渋谷凛「好奇心は猫をも殺す……」 (34)
※キャラ崩壊
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千川ちひろ「ふむぅ……」
渋谷凛「彼にしたいこと、されたいこと?」
ちひろ「わっ。びっくりした。急に覗き込まれたら軽くホラーですよ?」
凛「ごめん。真剣な顔して雑誌見てるから、気になっちゃって」
ちひろ「そんなに真剣な顔してました?」
凛「うん。……ちひろさん、彼氏いるの?」
ちひろ「ん?」
凛「彼氏……」
ちひろ「ん?」
凛「……ごめん」
ちひろ「ん」
凛「えっと……その特集でなにか得たものは」
ちひろ「何も……ありませんでした」
凛「そう……」
ちひろ「お弁当を作ってあげる~とか、彼シャツ~とかっ……!なんのひねりもないテンプレやっつけ企画っ!!この編集は無能ですよ!無能っ!!」
凛「そんなに怒らなくても。他には……壁ドンからの頭ポンポンでトゥンクトゥンク!!……なにこれ。脳みそサメ並?」
ちひろ「でしょう!頭悪すぎなんですよ!しかもこれ見てっ!『私達女の子がしたいこと、されたいことは、男の子にとっても、したいしされたいの☆つまり自分のシャツを着てる女の子にトキメクし、壁ドンをしてドキドキさせてみたかったりするんだよ☆』……なんですか、これはっ!私の歳で女の子とかキツイでしょう!!」
凛「え?そこ?」
ちひろ「大体、彼シャツなんて何がいいんですかっ。あんなもんあざとい女のアピールでしか……しか……」
凛「……?どうしたの?」
ちひろ「プロデューサーさんの椅子にスーツの上着が掛けられてますね……」
凛「ちひろさん?」
ちひろ「……彼シャツではないですが、経験もしないで否定するのは愚かですよね。えぇ、えぇ……愚かですよ」
凛「え?まさか着る気!?」
ちひろ「凛ちゃんも着ていいからっ!!私のあとで着ていいからっ!!!」
凛「それなら……じゃなくてっ!あぁ!!」
ちひろ「ほぅ……これが彼ジャケ……」
凛「もう……。ていうか、彼ではないからね?そこ大事だよ?」
ちひろ「なかなかどうして……。この、私には大きいサイズというのがやさしく包むように抱きしめられてるみたいで。そして、プロデューサーさんの匂いも何故か安心してしまうのがなんともいえないです。なるほど、悔しいけど認めざるを得ません。これ……割とトキメキます!!」
凛「聞いてないし……」
ちひろ「……プロデューサーさん、壁ドンしてくれないかな?」
凛「手の平返し早いよ。なんのひねりもないテンプレじゃなかったの?」
ちひろ「凛ちゃん、いい女ってフレキシブルな対応をしてこそだと思うの。明日、お弁当作ってみよ」
凛「恥を捨てて意見を代えるのがいい女?」
ちひろ「はい!大人だからっ!」
凛「大人だからの意味はよく分からないけど、こんな大人にはなりたくないって思ったよ」
ちひろ「そうですか……。なら、凛ちゃんはこの上着を羽織らないってことですね」
凛「……え?」
ちひろ「だって『こんな大人』が彼ジャケではしゃいでる訳ですから」
凛「そうだけど……。むぅ」
ちひろ「いいの?自分のシャツを着てる女の子にトキメク……ひょっとしたらひょっとしますよ?」
凛「……それジャケットだけど。ちひろさん女の子じゃないけど。そもそもこの特集、『彼氏』にしたいこと、されたいことだけど」
ちひろ「おっと、攻撃的。凛ちゃん、ここよく見て。『片思いの男の子にも効くからレッツトライ☆』……ね?」
凛「ね?じゃないよ。今のちひろさん馬鹿みたいだよ?」
ちひろ「ズバッと言いますねぇ。でも、恋は人を馬鹿にさせるもんです」
凛「恋って……。本気でプロデューサーのこと好きなの?」
ちひろ「凛ちゃん……この歳で独り身だと、打算と妥協とフィーリングをひっくるめたものを恋と呼んでいいの」
凛「良くないよ」
ちひろ「やだ真顔……。けど、私は逃げません!例え馬鹿みたいと言われようがこの彼ジャケでプロデューサーさんをキュンキュンさせちゃいます!」
凛「……ドン引きされても知らないから」
ちひろ「いいんです。何事もチャレンジ!それになんか脱ぎ難いんですよね。まだしばらく着ていたいかなって」
凛「……ふーん」
ちひろ「……」
凛「……」
ちひろ「……着たい?」
凛「……別に」
ちひろ「そうですか。……ふふ」
凛「……何?」
ちひろ「いえ。早くプロデューサーさん帰ってこないかなぁ」
凛「……」
ちひろ「にしても、プロデューサーさんの匂いは安心しますねぇ。臭いって感じないのは相性がいいんでしょうね。良かったぁ」
凛「っ……」
ちひろ「ふふふ。……人間正直が一番ですよ?ほら、嗅いでみます?」
凛「い、いらない!変態じゃないんだから!」
ちひろ「ん~、嗅ぐって言い方じゃそうなるか……っと、内線だ。……はい、こちらアイドル部署です。……はい、はい。わかりました、すぐ伺います」
凛「呼び出し?」
ちひろ「えぇ、経理課から」
凛「経理課……」
ちひろ「凛ちゃん、その目はなぁに?プロデューサーさんが領収書を適当に出してたみたいですからそのフォローですよぉ?」
凛「ごめんごめん。大変だね。頑張って」
ちひろ「全くもう……。と、流石にこれは脱いでいかなきゃ」
凛「……」
ちひろ「……着る?」
凛「き、着ないからっ」
ちひろ「ふふ。じゃあいってきま~す」
凛「……」
凛「…………」
凛「………………少しだけ」
凛(おっきいな……。確かに割とトキメクかも。匂いも……臭くない。むしろ……)
モバP『お前ら、もう少し遠慮ってものをしないの?会社内の喫茶店であんなに請求されたの初めてなんだけど』
城ヶ崎美嘉『甲斐性のある男の人ってすっごい魅力的だよね~』
島村卯月『うんうん。私が思うに、そーゆー人は女の子に奢るって概念がないんだよ。男がもつのは当たり前ってスタンスだもん。まぁ、普通のことなんだけどね!』
凛(プロデューサー!?ど、どうしよう!?どうすれば……!)
モバP『うっわ。彼女にしたくない女ベスト5に入る発言』
美嘉『……ねー。卯月がこんな子だったなんて……ショックだよ』
卯月『な!?』
モバP『卯月は思いやりのある子だと思ってたのに……残念だ』
卯月『ま、まってください!美嘉ちゃんのフリに乗っただけで……!美嘉ちゃん!!こーゆー梯子の外し方は復讐の対象だよ!?』
美嘉『たっだいまー』
モバP『お疲れさまでーす』
卯月『聞いてっ!!』
カチャ
美嘉「って、誰も居ないね」
モバP「ちひろさんも居ないのか。ま、二人に奢ったのを理由にたかられそうだったから良かったかな」
美嘉「ひどー。ちひろさんに告げ口しよー」
モバP「やめてやめて」
美嘉「じゃあ、また連れてってね?奢りでっ!!」
モバP「はいはい。甲斐性見せますよ」
凛(ロッカーに隠れちゃった……。普通に脱げばいいだけなのに……ぅぅ、私の馬鹿……。しばらく通気口から様子見よ……)
卯月「あ、あの!」
モバP「ん?」
卯月「さっき私が言った事なんですけど……」
モバP「あぁ、本気じゃない事は分かってるって。へこむなへこむな」
卯月「……残念じゃないですか?」
モバP「残念じゃないですよ。卯月はいい子」
卯月「……。それじゃあ、私もまた連れてってください」
モバP「わかったよ。全く……女って得だよなぁ」
卯月「いえ、私は支払うので。美嘉ちゃんと違って私は支払うので」
美嘉「あっ!」
卯月「なんだかんだ言って美嘉ちゃんは奢られるのが当たり前に思ってるみたいですけど……私は支払うのでっ!!」
美嘉「この子はっ!!」
卯月「残念な美嘉ちゃんと違って私は支払うのでぇ!!」
美嘉「このー!質の悪い復讐をしおってからにー!!」
卯月「いふぁいいふぁい!ふぉうりょふはんふぁい!!」(痛い痛い!暴力反対!!)
美嘉「復讐は復讐を生むんだふょ!?ひゃめっ!いひゃい!」(復讐は復讐を生むんだよ!?やめっ!痛い!)
卯月「みひゃひゃんふぁいふぇひゃいふふぇひょ!!!」(美嘉ちゃんがいけないんでしょ!!!)
美嘉「ふぁふぃひっへふふぉふぁふぁふぁんふぁい!!」(何言ってるか分かんない!!)
モバP「ほっぺを引っ張り合うなって。子供の喧嘩か……と、あれ?俺、上着どうしたっけ」
卯月・美嘉「「ふぁ?」」
モバP「暑かったから脱いだ覚えがあるんだけど……俺、いつからこの格好だった?」
美嘉「アタシ達が店の前でプロデューサーを捕獲した時にはカッターだけだったような?いや、上着も……ん~……?」
卯月「あの時いかにプロデューサーさんをお店に連れ込むか、それに必死だったから覚えてませんねっ!」
モバP「お、おぉ……そう自信満々に言われると逆に清々しいな」
卯月「はい!美嘉ちゃんと違って私ははっきりしてる気持ちのいい女の子ですっ!」
美嘉「そうやってまたっ!!プロデューサー!この子、性根が濁々っ!!清々しくなんかないっ!すぐアタシを貶める!!」
卯月「ふふふ……復讐はまだ続いて……続いて…………性根が濁々は言い過ぎだと思う!!」
美嘉「実際やり方が汚い、いふぁい!!ふぉふぉー!!」(痛い!!このー!!)
卯月「みひゃひゃんふぉふぁふぁー!!」(美嘉ちゃんのばかー!!)
モバP「……ほどほどになー。俺ちょっと店に忘れてないか行ってくるわ」
卯月・美嘉「「んにー!!」」
凛(くっ……あの二人、抓りあいに夢中でプロデューサーについて行かなかった……)
卯月「ぅぅ……ほっぺが……」
美嘉「ぉぉ……まだ引っ張られてる感じがする……」
卯月「お互いこの戦い方は止めようね……」
美嘉「うん……」
凛(戦いって表現が妙にかわいく感じる……じゃなくて、どうしよう……出れないよ……)
卯月「美嘉ちゃん、これから予定あるの?」
美嘉「今日はな~し。卯月は?」
卯月「私も」
凛(あ!これは帰るなり遊びに行くなり……)
美嘉「そうなんだ。もう帰るの?」
卯月「ううん。暇だからプロデューサーさんにまとわりつこうかなって」
美嘉「アンタ……」
卯月「あはは、冗談だよ~。でも、少しここでゆっくりしようかな」
凛(ちくしょう……!)
美嘉「……」
卯月「け、警戒してる……。ホントに冗談だよ?」
美嘉「卯月ならまとわりつかねん……」
卯月「そこまで奔放じゃないつもりだけど、なんだか私もまとわりつく気がしてきた」
美嘉「なにそれ!……あはは!!」
卯月「ふふふ」
凛(なに和んでんの……!暇なら女子高生らしく仲良く買い物とか……!!くぅ……)
美嘉「お?」
卯月「どうしたの?」
美嘉「変な雑誌発見。彼にしたいこと、されたいこと特集だって」
卯月「ティーン雑誌感が凄いね。カリスマには必要ないものだ!」
美嘉「まーねー」
凛(コントが始まりそう……ぅぅ……誰かあの二人を連れだして……)
卯月「ねーねー、カリスマー」
美嘉「なんだい少年」
卯月「なんでカリスマはカリスマなのー?」
美嘉「それはね、溢れんばかりの魅力をあたりに撒き散らす天性の」
卯月「ねーねー、カリスマー」
美嘉「最後まで言わせろ?少年」
卯月「カリスマはなんのカリスマなのー?」
美嘉「それはね、ギャルだよ。だけど、それだけではないんだよ?アイドルの」
卯月「でもでもカリスマー」
美嘉「被せてくるなぁ少年は」
卯月「知り合いのおにーちゃんが、『俺的にギャルのイメージは凛』みたいなこと言ってたよー?」
凛(!?)
美嘉「……マジで?」
卯月「ひょ、表情が消えた……」
美嘉「卯月。詳しく」
卯月「い、いや……そんなに深刻な話では……」
美嘉「いいから。早く」
卯月「え、えっとね?第一印象の話をしてたとき……」
マストレ「城ヶ崎ー!!城ヶ崎はいるかぁ!!!」
卯月「わぁ!!ビックリしたぁ」
美嘉「な、なに?」
マストレ「いたな!一ノ瀬がレッスンをバックレた!!連帯責任でLiPPSのメンバーに特別レッスンを課す!!」
美嘉「えぇ!?超理不尽!!」
マストレ「あいつの失踪癖を治す為、直接怒らず仲間に罰を与えることにした。これでお前らに迷惑かけられないとあいつも真面目になるだろう!」
美嘉「奴はそんなタマじゃないって!!ちょ、まって!!いや~!!離してぇ!!」
マストレ「大丈夫だ!あいつなら分かってくれる!さぁ、行くぞ!お前らのレベルも上がって一石二鳥だっ!!」
美嘉「い~や~!うづき~たすけてぇぇぇ…………」
卯月「こ、こどものように引きずってった……」
凛(駄々っ子を連れて行くお母さんみたい……。ついでに卯月も連行して欲しかった……!)
卯月「……」
凛(一人は寂しいでしょ!卯月、帰ろう!!)
卯月「……ん」
凛(あぁ!!テレビつけたぁ……)
卯月「……」
凛(しかもDVDを取り出した……がっつり見る気だ……)
卯月「ふんふんふ~ん」
凛(ご機嫌……何見てんのかな……)
アルパカ『ふぇ~ふぇ~~~』
凛(アルパカ……)
卯月「……ふぇ~」
凛(!)
アルパカ『え゛~~め゛ぇ~~~』
卯月「……!え゛え゛~~~」
凛(ふ、ふふ……)
アルパカ『ふ~~~~~んふぇ~~~』
卯月「ふ、ふ~ん?……ふ~~~~ん」
凛(こ、これは……動画で保存しとかないと……ふ、ふふふ……)
ピロンッ!
卯月「ん?」
凛(しまっ!!)
卯月「ロッカーから?」
凛(っ……)
卯月「……気のせいか」
凛(……セーフ。こっちに来る気配は無し……ふぅ。……撮るのはやめとこ。盗撮はダメだよね。卯月がかわいそ)
ガチャ
卯月「わっ!ロッカーを開けたら渋谷凛っ!!」
凛「なに瞬間移動してんの!?」
堀裕子『私に任せて下さい!サイキックパワーで見つけてあげましょう!』
モバP『……よし!任せたぞ、ユッコ!』
裕子『ムっ!適当に言いましたね?プロデューサーが何を考えてるかなんてすぐ分かるんですから!』
モバP『ほう……じゃあ俺が今、何を考えてるか当ててみ?』
凛「っ!入って!」
卯月「え!?ちょ、せまっ」
裕子『いいですよ!ムム……ユッコはかわいいなっですね!?』
モバP『おしい!アホの子ユッコかわいいなっだ!』
裕子『正解みたいなものです!流石エスパーユッコ!』
モバP『……アホの子に突っ込もうな?って、ドア前でコントしてないで入るぞ』
カチャ
裕子「誰もいないですね。む~、サイキック失せ物探しを見せるチャンスなのに」
モバP「あら、卯月達帰ったのか。テレビつけっぱなしじゃないか……と」
裕子「あぁ!アルパカがぁ……」
モバP「え?見たかった?」
裕子「いえ。特には」
モバP「なんだそりゃ」
卯月『り、凛ちゃん!?』
凛『シッ!』
卯月『な、なんぐっ!?ん~!んん~!!』
凛『シー!』
卯月『んんっ!?』
凛『口塞いでごめん。説明はあとで』
卯月『ん、んん……』
裕子「……プロデューサー。今なにか聞こえませんでした?女性のうめき声のような……」
モバP「あぁ……聞こえちゃったか……。実はここな……」
裕子「わぁ!わぁ!!何を言う気ですか!?私にはサイキックバリアーがあるんで怖がらせようとしても無駄ですよ!!」
モバP「昔、髪の長いアイドルが……」
裕子「なんで続けるんですかー!無駄って言ってるでしょー!!」
モバP「無駄なら聞いても大丈夫かなって」
裕子「サイキックパーンチ!!」
モバP「おふっ!……物理やんけ……」
裕子「もうっ!そんなことより上着を探さないと!」
モバP「その子は他のアイドルとは一線を画す美しさでな……それ故に妬みや嫉みからくるイジメもあったんだ……。いつしかそれがエスカレートしていき」
裕子「ハイキーック!!」
モバP「おごっ!……もう語感だけじゃん……」
裕子「上着っ!上着ぃ!!うーわーぎー!!」
モバP「わ、わかったわかった。俺が悪かった。ただ、スカートでハイキックはやめような?パンツ丸見えだったぞ」
裕子「……さ、サイキックサーチ!!むむむ~!!」
モバP「ん。その強引な誤魔化し方、真っ赤な顔でかわいいだけだわ」
裕子「~~!しーずーかーにー!!」
モバP「はいはい」
裕子「ムム!?そこですっ!!」
カチ
モバP「………………どこです?」
裕子「……光ったりしてないです?」
モバP「何が?」
裕子「上着がある周辺?」
モバP「特に光ってるとこはないなぁ」
裕子「……あれです。プロデューサーが怖い話をしようとして邪魔したから、集中力がふにゃふにゃになったんです」
モバP「おー、そりゃ悪かった。……しかし、マジでどこで脱いだんだろ……」
裕子「む~……もう一回!……ムムムっ!ぴぴっときました!!」
トゥルル
モバP「トゥルっときたな。……はい、アイドル部署です。……え?経理課……はい……はい……。すいません!すぐ行きます!!」
裕子「プロデューサー?」
モバP「すまん!ちょっと呼び出しくらった!またあとでっ!」
裕子「あ……行っちゃった……」
須賀P「蘭子」
誠子P「アーニャ」
はやりんP「楓さん」
菫P「幸子」
西條拓巳P「げっちひろに3333万円貢いでる四馬鹿だ」
重課金民「多々買うんだ」
裕子「……」
裕子「…………」
裕子「………………サイキックおトイレ!」
凛『……ふぅ』
卯月『ぷはっ』
凛『行ったみたいだね』
卯月『うん。サイキックおトイレに……じゃなくて、この状況は何?なんで私は口を塞がれた挙句、凛ちゃんと密着してるの?』
凛『それは……』
卯月『……その恰好を見るに、好奇心でプロデューサーさんの上着を羽織ってみたはいいけど、ちょうど私達が帰ってきて咄嗟にロッカーに隠れてしまったってとこかな』
凛『察し良すぎるでしょ』
卯月『別に隠れなくてもいいのに。上着を羽織ってたからって引かないよ。ちょっとあざといなーって思うだけで』
凛『……卯月はプロデューサーにあざとい子って思われても平気?』
卯月『平気じゃないね!』
凛『でしょ?』
卯月『うん!ごめんなさい!考えが甘かったですっ!!ふぅ!』
凛『……なにそのテンション』
卯月『サイキックおトイレって言ったら私も行きたくなった!それで昂ってるの!ということで、私もトイレに行ってくるね!』
凛『……あ、そう言えば、ギャルのイメージは私みたいなこと言ってたけど、あれ何?』
卯月『え!?あの……凛ちゃん?私トイレ……』
凛『今後のことに関わってくるからちゃんと聞いとかないと。ほら、早く』
卯月『……。前にみんなの第一印象の話をしてたの。それで凛ちゃんの場合は《ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな……》この上から言ってくる感じと、制服の着こなし方が学生時代のギャルを彷彿させたんだって。あくまでも俺の学生時代にギャルと呼ばれてた奴らのイメージだからあんまり突っ込んでくれるなって言ってた。これでいい?じゃ、トイレ行ってくるね』
凛『待って。ネガティブな感じで言ってた?』
卯月『普通だったよ!それじゃ』
凛『ふーん。あとさ』
卯月『凛ちゃん!これ数年に一度ある我慢が効かない催し物!わりと切羽詰まってる!』
凛『そもさん?』
卯月『説破!違う!!せっぱ違い!とんちじゃ無いんだよっ!とんちじゃ無いんだよぉ!!』
凛『ふ、ふふ……』
卯月『あ!わざとだ!これ、ロッカーに隠れてた恥ずかしい姿を暴かれた仕返しだ!』
凛『は、恥ずかしい姿じゃないもん……』
卯月『とにかくもうホントにトイレ……』
和久井留美「お疲れ様です。……?誰かの声がしてた気がしたけど……気のせい?」
凛『っ!』
卯月『!?ん~!ん~!!』
凛『シッ!静かにしないと映像のアルパカと意思疎通を試みた動画を公開するよ?』
卯月『!?』
凛(撮ってないけど)
卯月『…………ん!ん!!』
凛(スマホ?……あ、なるほど)
卯月『………………………………ん』
>あれは今度ロケで動物園に行くから、リアルな鳴き声でアルパカと戯れたら面白いかなって……!
そう……<
>反応薄いよ!……じゃなくて!トイレット!!ゴートゥートイレット!!
でも留美さんが来ちゃったよ?ほら、恥ずかしい姿って卯月も言ってたじゃん。見られる訳にはいかないよ<
>私は恥ずかしくないもん!……おぅぐ!今、結構な波が来た!これをタイダルウェイブと名付けたよ!
……割と余裕あるじゃん<
留美「彼にしたいこと、されたいこと?……面白そうね」
凛(留美さんも雑誌に興味持っちゃった。マズイなぁ……あんまり長くなると卯月が……)
卯月『こー……ほー……こー……ほー……』
凛(謎の呼吸法をしてる……。どうしよう……)
留美「お弁当……。どうせならあったかいものを食べさせてあげたいわね。けど、料理か」
留美「……上手くできるかしら」
留美「……」
留美「…………でっきるかな、でっきるかな、はてはてふむー」
凛(わ、わくわくさん……!?ふ、ふふふ……)
卯月『でき……るかな……は、ノッポさん……』
凛『ふはっ……!』
留美「ん?」
マストレ『宮本ぉ!!塩見ぃ!!待てぇ!!!いい加減観念しろぉ!!!』
宮本フレデリカ『わかったー!スタバで待ってるー!!』
マストレ『ふざけんなぁ!!』
塩見周子『ていうか、奏ちゃんだけ免除とかズルー!』
マストレ『あいつは連絡がつかん!LiPPS全員のレッスンでは一ノ瀬を失踪させないから見逃せって書置きを残して消えた!!』
フレ・周子『それ奏ちゃんも失踪してるじゃーん!』
マストレ『そうだ!だからお前らのレッスン量を上乗せだっ!』
フレ・周子『おかしい!それはおかしいとおもうー!!』
留美「……ふふ。いつも賑やかね」
凛(た、たすかった……)
卯月『ふー……しゅー……ふー……しゅー……』
凛(呼吸法が変わった……)
留美「ん~……格好つけて本格的なものにチャレンジしても、そう上手くはいかないわよね……」
留美「まずは簡単なもの……スープ?」
留美「スープ……スープ……」
留美「…………特別なスープをあーなたーにーあーげるー」
凛(あったかいんだから……って、できるかなより全然新しいのに古く感じるな……。けど、今のは耐えれた!ていうか、留美さん急に歌わないで!!)
卯月『わくわくの……リーズムを……あーなたに……あーげる』
凛『くふっ……!』
留美「んん?」
周子『こうなったらアタシ達も失踪するからー!』
マストレ『あ゛あ゛!?どこに行くつもりだぁ!!』
フレデリカ『ヒントはフランスあたり!そこら辺探すとフレちゃんみたいな人がいっぱい居るから楽しいよー!』
マストレ『なめんなぁ!!今だ、囲めぇ!!』
ルキ・トレ・ベテ『了解!!!』
フレ・周子『マストレが分身したっ!?』
ルキ・トレ『次女はともかく私はまだそんなに老けてないです!!』
ベテ・マス『いい度胸だ!愚妹共ぉ!!』
ルキ・トレ『ま、待って!二人が逃げ……』
フレ・周子『あばよ!とっつぁ~ん!!』
ルキ・トレ『あぁ!!逃げられ……ひぃ!』
ベテ・マス『歯を……食いしばれぇ!!』
ルキ・トレ『あ、あばよ!とっつぁ~ん!!』
ベテ・マス『待てや!こらぁ!!』
留美「げ、元気ねぇ……」
凛(危なぁ……。ありがとう、フレちゃんと愉快な仲間達。にしても、わくわく推しはダメだよ……)
卯月『おほ……ほご…………おごほご……』
凛(卯月がゴン太くんと化してる……限界か……。流石に恥かしがってる場合じゃないよね……よし!)
留美「……壁ドンか」
留美「…………どう?P君。簡単なものだけど心込めて作ったわ。お口に合ったかしら?」
凛(っ……なんか始まった!出るタイミングが……!!)
卯月『ン……ンフ……ハフン……』
凛(卯月が艶めかしく……!)
留美「温まった?ふふ、良かった。あら、片づけ手伝ってくれるの?それじゃ並んで洗いましょう。……夫婦みたいね。うふふ」
留美「え?お礼?そんなのいいわよ。そんなことより、あとはテーブルを拭いて……ひゃ!」
留美「……テーブル拭かないと。お礼が先?……ふふ、こうやって逃げられないようにするなんて、P君も男らしいとこあるのね……ぁ」
留美「んん……。もう……強引なんだから……。でも、そんなP君も素敵……」
留美「素敵よ……P……くん……ぁぁ……」
凛(こ、これは……)
卯月『リ、リン……チャーン……リン……チャン……』
凛(私の名前が中国人みたいになってる……!ごめんね、タイミング云々じゃないよね!すぐ出るから!)
留美「…………。今の私を誰かに見られたら死ねるわね」
留美「ていうか、殺すわね。そして私も死ぬわね」
留美「ホントどうかしてたわ……。けど……うふふ……」
凛(ごめん卯月!私まだ死にたくない!!)
卯月『……凛ちゃん。今私を見捨てたね……?』
凛(!?)
卯月『表情でまるわかりだよ』
凛『し、しずかに……』
卯月『留美さん、妄想の世界に入ってるから大丈夫だよ。それより、ホントにこのままでいいの?』
凛『な、なにが?』
卯月『私と凛ちゃん、結構な密着具合だよ?このまま私が粗相すると……』
凛『あ、あいどるは排泄なんてしないから、ね?卯月のそれは気のせいということに……ならない?』
卯月『そうだね、アイドルだもんね。でもね?排泄はしないけど、高原の岩清水的のものが溢れてくるよ?』
凛『なんとかもう少し……』
卯月『駄目です。このまま凛ちゃんもびちゃびちゃになって、どっちが粗相したか分かんなくなるの』
凛『!』
卯月『私は全力で凛ちゃんが粗相したことにするよ?全力で』
凛『じょ、冗談だよね?』
卯月『……特別なスープをあーなたーにーあーげるー……あったかいんだからぁ……』
凛『すぐ開けます!』
ガチッ
凛『……え!?鍵がかかってる……!』
卯月『』
裕子「エスパーユッコ、只今帰還っ!あ、留美さん!お疲れさまでーす!!」
留美「……!ゆ、裕子ちゃん。お疲れ様……お仕事だったの?」
裕子「いえ!サイキックおトイレに行ってました!」
留美「サイキックおトイレ……。アイドルらしくお化粧直しとかもっと言い方を……ん?あら……私も急に……」
裕子「ふふふ……サイキックおトイレと言うと催してくるフィールドをこの空間に展開してたんです……かかりましたねっ!」
留美「馬鹿にこと言わないの。ちょっと行ってくるわ」
裕子「レコーディングですね!!」
留美「……なぜ?流れからしてお化粧直しでしょう」
裕子「レコーディングは音を入れるから音入れ……おトイレ!!これならアイドルらしくないですか?」
留美「……その隠語はちょっと遠慮したいわね」
裕子「ムム……難しいですね」
留美「ふふ。それじゃ失礼するわ」
裕子「はーい」
裕子「……」
裕子「……誰か来ないかなぁ」
裕子「サイキック召喚っ!!……なーんて」
ガタッ
裕子「ん?」
ガタガタッ
裕子「え!?ロッカーが揺れて……まさか私のサイキックパワーがっ!!」
ダンダンダンッ!!
裕子「え?え?な、なに……?」
『あ゛あ゛あ゛……あけてぇ……あけてぇ……』
裕子「ひぃ!!」
『裕子……!裕子ぉ!!開けてっ!!』
裕子「いやぁ!!さ、サイキックバリアー!!」
カチッ
『今カチって……まさか……んっ!!』
ガチャ
卯月「あ゛あ゛あ゛!!風になれ私っ!!」
裕子「ひゃあ!!う、卯月ちゃんが跳び出して……」
凛「ゆう……こ……ゆう……こぉ!!」
裕子「や……や……」
(昔、髪の長いアイドルが……)
(その子は他のアイドルとは一線を画す美しさでな……)
(それ故に妬みや嫉みからくるイジメもあったんだ……。いつしかそれがエスカレートしていき)
裕子「いやぁ!!でたぁ!!!助けてプロデューサー!!うわぁぁん!!」
凛「…………行ったか。ふぅ……咄嗟の貞子擬態成功……。良かった……なんだかんだ上手く切り抜けれた……ホント良かった……」
――――――
モバP『―――経費で落としてもいいでしょう!?馬鹿にならないんですよ!ドリンク代っ!!』
ちひろ『駄目ですよっ!!もったくもう!!ただフォローするだけだと思ったら私に矛先がくるなんて……!!』
モバP『だから誤魔化したでしょう!?大体、副業をおおっぴらにしてるちひろさんがおかしいんですよ!』
ちひろ『社長には許可得てますー!ただ、他の社員には黙っとくように言われてるんですー!!』
モバP『なにその特別扱い!まさか……社長とデキてんの!?』
ちひろ『なんてこと言うんですかぁ!!よりにもよってあなたが……ばかぁ!!』
カチャ
モバP「ご、ごめ……!いたいいたい!駄々っ子パンチ意外に痛ぇ!!」
ちひろ「ふんっ!!」
凛「……喧嘩しながら入ってこられても、イチャイチャしてるようにしか見えないんだけど?」
モバP「お、おぉ。居たのか……あれ?上着がある……なんで?」
凛「……なんか落ちてたよ?机の下に。まゆが引きずり込んだんじゃないかな?」
モバP「なにそのホラー。でも、まゆがそのまま放置するかな……」
凛「い、いいじゃん。あったんだから……ね?」
モバP「ま、そうだな」
ちひろ「……なんでまだ着てないのかと思ったら無くしてたんですね」
モバP「えぇ。結局机の下にありましたけど」
ちひろ「ふ~ん。椅子に掛けてあった訳じゃなくて、机の下にですか……ふふ」
凛「……」
モバP「どうした凛。凄い汗だぞ」
凛「ち、ちょっと暑いかな……」
モバP「確かに今日は少し暑いけど……クーラーの温度、もう少し下げるか?」
凛「だ、大丈夫」
ちひろ「目が泳いでますね~」
凛「ちひろさんっ!」
ちひろ「うふふ、さあ仕事仕事」
モバP「……?」
カチャ
留美「あら、人が増えてるわね。……ん?裕子ちゃんはいないの?」
モバP「あ、お疲れさまです。そういえば居なくなってますね。経理課に呼び出された時には居たんですけど」
留美「経理課?」
モバP「ちひろさんがやらかしちゃいまして」
ちひろ「あ!また蒸し返す気ですか!?いいですよっ!こうなったらトコトンやりましょう!たるき亭に予約入れておくんでそこで存分に戦おうじゃありませんかっ!奢りでっ!」
モバP「シレっと奢りとか言ってんじゃないですよ!ドリンク代を経費で落とそうとしてる男にたかるとか、ホントいい性格してますねっ!」
ちひろ「やだ……急に褒めないでくださいよ……もぅ……」
モバP「なんだこの人!?」
留美「……どうしたの?凛ちゃん。いつもならイチャつくなって怒りそうなのに」
凛「いや……しばらくはちひろさんに頭上がらないって言うか……」
留美「なにかあったの?」
凛「な、なにもっ!?」
留美「……ん~?」
凛「……」
モバP「……なんか、凛が留美さんにメンチ切られてるんですけど」
ちひろ「凛ちゃんの目がバサロ……ん?裕子ちゃん?」
モバP「……なに覗いてんだ?裕子?」
裕子「あ、プロデューサーここに居た!うわぁぁん!怖いけど戻ってきて良かったぁ!!」
モバP「おっと。どうした飛びついて。なんかあったのか?」
裕子「プロデューサーが言ってた髪の長い女の子がぁ!!わぁぁん!!」
凛「!?」
モバP「よしよし。大丈夫大丈夫。泣くな16歳」
裕子「ロッカーから、ロッカーからぁ!!」
モバP「ロッカー?」
凛「ゆ、ゆうこ?無理して話さなくても……」
裕子「サイキック召喚したら急にガタガタしだしてっ!中からダンダンって叩く音がしたと思ったら卯月ちゃんが跳び出してきたんですっ!!」
モバP「……オッケー、ユッコ。突っ込み所があり過ぎてちょっと処理しきれない」
裕子「プロデューサーが言ったんじゃないですかぁ!昔、髪の長い女の子がイジメられてって!!」
モバP「あ~……あれ作り話なんだけど。卯月は幽霊じゃないから安心しろ?」
裕子「で、でも!卯月ちゃんが跳び出した後に髪の長い女の子が出てきたんです!たぶん卯月ちゃんその幽霊に閉じ込められてたんです!!」
モバP「……マジ?」
裕子「はい!こう顔が隠れる感じで髪が前面でゆらゆらとしてて……格好はスーツのようなものを羽織ってて……!!」
モバP「スーツ?」
裕子「そう、大きめの……プロデューサーが着てるようなやつです!!」
凛「……」
留美「凛ちゃん、動いちゃ駄目よ。……裕子ちゃん。それ、いつの話?」
裕子「留美さんがレコーディングに行ってすぐです!!」
モバP「え?レコーディング?」
留美「気にしないで。さて、凛ちゃん……行きましょうか」
凛「……うん。……ねぇ、プロデューサー?」
モバP「な、なに?なんでそんな優しい顔してんの?」
凛「ただの好奇心だったんだよ?けど……こんな結果になっちゃった……」
モバP「け、結果?留美さん?なにをしようと……」
留美「ちょっと凛ちゃんの記憶を殺そうかと」
モバP「は!?」
留美「安心して。私のも殺すから」
モバP「ホントどういうこと!?」
凛「最期にプロデューサーのスーツ着れて良かったよ!……バイバイ!」
モバP「凄ぇいい笑顔っ!なにこれっ!!」
卯月「島村卯月、地獄から生還しました!!というより、あの解放感は天国にいるようでした!!」
留美「それじゃ、もう一度天国へ行きましょうか」
卯月「……え?留美さん?なんで私の腕を掴んでるんですか?」
凛「好奇心は卯月をも殺す……」
卯月「なに不穏なこと言ってるの!?」
留美「卯月ちゃんもロッカーに居たのよね?」
卯月「……あ!あ、あのあの!えっと……そう!ロッカーの中では自分との闘いで必死だったんです!だから壁ドンからの展開とか知らないです!!」
留美「壁ドンからの展開?……うふふ」
卯月「あぁ!!た、たすけてプロデューサーさん!!」
留美「大丈夫。晶葉ちゃんなら痛くないように処置してくれるから」
卯月「い~や~!!凛ちゃんに巻き込まれただけなのにぃ!!あぁぁ……プロデューサーさぁぁん…………」
ちひろ「……留美さんって意外とパワフルですね」
モバP「えぇ……。しかし結局なんだったんだ……」
裕子「あ、あの……幽霊は……」
ちひろ「あの様子だと除霊されちゃいますね」
裕子「……?」
モバP「不思議な顔で見られても俺にも分からんって。……さて、仕事しますかね」
裕子「むっ!それでは私と一緒に超能力の特訓ですね!」
モバP「それ俺の仕事なの?」
裕子「当然です!力を合わせて幽霊になんか負けないサイキッカーなりますよ!ムムーン!!」
モバP「ムムーン!!」
ちひろ「付き合ってあげるんですね」
裕子「ハァァァッ!!さいきっくぱわー、全・開・放!ムムムッ、ヌゥーンヌゥーン、ホイヤー!!」
モバP「あ、それは無理だわ」
裕子「な!?素に戻るの禁止っ!!」
モバP「うははは!」
裕子「なに笑ってるんですかっ!もうっ!!」
ちひろ「今日も賑々しくて平和な事務所ですねぇ。ふふふ」
美嘉「………………………………………………………………………………誰も来ねぇ!!」
ハッピーエンド
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