【モバマスSS】美人で有名な森久保さん (30)
のんびりと書いていきます
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---某大学 教室---
「ふわぁ~あ…今日も眠いなぁ…」
「ねぇ昨日の8時からのやつ見た?」
「おーい、この講義が終わったらどっか行こうぜ!」
ガチャッ
「おっ、あれは…」
「おい見ろよ、来たぜ!」
「誰あれ?」
「バッカお前!知らねえのかよ!美人で有名な森久保さんだよ!」
「えっ、ウソ!?あのアイドルやってる!?」
「そうそう!」
乃々「……」
乃々「……」カリカリ…
「結構真面目に講義受けてんな…」
「アイドルっていうか…芸能人って仕事が忙しくてあんまり勉強しないイメージあったけど…」
「ちゃんと学生してるのもいるんだなぁ…見直したよ」
「さすが森久保さんだよなぁ…」
乃々「……」チラッ
「おい、こっち見てるぞ?」
「ちょっとうるさくしすぎたかな?」
「少し静かにしようぜ、森久保さんの邪魔になりそうだし…」
乃々「……」
「森久保さん、この後飲み会やるんだけどさぁ、森久保さんも来ない?」
乃々「……」
「あっ、あいつは確か女癖が悪いってウワサの…」
「だ、大丈夫なのか…?」
「森久保さんどうすんのかな…」
「ねっ?絶対楽しいからさ、みんなも森久保さんみたいな美人が来てくれたら喜ぶし…」
乃々「……」
「ねぇ森久保さんってば、目くらいは合わせてくれても…」
乃々「今日は…予定があるので…」
「えー?そんなこと言わないでさ…」
乃々「失礼します…」スタスタ…
「あ、あの、ちょっと!」
「おー、断ったぞ」
「すげーな、全然目も合わせなかったよ」
「眼中にないって感じだったよな」
「ああいうのをクールビューティーっていうのかな、かっこいいよなぁ」
「さすが森久保さんだな、俺ファンになっちゃいそうだよ!」
乃々「……」スタスタ…
乃々「はぁ…」
「おっ、なんだ乃々じゃないか」
乃々「…えっ、プロデューサーさん?」
P「偶然だな、こんなところでどうしたんだ?」
乃々「あっ…今、大学からの帰り道で…」
P「おぉそうか、俺も営業からの帰り道だよ、一緒に帰ろうか?」
乃々「は、はい…ちょうど、プロデューサーさんに話したい事があるので…」
P「俺に?なんだよ?」
乃々「こ、ここだと…ちょっと…事務所についてから…」
P「もったいぶるじゃないか、まあ別にいいけど、それじゃ行こうか」
乃々「はい…」
テクテク…
P「大学はどうだ?楽しいか?」
乃々「…まだ、よくわからない…です…」
P「そうか、しかし…」
乃々「なんですか?」
P「あの乃々が大学生だなんて…感慨深いなぁと思ってなぁ…」
乃々「ま、またそれですか…何回言ってるんですか…」
P「何回でも言いたくなるさ、初めて会った時はまだ中学生だったのにいつの間にかこんなに大きくなって…」
乃々「あ、あんまり背、伸びてないんですけど…皮肉ですか…」
P「まあまあ、少し伸びたじゃないか、本当に少しだけど」
乃々「うぅぅ…やっぱりプロデューサーさん、いぢわるです…」
P「あとはそうだな…美人になったな」
乃々「えっ…美人?もりくぼが…?」
P「ああ、ホントにちょっと前まで子供だと思ってたのに、すっかり綺麗に…」
乃々「……」
P「んっ、どうした乃々?」
乃々「あ、いえ…なんでも…」
P「なにかあったのか?そういえばさっき歩いてた乃々はなんだか元気なさそうだったな」
乃々「もりくぼは…いつも、あんなものですけど…」
P「いやいやそんなことない、まあ確かに乃々はおとなしいけど…でも、落ち込むのとおとなしいのは別だろ?」
乃々「うっ…」
P「なにか悩み事か?俺でよければ話してみろよ」
乃々「……」
乃々「…実は」
P「へぇー、飲み会に誘われたのか」
乃々「は、はい…」
P「まあ、大学生だからそういうこともあるだろうな」
乃々「き、急に話しかけられたから…ビックリしました…」
P「だろうな、乃々は昔から人見知りだったもんなぁ…それで、断ったのか?」
乃々「は、はい…なるべく目を合わせないようにして…用事がありますって言って…」
P「おー、ちゃんと断れたじゃないか、成長したなぁ」
乃々「す、すごく…がんばりました…慌ててるの、なるべく顔に出さないようにして…」
P「うんうん、ドラマとかでの演技の経験が役に立ったみたいだな、以前はすぐに表情に出てたし」
乃々「そうしたら、周りの人たちが…クールだ、大人っぽいって…話してて…」
P「あー…確かに傍からはそう見えるのかもな…」
乃々「うぅぅ…もりくぼ…なんだか誤解されてませんか…?それに、美人だ…とか言われると、からかわれてる感じがして…」
P「考えすぎだって、みんな本当にお前を美人だと思ってるんだよ」
乃々「そ、そうなのかな…」
P「そうそう、喜べよ」
乃々「う、うーん…」
P「しかし乃々は本当に成長したよ、昔のお前だったらそのまま断り切れずに飲み会に参加してたかもしれないのに」
乃々「ぷ、プロデューサーさんに…無理矢理お仕事させられたみたいにですか?」
P「おいおい、俺はお前の為を思ってだな…」
乃々「そのセリフ…悪い人が開き直るときのセリフに、聞こえるんですけど…」
P「ぐっ…お前ずいぶん手厳しくなったな…」
乃々「プ、プロデューサーさんに…鍛えられたので…」
P「こいつめ」
乃々「でも、私…」
P「んっ?」
乃々「正直、いやだなって思ったことも…逃げ出したいって思ったことも…いっぱいいっぱいありますけど…」
乃々「…ていうか、本当に逃げかけたこともあるんですけど…」
乃々「それでも、プロデューサーさんと今までお仕事してきたこと…こ、後悔とかしてませんから…」
乃々「よ、よかったと思ってます、プロデューサーさんと一緒にいられて…」
P「乃々…」
ガシッ
乃々「ひゃうっ!?」
P「乃々ォ!お前の口からそんな言葉を聞く日が来るだなんて!お前本当に成長したなぁ!俺は嬉しいよぉ!」ナデナデナデナデ…
乃々「ひぃぃぃぃ…や、やめてくださいぃぃぃぃ…」
P「あぁ…なんていい子なんだお前は、仕事も頑張ってるし大学も真面目に行ってるし…よしよしよし…」ムニムニムニムニ…
乃々「ふぇぇぇぇ…やめふぇふだひゃいぃぃぃ…」
P「おっとすまんすまん、ついやりすぎた…」
乃々「へ、ヘンタイさんです…お、おまわりさん…ここにヘンタイさんが…女の子のほっぺをグニグニするヘンタイさんが…」
P「人聞きの悪いこと言うなよ、俺のどこがヘンタイだ」
乃々「じ、自覚のないところが…余計にヘンタイっぽいんですけど…」
P「失礼なやつだな、そんなこと言ってると俺が誤解されて本当に警察に捕まるかもしれないぞ?」
乃々「だ、大丈夫です…そうしたらもりくぼ…毎週差し入れを持って…会いに行きますから…」
P「リアルなこと言うなよ…」
乃々「あ、あの…プロデューサーさん…一つ言っておきたいんですけど…」
P「ん、なんだ?」
乃々「その…他のアイドル達にも…さっきみたいなことしてるなら…やめておいた方がいいと思います…本当に捕まっちゃいそうだし…」
P「いやいや、やってないっての!乃々とは長い付き合いだからついふざけてやっちゃうだけだ!」
乃々「私に…だけ?」
P「おう、そうだよ」
乃々「…私にだけ、なんだ」
乃々「ふ、ふふっ…」
P「なんだよ、どうかしたか?」
乃々「な、なんでもないです…はい…」
P「そっか…うーん、けど乃々の言う事も一理あるかもな」
乃々「えっ?私が?なんですか?」
P「いやほら、乃々ももう子供じゃないしな、あんまりベタベタするとイヤだろうし周りから誤解されそうだなと思ってさ」
乃々「ご、誤解?」
P「さっきみたいに頭撫でまわしたりほっぺグニグニみたいにするのも、はたから見たら変質者に見えるかもだしちょっと自重した方がいいよな」
乃々「…えっ?えっ?」
P「やっぱり大人なら大人の扱いをしないと乃々にも失礼…」
乃々「…あ、あの!」
P「?」
乃々「その…ちょっとだけなら…乱暴にしないなら…」
P「なにがだ?」
乃々「だ、だから…プロデューサーさんが撫でてくれたり…そういうの…」
乃々「す、少しなら…我慢します…」
P「いや、我慢しますって…別にイヤやならイヤって素直に…」
乃々「い、イヤじゃありませんから!」
P「の、乃々…」
乃々「そ、そんなには…ですけど…イヤじゃない…です」
P「そ、そうか…わかったよ…」
乃々「…はい」
P「……」
乃々「……」
乃々「…あ、あれ?」
P「どうした?」
乃々「あの…これで終わり…ですか」
P「終わりって?」
乃々「…も、もう…撫でたりとか…しないんですか?」
P「えっ、いやそれは…」
乃々「そ、そうですよね…もりくぼの頭なんて…撫でても…楽しくないでしょうし…あの、すみません…」
P「ちがうちがう!なんでそうなるんだ!そんなに落ち込むなよ」
乃々「えっ…じゃあ?」
P「乃々がイヤじゃないっていうのなら…まあ、撫でるくらいは…」
乃々「そ、そうですか…それじゃ、お願いします…」
P「お、おう…」
ナデナデ…
乃々「んっ…」
P「す、すまん…痛かったか?」
乃々「…いえ、大丈夫です」
乃々「…プロデューサーさんの手…安心します」
P「乃々「…乃々」
乃々「プロデューサーさん…」
ガシッ!
「ちょっといいかな?」
P「えっ?はい?俺です…かっ!?」
「そう君だよ、私は向こうの交番に努めているんだが」
P「は、はぁ…」
警察「ちょうどパトロールで通りかかったら君がその女性の顔や頭に触ったりしてるのを見かけたんだ」
P「そ、そうですか…」
警察「見たところそちらの女性は涙目になっているし、何かあったのかなと思ってね…」
P「えっ…?」
乃々「あ、あの…おまわりさん…」
警察「大丈夫ですよお嬢さん、さあ詳しい話は交番で聞かせてもらおうか、こっちだ」
P「い、いえ違います!誤解なんです!誤解ですって!」
乃々「ひぃぃぃぃ!おまわりさん、その人の言ってることは本当ですからぁぁぁ…」
テクテク…
P「あー、ひどい目にあった…」
乃々「ご、ゴメンなさい…もりくぼのせいで…」
P「気にするなよ、誤解もとけたし…」
乃々「は、はい‥」
P「でも、やっぱり撫でるのはやめた方がよさそうだな…」
乃々「そ、そうですか…」
P「だからそんな泣きそうな顔をするなよ…」
乃々「でも…」
P「あれだよ、人前でやるのはやめた方がいいってことだ」
乃々「えっ…じゃあ、その…二人だけの時なら…?」
P「その言い方も誤解を生みそうだけど…まあ、二人の時なら…なっ?」
乃々「…はい、ふ、ふふ…」
P「あ、そういえば乃々、そろそろ事務所に着くけど、さっき言ってた俺に話したい事ってなんなんだ?」
乃々「あぅ…えっと…」
P「なんだよ?言いにくい事なのか?」
乃々「あの…その…これ!」
P「これは…」
乃々「…絵本です…もりくぼが書いた…」
P「おー!前に言ってたやつか!ついにできたんだな!」
乃々「は、はい…なんとか…」
P「へぇー、ありがとう、じっくり読ませてもらうよ」
乃々「え、えっと…感想とか…もらえると…嬉しい、かも…」
P「わかったよ、どれどれ…」ペラッ
乃々「こ、ここでは読まないで!事務所に入ってから読んでくださいぃぃぃ…!」
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乃々「……」カリカリ…
「森久保さん、相変わらず真面目に勉強してるな」
「さすが森久保さんだよなぁ」
「クールで物静かな美人かぁ…あー、カッコいい…」
乃々「……」チラッ
「おい、森久保さんこっち見てるぞ!」
「やべっ、うるさくしすぎたか…」
「静かにしてようぜ…森久保さんの邪魔しちゃ悪いし…」
乃々(またやってる…)
乃々(私、クールに見えるのかな…?)
ブー ブー…
乃々(あっ、プロデューサーさんからだ…)
P
絵本読んだぞ!
P
乃々らしくてとってもよかった!
乃々「プロデューサーさん…」
乃々(気に入ってもらえたんだ…)
乃々「…ふふっ」
「あっ、見ろよ森久保さん笑ってる」
「本当だ、いつも無表情だけど…笑うとあんなに可愛いのか…」
「やべえよ、可愛すぎんだろ…俺ファンになっちゃうかも…」
P
ところでなんだけど
乃々「…んっ?」
P
あんないい絵本を俺だけが読むなんてもったいないと思うんだ
P
だからさ いっそのこときちんと製本して商品化してみないか?
P
乃々は昔から絵本作家に憧れてたしちょうどいいだろ?
乃々「っ!!?」ガタンッ!
「おっ、なんだ?急に森久保さんが椅子から転げ落ちたぞ?」
「どうしたんだろ、めっちゃ慌ててる…」
乃々
冗談ですよね?
P
冗談じゃないよ 本当にいい本だ
乃々
無理です あんなの売れないです
P
いいや ティンと来た あれは売れる
乃々
むぅーりぃー!
P
大丈夫だ!俺に任せとけ!じゃあ詳細が決まったら連絡するよ
乃々(な、なんでこんなことに…)
乃々(プロデューサーさん、いっつも強引…)
乃々(でも万が一売れちゃったりしたら…)
乃々(私も…絵本作家に…?)
乃々(…でも、そんなのありえない…よね?)
乃々「はぁ…」グデー
「ど、どうしたんだ?急に机に突っ伏したけど…」
「うーん、わからん」
「美人は謎が多いなぁ…」
「でも、クールな森久保さんもあんな顔するのか」
「だな、あんな一面もあるなんて、俺ますます森久保さんのファンになりそうだよ!」
「なあ、どうせなら俺たちでファンクラブ立ち上げてみないか?」
「それいいな!そうしよう!」
後に発売された森久保乃々の絵本は
乃々自身の予想とは裏腹に異例の大ヒットを記録し
その後も本人の意思に反して二作目、三作目と冊数を重ねていくことになる
乃々は複雑な心境だったものの、絵本作家になるという夢が叶ったことと
「よかったな乃々!みんなお前の絵本は最高だって言ってるぞ!」
と自分の事のように喜ぶプロデューサーを見ていると何も言えなくなってしまうのでした
そして同時期に大学において結成された森久保乃々ファンクラブ
もとい『森久保さんを見守る会』の活動が
ますます大学内における乃々の「クールで無口な美女」のイメージに拍車をかけることになるのだがそれはまた別の話…
おわり
駄文失礼しました~
何気に乃々をメインで書くのは初めてでした
成長したら間違いなく美人になると思いますが
口下手でネガティブなのはあんまり変わってなさそうなイメージです
ではまた~
なお、今回のSSはツイッターで見かけたこちらの絵をモチーフにしています
作者様から許可を得ましたので転載します
ロングの森久保好き!
http://i.imgur.com/flYwIbv.jpg
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