【ガルパン】ブラックボックスinアンツィオ (7)

ペパロニ「ドゥーチェ、このというブラックボックスアトラクションで最も大切なのは──『ルール』を守ることっす」

アンチョビ「ルール?」

ペパロニ「そう、お客さん自らがきちんとルールを守ること……これが絶対の条件でありかつ──このアトラクションの最大のキモっす」

アンチョビ「ほうほう」

ペパロニ「第一のルール。お客さん達はこの三畳一間のこの部屋に入ったら──絶対にこの耳栓をはずしちゃいけません」

アンチョビ「耳栓」

ペパロニ「特殊カーボンでできた、遮断率100%のすげー耳栓です」

アンチョビ「100%か、すごいな」

ペパロニ「試しにつけてみます?」

アンチョビ「うん」


 きゅぽきゅぽ


アンチョビ『……うわ、変な感じだ……。ごぉぉぉっていう耳鳴りと、時々、自分の心臓の鼓動みたいな音と──ペパロニ、なんか喋ってくれ』

ペパロニ「      」

アンチョビ『おおお、全然聞こえないぞー』

ペパロニ「      」

アンチョビ『口がパクパクしてるだけでさっぱりわからない。自分の声は聞こえるのに、変な感じだなぁ』

ペパロニ「      」

アンチョビ『……ん? あぁ、耳栓をはずせっていうジェスチャーか』

 ……きゅぽん

ペパロニ「どーっすか、ぜんぜん聞こえないでしょ」

アンチョビ「うん! すごいなこれは!」

ペパロニ「でしょー? そしてですね、さらに──部屋の中を真っ暗にするっす! おーい、カルパッチョ」


 <『はいはーい』


 カチ!



アンチョビ「わぁっ、真っ暗だ……わ、わ、自分の手さえ見えない。ぺ、ペパロニ? そこにいるか?」

ペパロニ「いるっすよぉ。目の前っす」

アンチョビ「そうか……ひゃぁっ、こら! 私の腰を触るな! 」

ペパロニ「えへへへぇ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507283563

アンチョビ「もー……。だけどすごいな、真っ暗だ……不思議な感じだ」

ペパロニ「でしょー。そしてですね、この状態で、さぁ、耳栓をするっす。ただし──灯りが付くまで絶対に耳背を外しちゃだめっすよ」

アンチョビ「む……。なんか、ちょっと怖くなってきた」

ペパロニ「さぁさぁ耳栓を」

アンチョビ「よ、よし……」


 ──きゅむきゅむ


アンチョビ「──────。」




アンチョビ(──うわっ、これ……なんだこれ……。暗闇で──頭の中の音だけがごぉぉぉってなんだか──深い海の底に突き落とされたみたいな。)

アンチョビ(……。)

アンチョビ(……。)

アンチョビ(……ッ、ぺ、ペパロニ! いるか! そこにいるのか? どこだペパロニ!)


 ぎゅっ
 

アンチョビ(……あっ、これペパロニの腕か……よかった。)

アンチョビ(ちょっとだけほっとした……)

アンチョビ(……。)

アンチョビ(……。)

アンチョビ(……なぁ、おい、もういいぞ。灯りをつけてくれ)

アンチョビ(おい、おいってば、おーい!)

アンチョビ(カルパッチョ、聞いてるのか、電気をつけてくれ! おーい! カルパッチョぉ!!)


 ──んぱっ(明りがついた)


アンチョビ「ふはぁ!」

 きゅぽんっ

アンチョビ「はー……はー」

ペパロニ「さすがドゥーチェっす、よく最後まで耳栓を外さずに我慢できましたね」

アンチョビ「うーん、これは……すごいな……こんな感覚初めてだ」

ペパロニ「まー、いいとこ1分っすね」

アンチョビ「うん……そうだな……」

ペパロニ「一組、500円で2分。けっこう回転率いいっす」

アンチョビ「ふむふむ……なかなかいいんじゃないか。よし、今度の学園祭の戦車道チームの出し物は決まりだな」

ペパロニ「おっけーっす! ──って、あ、肝心な事を、まだ説明してなかった」

アンチョビ「ん?」

ペパロニ「大事なのは──ルールっす、さっきも言った通り」

アンチョビ「うん。」

ペパロニ「第二ルール……これはもっとも大切なルールっす」

アンチョビ「ほう」

ペパロニ「『この中で起こったことは──二人だけの秘密!」

アンチョビ「二人だけの秘密……?」

ペパロニ「そうです、この部屋の中でおこったことは絶対だれにも話さない──もっと言えば、外にでたらお互いに忘れる! そーいう気持ちが、アトラクションのわくわくを高めてくれるんです!」

アンチョビ「ふぅん……?」
 

 ──────────。







 ワイワイわいわい……ガヤガヤガヤガヤ




 <「はぁー、すっごくドキドキした……」「500円は高いと思ったけど──でもなんか面白かったねぇ、あとでもっかいこよっかぁ」


ペパロニ「ありあとあんしたぁ~、またおまちしてまぁ~す!」

アンチョビ「うん……なかなかの盛況だな!」

ペパロニ「楽しんでもらえてるみたいで嬉しいっすね。」

アンチョビ「だな」

まほ「──安西」

アンチョビ「お、西住」

まほ「ブラックボックス、か──面白そうな事を考えるな、お前達は」

ペパロニ「へへー」

アンチョビ「だろう、西住もどうだ」

まほ「どうする──エリカ?」

エリカ「え、私は……はい、隊長が入られるのでしたら、お供しますが」

まほ「そうか、では二人だ。頼む」

アンチョビ「おうよ」

ペパロニ「まいどあり~」


 チャリーン♪


ペパロニ「ではでは~、当アトラクションには大切なルールがありまして──」

まほ「ルール……?」



まほ「──ほう、二人だけの秘密……か。だそうだぞ、エリカ」

エリカ「はぁ」

ペパロニ「ちなみにカメラの心配も大丈夫っすよ。真っ暗で映らないんで──」



 ──────。

ペパロニ「それでは、いってらっしゃいませ~」

まほ「ふ……少し、ワクワクするな」

エリカ「まぁ、そうですね」



 とことことことこ……



ペパロニ「……黒森峰の副隊長さん、相変わらずぶっきらぼうな人っすねぇ」 

アンチョビ「黒森峰っぽいなぁ」


 ~2分後~



ペパロニ「──はぁい、お疲れ様! お楽しみいただけましたか~?」

アンチョビ「お疲れ~……って……ん?」


まほ「──なかなか面白かったな、エリカ」

エリカ「……っ、は……はい……。っ……」

まほ「……ふふ……」

アンチョビ「……??」


ペパロニ(姉さん、姉さん、副隊長の人なんか顔が赤いっす。息も乱れてる)

アンチョビ(うん……)


アンチョビ「なぁ、もし暗闇で気分が悪くなったのなら──」

エリカ「っ……だ、大丈夫、……」

アンチョビ「本当か……?」

まほ「ところで安西、改めて確認しておくが──」

アンチョビ「え? あ なんだ?」

まほ「中で起こったことは二人だけの秘密でかつ、お互いに忘れよう──それがルール、だな?」

アンチョビ「え、うん、そうだけど」

まほ「だ、そうだ。……いいな、エリカ?」

エリカ「そのっ……は、はい、隊長……」

まほ「──では、私達は行くよ、また会おう安斎。」

アンチョビ「お、おう……」


 すたすたすたすた……


アンチョビ「……。」

ペパロニ「……。」

アンチョビ「……中で何が起こってたんだ……」

ペパロニ「んー……確認してみます?」

アンチョビ「へ?」

ペパロニ「録画データがあるはずですけど」

アンチョビ「は!? お前、さっき、カメラはないっていってたじゃないか!」

ペパロニ「赤外線カメラとかは予算的に準備できなかったんすけどぉ──整備課の連中に、サーモグラフィーを借りたっす。」

アンチョビ「サーモグラフィー!」

ペパロニ「一応は中のことチェックしとかないと、お客さんが倒れたりしたらまずいですし……だからカルパッチョがチェックしてます」

アンチョビ「カルパッチョのやつ姿が見えないと思ってたら……うー、だけど、これ、お客さん達には秘密だぞ……? 撮影はしてないって建前なんだから……」

ぺパロニ「わかってますよ。おぉーい、受付頼む、私達はちょっと用事だ」

モブ子「はーい」

アンチョビ「うー、いいのかなぁ……」




 ──────。

ペパロニ「さっきの動画データーは──あったこれだ、」


 カチカチ(クリック)


ペパロニ「お……二人が入ってきた」

アンチョビ「こーゆー感じの画面、わたし映画でみたことがある」

ペパロニ「『プレデター』っすね」

アンチョビ「それだ」

ペパロニ「精度があんまりよくないカメラだから、余計にそれっぽいんすよ」

アンチョビ「けど意外と二人とも、目が見えないわりに動きがしっかりしてるなぁ」

ペパロニ「んにゃ、この時はまだ部屋の明かりがついてますから」

アンチョビ「あそっか」

ペパロニ「二人が部屋の中央について──はい、今、電気消えたと思います」

アンチョビ「お……あはは、二人とも、手の平を顔の前に持っていってる。私と一緒だ」

ペパロニ「やっぱ皆やっちゃうっすよねー」

アンチョビ「んー……エリカのほうは、なんだかソワソワしてるな。キョロキョロ周りをみてるっぽいな」

ペパロニ「隊長さんは──腕をおろして、なんかジッとしてますね。……すげー、ぜんぜん動揺してない……」

アンチョビ「やるなぁ西住」

ペパロニ「そいで……んと、今のところはあんまり変化ないっすねぇ」

アンチョビ「そうだなぁ」

ペパロニ「副隊長さんは相変わらずもぞもぞしてて、隊長さんはじーっとしてて……」

アンチョビ「このままなはずはないんだけど──あ」

ペパロニ「お」

アンチョビ「西住が、急に、エリカの頭のほうに腕を……。……。……ん? 何やってるんだ、これ?」

ペパロニ「これは──頭をなでなでしてるんじゃないっすか……?」

アンチョビ「はぁー? ……いやでもたしかに、そんな感じだ……。何やってんだ西住」

ペパロニ「副隊長さん、すっごい戸惑ってるっぽいっす、動きが、おどおどしてる──と思ったら、あ、だんだん動きが小さくなっていって──。……あきらめたというか、受け入れたというか」

アンチョビ「西住は──お構いなしにひたすらなでなでだな。」

ペパロニ「……。黒森峰って……意外と、仲良しなんすねぇ……」

アンチョビ「だなぁ……」


 ──────。

タイトル間違えた……後ほど立て直します。
ごめんなさい。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom