーン…
唯「机の下ちらっ♪」
森久保乃々(早坂隊 スナイパー)「ひいっ…!」ビクッ
唯「あは、乃々ちゃんみーっけ☆」グイー
乃々「ふぁっ…!も、もりくぼなんて、A級になってしまわれた皆さんに比べたらちっぽけな存在なんですけど…!だから、引っ張り出さないで欲しいんですけど…!」ズルズル
唯「んでPちゃんにパース☆」トーン
乃々「あぁ~れぇ~…」
P「森久保ゲットだぜ」ハガイジメ
乃々「ひぃあ…!?///い、今すぐ緊急脱出(ベイルアウト)したいんですけど…!む、むーりぃー…!///」ジタバタ
唯「あっはー♪乃々ちゃんおもしろーい!」ツンツンツン
乃々「ひゃわぁ!?///お、お腹はだめ…やめて下さいぃ…ひぃんっ!///」ビクビクッ
文香「…」ペラッ
夕美「こらPさん、唯ちゃん!乃々ちゃんをいじめないのっ!私達もう行かなきゃ!A級初日に遅刻なんてだめっ」
まゆ「あっ、まゆも輿水隊と早坂隊の皆と観戦する約束してたんでした…!名残り惜しいですけど、ここから出ないと」モゾモゾ
森久保「輝子さん、私達も…」モゾモゾ
輝子「あっ、そ、そうだな」モゾモゾ
P「おぉ、輝子もすっかりリア充だな」ニコニコ
輝子「何ィ!?わ、私がリア充…だとォ…!?」ワナワナ…!
P「え?うん。トモダチも沢山できたしな。俺は嬉しいぞ?」ニコッ
輝子「クッ…!リア充なんかに…リア充なんかに成り下がってたまるかァ!!ボッチの誇りを思い知れェ!!!私はジメジメした端っこの方でこのエリンギ君と二人で見…!!」チラッ
まゆのの「「…?」」キラキラ…!
輝子「ないぞ。一緒に見よう」プニッ
まゆのの「「はいっ♪」」ニコッ
P「ははっ」
ちひろ「ふふっ♪」ニコニコ
バタン
文香「…」ペラッ…ペラッ…
夕美「文香ちゃん!本に没頭しすぎだよぉ!間に合わなくなるってば!」グイグイ
美波「愛梨ちゃん達も手伝って!押しても引いてもビクともしない…!」グイグイ
愛梨「えっ、でも読書を邪魔するのはちょっと…」
夕美「そんな事言ってる場合じゃないでしょっ!?」
美波「うー…しょうがないっ。文香ちゃん、本は没収です!ほら行こっ?」グイッ
文香「っ!?やぁ…はなしてぇ…やぁ…」ウルウル
美波「うっ…」キュン
夕美「こ、こんなの反則だよぉ…//」
P「(幼児退行してる…かわいい)」
美波「ダメ…私には出来ない…ごめんなさい…」ホロリ
文香「…」ペラッ
唯「よいしょー」グイッ
文香「…」ペラッ
美波「ゆ、唯ちゃん!?何してるの!?」カアァ
夕美「わぁっ…!」カァ
唯「…お、お姫さま抱っこだよ!これで運べばいいっしょ!」
愛梨「うふふっ、唯ちゃん王子様みたいですねっ♪」
唯「へっ!!?///も、もー!やめてよぉ、ゆいもハズいの我慢してるんだからー!///」タタッ
夕美「ま、待ってよぉ!」タタッ
美波「えっと…し、失礼しました!」ペコッ タタッ
愛梨「おいてかないでください~!」タッタッ
バタン
ちひろ「…さ、私達はここで観戦しましょうか」ニコッ
P「はい。しかし…」
ちひろ「はい?」
P「拓海、今頃キレてるだろうなぁ…」
ちひろ「…後悔してます?」ニコッ
P「いや、全然」ニコッ
書き溜めここまで。更新は遅いです。
多分今日はバトルまで行かないかも…
──向井隊 作戦室──
向井拓海(A級5位隊 向井隊隊長 シューター 個人総合5位 シューター・ガンナー1位 もこもこ羊コス)「あンのヤロォ!!!何でこんな日に限ってアタシのトリオン体の見た目の設定変えやがった!!?」カアァ
大和亜希(向井隊 スナイパー シューター・ガンナー9位 スナイパー8位)「恐れながら隊長殿、隊長殿が可愛いマスコット枠だからではないでしょうか!」ニカッ ケイレイ
拓海「誰がマスコットだァ!?何でテレビにこんな姿晒さなきゃいけねぇんだ!せめてこの前のライオンとかにしろっての!!」ウガー
木村夏樹(向井隊 オールラウンダー シューター・ガンナー7位)「…拓海お前、だいぶ毒されてきてるなぁ」タラー
藤本里奈(向井隊 ガンナー)「あはっ、ライオンならいいの?たくみんウーケーるー♪」アハハハ
拓海「うるっせぇな!!///アイツ(P)のせいだよ!!!」
松永涼(向井隊 オペレーター)「まぁまぁ、落ち着けって。今更ダダこねたって仕方ないだろ?それより作戦を確認しよう。拓海、座りな」ポンポン
拓海「うぐ…わーったよ!ったく」
拓海「あー…で、今回の作戦の確認だが…」ドサッ キリッ
里奈「あっは、羊コスでマジ顔してるたくみんカッワイー!」パシャパシャ
亜希「あっはっは!羊さんのきもちになるですよ、でありますな!あっはっは」ゲラゲラ
拓海「撮るな!笑うな!///テメェら今すぐ蜂の巣にされてぇかオラァ!!」
夏樹「落ち着けってヤギ」
拓海「羊だァ!……いや羊じゃねぇ!ナシ!今のナシだ!!」カアァ
夏樹「そうか羊。落ち着けって羊」ニヤニヤ
涼「よろしく羊。羊隊長」ニヤニヤ
拓海「やめろぉ!///」マッカッカ
──速水隊 作戦室──
志希「さてさてさーて…奏ちゃん、今日はどーするー?」
奏(個人総合8位 シューター・ガンナー2位)「今日は『私』の方よ。っていうか、作戦はこの前話したでしょう?」
志希「そだっけ?」
周子(スナイパー4位)「ウチの天才様は適当で困るねー。もっとも、適当でも大丈夫だから困ってるんだけどさ」
フレデリカ(個人総合3位 アタッカー3位)「ノンノン♪ギフテッドでしょー?」
志希「正解デリカ~♪」ハイタッチ
フレデリカ「やったデリカ~♪」ハイタッチ
周子「どっちでもええわ」
美嘉(シューター・ガンナー10位)「アンタ達、いい加減気を引き締めないと!相手はあの」ポン
フレデリカ「!」
志希「!」
美嘉「木場た(ガシッ)い…し、しまった!」ガーン
フレしき「「捕まえた~!セクハラしろー!」」ドタバタ
美嘉「えぇっ!?や、やめてーっ!///」ジタバタ
周子「よーしよくやったお前達」スタスタ
奏「そのまま捕まえててね?」スタスタ
フレしき「「へい隊長!」」
美嘉「な、何するのよぉ…!来ないでぇ…!」←あられもないすがた
周子「こちょこちょこちょこちょ」ニヤ
美嘉「アッハッハッハッハ!!やめ、やめてぇ!!」ゲラゲラ
奏「ふぅーっ…♪」
美嘉「あっ、はぁんっ…んうぅっ…///」ビクッビクンッ
フレデリカ「うわぁ…///」カアァ
奏「っ…!?//」カァ…
周子「はい美嘉ちゃんえっちな声出したからおしおきー」コチョコチョ
美嘉「えっちっていうかアタシ耳はダメって周子ちゃんやめアッハッハッハッハ!!!」ゲラゲラ
てす
──木場隊室──
木場真奈美(A級1位隊 木場隊隊長 個人総合1位 アタッカー1位)「マップは『市街地B』か。さて…第一に警戒すべきは、速水隊が『どちら』の方で来るかだな」
高峰のあ(木場隊 スナイパー 個人総合6位 スナイパー2位)「速水隊…。するりと懐に入ったかと思えば、気付くと手の届かない場所へ消えている…狡猾な悪女宛(さなが)らに」
東郷あい(木場隊 アタッカー)「その上それぞれの基礎能力・連携力も高く、おまけに『ダブルエース』と来た。あの若さでA級3位とは…全く、将来が空恐ろしいよ」
八神マキノ(木場隊 オペレーター)「速水隊がダブルエースなら、ウチはトリプルエースじゃないの。それと、向井隊の火力も決して油断出来ないわ。隊長兼エースの拓海のトリオン量はボーダーでもトップクラス。それも全隊員の中で2位につける程」
あい「速水隊にはそのポイントを更に上回るフレデリカという怪物が居るんだがな。19歳でソロ総合3位という超天才だ。更に彼女はシールド技術も突出している…落とすのは極めて困難だ」
のあ「…それを言ったらあの隊はほぼ全員ランカーだし、天才ばかりよ。それに、必ずしもポイントイコール強さという訳ではないわ」チラ
あい「…そうかも知れないな」
真奈美「恐らく向井隊の狙いは、火力を活かしたトリオン効率度外視の先行逃げ切りだろうな。今回はポイント移動・ランキング変動無しのイベント戦。打算的に動いて2位狙い、などと半端な事はしないだろう」
あい「あぁ、そうだろうね。速水隊は…フフッ」
のあ「…気まぐれにそよぐ風を掴もうとしても、するりと指の間から逃げていくだけよ。それは私達にとっても同じ事…燃え盛る炎とは本質が違うわ」
あい「そういう事だな」
マキノ「(そよぐ程度じゃないでしょう。貴女達は…度し難いわね)」
真奈美「まぁ、いつも通り勝たせて貰うさ。会敵した子は私が全員斬る。フレデリカと拓海に限ってはそう簡単には行かないだろうが…分かってるとは思うが、この2人には1人でまともに当たるなよ」
あい「あぁ」
のあ「分かっている」
真奈美「よし」
マキノ「…真奈美、のあ」ジッ
真奈美「マキノ…あぁ。私が言い出した事だ」
のあ「…言われずとも分かっているわ」
あい「…さて。作戦通り、今回は私とのあ君は合流優先だ。私がそちらへ向かうから、君は『サイドエフェクト』を使って索敵を頼む」
のあ「」コク
真奈美「援護は頼むぞ。単騎であの子達レベルの相手に囲まれれば、流石に私も落ちる」
のあ「了解」
マキノ「フフッ…」
真奈美「?どうかしたか、マキノ?」
マキノ「いえ、何でも」ニコッ
マキノ「(一対一なら絶対に負けない…って事よね。それって)」クス
のあ「いずれにせよ問題ないわ。私達に勝ち越している隊は居ない。今回も私達が勝つ」
真奈美「その通り、私達は敗けない。敵性近界民(ネイバー)にも、そして仲間達にもだ」
あい「私達を最強と信じる若い子達の為、してその子達の越えるべき壁で有り続ける為…」
のあ「私達を信じてくれているPの為。そして何より」
マキノ「護るべき人々の為。その為に私達は戦い、そして勝つ」
真奈美「では行くぞ。戦闘開始だ」ザッ
あい「あぁ」ザッ
のあ「ええ」ザッ
マキノ「了解」スチャ
トリガーセット
(※at=アタッカー gu=ガンナー sh=シューター ar=オールラウンダー sn=スナイパー op=オペレーター)
木場隊 真奈美at あいat のあsn マキノop
アテナ神のエンブレム
木場真奈美 37241pt(孤月)
トリオン体設定(以下省略) 胸を小さくしている
メテオラ 弧月
シールド シールド
グラスホッパー 旋空(改)
バッグワーム 幻踊(改)
高峰のあ 16674pt(イーグレット改)
サイドエフェクト『強化視覚』
髪をショートにしている
バックワーム イーグレット(改)
シールド シールド
メテオラ アイビス(改)
グラスホッパー ライトニング(改)
東郷あい 8402pt(レイガスト)
レイガスト 弧月
スラスター 旋空
シールド シールド
バッグワーム エスクード
──向井隊 作戦室──
里奈「アタシ速水隊と戦うのニガテちゃんかもー。や、速水隊の皆は嫌いじゃないよ?むしろ大好きだし!ケドなんかさー、戦った時ウチらのペースでやりづらいってゆーかー」
亜希「あ、何となく分かるであります!何と言いましょうか、いつもするりと躱されるといいますか、上手く出し抜かれるといいますか…うむむ…」
夏樹「ハハ、あいつら何してくるか分からないからなぁ。速水隊だけは何度戦っても慣れないよ」
涼「そうだな、片桐隊の方がいくらか戦いやすいよ。単純で分かりやすい強さだしな」
拓海「あーもー、んな事ぁどうでもいいんだよ!逆立ちしても何しても絶対に勝てねぇって程の相手じゃねーんだ、テメェで勝手にテメェの士気下げてんじゃねぇ!」
「「「!!」」」
拓海「…うし、お前らよく聞け」
拓海「いいか、木場さんとフレデリカには絶対に一人で当たるなよ。まずは合流だ。最悪当たるとしても中距離(ガンナーの間合い)でだ」
夏樹「木場さんはのあさんの射程内じゃ、二人以上で当たっても厳しいぞ」
亜希「ええ…のあさんとあいさんを合流させてしまえば、かなり苦しい展開になるでしょうな」
涼「だから合流前に叩く。だろ?簡単じゃないが、やるしかない」
里奈「別に倒さなくても足止めで良くなくなくない?ってゆーか一人であいさんのあさん落とすのムリめだし」
亜希「しかしそこで点を取れないと、時間が経つにつれチームの地力の差でジリ貧になって押し負けますぞ?」
涼「そもそもウチらの火力なら、拓海+1人居りゃ崩せない事も無いんじゃないか?確実じゃないけどさ」
亜希「それはそうでしょうが、しかし…」
夏樹「まぁまぁ、ゴチャゴチャ考えても答えは出ないさ。相手は両方とも格上なんだ、安定の択を採って勝つなんて今のアタシ達じゃ無理な話…ならやる事は一つ。だろ?拓海」ニヤ
拓海「…ああ!オメーらよく聞け!トリオン切れ上等、バクチ上等の火力ブッパで先行逃げ切りだ!結果は0か100か!!出し惜しみはナシだ!!!いいか、アタシらの得意な射撃戦の土俵に引きずり込め!」
亜希「ハッ、了解であります♪」ビシッ
拓海「それにだ。速水隊の奴等を上手く利用してやるんだよ。上手くやりゃ木場隊に勝つのもそう無理な話じゃねぇ」ニヤァ
涼「あははっ、悪い顔してるなぁ」
拓海「向井隊A級5位。今は1位にも3位にも敗けてる。へっ、結構じゃねぇか!成り上がる楽しみがあと4回もあんだ!今回勝とうが敗けようが全部アタシ達の血肉にして成長して、今度こそテッペン(A級1位)取るぞぉ!!!」
夏樹「ハハッ、大きく出たな!けど、そういうアツいのは大好物だぜ!」
拓海「まずは合流!そんで片っ端から蜂の巣だ!やべぇ時は呼べ、アタシが全部なんとかする!っしゃ行くぞオラァ!!!」ザッ!
「「「オォッ!!」」」
向井隊 拓海sh 亜希sn 夏樹gu 里奈ar 涼op
5つの炎の中心にLAN AWAY?の文字のエンブレム
向井拓海 21375pt(アステロイド)
胸を小さくしている 羊コスにされている(今だけ)
アステロイド アステロイド
ハウンド ハウンド
シールド シールド
バッグワーム メテオラ
大和亜季 9465pt(イーグレット)
胸を小さくしている
バッグワーム イーグレット
スコーピオン アステロイド(突撃銃)
シールド シールド
FREE メテオラ(突撃銃)
木村夏樹 8773pt(ギムレット)
リーゼントにしている
バイパー(突撃銃) ギムレット(突撃銃)
メテオラ(突撃銃) アステロイド(突撃銃)
シールド シールド
バックワーム FREE
藤本里奈
ショートヘアにしている
レイガスト アステロイド(散弾銃)
スラスター FREE
シールド シールド
バックワーム FREE
──速水隊 作戦室──
奏「木場隊に対しては初動が鍵ね。ある程度転送運も絡んでくるけど」
周子「そうだねー、どんな状況でも安定して強いもん。結局あいさんとのあさんの合流を止められるかどうかかな」
志希「『突撃機動スナイパー』高峰のあ、『守護者』東郷あい、そして『最強の女』木場真奈美…一人一人のスペックが圧倒的だもんにゃー」
周子「なにそのネーミング。誰作?凛ちゃん?」
志希「んにゃー、テレビで言ってたー」
周子「あーね」
奏「…それと、木場隊に勝つ為には向井隊を利用する。脅威に感じてるのは向井隊だって同じなんだし」
美嘉「ま、向こうも同じ事考えてそうだけど」
周子「だいじょぶだいじょぶ。そういう騙し合い的な勝負なら、ウチ(速水隊)の方が2枚くらい上手だよ♪」
奏「さて…上手くいくかしらね。ハマれば良いんだけど」
志希「ダメだったらダメな時用の策を使えばいいよー。強敵相手の作戦なんて上手く行く事の方が少ないんだし♪」
周子「そーそー。お硬く形に拘ってたら、綻びからぽろぽろ崩れちゃうもんね。どんな時も柔軟に視野を広く…んーっ」ノビー
奏「美嘉はいつも通りサポート役と、段取りにズレが生じた時の調整役をお願いするわね。万能型の貴女だから出来る仕事よ」
美嘉「オッケ♪任せてよっ!『味方に点を取らせる』のは得意だから♪」
奏「ふふっ、点が取れそうなら取ってもいいのよ?」
美嘉「ん、りょーかい★」
奏「周子はカウンター狙撃(スナイプ)でのあさんと亜希を抑えて。フレちゃんや私達に手を出させない様に」
周子「はいはーい。逆に落とされちゃったらゴメンね?」
奏「ふふっ、そうならない為の準備でしょう?それに、あなたがそう簡単に落とされたりするかしら」
周子「そりゃ簡単には落ちないつもりけど、あたしアレ実戦で使った事ないからさ。新しい事を覚えた直後は落とされやすいってよく言うじゃん」
奏「それが分かってるなら大丈夫よ」
フレデリカ「んもー、大体でいーの大体で!アタシも使った事無いけどー♪」
周子「やー、タイミング間違ったら死にそうじゃん?だから志希ちゃん、指示頼むわー」
志希「おっけー♪完璧に指示シてア・ゲ・ル…♪」
美嘉「そこエロく言う必要ある?」タラー
志希「さっきのミカちゃんのやらしー喘ぎ声に対抗してみたー♪」ケラケラ
美嘉「ちょっ…はぁあっ!?」カァッ
志希「にゃはー♪」
奏「志希には、特に言う事はないわね」
志希「えー!?志希ちゃん寂しー!」ガーン
奏「貴女の事だもの、私の考えは全部分かっているでしょう?…でもそうね、敢えて言うなら…完璧な情報支援をお願いするわ」
志希「え、そんなの当たり前じゃん」ケロッ
奏「だから言ったじゃない」
美嘉「(いや、『完璧』は当たり前じゃないでしょ…)」
志希「あ、そだね♪けどそれでも口にして欲しいのが乙女心ってゆーかー♪」ニャハハ
奏「はいはい。最後に…フレデリカ」
フレデリカ「んん?」
奏「エースの仕事。任せたわよ」
フレデリカ「…うん、分かってる。カナデちゃんも隊長のお仕事、お願いね?」ニコ
奏「うん。任せて」ニコ
周子「(おっ、早くも戦闘モードのマジデリカやん。珍し)」
奏「皆聞いて、最終確認よ。ベストは拓海を木場さんに上手く『当てる』。けどこれは運が絡むし当然失敗する前提で動くけど、チャンスがあれば狙っていく」
周子「運良く出来たらいいなー、くらいの感じね」
奏「それでいいわ。で、次…第二希望は木場さんを私かフレちゃんが出来る限り『足止めをする』。あの人をフリーにしちゃったらあっという間に点差を広げられて、負ける事になるからね」
奏「そして他のメンバーがあいさんとの合流前にのあさんやあいさんを倒し、合流して残りを倒す。無理そうなら時間切れを狙う。木場隊に生存点を渡さないようにね」
奏「最悪二人を合流させてしまった場合は、私達も全員合流して一人ずつ倒す。最後の作戦の方が成功率は高く、そして望ましくないわ」
奏「木場隊は強いけど、全てにおいて私達より上という訳じゃない。そこに勝機がある。どうすればいいかは全員分かるわよね?」ニコッ
美嘉「もち!アタシがカリスマってトコ、見せてあげる★莉嘉も観てるしね♪」
周子「だいじょぶだいじょぶ。私達そこそこ強いしね」ニヤ
志希「数的有利、近接連携力…そしてウチ
(速水隊)の最大の強み、『どっち』で行くかという情報的優位性。きっちり理解してるよ~♪」
フレデリカ「…うん、アタシも大丈夫」ピィ…ン
周子「…おぉっ」
奏「(ふふっ、集中してるのね)」ニコッ
志希「(フレちゃん目力すごーい)」
フレデリカ「(新田隊も…本部長も生で観てる…!頑張らなきゃっ!)」
奏「さぁ…そろそろステージの幕が開けるわ。踊りましょうか」コツコツ
志希「にゃはは、それなんかアイドルみたいー♪」
周子「ステージ…踊る…あ、ほんまやね」
奏「アイドルか…ふふっ、それも悪くないかもね」
奏「(…あなた達と、あの人が一緒なら)」
速水隊 奏sh 周子sn 美嘉ar フレデリカat 志希op
セクシーな唇の中に鋭く光る牙のエンブレム
速水奏 13284pt(バイパー)
胸をあまり揺れない設定にしている
バイパー バイパー
シールド シールド
テレポーター エスクード
バックワーム FREE
塩見周子 10899pt(イーグレット)
バッグワーム イーグレット
FREE テレポーター
シールド シールド
FREE エスクード
城ヶ崎美嘉 8619pt(アステロイド)
胸を小さくしている
スコーピオン アステロイド(突撃銃)
テレポーター メテオラ(突撃銃)
バッグワーム エスクード
シールド シールド
宮本フレデリカ 24764pt(孤月)
その日の気分に合わせてネイルやメイクなどを変えている
グラスホッパー 弧月
シールド シールド
テレポーター 旋空
バックワーム FREE
今日のウワサその1
トリオン体の設定で、動くとバストが揺れたりして邪魔なので減量したり、あまり揺れない設定にしたり、気にせず生身のままだったり…逆にこっそり増量したりする隊員がそれぞれ居るらしい。
またトリオン体の容姿の設定で、長いと邪魔になるのでショートにしている隊員、結んでいる隊員、まとめている隊員、逆に伸ばしている隊員、そのままの隊員、定期的に設定している髪型を変えている隊員がそれぞれ居るらしい。
──ランク戦観覧室──
川島瑞樹(A級7位隊 川島隊隊長 シューター・ガンナー3位)「さぁてテレビの前の皆さん!本日解説を努めますのは、川島隊隊長の川島瑞樹とぉ♪」キャピッ
高垣楓(B級4位隊 神谷隊 オペレーター)「視聴者の皆様から頂いた十票(じっぴょう)の投票により選ばれました、実況の高垣楓でーす♪」フリフリ
瑞樹「んもぉ、テキトー言っちゃダーメ!こちら神谷隊オペレーター、高垣楓です!」
楓「ふふ、そうとも言いますね♪」ニコニコ
瑞樹「さて、簡単なルール説明!敵チームを一人倒せば味方チームに1ポイント!そして最後まで生き残ったチームには、その人数に関わらず生存点2ポイントが与えられます!タイムアップまでに2チーム以上生き残っていれば、当然どこにも生存点は入りません!」
楓「そして、最後に一番ポイントが高いチームが勝ち。ですね?」
瑞樹「その通りよ♪そして今回のマップ設定は『市街地B』!高い建物と低い建物が混在し、場所によっては非常に射線が通りにくい地形です!天候設定は晴れ!」
楓「通常のランク戦ではその時点で1番ランキングの低い隊がマップ選択権を得るのですが、諸事情により今回はこちらで決めさせて頂きました。お詫びに私手書きの洗濯券を3名様に…んぐっ」モガモガ
瑞樹「私達の居る大部屋のモニターにはバックワームを起動している隊員の位置も表示され、私と高垣オペレーターの声は戦闘中の隊員達には聞こえない仕様となっております!…こらっ」ボソッ
楓「んむー」
楓「…ぷはっ。川島さん、今回の対戦のポイントはどういった所でしょうか?」
瑞樹「そうねぇ…やっぱり、東郷隊員と高峰隊員の合流阻止を他の2隊が出来るかどうかじゃないかしら」
楓「なるほど。木場隊必殺のこの(↓)陣形ですね?」
↓狙撃による援護で更に強化
真奈美←←←←←←←←←のあ←→あい
暴れる 互いに守り合う
瑞樹「ええ。この陣形はとても強力だから、他の隊は陣形の完成を阻止する為に動かざるを得ない。その結果試合開始から木場隊の対応に追われてやりたい事が出来ず、後手に回る事になる場合もある。木場隊の持つ大きな強みの1つね」
瑞樹「向井隊は二人以上で行動して火力でシールドごと押しつぶす戦法を好んで使うから、バラけてそれぞれ対応しなければならなくなる可能性がある木場隊には相性が悪いと思うわ。もしくは、合流覚悟で向井隊も合流をするのもアリかもね」
楓「なるほど。では、川島さんはどの隊員に注目しますか?やはり川島さんと同じボーダーでたった3人の『リアルタイム弾道引き』バイパー使いの1人、奏ちゃんでしょうか?」
瑞樹「そうねぇ、確かに彼女には頑張って欲しいわ。けど、私は宮本隊員に注目したいわね。彼女、戦い方が面白いもの」
楓「ふふっ、そうですね♪」
瑞樹「それと、とってもキュートな姿に変身した拓海ちゃんにも注目よ!TVの前の男子諸君は見逃さないようにね♪」
楓「わぁ、どんな格好なんでしょう?楽しみですね~!」
『転送開始 転送完了まであと60秒』
瑞樹「隊員の転送が始まったわ。そろそろ戦闘が始まるわよー!」
楓「木場隊も速水隊も向井隊も、頑張って下さい♪」
瑞樹「…楓ちゃん、実況は真面目にね?それと、ちゃんとなになに隊員って呼ぶのよ?」ヒソヒソ
楓「はーい♪」ニコニコ
『転送完了 対戦ステージ『市街地B』 A級特別エキシビジョンマッチ 開始』
※大まかな初期転送位置
夏
フ
拓
の
真 奏
周
美
里
あ
楓「全隊員の転送が完了しました。各隊員はそれぞれ一定の距離を置いて、ランダムな位置からのスタートになります」
瑞樹「最初の転送位置がどこになるかも大事な要素よ。この配置は…向井隊がやや有利と言ったところかしら。反対に木場隊は運が悪かったわね。それぞれ遠くに転送されちゃったわ」
楓「そして開始と同時に各隊のスナイパー、そして速水隊の全員がバックワームを起動!速水隊、完全にレーダー上から消えました!」
瑞樹「誰が誰か分からなくする戦法は速水隊の常套手段ね。全隊、ここからどう動くかが重要よ!」
現在の各隊の取得ポイント
木場隊 0pt
速水隊 0pt
向井隊 0pt
──ランク戦観覧室 観覧席──
片桐早苗(A級2位隊 片桐隊 アタッカー 個人総合2位 アタッカー2位)「(始まったわね。速水隊は今回は『そっち』で来るのか…なるほどね)」
中野有香(B級1位隊 財前隊 アタッカー 個人総合9位 アタッカー5位)「ふふっ、楽しみですね…!どの隊に注目しますか、師匠?」
早苗「だーから師匠はやめなさいっての。他の子達まで言い出しちゃうじゃない」ツン
有香「あうっ。す、すみません早苗さん。皆さんはどうですか?」
早苗「分かれば良し…そうね、私は向井隊かしら。拓海ちゃんとは仲良くさせて貰ってるしね♪」
諸星きらり(B級8位隊 双葉隊 アタッカー 個人総合7位 アタッカー4位)「きらりは木場隊だよぉ!きらりの師匠のあいさんがいりゅからにぃ☆」
神崎蘭子(B級5位隊 二宮隊 アタッカー)「数奇な運命の導きか…もっとも、我は銀嶺の女神の魔力に惹かれたわ(あ、私も同じです!けど、私はのあさんが居るからですね~)」
乙倉悠希(B級8位隊 双葉隊 アタッカー 前々シーズンアタッカー10位)「私は速水隊です!セクシーでかっこよくて…!それにとっても強いですし、いつかはA級1位を取れるチームだと思います!」
早苗「確かにねぇ…みんな若いもの。あたしもそろそろ潮時かなぁ…(ロートルがいつまでもランキングのてっぺん近くに居座ってても仕方ないし…)」
有香「えぇっ!?そ、そんな…私、まだまだ早苗さんから教えて欲しい事が…!」ガーン…!
早苗「…あはっ、冗談よ!まだまだ若い子には負けないわ♪」ニコッ
有香「ほっ…良かったぁ」
早苗「…」
きらり「あ、そういえば蘭子ちゃん、飛鳥ちゃんはー?さっきまで一緒に居たよね?」
蘭子「我等の仮初の古城にて、黒き死神達の書物を紐解いていたわ(二宮隊の作戦室でBLE◯CH読んでました!)」
きらり「んぇ?」
──マップ東部──
のあ「(高層建造物…見つけた)」
のあは西側のスナイパーから狙撃されない様、ビルの東側から隣のビルと壁蹴りを繰り返し、瞬く間に屋上へ到達。音も無くふわりと着地した。
所持していたグラスホッパーを使わなかったのは、バックワームと同じ側に入れている為。同時に使えるトリガーは右側、左側それぞれ1つずつだけ。
つまり、グラスホッパーを使うとバックワームが解除され、のあの位置がレーダーに表示されてしまうのだ。
のあは姿勢を低くしながら屋上の西へ歩き、鉄柵をトリオン体の腕力で捻じ曲げて広げ、伏せたまま目を凝らし始める。
『強化視覚』のサイドエフェクトを使い、レーダーに映る光点が誰かやバックワームでレーダー上から消えている敵を発見する為だ。レーダーは敵の位置を教えてはくれるが、それが誰かは己の目で確認するまで分からない。
1分程「市街地B」全域を見渡し、のあはゆっくりと目を閉じた。
のあ『…2人見つけた。マップの北西、真奈美のすぐ近くにフレデリカが東へ向かっている。中央部からやや北東には拓海。誰かに奇襲を狙っている様子。マキノ、私の視覚データから全員に座標を』
マキノ『もう送ったわ』
真奈美『良くやった。フレデリカは私が取りに行く。拓海は落とせるなら落とせ』
のあ『了解』
のあはバックワームを翻し再び高層ビルの東側に戻り、飛び降りた。
のあ「(拓海はアイビスが通らない程シールドが硬い…ライトニングで奇襲ね)」
──マップ中央部──
試合開始から数分。マップの各地で、それぞれの戦闘の火蓋が切られようとしていた。
奏『周子、あとどれくらいで狙撃位置に着ける?』
奏は周囲に気を配りつつ、トリオン体の機能の1つである内部通信を使い、声を発さず周子と会話する。
周子『ん、遅くても1分。転送位置が割と良かっ』
奏「…!」ピクッ
志希『上空警戒!』
直後、二時の方向から民家の頭を飛び越えての凄まじい数のハウンド(誘導弾)が降り注いだ。
奏は志希の警告の前にシールドを展開、両防御(フルガード)し、2枚張ったシールドを1枚割られたものの、無傷で防ぎ切った。
奏「(…拓海ね、危なかった)」
シールドを選択する為にバックワームを解除した為、レーダーに奏の位置を示す光点が映った。
周子『…ん。頑張って』
返事はしない。機微は互いに分かり合っている。
奏「(…次)」
拓海「よォ奏。お前だったか」
住宅街の通りに、拓海が立っていた。
奏「素敵な挨拶をありがとう、可愛い羊さん」
相手の精神を揺さぶるのも、立派な戦術の1つである。
拓海「こっ…!」
真っ赤な羊が吠えた。
──マップ西部──
「旋空孤月」
フレデリカ「ッ!!」
東へと疾走していたフレデリカの左から突然の不意打ち。体の奥に響くような鈍い金属音が鳴り響く。
直線軌道の槍のような拡張斬撃がフレデリカの首に…もとい、フレデリカの握る孤月と首付近に展開された集中シールドに阻まれた。
彼女の同世代でも突出している反応速度とシールド技術が無ければ、あっけなく首を飛ばされていただろう。
しかし、真奈美の剣閃はフレデリカの予想以上に鋭かった。フレデリカの左の頬から顎にかけて浅く斬られ、トリオンの煙が漏れ出ている。
それにより警戒度が一気に引き上げられたフレデリカは、すぐに真奈美の旋空の射程外へと引いた。
孤月を両手で握り上段に構え、鋒(きっさき)を真奈美に向け柄を握る手に少し力を入れる。
フレデリカ「すーっ…ふーっ…」
紙一重の出来事に、フレデリカの頬を冷や汗が流れる。トリオン製の体に息切れの概念はないが、緊迫し強張った心を落ち着かせる意味で一度深呼吸をする。
真奈美「(あの一瞬で集中シールドを…よく防いだな)」
真奈美「悪いがフレデリカ、君はここでリタイアしてもらうぞ。ウチの2人は強いが、流石に君には敵わないのでな」ザッ
フレデリカ「…っ!(エースの…アタシの役目!)」スッ
フレデリカ『木場さんはアタシが足止めする!飛び回るフリしてアタシの戦いやすい地形に呼び込むからサポートお願い、シキちゃん!』ダッ
志希『了解。そこから東北東に向かって。あのマンションの陰辺りなら射線はあまり通らない』
フレデリカ『了解!』
周子『フレちゃんもう少し耐えてて。狙撃位置についたら援護するから』
フレデリカ『ありがとう!急がなくていいからね?』
周子『ん、お気遣いなくー』
フレデリカ「(のあさんがフリーな今、ここまで射線を通しちゃだめ…!射線が切れる場所で戦わなきゃ!)」
志希『周子ちゃんの向かってる狙撃位置からの射線だけがよく通るエリアを視界に赤く表示するね。いい感じに建物に囲まれてるから、フレちゃんなら動いてれば当たらないと思う』
すると、フレデリカから見て2時の方角の空間が薄赤く表示された。
フレデリカ「(あとはあそこに、逃げるフリして誘導するっ!)」
レイガスト・散弾銃(ショットガン)を持った里奈が、孤月・レイガストを持ったあいと対峙していた。
里奈が持つ方のレイガストはつい今しがた旋空を激しく打ち込まれたのか、端にはヒビが入り、煙を上げている。
里奈は反撃すべく、レイガストを盾にしながら深めに踏み込み散弾銃(ショットガン)を放つが、難なく躱され更に鋭く打ち込まれる。
里奈『あいさん居るとか聞いてないし!アタシが止めるパターンとかゲキヤバぽよなんですけど!りなくぼ、乃々ちゃんの気持ち何となく分かって来たんですけど!』
涼『落ち着けりなくぼ。乃々も最近頑張ってるぞ』
りなくぼ『分かってますけど~!』
あい「フフ、勝負を焦っているのかな?攻撃が単調で雑だぞ」
素晴らしい耐久力を誇る盾モードのレイガストといえど、攻撃を受け続けていればいずれは壊れる。里奈が持つそれも例外ではなく、ヒビが徐々に広がり始めていた。
里奈「くっう…!(レイガスト割られる…!)」
里奈『りょーちゃ、これやっぱアタシじゃ持たないっぽい!』
拓海『亜希、援護してやれ』
里奈「…!」
亜希『了解であります。しばしお待ちを』
涼『亜希が狙撃位置に着くまでなんとか持ち堪えるんだ。里奈があいさんを止めてるだけでも十分だよ』
里奈『うんっ!』
志希『奇襲警戒。さっきレーダーから近くの一人が消えたから、多分もう一人潜伏してるよ』
奏『了解。釣り出してそっちを落とすわ。どうせ拓海からは逃げられない』
志希の警告を受け、奏は拓海に悟られぬよう拓海から視線を外さないまま周囲に意識を向け奇襲に備える。
拓海「…んのやろ、よほどアタシにヤられたいらしいな…!いいぜ、シューターとしてどっちが上かタイマンで決めようじゃねぇか!!」
奏「望むところよ」
言うと同時に、奏は下げた両手から真下に大きな2つのトリオンキューブを出現させた。
拓海『(フルアタック…夏樹!)』
夏樹『あぁ!』
爆音が鳴り響き、住宅街の道路に風が駆け抜ける。
先程まで奏がいた寸分違わない位置を爆炎が呑み込んだ。夏樹がバックワームでレーダー上から消え、更にテレポーターを警戒しての死角からの奇襲範囲攻撃だ。
拓海「へっ、悪ぃな!一人じゃなくて二人だっ…ん?」
しかし、これも完全防御。生やした地面から動かせない代わりにシールドより高い耐久力を持つ壁トリガー、エスクードを3枚横並びに出現させ、身を隠していた。
奏「…見つけた。そこね」
拓海「クソッ釣りかよ!夏樹!」
拓海は奏を追撃すべく、トリオンキューブを出現させる。
夏樹「あぁ、集中砲火だ!」
拓海と夏樹が奏に向けて火力を集中させエスクードを破壊しようとしたその時、
夏樹「ぐっ!?」パキ…ッ
二人の視界の外、真上からバイパーのスコールが夏樹に殺到。
『戦闘体活動限界 緊急脱出(ベイルアウト)』
夏樹はトリオン体を破壊され、ベイルアウトした。
奏「(ふふっ、自分が今『攻撃する側』だと思ってたでしょ?そういう人って、周りが見えてないから倒しやすいのよ)」
対する奏には、傷1つ無かった。
楓『おぉ…!速水隊長、カウンター射撃で木村隊員を落としました!ぱちぱちぱちー』パチパチ
瑞樹『流石、上手いわね…!』
なんと奏はメテオラによる爆撃をエスクードで防いだ直後テレポーターで直上へ瞬間移動、そして同時に平面にしか映らないレーダーでの己の位置を偽装。更に夏樹の放ったメテオラの爆炎の陰に隠れ、肉眼での視認までカバーしている。
あたかもまだ地上でエスクードの陰に隠れている様に見せかけ、相手の意識の外から攻撃していた。
地面から生えたエスクードの辺りを注視していた拓海と夏樹の視界を掻い潜る様な弾道でバイパーを変化させ、夏樹に上からの攻撃を一切気付かせないまま倒したのだ。
しかしそれはあくまで咄嗟のアドリブ、百点満点とは行かなかった。
のあ「通したわね」
ライトニングの名の通り、雷光の様な弾丸が空を駆け抜ける。
奏「っ!」
ともすれば完璧とも言えた奏の動きの一瞬の隙を、遥か数百メートル東に居たのあは見逃さなかった。
空中の奏を撃ち抜いたのだ。
志希『弾道解析』
志希は奏に放たれた弾の軌道から即座にのあの位置を特定、そのデータを周子へ送信。
周子「よっ」
周子はそのデータを受け取りのあを発見、矢庭に引き金を引く。
五階建てマンションの屋上に潜伏していた周子のカウンタースナイプが、遥か彼方ののあの頭へ吸い込まれる様に飛んで行く。
のあ「!」
しかしのあは「強化視覚」で見切り、これを回避。代わりにのあの美しい銀髪が僅かに撃ち抜かれ、トリオンの煙となって霧散した。
楓『高峰隊員のの狙撃銃はA級特権で改造していて、他のスナイパーのものとは別物なんですよね?』
瑞樹『ええ、高峰隊員には数キロ先まで見通す「強化視覚」があるから、遠方の敵に対してもスコープを覗く必要がなく、それを外しているの』
瑞樹『代わりに付いている照準器の光を対象に当てる事で、スコープが無い狙撃銃での正確な狙撃を可能にしているのよ。因みに、ランク戦中はこの照準器の光は木場隊メンバーにしか認識出来ない様になってるわ』
楓『ふむふむ』
瑞樹『その為に構えてから撃つまでが一般的なスナイパーよりも遥かに早い。かつスコープを覗いていないから視野が極端に制限される事はなく、サイドエフェクトと元々の運動神経も併せて回避性能が極めて高いの』
楓『なるほど。それが高峰隊員が「突撃機動スナイパー」と呼ばれ、個人総合6位、スナイパー2位である理由なんですね』
瑞樹『ま、厳密に言えばそれだけじゃないけどね♪』
のあはすぐに民家の陰に隠れつつ、周子からの射線を切る。周子はのあを見失った。
周子「うっそ、あのタイミングでかわされたらどうしようもなくない?あの人狙撃通じないの?涼しい顔してるし…」タラー
のあ「(…今のは危なかった。流石ね、周子)」
遠方に居るのあは内心、冷や汗をかいていた。そんな事は無かったようだ。涼しい顔は生まれつきである。
周子『…まぁ終わった事は仕方ないか。志希ちゃん、のあさん見つけたよ。座標送るからある程度移動予測しといて。あと多分あいさんは南のこの点だと思う。のあさんと合流する動きっぽいし。タグ付けしといて』
視界の端に表示されたレーダーに目を遣りながら、志希に情報を伝える。
志希『はぁーい。んじゃのあさんの方にミカちゃん向かわせるね。今近くにいるから』
周子『分かった。あたしはここで拓海ちゃんをやるね。狙撃位置変えてるヒマ無いし』
志希『らじゃっ♪』
奏は直撃の寸前に狙撃に気づいたもののシールドの展開が間にあわず、咄嗟に空中で体を捻って辛くもヘッドショットを回避していた。
奏「…射線を通したのはほんの一瞬じゃない」
しかし完全回避とはいかず、奏の左腕の肘から先が吹き飛ばされてしまっていた。そこからはトリオンの煙が漏れ出ている。
トリオン体には当然痛覚はほぼ無い(欠損部位が分かる程度)が、大きな傷ほどトリオン漏れが激しい。トリオンが切れればゲームオーバーだし、そもそもトリオンそのものを弾にして打ち出すシューターには尚更影響は大きい。
──本部長室──
P「何だあの変態狙撃…清良さん然り美優さん然り、ウチのスナイパーは変態だらけだな」
ちひろ「狙撃銃3種入れててポイントが分散してる筈なのに、総合6位ですからね…」
P「…ちひろさん知ってました?あの人、実は晶葉が作ったアンドロイドなんですよ」
ちひろ「そういうホントっぽい嘘はやめて下さいっ。年少組に言っちゃだめですよ?」メッ
──マップ東側──
奏の左腕を奪ったライトニングを携えたのあは、周子の予想通りあいの居るマップ南側へと疾走していた。
のあは当然周子の予想に気付いている。それでも素直に行動しているのは、それが最善で、バレたところでなんの問題も無いと確信しているからに他ならない。
のあ『ごめんなさい。外したわ』
マキノ『次はしっかり当てて』
のあ『ええ』
のあにとって、「狙撃で相手を仕留められない」事は「弾を外した」事と同義である。そう思わせるのは、のあのスナイパーとしての矜持だろうか。
のあ『あいは何をしてる?動きが無いようだけれど』
あい『済まない、里奈君に足止めされている。挙動を見るに時間稼ぎか、または増援を待つ狙いだろう。相手はあの向井隊だ、1対2になると突破されるかもしれない』
のあ「了解。すぐに向かう」
あい『頼むよ』
のあはライトニングを破棄し、身軽になった事で更にスピードを上げた。
のあ「(…やはりショートヘアは走りやすい)」
のあは、戦闘用の髪型も結構気に入っていた。
──観戦室──
きらり「うっきゃあ…!」
早苗「奏ちゃん上手いわね…夏樹ちゃんの襲撃ポイントもタイミングも良かったけど」
悠希「凄い…!初見じゃアレは防げませんよ…!」
有香「どうでしょうか…私は、夏樹さんの残心が甘い様に思えました」
早苗「そうね。けど、それを誘ったのは奏ちゃんよ?並じゃあんなに素早く切り返せないわ」
悠希「(ざんしん…斬新?奏さんの戦い方の方が斬新だったって事かなぁ…?)」キョトン
蘭子「銀嶺の女神の雷撃にも、我が目を見張るものがあるわ!(のあさんの狙撃も凄かったです!!)」キラキラ
早苗「のあちゃんはいつもあんな感じじゃない。一瞬でも射線が通れば9割方当てるわよ。少なくとも、本体かシールドのどちらかにはね」
蘭子「確かに…(然り…)」
悠希「周子さんのカウンタースナイプ、何がいけなかったんでしょう?私にはタイミングも完璧に見えたんですけど…」
早苗「何がいけないとかじゃないわ。『強化視覚』を持ったのあちゃん以外のスナイパーならあれで落ちてる。悠希ちゃんの言う通り、あれはそれくらい完璧だった」
悠希「スナイパー1位の清良さんでも、ですか?」
早苗「多分ね。もっとも、清良ちゃんならあそこでは撃たないと思うけど。のあちゃんはカウンタースナイプを躱す自信があるから撃ったのよ」
きらり「蘭子ちゃん、のあさん凄いねーっ!」キラキラ
蘭子「フフーン!」ドヤァ
有香「(な、なぜ蘭子ちゃんが得意顔を…)」タラー
輿水幸子(輿水隊隊長 スナイパー)「ふぇっくしゅ!」
姫川友紀(輿水隊 シューター ガンナー・シューター8位)「どしたの幸子ちゃん?風邪?」
小早川紗枝(輿水隊 アタッカー)「あらあら幸子はん、お腹出して寝てたりしてまへんか?ぼーだー隊員は体が資本、どすえ?」
幸子「してませんよ!なんだかボクのアイデンティティーがクライシスした気がしたんです!」
<??「ヘックシ!…ニャ」 ??「ドシタノ ミクチャン?」
友紀「あはは、気のせいだってーよーしよしよし」ワシャワシャ
幸子「めふっ…ちょ、友紀さん!ボクはカワイイのでつい撫でたくなる気持ちは分かりますが、そんな犬みたいに…!むぇまうぅ…ほっぺをこねないで下さい!友紀さん!…まゃふ!」ワッシャー
まゆ「そうですよ、友紀さん。もっと優しく撫でてあげないと」
友紀「はーい」パッ
紗枝「髪がくしゃーってなって…うちが戻したるさかい、おとなしゅうしといてなぁ」スッスッ
幸子「はい…」
友紀「幸子ちゃんごめんねー?なんてゆーか、幸子ちゃんへの愛が溢れちゃってさ!あははっ」ニパー
まゆ「愛…!」ハッ
まゆ「愛なら仕方ありませんね…まゆも分かります。どうぞ」グイッ
幸子「へっ!?まゆさん!?」ガーン!
紗枝「…ま、たまにはかまへんか。乱暴する訳やなし」
幸子「そ、そんなぁ…!」
友紀「大丈夫大丈夫、今度はちゃんと優しくするから。ねっ♪」チョイチョイ
幸子「はい…」
友紀「よしよし、カワイイカワイイ♪」ナデナデ
幸子「もぉ…最初からそうして下さいよ…」
友紀「だからごめんってー」ナデナデ
早坂美玲(早坂隊隊長 アタッカー)「あはは、友紀はなんだか妹みたいだな!紗枝とまゆがお姉ちゃんみたいだ」
友紀「えー?あたし一応20歳なんだけどなー。まぁどっちでもいいけどね」
輝子「友紀さんも、いざという時はちゃんとお姉さんしてるぞ…?フヒ」
友紀「そうかなー?」
まゆ「うふ、そうですよ♪」ニコッ
紗枝「せやで?頼りにさせて貰ってます」ニコ
友紀「…えへへ」テレテレ
乃々「(森久保を挟んでチームの絆が深まってます…正直居づらいんですけど…ベイルアウトしたいんですけど…)」
今日はここまで。続きは明日以降に投下します
それでは、おやすみなさい
──向井隊 作戦室──
ランク戦で戦闘不能、すなわちベイルアウトした者はトリオン体が解除され、生身になってそれぞれの隊の作戦室のベッドに再転送される仕組みだ。
夏樹「くっ、バイパーか…やられちまったぜ。相変わらず奏の攻撃は読めないな」ムクッ
涼「お疲れ様、夏樹」
夏樹「…悪いな、早々落ちちまって」
涼「謝るな。ありゃ仕方ないさ」
夏樹「あーあ、後でだりーの奴がうるさいだろうなぁ…んんっ」ノビー
涼「フフ、そうだな」
楓「高低差を利用してレーダーの目を誤魔化す…あっ!これ、丹波隊のエースのあやめちゃ…浜口隊員がよく使う戦法ですよね?恐らく浜口隊員の方がその戦法における練度は上でしょうけど」
瑞樹「そう、浜口隊員はスパイダーにカメレオンを併用して更に戦術の完成度を…ってこれは今は関係ないわね…失礼♪」
瑞樹「…こういう所が速水隊の強さよね。全員が瞬時の駆け引きや読み合いに長けている。使ってるトリガーもそうだけど、A級の中でもかなりトリッキーな部隊ね」
楓「1対1に見せかけた2対1からの奇襲を受けてなお、隙をついて一人落とすなんて…いやはや、みなおましたね、速水隊長。ウチの隊長の奈緒ちゃんもびっくりです…ふふっ」ドヤァ
瑞樹「…」タラー
楓「…今のどうですか?上手く言えたと思うんですけれど…!分かります?」キラキラ
瑞樹「…わからないわ」
楓「あら残念。うふふっ♪」ニコニコ
瑞樹「(楓ちゃん、我慢出来なかったのね…)」ハァ
拓海は奏が狙撃され着地が崩れた際に生じた隙を見逃さず、畳み掛けた。
奏のトリオンキューブより一回り大きなそれを両手から出現させ分割、空中に浮遊させたまま拓海の周囲数メートルの範囲に散らばらせ、
拓海「ハウンド!」
拓海が発射の意思を発すると共に125+125分割の合わせて250発、射程と威力に重きを置いたやや低速のハウンド(誘導弾)の雨が奏に一斉に襲い掛かった。
奏「(テレポーター!)」フッ
奏はその誘導半径を読み切り、ギリギリの所でワープした…
拓海「(視線の先数十メートル…捕まえたぜ!)ギムレット!」
が、それは敢えて弾速を下げ避けやすくし、奏の「逃げる先」を自分の狙い通りに誘導した拓海の掌の上でしかなかった。
やや低速なのも、奏のギリギリまで引きつけて躱すという挙動を予測し、合成弾を練る数秒の隙を捻出する為だ。
アステロイドとアステロイドを合成し更に貫通力を高めた合成弾、ギムレット(徹甲弾)。アステロイドとは比べ物にならない威力を誇る。
拓海から放たれたそれのおよそ半数が奏に直撃、胴体を吹っ飛ばした。
拓海「(あの奏がノーガード…シールドが間に合わなかったってこたァねぇ、まだだ!)」
奏「(私のトリオンじゃ、どうせ貴女の攻撃は防げないもの…だったら)」
トリオンで構成された奏の体が霧散する中、奏は確かに微笑んだ。
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
ここで奏もリタイア、ベイルアウトした。
直後、ベイルアウト時のトリオン体の爆散による煙幕の中から、大量のバイパーが拓海に向かって飛び出してきた!
拓海「そういう事かよ!(シールド!)」
奏は拓海のギムレットを防げないと判断、すぐさま防御を捨てて最期の両攻撃に切り替えていた。
数多のバイパーがカクカク曲がる不規則な弾道で拓海のいる方へ飛行した後、数メートル手前で一気に収束、1点を狙い撃った。
しかし、シールドの硬さはトリオン量に依存する。極めて大きなトリオンを持つ拓海のシールドは、かなり優秀な部類のトリオンを持つ奏の攻撃といえど破る事は出来なかった。
…だが、「トリオン体」の耐久力は全員一律。ボーダーの隊員なら、誰もがC級時代に青木四姉妹から教わる事だ。
拓海「うおっ!?」ボッ
奏は放ったバイパーを一本だけ地面から左側の民家の塀と地面のちょうど境目、直角の窪みに沿うように弾道を引いていた。
それが拓海の死角から突き刺さり、拓海の胸部、トリオン供給器官に迫る。しかしそれに気付いた拓海は直前でヒットポイントをズラし、奏の置き土産は拓海の右肩に大きな穴を開けた。
拓海「(コイツだけ速え…最初からこっちが本命か)」
奏は命中率を上げる為にこの一本だけ威力を下げ、弾速を上げていたのだ。
バイパーを1点に収束させたのも、拓海がシールドの耐久力を上げる為にシールドの範囲を狭める事を見越したものだった。
もしバイパーを拓海を包むような全方位攻撃の弾道で放っていれば、拓海も全方位のシールドでガードし、最後の一発すら通らなかっただろう。
拓海が肩を撃ち抜かれた直後、マンションの屋上がパッと光った。
拓海「あ?」
しかし、拓海はこれを通常範囲のシールド1枚でガード。
並のトリオンの隊員ならば集中シールドで的を絞り、耐久力を上げなければイーグレットの弾丸を防ぐ事は不可能だ。拓海の持つ豊満なトリオン量だからこそできた事だろう。
周子「シールド硬った~!2連続狙撃失敗とかいつぶりやろ、自信なくすわー」
口を尖らせてぼやきつつ、周子はその場から走り去ろうとイーグレットを脇に抱えて地面を蹴る。
拓海「メテオラ!」
周子「ひゃあぁ!?」
拓海の極めて大きなトリオンから放たれる8分割メテオラの威力は夏樹の無分割メテオラの比ではなく、最初の4~5発で五階建てのマンションの上半分を完全に吹き飛ばした。
足場を失った周子は、崩落するマンションと共に真っ逆さまに落ちていった。
拓海「(右腕は動かねぇな…ま、問題ねぇか)」
瑞樹『ガンナーは銃トリガーを手で抱え、指で引き金を引いて弾丸を放っているから、腕を失うのは致命的なの』
瑞樹『対してシューターはトリオンキューブを意思1つで出現・分割・射出させる事が出来るから、戦闘中に腕を失っても同じように攻撃が出来るの。シューターがガンナーより有利な点の1つね』
周子「ぷえっ!ぺっ!けへっ、けへっ…びっくりしたー。もぉ、荒っぽすぎでしょ。めっちゃホコリついたやん」
周子「この距離だと自主ベイルアウトは出来ない…ね。やられるのは時間の問題か」
ランク戦では敵が半径60メートル以内にいる時、自主ベイルアウトは出来ないルールとなっている。
周子「ま、逃げるのは苦手じゃないしね。時間稼ぎになればよし、ゆるりと行きますか」
周子「…もちろんただじゃ落ちてあげないけどね。この状況を利用するには…っと」
瓦礫に埋まった体を引っこ抜き、土埃をはたきながら拓海のいる方向とは逆の西へ走り出した。
拓海「ハウンド!」
ハウンドの追尾方法は2つある。トリオンを感知して追尾するトリオン誘導と、視線の先に向かう視線誘導だ。
周子が拓海の視界に入っていない以上、当然このハウンドは前者である。
天空へ向けて放たれたハウンド軍が、周子のトリオンを感知し山なりの弾道で追尾する。
拓海『周子を落としに行ってくる。里奈、あいさんはゼッテー止めろよ』
里奈『ちょ、アタシレイガスト割られそうだし!』
涼『拓海、ルート支援は任せな』
拓海『おう』
里奈『もぉー!』
拓海「(チッ、手応えナシか。まぁ想定内だ)」
拓海は周子を追いながら、考えを巡らせていた。
拓海「(木場さんとフレデリカがフリーにしちゃあ試合に動きが無さすぎる…西でカチ合ってる2人がそうだと思っていい筈だ)」
拓海「(となりゃあ敵のエース同士、潰し合ってくれてラッキーだな。向こうの決着が着くまでに出来るだけ点を稼がねぇと…多分それしかウチらの勝ちは無え)」
楓「速水・向井両隊、高峰隊員と東郷隊員の合流を阻止する動きですね」
瑞樹「木場隊員+高峰隊員&東郷隊員。木場隊の基本にして最強の陣形ね」
楓「総合1位の木場隊員を高峰隊員の狙撃サポートで更に強化し、相手を次々薙ぎ倒す単純な戦法ですね」
楓「そして高峰隊員の『強化視覚』の回避力と機動力、そしてA級ランク戦における被撃墜数の少なさでは全隊員中トップの防御能力を持つ東郷隊員」
楓「この二人が合流すれば、八神オペレーターの優秀な情報処理能力も手伝ってほぼ狙撃は効きません」
瑞樹「そして高峰隊員のカウンタースナイプで反撃されるって寸法ね。この陣形の強みの1つは高峰隊員の狙撃銃(スナイパーライフル)の長距離射程内に木場隊員が居ればいいから、高峰隊員と東郷隊員が合流するだけでほぼ完成する事よ」
楓「なるほど~」コクコク
瑞樹「あの二人を合流させてはいけない。なんて、A級界隈では定石化してるくらいよ」
楓「そうなんですか!知りませんでした~(棒)」
瑞樹「…そういうのはもっと上手にやってちょうだいね。解説する立場としては、実況が無知な人間を演じてくれるのはありがたいけど」タラー
楓「そんなむちや言わないで下さいっ。ムチで打っちゃいますよ?ぺちーんって♪ふふっ」
瑞樹「…楓ちゃん、いい加減にしないと」
楓「はい?」
瑞樹「5ちゃいになるわよ」ゴゴゴゴゴ…
楓「えっ」ビクッ
瑞樹「今」
瑞樹「ここで」ハイライトオフ
楓「ひっ…ご、ごめんなさい。ちゃんとします」プルプル
瑞樹「いい子ね。終わったら好きなだけどうぞ」
早苗「ま、ウチの隊はその2人が合流してからでも陣形を崩せるけどね♪シールドかったいからカウンタースナイプも基本的に効かないし」
有香「あぁ、あの『大砲』ですね…」タラー
悠希「片桐隊のトリオンモンスターですね!ブラックトリガークラスのトリオン量を持つスナイパー、雫さん!」
蘭子「絶大なる魔力を秘めし酪農乙女が、もしも妖精の司る黒き聖杯より選ばれし器であったならば…?(もし雫ちゃんがこずえちゃんの持ってるブラックトリガーの適合者で、それを使ったとしたらどうなるんでしょう?)」
有香「…えっ!?いやいや、ただでさえとんでもない破壊力なのに雫ちゃんがなんて…!」ゾクッ…
きらり「雫ちゃんがこずえちゃんのブラックトリガーを使ったらぁ…?ひゃわわわぁ…!」サァーッ…
早苗「…この街なんて一瞬で壊滅するでしょうね。焦土よ焦土」ハイライトオフ
悠希蘭子「「ひいぃ!?」」ガタガタ ギュウウウ
──速水隊 作戦室──
奏「ふぅっ…」ドサッ
奏「(夏樹に拓海の右肩。悪くはないわね…良くもないけど。落とそうと変に色気を出さず、バレにくい足を狙っていれば周子を逃がせたかもしれないのに…)」
奏「(…いや、反省は後。『隊長の仕事』はまだ残ってる)」
志希「おつかれー♪ナイスいってーん」
奏「…ありがと。皆、今からここで指示を出すわ。ここから突き放すわよ。まずはのあさんの狙撃をなんとしても抑える」
『『『了解!』』』
奏「(…ごめんなさい、師匠)」
~~~~~~
瑞樹「(良くやったわ、奏ちゃん)」ニコッ
楓「?」
一旦ここまで。続きは夜に書きます。
今日のウワサその2
隊員達の間では、同隊他隊に関わらず、戦闘や戦術を教え育てる師弟関係があるらしい。
現在弟子を持っているのはP・川島さん・早苗さん・楓さん・美波・木場さん・のあさん・あいさん・マキノ・清良さん・美嘉・亜希・奏・時子様・フレデリカ・紗理奈・きらり・有香、最後に匿名希望(17)。
P、早苗さん、川島さん、木場さん、あいさんには孫弟子まで居るらしい。
里奈「(ヤバ、もうすぐレイガストぱりんしちゃいそーだし!…でも再生成する隙なんてないし…あ、こればんじきゅーすってヤツ?)」
あい「旋空」
里奈「んぁうっ!?」
弧を描く拡張斬撃をレイガストで受けた里奈は、体勢を崩さない様に足を開いて踏ん張り、衝撃を受け切る。
建築系のバイトで体幹が鍛えられた里奈は、それを活かした体捌きで重心を落とし、レイガストで攻撃を安定して受けた後、返しの広範囲高威力のショットガンでシールドごとブチ抜いて倒すという戦法を得意としている。
あい「エスクード」
しかし、あいはそれを逆手に取った。
里奈「へっ?わあぁっ!?」
なんと防御用の障壁トリガーであるエスクードを里奈の足元から出現させ、体勢を崩したのだ。
あい「(フフ、重心を深く下げていたから咄嗟に動けないだろう?)スラスター オン!」
里奈「あっ!」
レイガスト専用のオプショントリガー、スラスター。レイガストの四隅からトリオンを勢い良く噴出させ、ブーストする。いわゆるレイガストの加速装置だ。
あいはコの字形に変化させたレイガストをスラスターで加速させ投擲。里奈を巻き込みながら民家の塀にめり込ませ、ガードがめくられ無防備になった里奈の両足を磔にした。
里奈はなんとか脱出しようともがくが、レイガストを投げて身軽になったあいは一気に里奈との距離を詰める。
もはや勝負は決まった。
あい「今回は私の勝ちだな」
里奈「…っ!」
里奈の首が刈られ、トリオン体の維持が不可能になった里奈はここで脱落した。
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
現在の各隊の取得ポイント
木場隊 1pt (里奈)
速水隊 1pt (夏樹)
向井隊 1pt (奏)
楓「ここで木場隊も1点!全隊横に並びました!」
瑞樹「けど向井隊は2人、速水隊は1人落ちてるのに対して、木場隊はまだ1人も落ちてないわ。この差は後々響いてくるでしょうね」
楓「藤本隊員が落とされた事で、戦況にはどういった影響があるでしょうか?」
瑞樹「向井隊はもちろん、速水隊も困ってるでしょうね。東郷隊員を止めていた藤本隊員が落とされた今、木場隊の2人の合流はもうほぼ止められない」
美嘉「(ヤバい、里奈ちゃん落とされちゃった…!早くしないと…見つけた!)」
美嘉「(アステロイドッ!)」
のあ「!」
視界の端にアステロイドの光を捉えたのあはグラスホッパーで後方に跳び、数メートル踵でブレーキをかけた後ピタリと静止した。
バックワームを解除した事で、のあの居る位置を示す光点がレーダーに表示される。
のあ「…美嘉」
美嘉『フレちゃんお待たせ、のあさん捕まえた!狙撃はもうさせないから安心して!』
亜希「(くっ、間に合わなかった…!向井隊はもう残り2人、私が何としても取らねば!)」
亜希「…!あれは…!」
亜希の視線の遥か先には、狙撃銃を持ってアタッカー(?)らしき相手と交戦するスナイパーらしき姿が見えた。レーダーにも映っている。
そんな芸当が可能なスナイパーなど、亜希の知る限り一人しかいない。
亜希『…隊長殿、のあ殿を発見しました』
拓海『!おし、やっちまえ』
亜希『いえ…遠目で見ただけで、まだ対象との距離は離れています。当然両者足も止めていませんし、上手く民家の陰で戦っているので射線も中々通りません』
拓海『…じゃあ、やる事は1つだな』
亜希『ええ。射線が通る距離まで接近して、漁夫の利を狙います』ニヤ
美嘉『フレちゃんお待たせ、のあさん捕まえた!狙撃はもうさせないから安心して!』
フレデリカ『…!了解!』
美嘉の通信を受けた時には既にフレデリカは満身創痍、真奈美の激しい猛攻に追い込まれていた。
周子が拓海に捕まり狙撃の援護を失った事で、均衡を保っていた戦力差が真奈美の方に一気に傾いたのだ。
左腕は落とされており、他にも胴体や脚には浅いものの切り傷が多数、全身からトリオンの煙が漏れている。
対する真奈美は傷はあれども2、3程で、どれも浅くトリオン漏出も止まりつつある。ダメージの差は明らかだ。
真奈美「そろそろだな…だがトリオン切れを待っている暇はない。決めさせてもらう」
フレデリカ「アタシもカナデちゃんに任されたんだもん…!負けないよっ!」
フレデリカ「(時間もトリオンももうないし…ここで決めなきゃっ!)」
フレデリカは孤月を握り直して軽く跳び、空中で前傾姿勢を取る。グラスホッパーを空中で連続使用して真奈美のいる方向へ一気に加速、真正面から突撃した。
真奈美「(捨て身か?…いや違う、狙いは何だ?)」
フレデリカの狙いを決めかね、様子見として防御体勢に入る。フレデリカが何をしてきてもフルガードでいなし、即座にカウンターで確実に決める為だ。肉薄した距離でも真奈美の剣の腕はフレデリカより上である。
フレデリカ「(今っ!)」
フレデリカと真奈美の距離がが10メートルまで迫った時、足元にグラスホッパーを上方向に跳ぶような角度で設置、真奈美の真上を取った。
フレデリカ「旋空…」
空中で体を捻り、真奈美に正面から向き合う。孤月を鞘に納め、柄を握り居合の構えを取る。
対戦ステージ市街地B、天候設定は「晴れ」。上を取り、太陽を味方につける。
真奈美「(太陽を背に…目晦ましかッ!)」
マキノ『視覚支援』
しかし、マキノはフレデリカが跳ぶと同時にその意図を見抜き、真奈美のトリオン体に視覚補正をかける。
真奈美「(…よし。よく見える)」
彼女はA級1位のオペレーター。瞬時の支援はこれに留まらない。
マキノ『のあ』
のあ「了解」
フレデリカから1000メートル以上遠くの地点に居るのあの肉眼は、確かにフレデリカを捉えていた。その手には長距離用狙撃銃、イーグレットが握られている。
フレデリカはのあの射線が切れる場所で戦っていたが、先程の拓海のメテオラでそれが通ってしまっていた。それをマキノは見逃さなかったのだ。
美嘉「させないって…言ったでしょ!!」
テレポーターを起動し一瞬で距離を詰め、掌から生やしたスコーピオンでのあに斬りかかる。
その鋭い剣閃は咄嗟に盾にされたイーグレットを真っ二つにし、そのままのあの胸に斜めに大きな切創を作った。
のあ「ッ…!」
のあが1000メートル以上先のフレデリカにピントを合わせ、イーグレットを構え、引き金を引く。のあはこの一連の動作を僅か1秒足らずで行うが、美嘉にとってはのあを刺すのに十分な猶予だった。
美嘉「片手間で戦えるほどアタシ、ヤワじゃないから」
すみません、展開を考えるのに思いの外時間がかかってしまったので今日はここまでです。
今更ですけど、用語連発でワートリ知らない人は置いてけぼりですね…
分かりにくい点など、質問があれば受け付けます
フレデリカ「(ミカちゃんありがとう!)」
心の中で美嘉に一瞬礼を述べ、すぐに意識を集中させる。
真奈美も姿勢を低くし目を細め、受けの姿勢を整える。
フレデリカ「旋空…」
───しかし相手は他でもない、フレデリカだった。
フレデリカ「フランス旅行っ!」
ぱっ。
真奈美「ん」
フレデリカ「じゃあねー!」
フレデリカは真奈美の後方20メートル付近に瞬間移動、間髪入れずグラスホッパーでロケットスタートを切りバックワームを起動、東へと走り出した。
真奈美「『飛燕』」
フレデリカ「っ!(シールド!)」
しかし真奈美は即応、旋空がフレデリカの集中シールドを「避け」、背を向けるフレデリカの右脇腹を深く切り裂いた。
フレデリカ「(アタシの集中シールドが躱された…?あ、これ旋空じゃないやつだ!…名前なんて言ったっけ?)」
楓『宮本隊員、倒されはしませんでしたが、更に手痛いダメージです』
瑞樹『そうね。このままじゃ何もしなくても5分持たないわ。トリオン切れでベイルアウトよ』
楓『川島隊長、今のは旋空とは違う風に見えましたが?』
瑞樹『飛燕…木場隊長のみが使える、旋空と幻踊の合わせ技ね。2つのオプショントリガーを、「同時に」使う高等技術。改造トリガーね』
楓『スコーピオンの様に孤月の刀身の形を変化させる「幻踊」と刀身を一瞬だけ伸ばして遠隔攻撃する「旋空」。この2つを同時に行い、「刀身の形が変わる遠隔斬撃」を作り出す技ですね』
瑞樹『ええ。片桐隊長のスコーピオンを2つ繋ぎ合わせて刀身を伸ばす「マンティス」と似てるけど…「飛燕」は刀身の伸びる速度と耐久力がマンティスよりも上よ。汎用性や応用力、変形させやすさはマンティスの方が優れてるけどね』
楓『確かに、マンティスの方がくにゃくにゃとよく変形しているイメージがありますね』
瑞樹『そう、木場隊長はそれを使って、旋空のヒットする位置を正確に読んだ宮本隊員の集中シールドを避けて攻撃を当てたの』
楓『普通の旋空ではダメだったのでしょうか?旋空より遥かに難易度が高そうですけど…』
瑞樹『並の相手なら問題ないわ。けど、A級ランク戦ではそれでも対応し切れない隊員達が何人もいるのよ。今の宮本隊員だってそう。走りながら背中を向けている状態で、旋空の当たるピンポイントに正確に集中シールドを展開出来ていた』
楓『なるほど。確かに、片桐隊長も木場隊長の旋空をひょいひょい躱していた記憶があります』
瑞樹『まぁね。ある意味「対・片桐隊長用」の技と言っても過言じゃないわ』
フレデリカ「(お腹斬られちゃった…ま、いっか!どうせ無傷じゃ逃げられないって思ってたもん)」
フレデリカは特に意に介さず、負傷部分を手で抑えトリオン漏出を極力減らしながら、ひたすら走った。
真奈美はそれを、獲物を前にした女豹の様に猛追する。
真奈美も移動用にグラスホッパーを入れている。機動力ではフレデリカには及ばないものの、トリオンを節約したいフレデリカには大きく離される事は無いだろう。
フレデリカ「(…あっ、良い事思いついちゃった♪)」
ここで、フレデリカはある策を作戦室へと伝えた。
フレデリカ『シキちゃん!──、───』
志希「…だってよ、今の聞いたー?にゃは、面白そー♪」ニヤリ
奏「(そんなのアドリブで上手く行くわけ訳無いじゃない…と、言いたい所だけど。フレデリカ、貴女の事だから何か考えがあるんでしょう?信じてるわ)」
奏「了解。フレデリカ、タイミングは私が指示するわ」
フレデリカ『ん、お願い!』
美嘉の攻撃をモロに受けたのあは堪らずグラスホッパーを踏んで後ろへ飛び退き、再び距離を取る…
美嘉「(その動きはもう何度も見た!)」
のあ「!?」
が、背中を強かに打ち、壁に阻まれる。おかしい、こんな所に壁なんてある筈が…とのあが一瞬思うのも無理は無かった。
美嘉は危険が迫るとグラスホッパーで後ろに飛ぶのあの癖を先読みし、攻撃と同時にエスクードを出現させておいたのだ。
美嘉「これで終わりッ!」
逃げ場を失ったのあに、間髪入れず突撃銃の銃口からアステロイドの奔流が迸る。
のあ「…そのようね」
美嘉の放ったアステロイドはレイガストに阻まれ、あるいは外れ、霧散する。のあには1つとして当たることは無かった。
あい「待たせたな。済まない、傷を負わせてしまったな」
のあ「いえ、戦闘に大きな影響はない。十分よ」
美嘉「(しまった、合流された…!)」
のあ「さて…この傷のお礼をしなくてはね。美嘉」
周子「(よし…アレが使えるね。置いといてよかった)」
拓海「逃さねぇぞ周子オラァ!!」
周子はフルガードでなんとか凌いでいるものの、足は確実に削られている。
頭にあるトリオン伝達脳と胸にあるトリオン供給器官を守る為にシールドを上半身に展開している為、どうしても下半身のガードは甘くなってしまうのだ。
周子の機動力が削がれ、徐々に2人の距離が縮まっていく。
だが、それも周子は承知の上だった。
志希『今!』
周子「んっ!」
周子の仕掛けたメテオラの位置を全て把握している志希の合図と共に体を反転、拓海に向き直った。
拓海「ん?何を…」
周子「メテオラ!」
周子はトリオンキューブを出現させ8つに分割、拓海に手をかざしてそれを放った。同時に非選択状態となったバックワームが消え始める。
拓海「(ンなもん防いで…ん!?)」
周子「ん、違うよっ」
しかし周子は、端から拓海を狙ってはいなかった。
なんと周子は事前に決めておいた逃走ルートにいくつもの「置きメテオラ」を道にトラップとして左右交互に設置し、巧みに隠していた。先の8分割メテオラはそれを狙ったものだったのだ。
無分割、まるまる1個の置きメテオラが唸りを上げる。
周子「(ふぅっ、ちゃんと爆発したね。奏ちゃんにシュータートリガーの撃ち方教えて貰っといてよかったー)」
周子「(さて、これは元々逃げ切る用or死ぬギリギリまで時間稼ぎ用のトラップだったんだけど…フレちゃんとのアドリブは上手くいくかな?)」
瑞樹『(あの動き…教えたのは奏ちゃんね)』
瑞樹『置きメテオラを分割メテオラで起爆させる…なるほどね。範囲攻撃のメテオラなら正確に的に当てる技術も必要無いし、トリガーセットの枠も1つしか使わないから枠とトリオンの節約になる。考えたわね』
楓『川島隊長、これはどういった狙いでしょうか?』
瑞樹『普通に考えたら逃亡用か迎撃用ね。だけど恐らく…』
拓海「こんなもんでこのアタシを倒せると思ったか?周子」
ノーダメージで次々に爆炎を抜けていく。総合5位の肩書きは伊達ではない。感覚を掴んだ周子は何度もトラップを起爆させるが、それは拓海を倒すどころか追う足を止めさせる事すら叶わなかった。
瑞樹『向井隊長には効かない。そして逃げられないわ』
周子「(これでいい…はず)」
されど周子は構わず、爆音の切れ間なく次々に爆破させていく。
瑞樹『西からは宮本隊員を追う木場隊長も迫ってる。このままだと向井隊長に挟撃されるわ。速水隊の2人は絶体絶命よ』
拓海「(木場さんがすぐそこまで迫って来てる…が、周子を倒してズラかるにゃあ十分距離はある。周子はこれが狙いか…?いや、どっちにしろさっさと決めねぇと!)」
奏『タイミングは一瞬よ。トリガー選択を間違えないで』
誰も応えない。それ程に集中していた。
そして数秒後、周子が叫んだ。
周子「エスクード!」
周子は自分のすぐ後ろにエスクードを横一列に生成、道を完全に塞いだ。そして爆炎が晴れ、拓海の眼前に壁が立ちはだかる。
拓海「(エスクード…はんっ、無駄な足掻きだぜ)」
しかし、トリオン体の運動能力は生身の比ではない。拓海はエスクードを悠々と飛び越えると、128発のアステロイドを───
奏『今よ!!』
拓海「トドm『警戒!!』っ!!?」
フレデリカ「はぁっ!!」
涼が叫んでから0コンマ数秒。
拓海が爆炎を抜けた先には、抜刀したフレデリカが目の前で剣を振っていた。
拓海「ぐっ!?(フレデリカ…だとォ!?何で…!)」
拓海は既に攻撃態勢に移っていた為シールドを展開出来ず、左肩から左胸にかけて深く切り裂かれた。
フレデリカは急所の胸を狙った狙ったものの、拓海は涼の喚起により反射で回避。空中で姿勢が不安定な事もあり、紙一重で即死を免れた。
奏『倒せてない!失敗した…!』
フレデリカ『うぅん、これでいいのっ!シューコちゃん4枚!』
周子「んっ!」
拓海「くっそォ!なんだってんだ!」
フレデリカは拓海に不意討ちを加えると、なんと追撃するどころかそのままグラスホッパーで加速、東へと通り抜けた。
拓海「ハウンド!」
周子「フルガード!」
ここから逃すまいとする拓海に、周子は遠隔シールドでフレデリカをガード、更にフレデリカもフルガードを広域展開し、計4枚のシールドで拓海の矢の雨のようなハウンド群を防ぎ切った。
拓海「ぐっ、カスりもしねえ…!」
楓『なんと、広範囲に広げて薄くなったシールドを4枚重ねる事で向井隊長のハウンドを完璧に防ぎ切りました!』
瑞樹『不意打ち直後のグラスホッパーが効いたわね。急加速して一気に距離を広げる事、でハウンドのトリオンを射程と弾速に振らせ威力を下げさせた』
楓『シールドを広範囲に広げたのは、これ以上満身創痍の宮本隊員に少しのダメージも通さない為でしょうか?』
瑞樹『そうね、宮本隊員は速水隊の勝利の鍵だもの。恐らく決着の時は近いと思うわ』
周子「…ん、周子ちゃんの役目もこれで終わりかな。先行ってるね」
直後、周子は横薙ぎに真っ二つに斬られ霧散する。
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
真奈美「やっと2点か、やれやれ…上手い事浮かされているな。仲間の元にフレデリカが向かっている、悪いが通らせて貰うぞ」
総合5位、総合1位との邂逅。
拓海「…畜生ッ!」
~~~~~~
志希「おぉー!木場さんを拓海ちゃんに…」
奏「…当てた。流石ね」ニコ
楓「塩見隊員がここでベイルアウトです。川島隊長、さっきのやり取りで何が起こったのか解説をお願いします」
瑞樹「OK♪と言っても、そんなに複雑な事じゃないわ。バックワームオン状態の宮本隊員とオフ状態の塩見隊員が、バックワームのオンオフの切り替えと互いの位置を入れ替える瞬間移動(テレポート)をほぼ同時に行い、あたかもテレポーター起動直後の向井隊員の近くに映る光点が、塩見隊員の物だと思わせたのよ」
楓「つまり、こういう事(↓)ですね♪」
にげろー まてー!
∨ ∨
フレ→ ←周子 ←拓海
バクワON バクワOFF
周子のメテオラは目晦まし&バクワOFFを自然に行う為。最後のエスクードはギリギリまで拓海に目隠しをする為。
フレデリカは真奈美から逃げた直後からバクワを起動し、レーダーから消えている
↓
瞬間移動! 瞬間移動! 捕まえたぜ!
∨ ∨ ∨
フレ→ ←周子 ←拓海
バクワOFF バクワON
────────────────
通信でタイミングを指示
奏<今よ!
↓
てやっ やられた ずっばーん♪ ぐわー!
∨ ∨ ∨ ∨
真奈美→周子 フレ→←拓海
バクワON バクワOFF
奏の合図で同時に互いの元いた位置へ瞬間移動、周子・フレの位置が交代
↓
やあ ちくしょう! じゃあねー!
∨ ∨ ∨
真奈美→←拓海 フレ→
周子ベイルアウト。真奈美と拓海をカチ合わせ、フレデリカは東の戦場へ
瑞樹「このタイミングの指示は絶妙な距離感覚と時間感覚が必要…恐らく一ノ瀬オペレーターにも出来ない。多分速水隊長ね。リアルタイム弾道引きバイパーを使える彼女なら可能な筈よ。偶然だけど、この場合は速水隊長が落ちた事がいい方に働いたわね」
楓「レーダー偽装。速水隊長が先程使った手ですね。しかし、松永オペレーターにはそれを見抜かれてしまった」
瑞樹「そうね。いかにA級3位のチームと言えど、走行中にトリガーの切り替えを行いながら完璧にお互いの位置にワープする事は出来ず、僅かに元いた位置からズレてしまった。そして松永オペレーターは、その光点の僅かなズレを見逃さなかった」
楓「あの警告が無ければ、向井隊長はやられてしまっていたという事でしょうか?」
瑞樹「私はそう思うわ。あの瞬間、向井隊長の意識は間違いなく攻撃に向いていた。宮本隊員程の使い手なら、あの肉薄した距離でその一瞬の隙があれば倒すには十分だったでしょうね」
楓「では、速水隊の狙いは惜しくも失敗に終わったという事でしょうか?」
瑞樹「ううん、それは違うわ。塩見隊員は落とされてしまったけど、現に木場隊長と向井隊長が向き合い、そして宮本隊員はフリーな状態で東へ向かっている。この状況は間違いなく速水隊にとって理想的で、そして想定内だと思う」
楓「つまり向井隊長を倒せても良し、倒せなくても木場隊長を足止め出来るからそれはそれで良し。という二段構えの作戦だった訳ですね?」
瑞樹「そうね。リスキーな作戦の失敗を考慮した上で、リカバリーも抜かりなく考えてる。流石速水隊と言った所かしら」
瑞樹「そして、宮本隊員が東の戦場へ到着すれば勢力図は一変するわ。つまりここからの勝負の分かれ目は…」
楓「宮本隊員が、トリオン切れの前に東でどれだけ点を稼げるかどうか。でしょうか?」
瑞樹「ええ。そして西側の2人の決着も結果に大きく影響するわ。エースの向井隊長を木場隊長に抑えられた向井隊は、正直かなり不利ね」
一旦ここまで。続きは明日か夜になります
美嘉「(ダメ…あの2人、互いに上手くカバーし合っててまるでスキがない…!)」
美嘉は合流したのあとあいの牙城を崩すべく策を巡らせるも通じず、一旦退いて民家の側面に張り付き、様子を窺っていた。
美嘉「(あの2人のタッグは強いけど、基本的に『待ち』の戦法…深追いしなきゃ致命傷は受けない)」
深く踏み込まず引き気味に戦っていたお陰で目立った外傷は無いが、木場隊の2人の猛攻に対する必死の抗戦の末に、トリオンをかなり消費してしまっている。
豊富なトリオンを持つ美嘉だが、ほんの数分の戦闘にも関わらずおよそ半分近くまで減っていた。
美嘉「(でも、このまま逃げててものあさんのライトニングが当たる距離にフレちゃんが入れば危ない。もうすぐフレちゃんが避けられる距離じゃなくなる…賭けだけど、やるしかない!)」
美嘉は2人の位置を確認するとおもむろに突撃銃を構え、陰からメテオラを四方八方に放ち始めた。
当然弾の出処は丸分かりだ。
あい「そこか」
美嘉「あっ!」
メテオラの出処を確認したあいは鋭く旋空を放ち、美嘉の左腕を二の腕から落とした。
美嘉「っく…でも、これで」
150メートル程離れた所が、パッと光った。
のあ「あい伏せてッ!!」
あい「!!」
それを察知したのあはあいに指示を出し、直撃を防いだ。
あい「亜希君か…!」
のあは反撃しようと狙撃銃を構えるが、あいに指示を出した事で遅れ、目を向けた先には既に亜希は居なかった。
のあ「だからあいを狙ったのね…そこまで織り込み済み、という事。亜希」
あい「なるほど…そういう事か、美嘉君」
楓『城ヶ崎隊員、四方の民家を破壊して大和隊員の射線を通しました!』
瑞樹『あのメテオラは、どこに居るか分からない大和隊員の射線を通す為の賭けだったのね。偶然近くに居たみたいだったけど』
楓『川島隊長、城ヶ崎隊員の狙いはなんでしょう?』
瑞樹『速水隊も向井隊も、ここから勝つには高峰・東郷両隊員のタッグをどうにかしなければならないわ。城ヶ崎隊員はそれを見越して、大和隊員と共闘をする狙いなのかしら』
亜希「私を利用したい…と、美嘉殿は恐らく考えたのでしょうな」
しかし、亜希が次に狙った相手は美嘉だった。
美嘉「っん!」
亜希の位置は分かっているので、躱す事自体はさほど難しくはない。
あい「せぁっ!」
のあ「…」ビギュンッ!
美嘉「ぐっ…」
しかし、それは周りに邪魔が居ない時の話だ。美嘉は更にダメージを受ける。
亜希「(ここから我々が勝つには、西側の真奈美殿との戦いを拓海が制さない限り不可能…なら、私は拓海が勝つ前提で動く)」
亜希「(拓海からの情報によると、フレデリカ殿がこちらへ向かっている。となれば美嘉殿と合流され、我々にとっての脅威度は木場隊の2人とそう変わらない。むしろ守備的なのあ殿とあい殿よりある意味厄介)」
亜希「(ならば私は相手が誰であろうと、落とせる所から落としていく。そして拓海と合流し、連携しながら残りを片付ける。恐らくこれが現時点では最善でしょう)」
楓『なんと、大和隊員は共闘をしない考えのようです!』
瑞樹『周辺の民家を壊しちゃったから身を隠す場所も減って、自分を狙うスナイパーの射線を通し、更に自分だけが木場隊の2人と会敵している。城ヶ崎隊員、一気に不利になったわね』
楓『城ヶ崎隊員、判断を誤ってしまったのでしょうか?』
瑞樹『もしかしたら読みを誤ったのかもね。城ヶ崎隊員が落ちれば次は自分が狙われるから、恐らく落とさせないはず…と大和隊員が考えると読んだのかも知れない』
瑞樹『けど、大切なのは城ヶ崎隊員がどこまで読めているか…よ。それと、あのメテオラにはもう1つ意味がある』
瑞樹の言う通り、美嘉はそこまでが考えの内だった。
美嘉「(上等!そう来る可能性もあるって分かってるし!)」
亜希と自分で2人を挟むような位置取りで立ち回り、銃口からアステロイドを放つ。
瑞樹『木場隊の2人を背後からの狙撃への警戒に意識を割かせ、自分への攻撃の踏み込みを浅くさせる狙いね』
美嘉「(もしアタシがここで落ちたとしても、何よりのあさんや亜希ちゃんにフレちゃんを撃たせない事が先決…!もうフレちゃんはベイルアウト寸前、無駄なトリオンも時間も一切使わせられない!)」
のあに撃たれないように激しく走る体に対して、頭は驚く程に冷静だった。
美嘉「(…大丈夫。アタシが落ちても、それはアタシの負けじゃないし。『速水隊』が勝てば、それがアタシの、アタシ達の勝ち。これはチーム戦なんだから)」
美嘉「(誰も倒さなくていい、フレちゃんが来るまでただ死なずに時間を稼げばいいだけ。それがアタシのやるべき仕事っ!)」
亜希「(美嘉殿、私を利用する考えだったのでしょうが、残念でしたな。私は…)」
美嘉「(もう後は、フレちゃんが決めてくれる事を祈るしかない。アタシは…)」
亜希・美嘉「「(エースを信じる!!)」」
…しかし、必死の想いは届かず。
拓海「くそ…ッ」
『トリオン供給器官破損 緊急脱出』
拓海が脱落した。
しかし、真奈美の体には赤子の拳大程の穴がいくつも空いており、煙を上げている。
真奈美「見事だった」
呟き、東へ。
楓「ここで向井隊長もベイルアウト!残すところ、大和隊員のみとなってしまいました」
早苗「あちゃー、落ちちゃったか」
悠希「でも、拓海さん凄いですねっ!あの木場さんにかなりダメージを与えました!」
蘭子「奔放なる欧風乙女の魔力ではかの者には及ばぬのか?なれど、序列の上では我が友に懐柔されし猛獣を超えているが…(もしかしてフレデリカさんより強いんでしょうか?ランキングでは拓海さんより上なのに…)」
きらり「んー、それはちょっと違うと思うにぃ。なんてゆーかぁ…」
有香「恐らく相性の問題と、状況の違いでしょう。フレデリカさんとの戦いの時はまだ序盤で、更にフレデリカさん程の孤月の使い手が相手だと慎重にならざるを得なかった」
早苗「けど拓海ちゃんの時はフレちゃんが仲間の2人の方に向かってて、真奈美ちゃんはそれをすぐにでも止めなければならない。だから多少のダメージを受けたとしても、急いで拓海ちゃんを突破する必要があったの」
早苗「端的に言えば、守備的思考と攻撃的思考の差ね」
蘭子「ふむふむ…あ、ありがとうございますっ」ペコッ
悠希「うぅ、私そこまで考えて戦ってないてです…ごめんなさい、きらりさん」シュン
早苗「(悠希ちゃんはほぼセンスだけで戦ってるものね…まだ幼いし仕方ないけど)」フフッ
きらり「大丈夫っ♪やってく内に分かるよぉ☆はい、きらりのお膝にごしょうたーい♪」ダキッ ナデナデ
悠希「わぁ…!?き、きらりさん、恥ずかしいですよぉっ…」カァ…
きらり「いいのいいのっ♪ぎゅー☆」ギュウウウ
悠希「ひゃあっ…!…あうぅ」カアァ…!
楓『川島隊長、メテオラのもう1つの意味とはなんですか?』
瑞樹『わざと大胆に射線を通す事で自分を「撃たせ」、大和隊員の位置を炙り出して宮本隊員を動きやすくする為よ。撃ってくる位置さえ分かれば、トリオン体の反応速度なら見てから躱すのはそう難しくない』
楓『城ヶ崎隊員は、ここまでが考えの内だったのでしょうか?』
瑞樹『恐らくね。純粋な戦闘力では他のメンバーに劣るけど、対応力やバランスの良さ、視野の広さや戦局を読む力はチーム1だと私は思う』
奏「あら師匠、私はそこまで美嘉の戦闘力が私達より劣っているとは思わないわ。美嘉は私達に点を取らせるのが仕事、今の美嘉のポイントは適正ポイントでは決してない。後で教えてあげなくっちゃね」ニコッ
志希「奏ちゃんあたしはー?」
奏「…あなたの適正ポイントなんて誰も分からないわ」
志希「あ、今の分からないわ川島さんに似てたー!あれ、師匠のが移っちゃったの?ねーねー」ニヤニヤ
奏「…やめて」カァ…
亜希「(拓海が落とされた…!)」
拓海『亜希』
亜希「!」
拓海『諦めてんじゃねぇだろうな。まだ終わってねぇぞ』
亜希『フフ、ご冗談を!丁度燃えてきた所であります!』
志希経由で美嘉が亜希の位置を炙り出した事を聞いたフレデリカは、射線お構いなしに直線経路で民家の屋根の上を疾走していた。
イーグレッド程度の弾速なら、どこから飛んでくるかさえ分かっていれば、一定以上の使い手なら発射の際の発光を見てから躱せる。フレデリカの反射神経なら造作もないだろう。
フレデリカ『ミカちゃん頑張って!もうすぐ着くから!』
美嘉『変に焦んなくていいからね!アンタはエースの仕事に集中して!』
フレデリカ『うんっ!』
フレデリカ「(!見えてきた…!)」
真奈美『間もなくフレデリカがそちらへ到着する。一瞬も警戒を解くなよ』
肉眼でフレデリカの位置を確認し、味方に指示を飛ばす。
のあ『了解』
あい『了解』
美嘉は斬られた左腕からスコーピオンを生やし、やや近接寄りの立ち回りに切り替えて戦っていた。
のあ「(今までより踏み込みが深い…撃墜覚悟の動き)」
あい「っ!」ギィン!
亜希のあいへの狙撃に合わせ、のあに斬りかかる。
美嘉「たぁっ!」
しかしのあは美嘉の目や筋肉の動きを「視て」次の動作や狙いを予測し、確実に躱す。
グラスホッパーで付かず離れずの距離を取り、構えて、すぐに美嘉を狙撃。
美嘉「んっ!」
イーグレッドの数倍太い弾丸が、美嘉の鼻先を掠める。
美嘉「(アイビスは集中シールドでも防げない…躱すしか…!)」
楓『高峰隊員、スナイパーなのにも関わらず、近中マスタークラスのオールラウンダー相手にこの距離で渡り合っています!』
瑞樹『ガンナーの様に立ち回る事も可能な凄腕スナイパー…実際相手にするとほんとに厄介なのよねぇ。彼女が近界民(ネイバー)じゃなくて良かったわ』
楓『手元の資料によりますと、高峰隊員はアタッカートリガーのスコーピオンでもマスタークラスのポイントに達しているそうですね』
瑞樹『1年くらい前の話ね。近距離での動き方を習得する為にマスターを目指してたそうよ。だから8000を超えてすぐにやめちゃったみたい』
楓『そうなんですか』
瑞樹『因みに彼女、今もスナイパートリガーで個人ランク戦に出てるわよ。普通はアタッカーとシューター・ガンナーしか個人戦はやらないんだけどね。個人戦は比較的狭い部屋だから、隠れるのが基本で見つかったら終わりなスナイパーじゃとても相手にならないもの』
楓『色々規格外なんですねぇ』
瑞樹『ホントよ…』
あい「スラスター」
美嘉「ぐっ!」
レイガストによるシールドバッシュに弾き飛ばされ、勢い良く地面を転がる。
美嘉「っ…!」
のあの追撃が、美嘉の右脚の腿を貫いた。
のあ「終わりよ」
美嘉「(…テレポーター!)」
消えた。しかしあいはすぐさま位置を特定。
あい「上だ!」
美嘉「アステロイド!(目が武器なら、別の方に向けさせればいい!)」
あい「んっ」
あいは難なくこれをガード。
のあ「…」
一方ののあは我関せずといった様子で、明後日の方向を向いていた。
のあ『8時』
あい『あぁ』
フレデリカ「…!」
奇襲を仕掛けたフレデリカであったが、0コンマ数秒前に美嘉のアステロイドを捌き終えたばかりのあいに阻まれた。その威力に耐えかね、レイガストに深くヒビが入る。
美嘉「(…これでいい。これ以上木場隊にポイントは渡さない)」
亜希「」ダンッ!
狙い澄ました亜希の弾丸が、無防備に滞空する美嘉の頭を吹き飛ばした。
亜希「…っ」
しかし亜希は点を取ったにも関わらず、悔しげな表情を浮かべていた。
城ヶ崎美嘉、ここでベイルアウト。速水隊、残るはフレデリカのみ。
あい「スラスター」
美嘉「ぐっ!」
レイガストによるシールドバッシュに弾き飛ばされ、勢い良く地面を転がる。
美嘉「っ…!」
のあの追撃が、美嘉の右脚の腿を貫いた。
のあ「終わりよ」
美嘉「(…テレポーター!)」
消えた。しかしあいはすぐさま位置を特定。
あい「上だ!」
美嘉「アステロイド!(目が武器なら、別の方に向けさせればいい!)」
あい「んっ」
あいは難なくこれをガード。
のあ「…」
一方ののあは我関せずといった様子で、明後日の方向を向いていた。
のあ『8時』
あい『あぁ』
フレデリカ「…!」
奇襲を仕掛けたフレデリカであったが、0コンマ数秒前に美嘉のアステロイドを捌き終えたばかりのあいに阻まれた。その威力に耐えかね、レイガストに深くヒビが入る。
美嘉「(…これでいい。これ以上木場隊にポイントは渡さない)」
亜希「」ダンッ!
狙い澄ました亜希の弾丸が、無防備に滞空する美嘉の頭を吹き飛ばした。
亜希「…っ」
しかし亜希は点を取ったにも関わらず、悔しげな表情を浮かべていた。
城ヶ崎美嘉、ここでベイルアウト。速水隊、残るはフレデリカのみ。
あい「んっ!」
あいはリタイア寸前のフレデリカに、トドメと言わんばかりに孤月を振り下ろす。
フレデリカ「っ!」
フレデリカはその軌道を読み切り躱しながら、孤月を滑らせるような角度でシールドを展開。見事完全回避した。
そして間髪入れずグラスホッパーを自らの胸の高さに垂直に設置。まるで紙の薄さを横から確認するかのような向きに展開、小ジャンプしながらそれに握った左手の甲を叩きつける。
右手には孤月が抜かれている。
のあ「(何を…?)」
あい「(…マズい!)」
のあより一瞬先に気付き、咄嗟に防御態勢に入る。
あい「伏せ──」
のあ「!」
フレデリカ「遅いッ!」
フレデリカは大きな目を更にカッと見開き──、
フレデリカ「凱 ☆ 旋 ☆ 門っ!」
周子『なんじゃそりゃ』
グラスホッパーに触れた瞬間フレデリカは左手を右方向に勢いよく弾かれ、遠心力で強烈に回転。それと同時に旋空を起動。
強回転の運動エネルギーにより威力が上乗せされた旋空は、のあをシールドもろとも叩き斬った。
のあ「……!」
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
楓『なんと宮本隊員、グラスホッパーを横向きに設置、拳を打ち付け回転力をブーストし360度に広域斬撃を放ち高峰隊員を撃破!』
瑞樹『フフッ…あの子、本当に面白い戦い方をするわね』ニヤ
楓『東郷隊員もレイガストを破壊され、右腕も奪われてしまいました』
志希『平衡感覚支援』
急激な回転によりフレデリカが目を回さぬよう、志希がトリオン体に働きかける。
フレデリカ「はっ!!」
あい「エスクード!」
あいの喉元まて届きかけていたフレデリカの刃は、あえなく壁(エスクード)に阻まれた。
あい「(間に合った…)」
あいが内心ホッとしたのも束の間。戦局は終わりへと一気に動き出す。
亜希「(今っ!)」
なんと亜希は狙撃位置を離れ、バックワームを着たままフレデリカに急襲を掛けて来た。
フレデリカ「ッ!!」
亜希「くっ…!」
フレデリカは背後からのスコーピオンに反応、孤月で背中越しに受けた後、返しの切り上げでスコーピオンを粉砕。
フレデリカ「はぁっ!!」
すかさず亜希の胸を一突きし、トリオン供給器官を破壊した。
楓『大和隊員ベイルアウト!向井隊全滅です!そして宮本隊員連続得点、これで速水隊3pt!木場隊に並びました!』
瑞樹『大和隊員の判断自体は悪くないけど、問題は相手が宮本隊員だったって事よ」
瑞樹『木場隊長の奇襲を警戒して神経を研ぎ澄ましていた宮本隊員には、格下アタッカーの奇襲を防ぐ事くらい造作もないわ。それに、木場隊長が間もなく来る事を意識し過ぎて固くなってたのもマイナスね』
悠希「か、川島さん、随分と手厳しいですね…」タラー
早苗「亜希ちゃんは変にフォローされるより、ストレートに言ってあげた方がいいタイプだもの。それに、瑞樹ちゃんもそれだけあの子に期待してるのよ」
有香「…私も多分そのタイプです。駄目な所はズバッと言って貰った方がスッキリしますし、甘い教え方よりスパルタの方が合ってます。…それに私、甘やかされるときっとそれに甘えちゃうので」
早苗「有香ちゃんはそっちのタイプだと思ったわ。じゃないとあたしの弟子なんてとっくに辞めてるだろうし…ね?」ニコッ
有香「…!は、はいぃ…」プルプル
悠希「(うわぁ、総合9位の有香さんがおびえてる…!)」
蘭子「(早苗さんの教え方ってどんな風なんだろ…?今夜想像でお絵かき帳に描いてみよっと)」
早苗「よしよし…いつかあたしより強くしたげるからね」ナデナデ
有香「そ、そんな、私なんて!」
きらり「うぇへへ、きらりも負けないよぉ♪」ニコッ
悠希「私も負けませんよっ!」グッ
蘭子「わ、われも負けないもん!」
早苗「(うんうん、若いっていいわねぇ♪)」ニコニコ
あいは亜希の奇襲の隙に、フレデリカと距離を取っていた。しかし、フレデリカにとっては数十メートルなどすぐそこに居るのとさほど変わりはない。
フレデリカ「(せめてあと1人…!)」
フレデリカがあいに向かって斜め右側に飛び、その先にあいの方向へ飛ぶ角度でグラスホッパーを設置。あいはレイガストを右手に再生成しながら、グラスホッパーによる加速に身構える。
しかしフレデリカはそれを踏まずフェイント。直前で瞬間移動してタイミングをずらし、あいの背後へ回りガードをめくる。
あい「ッ!!」
そして──
真奈美「(…着いた!)」
真奈美が到着。しかし──
あい「…間に合わなかったか」
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
フレデリカ「くぅっ…!」
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
ここでフレデリカのトリオンがゼロになった。
楓『トリオン切れにより宮本隊員ベイルアウト!ここで試合終了!』
楓『宮本隊員のベイルアウトはトリオン漏出に因るものなので、損傷を与えた木場隊長のポイントとしてカウント。そして生き残った木場隊には、生存点として2ptが加算されます』
楓『最終スコア6対3対2! 木場隊の勝利です!』
内訳
木場隊 周子 里奈 拓海 フレデリカ +生存点2pt
速水隊 夏樹 のあ 亜希
向井隊 奏 美嘉
真奈美「お疲れ様。済まない、まんまと出し抜かれてしまった」
あい「お疲れ様。なに、3点も取ってくれたんだ。文句は言えないさ」
真奈美「そうか…ありがとう」
真奈美は納刀した孤月の柄に右手を置き、左手を耳に添えながら内部通信に切り替える。
真奈美『のあ、マキノ、お疲れ様。今回もよくやってくれた』
マキノ『こちらこそ。お疲れ様、隊長』
のあ『…思いの外押し込まれたわね』
真奈美「フフ、そうだな」
楓「川島隊長、今回の試合をどう振り返りますか?」
瑞樹「印象に残ったのはやはり速水隊ね。最初に準エースの速水隊長が向井隊の2人に奇襲を受けた時は正直、最下位になると思ったわ。速水隊はダブルエースを軸にした得点力と抜きん出た連携力で戦う隊だもの、速水隊長が抜けた穴は大きかった」
瑞樹「あそこで木村隊員を不意打ちで落とせたのはかなり大きかったと思う。そうでなければ、恐らく速水隊は負けてたわ。転送位置の関係でね」
瑞樹「向井隊は、エースの向井隊長が速水隊に翻弄されて思うように動けなかったのが痛かったわね」
楓「なるほど。向井隊の敗因はそういった点にあるという事でしょうか?」
瑞樹「うーん…なんていうか、向井隊はランク戦では安定度外視で常に1位を狙ってるから、強さにムラがある隊なのよね。ハマれば格上も倒せたりするけど、悪い時はあっさり負ける。そういう面も少なからずあったんじゃないかしら?」
悠希「そうなんですか?」
早苗「ええ、そうよ。そのせいかは分からないけど、A級下位のランキングは変動が激しいのよね。A級1位から4位までは割と安定してるんだけど。前々シーズンは川島隊が5位だったでしょ?」
悠希「あ、確かに…」
きらり「上から木場隊、片桐隊、速水隊、鷹富士隊までは強さの差が結構はっきりしてて、5位~7位はおんなじくらいって感じだにぃ♪」
有香「で、来シーズンからは新たに新田隊が入って来るんですね!」
蘭子「クク…我が魂が震えるわ(私、ワクワクしちゃいます!)」
早苗「夕美ちゃんも最近伸びて来てるものね。ふふ、早く新田隊とも戦いたくなって来たわ!もちろんウチが勝つけど♪」
有香「そういえば、片桐隊は木場隊にどれくらい勝ってるんですか?」
早苗「勝率は基本4:6、たまに3:7って所じゃない?たぶんね」
有香「あの木場隊に4:6ですか…」ゴクリ
早苗「勝つ事自体は珍しくないんだけど、どうしても勝ち越せないのよねー。個々の実力ではそう大きく負けてないと思うんだけど」
早苗「っていうか双葉隊は隊員増やさないの?きらりちゃんと悠希ちゃんの2人でB級8位まで行けるんなら、そこそこの使い手を1人増やせばA級も夢じゃないと思うんだけど」
悠希「双葉隊は…そのっ…」タラー チラ
きらり「えっとぉ…あのね?杏ちゃんが『2人以上は支援するのがめんどくさい』って言うから、きらりと悠希ちゃんの2人で頑張ってるんだゆ…えへへ」タラー
有香「えー…」
早苗「五十嵐隊の智絵里ちゃんは4人隊に慣れる為に必死で頑張ってるのに、あの子は…」ハァ
きらり「で、でもでもっ!杏ちゃん隊長もやってるし、意外と頑張ってるから悪く思わないで欲しいにぃ!」アセアセ
早苗「くすっ、分かってるわよ」
早苗「(…そういえば結局、木場隊長はメテオラを使わなかったわね。もしかしてあの子達…)」
瑞樹「けどやっぱり、明確に勝負が決まったのはマンション西の攻防ね。あの位置交換テレポーターで、宮本隊員が木場隊長を向井隊長に押し付けた」
瑞樹「あそこが1番のターニングポイントだったと思うわ。アレが無くても速水隊は最下位だった。木場・向井両隊長に2人挟まれてたからね」
楓「つまり、今回速水隊が出した結果は危険な綱渡りの果てに得たものだという事でしょうか?」
瑞樹「んー、それはちょっと違うわ。速水隊は優れた機転と判断力で、どんな状況でも勝ち筋を見つける力を持ってるって事。運とは違うのよ」
瑞樹「それにテレポーターでの位置入れ替えはサラッとやってる様に見えたけど、アレはかなりの技術が要るわ。そういう点から見ても明らかね」
楓「それを安定して行える事が速水隊の強みという事ですね♪」
瑞樹「そういう事よ♪やっぱり速水隊は、メンバーそれぞれが他のメンバーの動きと試合全体の流れを意識して戦えてたのが大きかったわね」
瑞樹「オペレーターを含めたメンバー全員が互いの考えや狙いを察し、隊の為にスムーズに動けていた。あの木場隊が相手でもある程度余裕を持って動けるのは凄いと思うわ」
瑞樹「これは一朝一夕で身に付く物じゃない。ウチ(川島隊)も見習わないとね」
楓「なるほど、流石A級3位。素晴らしいチームですね。向井隊の動きについてはどういった印象でしたか?」
瑞樹「向井隊は…木場隊の戦場全体への影響力、速水隊の機転と対応力に振り回されて、普段の力を出させて貰えなかったって感じかしら」
楓「確かに、向井隊は終始対応に追われていた印象を受けました」
瑞樹「メンバーが木場隊の合流を阻止している内に向井隊長が点を取っていく…っていう作戦だったんでしょうけど。繰り返し言うけど、向井隊長が抑えられちゃったのは痛かったわね」
瑞樹「常に1位を目指すのは良い事だけど、向井隊には2手3手先を読む力が足りてない。それをパワーで補ってここ(A級5位)まで上がって来れたけど、その先の領域はそれじゃ届かないわ。A級1位を狙うのはそこからでも遅くはないわ」
~~~~~~
拓海『…』
楓「ありがとうございます。最後に木場隊についてお願いします」
瑞樹「木場隊に関しては特に言う事はないわね。一見速水隊に振り回されてた様に見えたけど、結果的には特にリスキーな行動を取る事もなく大差で勝利した。これが木場隊の地力の強さよね」
楓「シンプルな強さ、これが1番厄介なのかも知れませんね。以上、エキシビジョンマッチの総評を終わります」
瑞樹「今回素晴らしい戦いを見せてくれた隊員達が、有事の際には全力を以て市民の皆さんをお守り致します。どうか今後も、応援よろしくお願い致します」スッ
楓「よろしくお願いします♪」ニコッ
撮影スタッフ「…はいオッケーでーす!ありがとうございましたー」
楓「…色々厳しい事言ってましたけど、良かったんですか?」ヒソヒソ
瑞樹「いいのよ。どうせ編集で切って貰うし、ちひろちゃんも目を通すから。あれは隊員の子達向けの発言よ」
楓「なるほど」
有香「…結局、解説でも木場隊がメテオラを使わなかった事には触れませんでしたね。解説も早めに切り上げた感じでしたし…」
きらり「何か事情があったりするのかなぁ…?」
早苗「まさか、木場隊の子達…そっか、瑞樹ちゃん達には事前に話を通してたのね」
蘭子「如何したか、早苗さん?」
早苗「うぅん、何でもないわ♪」ニコッ
蘭子「ふぇ?」
──速水隊 作戦室──
フレデリカ「ただいまー♪」ドサッ
美嘉「おっ、おかえりー★お疲れ様っ」
フレデリカ「うんっ♪ミカちゃんもおつかれー♪」
志希「フレちゃんおかえりー♪惜しかったねー」
フレデリカ「ねー!木場さん強かったぁ」
周子「ところでフレちゃん、凱旋門ってあれなんなん?」
フレデリカ「あ、あれー?あれね、回転する旋空だから、凱旋門ー♪」ニコー
美嘉「…へ?」
奏「…別に、凱旋門は回転してないわよ?」
志希「エトワール凱旋門…フランス軍の軍事的勝利を讃え、その勝利をもたらした将軍や国家元首、軍隊が凱旋式を行う記念のために作られた門だよー」
フレデリカ「?」
志希「つまり、戦争に勝ったぞー!お祝いしちゃえー!みたいな門!」ニコー
フレデリカ「へー、螺旋階段みたいな門と思ってた!シキちゃんすごーい、フランス人みたいだねー♪」
美嘉「螺旋階段ってどんな門よ…」
周子「(鏡見てこんかい)」
志希「んふふ、Merci Beaucoup♪」
フレデリカ「めるしー♪んー、シキちゃんのフランス力はこのフレちゃんにも匹敵するかも!」
志希「にゃっはー♪それシキちゃん褒められてるー?」
フレデリカ「おふこーす♪」
周子「(あんたのフランス力は見た目だけやないかい)」
美嘉「(あぁもうこの空間疲れる…)」タラー
フレデリカ「あ、寂しい!(唐突)ミカちゃんかまってー!」ピョーン
志希「あたしもなんか急に寂し~♪」ピョーン
美嘉「きゃあぁーーっ!?かな、かなかなな奏ちゃん助けてぇ!?」ビクー!
奏「あら、セミが猫にでも襲われてるのかしら…喉乾いたわね。冷蔵庫に何かあったかしら」スタスタ
美嘉「ちょっとぉ!?周子ちゃぁん!!」ガーン!!
周子「おきばりやす~」ヒラヒラ
美嘉「ひどっ!?」
奏「~♪皆、飲み物は何がいい?」
フレしき「「ミカ(美嘉)ちゃ~ん♪♪」」ドタバタ
奏「ふふっ、了解。好きなだけどうぞ」クス
美嘉「うむあぁぁいみゃあぁぁふぅむぇぁ」モミクチャ
周子「(皆さん、これがA級3位です。こんなんでいいんでしょうか)」
周子「あ、あたし緑茶ね」
奏「はぁい」トクトク
──向井隊 作戦室──
亜希「不覚…無念であります」
夏樹「お疲れ、亜希」
里奈「あっきーナイス1点ぽよ~♪」ニコニコ
亜希「…いえ、あれは美嘉殿が木場隊に点を取らせまいと敢えて私に取らせたもの…私の力で取った点とは認めたくありません」
夏樹「亜希は自分に厳しいなぁ」フフッ
拓海「何言ってんだ。どんな形でも1点は1点だろが」
涼「その通り。あれはあそこに亜希がいなければ取れなかった点だ。違うか?」
夏樹「亜希のが1点じゃないなら、アタシと里奈はマイナス1点になっちまうよ」
里奈「あっは、それ言えてるー♪」
亜希「むぅ。しかし…」
拓海「オイ、亜希」ポン
亜希「…!」
拓海「今回の結果が納得行かねぇなら、納得行く結果を出せるようになるまで強くなりゃいい。だろ?」
亜希「拓海…」
拓海「…それに、どっちかってーとおめーらよりアタシが悪い。隊長だからな」プイッ
亜希「そ、それは…!」
拓海「あーもう、だからお互い様だろ!ったく、いつまでもウジウジスネてんじゃねぇぞ!ガキかテメーは!」
亜希「なっ…!私は反省をしていただけで、スネてなどいません!拓海こそもこもこ羊さんコスをいつまでも引きずっていたではありませんか!」
拓海「は、ハァ!?そんな事っ…んじゃ亜希テメー今度着てみっか!?着た事もねぇ癖に偉そうな事言ってんじゃねえ!」
亜希「構いませんとも!拓海のようにグチグチ言わずに堂々と着こなし戦って見せます!私はオ ト ナですからな!」
拓海「んだとォ!?」ガルルル
亜希「おっ、久しぶりに(腕相撲)やりますか!?」ウデマクリ
拓海「望むとこr」
夏樹「ハイハイやめやめ」ポフ
拓海「あぁ!?」
涼「里奈」
里奈「たくみん、お姫様抱っこしながらボーダー基地内ぐるっとしちゃうぽよ?」
拓海「わ、分かったよ!やめりゃいいんだろ!」アセアセ
里奈「うん♪」
亜希「(っょぃ…)」
夏樹「…拓海、ハッパかけるならもっと上手くやりな。お前まで熱くなってどーすんだ」ヒソヒソ
拓海「っせぇ…」プイッ
夏樹「ほら、アクエだ。飲むか?」スッ
拓海「…ありがとよ」
──木場隊 作戦室──
真奈美「」ドサッ
あい「ふぅっ」ドサッ
マキノ「おかえりなさい」
あい「あぁ、ただいま」
のあ「…」
真奈美「…?どうした?」
のあ「…気まぐれな風に煽られるどころか、切り裂かれる所だったわね」ニコ
あい「そうだな。フレデリカ君がトリオン切れをしていなければ、私は間違いなく落とされていた。正直悔しいよ」
真奈美「君を一対一で安定して落とせる使い手など、本部長とブラックトリガー使いの子達を除けば私と早苗さんとフレデリカと拓海くらいのものだと思うがな。気にする事はないさ」
あい「フフ…そうだな。だが私としては、個人3位のフレデリカまでは安定して受け切るのが目標だよ」
マキノ「度し難いな…」
真奈美「私とのあが『メテオラの民家破壊を封印していた』とはいえ、上手く陣形を使わせて貰えなかった。私達が抜かれる日もそう遠くないかもしれないな…ふふっ」
あい「向井隊もまだまだ荒削りだが、徐々に洗練されつつある。速水隊に比べれば隊としての完成度は低いが、伸びしろは未知数だろう」
のあ「…B級の子達も、同様に輝きを増して来ている。相互に影響し合っているのね」
あい「新田隊もA級入りした事だし、ますますうかうかしていられないよ」ニヤリ
のあ「…そうね」ニコ
マキノ「(そんなに嬉しそうにしちゃって。全く、ウチの大人達は…)」クス
のあ「さて…私はもう行く」ファサッ…
あい「早いな。どこへ行くんだい?」
のあ「前川隊室よ。お腹が空いたから、みくのハンバーグを食べに行くわ」スタスタ
あい「食べ(奪い)に行くのか…」タラー
のあ「お魚ハンバーグに差し替えておくから問題ないわ。タッパーに詰めて持ってきているの」スッ
あい「そ、そうか」
のあ「手作りよ…」ドヤァ
マキノ「楽しそうね」
のあ「…ふふ」ワクワク
真奈美「…ん?」
あい「どうした?」
真奈美「P…本部長から呼び出しだ」
──速水隊 作戦室──
美嘉「さて…っと。んじゃアタシC級ブース行くね。莉嘉と個人戦する約束してるから」
志希「あ、あたしも行くー!新しいトリガーセットの組み合わせの試運転したいし♪」
美嘉「えっ、志希ちゃんまたレパートリー増やすの!?連携パターン覚えるの大変なんだけど…」タラー
志希「知的好奇心には勝てなーい♪にゃはー♪」
美嘉「うー…まぁいいや。行こっ」
志希「はーい!」
周子「あたしは…んーそだな。ヒマしてるスナイパーの子捕まえて、射撃訓練室で100発くらい撃ってこよっかな。奏ちゃんは?」
奏「私はここで隊長業務よ。報告書を書かなきゃ」
周子「了解。んじゃねー」フリフリ
フレデリカ「ばいばーい♪」フリフリ
奏「あら、フレちゃんもどこかへ行くの?」
フレデリカ「うん!本部長と遊んでくるね♪」
奏「あぁ…ふふ、了解。頑張ってね」
フレデリカ「はーい♪」スタスタ
バタン
奏「…」カリカリ
コンコン!
奏「…!どうぞ」
拓海「…よぉ」スス…
奏「あら、珍しいお客さんね。さっきはお疲れ様」
拓海「おう」
奏「どうしたの?」
拓海「…頼む!アタシを弟子にしてくれ!!」バッ!
奏「…えっ?あなたの方がランキングは上でしょう?それに戦闘力だって」キョトン
拓海「確かにタイマンや殲滅力じゃアタシの方が強ぇ…けど、『隊長』としては奏、お前の方がずっと上だ」
奏「…!」
拓海「…正直、お前から見てアタシの隊長としての能力はA級の中じゃ1番下だろ。何人かのB級の隊長にも負けてる。違うか?」
奏「…そうね。そう思うわ」
拓海「ッグ…!」プルプル
奏「(言われて悔しがるなら言わせないでよ…)」タラー
奏「けど、A級部隊の隊長なんて皆そんなものよ?新A級の美波だってそう。むしろそれも無しにここまで来れた向井隊が特別なのよ。まだまだ伸び代があるって事だもの」
拓海「だからだよ。ここから先は力押しじゃ通じねぇ。先を読む力だったり、メンバーを上手く使う力だったり…アタシにはそれが必要なんだよ!だから頼む!」パンッ!
奏「…他意は無いのだけれど、どうして私なのかしら?同じシューターの隊長として選んだのなら、私の師匠の川島さんの方が師匠としても隊長としても私より優秀よ。良ければ紹介しましょうか」
拓海「いいや、アタシは奏がいい」
奏「…どうして?」
拓海「アタシが1番勝ちてぇのが速水隊だからだよ」ニヤ…
奏「…!」
拓海「…頼む」スッ
奏「…ふふ」ニコ
奏「(負けた相手に頭を下げて教えを請う。それも負けず嫌いのあなたが。さぞ悔しいでしょうに…。いえ、悔しかったから…かしらね)」
奏「分かったわ。弟子にしてあげる」
拓海「!! ホントか!?」
奏「ええ。けど拓海、あなたは飛鳥の妹弟子よ?」ニコッ
拓海「えっ」
奏「当然じゃない、先に弟子入りしたのは飛鳥なんだし…拓海風に言うと、それが筋を通すって事でしょう?」
拓海「ったりめぇだ!文句はねぇさ!」
奏「あなたは地頭は悪くないわ。むしろいい方だと思う。ただ、ちょっとだけ不器用なだけよ。まずはそこを直さなくちゃね」
奏「飛鳥にはシューターとして色々教えてるけど、あなたはお勉強がメインになりそうね。シューターとしては既に申し分ないもの」
拓海「覚悟はしてたが、やっぱそうなるよなぁ…ま、じゃあねぇか」
奏「それと」
拓海「!」
奏「…技を盗まれて困るのはあなたも同じよ。うっかりには気を付けてね」ニヤ…
拓海「へへ、上等だよ」ニヤリ
コンコン ガチャ
真奈美「失礼します」
P「あっ、真奈美さんお疲れ様です」
真奈美「トリオン体だし、疲れてなどいないさ。今は生身だが」
ちひろ「お疲れ様です。コーヒー淹れて来ますね」
真奈美「いや、大丈夫だよ。ありがとう」
ちひろ「そうですか?分かりました」
P「急にお呼びだてしてすみません」
真奈美「…構わない。というか、君は私の上官なんだからもっと堂々としたらどうだ?部下に対してヘコヘコするんじゃない。気軽に呼び出せ」キッ
P「す、すみません。年上の方に対してだと、どうも慣れなくて(そんな怖い顔しなくても…)」
真奈美「歳など関係ないさ…それに、君にそういう態度を取られるのはあまり好ましくない」ボソッ
P「?すみません、最後の方がよく聞き取れなくて…」
真奈美「…何でもない。本題を」
ちひろ「…」ニコニコ
P「あ、はい…メテオラを使わなかったのは、やはり視聴者の方に対するボーダーのイメージに配慮したんでしょうか?」
真奈美「それもある。君達上層部が決めた事だからね、なるべく従うのが我々手足というものだ」
真奈美「それに、片桐隊や鷹富士隊が敬遠された理由も聞いているからな。あの両隊がいくら突出して…その…荒々しい戦法を使っているとはいえ、木場隊が同じ事をしては両隊に申し訳が立たないと思ってな。会議で意見を聞き入れて貰った義理立てもある」
P「それは…」
真奈美「言っておくが、これは私個人の判断で行ったものだ。木場隊(ウチ)のメンバーは快く了承してくれたが。それに、失礼に当たらぬように事前に向井・速水両隊に事情は話してある。『こういう理由でメテオラは使わない。当然戦闘には全力で取り組む』とな」
ちひろ「…壊さない方がいいのは確かにそうですが、あくまでも『どちらかというとイメージは良い方がいいから、片桐・鷹富士隊はやめとこうかな?』くらいのレベルの話ですよ?」
P「ええ。市民の方々には警戒区域…つまり完全に放棄されたエリアでしか近界民(ネイバー)との戦闘は行わないと発表していますし、街や人々を護り、警戒区域から近界民を出さない為にある程度の警戒区域の放棄された家々への被害は市民からの理解を頂いています」
ちひろ「今回は(スポンサー各社に)我々ボーダー隊員の力を示すといった目的もあるんですし、のびのび戦って貰っても良かったんですよ?」
真奈美「ふむ…もしボーダーに経済的損害を与えてしまったのなら謝る。ちひろさん、済まなかった」スッ
ちひろ「えっ…!?あ、いえ決して責めているわけではなくですね…ですよねP本部長!」アセアセ
P「そ、そうですよ?ただその…さっきちひろさんと話してたんですけど、木場隊はあれで良かったのかなぁって」
真奈美「そうだな…うーん…」
P「…?」
真奈美「木場隊は別に、世間に力を誇示したい訳じゃないよ。むしろ大事なのは速水隊や向井隊の評価だ。だろう?」
P「えっ?」
真奈美「多くの人々に認められてはいるものの、『あんな子供達にA級が務まるのか』『我々の命を預けられるのか』…そんな声も決して少なくない。もっとも彼らとて生死に関わる事だ、そう考えるのも無理はない」
ちひろ「…」
真奈美「しかし、それが私は何より悔しい。木場隊がランク戦で敗北する事よりもな。子供じみた考えで恥ずかしくはあるが」
ちひろ「そんな事…」
真奈美「しかし、彼女達は強い。例え木場隊が期待外れだと思われようとも、それを世間に知って欲しかった。だから上層部の会議でこの2隊を推薦したという部分もある」
P「そんな…実際、大差で勝ったじゃないですか」
真奈美「ただメテオラを封印しただけで、戦闘そのものは手を抜いていた訳ではないからな。元より負けるつもりはなかったよ」フフッ
ちひろ「(つまり、メテオラを使わなくても勝てる自信があったんですね…)」
P「(真奈美さんとのあさんが互いにメテオラで無理やり射線を通して、どんな地形・状況でも強引にのあさんに援護させて真奈美さんが無双する…これを封印するのとしないのとでは大分違うと思うけどなぁ)」タラー
真奈美「要は多少実力より弱く見られようとも、彼女達が正当な評価を受けられればそれでいいという事だ。変に手心を加えた覚えはない」
ちひろ「真奈美さん」
真奈美「!」
ちひろ「ボーダーへの損害なんて考えなくてもいいんですよ?その為に私がいるんですから。お金はあくまでも手段の1つに過ぎません」
ちひろ「真奈美さんが大人だからって関係ありません。あなた達はのびのびとやってていいんですよ」ニコッ
真奈美「…ちひろさん、ありがとう」ニコ
ちひろ「いえいえ♪」ニコニコ
ちひろ「(お金なんてその気になれば表からも裏からもいくらでも引っ張って来れますし。人々を護る為に戦う皆さんを不当に貶めるような輩は、残らず私が捻り潰しますからね♪)」オォォォン…
P「…!?」ゾクッ
P「…木場隊の考えは分かりました。お時間を取らせてしまってすみません」スッ
真奈美「だからヘコヘコするな。堂々と胸を張っていろ」グイッ
P「おっと…はい」
真奈美「フフ、それでいいんだ。中々格好良いぞ♪」
P「あはは、照れますね」ポリポリ
ちひろ「…」ピクッ
P「あ、そうだ!真奈美さん、今からトレーニングに付き合って貰えませんか?事務仕事も終わらせましたし、最金少し鈍ってまして」
真奈美「おいおい…世間からは最強だの何だのと呼ばれてはいるが、私はこれでも女だぞ?もう少し色気のある所へ誘ってくれても良いじゃないか…♪」ズイッ…
P「へっ!?ちょ、近いですって…!」
ちひろ「…ちょっと、まn」
ドア「」コンコン!
真奈美「!おっと…コホン。フフ、長居し過ぎてしまったようだな。済まない、失礼するよ」スタスタ
P「ふぅ、焦ったぁ…あ、どうぞ」
ガチャ
フレデリカ「はぁい♪」ニコッ
ちひろ「!フレちゃん」
フレデリカ「お邪魔しまーす♪本部長、遊ぼ♪」
P「急だな…分かった。何戦やる?」
フレデリカ「んー…とりあえず200戦やろっか♪」
P「…とりあえずにしては多くないか?」
フレデリカ「…ダメ?」ウワメヅカイ
P「うっ…ち、ちひろさん」チラ
ちひろ「…100戦だけですよ」
フレデリカ「はーい♪」
P「…まぁフレデリカの強さじゃ練習相手になる奴なんてほとんど居ないからな、付き合ってやるよ。ちひろさんすみません、すぐ100戦終わらせてきますんで」スクッ
ちひろ「はいはい、程々にですからね」
フレデリカ「む。このフレデリカ氏相手にすぐ終わらせちゃう発言ですかな?んふふ、公開処刑になっても知らないよー?」ニヤニヤ
P「グズグズしてると置いてくぞー」スタスタ
フレデリカ「あっやだ!待ってよー!」タタッ
P「…(急に静かになったな…)」スタスタ
フレデリカ「…」スタスタ
P「…悔しかったのか?さっきの試合」
フレデリカ「…うん」
P「…そうか。けど、自分を責めるなよ。結果は結果だし、チームの負けはチームの責任だ」
フレデリカ「…そんなの分かってるもん」
P「…よしよし」ナデナデ
フレデリカ「…」ギュッ
フレデリカ「…少しだけ、充電させて」ギュウウッ
P「あぁ」ナデナデ
ちひろ「(フレちゃん、人前では弱さは見せないものね…。Pさん任せるしかないか)」ニコ
ちひろ「さて、私はお仕事を…」
ピピッ!
ちひろ「!」
ちひろ「これは…隊結成の申請?なになに、的場隊…」
B級部隊申請 的場隊 隊長:的場梨沙
的場梨沙 at 4467pt(孤月)
結城晴 at 4580pt(スコーピオン)
赤城みりあ sh 4363pt(アステロイド)
佐々木千枝 op
ちひろ「へぇ…!あの子達、チームを組んだのね。ふふ、P本部長も喜びそう♪」ニコッ
ちひろ「あ、そういえばそろそろランク戦の時期ね。B級のランキングに書き加えなきゃっ」カタカタ ッターン!
1位 財前隊
2位 丹波隊
3位 相原隊
4位 神谷隊
5位 二宮隊
6位 輿水隊
7位 本田隊
8位 双葉隊
9位 桐生隊
10位 浅利隊
11位 前川隊
12位 綾瀬隊
13位 五十嵐隊
14位 ヘレン隊
15位 南条隊
16位 岡崎隊
17位 早坂隊
18位 的場隊 new!
おわり
一応これで終わりです。続編は恐らくランク戦編になると思います。A級のかB級のかは未定です
次回作に反映させるかは分かりませんが、組み合わせ等の対戦方式でリクエストがあればお気軽にどうぞ
それでは、また。
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