※アンツィオ高校ネタは他の人がやってたので別のネタで。
※五郎さんの描写は原作ベースです。
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五郎「…ええ、では承りました。後日またお知らせに上がりますので」
取引先社長「はい、こちらこそよろしくお願いします」
五郎「そういえば今日は女子高生の姿を多く見かけますが、何か近所でイベントでもあるんですか?」
取引先社長「ああ、近くで戦車道の全国大会の抽選会をやってるんですよ。全国から集まってきてるんです」
言われてみればみんな違う制服だったな。それにしても戦車道か、一時期下火になってたようだが
また流行りだしてるのかなあ。
…さて、中途半端な時間に仕事が終わってしまった。どこかに出掛けるには遅すぎるし、真っすぐ帰るには早すぎる。
小腹が空いたことだし、どっかでお茶に甘いものでも入れていくとするか。
戦車喫茶ルクレール
変わった店構えだな…、高校生戦車道大会の抽選会場近くってこともあるし、オーナーも戦車好きなんだろうなあ。
店内は、戦車というよりミリタリー風の雰囲気だな。小林源文のポスターも貼ってあるし。なになに?『第63回
戦車道全国高校生大会開催期間中は戦車ケーキフェア実施中です!』?もう始めてるんだな、これにしてみるか。
それにしても、俺以外は見事に女子高生だけだな。浮いている感じが半端じゃないぞ。
ちょうど抽選会が終わったのと重なったらしいな。注文はこれでするのだろうか。
ドーン!
うわぁ!びっくりした!大砲の音で注文とは凝ってるなあ。
優花里「これは90式の砲声ですね」
…隣のテーブルの少女が、同じテーブルの友人たちに解説している。やはり彼女たちも戦車道の選手のようだ。
いきいきとした話しぶりからして、かなり戦車が好きなようだ。若者らしくていいことだ。
ウェイトレス「ご注文はお決まりでしょうか?」
五郎「この戦車ケーキセットをブレンドコーヒーでお願いします」
ウェイトレス「了解しました!」
ミニチュアの戦車回収車がケーキとコーヒーを運んで来た。うーん…、小さい子どもなんかは
喜びそうだが、俺みたいな中年にはちょっと酷だなあ。
…で、これが戦車ケーキか。抹茶のパウンドケーキに抹茶のクリームを組み合わせることで
グリーンの単色迷彩を表現しているわけだ。形もなかなかリアルに戦車を表現してるし。
問題は味だな。うん、悪くない。今どきの流行りなのか甘さがやや控えめなのが気になるが、
これはこれでうまい。コーヒーもいい。この手の店にしては良い豆を使ってるし、淹れ方も丁寧だ。
ケーキを食べ終わったらコーヒーのお替りをもらおう。
エリカ「副隊長…、ああ、『元』でしたね」
みほ「お姉ちゃん…」
まほ「まだ戦車道を続けてるとは思わなかった…」
優花里「あの!前回の大会の西住殿の行動は間違ってなかったと思います!」
エリカ「部外者は口を出さないで欲しいわね」
優花里「…」
みほ「…」
…なんか隣のテーブルが騒がしくなってきた。
エリカ「1回戦はサンダースと当たるんでしょ?無様な戦いをして西住流の名を汚さないことね」
沙織「ちょっと!なにそれ!」
華「あまりにも失礼じゃ…!」
エリカ「あなたたちこそ、戦車道に対して失礼じゃない?無名校のくせに。戦車道のイメージダウンに
なるような学校は参加しないのが暗黙のルールなの」
…これはいけない。戦車道に限らず、全ての武道や技芸は礼に始まり礼に終わるのが鉄則のはずだ。
過去に何かあったにせよ、彼女の物言いはあまりにも例を失している。
…それに、隣でこんなこと始められたらケーキが喉を通らない。
五郎「…人が食べてる横で、あんなに嫌味言わなくてもいいでしょう」
みほ「え?」
まほ「はあ?」
五郎「小腹が空いていたはずなのに、見てください!これしか喉を通らなかった!!」
優花里「いや、ほぼ完食してるように見えますけど…」
エリカ「はあ?なにこのおっさん」
まほ「おいエリカ!」
五郎「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。
独りで静かで豊かで…」
エリカ「何言ってんの?バカじゃないの」
五郎「…」ブチっ
遂にアームロック炸裂
エリカ「があああ!」
麻子「いいぞー」
沙織「やれやれー!」
華「ちょっと!2人とも煽らないで!」
エリカ「痛っイイ!お…折れるう~」
みほ「やめて!それ以上いけない!」
まほ「ああっ!エリカ!すみません!帰ったらよく言って聞かせますからそのくらいで勘弁してやってください!
エリカ!お前も謝れ!」
エリカ「ごっ…ごめんなさいぃぃ…」
まほ「みほ、それにそっちのみんなも済まなかったな、騒がせてしまって。みほ、話し難いのはわかるが、
たまには電話の一つも入れてくれ。お母さまはああ見えて本当は寂しがってるんだ、菊代さんも声を聞き
たがってるし」
みほ「うん…」
まほ「ほらエリカ、帰るぞ。いつも言ってるだろう、態度や口の利き方に気を遣わないといつか痛い目に遭うって。
この程度で済んで運が良かったぞ?」
エリカ「うう…」
麻子「おじさんありがとう、嫌味なやつをやっつけてくれてスカっとしたぞ」
沙織「ホント、胸がスっとしたよ!」
優花里「西住殿は複雑そうですね…」
華「でしょうね…」
みほ「うん…、逸見さんって口は悪いし態度も悪いし輪を掛けて性格も悪いけど、そんなに悪い人じゃないから…」
沙織「いい人とも思えないんだけど…」
華「あの…、もしかして井之頭さんじゃありません?」
五郎「はい、そうですが…」
華「まあ!やっぱり!私、五十鈴華です!五十鈴百合の娘の!」
どこかで見覚えがあるような気がしていたが、上得意である華道の家元の娘さんだったか。
確か最後に会った時はまだ小学生だったな。母上に似て美人になるなとは思っていたが見違えた。
それにしても、華道の家元の娘の彼女が何故か戦車道の選手になっているとは、何か深い事情が
あるのだろうか。
話してみると、彼女たちが戦車道を始めたのは高校生らしい友情の現れだったようだ。実に
若者らしくていい話だ。今後、戦車を商品に加えてみるのもいいかもしれない。商売になるよう
だったら、彼女たちの学園艦にも行ってみよう。大洗か、今の時期だとイワガキがうまいし、
寒くなってくるとアンコウやその他の冬の魚もうまいはずだ。今から楽しみになってきた…。
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おまけ・聖グロリアーナ女学院のウナギのゼリー寄せ定食
~中略~
ダージリン「があああ!こっ…こんな言葉をご存知かしら!?『関節技を極められた痛みというのは、殴られたり
蹴られたりとは違う。精神にまで深い傷を与えるような、尾を引く痛みである』、んほぉぉぉ!」
オレンジペコ「菊池秀行ですね、ってそれ以上はいけません!」
あーいかんなあ…、こんな…いかんいかん。
終
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