佐倉「野崎くんがいっぱいいる夢を見た」 (22)
佐倉「……いい夢だったなぁ」
佐倉『野崎くん野崎くん!! 特典映像だよ!! 一緒に見よー!!』
佐倉『うわっ!!』バタッ
佐倉『いてて……』
野崎『……』
佐倉『あっ、野崎くん……』
ゾロゾロ……
野崎『……』
野崎『……』
野崎『……』
野崎『……』
佐倉『えっ!? なんでこんなに野崎くんが!?』
野崎『……』
野崎『……』
野崎『……』
野崎『……』
佐倉『ちょ、ちょっと待って!! 何これ!? 夢!? 夢なの……?』
佐倉「……またあの夢みたいなぁ」
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佐倉「……」
佐倉「野崎くんがいっぱいかぁ……」
佐倉「現実にもあったらいいなぁ……」
佐倉「……ってこんなこと言ってる場合じゃない!! もうアシスタントに行く時間だ!!」ダッ
佐倉「今日は堀先輩と若松くんも来るんだよね……二人とももう来てるかな」タッタッタッ
ガチャッ
佐倉「野崎くん!! お邪魔します!!」
野崎「おはよう佐倉」
野崎「いらっしゃい」
野崎「おはようございます」
佐倉「!!?」
佐倉(の、ののののののの野崎くんが……)
佐倉(三人!!?)
野崎「佐倉……そんなに驚いてどうしたんだ?」
佐倉「ちょ、ちょちょちょちょちょちょっと待って野崎くん!!!」
野崎「?」
佐倉「な、なんで!? なんで野崎くんが三人もいるの!? 堀先輩は!? 若松くんは!?」
野崎「な、何をそんなに困惑してるんだ?」
野崎「佐倉先輩……その若松って人、誰ですか?」
野崎「それに堀先輩って誰だ」
佐倉「!!!?」
野崎「佐倉……今まで普通にこの光景を見て過ごしたじゃないか。 何で今更そんなに驚いてるんだ?」
佐倉「あ……あ……」
野崎「とりあえず作業をしよう」
野崎「そうだな、じゃあ俺はここの背景を」
野崎「お願いします」
野崎「俺はここにトーン貼りますね」
野崎「頼んだ」
佐倉「……」
佐倉(そうだ!! これも夢なんだ!! だって現実にこんなことあるわけないもん!!)
佐倉(そうだよ!! どうせ夢なら……今の現実を受け止めて……とことん楽しまなきゃ!!)
野崎「お前もそろそろ背景描けるようにならなきゃいけないぞ」
野崎「すみません」
佐倉(この背景を描いてる野崎くんが先輩野崎くん……)
野崎「貼り終わりましたよ」
野崎「ありがとう」
佐倉(トーンを貼ってるのが後輩野崎くん……)
野崎「……佐倉先輩、手が止まってますよ?」
佐倉「あっ! ご、ごめんね!!」
佐倉(私に敬語で話す野崎くん……)
佐倉「……」
佐倉(こういうのもいいなぁ///)
佐倉(いいなぁこの夢……覚めないといいなぁ///)
佐倉(……あっ、そういえば)
佐倉「あ、あの……野崎先輩」
野崎「なんだ?」
佐倉「……鹿島くんって知ってますか?」
野崎「?? 誰だそれ?」
佐倉(やっぱり!!)
佐倉「な、なんでもないです!! ……質問もう一ついいですか!?」
野崎「ああ」
佐倉「イケメンな顔といえば誰ですか!?」
野崎「鈴木」
佐倉(先輩野崎くんは鈴木馬鹿!!)
佐倉「……じゃ、じゃあ!! 野崎先輩って足好きですか!?」
野崎「ああ、漫画の資料になるからな」
佐倉(やっぱり足好き!!)
野崎「佐倉……今更そんなこと聞いてどうするんだ? みんな知ってることだろ?」
佐倉「そ、そうだよね!! ごめんね!!」
佐倉「……」チラッ
野崎「な、なんですか?」
佐倉「……野崎くんって好きな人いたよね?」
野崎「は、はい……そうですけど」
佐倉「!!」
佐倉「そ、それって……誰?」
佐倉(若松くんの場合はローレライだったけど……)
野崎「剣さんです」
佐倉(そっちかぁ……)
佐倉(……って、なんで私はちょっと期待してたんだろう……)
佐倉(そうだよ、野崎くんは剣さん一筋だって忘れてた……)
野崎「作業用BGMでも流すか」プチッ
~♪
佐倉(!! 男の人の歌声……剣さん!!?)
野崎「zzz……」
佐倉(後輩野崎くんが寝た!?)
野崎「おっと、前野さんの曲を流してしまった」
佐倉「!!?」
野崎「……はっ!!」
野崎「すまない、ついBGMを流してしまってな」
野崎「お前はいつもこの人の曲で寝てしまうからな」
野崎「すいません」
佐倉(な、なんで前野さんが剣さんの声を出せるの!?)
野崎「佐倉……また驚いた顔をしているが……今日はどうしたんだ?」
佐倉「な、なんでもないよ!! ごめんね、今日の私おかしいよね!!」
佐倉「……」
佐倉(この夢の世界に入ってから大分経ったなぁ……)
佐倉(もしかして……現実?)
佐倉(……いやいや!! そんなことないって!! あり得ないもん!!)
佐倉(……あり得てほしいけど)
野崎「あっ、もうこんな時間だ」
野崎「ほんとだ……もう帰らないといけませんね」
野崎「残念だな……」
佐倉「ええっ!? もう帰っちゃうの!?」
野崎「ああ、用事があるからな」
佐倉「……演劇部ですか?」
野崎「漫画のネタ探しだ」
野崎「俺もです」
佐倉「!!?」
野崎「じゃあまた明日」
野崎「ああ」
野崎「お邪魔しました」
バタン!!
佐倉「……」ボーッ
野崎「佐倉、次はここにベタを頼む」
佐倉「……はい」
佐倉(三人の野崎くんともっと一緒にいたかったなぁ)
佐倉「ね、ねえ野崎くん……」
野崎「なんだ?」
佐倉「わ、私……実は……その……記憶喪失になっちゃったの」
野崎「!!?」
佐倉「そ、それでね……野崎くんがいるっていうのは覚えてたんだけど……野崎くんが三人いるのは覚えてなかったの……だからあんなに驚いてたの」
野崎「佐倉……」
佐倉「……!! ご、ごめんね!! こんなの馬鹿げてるよね……信じろって言う方が難しいよね……」
野崎「……いや、その目は本当のことを言ってる目だ」
佐倉「!! じゃあ……信じてくれるの?」
野崎「ああ」
佐倉「野崎くん……」
佐倉(野崎くん嘘ついてごめん!! ただちょっと気になったから……)
野崎「俺が三人いる理由はな……」
佐倉「理由は……?」
野崎「……説明しようがない」
佐倉「……へ?」
野崎「だって……三人とも偶々同じ名前で……同じ顔ってだけだからな」
佐倉「そ、そうなんだ……」
野崎「……思い出したか?」
佐倉「う、うん!! なんか思い出した気がする!! ありがとう!!」
野崎「どういたしまして」
野崎「それよりもう暗いから帰った方がいいんじゃないか?」
佐倉「!! ほ、本当だ!! いつの間に!! じゃ、じゃあ私帰るね!!」
野崎「ああ、気をつけて」
佐倉「……」
佐倉「そうだよ……私、何考えてたんだろう」
佐倉「野崎くんは元々三人いたじゃん!! 私、忘れん坊だな~」
佐倉「なんで堀先輩とか若松くんとか知らない人の名前が出てきちゃったんだろうな~……」
佐倉「……って独り言言ってたらもう家の前だ!!」
ガチャッ
佐倉「ただいまーー!!」
野崎「お帰り千代」
野崎「遅かったじゃないか」
野崎「お帰り姉さん」
佐倉「!!!!!!!!?」
佐倉「え……? え……?」
野崎「よし、家族全員揃ったしみんなで食べるか」
野崎「そうですねあなた」
野崎「姉さん、早く一緒に食べよう」
佐倉「……」
野崎「……?」
佐倉「……うん!!!」
佐倉(もう私ったら……なんでこんな事も忘れてたんだろう?)
佐倉(私のお父さんも……お母さんも……十和も……みんな野崎くんだったじゃん!!)
野崎「今日も上司に怒られてな……」
佐倉(漫画家じゃない野崎くん!///)
野崎「……それは大変でしたね」
佐倉(エプロン姿の野崎くん!!///)
野崎「姉さん、そこの醤油取ってもらえる?」
佐倉(私を姉さんって呼んでくれる野崎くん!!!///)
佐倉(私、毎日こんな楽しい空間に包まれてたんだぁ……///)
野崎「千代、ニヤニヤしているが……何か嬉しいことでもあったのか?」
佐倉「うん!!」
佐倉「……あれ?」
佐倉「今の声……私?」
野崎「千代……何を言ってるんだ?」
佐倉「だ、だって!! 今、私の声……」
佐倉「……ほ、ほら!! なんでこんな男の人の声になってるの!!?」
野崎「元々そんな声じゃなかったか?」
佐倉「!!!?」
佐倉「……!! あ、あれ……手も大きくなってる……」
野崎「それも元からだろう」
野崎「どうしたんだ姉さん」
佐倉「!! せ、背が……背が急に伸びた!!!」
佐倉「……!!!」
佐倉(も、もしかして……)
ダッ!!
野崎「千代! どこに行くんだ!!?」
佐倉(鏡……鏡……)
佐倉(……あった!!!)
佐倉(……!!!!!)
佐倉「あ……なんで……どうして……?」
佐倉「どうして……? なんで……?」
野崎「どうしたも何も元々だろう」
佐倉「!!!」
野崎「俺から見たら姉さんはいつもと変わらないように見えるけど」
佐倉「……」
野崎「兎に角早くみんなで食べよう、父さんも母さんも心配してるから」
佐倉「……」
野崎「……姉さん?」
佐倉「……そうだな、食べよう。 心配をかけてすまなかった」
次の日
御子柴「やべえ……ギャルゲーのやり過ぎでアシスタント行くのに遅れた」
御子柴「野崎と佐倉、怒ってるだろうな……」
ガチャッ
御子柴「わりい二人とも!! 遅れ……」
御子柴「……!!!!?」
野崎「じゃあここにベタしてくれ」
野崎「分かった」
御子柴「……」
野崎「! 遅かったじゃないか御子柴」
御子柴「あ……あ……」
野崎「……御子柴?」
御子柴「あああああああああああ!!!!」
~終わり~
前野「いやー流石僕!! 夢が現実になってほしいって願いを叶えちゃった!!」
前野「……え? もっと僕の活躍がみたい? しょうがないなぁ。 じゃあこれ見てね!!」
佐倉(目が覚めたら野崎くん家の扇風機になっていた)
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前野「……あっ!! また名前間違えてる!!」
ミツヤ「……これでよし!!」
本当に終わり
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