後輩「先輩って死ぬほど胸無いですね」 (27)
先輩「あ?喧嘩売ってんのか?」
後輩「別に悪意は無いですよ、事実を言っただけです。可愛らしい胸をお持ちで…ぐうっ!」
先輩「おらおら、クソ弱いくせに調子乗んじゃねえぞ」ギリギリ
後輩「ぐ、うぅ…やめ、やめて…」
後輩「ごべんなさい、ごべんなさいい…調子に乗ってました…私は哀れなウジ虫です…」
先輩「多少デカいからって、世の貧乳を否定できる権利を持ってると思うんじゃねえよ」
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後輩「はあ?女の癖にチチ無しの化け物が人間張りの口聞いてんじゃねえよ」
先輩「…お前、ついさっき落とされかけたのによくそんな口叩けるな…」
後輩「おらおら、少しは言い返してみろよクレーターが」
先輩「……いいやもう、シャワー浴びてくっから。もうすぐバイト行かねえと」
後輩「あれ、もう行っちゃうんですか?」
先輩「バカに付き合ってられねっからよ。お前もちゃんと講義行けよ」
後輩「いつ帰るんですか?いつ?」
先輩「さあ。6時半くらいじゃねえの?」
後輩「6時半、ですか。6時半。分かりました」
先輩「今帰ったぞーい」
後輩「おかえりなさい、先輩」
後輩「もう7時ですよ。何してたんですか?」
先輩「何って、バイトだよ。少し残業で遅くなっちったんだ。ごめんな」
後輩「……そっすか」
先輩「…悪かった。そんな顔するなよ」
後輩「いえ、いいんです。ご飯作ったから一緒に食べましょ」
先輩「ん…先食ってても良かったのに」
後輩「先輩と一緒に食べたかったんですよ。ほらほら、早く座って」
後輩「美味しいです?」モグモグ
先輩「うまいうまい。あれ、酒ねえや」モグモグ
後輩「あー、切らしてましたね。ついでがあれば買っときますよ」
先輩「買ってくればよかったな。まあいいけど」
先輩「あ、そうだ。明日日曜だからどっか行こうぜ。近くに店出来たからさ、お好み焼き食おう。ビールも買っとこう」
後輩「いいですけど、そのだっせえ恰好いい加減やめてくださいね。大体の服にドクロ入ってますよね」
先輩「だからダサくねんだよ、これは。そんなに悪くねえだろが」
後輩「なんでもいいですけどね。ネギ焼き食べたいな」
先輩「うんうん。美味しいな」モグモグ
後輩「ふふっ」
先輩「あ?何笑ってんだよ」
後輩「いえ。先輩って物食べる時、バカみたいな顔しますよね」
先輩「ああぁ?うるせえなあ、いちいち生意気なんだよお前は」
後輩「いいええ、私はその顔好きですよ、可愛くて。先輩と一緒にご飯食べてると、私にまでバカが移ってくみたいで楽しいです」
先輩「……なんだよそりゃあ」
後輩「あれ?照れてんのか?先輩照れてんの?貧乳が一丁前に照れてんよー、かーわいー」
先輩「うっぜえなあ…」
先輩「お、後輩…」
先輩(友達と一緒か)
先輩(楽しそうだな…)
先輩(いいや、食堂で一人で食おう)
先輩「…」ズルズル
ガヤガヤ
先輩(うるせえなあ…飯食う時に何をそんなに話すことがあんだよ)
先輩(このソバうまくねえな)ズルズル
後輩「おっす、先輩」
先輩「…あんだよ」
後輩「あんだよ、じゃなくて。ご飯食べるなら連絡くださいって言いつけてるでしょ?」
先輩「お友達と食ってりゃいいんだよ、てめえは。ぼっちからかって遊んでんじゃねえよ」
後輩「もー、ぼっちはすぐ拗ねるんですから」
後輩「私が、先輩とご飯食べたいんですよ。あんまり我儘言わないでください」
先輩「………」
後輩「お蕎麦美味しいですか?」
先輩「…安いよ」
後輩「素じゃ味気ないでしょ、私のチキン南蛮分けたげる」
先輩「てめ、勝手にぶち込むなよ!出汁にタルタルなんて気色悪いな!」バシバシ
後輩「いたっ、痛いですって!冗談ですから!」
先輩「冗談も何ももう浸かってんだよ!あーあー、んだよこの色…」
後輩「うーわ、私それ絶対いらねえよ」
先輩「こんのクソガキ…!」
後輩「あはは、先輩元気だなあ」
先輩「うるせえ!」
先輩(本当鬱陶しいな、あいつは…)
先輩(もう次の講義…公民か。いいや、サボろ)
先輩(寮帰るのもなあ…適当に時間潰してから帰ろう)
先輩(……あぁ、なんか惨めになってきた。講義サボって隅っこに虫みてえに縮こまって。なにやってんだろな)
先輩(後輩が居なけりゃこんなことばっか考えて)
先輩(惨めだ)
先輩(…バイト、増やさなきゃ)
後輩「あれ、先輩また着拒してるのかな。繋がらないや」
後輩「先輩、面倒だからいちいち着拒しないでくたさいよ」
先輩「してねえって、バイト中だったんだよ」
後輩「まーたシフト増やしたんですね、単位足りるんですか?」
先輩「ギリだけどな。どうにかなるよ、たぶん」
後輩「たぶん、って…留年なんてやめてくださいよ」
先輩「母親みてえなこと言うなよ、いいだろ別に」
後輩「最近バイトばっか。卒業する気あるんですか?」
先輩「…留年しようが中退しようが、どうでもいいんだよ。働けないでもなし、適当に生きてけばいい。学費も親にちまちま返してくよ」
先輩「どっちみちお前にとやかく言われるようなことじゃねえよ、関係無いだろ」
後輩「…はぁ?」
先輩「だから、お前も私のことなんて放っとけって…」
後輩「……」バシィ!
先輩「っ…な、んだよ…」
後輩「私、先輩のそういう所が嫌いなんですよ。他人から逃げる言い訳をうだうだ並べる所。私が先輩の人生に関係無いとか、勝手なこと吐かすとこ」
先輩「あ……」
後輩「もういいです。好きにすりゃあいいでしょ!まな板!ビート板!!十勝平野!!!」
先輩「あー…またやっちった…」
後輩(ほんと、イライラする。いっつもいっつも)
後輩(先輩なんか、先輩なんて……)
後輩「今日から一緒に住まわせて頂きます。よろしくお願いします」
先輩「…どうも」
後輩(こっわ、田舎のヤンキーみたいなだせえ格好。目つき悪いし。目の死んだ金髪って意外と初めて見るなあ )
先輩「その荷物どうしたの?」
後輩「そりゃ引っ越しの荷物ですよ。大した量じゃ無いですけど」
先輩「あっそ」
後輩「あ、いいですよ。いちいち運んでくれなくても、本当に大した量じゃあ…行っちゃった」
先輩「んあ、もう朝か…後輩は、いないか。そりゃそうだ」
先輩(最後に顔合わせたのいつだろうな)
先輩(どうでもいいか)
先輩「これでいい」
友「もー、さっさと仲直りしなよお。喧嘩するたびにあたしの部屋泊まりに来ないでよ」
後輩「私、悪くないもん」
友「なーにが悪くないもん、だよ。いい悪いじゃなくて、迷惑なの~。彼氏も呼べないじゃんよ」
後輩「ううぅう…」
後輩「ごめんよぉ…私だってこんな部屋で寝泊まりしたくないんだよぉ…」
友「あたし、あんたのこと泊めてやってるんだよね?」
後輩「先輩と一緒にいたいよぉ…仲直りしたいよお…犯したいよぉ…」
友「ああもう、鬱陶しい…とにかく明日にでも出てってよ、訳わかんない意地張っても仕方ないでしょ」
後輩「はあぁぁ……」
先輩(あーあ、疲れた。ラーメン作って酒飲んで。風呂入ってさっさと寝よ)
先輩(しばらくまともなメシ食ってねえや。いつ帰ってくんだろな、後輩)
先輩「…何考えてんだ私は」
先輩(自分勝手に後輩を傷つけて、そのくせ帰ってくることを期待するのか)
先輩(腐ってる)
先輩「ただーいま…なんだこの臭い」ガチャ
後輩「おかえりなさい」
先輩「うわあああ!」ビクッ
先輩「おま、なんで…」
後輩「なんでって、私の部屋でもあるんですから。文句あるんすか?」
先輩「いや……うん、無いけどさあ…いちいち唐突だよな、お前」
後輩「せんぱあい」ガシッ
先輩「おま…酒臭いぞ、放せ」
先輩(瓶が3、4本転がってる。たまにこうなるんだ、こいつは。ウザさに拍車がかかって、ベタベタ触ってきて)
先輩「放せって」
後輩「放さない」
先輩「臭い。は、な、せ」
後輩「放さないもーん」
後輩「先輩さあ、先輩よお」
先輩「え?」
後輩「本当は寂しがりのくせに、人を遠ざけるような物言いして、私まで遠ざけてよお」
先輩「……」
後輩「そういうとこさあ、イライラしてぶっ殺したくなんですよ」
先輩「………」
後輩「………」
先輩(こいつは自分勝手な癖に、こういう顔をするんだ。こんな顔をされたら、どうしようもなくなる)
先輩「……ごめん」
後輩「………いえ、私も…ごめんなさい」
先輩「………」
後輩「…………」
先輩「……んむっ!?」
後輩「んっ、は…ぁ」
先輩「お前…意味分かんねえよ、どういうタイミングだよ」
後輩「いーいでしょ、こういう時じゃないと先輩、させてくれないじゃないですか」
先輩「お前…ほんと性格悪いよ。自分勝手で」
後輩「先輩に言われたか無いですけどね、」
後輩「よく言われます」
先輩「だろうよ」
後輩「先輩にはとくに」
先輩「…だろうよ」
先輩「分かったよ、シャワー浴びてからな」
後輩「一緒に入りましょ。我慢できません。酒飲みながら朝までやりましょう」
先輩「疲れてんだよ、私は」
後輩「知ったこっちゃありませんよ。私は自分勝手ですからね」
終わり
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