奏「刑務所のご飯は冷たいらしいわ」
P「待て」
奏「なにかしらセクハラプロデューサーさん」
P「ちょっと小粋なジョークを挟んだだけだろう。そんなことでムショ送りにしないでくれ」
奏「これは関係のない話だけれど、下ネタでしかジョークを言えない人間はモテないらしいわよ」
P「明らかに関係あるつもりで言っているな」
奏「とにかく。私のキスはねっとりしていないわ」
P「本当か」
奏「本当よ。たぶん」
P「たぶんなのか」
奏「ええ。だって未経験だし」
P「そうか」
奏「なんなら、ここで試してみる?」
P「試すって、ファーストキスだろう」
奏「私は、あなたにならあげてもいいと思っているけど。ふふっ」
P「……そうか」
P「ちなみに、俺のキスはものすごくねっとりしているらしい」
奏「やっぱりやめるわ」
P「おい」
奏「なにかしらネロデューサーさん」
P「暴君皇帝みたいな名前で呼ぶな」
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P「速水は着やせするタイプだよな」
奏「刑務所の床は冷たいらしいわ」
P「待て」
奏「なにかしらエロデューサーさん」
P「素直に思ったことを口にしただけでムショ送りにしないでくれ」
奏「いきなり乙女のおっぱいの話を始めるほうが問題だと思わない?」
P「乙女は恥じらいもなくおっぱいという単語を口にしないと思う」
奏「現実の乙女に幻想を抱きすぎね。世の中そんなに清くないわ」
P「ええ……じゃあみんなおっぱいおっぱい言ってるのか」
奏「たぶんね」
P「それはそれで良きものだ」
奏「バカデューサーさん」
P「もはやただの罵倒になってる」
P「俺もただ思いつきだけで速水が着やせするタイプだとか言い出したわけじゃない」
奏「続けるのね、その話」
P「プロデュース方針にもかかわってくるからな。実はすごい身体つきをしているという属性はなかなか強い」
奏「ギャップというものかしら」
P「バスト86、ウエスト55、ヒップ84。いかにも『私クールなスレンダー系です』みたいな顔しといてこれはどうなんだ」
奏「知らないよ……毎日3食とっていたらこうなっていたの」
P「しかし、これを押し出し過ぎると今までのイメージを壊してしまう可能性もある。さりげなく推していく、そのさじ加減が重要だ」
奏「あら。意外と真面目に考えているのね」
P「俺はアイドルのプロデュースに関してはいつでも真剣だ」
奏「私、あなたのそういうところ、好きよ」
P「仕事だから生活もかかってるしな」
奏「私の身体で稼いだお金で食べるご飯はおいしい?」
P「表現」
奏「私のおかげで増えたお給料、少し還元されるべきだと思うんだけど」
P「どっか連れていけってことか」
奏「ええ♪」
P「仕方ないな……」
奏「私、最近気になっているイタリアンのお店があって」
P「ラーメンの屋台でいいか」
奏「ムードもへったくれもないわね……まあ、いいけど」フフ
奏「あなたと一緒にラーメンをすするのも、それはそれで味わいがありそうだし」
P「速水……実は俺のこと好きなのか?」
奏「言葉にしなくちゃわからない?」
P「………」
奏「照れるなら最初から聞かなければいいのに」
P「照れてはいない」
奏「ウブデューサーさん」
P「ウブではない」
P「速水はかに座だったな」
奏「そうね。7月1日生まれ」
P「そうか」
奏「それがどうか――」
P「じゃーんけんほいっ」グー
奏「えっ」チョキ
P「やっぱりかに座だから反射的にチョキ出すんだな」
奏「このままこのチョキをあなたの目に突き刺してもいい?」
P「ちょっとからかっただけじゃないか」
奏「私、人をからかうのは好きだけど人にからかわれるのは嫌いなの」
P「エゴイストの極みだ」
奏「そういえば、誕生日で思い出したけど……あの時の埋め合わせ、まだしてもらってないわね」
P「速水の誕生日に食事する約束が、俺の急用でお流れになってしまった件か」
奏「急用自体は、仕事だからしかたないけれど。誕生日当日に祝ってもらえなかった寂しさは、きちんとフォローしてよね」
P「わかってる。今のプロジェクトが落ち着いたら、必ず」
奏「ふふっ。期待しているからね」
P「お姫様のご期待にそえない場合が怖いな」
奏「その場合は……これで我慢してあげる」
P「なんだ、指を三本立てて。現金3万円か?」
奏「ううん。人差し指と中指と薬指」
P「バイオレンスが過ぎる」
奏「それだけ楽しみにしているってことよ」
P「昔は『誕生日? それって大切?』みたいなこと言ってなかったか」
奏「………」
奏「あなたのせいで大切になったのよ。誕生日」
奏「だから、きちんと責任とってね」クス
P「うーん。どうするべきか」
奏「どうしたの? 悩み事?」
P「ああ。次の速水の撮影の仕事なんだが」
奏「撮影? どんな衣装を着るのかしら」
P「ブルマにすべきかスク水にすべきかで悩んでいた」
奏「………」
P「そんなゴミを見るような眼で見つめないでくれ」
奏「マゾデューサーさんが興奮するから?」
P「しないわ」
P「だいたい、伊吹とか美波とかもブルマやスク水着てるんだから大丈夫だろう」
奏「む……」
P「彼女たちに並び立ちたいと思わないか?」
奏「そこに関しては並び立ちたいとは思わないんだけど……仕方ない。エロデューサーさんの口車に乗せられてあげるわ」
P「仕事を受けてくれるのはうれしいがエロデューサーって呼ぶな」
奏「エロエロデューサーさん」
P「増やすな」
奏「ねえ。今度映画を観に行かない?」
P「映画?」
奏「そう。今話題のファンタジー映画」
P「そうだな……うん、いいぞ」
奏「ありがとう。見終わった後に、たくさん語りたくなるような映画だといいね」
P「速水は一度語りだすと長いよな。この前一緒に映画行ったときは一晩中語り倒す勢いだった」
奏「あら。別に誰にだって長く語り倒すわけじゃないのよ」
P「じゃあなんで俺に」
奏「特別な人には、私の考えていることをちゃんとわかっていてほしいじゃない?」
P「………速水」
奏「なんてね」
P「おい!」
奏「ふふっ。顔、赤くなってるよ? 本当にウブデューサーさんなんだから」
P「ウブデューサーって言うな! というかお前、最近俺のことまともに呼んでないだろ! エロデューサーだのネロデューサーだの……」
奏「そういえばそうね」
P「今後はちゃんとした名前で呼ぶように――」
奏「なら、私の名前もちゃんと呼んでくれない?」
P「え?」
奏「だから、私の名前」
P「………速水?」
奏「それ、苗字」
P「………」
P「奏」
奏「じゃあ、映画行く日決めましょうか。Pさん♪」ニコニコ
奏「ねえPさん。さっきのレッスンのことなんだけど――」
奏「Pさん。今日のお昼なんだけど――」
奏「Pさん。よかったら今日、一緒に歩いて帰らない?」
P「………」
奏「Pさん、どうかした?」
P「奏……俺の名前呼ぶとき、うれしそうだなと思って」
奏「? そんなにうれしそうだった?」
P「うれしそうに見えるし、そもそも名前を呼ぶ回数自体がかなり多い」
奏「そう。まあ、今まで我慢していたぶんの感情が出ているのかもしれないね」
P「我慢してた? なんで」
奏「だって……Pさんより先に、私が下の名前で呼びだすの、なんだか負けたみたいでイヤじゃない」
P「そんなところで変な意地張るなよ……」
奏「なによ。Pさんだって頑なに私のこと速水速水って言い続けていたじゃない。他の子は下の名前で呼んでるのに」
P「それとこれとは別だろう」
奏「どこが別なのよ――」
奏「――というわけで、口喧嘩が多くてPさんと仲良くできているか心配なのよ」
周子「ハハハこやつめ。煽りか」
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
奏と口喧嘩したい
過去作
小松伊吹「キス魔奏」
橘ありす「凛さんって、顔文字とか使わなさそうですよね」
などもよろしくお願いします
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