佐久間まゆは告らせたい (34)

人を好きになり 告白し 結ばれる

それはとても素晴らしい事だと誰もが言う

だが、それは間違いである!!

少なくとも、アイドルにとってそれは最大の禁忌!

しかし芽生えた想いを、ほのかな恋心を消すことができようものか!

自らの想いを吐露することも出来ない存在――それがアイドル!

ならば、選択する道はただ一つ!

告白することができないのならば――告白されればいいのだ!

そう恋愛は戦!

好きになったほうが負けなのである!



≪佐 久 間 ま ゆ は 告 ら せ た い≫

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346(ミシロ)プロダクション。

古くから著名な俳優や歌手などが多く所属しており、社内には独自の撮影施設を有しテレビ・映画・映像のコンテンツ企画なども行っている業界内においても最大手と目される老舗芸能プロダクション。

それが346プロダクション。通称346プロ。
そんな346プロが現在新たに手掛けているのがアイドル部門である。
まだ スタートして間もない部門ではあるが既に多数の著名アイドルを排出しており、業界内でも期待が集まっている。

そんな新進気鋭のアイドルたちの中でも一際光り輝くアイドル。

容姿端麗にして、その歌声は天使の調べ。
まさしくアイドルの頂点に立つべくして生まれてきたかのような神の申し子。

それが佐久間まゆ、である。

そんな彼女を裏で支える男が一人。
仙台の地にて佐久間まゆという才覚を発掘し、アイドルへと導いた彼こそが佐久間まゆ担当プロデューサーだ。
代々プロデューサーに受け継がれるそのPヘッドの重みはアイマス12年の重みである!

「あ、見て見てしまむー! ほらアレ、アイドルの佐久間まゆちゃんだよ! 本物だ! すごい可愛い!」

「あの未央ちゃん。私達も一応同じ事務所のアイドルなんですけど……わぁ、でもホントだ。顔とかちっちゃくてお人形さんみたい……」

「でしょでしょ。やっぱ凄いよねオーラ! でもあの噂って本当なのかな……?」

「噂、ですか?」

「うん、いや、あくまで噂なんだけどね。なんかまゆちゃんって担当プロデューサーと付き合ってるとか何とか……」

「え、えー! い、いいんですかそれ!? それっていわゆるスキャンダルなんじゃ……」

「いや、私も人が噂話しているのをちらっと聞いただけだから信憑性は無いんだけど……それに他にも――」

・346プロ プロデュースルーム

まゆ「うふ……聞きましたかプロデューサーさん。なんだか、噂されているみたいですよ」

P「ああ、例の噂か。佐久間も知っていたんだな……まったく困ったものだ……アイドルとしてこれからが大事な時期だって言うのに誰がそんな無責任な噂を……」

まゆ「ええ、困りましたね。この業界だと例え単なる噂でも、火の無いところに煙は立たない、なんて揶揄する方達もいますし」

P「とはいえ、ただの噂に過剰に反応してもますます邪推されるだけ。いつも通り、あまり気にせず普通を心掛けるのがベストだろう」

まゆ「そうですね。『否定』する必要はありませんね。『否定』する必要は」

P「……うん? まぁ、そうだな。今の段階で殊更に否定しても怪しまれるだけだしな」

まゆ「うふ。そうですね。プロデューサーさん、うふふふふ」

まゆ(どうやら『噂の二人はらぶらぶカップル作戦』うまくいっているようですね……うふ、うふふふふ)

まゆ(プロデューサーさんは疑いもしていないようですけど、そう、この噂の発信源は――まゆですよぅ!)

まゆ(この半年ほどコツコツと努力してきた甲斐がありました……事ある毎に人前でプロデューサーさんの方をちらちら見たり、他のアイドルの前で過剰にスキンシップしたり……)

まゆ(というか、半年間普通にアプローチしては悉く失敗していただけのような気もしますけど)

まゆ(……いえ、失敗じゃありませんよ。半年無駄にしただけとかそんな事実は無いんですよぅ)

まゆ(あくまでこれまでのアプローチは『噂の二人はらぶらぶカップル作戦』の為の布石。そう布石なんです!)

まゆ(しかしこんなにも上手くいくなんて……うふふふ。まゆは自分の策士っぷりが恐ろしいです!)

P「佐久間……? どうかしたのか? 顔がゆるんでいるぞ?」

まゆ「いえいえ、なんでもありませんよぉ」

まゆ(プロデューサーさんの言うとおり噂の段階で露骨に否定する事はできない)

まゆ(けど否定しない限り、噂が広まり続ければそのうち当人たちが何と言おうと「私とプロデューサーさんは付き合っている」という共通認識が生まれる)

まゆ(そしてその時点で既に手遅れ! 今度は逆にいくら否定しても疑惑を強める結果にしかなりません!)

まゆ(そうなれば――――)

P(妄想)「佐久間……すまない、こんな事になってしまって」

まゆ「プロデューサーさんの所為じゃありません! 気にしないでいいんですよぅ」

P(妄想)「いや、このままじゃ俺の気が済まない。だから、責任を取らせてくれ!」

まゆ「責任を取るってプロデューサーさん、それって……?」

P(妄想)「ああ、佐久間……いや、まゆ。俺と、結婚してくれ」

まゆ「なんちゃって!なんちゃってぇー!」(ぼすんぼすん!

P(現実)「お、おい佐久間。いきなり双葉の巨大うさぎクッションを叩いてどうしたんだ?」

まゆ「――ハッ!? い、いえ、なんでもありませんよぅ。あ、あまりにも触り心地のいいクッションだったので……」

P「そ、そうか。まぁ今日は双葉もいないから別にいいんだが……」

まゆ(ふぅ、危ない危ない。万が一にもこの遠大な計画がPさんにバレるわけにはいきませんからね)

まゆ(けど、プロデューサーも既に噂に関しては耳に入っているようですけど、実際のところ噂はどの程度広がっているのかしら?)

まゆ「あ、あのプロデューサーさん、ちょっと言いですか……?」

P「うん? どうかしたのか佐久間?」

まゆ「あ、いえ、プロデューサーさんの聞いた噂って具体的にどんな――」

幸子「カワイイボクが今日も事務所にやってきましたよー!」(バーン!

P「……幸子。おまえ部屋に入る時の挨拶くらいもうちょっと何とかならないのか……?」

幸子「おや、プロデューサーさん。居たのですか。しかし突然言いがかりも甚だしいですね。ボクのカワイイ挨拶のどこに不満が?」

P「いや……うん、まぁいいよ。オマエはそのままでいいよ……」

幸子「なんですか、その何もかも諦めたような顔は。まったく辛気臭いったらありません」

幸子「おっと、まゆさんもいらっしゃったのですね。おはようございます、まゆさ――」

まゆ「……幸子……名前で呼び捨て……私は佐久間なのに……」(ぼそぼそ

幸子「ま、まゆさん? おーい、まゆさん?」

まゆ「……それにオマエとか……呼ばれて……すごく仲好さそうに……」(ぼそぼそ

幸子「プ、プロデューサーさん! またまゆさんに何かしたんですか! なんか様子があからさまにおかしいんですけど!」

P「ええぇ!? またってなんだよ!? 俺の所為なのか!?」

幸子「あたりまえですよ! いいですか、まゆさんは普段はすごく良い方なのですよ! 優しいですし、すごく気が利きますし!」

幸子「なのに、プロデューサーさんが現れた途端、度々こんな感じになるんです! つまり原因はプロデューサーさんにあります!」

P「え、ええぇ……そうなのか……?」

幸子「そうに決まってます! まったくこれだからデリカシーのないプロデューサーさんは!」

幸子「ほら、ちょっとまゆさんをどうにかしてください!」

P「なんだかすごく納得いかないんだが……さ、佐久間? おーい、佐久間ー?」

まゆ「……なに……恋人?……恋人の距離感なの……ハッ!? ご、ごめんなさいプロデューサーさん、ついボーっとしちゃってたみたい で」

まゆ「幸子ちゃんもこんにちわ。今日はいつもと違うヘアピンなのね。すごく似合っているわ」

幸子「……!! フフーン! さすがはまゆさん、どこぞのプロデューサーと比べて見る目が違いますね!」

P「なんだよ。こっちをチラチラみるなよ」

まゆ(ふぅ……いけないいけない。この二人すごく仲良しだから気が緩むとついつい得も言われぬ感情が……)

まゆ(いけませんね。幸子ちゃんはとっても良い子だし、こんなにも私を慕ってくれているのに)

まゆ(それにプロデューサーさんにとっても幸子ちゃんは大事なアイドル……そう〝妹”みたいに! 〝妹”みたいに大事にしている子なんだから!)

まゆ「うふふふ。幸子ちゃんは今日もカワイイですねぇ」(なでなで

幸子「おお、まゆさんがみるみる内にご機嫌に! 見ましたかプロデューサー、これがボクのカワイイパワーですよ!」


P「ああ、そうだな。それよりも幸子、今日はなんでまた事務所に? 今日はレッスンも仕事も無かった筈だが……」

幸子「なんですかその投げやりな話題の切り替え方は……まぁ、いいですけど」

幸子「それなんですが、実はちょっと嫌な噂を耳にしたもので、その警告というか対処の相談に来たんですが」

まゆ(……ッ!?)

P「それはもしかして例の噂か……? さっきもまゆと話していたところなんだが……」

幸子「ああ、プロデューサーさん達も既にご存知でしたか……まったく誰がこんな傍迷惑な噂を流したんだか……」

まゆ(まさか幸子ちゃんの耳にまで『噂の二人はらぶらぶカップル作戦』の効果が及んでいるなんて……ふふふ、これは告白までもう間もないんじゃ……)

幸子「まったく誰なんですかね。『ボクとプロデューサーが結婚を前提に清い交際をしている』って、あまりにも荒唐無稽な噂を流したのは。生理的に無理じゃないですか生理的に」

P「おい、流れるように人を傷つけるんじゃない……って、どうかしたのか佐久間? 鳩が豆鉄砲喰らったような顔して」

まゆ(あれぇー!? あっれぇー!!??)

まゆ「あ、あの幸子ちゃん。その噂って、その、まゆとプロデューサーさんじゃ……なくて……?」

幸子「え、ああ、そういえばそんな噂も流れていましたね。まったく無責任極まりない噂ですが」

幸子「でも安心してください、まゆさんの噂はだいぶ初期のころに『ないないwww』って感じで自然消滅していましたので!」

P「え、そんな噂も流れていたの? 初耳なんだが」

幸子「いやだって誰も信じるわけないでしょそんな噂。あの佐久間まゆさんとプロデューサー(笑)ですよ……ハッwww」

P「鼻で笑いやがったコイツ!?」

まゆ「え、あ、あのじゃあ今流れている噂って全部幸子ちゃんとプロデューサーの……」

幸子「それなんですが、今は噂も二転三転していて『仁奈ちゃんと結婚した』とか『千枝ちゃんの愛人になった』とか『みりあちゃんと養子縁組(逆)した』とか」

P「ラインナップッッ!! なんだその悪意しか感じないラインナップッッ!!」

まゆ「Pさん……やっぱり……」

P「佐久間、待て。なんだ、やっぱり、って。なんで信じ難いものを見るような目で俺を見るんだ!」

幸子「そりゃあ担当Pが真正のロリコンだと知れば致し方ない反応じゃないかと」

P「噂! あくまでウワサだろう!?」


幸子「ですが火の無いところに煙は立たぬと言いますしねぇ……」

P「コイツッ……本当に交際宣言してオマエの噂だけ大炎上させてやろうか……」

幸子「はぁっ!? ちょ、止めてくださいよ! ボクの評判がガタ落ちになるじゃないですか!」

まゆ(ああっ! なんだか殆ど理想的な展開になってるけど、対象が完全にまゆじゃなくなってる!?)

『本日の勝敗 佐久間まゆの敗北』


まゆ「……『噂の二人はらぶらぶカップル作戦』失敗です……プロデューサーさんにいっぱい迷惑掛けちゃいました」

泉「むしろなんでまゆはこのやり方でイケるって確信持てたのかがわかんない」

まゆ「うう……また新しい作戦を一から考えないといけません……泉ちゃん、あの、また手伝ってくれます?」

泉「……別に手伝うのはいいけどさ。変に搦め手使うんじゃなくて、もう普通に告白すればいいんじゃない?」

まゆ「へうっ!? プ、プロデューサーさんに告白ですか!? む、無理無理。そんなの絶対無理ですよぅ!」

泉「いや、無理って……まゆって普段からなんだかんだでモーション掛けてない? それこそ一時的にとはいえ噂になる程度には」

まゆ「それはそうですけど……色々とアタックするのと、実際に告白するのは全然違うというか……」

まゆ「そ、そうです! まゆはアイドルなんですよぅ! まゆの方から告白しても、仕事がーとか、立場がーとか言われて断られるかもしれないじゃないですか!」

まゆ「その点、プロデューサーさんの方から告白してくれれば、一切弁解の余地がないというか、もう逃げ場はないといいうか」

泉「……えーと、つまり自分から告白してフラれたら怖いからイヤだ、って事?」

まゆ「だからそういうんじゃないんですってばー!」

人を好きになり 告白し 結ばれる

それはとても素晴らしい事だと誰もが言う

だが、それは間違いである!!

少なくとも、アイドルにとってそれは最大の禁忌!

しかし芽生えた想いを、ほのかな恋心を消すことができようものか!

自らの想いを吐露することも出来ない存在――それがアイドル!

ならば、選択する道はただ一つ!

告白することができないのならば――告白されればいいのだ!

そう恋愛は戦!

好きになったほうが負けなのである!



≪佐 久 間 ま ゆ は 告 ら せ た い≫

乃々(えー……みなさん、こんにちは……もりくぼ、ですけど……)

乃々(え? もっとちゃんと自己紹介……? えっと、普通にムリなんですけど……ダメ?)

乃々(あー……森久保乃々、14歳……です。何故か346プロって事務所に所属している、アイドル、です……)

乃々(いえ、正確に言うなら……)

乃々「アイドル辞めて、普通の女の子に戻りたいんですけど……」

P「それだけは勘弁して!!」(土下座

乃々「いや……本当に限界なんですけど。私がアイドルとか……ホントむーりぃー……」

P「いや、無理じゃないよ! CDめっちゃ売れてるもん! オファーめっちゃ来てるもん!」

P「むしろ今、森久保にアイドル辞められたら冗談抜きでウチのプロジェクトが傾くんだって!」

乃々「うう……そんなこと、私に言われても……」

P「というか、どうしたんだ森久保。確かにアイドル辞めたいとは常々言っているが、最近はなんだかんだ楽しく活動してたじゃないか」

乃々「……確かに、最近はアイドルも、そんなに悪くないかなぁ……って思ってましたけど……」

P「なぁ、森久保もし何か悩みがあるのなら相談してくれ。きっと力になってみせるから」

乃々「うう……ダメなんです……このままアイドルを続けると――」

乃々「もりくぼは殺されます」

P「思った以上に深刻だった」

P「い、いや、ちょっと待て。殺されるって……誰に?」

乃々「…………まゆさんに、です」

P「佐久間に!? いや佐久間が森久保を殺すとか何を根拠にそんな物騒なことを……」

乃々「眼です……まゆさんが私を見るあの眼……あれはそう、獲物を狙う捕食者の眼差しです……」

P「……いったい、なにがあったって言うんだ?」

乃々「そ、それは――」

――回想(事務所内、机の下


乃々(もりくぼです……今日も一日、がんばりたくない……)

乃々(アイドル辞めたい……日がな一日ゆっくり少女マンガを読んでいたい……)

乃々(そうです、今日一日くらい……机の下に隠れてゆっくり休みましょう……)

まゆ「乃々ちゃん、見ーつけたぁ」

乃々「うひぃっ!? ま、まゆさん……!?」

まゆ「こんにちわ乃々ちゃん。お邪魔してもよかったかしら?」

乃々「え……あ、はい……こんなとこで良ければ……」

乃々(って、なんで招き入れちゃうんですか私? む、むり……ほんと無理なんですけど……)

まゆ「わぁ、ありがとう乃々ちゃん! それじゃあ、お邪魔しちゃいますねー」

乃々(机の下に入ってきた!? ち、近いんですけどぉー! あと、すっごくいい匂いするんですけどぉー!!)

乃々(佐久間まゆさん……この事務所でも人気のトップアイドル……)

乃々(私なんかとは違って人当たりもいいですし、すごいかわいいですし……)

乃々(そんな御方がなんで私なんかの隣に……というか机の下に……?)

まゆ「うふ。思ってたより広いんですねー。二人一緒でもそこまで狭く感じませんね」

乃々「そ、それはなにより、です……あ、あのあの、それでまゆさんは何故こんなところに……?」

まゆ「うふ、実は前から乃々ちゃんとは一度ゆっくりお話ししたいなーって思っていて」

乃々「お、お話!? も、もりくぼと……です……?」

乃々(もりくぼなんかと……いったい何故……ハッ!? そういえば……」

乃々「あ、あの、まゆさん。でしたら少しお伺いしたいのですが……?」

まゆ「まぁ……もちろん構いませんよぉ。まゆが応えられることならなんでも聞いてください」

乃々「あの、まゆさんってプロデューサーさんの事が、好き、ですよね?」

まゆ「ふぇっ!? え、あ、え、なにゆえに……!?」

乃々「いえ、そんな慌てられても……見たまんまの印象というか……」

まゆ「好きってそんな事は……も、もちろん嫌いではないですよ! 嫌いでは! むしろ好きというか……好意は間違いなくあるというか――」

乃々(まゆさんのこの反応――間違いない……です。まゆさんはプロデューサーさんの事が好き……)

乃々(つまり――まゆさんは自分の恋路に邪魔なもりくぼを排除する気なんですね!?)

乃々(偶に見せる、プロデューサーさんと一緒にいる輿水さんをみるあの眼差し……)

乃々(あれは紛れもなく殺意! そしてついにその対象がもりくぼの方にまで!?)

乃々「違うんです……私は、プロデューサーさんと、そんな親しいワケでは……」(ぶるぶる

乃々「いえ、確かにいつもお世話というか色々と面倒をお掛けしてはいますが、あれはもりくぼが望んだことでは……」

まゆ「え、あの、乃々ちゃん……? なんでそんな小動物みたいに震えながら私と距離をとるんですかぁ……?」

乃々「ひ、ひいぃ!? ゆ、許してください……もう近づきませんからぁ……」

まゆ「え!? どうしたの乃々ちゃん? 大丈夫ですよぅ、もっとこっちに近づいても大丈夫ですよぅ?」

――回想終了


乃々「……プライバシーに考慮して詳しい説明はできませんが、アイドルを辞めないと、もりくぼは確実に死にます……」

P「いや、それだとなんでそういう結論に至ったかの過程が全くわからんのだが」

乃々「もしくは、プロデューサーさんがもりくぼの視界から消えていただくかしないと……」

P「なに!? そんなに嫌われてるの俺!? 俺と森久保の間に絆は無いのか!?」

乃々「ひぃっ!? プロデューサーさんと私の間に絆とか勘弁してください……ホント死んでしまいます……」

P「おまえの言葉のナイフに今すぐ俺が自殺しそうだよ!!」

乃々「とにかく、このままではもりくぼに待ち受けるのは破滅なのです……だからアイドルを……」

P「そうは言ってもなぁ……佐久間はそこらへんどう考えてるんだ?」

まゆ「うーん……そうですね……そんな風に思われてたなんて、すこし悲しいです。くすん」

乃々「……!!?? ま、まゆさん……いつからもりくぼの背後に……!?」

P「ちょっと前からそこにいて一緒に話聞いていたぞ?」

乃々「……ひ、ひぃぃやあああっっ!! こ、殺さないでくださいー! ご、ごめんなさいー!!」(ダダダダー

まゆ「あ、乃々ちゃん……うう、また逃げられちゃいました……」

P「うーん、まぁ森久保とはまたちゃんと話しとくとして……実際のところ佐久間は森久保のことをどう思っているんだ?」

まゆ「乃々ちゃんですか? うーん、そうですねぇ……」

まゆ「――すっごく、可愛いですよね! 色んなカワイイお洋服とか着せて上げたくなっちゃいます!」

P「……ああ、そうだよな。佐久間はああいうタイプ好きそうだよな」

まゆ「そうなんです! ……でも、乃々ちゃんには構い過ぎちゃった所為か、嫌われちゃったかも……」

P「まぁ何かしら誤解してそうではあるが、そもそも森久保はああいうキャラだからな……根気よく付き合っていればそのうち心を開いてくれるさ」

P「あとはそうだな……仲良くなる切っ掛けでもあれば……」

まゆ「切っ掛けですか……例えば一緒にお仕事をしてみる……とか?」

P「お、それはいいアイデアだな。……そうだ、どうせなら一緒にユニットを組んでみるか!」

P「いきなり二人っきりだと大変そうだから……そうだな、星と一緒に三人組とかどうだ?」

まゆ「わぁ、それはとても楽しそうですね! 私も輝子ちゃんとは仲良しですしー」

P「森久保も星にはだいぶ馴染んでいるみたいだしな……うん、思い付きだけど結構いい企画かもなコレは」

まゆ「うふふ。これからの楽しみが一つ増えちゃいましたね♪」


『本日の勝敗 佐久間まゆの勝利(アンダーザデスク結成)』

乃々「うう、このままでは……このままではもりくぼは……」

幸子「おや、乃々さんじゃないですか? どうしたんですか、そんなこの世の終わりみたいな顔して……」

乃々「こ、輿水さん……まだ生きて、いたんですね……!?」

幸子「なんなんですかいきなり!? 生きてますよ! ピンピンしてますよ!!」

乃々「うう、よかった……てっきり輿水さんはもうこの世にいないものかと……」

幸子「いえ、確かにちょくちょくヒドい体当たりロケには行かされてますが、一応安全確認は徹底しているんですよ」

幸子「…………え? されてますよね? ちゃんとロケハンしてますよね? なんだか不安になってきました……」

乃々「輿水さん……これから、その……お互い大変ですけど……がんばって生き残りましょうね……」

幸子「や、やめてくださいよ! ボクこれからまたロケなんですからね!?」

乃々「いきのこれー……ふかく きずついて どうしようもない時には……にげてもいいからー」

幸子「やめて! 今その歌うたわないでください!?」


『本日の勝敗 輿水幸子の勝利(ロケのリアクションがいつもより良くて評判が上がった)』

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