P「本音を言えば、アイドル達に甘えたくて女子寮に来ているとこはある」

みく「そんな高らかに宣言されても……ここ男子禁制だよ？」

P「俺は大人だからいいんだ！」

みく「それ、ただの屁理屈！」

まゆ「プロデューサーさん、お料理ができましたよぉ」ﾎｶﾎｶ

P「おっ、まゆありがとう。それにしてもえらく早いな」

まゆ「うふっ、冷蔵庫のあり合わせで作っただけですから」

P「ふむ……しかし、見た目からして肉じゃがのフォルムからは大きくかけ離れているが……」

みく「まゆチャン、コレ肉じゃがじゃなくてポテトサラダにゃ！！」

まゆ「ポテトサラダ」

みく「きょとんって顔しないで」

P「でもまあ、おなかペコペコだから食べていいかな」

みく「せっかく作ってもらったんだし、食べ終わったら仕事に戻ってね」

まゆ「まゆが食べさせてあげますよぉ。はい、あーん」

P「あーん。んー、もぐもぐ……アッアッ、いっ、いたいいたいいたい！」ｶﾞﾘｶﾞﾘ

みく「Pチャン！？　なんで急に悲鳴あげだしたの！？」

P「ひぐっ、めっちゃ卵の殻がはいってた……」

まゆ「だ、だいじょうぶですかプロデューサーさん」

P「めっちゃ大丈夫」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

みく「口が血まみれにゃ」

P「そう言えば、他の子たちはどうしてるんだ？」ｶﾞﾘｶﾞﾘ

みく「それでもちゃんと食べるんだね」

まゆ「そうですねぇ、いつもはもっとたくさんいるんですけど……」

みく「たぶん、自分の部屋でくつろいでるんじゃない？」

P「それじゃあ、ふたりはどうして談話室にいるんだ？」

みく「それは……」

まゆ「プロデューサーさんが来てくれてるからですよぉ、うふ」

P「えっ？　ちょっと泣いていい？」

みく「みくはちがうよっ！　ただPチャンが仕事に戻らないって言うから……」

まゆ「うふふ、みくちゃんは照れ屋さんなんですね」ﾌﾟﾆﾌﾟﾆ

みく「ちょ、あっ、ほっぺた触らないでっ！」

まゆ「うふふっ」

P「……」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

みく「Pチャン、怖いからだまって写真撮らないで」

P「待ち受けにした」

みく「やめろ」

P「と言うか、みんな部屋にいるならちょっと遊びに行っても許されるかな」

みく「ダメに決まってるでしょ、女の子の部屋に勝手に入っちゃ」

P「でもさ、ほら、プロデューサーだし」

まゆ「まゆの部屋ならいつでも来てくださいね」

P「えっ、いいの？」

まゆ「いいえ、ゆるしません」

P「あれっ、なんで！！？？　良いって言わなかった！！？？」

まゆ「一度、ツンデレっていうのをしてみたかったんですよぉ」ﾃﾚﾃﾚ

みく「まゆちゃん、それツンデレちゃうよ」

P「はあ、それなら誰かが来るまでここで待ってるかぁ……」

みく「そんなタイミングよく現れる子なんていないと思うけど」

P「きっと卯月あたりが寝癖もじゃもじゃのパジャマ姿で来てくれるさ」


ｶﾞﾁｬ


卯月「あれ～？　プロデューサーさん、どうして女子寮にいるんですか～？」

P「みく！！　卯月がパジャマで現れたぞっっ！！！」

みく「しかも寝癖がもじゃもじゃにゃー！！！」

卯月「あわわっ、あんまり見ないでください～！！！」

P「いや～～マジでSSR引いた気分だった」

みく「Pチャンの予知能力はどこで身につけたの？」

卯月「あのぅ、まゆちゃん。どうして女子寮にプロデューサーさんが……？」ｺｿｺｿ

まゆ「うふっ、それはですね……うふっふっ」

P「まゆは何で笑ってるんだ」

まゆ「卯月ちゃんの息で耳がくすぐったくって……」

卯月「ええ～～っ！？　わ、私の息ですか～～っ！！？」

P「……」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

みく「撮るな撮るな」

みく「卯月チャンは明日のお仕事が朝早いから今日だけ泊まってるんだよね」

卯月「はいっ！　あっ、ということはもしかして、プロデューサーさんも……？」

P「ああ、まったく仕事が早朝からあるってのもたまったもんじゃないな」

みく「Pチャンは事務所の仮眠室つかえばいいでしょ」

P「仮眠室いつも俺ひとりだけだし、死ぬほどさみしい……ほんまありえん……」

まゆ「プロデューサーさんかわいそうで、前にまゆも仮眠室で泊まってあげたんですよぉ」

卯月「わぁ、まゆちゃん優しいですねっ」

P「ああ。だけど、枕が固すぎてまゆが泣いてしまったからすぐに寮に帰したよ」

まゆ「寮のまくらはフカフカでしたぁ」

みく「そんなに嬉しそうにしないであげて」

まゆ「ところで卯月ちゃんのパジャマとってもかわいいですね」

卯月「えへへーえへー、ほんとですか～？」ﾃﾚﾃﾚ

みく「たしかに……コレどこで買ったの？」

卯月「週末にママと一緒にデパートまで買いにいきましたっ」

みく「みくもお仕事ひと段落したらお洋服買いに行きたいなあ」

まゆ「まゆもパジャマ新調したいです」

みく「今、どんなの着てたっけ？」

まゆ「見ますか？」ﾁﾗｯ

みく「うわっ、なんで下に着こんでるの！？　しかも柄ダサっ！？」

まゆ「うふっ、手作りのP柄パジャマですよぉ。もちろん、色違いもあります」

ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ



みく「ねえPチャンからも何か言ってあげてよ」

P「……」ｼｸｼｸ

卯月「わわっ、プロデューサーさんどうして泣いてるんですか！？」

みく「もしかして……みく達で話し込んじゃったから怒ってるの？」

P「いや、俺も女の子にうまれてきたかったなって……」

P「女子寮のトークが清すぎて勝手に涙が溢れてきたの……」

みく「心配して損したにゃ」

P「もっと俺に女子寮の素晴らしさを教えてくれ！！！」




ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

卯月「プロデューサーさん、お電話なってますよ？」

P「ああ、いいんだ。コレは悪魔からの囁きだから」

みく「着信画面、ちひろさんってなってるけど」

まゆ「まゆが出てあげますね。もしもしまゆですよぉ」ﾋﾟｯ

ちひろ『もしもし、まゆちゃんですか？　今日中に終わらせるはずの仕事を置いて消えたプロデューサーさんは今どこにいますか？』

まゆ「プロデューサーさんですかぁ？　今は女子寮にいますよ？」

P「オイオイオイ死んだわ俺」

みく「自業自得にゃ」


その後、Pチャンを迎えにやって来たちひろさんは一度も笑みを崩すことなく、女子寮を去っていきました。首を掴まれたPチャンはまるでネコちゃんみたいでした。


おわり