杏「ただいまー。はあー働いたなあ。プロデューサー、アメをよこせー」

モバP「帰ってきてそうそうだな。ほら」

杏「あんがとー。プロデューサー大好き」

モバP「お前の好きは年中大安売りだな」

紗南「ただいまー！いやー、今日も楽しかったよー」

モバP「お帰り、紗南。収録バッチリだったみたいだな」

紗南「うん！新作ゲームの宣伝も完ぺきだよ！ね、杏さん」

杏「んーまあ、伝わったんじゃない？紗南もずっとテンション高かったし」

モバP「そうか。まあお前たちの番組はいつも視聴率もファンからの評判もいいから心配はないな」

モバP「ところで智絵理はどうしたんだ？一緒に帰ってきたんじゃないのか」

紗南「そういえば遅いなあ、智絵理さん。どうしたんだろ」

杏「心配しなくてもすぐ帰ってくるって」

智絵理「ただいま戻りました」

杏「ほらね」

智絵理「？」

紗南「智絵理さんの帰りがちょっと遅いなあって話してたんだ」

智絵理「ちょっと志希さんと話してて……」

モバP「そうだったのか。何かあったわけじゃないならよかった」

智絵理「ごめんなさい、プロデューサーさん。心配かけちゃって」

モバP「謝らなくていいよ、智絵理。ちゃんと帰ってきたんだしな」



杏「プロダクションの外に出てもいないのに過保護だよねプロデューサーって」

紗南「智絵理さんに甘いもんね、プロデューサーさん」



モバP「お帰り、智絵理」

智絵理「ただいまです。プロデューサーさん」

智絵理「そういえば……どうして杏ちゃんと紗南ちゃんの番組にわたしを出そうと思ったんですか？」

モバP「2人の番組には隔週でアイドルをゲスト出演させててな。とくにゲームに強くなさそうなアイドルに出てもらってるんだ」

杏「杏たちだけだとどうしても話もコアになりがちだしねー」

紗南「杏さんとゲームしてるとついねー」

モバP「まあ、そういうわけだ。他にもいつもは触れないジャンルに関わることでみんなのいい刺激になればな、と思ってる」

智絵理「そうだったんですか。でもわたし、全然面白いこと言えませんでしたよ？」

モバP「それがいいんだよ。智絵理の飾らない反応をみんな楽しみにしているんだから」

紗南「誰かに教えながらするゲームも面白いよ！」

杏「杏的にはしゃべる機会が減ってくれるのはありがたいしねー」

モバP「お前はもうちょっとやる気出してくれ」

紗南「プロデューサーさん、この後あたしたちの予定は？」

モバP「この後3人の予定は空いてるよ」

紗南「やった！じゃあみんなでゲームしようよ！」

杏「さっき収録でもさんざんやったのに元気だねー紗南は」

智絵理「わ、わたしが入ったら迷惑じゃないかな……？」

紗南「大丈夫！さっきのはちょっと難しかったけどみんなで楽しく遊べるのもあるからね！」

モバP「俺はまだ仕事も残ってるから、3人で楽しんでくれ」

紗南「えー！？プロデューサーさんもやろうよ」

モバP「しかしな……」

ちひろ「いいじゃないですかプロデューサーさん」

モバP「ちひろさん？」

ちひろ「今日はそこまで忙しいわけでもありませんから。少しくらいなら大丈夫ですよ」

モバP「ですが……」

ちひろ「アイドルに付き合ってあげるのも大事な仕事ですし、プロデューサーさんも息抜きしてください」

杏「そうだそうだ息抜きは大事だー、杏を見習えー」

モバP「……わかりました。ならお言葉に甘えて少しだけ」

紗南「決まりだね！あたし準備してくる」

ちひろ「では私はみんなの飲み物を用意しますね」

モバP「俺も手伝いますよ」

　～～～～～～

智絵理「ふぅ……ちょっと疲れちゃった」

モバP「今までゲームとは無縁だったしな。休憩しようか」

紗南「ゲームは一日1時間まで！……なんだけど」

杏「やめられない、とまらない」

モバP「おいおい」

紗南「えへへ、わかってるよ！目も休めてあげないとね」

杏「じゃないと春菜の眼鏡攻めにあっちゃうし」

モバP「せっかく淹れた紅茶もすっかり冷めちゃったな」

紗南「この紅茶って誰のだっけ？」

モバP「たしか雪乃が持ってきたやつだったかな」

杏「あーどうりでおいしいわけだ」

智絵理「雪乃さんの紅茶、冷めてもおいしいです」

智絵理（……）



紗南「今度あたしが楽しみにしてたあのゲームが出るんだよ！」

杏「延期に延期を重ねたあれがついに出るのかー」

モバP「そういや去年に出ると言っていたやつだっけ？」

紗南「そうそう！ファン待望の新作がね！そこでプロデューサーさんに相談なんだけど……」

モバP「もう紗南も人気アイドルなんだから並ばせないぞ」

紗南「やっぱダメー？」

モバP「ダメです」

杏「鬼！悪魔！Pひろ！」

モバP「おいバカよせ」

智絵理（なんだろう……この気持ち）

智絵理（プロデューサーさんを見てると、変な感じ）

智絵理（イヤな気持ちじゃない……けど、むずむずするような）

智絵理（プロデューサーさんの動きの一つ一つから目が離せない……）



モバP「だからさ、俺が代わりに買ってくるよ。紗南の欲しいゲーム」

紗南「え、いいの！？」

モバP「いつも頑張ってくれてるからこれくらいはな」

紗南「ありがとう！プロデューサーさん！」

モバP（本当は自分で買いに行きたいだろうけど、それはさすがに混乱を招くし……ごめんな、紗南）

杏「あー杏も甘やかされたいなー。どこかに優しいプロデューサーがいないかな」

モバP「杏、お前は……わかった、お前の分も一緒に買ってくるよ」

杏「やけに素直じゃん。明日は雨が降るのかな」

モバP「きらりに電話すんぞお前」

杏「冗談だよ……その、ありがと」

モバP「ん、素直でよろしい」



智絵理（いいなあ杏ちゃん、プロデューサーさんに撫でてもらえて……）

智絵里（わたしもしてほしいな）

モバP「それにしても雪乃の紅茶は美味いな」



智絵理（プロデューサーさんが、カップに口を付けた……）

智絵理（！？）

智絵理（い、今の……なに？）

智絵理（勘違いかな？わたし……今……）

智絵理（プロデューサーさんの唇を見て、それで……）



杏「……智絵理ちゃん？どうしたの」

紗南「ゲームさせすぎて疲れちゃった？大丈夫？」

智絵理「あ、ううん。大丈夫だよ……ありがとう、杏ちゃん。紗南ちゃん」

モバP「本当に大丈夫か？少しぼーっとしているみたいだぞ」



智絵理（プロデューサーさんの大きな手が近づく）

智絵理（プロデューサーさんの顔が近づく）



智絵理（プロデューサーさんの唇が、近づく）

　ご指摘感謝します。智絵里、間違えてましたね。申し訳ありませんでした。気を付けます



モバP「智絵里？」

智絵里「ごめんなさい、プロデューサーさん。痛かったですか？」

モバP「いや、大丈夫だ。智絵里は軽いから」

モバP（俺に倒れ掛かってくるくらい疲れていたのか？よく見たら顔も赤いな）

モバP「智絵里、やっぱり具合が悪いんじゃ」

智絵里「違うんです。違うんですプロデューサーさん」

モバP「違うって何がだ？」

智絵里「プロデューサーさん……」

モバP（俺の肩に乗せられた智絵里の手にかかる力が強くなった気がする）

モバP（おかしな話だが、ライオンがウサギを逃すまいとするみたいな……そんな感じだ）



智絵里「チュウしてください……」

杏紗南「「！？」」

モバP「はいっ！？」

智絵里「おねがいします……じゃないとわたし……！」

モバP「待て！待ってくれ、智絵里！」

智絵里「どうしてですか……？」

モバP「どうしてってそれは……」

智絵里「そっか、わかりました」



智絵里「わたしからすればいいんですね？チュウ……です」

モバP「何もわかってない！やめるんだ智絵里！」

モバP「クッ……杏！紗南！助けてくれ！」

杏「杏ーレッスン行ってくるね」

紗南「積みゲー崩してくる」

モバP「ここぞとばかりに用事を思い出すんじゃない！杏はそんな殊勝なやつじゃないし、紗南は積まない主義だろ！」

智絵里「チュー……」

モバP「ぅゎ、智絵里っょぃ……」

ちひろ「やってる場合ですか。ほら、智絵里ちゃん。プロデューサーさんが困ってますから」

智絵里「あぅ……」

モバP「た、助かった……ちひろさんありがとうございます」

ちひろ「それにしてもどうしちゃったんでしょうね、智絵里ちゃん」

モバP「俺にも何が何やら……」

ちひろ「まさかですが、智絵里ちゃんに変なことしてるわけじゃないですよね？」

モバP「そんなことしてませんよ！でも心当たりならありますよ」


～～～～～～


志希「ふむふむ～智絵里ちゃんにはこんな効果が表れたんだね」

モバP「お前の発明品のせいでこっちは困ったことになったんだよ」

志希「ホントに～？こーんなかわいい智絵里ちゃんにキス迫られて、うれしかったんじゃないのぉ？」

モバP「馬鹿なこと言ってないで早く解毒剤とか、ないのか？」

モバP（本当のことを言うと、少し嬉しかった。だが俺はプロデューサーだ。アイドルとそんな関係になるわけにはいかない）

志希「そんな都合のいいもの作ってないよん♪」

モバP「お前自身が都合のよさの権化みたいなものの癖に！」

志希「にゃははは！ま～でも１日経てば元に戻るから心配しなくていいよ」

モバP「コラ！逃げるな志希！」

モバP（逃げ足の速いやつめ……それにしても）

モバP（１日も待たないといけないのか……大丈夫かな）

モバP「……そんなわけで智絵里、お前がおかしくなっているのは志希の薬のせいだ」

杏「安心と信頼の志希印のお薬だね」

モバP「忌々しいことにな……」

紗南「智絵里さんのお願いを聞いたら効果が切れたりしないかな？」

モバP「アイドルにキスするわけにはいかないだろ」

智絵里「あの……プロデューサーさん」

モバP「ん、なんだ智絵里」

智絵里「キスじゃないです、チュウです……」

モバP「それはどっちでもいいんじゃないか」

智絵里「チュウです……」

モバP「いや、だから」

智絵里「チュウです」

モバP「あの、智絵里さん？」

智絵里「チュウです」

モバP「……チュウです」

智絵里「はい、チュウしましょう？」

モバP「それが狙いか！ダメだからな？」