星梨花「あなたのいちばんに」【ミリマス】 (22)
さて問題です。
未来さんの1番のお友だちと言えば誰でしょう?
おそらく静香さんの名前が頭に浮かんだのではないでしょうか?
じゃあ……わたしの1番のお友だちとはいえば誰でしょう?
静香さん? エミリーちゃん? それとも……?
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もちろんそのお二方には特に仲良くしてもらってます。
ただ……その二人にはそれぞれ未来さん、紬さんがいます。
シアターに友だちがいないと感じてるわけではありませんし、皆さんとても優しいのでこんなこと聞いたとしたら星梨花が1番だよって言ってくれるに違いありません。
でもわたしは多分、特定の誰かの1番ではないのです。
1番になりたいって気持ちは間違ったものなのでしょうか?
僭越ながらセンターに選ばれたこともありましたが元来わたしはみんなの前に立って引っ張っていくタイプではありません。
後ろでニコニコとしながらみんなについていく、というのが本来の立ち位置だと思っています。(これも1番になれない原因の1つかもですね)
でも何も考えずにただニコニコしているわけではありません。わたし流にみなさんを観察しているのです。
今回はみなさんを観察していく中で思ったことをつらつらと書き連ねていこうかと思います。
まず未来さんと静香さん。
2人によくある会話はと言えば
「ふえ~ん静香ちゃん宿題終わらないよう!」
「だから毎日コツコツやっておきなさいって言ってたじゃない。自業自得よ」
「うう……」
「……ほら少しだけなら見てあげるから」
「静香ちゃん!」
みたいな感じでしょうか。(ちょっと未来さんに失礼かもですが)
やっぱり未来さんは静香さんを頼りにしていますね。
多分未来さんは困ったことがあればまず静香さんに相談するでしょう。
もしわたしが静香さんのポジションにいたとしたら……?
んー、難しいですね。
多分、未来さんは素直な方なので年下に頼ることにも抵抗はないでしょう。
でもわたしは……未来さんと一緒にバタバタしてしまいそうです。
そのうち未来さんはわたしに悪いかなって考え始めて頼ってくれなくなっていくでしょう。
気を遣いもされる方ですし。
ではわたしが未来さんのポジションに収まったら……?
わたしが静香さんを頼ったらたいていなことはしてくれそうな気がします。
あまりにも頼りすぎていたら優しく注意もしてくれるでしょう。
でもそれは対等という感じはしません……妹分って感じでしょうか。
静香さんは未来さんに頼られることを心のどこかで誇りに思ってますし(だってうれしそうですもん!)
静香さんもまた、未来さんを尊敬していると思います。
未来さん、静香さんとくれば次は翼さんでしょうか
翼さんと言えばあの甘―い声が印象に残りますね。
そして翼さんと仲が良い相手といえば……。
「美希センパーイ! 今度ごはんに連れてってくださいよ」
「あふぅ……ごはんなら一人で食べなよ。美希は眠いの」
「わたしは美希先輩といっしょに行きたいんです」
「んーとね。翼がおんぶしていってくれるならいいよ」
「やーん! ホントですかぁ!」
「本気でやってくつもりなの? おんぶは恥ずかしいからやっぱり普通に歩いてくの」
美希さんでしょうね。
2人ともマイペースですが見ててとっても楽しくなるいいコンビですね。
翼さんは美希さんがとっても大好きで、美希さんは翼さんを誰よりも気にかけています。
しかもああ見えてお互いをスルドい目で観察しているときもあったりして。
わたしが翼さんのポジションに入ったとしたら……
「美希センパーイ♪ 大好きです!」
「美希も星梨花のこと好きだよ」
「うふふ……あはは……。」
うーん……ちょっと足りない気がしますね。
美希さんは翼さんを一見、邪険に扱っているようにみえますがとっても愛があるんです。
あれは信頼関係がないと成り立たないですね。
愛のあるちょっとだけ冷たい対応というのも憧れます。
さてさて、ではわたしが美希さんのポジションだったとすれば……?
「星梨花センパーイ! ごはん連れてってくださいよお」
「えー仕方ないですね、ふふん」
これは……ないですね。
そもそも翼さんがわたしに憧れる状況が思いつかないです。
最後はエミリーちゃんにしましょう。
エミリーちゃんの親友はわたしだと自負していたのですが、それを脅かす存在が現れました。
そうです、紬さんです。
エミリーちゃんと紬さんと言えばこの前こんなことがありました。
「エミリーちゃん、それ何ですか?」
「あっ星梨花さん……実は事務所にこんなものが落ちていて」
エミリーちゃんが手に持っているものを見せてもらいます。
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立
「百人一首の札?」
「その通りです」
「たしかこの歌の札……紬さんが持っていたような」
紬さんがこの札を眺めているのを少し前、事務所で見ました。
「oh! そうだったのですね。早速返してこないと」
1つ疑問が思い浮かびます。
「でも何でこの札を大事に持ってたんだろう……この歌の意味って分かります?」
「大江山を越え、生野を通る丹後への道は遠すぎて、まだ天橋立の地を踏んだこともありませんし、母からの手紙も見てはいません……ですね」
さすが! わたしも見習って勉強しないと……
エミリーちゃんがあごに手をあてて、考え込みます。
「母からの手紙……ということは紬さんはお母さまと会いたがっているのでしょうか? 紬さんも上京したばかりですし。家族と離れる寂しさも分かるような気がします」
……うーん。ありそうだけどなんだかしっくりこないです。
最近の紬さんの様子を思い浮かべます。
鬼気迫るような勢いでレッスンに取り組む紬さんが少し心配になったことが何度かあります。
あの様子からいって……
「エミリーちゃん、この歌についてもっと詳しく調べられないかな?」
「はい、辞典を持ち歩いてますから」
どこからか辞典を取り出すエミリーちゃん。
どこにそんなものが入っているんだろ。服の腕のとこちょっと膨らんでるからそこかな?
「たしかこの歌は60番だったはず……」
エミリーちゃんは慣れた様子でページを繰ります
「ありました。……この歌の作者はあまりにも歌が上手だったので母が代作していると疑われたことがあります。しかし、上質なこの歌を即興でつくり周囲を圧倒させました………これって!」
エミリーちゃんとうなずき合います。
不満があった場合は実力で周囲を圧倒し納得させる……紬さんの考えそうなことです。
たしかに紬さんの実力は申し分ないですし。その上努力家でもあります。
でもそれ故にオーバーワークしてしまうことも少なくありません。
今の紬さんをほうっておいては良くない方向に向かってしまうことは間違いないです。
「星梨花さん、いきましょう。紬さんを止めるのです」
エミリーちゃんがわたしの手を取って紬さんの元へ向かおうとします。
だけどわたしは足に根っこが生えたみたいにその場から動きませんでした。
「……? どうしたのですか? 早く向かわないと……」
うつむいて、エミリーちゃんから視線を外し答えます。
「エミリーちゃんだけで行ってきてください」
「……どうしてですか? 紬さんの気持ちを読み解いたのは星梨花さんの助言のおかげです」
「エミリーちゃんだけで行った方が紬さんも喜びます」
「そんな……」
「いいですから」
「……」
「いいですから!」
ちょっとだけ語気を強めて言うとエミリーちゃんはわたしの手を離して、1人で紬さんのレッスン先へ向かいました
彼女が見えなくなったあと、ふぅとため息をつきます。
今多分、寂しさを交えた笑みを浮かべるといった自分でもよく分からない表情をしていると思います。
だってエミリーちゃんと紬さんには特別な絆があるようにみえますもん。
エミリーちゃんは紬さんのようになろうと日々努力し
紬さんはエミリーちゃんがいるから自分を誇らしく思えるのです。
とってもすてきな関係だと思います。
もしわたしも紬さんの元へ言ってなんとか言っても紬さんは複雑でしょう。
年下の女の子2人に諭されてもあれですしね。
ちょっと気難しいところありますし。
でもエミリーちゃんと紬さんの2人っきりならきっとうまくいくと思います。
……わたしはベターな存在になれたとしても、ベストな存在にはなかなかなれないですね。
◆
「あ!お疲れ様です」
「えっ何を考えてたかって?」
「わたしは特定の誰かの1番になれないのかな、って」
「……えへへ、そう言っていただけるのはうれしいです」
「でもあなたは50何人ものアイドルをプロデュースしていますから……」
「じゃあ1つだけワガママを言っていいですか?」
「……せめて今日だけでもわたしをあなたの1番にしてくださいっ」
おわり
こういう悩みありそう……
乙です
>>1
箱崎星梨花(13)Vo/An
http://i.imgur.com/bDaf1XU.jpg
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>>3
春日未来(14)Vo/Pr
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最上静香(14)Vo/Fa
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>>6
伊吹翼(14)Vi/An
http://i.imgur.com/Ro4vPdM.jpg
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星井美希(15)Vi/An
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>>10
エミリー(13)Da/Pr
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静香2枚目ミスった
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