橘ありす「地獄少女?」 (96)
ここは世界のどこでもない、夕暮れの丘
ここに1人の女が迷い込んできた
女「ここは・・・」
あい「・・・来たよ」
彼女の前に黒いセーラー服を着た少女が現れる
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あい「私は閻魔あい・・・」
女「地獄少女・・・本当にいたのね」
あい「・・・恨んでいるのね」
女「ええ、私は、あの男が憎い!私を捨てて別の女に・・・!!!」
??「ありがちなラブストーリーですね」
あいの傍らにいる小柄で手に小型の端末を持った少女が口を開く
女「何よ・・・あなたに何がわかるっていうの!」
??「何もわかりませんね、興味もありませんし」
あい「タチバナ、口を謹んで」
タチバナ「はいはい、わかりましたよお嬢さん」
あいに注意され、タチバナと呼ばれた少女は後ろへ下がった
あい「それじゃ改めて・・・タチバナ」
タチバナ「はい、お嬢さん」ポチッ
タチバナは端末の画面をスクロールさせ藁人形のアイコンをタッチした
パキパキパキ・・・パリン!
タチバナ(藁人形)「・・・・・」
彼女は氷に包まれて砕け、中から赤と青の入り混じった色をした藁人形が出てきた
あい「受け取りなさい」スッ
女「・・・・・」
あい「あなたが本当に恨みを晴らしたいと思うのなら、その赤い糸を解けばいい、糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる、恨みの相手は即座に地獄に流されるわ」
女「・・・・・」グッ
あい「ただし、契約を交わしたら、貴方にも代償を支払ってもらう」
女「!」
あい「人を呪わば穴二つ・・・契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる」
女「私も地獄に・・・」
あい「死んだ後の話だけど」
タチバナ(全く、毎度毎度一言一句よく間違わずに言えますね』
あい「後は、あなたが決める事よ」
~その後~
女「地獄・・・」
女「それでもやっぱり・・・許せない!」シュルッ
タチバナ「恨み、聞き届けたり・・・」
タチバナ(受け取ってから3日・・・まぁ長い方でしょう)
タチバナ(全く、こんなパターンもう何十回も見ましたよ)
そして、地獄の仕打ちが始まる
女の氷人形「うふふふふふふふふ・・・」パキパキ
男「うわああああああああ!!!寒いいいいいいいい!!!」
タチバナ「どうです?冷たいでしょう?あなたの恋愛観のように」
男「や、やめてくれえええええええ!!!!!」
タチバナ「ああ、もっとシビれる恋愛がお好みですか」ススッ・・・ポチ
タチバナは端末の中の「お仕置き」フォルダから稲妻のアイコンをタッチした
バリバリバリバリバリバリ!!!!!
男「ぎゃあああああああああああああ!!!!!」
男は電撃を浴びせられた
男「も、もうやめて・・・」
タチバナ「ん?燃えるような熱い恋がいいんですか?」ポチ
今度は炎のアイコンをタッチした
ボオオオオオオオオオ・・・・・
男「あちいいいいいいい!!!!!」
男は炎に包まれた
男「ハァハァ・・・俺が何をしたって言うんだ・・・」
タチバナ「女心を散々弄んだじゃないですか」
男「それのどこが悪いって言うんだ!」
男「大体人間のルールがおかしいんだ!何で男は1人の女しか愛しちゃいけないんだ!」
タチバナ「・・・・・ハァ」
タチバナ「ですって、お嬢さん」
あい「・・・・・」ストッ
男「え・・・」
あい「闇に惑いし哀れな影よ」
あい「人を傷つけ貶めて」
あい「罪に溺れし業の魂」
あい「いっぺん、死んでみる?」
場面は変わり、ここは地獄の船の上
男「うう・・・」
あい「・・・・・」
男「何でだよ・・・野生の動物なら1匹のオスが沢山のメス侍らせてるなんてよくあるじゃねぇか・・・」
タチバナ「そう考えてる時点で、あなたは人間の倫理から逸脱していますよ」
タチバナ(まぁ、私も人の事は言えませんが)
あい「この恨み・・・地獄に流します・・・」
タチバナは一足先にあいの住処へ帰った
骨女「お、タチバナお疲れ」
輪入道「お疲れさん」
一目連「よっ、お疲れ」
山童「お疲れさまでした」
タチバナ「皆さん、只今戻りました」
きくり「おー!帰ったかありす~」グイグイ
タチバナ「わ、私はタチバナです!スカートひっぱらないで下さい!」
きくり「うるせー!お前はありすだろ!」
山童「ちょ、ちょっと姫!」
タチバナ「だから違いますって!」
タチバナ「私はもう、「橘ありす」じゃないんですよ・・・」
あい「・・・ただいま」
骨女「あ、お嬢お帰り」
一目連「お疲れ、お嬢」
あい「早速だけど、次の仕事よ」
輪入道「もうか?早いな」
タチバナ「それだけ人の恨みは深いって事ですよ」
タチバナ(本当に・・・いつまでたっても世の中は変わりませんね・・・)
タチバナ「もうデータは入力済みです、依頼人は20代の女子大生、読書好きで古書店でバイトしてるそうです」
一目連「早いな・・・」
タチバナ「同機はその古書店が悪徳業者に騙され取り壊しの危機にあるからだそうです」
骨女「ま、よくあるパターンだね」
タチバナ「今回の藁人形はローテーションで輪入道さん、お願いします」
輪入道「わかった」
タチバナ「骨女さんは取材と称して業者に聞き込みを・・・」
骨女「ああ」
タチバナ「一目連さんは依頼人の監視なんですが・・・」
一目連「何だよ・・・」
タチバナ「相手は女性ですので、着替えやお風呂の時は控えてくださいね」
一目連「そ、そこまでしねーよ・・・」
タチバナ「私は依頼人が定期的に開いている子供たちへの本の読み聞かせ会に参加して情報を集めます」
きくり「こらー!新顔のくせにしきるんじゃなーい!」
タチバナ「・・・山童、いつものようにきくりさんをお願いします」
山童「わ、わかりました・・・」
山童(何で僕だけ呼び捨てなんでしょうか・・・)
タチバナ「それじゃ早速」
あい「・・・私は?」
タチバナ「さっき地獄流ししたばかりなんですから休んでてください」
あい「・・・・・」
タチバナ「それでは、私は先に行きます」
フッ
骨女「フゥ・・・テキパキまとめてくれるのはありがたいんだけどねぇ・・・」
一目連「ちょっと真面目すぎるっつーか・・・」
輪入道「ま、お嬢の邪魔してなきゃいいじゃねーか」
きくり「えー、あんなのナマイキなだけだよー!」
山童「ひ、姫・・・」
あい「・・・・・」
そして、舞台は現世へと移る
タチバナ「・・・ふぅ」
彼女が来るまで時間があったため、タチバナは喫茶店で時間を潰すことにした
店員「ご注文は?」
タチバナ「パスタとイチゴパフェを」
タチバナ「・・・・・」モグモグ
タチバナはただ夢中にイチゴとパスタを貪り食う
タチバナ「・・・ふぅ」ゲプ
タチバナ(何故でしょう、もう食事なんて必要ない体になってしまったのに・・・)
タチバナ(この2つだけは無意識に体が欲している・・・)
タチバナ「・・・あ」
ふと外を見ると、チラチラと雪が降り始めていた
タチバナ「・・・・・」
あい「思い出しているの?あの日のことを」
タチバナ「!?」
タチバナ「お嬢さん!?どうしてここに・・・」
あい「休み中に私が何をしていようと自由でしょ」
タチバナ「それはそうなんですけど・・・」
あい「それで、思い出していたの」
タチバナ「べ、別にそういうわけでは・・・」
タチバナ「・・・・・」
タチバナ(あれから3年・・・か)
そう・・・
あれはまだ私がアイドル「橘ありす」だった時のこと・・・
小梅「それで最後に言うんだよ・・・」
小梅「いっぺん、死んでみる?って」
幸子「ひゃあああああああ!!!」
輝子「ヒャッハアアアアアアアア!!!」
蘭子「いやああああああああ!!!」
杏「ZZZ・・・」
卯月「あ、あわわ・・・」
未央「へ、へぇ・・・」
凛「ふーん・・・」
まゆ「あらあら」
ありす「・・・・・」
小梅「えへへ・・・今日はかなりレベル落としてみたんだけど・・・どうかな?」
幸子「十分怖かったですよ!」
輝子「ヒャッハー!ゴートゥヘエエエエエエエエル!!!」
ありす(はぁ・・・やっと終わりましたか)
その日はたまたま事務所に大勢あつまっていたので、いつの間にか小梅さんによる怪談大会が開催されていた
薫「こ、怖かったね~」
桃華「そ、そうですわね・・・」
雪美「・・・・・」コクリ
仁奈「こんどはじごくしょーじょのきもちになるのですよ!」
みりあ「ありすちゃんも怖かった?」
ありす「ええ・・・まぁ」
幸子さんの方からかすかにアンモニアの臭いがした気がしますが、スルーしておきましょう
地獄少女
私も興味があって以前調べたことがある
午前0時にのみアクセスできるサイト「地獄通信」に恨んでいる相手の名前を書き込むと地獄少女が現れ、恨みを晴らしてくれるという
でも所詮は都市伝説、そんなものがあるはずない
小梅さんも「皆の周りにもいるんじゃない?突然行方不明になった人とか」
そんな人いるわけないじゃないですか、そんな簡単に人は消えない
そう、最近智絵里さんが事務所に来ないのも、まゆさんが最近露出度の低い服を着ているのも
この間凛さんがホテルに入っていくプロデューサーさんと智絵里さんを見たというのを聞いた気がしますが、地獄少女とは関係ないでしょう
未央「ま、まぁそれはさておき、今度の温泉旅行楽しみだね~♪」
楓「ウフフ、そうね」
凛「プロデューサーもちひろさんも太っ腹だよね、この間のライブの成功を祝して慰安旅行なんて」
卯月「はい!」
ありす「旅行・・・」
まぁ、正直楽しみじゃないといえば嘘になりますね
この人達と一緒なら私も自然と笑顔になれる、そう思っていました
思って・・・いたのですが
その悲劇は、突然起きました
私達アイドルを乗せたバスが、崖下に転落、バスは大破しました
私は外に投げ出されました
寒い・・・雪の降る夜でした
ありす「うう・・・」
体中が痛い
手足の感覚が無い
血がどんどん流れ出ていく
そして・・・寒い
寒い寒い寒いさむいサムイサムイサムイ・・・
ああ、私はもう・・・死ぬのか
運転手「あ、ああ・・・」
ん?運転手さん生きてたんですね
運転手「お、俺は悪くない・・・会社が俺にオーバーワークを・・・」
何を言ってるんですかこの人は
私から笑顔を奪っておいて
私に笑顔をくれた人たちを奪っておいて
許せない・・・・
許せない
ゆるせない
ユルセナイ
ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ
ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ
ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ
そして、私の目の前は真っ暗になった
ビュオオオオオオオオ・・・・・
その時、吹雪が私を包み込む感じがした
ありす?「・・・ん?」パチ
ほどなくして、私は目を覚ました
ありす?「あれ・・・わたし・・・生きて・・・」
そう思ったが、体から体温を感じない、骨の髄から冷たく感じる・・・
ああ、そうですか・・・
私はもう、人ならざるモノになってしまったのだと思った
ありす?「ふふ、ふふふ・・・」
何故でしょう、こんな体になったというのに自然と笑いがこみ上げてくる
ありす?「あはははははははははははははははは!!!!!」
ありす?「さて・・・」スッ
私は愛用のタブレットを拾い上げる
ありす?「壊れてない・・・いえ、私と共に蘇ったということでしょう」
ありす?「まずはあの男を・・・うふふ♪」
ザッ・・・ザッ・・・
運転手「くそっ・・・麓はまだか・・・」
ユラァ
ありす?「どこへ行こうというのですか?」
運転手「!?」
運転手「な、何だお前は・・・」
ありす?「答える必要はありません、何故なら」パキキ・・・
ザクッ!
運転手「ぐあああああああああああ!!!!!」
私は氷の槍を精製し、男の腹に突き刺した
ありす?「これから私に殺られるんですからね」
運転手「痛いいいいいいいいい!!!!!」
パキパキパキ・・・
男の体は傷口からみるみるうちに凍り付いていく
運転手「うわああああああああ!!!」
そして、顔以外は氷漬けとなった
運転手「」
ありす?「ウフフ・・・いい眺めです」
ありす?「さて、まだ殺しませんよ」ススッ
プスッ
私がタブレット操作するとコードが伸び、男の頭に突き刺さった
運転手「ぎゃあああああ!!!!!」
すると、画面の男の記憶やら何やらが表示された
ありす?「ふむふむ、これがこいつなんか派遣したバス会社・・・おや?酒に酔っていたんですか?これはオーバーワーク以前の問題ですね」
運転手「な、何でもしますから許してください・・・」
ありす?「何でも?わかりました」
運転手「よ、よかった・・・」
パキン!
男は全身氷漬けになった、そして・・・
ありす?「それなら死んでください」
グシャッ
踏み砕かれた
ありす?「あはは・・・人間ってこうも脆いんですね」
ありす?「この力があれば・・・」
ありす?「さて、次の獲物を狩りにいきますか」
ありす?「あはははははははははははははははは!!!!!」
??「あ、ありすちゃん・・・」
閻魔あい「・・・・・」
~とあるバス会社~
ドカアアアアアアアアアアン!!!
社員達「うわああああああああ!!!」
ありす「あはははは・・・誰一人逃がしませんよ」
私はタブレットから電撃や火炎を放って人間どもを襲撃していた
社長「あ、ああ・・・」ガタガタ
ありす?「さて、後は貴方だけですよ?」ニッコリ
私は氷の刃を手に社長に迫る
社長「ひっ・・・」
フッ
ありす?「!?」
すると突然、社長は消えてしまった
ありす?「どうなってるんですか?」
あい「・・・彼は地獄に流されたわ」
ありす?「あなたは・・・」
あい「私は閻魔あい・・・」
ありす?「閻魔・・・あい・・・まさかあなたが・・・」
あい「・・・・・」
ありす?「地獄少女・・・」
あい「・・・・・」コクリ
ありす?「流したって・・・誰が頼んだんですか・・・」
あい「それは言えないわ」
ありす?「あいつらは私が裁くはずだったのに!」
あい「そう、それは悪いことをしたわね」
あい「でも、私も仕事だから」
ありす?「私のこの怒りはどうすればいいんですか・・・」ゴゴゴ・・・
あい「・・・・・」
ありす?「私の大切な人達・・・こんな不愛想な私を笑顔にしてくれた人達・・・」
ありす?「その人たちを殺したこいつらを殺りそこねた私の怒りは!」
あい「・・・・・」
ありす?「責任・・・とってもらいますよ」ピキキ・・・
私は両手に氷の刃を持った
ありす?「ハァッ!!!」ダッ
あい「・・・・・」スッ
ドカァン!
ありす?「グハッ!」ドサッ
彼女は手をかざしただけで、飛びかかる私を軽々ふっ飛ばした
ありす?「ぐっ・・・ゴホゴホ・・・ガハッ!」
あい「・・・・・」ゴゴゴゴゴ・・・
ありす?「あ、ああ・・・」ガタガタ
私は本能で感じた
コイツは・・・人外としての格が違いすぎる・・・
あい「あなたは人の理を外れ蘇り、罪を犯した・・・」ザッ
ありす?「私も・・・裁くんですか・・・」
ザッ・・・ザッ・・・
ありす?「どうぞお好きに、覚悟はできてます・・・」
あい「・・・・・」スッ
あい「一緒に来る?」
ありす?「え?」
あい「どうせいずれ地獄に行く運命・・・だったらそれまで私の仕事を手伝ってみない?」
ありす?「どうして・・・そんな事言うんですか?」
あい「私もそうだったから・・・人を恨んで蘇り、その罰で地獄少女に・・・」
ありす?「そうだったんですか・・・」
あい「永遠の地獄少女との相乗り・・・どうする?」
ありす?「そうですねぇ・・・馬鹿馬鹿しいですが・・・」
ありす?「面白そうじゃないですか?」
あい「そう、じゃあこれからよろしく・・・」
ありす?「はい、よろしくお願いします」
ギュッ
私は彼女の手を取った
あい「ところで、あなたの事は何と呼べばいいのかしら?」
ありす?「え?」
あい「ありす・・・いや妖怪的には雪ん子・・・」ブツブツ
ありす?「どっちでも呼ばないでください」
タチバナ「私の事は、タチバナと呼んでください」
そして現在に至る・・・
あい「そういえばまだ聞いてなかったわね」
タチバナ「何をですか?」
あい「あなたが私についてきた理由」
タチバナ「ああ、それはですね・・・っとそろそろ時間です、私はもう行きますね」
あい「私もついてく」
タチバナ「勝手にしてください」
そして2人は、依頼人の女子大生の読み聞かせ会を聞いていた
女子大生「めでたしめでたし・・・」
パチパチパチパチ
あい「・・・・・・」パチパチ
タチバナ(お嬢さん・・・結構聞き入ってましたね」パチパチ
女子大生「今日はこれまで、皆また来週ね」
そして子供たちは帰り、2人だけが残った
女子大生「あら、あなた達は帰らないの?」
タチバナ「あ、私達は今日初めて聞いたので・・・」
あい「・・・・・」
タチバナ「ちょっとお話しませんか?」
女子大生「ええ、いいけど・・・」
タチバナ「あなたは本が好きで、こんな事をしているんですか?」
女子大生「ええ、子供達に本のすばらしさを伝えたくて・・・」
タチバナ「でも、いずれこの店は・・・」
女子大生「ええ、わかってるわ」
タチバナ「どうしても・・・守りたいんですね、どんな手を使っても」
女子大生「・・・・・」
そして、彼女達は帰路についた
タチバナ「引きますかね、糸」
あい「それは彼女が決める事よ」
タチバナ「・・・・・」
あい「・・・ねぇ」
タチバナ「はい?」
あい「銭湯寄ってかない?」
カポーン
タチバナ「何でこんな事を・・・」
あい「たまには骨休めも必要よ」
タチバナ「そういう台詞は骨女さんに行ってあげてください」
あい「・・・///」
タチバナ「だれもいませんね、貸し切りです」
あい「それで、喫茶店での話の続き・・・」
タチバナ「ああ、あなたについてきた理由・・・ですか」
あい「ええ」
タチバナ「死という物を、知りたかったからですよ」
あい「死?」
タチバナ「人、いえすべての生命には死が訪れます」
タチバナ「寿命、事故、病気・・・形はそれぞれですがね」
タチバナ「中には理不尽に死を迎える者達もいます、直前まで笑顔でいたのに・・・」
あい「・・・・・」
タチバナ「そんな死に、意味はあるのか」
タチバナ「それが知りたいんです、地獄流し何て理不尽な死の代表みたいなもんじゃないですか」
あい「そう、でもあなたの求める答えは永遠に出ないかもしれないわね」
タチバナ「?」
あい「死ぬってことほど、生きるって事を実感できることはないもの」
タチバナ「どういう事です?」
あい「死ぬって事は生きてたって事、その者の存在してた証は永遠に残るわ」
あい「ある意味、存在がなくなってもその者は生きてるって事になるんじゃないかしら」
あい「記憶って形でね」
タチバナ「・・・よくわかりません」
あい「いずれわかるわ・・・もう上がりましょう、のぼせてきたわ」
風呂から上がり、私はいちご牛乳を、お嬢さんは牛乳をガブ飲みしていた」
タチバナ「・・・ふぅ」
あい「・・・・・」ゴクゴク
タチバナ「そんなに飲んでも、私達は胸大きくなりませんよ」
あい「・・・・・わかってるわ」
一目連「お嬢」ギョロ
突然脱衣所の壁に巨大な目が出現した、一目連さんだ
あい「どうしたの?」
一目連「ああ実は・・・ってどうしたタチバナ?」
タチバナ「あ、ああ・・・」
一目連「?」
タチバナ「この変態いいいいいいいい!!!!!」
グサツ
一目連「ぎゃあああああああああああああ!!!!!」
一目連「イテテ・・・悪かったよ」
タチバナ「もう・・・」
あい「それで、どうしたの?」
一目連「ああ、実はな・・・」
一目連さんの話だと、女子大生さんは結局糸を引かなかったらしい
数日後、すっかり更地になった古書店跡地に私は行った
タチバナ「・・・・・」
女子大生「・・・・・」
タチバナ「なくなっちゃいましたね」
女子大生「うん・・・」
タチバナ「結局、何も手を打たなかったんですね」
女子大生「やろうと思ったけど・・・気づいたの」
女子大生「たとえこの状況を乗り切っても・・・いずれこの店はなくなっていた・・・ってね」
タチバナ「そうですか・・・」
女子大生「それに、ここがなくなっても本がなくなるわけじゃない」
女子大生「一度読まれた本は記憶に残り、後世に受け継がれる・・・」
女子大生「だから、寂しくはないよ」
タチバナ「そうですか・・・」
女子大生「それに、選別に残った本ももらえたしね」ドッサリ
タチバナ「・・・・・」
私は彼女と別れ、街を彷徨っていた
タチバナ「・・・・・」
タチバナ(記憶に残ってる限り死なない・・・か)
タチバナ(なら、人ならざるモノとなった私の事なんて覚えてる人なんていない・・・)
タチバナ(私は結局死んでるんですね・・・)
??「ありす・・・ちゃん?」
タチバナ「え?」
1人の少女が、私に声をかけた、そんなことありえないのに
いや、それができそうな人物を私は知っている
それに、前髪で隠れた右目、余りまくって手の見えない袖、まさか・・・
タチバナ「小梅・・・さん?」
小梅「やっぱり・・・ありすちゃんだ」
タチバナ「嘘・・・あの時事故でみんなと・・・」
小梅「私も・・・奇跡的に・・・ね」
タチバナ「そうですか・・・」
お互いまともじゃない道に進んでしまったようですね・・・お互い容姿は変わってませんし
タチバナ「小梅さんは今何してるんですか?」
小梅「心霊スポットで人を脅かしてる・・・かな」
タチバナ「・・・・・」
小梅「それで、ありすちゃんは?」
タチバナ「私は・・・」
小梅「言えないような事・・・?」
小梅「まさか、地獄少女の従者・・・とか?」
タチバナ「・・・・・」
小梅「やっぱり、そうなんだね・・・」
タチバナ「私は一度死んだ身です、何をしようと勝手でしょう」
小梅「後悔は・・・してないんだね」
タチバナ「・・・ええ」
小梅「そっか・・・」
タチバナ「それじゃ、もう会う事もないでしょう」
小梅「うん、ありすちゃんも元気でね」
タチバナ「この状態を元気だと言えるのでしたらね」
そう言って、私達は別れた
私の事を覚えてる人がいた、いや、もしかしたら他の方たちも・・・
そう思うだけで、私はまだ生きてるんだなと感じました
タチバナ「あ・・・」
一目連「よぉ」
輪入道「へっ・・・」
骨女「フッ」
山童「お帰りなさい」
きくり「ケッ」
あい「・・・帰るよ」
タチバナ「はい」
あい「久しぶりに皆でご飯にしましょうか」
タチバナ「じゃあ腕によりをかけてイチゴパスタ作りますよ」
あい「それは駄目」
タチバナ「あなたの恨み・・・晴らしま・・・」
あい「それは私が言うわ」
~おわり~
これで終わりです
今週の地獄少女までになんとか終わった・・・
今期はどんな結末を迎えるのか…
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