男「主役がゲストの物語?」 女「はい」(197)

男「駄目……か」

手紙『大変申し訳御座いませんが、この度の採用は見送らせていただくこととなりました」

男「明日で24歳になるのに、いまだ定職なし。なりふり構ってられない状況だなぁ」

男「厳しい世界なのはわかってたつもりだったけど、それでも考えが甘かったんだろうか」

求人雑誌「『高校が舞台のラブコメ物語。主人公募集。対象年齢15~17』、『異能力バトルもの。主人公募集。対象年齢15~20』、『急募! 少年野球の主役。対象年齢10~12』」

男「人気どころはもはや手遅れか。俺くらいの年齢で主人公職となると、軍隊ものや……ギャンブルものとかか? できれば避けたいところだなぁ」

男「……」

男「今更落ち込んでなんかいられない。俺に迷っている暇なんかないんだし」

書店

男「新しい求人雑誌は……と」

男(周りは学生さんばっかり……まぁ慣れっこだけどさ)

男(他には参考書を何冊か買うか。財布が軽くなっていくのが辛いな)

??(……)

店員「ありがとうございましたー」

帰り道

男(買いすぎたかも。一度に勉強できるわけじゃないのに。この無計画さも直さなきゃなぁ)

女「少しよろしいでしょうか。あなた、男さんで間違いないですよね?」

男「っ!?」

男(ビックリした……ここ最近、面接官以外の女性と話する機会なかったし)

男「は、はい。確かに男という名前ですけど、あなたは?」

女「私達の素性を明かす前に少し。男さん、先ほどご購入されていた本を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」

黒ずくめの男性「……」

男(「私達」ってことは、やっぱり隣の男性は連れだったのか。少し残念)

男「この本、ですか? なんで……まぁ別に少しくらいかまいませんけど」

男(……いや、待てよ。この女性、あからさまに怪しくないか?何故か 俺の名前も知っていたし。それとも)

男「あ、あの!俺は別に万引きなんてしていませんからね!?」

女「!? い、いえ! そういうことを調べたいのではなく」

周りの人「万引き? まじ?」「そこの書店のかな?」「こういうの生で見るの初めて」

黒ずくめ「…………なんだか面倒くさいことになりましたね」

女「ああ、もう! 男さん、このままだと変な誤解が広まりかねないわ。そこの喫茶店に入りましょう」

男「え、でも俺……それにあなた達は」

黒ずくめ「取って食べようという訳ではありませんし、怪しいセールスや詐欺では無いです。少しだけでいいんで、お願いします」

男(結局というか、半ば強引に喫茶店行きが決まってしまった。大丈夫だろうか、俺と財布は)

眠いので落ちます

喫茶店

女「ふむふむ。『主人公の心得』に『男の料理本』、それにこれは……初心者向けの麻雀の本ですか」

男「……」

女「なるほど。やはりまだ情熱もやる気も残っているみたいですね」

男「えと、よくわかりませんけど満足されました?」

男「繰り返しになりますけど、ちゃんとお金払って購入しましたからね?」

女「それはわかっていますってば」

男「それで、一体なんなんですか? あなた達は」

女「こほん。では、改めて謝罪から入らせてください。この度は誠に失礼いたしました」

黒ずくめ「深くお詫びいたします」

女「私は女。こっちは黒ずくめと申します。今回の私達の目的を簡単に申しますと、男さん」

男「……はい」

女「あなたを勧誘に来たのです」

男「……か、勧誘と申しますと?(怪しげな宗教きたかー⁉︎)」

女「そのあからさまに疑っている表情やめてください! セールスとか宗教勧誘って訳じゃないですから」

男「じゃあ一体何の勧誘だっていうんですか」

女「主人公です!」

男「⁉︎」

女「もう一度、単刀直入に言いますよ。男さんには私達の物語の主人公になってもらいたいのです」

男「しゅ、主人公⁉︎ 俺が?」

女「男さんは私達の求めている人物像に近く、また、希望しているのにも関わらずまだ主人公職に就いていないとのこと」

黒ずくめ「だから勧誘に来たという訳です。男さんにとっても悪い話ではないはずです」

女「どうでしょう、私達の主人公となっていただけますか?」

男「なんていうか話が急すぎて若干ついていけないんですけど、その……」

女「なにかご質問があれば」

男「いくつかいいですか? まず一つ目に、あなた達が求めていたっていう人物像ってどういうものだったんですか?」

男「正直な話、俺って人に自慢できるような特技もないし、ピンとこなかったんです」

男「あと二つ目に、あなた達の物語ってどういうものになるんでしょうか。それがわからないとこちらとしても返事のしようが……」

女「あー、そうですね。そこらへんの説明してませんでした。すいません」

女「こほん。えー、一つ目より先に二つ目の質問からさせていただきますね。黒ずくめ」

黒ずくめ「はい」

黒ずくめ「男さん、こちらをどうぞ」

男「この資料は……『主役がゲストな物語』?」

女「それが私の、いや私達の物語の全容です!」

男「全容もなにも『主人公、未定』『ヒロイン、女』『サブ、黒ずくめ』くらいしか書いてないんですけど……」

女「タイトルでなんとなく察せませんか? 鈍感もいいですけど、多少なりとも洞察力も必要ですよ」

眠いので落ちます

ご指摘ありがとうございます。
iPhoneからの書き込みなのですが、全角で!?なら大丈夫かなと思いますので以後気をつけたいと思います。

男「字のごとく読み解くんなら主役、すなわちこの物語のメインメンバーがなんらかのゲストとして扱われる。またはゲストに呼ばれる訳ですよね」

女「何となくはわかってるじゃないですか」

男「でも、言っちゃ悪いですけどそれって物語としつ面白いですかね?」

女「と、いいますと?」

男「物語の設計にもよりますけど、俺達が急にゲスト扱いされること自体おかしなことですし、」

男「ゲスト先もよほどの場所でなければ盛り上がるのが難しくないですか? ストーリーも長続きするとは思えないですし」

女「心配しないでください。私達の考えている物語は、男さんの思っているのとは少しスケールが違います。えっとですね」

女「この世界に数ある物語の中に、私達が飛び入りで参加してしまおう! ということなんですよ」

男「……どゆことです?」

女「つまりですね、Aという物語に私達がゲストてしてお邪魔させていただくとしましょう。するとAの中での私達は、」

女「交換留学や旅の途中で仲良くなったキャラのような設定として扱われる訳です。Aという物語の、いわばマンネリ防止のための良いアクセント係といったところですね」

女「しかし、私達にとっては違います。私達はAでゲストとしての活躍を終えた後も、B、次はCと、ゲスト出演を続けていく訳です」

女「でも、いろんな物語をまたにかけはしますけれど、その行く先々には当然その物語の主人公がいる訳ですから、決して主役にはなれないんです」

女「主役になれない主人公達が、ゲストとしていろんな経験を積み、人として大きくなっていく成長物語。それが『主役がゲストな物語』! という予定です」

黒ずくめ「ぱちぱちぱち」

男「……」

男「あの……話を蒸し返すようですけど、それって本当に面白くなるんですかね?」

女「え!? ダメ!? 心惹かれない?」

男「たしかにスケールはデカイですけど、あまり類を見ない話なんで正直不安要素の方が多いと言いますか」

女「がーん……」

黒ずくめ「行き先の物語も重要ですが、話の良し悪しの鍵を握る最大の要因は主人公となる人物にかかっています」

黒ずくめ「ですから、男さんが多少不安になるのも無理はないです」

女「そうね、私もそれが言いたかったの。無理もないわね」

男「こ、この人は……」

女「次に最初の質問、私達が求めている人物像でしたね」

女「話を円滑に進めるための理解力と、自分よりゲストを立たせようとする謙虚さ。ようするに浅く広い知識とある程度空気を読んでくれる人です」

黒ずくめ「私の調査で男さんはかなり条件に近い人物像だということは確認済みです」

男「いつどんな調査したんですか……」

女「さて、あらかたの説明の質疑応答は終わりました。男さん、答えを出していただきます。私達の物語の主人公となってくれるのか否かを」

男「い、今ここでですか!?」

黒ずくめ「今ここで、です」

男「履歴書見たり、筆記や面接なんかを行わなくていいんですか?」

女「ああいった上辺だけ取り繕ったやり取りに意味も興味もありませんよ」

女「私が知りたいのは、さっきまでの話を聞いてあなたが今どのような決断をするのかということだけです」

男(今決断しろなんて急すぎる……なんていうのは自分に対する甘えだな。俺は)

男「やります。やらせてください」

女「いいんですね? あなたはやたら卑屈に考えていましたけど、24歳でも視点と考え方を変えればまだまだ普通の主人公職は見つかりますよ」

黒ずくめ「男さんにはご迷惑をおかけした上に時間まで取らせてしまいました。いくつか職の紹介をすることもできますが」

男「……いえ、お二人の話を聞いてゲストの物語に興味を持ったのは事実です」

男「それに、ここで優柔不断に振舞って、甘い知るだけすするようじゃ主人公失格です! お願いします、俺をあなた達の主人公にならせてください!」

女「わかりました、契約完了です。これからよろしくお願いしますね、主人公さん」

男「なんというか、その呼ばれ方照れますね」

黒ずくめ「えー、本当は契約前に言っておかなければならなかったことがあるのですが、女さんの代わりに私から説明させていただいてもよろしいでしょうか」

女「え? 何かありましたっけ? 」

黒ずくめ「『契約後、最低でも5つの物語のゲストはこなしてもらう』。これが主人公となる上での条件となります」

女「そう! いくら初めのうちは人気が出なくても、それくらいの物語を周ることができるくらいの貯えはあります。」

女「テコ入れのためにストーリーや登場人物を変えるにしても、まずは認知度を高めるための期間としてその間だけは何が何でも続けていただくことになります。」

男「なんという後付け条件……まぁ主人公やるからには5つと言わず、許される限りずっと続けていく覚悟ですから構いはしませんけど」

女「男さんならそう言ってくれると思ってました! ヒロインとして鼻が高いです」

黒ずくめ「さすがですね、我らが主人公」

男「……大丈夫かな、このメンバーで」

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ーーーーーー
女「はい。書類へのサイン、たしかにご確認いたしました」

男「まさか喫茶店でこんな重要なことが決まるなんて、夢にも思っていませんでしたよ」

女「あ、私には敬語使わなくても大丈夫ですよ。これからいろんな物語を巡っていく仲間、主人公とヒロインなんですから」

男「急に言われても、まだ出会って少ししか時間経ってないんで難しいですよ。でも徐々に慣らしていきますね」

女「徐々にって、そんな時間は……いや、でも作中に仲が深まっていく描写としてはいいかもですね」

女「あ、そうだ。黒ずくめ、そろそろ準備のほうを進めといてください。お願いします」

黒ずくめ「承知しました」

男「打ち合わせか何かですか? 俺も参加ですよね? 今後の方針とか気になってたんで助かります」

女「? 今後の方針もなにも……」

男「?」

黒ずくめ「準備完了しました。いつでも大丈夫です」

女「今からですよ? 私達が1番目のゲスト先へ行くのは」

男「……え!?」

黒ずくめ「『主役がゲストの物語』、その記念すべき第1話」

女「失敗無きよう、気合い入れて行きましょう!」

男「えぇ!?」

男「というか、今からってゲスト先の物語にどうやって行くつもりですか!」

男「手続きや資格を持った人による手引きがないと無理なはずですよ。場合によっては機材なんかも必要らしいですし」

女「さすが、知識の幅が広いですね。私達が目を付けただけのことはあります。安心してください。資格なら黒ずくめが所有してますから」

黒ずくめ「ご覧の通りです」

男「『物語間通行手引き資格者証』! 合格難易度はトップクラスに難しいらしいのに……すごい」

女「もちろん手続きも相手物語さんへの事前連絡も済ませてあります。私もバカじゃないんですから、出来ることしか口に出しませんよ」ドヤッ

黒ずくめ「ではそろそろ行きましょうか」

男「ま、待ってください。心の準備が……」

女「初めから落ち着きのある主人公なんてつまんないじゃないですか。少しくらいバタバタオロオロしてるくらいが丁度いいんですよ」

女「ほら、アイマスク付けてください」ぐいぐい

男「ああもう、わかりましたわかりましたよ。自分でつけますからやめてくださいって」

黒ずくめ「2人とも付けましたね。 私がいいというまで絶対に外してはいけませんからね? 絶対にですよ?」

女「はい、大丈夫です」

男「あのー、まだここのコーヒー代お支払いしてないんじゃ」

女「あ、しまっ」

黒ずくめ「先ほど女さんから準備を、と言われた際に会計の方も済ませておきました。男さんの分も、今回は私達持ちということで、同様に」

男「あ、ありがとうございます」

女「当然です! 領収書もちゃんと貰いましたか?」

男「……」

黒ずくめ「はい、後でお渡しします。あ、着きました。マスク外していただいて構いませんよ」

男「も、もう着いたんですか!? ここは……学校?」

女「はい。ここが第一回目のゲストの場となる『比例せよ! 成績と魔法学校』の世界です」

男「あんまり聞いたことのないタイトルですね……って、女さん?」

女「はい、なにか?」

男「いえ、その格好は……って俺も!?」

女「ああ、これはですね、私たちの物語『主役がゲストの物語』の持つ力です。ゲスト先の物語に適した姿になることができるんですよ」

女「考えてもみてください。学校に突然私服の成人した男女が現れたらパニックになるでしょう?」

男「なるほど。だから制服姿なだけじゃなく、俺も女さんも少し若く見え」

パァン!(女の手を叩く音)

女「……さて、うちの物語の性質も理解してくれたようですし、早速ここでの行動を開始しましょうか」にっこり

男「は、はい……すいません」

女「まずは普通に職員室ですかね。ちなみに私達2人は交換留学生として同じクラスに入ることになってます」

男「そうなんですね。それで、職員室はどこに?」

女「知りませんよ? これから探すんです。もう物語の中なんですからしっかりしないとダメですよ? 主人公さん」

男「う……わかりました。えーと、とりあえずあっちに行きましょうか」

女「あと、私達はここに初めて来ましたけど、ここにはここのストーリーがあります」

女「現在進行形で進んでいるイベントなんかもあるでしょうし、いつどこで何に巻き込まれるかわかりませんから、気を引き締めててくださいね」

男「うまく対応できるかな、俺」

?「あれ? あのー……」

男「はい? 俺ですか?」

?「もしかしてだけど、男……だよな? 」

男「たしかに俺は男って名前ですけど、何か……あ! お前もしかして、主人公Aか!?」

主A「そうそう! 中学でずっとクラス同じだった俺だよ。 久しぶり。どうした? この物語に何か用事でも?」

男「用事っていうか、えーと、交換留学生ってことで少しの間ここに通わせてもらうことになってるんだよ」

主A「あれって男のことだったのか! 俺と同じクラスだぞ、お前」

男「本当か!? あ、紹介するよ。こちらは俺と同じ交換留学生の女さん。俺も、その……今日会ったばっかりなんだけどね」

女「女です。よろしく」

主A「こちらこそ。男達は職員室を探してたんだろう? 案内するよ」

男「助かるよ。しかし。また主Aと一緒に授業を受けることになるなんてな」

主A「俺らがまだ中3のときだから、リアル時間で8年くらいか?」

男「7年だよ! これまで相当苦労して、やっとここまできたんだぞ……」

主A「それって……その言い方だと男、主人公になれたってこと!? どういうことだ? うちの番外的な?」

男「話せば長く……もないか。かくかくしかじかなんだよ」

主A「マジか! おめでとう。女さん、俺からも礼を言うよ」

女「いえ、私達にも男さんが必要だったんです。感謝し足りないくらいですよ」

主A「男が主人公になって、しかもうちの物語に来てくれるなんて、世の中何が起こるかわからんな」

女「『うちの物語』……その言い方、それに今までの行動や話を考慮すると、やはり主Aさん、あなたがここの主人公なんですね?」

主A「はいそうです。というか、本当になにも調べずに来たんですね……そりゃあんまり知名度高くないですけど、わりと長寿番組なのに……」

男「お、落ち込むなよ」

いつも小刻みな亀進行ですいません
少しでも見てくれている人がいるので、改善できるように努力します。

最近忙しくて書けませんでしたが、今日あたりから少しずつ書いていきます。

主A「あ、着いたぞ。ここが職員室」

男「助かったよ。同じクラスってことは後で教室で会えるな。じゃあまたその時に」

主A「あー、たぶんすぐには無理だと思う。先生から説明はあるだろうけど」

女「まぁそうですよね。タイトルがタイトルですし」

主A「そゆこと」

男「? どゆこと?」

主A「ともかく、今日はがんばってな。俺はもう教室行くよ」

女「いろいろありがとうございました。ではまた」

男「よくわかんないけど、またな。ありがと」

女「では我らが主人公、ノックをどうぞ」

男「わかってますよ」コンコン

男「失礼します。交換留学ということで今日からしばらくこの学校に通うこととなっている、男と女です。担当の教師の方はいらっしゃいますでしょうか」

女「凄まじくマジメ系ですね。あー、でも主人公の友人ポジですし初めの属性としてはこれ位が丁度いいのかな」ひそひそ

女「登場人物と接していくうちに少なからずボロは出てくるはずですし」ひそひそ

男「……聞こえてますよ」

教師「はい。私が担当の教師です。2人ともはじめまして」

男「はじめまして」

女「よろしくお願いします」

教師「えっと、少し移動するね。ついてきて」

教師「2人はこの学校についてどれくらいのことを知ってるのかな?」

男「急に決まったことだったので、ほとんどなにも」

女「少しくらいは。でも詳しいところまでは全然」

教師「うん。じゃあ最初の方から説明しようか」

教師「驚くことに、この学校内では魔法が使えます。ほら」

男「うぉっ!? 指から火が!」

女「すごい」

教師「嬉しい反応ありがとう。でも君達もこの学校に来た以上は魔法を使うことになるんだよ」

男「俺にも使えるんですか!? どんな魔法を?」

教師「その辺も含めて説明するよ。今僕が出した火、ライター程度しか出せない人もいればキャンプファイアレベルの人もいる」

教師「さて、この2人の違いはなにかというと」

女「個人の成績、ですか?」

教師「ご明察」

男「な、なんで知ってるんですか?」

女「男さん、ここの物語のタイトルがなんだったか、覚えてます?」

男「えーと……なんでしたっけ?」

教師「『比例する! 成績と魔法学校』ってね。言葉通りだよ。成績が良ければ魔法が強くなっていく学校なんだよ、ここは」

女「魔法の種類も火だけってことはないんですよね? なら能力の振り分けもやはり成績で?」

教師「女さんは鋭いですね。そう、その人の成績のバランスで魔法の種類、点数で強さが決まるということです」

男「なんか、凄いですね。わくわくしてきました」

教師「そして、君達2人には自身の魔法内容を知るために、今日は1日かけて試験を受けてもらいます」

男「……な、に!?」

結構面白いのから固有名詞付けてなろうにでも晒せばいいのに

ランキングに上がると思うぞ

>>73
ありがとうございます。書き溜めたら投稿してみたいと思います。

あと感想なんかを書いてくれている方々、とても嬉しいです。ありがとうございます。

教師「筆記から体力テストまでを行うので、2人をクラスに紹介するのは明日になりそうですね。大変ですが頑張りましょう」

女「体力テストも、ですか」

教師「体力テストもです」

男「あのー、この学校にはまだ来たばかりですし、少しでいいんでテスト範囲の復習なんかを……」

教師「当日の暗記なんて意味はないですよ。はい、着きました。ここで試験を受けてもらうことになります。さあ入って」

男「不安しかない」

女「こうなったら腹を括るしかないですね」

教師「国、数、地理歴史、理科、英、家庭、芸術、体力テストの順で行います。トイレは教室出て左奥にあるので今のうちに行っておくように」

お昼

教師「はいそこまで。これで午前の試験は終了です。お疲れ様でした」

教師「ご飯はこの教室でお弁当を食べてもいいですし、学食があるのでそこを利用するのでしたら案内しますよ」

男「弁当なんて用意してないんで学食行きましょうか」

女「あー、男さん。実はお弁当準備してあるんですよ。ですからここで食べましょう。先生すいません」

教師「いえいえ。13時までは自由にしてもらっても構いませんが、あまり目立つ行動はしないように。あと、校内は広いので迷わないように注意ですよ」

女「はい。また午後からお願いします」

男「まさか用意してくれてたなんて……ひょっとして女さんの手作りだったり?」

女「数時間前に男さんを勧誘してたんですよ? そんなの作ってる暇あるわけないじゃないですか」

男「なら昼は出前か何かってことです?」

黒ずくめ「失礼します。2人ともにお弁当を持ってきました」

男「黒ずくめさん!? 今までどこに?」

黒ずくめ「私は教育実習生としてこの学校に入りました。先ほどまで生徒達との親睦を深めるということで調理実習を行っていましたので、」

黒ずくめ「合間を見てお弁当を用意させていただきました。あ、味噌汁もあります」

女「ありがとう、さすがね。さて黒ずくめも揃ったことですし、本題に移りましょうか」

男「本題?」

女「黒ずくめ」

黒ずくめ「はい。我々がここに滞在する期間は約20日。最終日に行われる、全校生徒参加型の魔法を使用しての競技イベントまでとなります」

女「なるほど。そのイベントの内容は? あと、その他大きめの行事なんかは?」

黒ずくめ「競技内容は毎年変わるとのことで、まだ不明です。決まり次第学校中に連絡が伝わるかと。その他の行事は今の所はなにも」

女「わかりました。ありがとう」

眠いので落ちます

女「男さんも大丈夫ですか? 展開的には行き当たりばったりでも構わないのですが、これは物語。いつかは終わりが来ます」

女「20日後のイベントに盛り上がりのピークを合わせられるように、一応意識だけはしておいてくださいね」

男「言いたいことはわかるけど、来たばっかりのこの物語で正直何をしたらいいのか……ましてや俺、主人公初めてだし」

女「今私たちがあれこれ考えても仕方ありませんし、意識をしておく、それだけでいいんです。するのとしないのではきっと物語としての面白さはだいぶ変わってくるはずですから」

女「さて、じゃあそろそろお弁当をいただきましょうか」

男「意識だけでも、ですね。頭に入れておきます。あー、なんというか凄く可愛らしい弁当ですね……」

黒ずくめ「女子生徒からの要望で野菜を可愛くカットしたので、それに合わせた仕上がりになっています」

女「うん、美味しいです。午後は体力テストもあるらしいので残したらいけませんよ? 体力つけなきゃ」

男「あと半日頑張りさえすれば俺にも魔法が使えるんですよ? 頑張らずには入られませんよ。……めちゃくちゃ旨いですね、この弁当」

黒ずくめ「影ながら応援してますよ。あ、お茶もどうぞ。弁当箱は私が回収して洗いますので」

午後

男「やっと終わった……!」

教師「今日一日お疲れ様でした。制服に着替えて最初の教室で待機しておいてください」

女「はい……ありがとうございました」ハァハァ

男「すごく息が上がってますけど、大丈夫です?」

女「しゃ、シャトルランはさすがに、こたえますね……」

男「見た目は若くっても中身は違いますしね。でもあんまり体力落ちてなくてよかった」

女「知識付けるだけでなく、運動も頑張っておけばよかったです……」

男「……あのー、あんまり聞いたらダメだってことはわかってるんですけど、女さんって今おいくつくらいなんですか?」

女「……」ジッ…

男「い、いえ! 変な意味じゃなく! ほら、女さんはヒロインなのに俺、女さんのこと何も知らないじゃないですか」

男「もっと互いのこと知ってれば打ち解けるのも早くなるかなって。初めに言ってたタメ語でも話しやすくなるかもですし」

女「そう、ですね。たしかに。え、えーっと」

男「最初に感じた印象だと、俺とタメくらいだったりします?」

女「そうですね! 今はそういうことにしときましょうか。少しずつお互いを分かり合っていく。それも物語序盤の醍醐味ですから」

男「そうですね、たしかに。考えなしに言い出してすいません」

女「いえいえ! 私も実はメインヒロイン初めてなんで少し慎重になってるんですよ。まあ焦らずに行きましょう」

女「少人数がデフォな私たちの物語の関係上、喧嘩なんかして気まずくなったら大惨事ですから」

男「大きく信頼関係を築いてからならいいアクセントと捉えることができそうですし、そういったイベントは後に取っておけるよう心がけますよ」

女「お! 男さんもよくわかってるじゃないですか。さあて、この話はここまでにしときましょう。ちゃっちゃと着替えて戻りますよ」

放課後

男「試験の結果と能力の詳細は明日か……待ち遠しいですね」

女「私達のために今日は残って採点してくれるらしいですし、教師先生に感謝ですね」

男「そういえば、これから俺たちはどうするんです? 一旦家に帰ってまたここに?」

女「そんなわけないじゃないですか。ここには男女共に寮があります。私達はそこに泊まることになってるんです。たしかクラスメイトと相部屋になるとか」

男「まだ会ったこともないクラスメイトと相部屋……ちょっと不安ですね」

?「そんな心配はいらないから安心しろって」

男「あ、主A」

主A「体育館からシャトルランの音が聞こえてたからさ、そろそろ終わる頃だろうと思って待ってたんだ。で、相部屋なんだけど、昔からの知り合いだからってことで頼んだら俺の部屋でOKだって」

男「サンキュー、主A! それと……えっと、こちらの方々は?」

主A「あ、紹介するよ。えーと、こっちは委員長。うちのクラスの委員長やってるんだ。2人も何かと世話になると思う」

委員長「はじめまして。男くんと女さん、ですよね。ようこそ、私達のクラスへ。一応委員長やってるんで、わからないことがあれば私に聞いてくださいね」

女「よろしくお願いします、委員長さん」

主A「で、こっちは生徒会長先輩。この学校の生徒会長ってるんだけど、交換留学生の1人が俺の知り合いって言ったら付いてきちゃって」

生徒会長「なんだー? 生徒会長である私が挨拶しに来ちゃ迷惑だってのかー?」わしゃわしゃ

主A「いたた! ちょ、やめてくださいよ先輩!」

生徒会長「こほん。では生徒会長として一言。お二人さん、我らが学校のモットーは学業も魔法も全力で! だ。」

生徒会長「後日知ることになると思うけど、2人がいる間にもこの学校ならではのデカイイベントが用意してある。全力で楽しんでいこーぜ」

男「はい。ありがとうございます」

主A「あと、後輩ちゃん。学年が一つ下なんだけど、色々あって仲良くなってさ。よく遊ぶようになったんだ。今日は偶然そこで一緒になって」

後輩「よ、よろしくお願いします。主A先輩には、その……いろいろよくしてもらってまして、えっと」

女「こちらこそよろしく。学年が違うから学校内で会う機会は少ないかもだけど、仲良くしましょう?」

主A「最後に、同じクラスの幼馴染。俺とは昔からの幼馴染。少し気が強くてバカだけど仲良くしてやってくれ」

幼馴染「どんな紹介の仕方よ! それになんで私が最後なのよ、まったく」

幼馴染「あ、2人ともこいつの言うことなんて話半分に、なんなら聞き流しちゃってもいいからね? あと、これからよろしく!」

男「あれですね、こう……物語にきたー! ってここにきて1番実感しました」

女「怒涛のヒロイン紹介ラッシュでしたからね。でもいい人ばかりみたいでよかったです、安心しました」

主A「なにをヒソヒソ話してるんだ? こっちついてきなよ。寮に案内するからさ」

幼馴染「女さんは私と相部屋なんだよ。今夜は寝かさないぜ! なーんて」

次の日

男「女さんおはようございます。ちゃんと……休めました?」

女「睡眠不足で体だるいです……」

男「目の下にクマできてますよ……そんなに夜更かしを?」

女「みんなで集まっての女子会は楽しかったんですが、その後からが長くて……腹いせに幼Aさんは起こさずに部屋を出てきました」

主A「なにやらかしたのか知らないですが、すいません……」

女「いえいえ、もちろん泊めてくださったことには感謝してます。感謝はしてるんですが流石にあの時間までは身が持たないというか、あはは……」

男(めちゃくちゃ眠そう)

男「と、とりあえず俺と女さんは職員室行ってくる。また後で」

主A「おう。女さんも、次は教室で」

女「はい。あー……主Aさん? 一応幼Aさんを電話で起こしといてもらってもいいですか?」

主A「気にすることないよ。あいつの遅刻はよくあることだし、なんか自業自得みたいだし」

どうしても眠いんで落ちます

女「でも幼Aさんは良かれと思ってやったことだと思うので、やっぱり悪いことしたなって。すいません、こんなこと頼んでしまって」

主A「わかったよ。なら電話しとく。でもホント気にしなくていいんだからね? じゃあ俺行くから」

男「…………女さんは幼Aさん推し、ってことですか?」

女「! よくわかりましたね」

男「なんとなくそうかなって思ったんですけど、当たってたんですね。ヒロインへのモーニングコールなんてなかなかいい手だなって思ったんで」

女「彼女の頑張りと一途さを一晩中聞かされたからってのもありますけど、そうでなくてもこの世界での……いえ、私達の物語が始まって最初の友達ですからね。贔屓してあげたくもなりますよ」

男「なるほど。優しいんですね女さん」

女「そ、そんなんじゃ……! まぁなくもないですけど。私だって物語をどう盛り上げようか考えて行動してるんですから」

男(そうか、1人でこの物語を面白くしないとって気負ってたけど、女さんも、黒ずくめさんだって、同じ気持ちでここにいるんだ。みんなが頑張ればここも、自分たちの物語自体も、最高に面白くなってきそうな気がしてきた)

?「女! 女じゃない」

女「……あなたは?」

?「えー、気付かない? この格好とメガネのせいかしら。女教師よ、高3のとき一緒だった」

女「あ! 久しぶりー! 元気してた?」

女教師「もっちろんよ! 私なんかのことより、女は? 一時期家の都合だので色々あったし、なかなか将来のこと決まってなかったじゃない。今は大丈夫? どうしてここに?」

女「実はかくかくしかじか、という訳なのよ」

男「ど、どうも」

女教師「へー君が。女のこと、しっかり頼むよ! で、そろそろ聞くけどそのカッコはどういうことなの!? 8年前の私の知ってるときのままじゃない」

女「!? えと、これはね! 私達の物語のおかげっていうか、その」アセアセ

男「? 高3のときに同級生で、8年前……ってことは女って俺より一つ年上だったんですね」

女「……」

男「意外なところから年齢がわかっちゃいましたね。でもたしかに、年上と言われてみれば俺なんかよりずっと」

女「あーもう! なんで無駄に計算が早いんですか! 」

男「!?」

女「文句あるんですか? 別に年上だろうと25歳だろうともうすぐ誕生日だろうといいじゃないですか! この歳でヒロインに憧れててもいいじゃないですか!」

男「あ、あの、別に駄目なんて一言も」

女教師「悪い癖が始まった……女おちついてー」

女「と、に、か、く! 私の歳なんてどうでもいいから職員室行きますよ! さっさと物語を進行させるんです。さあ早く」

男「すっごい変わりよう……」

女教師「昔から、無自覚にああなっちゃうのよ。治ってなかったのねー。男くん、これから苦労が絶えないだろうけどあの子のことよろしく頼むわよ」

男「は、はい。でも女さんって今まで若干張り詰めたような感じ出してたりしてたから、逆に今回ので親しみが湧きました。女教師さんのおかげ? です。ありがとうございます」

女教師「どういたしまして。あ、そうだ。ここは学校であなたは生徒。私を呼ぶ時は女教師せんせーでお願いね」

男「あはは、そうですね。女教師先生」

女「なにちょっといい雰囲気になってるんですか! ほら早く行きますよ、あなたのヒロインは私なんですからね!」

男「わ、わかってますよ」

女教師「わたしもせんせーだし、職員室行くんだけど」

女「女教師とのイベントはとりあえず終わり! この後に自己紹介イベや能力発表イベやらで忙しいんですから」

ーーそこからは川の流れのように話が進行して言った。まずは俺と女さんの能力お披露目

男「どうですか先生……」

教師「これは……水の能力だね」

男「水ですか」

教師「実際に試してみようか。この黒板に力を使ってごらん。水っていう力を自分なりにイメージして」

男「えっと、こうか!?」

男の右手から放たれた、手のひらサイズの水の球が黒板に直撃

男「す、すげぇ! 本当に出た! 見てましたか女さん!」

女「はいはい、目の前にいたじゃないですか。見てましたよ」

男「なんか選ばれた勇者になった気分……」

教師「えー、ちなみにこの学校の生徒500人中150人が同じ能力。結構メジャーな能力だね。ちなみに男くんの学力からすると、力は平均レベルだ」

男「ありふれてる上に平均レベルって、ぱっとしないしなんか悲しいですね……」

女「ま、まあまあ……これからの練習、勉強しだいで個を伸ばしていけるらしいですし、頑張りましょう」

教師「そうですよ。今日から約20日、努力を怠らずにいきましょう。……あ、男くんこれ雑巾です」

男「え!?」

女「次は私の番ですね」

教師「女さんは風ですね。この能力は少しイメージし辛いかもしれません。ええと、たしか最初は重さのない衣を身に纏うかんじ……でしたか」

女「こ、こうですか?」

男「あ、すごい。女さんの周りに風が吹いてるのがわかる」

女「いまいちピンとこないですけど、こう? 衣というか、蛇が体に巻きついてくるって感じがしますけど」

女の周りを先程までより厚い空気の層が包み込む。さらに自らの意思でそれを指の先から腰、足へと移動させる。

主A「初めてであそこまでできるなんてすごいな」

委員長「うん。きっと勉強でも物を立体的に捉える力や、複雑難解な問題を紐解く力に優れているんだわ……って女さん!? スカートあぶないです!」

女「え? …………きゃっ!?」

モブ男子「おしい、あと少しだったのに」

男子「おしい」

女「男さん、何か言いました?」

男「い、いえ、何でもありません」

女「でも何となくコツは掴めました。ほら、右手から左手へ。さらには教室をグルッと一周」

幼A「おはようございますギリギリセーフ? ってギャー!? スカートが!?」

モブ男子「ピンク!」

主A「なにやってんだあいつ……///」

女「ご、ご、ご、ごめんなさい幼Aさん!」

ーーそしてイベント内容が決まってからの特訓の日々

女「イベントの内容は全校生徒参加可能の能力バトル……とのことですが」

黒ずくめ「私の伺った内容と差異がないか確認しましょう。まず各クラス内でバトルロワイアルを行い4名勝ち抜け。勝ち抜けメンバー4名×5クラス分を学年ごとに行い、各学年3名ずつ勝ち抜け」

黒ずくめ「最後に各学年の選出メンバー+生徒会長の計10名でNO.1を決める。問題はないですか?」

女「はい大丈夫です。ただ、生徒会長の件だけは説明がありませんでしたね」

黒ずくめ「生徒会長が最後に参加するというのは毎年の恒例らしく、実行委員も初めからそのつもりで準備を行なっているらしいです」

女「なるほど。まぁ私達は圧倒的に実力不足ですから、そんなところまで勝ち抜けるとは思ってませんし問題はないですね」

男「でも、となると俺たちって何を目指して戦えばいいんですかね?」

女「目指すのはもちろん優勝ですよ?ただ結果は間違いなく付いてこないというだけのことです」

男「なんというか、そう言われると悲しくなりますね」

女「ここの人達だってゲストに見せ場くらいは作ってあげても、勝ちを譲るつもりはさらさら無いでしょうからね。なんといったって、私達の有無に関わらずビックイベントなんですから」

男「それもそうですよね。よし、じゃあ少なくとも一矢は報いる為にも特区を頑張りましょうか」

黒ずくめ「当然私も協力しますし、時間のあるときには教師先生、女教師先生にも指導を行ってもらえるように掛け合ってあります」

女「ありがとう。ゲストを……私達を呼んでよかったと思わせる為にも、このイベントを最高に盛り上げてやりましょう!」

眠いので落ちます
いつも亀進行ですいません

また、先の展開は何も考えておらず、能力も適当に決めたのでこの先グダグダになったらゴメンナサイ

ーーイベントの2日前

男「ど、どうぞ。といっても主Aの部屋なんですけど」

女「お邪魔します。さすが主人公といいますか、主Aさんの部屋めちゃくちゃ片付いていますね」

男「多少掃除はしましたけど、もともと物が少なかったですからね」

女「とりあえずベッドに座らせてもらいますね」

男「どうぞ。それにしても上手いですね、俺達2人で秘密の作戦会議をしたいっていう口実で幼Aさんの部屋に主Aを行かせるなんて」

女「幼Aさんにはお世話になってますから。感謝の気持ちですよ。それにこんなこと、私達にしか出来ないお返しですからね」

男「たしかに! 俺達ゲストとしていいキャラ立ってますね」

女「大きな行事前に主人公とヒロインが同じ屋根の下で寝泊まりなんて、物語的には美味しい展開ですからね」

男「……泊まり?」

女「はい。今晩と明日の夜もですよ」

男「それって、女さんはどこで寝泊まりする予定なんですか?」

女「ここに決まってるじゃないですか。まさか、なにかやましいことでも考えているんですか……?」

男「いやいやいや! とんでもないです考えてないです!」

女「言っときますけど、私だって緊張してるんですから、変に意識しないでください! ……さて、そんなことより、作戦会議を始めますよ」

男「ただの口実じゃなくて、秘密の作戦会議ちゃんとやるんですね」

女「当たり前です。主Aさんの能力忘れたんですか? 策なしじゃあボロ負けしてしまいますよ?」

男「水と風、そのどちらも使える2属性使い……俺と女さんの立つ瀬がないよなぁ」

女「成績もトップクラスですからね。威力も私達より相当上でしたし」

男「とりあえず1回戦目のクラス内でのバトルロワイアル、俺と女さんタッグを組むのは決まりですよね」

女「そうですね。まぁそこに文句を言ってくる人は
まずいない筈です。実力や経験の差上、そうしないと勝負になりませんし、むしろみんなそうしてくるのが当たり前と考えているでしょうね」

男「じゃあみんなの予想を裏切ってあえてバラバラに!なんて」

女「……真面目に考えてください?」

男「じょ、冗談ですよ」

女「まったく。作戦が全然きまらないじゃないですか、もう」

男「すいません……え、えっと、じゃあお互いの持ってる情報の交換からしていきましょうか。実は少し気になる話がありまして」

女「へぇ、やりますね男さん。でも私もとっておきの情報を仕入れているんですよ」

幼AのAに深い意味はないですすいません
あと、最近忙しくてなかなか書けなかったです。すいません

ーーそしてイベント当日

生徒会長「ーーと、いうわけでここにイベント開始を宣言します! あ、決勝戦では思わぬサプライズも用意しているのでお楽しみに」

男「とうとう始まりましたね」

女「最終日、悔いのないように出し切りましょう」

主A「お二人さん、ついにこの日がきたね」

女「あ、主Aさん。昨晩はよく眠れましたか?」

男「そうでない方が俺たち的にも物語的にも美味しい展開なんだけどね」

主A「ちょ、何言ってんだよ!?」アセアセ

委員長「? ちょっとそれどういう意味です?」

後輩「わ、私も気になります」

主A「なんでもない! なんでもないから!」

委員長「なんで逃げるんですか!」

後輩「待ってくださいよ先輩」

幼A「///」

女「幼Aさん、このチャンス逃しちゃダメですよ?」

幼A「ありがとね女ちゃん。それと、今日はがんばろうね」

女「はい。主Aさんが私達に負けても恨まないでくださいよ?」

幼A「大丈夫。主Aは強いから心配いらないよ」


ーー
ーーー

審判「フィールドの整備が終了しました。次の試合は1年Aクラスとなります。出場される方々はクジを引き、そこに書いてある番号をご確認ください」

審判「マップ内に振り分けられた番号があると思いますが、それが開始位置となります。皆さん、クジに書かれている番号の場所に移動し、開始の準備が整うまで待機してください」


ーー
ーーー

審判「準備が完了しました。それでは始めたいと思います。試合開始!」

男「女さん!」

女「ここです。近くでよかった。とりあえず無事合流、第一関門クリアですね」

男「この首から掛けている玉が割られたらアウトってことらしいですから、お互いに守り合いながら主A達を探しましょう」

女「試合前にかけてもらった魔法に守られているおかげで私達は大怪我するようなことはないけれど、玉は小さい衝撃でも簡単に割れてしまう。油断は禁物ですね」

男(いい説明だった気がする)

女(まずまず、といったところかしら)

ーーーー

モブA「土!」

モブB「火!」

モブC「雷!」

女「突風でこの鬱陶しい土を吹き飛ばします!」

男「水の壁で火を消し、電気を受け流す!」


ーー
ーーー

男「みんな流石だな。ガードはできてもなかなか反撃に転じられない」

女「出来たところで玉を割るには至らなかったですしね。やはり厳しい戦いです」

男「どんな能力か知ってるクラスメートですらこんな苦戦するんだから、2人で組んでるとはいえ決勝まで勝ち残れる気はたしかにしないですね」

主A「そんな弱気でどうする。もっと本気でかからないと勝ち残るどころか一つも玉を破れないまま終わっちゃうぞ?」

男「!?」

女「!?」

主A「先手必勝! 悪く思わないでな。暴風雨!」

女「男さん!」

男「はい!」

男&女「「暴風雨!」」

主A「!」

委員長「あれって……主Aくんと男くん達が戦ってる?」

幼A「もうぶつかっちゃったんだ。ねぇ、委員長ちゃん、ちょっと休戦しない? 女ちゃん達は今日が最終日……「最強の一年」主A相手にどこまでやれるようになったのか見届けたいの」

委員長「そうね。あの2人もうすっかりクラスの仲間だものね。それに、これが最後の相手になるでしょうから……」

主A「俺と同じ技で返してくるなんて、やるな」

男「めちゃくちゃ特訓したからな」

女「上手くいってよかった……」ホッ

男「今度はこっちから! 水のムチ!」

主A「おっと。コントロールが良くなってるし威力も申し分なさそうだ。でも同じ能力持ちで学力も上な俺には……」

男の攻撃をかわすと同時に主Aが手のひらで水のムチに触れる。その瞬間水のムチが形状を維持できなくなり破裂した

男「なっ!?」

主A「通用しないぞ。さぁ次の手はなんだ?」

男「もう一度、水のムチ」

主A「また同じ手? ……」

主A(なんというか、まぁたった20日しかなかったんだ。俺が勝手に期待し過ぎてたのかな)

ため息をつきながら、水のムチを横へと避ける主A。しかし

主A「なんだこれ……壁?」

見えない壁に阻まれる主A

女「ふふふ、そうです。圧縮させた空気で見えない壁を作り出したんです。私の力はただ風を起こすだけではありませんよ」

男「今だ!」

主A「くっ!?」

水のムチが主Aの両手首へと絡みつく

主A「それは無駄だって……なにっ!?」

主Aはすぐさま水のムチを霧散させた。が

男「水の中にロープを忍ばせておいた。これで動きも両手の自由も封じた!」

男がロープを引っ張る。前方へ倒れるように主Aは体勢を崩してしまう

主A(!? 地面が湿って……やばい!)

男「くらえっ!」

突如地面から2本の水の槍が主Aの玉を襲う。回避の制限、そこへバランスを崩してからの不意打ち。完全に主Aを出し抜くことができた……だが

男「主Aが……いない?」

主A「できれば上級生と当たるまで隠しておきたかったけど」

男「飛んでる……」

主A「能力はこういう使い方もできるってこと。これでお前のとっておきも通用しな」

女「うおぉぉぉぉっ!」

主A「いぞって、えぇ!?」

女が凄い勢いで空中を飛んで……いや、駆け上がってくる

主A「圧縮させた空気を階段がわりに!?」

女「こういう使い方もあるってことです!」

主A(くっ……でも驚くのは能力の方じゃない。男にせよ女さんにせよ、こっちの行動への対応が早くて的確すぎる! 初めから知っていたとしか……まさか!?」

幼A「……ごめんね?」テヘペロ

主A「やっぱりお前かーっ!」

男「そらっ!」ロープを引く

主A「しまった!?」

女「もらったーっ!」

主A「能力多重解放。『擬似ジェット噴射』背面ブースト!」

直後、主Aの背中から激しい噴流が発生し、爆発的なスピードで地面へと加速、着地する。

主A「3つ目……火の能力まで使うことになるなんて予想だにしなかっ」

男&女「それも知ってた!」

主Aの足元が急激にぬかるみ、足首ほどまで埋まってしまう。その上空では、女が自らが作り上げた空気の壁を蹴り、主A目がけて急降下してくる

男「よしっ!」

女「もらった!」

主A「くっ……そぉっ!」

ーーーー
ーー


審判「というわけで、次の試合へ駒を進めたのは主Aさん、委員長さんの2人です。それではこれよりフィールド整備を行いますのでーー」

男「負けちゃいましたね」

女「でも私たちいい線いってたと思いません?」

幼A「いい線どころの騒ぎじゃないよ! 2人とも凄すぎだったよ!」女に飛びつく

女「幼Aさん!? あなたのおかげよ。ありがとう」

幼A「ううん。2人なら何も知らなくてもあれくらいやれるって信じてたよ。でもね……私、それでも主Aは負けないって信じてた!」

男「ははは、それは敵わないな」

主A「何が信じてた、だ。本当に危なかったんだぞ?」

男「おつかれ。あと勝ち抜きおめでとう。無理に聞き出したのはこっちなんだからあんまり責めないでくれよ。それに火の能力について聞いたのは後輩ちゃんだし」

主A「秘密って言ってたのに、なんでみんな口軽いんだ……」

男(主Aの昔の話と交換条件だったなんて言えない。根掘り葉掘り聞いてくる後輩ちゃん怖かったな……)

男「でも最後に使ったやつ。あれはなんだったんだ? 正直何が起こったのかすらさっぱり」

主A「あれは対生徒会長戦のために習得した、正真正銘切り札だったんだけどな。ちょっと説明するの難しいんだけどーー」

女「やめといたほうがいいですよ。 周りの人達みんな聞き耳立ててますから」

モブ「ギクッ」

モブ上級生「ギクッ」

委員長「そうそう。そんなことよりもっと思い出に残るようなお話をしましょうよ。2人とは今日でお別れなんですから」

主A「そうだった。ここ最近楽しくてすっかり忘れてた」

男「こっちこそ楽しかったよ。ここにこれてよかった」

女「ちょっと! まだ別れの挨拶には早いです。イベントの第一回戦が終わったばっかりじゃないですか」

委員長「あはは、ごめんなさい」

幼A「あ、じゃあさっきの試合で女ちゃんが『うおぉぉぉぉっ!』とかって叫んでた話する?」

女「!?」

女子A「あ、私もそれ聞いてた。気合い入りすぎだよ(笑)」

女子B「でも物静かだった普段とのギャップが面白かったというか可愛かったというか」

女「ちょ……み、みんな! この話題はやめましょう!」

幼A「女ちゃん顔真っ赤っかだー」

男「はっはっは」

ーーーー
ーーー
ーー

順調に勝ち進んだ主Aは生徒会長との一騎討ちの末に負けてしまった。主Aいわく、手の内を全て隠し通せたとしても勝てる気がしなかったとのこと。

俺たちに責任を感じさせない気遣いなのか、はたまた生徒会長が本当に超えられない壁的なキャラだったのか……

そしてイベントも終わり、クラスでささやかな別れの会をしてもらった。とうとう帰る時が来たのだ。

ちなみに、イベント時の黒ずくめは

校長「光の槍!」

黒ずくめ「ブラックホール!」

教師の部にて、時間一杯まで校長先生と戦っていたという。

幼A「またきっと会おうね。約束だよ!」ぐすっ

女「うん、約束。だから泣かないで?」

男「みんな。俺この物語に来れて本当に良かった。ありがとう」

主A「これからも大変だろうけど、男たちならやれるよ。頑張ってな」

ーーーー
ーーー
ーー

女「どうでしたか? 初の物語、初のゲスト、なにより初の主役は」

男「正直、主役らしいことなんてしてないし、旧友がいたからとはいえ舞い上がってて痛々しい発言ばっかりしてた気がするけど……」

黒ずくめ「けど?」

男「そういうの全て含めて、悪くなかったです。いや、むしろ次に早く行きたいくらいです」

女「そうですか! ならよかったです」

男「はい。問題は俺なんかの物語を面白かったって思ってくれた人がいるのかどうかですけど……」

黒ずくめ「始まったばかり、ましてやゲスト1回目です。そんなことはまだ気にすることではありませんよ」

女「私たちは人気取りにゲスト先へ行くのではありません。お互いの物語をより良くするために行くのですから。自分たちのことばかり気にしてたら相手に失礼ですよ?」

男「そうですね。今は自分にできる精一杯を! 女さん、黒ずくめさん、次の物語はどこで、いつの予定なんですか? やる気に満ちてますよ、俺!」

黒ずくめ「頼もしいです、主人公」

女「次は『未確認生物と戦う軍隊もの』か『裏麻雀もの』の二択ですね。えーと、どっちも出発は30分後くらいになりそうです」

男「…………へ?」

女「頼りにしてますよ主人公」

黒ずくめ「では私は準備をしてきます」

男「……………………まじ?」

息もつかせぬ慌ただしさ。だけど仕方がない、だってこの物語の主役は、俺なんだから

ーーーー
ーーー
ーー

黒ずくめ「……イーピンです」

主B「あんたも終盤でとうとうボロが出たな。ロン、親の満貫12000点」

モブ「はっはっは、やっぱ今までのはマグレ。ただの運麻雀だったんだよ」

男「まってください、頭ハネです。1000点の5本場は2500点です」

黒ずくめ「だ、そうですよ」

主B「お宅ら……やるねぇ。これは持っていかれたかもな、流れってやつを」

女「男さん……黒ずくめ……」

女(麻雀難しいからなかなか突っ込んだコメントが出来ない……)

ーーーー
ーーー
ーー

黒ずくめ「間一髪逃げられましたけど、警察の踏み込みのせいで勝敗は有耶無耶になってしまいましたね」

男「最後のツモ次第ではまだわからなかったのに……!」

主B「勝負事での『もし』の話ほどくだらないものはない。結果として勝ちも負けもなかったんだから。自分が呼び寄せた警察に捕まったモブは確実な負けだけどな」

男「勝ちも負けもって……俺たち圧倒的に負けてたのに、それでいいんですか?」

主B「だから、いいも悪いもない。賭けの代償であるその女も無事解放だ」

黒ずくめ「お優しいことで」

主B「次は邪魔の入らないところで。その時はこちらもパートナーを呼ばせてもらうよ。そちらの黒ずくめのにいちゃんみたいな、優秀な奴をね」

男「じゃあ、その時まで決着はとっておきましょう。ではまた近いうちに」

女「その時は私以外のものを賭けてくださいね」

ーーーー
ーーー
ーー

男「あー、緊張しました。精神的に疲れましたね」

女「まったくです……ヒロインである私の出番少なかったですし」

黒ずくめ「しかし、男さんって意外と駆け引きがお得意なんですね。御見逸れしました」

男「完璧超人の黒ずくめさんにそう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいですね」

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