シリアス
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ほむら(幾度と無く同じ時間軸を繰り返してきた)
ほむら(何度救おうとしても、結局まどかは魔女になってしまう)
ほむら(諦めなければあなたを救える、そう思っていた)
ほむら(だけど、私は…あなたを救えるまで、諦めずにいられるかな?)
ほむら「…」
和子「じゃ、入ってらっしゃい、暁美さん」
ほむら「…はい」
ほむら(…ごめん、私はもう、分からない)
まどか「バナナ持ってる?暁美さん!」
ほむら「は?」
和子「ちょちょちょ…鹿目さん…今HRだから…」
まどか「バナナ持ってるなら嬉しいなぁって!くれるならもっともっと嬉しいなぁって!」
ほむら「い、いえ…持ってないわ…」
ほむら(…バナナ…?この時間軸のまどかはバナナが好きなの…?)
さやか「はいまどかー、離れましょうねー」
まどか「あっ、ちょ…!う、奪わないで…!私からバナナを奪わないでぇ!!」
さやか「奪ってない奪ってない」
ほむら「…」
ほむら「…あ、その…えと…」
まどか「…~!」モゴモゴ
ほむら「…」
ほむら「…」カチッ
ほむら「…バナナ…食べる…?」スッ
まどか「…」
まどか「…!」
まどか「…」パァァァァァァァ
さやか「いやぁ…よく持ってたねぇ…」
ほむら「…あ、その…私もバナナを常備してるから…」
さやか「へー、私が知らないだけでバナナって人気なんだ?」
まどか「バナナうめぇ!うめぇ!」
ほむら「…いや…そんな事は…」
ほむら(…何故かしら…このアホっぽいまどか…)
ほむら(何故だか不思議と助ける気持ちが薄れ…)ハッ!
ほむら(なななな、何を言ってるの…!暁美ほむら…!)
ほむら(諦めずにいられるかなとは言ったけれどこんな諦め方は論外よ!)
ほむら「ま、まどかっ!」
まどか「?」
ほむら「保健室に…!行きましょ…!」
まどか「…」
まどか(ほむらちゃんはバナナを持ってた→私にバナナをくれる→保健室には大量のバナナ)
まどか「行くっ!!」
ほむら「っし!」
さやか「うーん、転校生もなかなか難儀なんじゃない?」
仁美「そうかもしれませんね」
カツーンカツーン
ほむら「…」
まどか「…?暁美さん、バナナはどこ?」
ほむら(…バナナ…?)
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「ほむらちゃん、バナナは?」
ほむら「…そんなものは無いわ…」
ほむら「…それよりも…」
ほむら(…)
ほむら「…ねぇ、まどか…あなたは自分の周りの人が大切?友達や家族を大切にしてる?」
ほむら「…もしそうなら、今と違う自分になろうだなんて思わないことよ」
ほむら「その安易な選択は、必ず貴方を破滅へ」
ほむら「居ないし!!!」
ほむら「まどか居ないし!!!」
ほむら(…あぁぁ~!もう!どうして今回のまどかはここまで制御不能なの!)
ほむら(…何とか…!何とか魔法少女の危険性を分からせないといけないのに!)
ほむら(…どこに行ったの!?…いえ、そう遠くへは行ってないはず!)
ほむら(…見つけるわ…!先にインキュベーターに接触されたら溜まったもんじゃない…!)
まどか「…」
マミ「…」
マミ「あ、あの…な、何かしら…?」
まどか「絶対バナナ持ってますよね?」
マミ「…ば、バナナ…?」
まどか「どこに隠したァー!?」モミモミモミ
マミ「ひぁーーっ!?」
まどか「ここか!?ここにバナナを隠したのか!?」
マミ「ちょ!もう…やん…!こんな所に何も隠さないわよぉ…!」
まどか「嘘だ!そんな黄色い人がバナナを持ってない訳がゴフゥッ!!」
さやか「いやー、すいませんねうちのアホが、あはは」
さやか「ほら行くぞまどかー」
まどか「待ってさやかちゃん!絶対あの人なにか隠してるよ!だってあのおっぱいだよ!」
マミ「ちょ…!」カァァァァァ
まどか「見せてみろー!その中に隠したバナナを!」
さやか「あのねぇまどか…そもそもバナナ以前に人にはなんだって隠し事があんの」
さやか「そんな人の隠し事を暴こうだなんて無粋だと思わない?」
まどか「思わない!」
さやか「だよねー」
マミ「…」
マミ『…魔女に操られてる訳じゃないのよね?』
QB『そうだね、彼女は至って普通だよ、いやごめん、普通ではないね』
QB『究極にアホっぽいけれど、操られてはいないんじゃないかな』
マミ『ならいいわ…魔女と関わりがないなら…』
QB『うーん…どうもそういう訳でもないみたいだよ』
マミ『え?』
ピョコ
QB「やあ君たち、僕の姿が見えるかい?」
さやか「…ひっ…!?猫が喋った…!?」
まどか「かっけぇーーー!!!」
QB『ほらね』
マミ『…!この子達…素質が…!』
QB『僕の目に狂いはなかったみたいだ、彼女達が望むかどうかは別として、素質があるっていうことは頭に入れててもいいんじゃないかギュッブェ』
まどか「すげぇーーーーー!!!」ブンブン
さやか「ちょ!まどか!死ぬ!絶対死ぬから!」
まどか「だって喋る猫だよさやかちゃん!?」
まどか「こんなの絶対引っ張りだこだよ!この子さえいれば私はバナナが食べ放題!」
さやか「そのあんたにとって金のなる木を殺しちゃいそうになってるんだってば!」
QB『…』
マミ「ちょちょ!あなた達!やめなさい!」
まどか「何だー!?バナナ隠しおっぱい!」
マミ「…ちょ…!もう…!」
マミ「…色々話があるのだけれど、とりあえず場所を移動しないかしら…!」ヒソヒソ
さやか「あ、分かりました」ガスッ!
まどか「」
さやか「屋上でいいですか?」
マミ「…は、はい…」ビクビク
まどか「話とやらを聞こうか!」
さやか(うるさいなぁ…)
マミ「ま、まず…私のことを話さなくちゃいけないわね…」
さやか「あの…ちょ、いいんですよ?こいつのノリに付き合わなくても」
マミ「…いえ、そういう事でもないの」
マミ「…」バシュッ
さやか「…!?」
さやか(早着替え…!?いや、違う、これはどう見ても変身…!)
マミ「ご覧の通り…私は魔法少女なの…」
さやか「ま、魔法少女って…あの?」
マミ「どんな想像をしてるかは分からないけれど、多分そのイメージであってるでしょうね」
QB「そして僕が、君たちの祈りを力に変える存在さ、QBって呼んでよ!」
さやか「祈りを…力に…?」
マミ「…」コクッ
マミ「QBは、私たちの願いを何でも一つ叶えてくれる」
マミ「ただし、契約をしたらその願いの対価として魔女を倒さなければいけない」
マミ「そういう使命を背負うの」
さやか「…願い…何でも…?」
マミ「…ええ…」
さやか「…ど、どうして私たち何ですか…?そ、その…正直言うと私達って言うほどそういうのの素質が無いんじゃないかと…」
マミ「…いいえ」
QB「僕が見えること、それが素質の証明だよ」
QB「と言っても、君のいう素質と僕のいう素質が同じものを指してる訳じゃない」
QB「志という意味での素質ならマミにでも教わって欲しい、僕がいう素質っていうのは」
QB「前提、君らが魔法少女になれるほどの因果を背負っているかどうかさ」
さやか「…因果…」
QB「かの有名なジャンヌダルクも魔法少女さ、彼女の素質、背負い込んだ因果の量はとてつもないものだった」
さやか「ま、まさか…そんな歴史上の有名人と私達が同じなわけ…」
QB「ま、そうだね、君も素質を持っているけど精精並程度」
さやか(なんかムカつく)
QB「でも、そこの彼女は…彼女は…?」
まどか「か、か、か…」
まどか「かっけぇーーー!!!!!!」
マミ「きゃあ!」
まどか「どうやったんですか!?どうやって変身したんですか!?うおおおお!!!教えろー!!!」モミモミモミ
マミ「もう、やぁ!止めてったら…!」
さやか「…」
QB「…」
さやか「で?」
QB「何故だかわからないけれど…いや、本当の本当に何故だか分からないけれど」
QB「彼女はとてつもない素質を持っている」
さやか(確かに分からん)
QB「魔法少女の素質は背負い込んだ因果の量に比例する、それは僕らの研究でわかっている事だけれど」
まどか「ひゃはぁああああああー!!!」モミモミモミ
QB「…まぁ、うん…」
QB「僕らの研究が間違っていたんだろうね」
さやか「こんなアホが何で…」
QB「まぁ、そういう訳で君たちは何でも一つ願いを叶えるチャンスを得た訳だ」
QB「もちろん強制はしないよ、今日日君らの年代の少女が面倒事を抱えてまで叶えたい願いが存在しないことは知ってる」
さやか「…」
QB「叶えたい子は大体二つ返事、そうじゃない君らはそこまで困っていない、そうだろう?」
さやか「…私は…」
マミ「…!QB!」
QB「…」
さやか「な、何…?」
QB「…彼女は…鹿目まどかとは全く違った意味での、イレギュラーだ」
ほむら「…はぁ…はぁ…!」
バァン!!!
ほむら「決死の思いでここへ来て…!あなたを助けるために繰り返
したのに…!」ブツブツ
ほむら「またあなたに会えて嬉しいのに…!あなたはとんでもないアホで…!」ブツブツ
ほむら「警告しようと思ったら…!あなたはどっかへ行っちゃうし…!」ブツブツ
ほむら「やっと見つけたと思ったら!先手打たれてるしいいいいい!!!」
さやか「て、転校生!」
ほむら「まどかぁ!!!」
まどか「バナナくれるの!?」
ほむら「きいいいいいいーーーーーっ!!!!!」ワシャワシャ
マミ「…」
マミ「…い、イレギュラーと言うより、被害者ね…」
さやか(何だろ、転校生と私がダブル)
ほむら「…はぁ…はぁ…」
さやか「落ち着いた?」
ほむら「…ええ、お陰様で」
マミ「…」
ほむら「仲良くお話しようって、感じじゃないわね」
さやか「え?え?むしろそういう感じだったんだけど」
ほむら「…契約した覚えのない魔法少女、QBからはそう聞いてるのかしら?」
マミ「そうね、確かにそう聞いてるわ」
ほむら「…」ジロッ
QB「…」
マミ(並々ならぬ敵意…やっぱり彼女は危険人物…!)
ほむら「…はい」
まどか「…!?バナナだぁーーーー!!!」
ほむら「…取り敢えず、魔法少女だけで話がしたいわ」
ほむら「言ってる意味、分かるわよね?」
QB「やれやれ」
QB「邪魔者はお暇するよ、マミ…」
マミ『分かってるわ、少しでも危険だと思ったら教えるから応援をお願いね』
ほむら「…」
ほむら「さて…どこから話したものかしら…」
マミ「大体は私の口から伝えたわ、魔法少女の事、願いのこと、使命のこと」
ほむら「…」
マミ「…正直に言わせてもらうと、これはもう私たちが口を出すべき問題じゃない」
マミ「彼女達に本当に叶えたい願いがあるのなら、私たちがどう言ったところで止まらない、それはあなたも十分分かっていることでしょう?」
ほむら「…」
今でもそれが自慢なの
ほむら「…ええ、そうね」
マミ「…だから…」
ほむら「…けれど、あなたはその願いがアホみたいな願いだった時、見過ごせる?黙っていられる?」
マミ「…他人の願いにアホも何も無いわ、何を言い出すの?」
ほむら「まどか、何でも一つ願いを叶えるわ」
まどか「ふぇ!?いっひょうふんのはなながほひい!」モグモグ
マミ「ダメに決まってるでしょ!」
マミ「…あ」
ほむら「ね?」
マミ「…」
さやか(何だろう、幼馴染としてものすごく申し訳ない)
ほむら「彼女はともかく、まどかは魔法少女になってはいけない人間だわ」
マミ「あなたの言わんとしてることは分かるわ、でも「魔法少女になってはいけない人間」と断ずる理由がそれって、少し弱くないかしら?」
マミ「…他にもまだ、言ってないことがあるのかしら?」
ほむら(…一筋縄じゃ行かない…か)
マミ「でも、あなたの言うことも確かに一理ある」
マミ「…えーと、鹿目さん?だけじゃなく…えーと…」
さやか「さやかです、美樹さやか」
マミ「…美樹さんにも、ぜひ知っておいてほしいの、魔法少女になるってどういう事なのか」
マミ「魔女になるってどういう事なのか」
マミ「それを知った上で、魔法少女になるのなら、私は大歓迎よ」ニコッ
ほむら「…」
マミ「今日の放課後、魔女狩りに行きましょうか」
ほむら「何を…!生身の人間を結界へなんて…!」
マミ「もちろん後衛が必要よね、まさか来れないなんていうつもりじゃないわよね?」
マミ「後ろめたいことがないなら当然…」
ほむら「…くっ…分かったわ」
ほむら(ここで彼女達に不信感を植え付けるのは得策じゃない…仕方が無いわね…)
ほむら「彼女はともかく、まどかは魔法少女になってはいけない人間だわ」
マミ「あなたの言わんとしてることは分かるわ、でも「魔法少女になってはいけない人間」と断ずる理由がそれって、少し弱くないかしら?」
マミ「…他にもまだ、言ってないことがあるのかしら?」
ほむら(…一筋縄じゃ行かない…か)
マミ「でも、あなたの言うことも確かに一理ある」
マミ「…えーと、鹿目さん?だけじゃなく…えーと…」
さやか「さやかです、美樹さやか」
マミ「…美樹さんにも、ぜひ知っておいてほしいの、魔法少女になるってどういう事なのか」
マミ「魔女を狩るってどういう事なのか」
マミ「それを知った上で、魔法少女になるのなら、私は大歓迎よ」ニコッ
ほむら「…」
マミ「今日の放課後、魔女狩りに行きましょうか」
ほむら「何を…!生身の人間を結界へなんて…!」
マミ「もちろん後衛が必要よね、まさか来れないなんていうつもりじゃないわよね?」
マミ「後ろめたいことがないなら当然…」
ほむら「…くっ…分かったわ」
ほむら(ここで彼女達に不信感を植え付けるのは得策じゃない…仕方が無いわね…)
放課後
さやか「…」
まどか「バナナうめぇーーーー!!」
さやか「ね、転校生」
ほむら「…」
ほむら「どうしたの?早く帰って準備をしなさい」
さやか「人のために願うって、どう思う?」
ほむら「…!」
さやか「…」
ほむら「オススメは、しないわ」
さやか「…」
ほむら「人のために願ったところで、その願いが本当にその人のためになるとは限らない」
ほむら「私の知り合いに言わせると、人のために願うのはバカのやることだ、よ」
さやか「それは、あんたも?」
ほむら「…」
ほむら「私は…」
ほむら(私はまだ、結果すら出ていない)
さやか「…ねぇ…!私…!」
ほむら「…別にいいのよ、それが本当に何一つ混じり気なくその人の為を思ってならば」
ほむら「だけど、あなたは言いきれる?純粋にその人のための願いだって」
ほむら「欲はない?その人のためになることをして好意を持たれようとは思っていない?」
ほむら「…そんな願いを叶えて、身を滅ぼした人を私は嫌というほど見てきたわ」
さやか「…それって…」
ほむら「あなたは…その願いが本当に…その人のためだと…」
ガラッ
恭介「あれ?まださやか帰りじゃないの?」
さやか「あーもう、ちょっと今大事な話してんの!」
恭介「あはは、ごめんごめん、これ今度のチケットだよ」
さやか「…サンキュ」
恭介「是非鹿目さんにも来て欲しいけど、さやかが許さないんでしょ?」
さやか「こいつが来たら無茶苦茶になるからね」
恭介「あはは、さやかも大変だ、じゃまた明日」
さやか「…ん」
さやか「…あ、それで何の話だったっけ?」
ほむら「…」
ほむら「…?…??……????」
ほむら「…え?嫌だから…他人のために願うって言うのは…?あれ…?」
さやか「…あ、そうだった」
さやか「…ううん、私はそんなこと考えちゃいないよ」
さやか「…私は、大切な人のために願いたい」
さやか「…きっとね、あいつはそんな願い思いつきすらしないと思うんだ」
さやか「QB…だっけ?あいつの口ぶりから察するに、本当の願いじゃないと契約は成立しない、そうでしょ?」
さやか「だから無理やり願わせても、意味が無いと思うんだ」
さやか「…だから、私が願うしかない」
さやか「…私は、まどかのアホを治したい!」
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「…」ザバァ
さやか「うわっ!?」
ほむら「…ざやがぁ~…!!!」ギュウウウウッ!!!
さやか「ぐへっ…!苦し…!」
ほむら「ぞんあごおをああたががんがえていあなんてぇ~…!」
さやか「お、落ち着けってば!転校生!」
ほむら「…」ズビッ
さやか「な、泣くほど…?」
ほむら「…」ズビッ
ほむら「…いえ、今までの人達は皆他人のために願おうとしなかったから、感動して」
さやか(ええ…?むしろ転校生の口ぶりから察するにそんな人間の破滅を見てきたって感じだったんだけれど…)
ほむら「…でも、ありがとう、気持ちだけで十分よ」
ほむら「あなたは、真っ直ぐね、痛いほどに」
さやか「何で転校生が礼を言うのさ…それにそれって褒めてるの?」
ほむら「ふふ、褒めてるわ」
さやか(マミさんと話してる時、ヤバイやつかと思ったけれど、何だ…年相応なところもあるんじゃん…)
ほむら「…それで、どうする?…行くのかしら?」
さやか「うん、とりあえず行こうかな」
さやか「まどかのお守りお願いね、「ほむら」」
ほむら「…!」
ほむら「…ええ、任せて」
ほむら「代わって」
さやか「さっきの任せてはどこに行ったんだよー」
まどか「バナナが切れたァ…!ほむらちゃん…次の…次のバナナを…!!」
ほむら「…辛い…!」
さやか「滅茶苦茶心の底からの声じゃん!」
ほむら「だってこのまどかアホなんですもの!」
マミ「おふざけはそこまで、見て」
ほむら(…あれは…)
さやか「自殺!?」
マミ「…原因の明らかでない自殺や事件は、大抵が魔女によるものなの」
フッ
さやか「わっ!?」
マミ「…っと」ボスッ
マミ「…これを見て…」
さやか「…これって…?」
マミ「魔女の口付け…魔女に標的にされた印みたいなものね、この印をつけられると、付けられた人は正常な判断が出来なくなるわ」
さやか「…」ゴクリ
マミ「…ここに自殺者がいるってことは…どこかに…」
ほむら「…あったわ、マミ」
ズグズグ
さやか「…!」
さやか(…なんつーおぞましくどす黒い…!これが魔女…!?)
マミ「…グリーフシード…これに触れると魔女の結界に入り込めるわ」
マミ「覚悟があるなら来て、もちろん彼女と私であなた達を全力で守るわ」
さやか「…」
ほむら「…」コクッ
さやか「…ええ、行きます」
まどか「行ってらっしゃーい」
さやか「あんたも行くのよ!」
まどか「えー…?バナナある…?」
ほむら「…」ポイ
まどか「うわぁーーー!!バナナが吸い込ま」ギュルルルルル
ほむら「さ、私たちも行きましょう」
マミ(慣れてる)
さやか(慣れてる)
さやか「…うわっと…」
さやか「ここが魔女の結界か…なんつーか随分の物々しい雰囲気だね…」
まどか「うわぁーーー!!!お菓子あるお菓子!バナナは!?バナナは!?」
ほむら「私につかず離れずくっついてたらバナナ五本あげるわよ」
まどか「…ほむらちゃん!」ヒシィ!!
ほむら「さ、行きましょう」
マミ「…着いたわ」
さやか「…」
ほむら「ここに、魔女がいるのね」
まどか「…」グーグー
マミ「美樹さん、見ておいて、あなたは一つ願いを叶えることが出来る、でも願いはこの戦いの対価にふさわしいものなのかを」ダッ
さやか(まどかをついに省略した、賢い)
マミ「…先手…!必勝!すぐに片付けさせてもらうわよ!」ガァン!!
ほむら「…」
さやか「…なんか…さっきまでも使い魔?ってやつとの戦いを見てたけどさ…凄いね、マミさんって」
さやか「ほむらもあれくらい動けるの?」
ほむら「…まぁ、魔法少女になれば、あれくらいは…でも彼女は特別」
ほむら「彼女は、私が知る限りでは最強の魔法少女だから」
さやか「…?へえ…」
ほむら(…そう、彼女はかなり強い部類…)
ほむら(…あれ?じゃあなんで彼女は死んだんだっけ…?)
ほむら(…!!!!しまった…!まどかに釣られてすっかり…!!!)
マミ「…ふぅ…」
ほむら「マミっ!!!!!まだよっ!!!!」
マミ「…え?」
ギュルルルルルル!!!
さやか「…ひっ…!!」
まどか「…っ!」
ほむら「マミっ!」ダッ!
マミ「…」
マミ「…あ、あれ…?」
「あのさぁ、あんたってこんなに弱かったっけ?」
「何があったか知んないけどさ、油断して死んじまうくらいなら魔法少女辞めちまいなよ」
「なぁ、マミ」
マミ「…さ、佐倉さん…?」
杏子「…」
杏子「そっちのお前もだよ、見殺しにするつもりだったのか?えぇ?」
ほむら「違っ…!」
魔女「キャアアアアアアア!!」
杏子「うるっ…さいっての!!」ガガガガガガァン!!!
魔女「アァ…!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…!」
杏子「…ったく」
杏子「馬鹿な魔法少女志望はよく見とけよ、魔法少女になるってこういう事だぜ?」チャキッ
マミ「…っ…」
ギュウウウウ
ほむら(結界が…)
さやか「…何…あいつ…?」
ほむら「…」
ほむら(…佐倉杏子…!でも…何で…?)
杏子「…」
マミ「…っ」
さやか「…な、何であいつマミさんに刃を向けてるの…!?」
まどか「…ほむらちゃん…」
ほむら「…バナナは少し待って」
杏子「あぁ…なんだよマミ、教えてやらなかったんだな」
杏子「ならあたしが教えてやるよ」
杏子「他人の縄張りを食い荒らす魔法少女も存在するってな…!」チャキッ
ほむら「…待って」
杏子「あん?お前に用はねぇんだけど…まぁ、喧嘩するなら相手になってやるぜ」
ほむら「…2対1で勝てると思ってるの?」
杏子「こっちのセリフだな、腑抜けたバカと荷物二つ抱えた魔法少女、どっちがつええか試してみるか?」
ほむら「…っ…!」
杏子「と、思ったんだが」
杏子「まぁ手の内が分からねぇ奴は相手取りたくねぇ」
杏子「ここは引いてやるよ」
さやか「…」ホッ
まどか「…」
マミ「佐倉さん…あなた…」
ほむら「…」
ほむら(佐倉杏子が介入してくるにはあまりにも早すぎる…)
ほむら「…」チラッ
まどか「…怖いよぉ…私を守ってバナナ…」ギュッ
ほむら(…いえ、今更イレギュラーな展開なんて考えるまでもない…問題はこれをチャンスと捉えるか…よね)
ほむら「…佐倉さん」
杏子「やだね」
ほむら「…んなっ…」
杏子「おいおい勘弁してくれよ、まさか同じ魔法少女だからって馴れ合おうだなんて考えてんのか?」
杏子「そんなのあたしはゴメンだね」タッ
ほむら「…」
さやか「…何なのあいつ…!」
まどか「…マミさんバナナ食べますか…?」
マミ「…ありがとう…」モソモソ
ほむら「…伝えてなかったけれど、魔法少女は魔力を消費する度にソウルジェムが少し濁る」スッ
さやか「そう?見えないけど」
ほむら「まぁ私はさっき魔力をほとんど消費してないから…」
ほむら「…ソウルジェムが濁りきると……魔法が使えなくなるわ…」
ほむら「それは魔法少女にとって致命的、だから魔女を倒した私達には見返りがあるの、それがグリーフシード」
さやか「それがソウルジェムを綺麗にしてくれるっての?…じゃあ…」
ほむら「ええ、彼女はある意味正しい魔法少女、どんな手を使ってでもソウルジェムを手に入れようとする」
さやか「悪いやつなんだね…あいつ…」
ほむら「…」
さやか「…」
さやか「…ところでさ、あの2人何してんの?」ヒソヒソ
ほむら「さぁ…」
まどか「ほらぁーー!!!飛べ飛べ!!バナナはもうすぐそこだぞ!」
マミ「はっ、はいっ!!!」
マミ「…くぅ…!魔法少女としてかっこいいところを見せられなかった挙句二人を危険に晒してしまうなんて…!」
まどか「まだまだぁー!そのおっぱいは飾りかぁー!?」
マミ「飾りじゃありません!」ピョンピョン
ほむら「…」
さやか「…」
ほむら「どうする?」
さやか「どうするって?」
ほむら「意図した結果ではなかったけれど、それでも伝わったと思うわ、魔法少女がどういうものなのか」
ほむら「笑顔で魔法を使えば倒せるものって訳では無い、常に死と隣り合わせ、それは十分にわかったでしょ?」
さやか「…ん」
さやか「…少し、時間が欲しいな」
ほむら「…」
ほむら「…無理しなくていいのよ、その気持ちだけで私は十分に嬉しいわ」
ほむら「…」
さやか「…ほむら…」
ほむら「…ふふ」
ほむら(…)
ほむら(何を…)
ほむら(今まで散々、自分の願いのために人の気持ちを踏みにじってきたくせに)
まどか「バナナ~、バナナは要らんかね~」
さやか「あんたがバナナを手放す日が来るなんてね、こりゃあ槍が降るかな」
まどか「あははははは!!!さやかちゃん、槍は降らないから!!!」
さやか「分かっとるわ」
まどか「あとバナナもあげないよ!」
さやか「五秒前の自分を思い返してみろ」
まどか「バナナうめぇ…」
さやか「…はぁ」
さやか(結局のところ、決めきれずにいる)
さやか(この願いが人のためになるのか、ううん、違う)
さやか(結局のところ、秤にかけているんだ、私の人生を差し出してまでこいつを助けたいのかどうか)
まどか「バナナうめぇ…!!」
さやか「…」
まどか「…うめぇ、けど…」
まどか「…みんなで食べたほうが、もっと美味しい…!!」ググググッ!!!
さやか「…!」
さやか「ホントどうしたの?風邪でも…」
まどか「昨日の、赤い女の子を見て思ったんだ」
まどか「…争うのって、嫌だなぁって」
まどか「喧嘩するって嫌だなぁって」
さやか「…」
まどか「バナナはうめぇ!…だから…皆で食べたら、もっと美味しいんだよ」
さやか「…あんた」
まどか「嫌だな、私は」
まどか「皆仲良くがいいな…」
さやか「…」
さやか(…そういや、あれからほむらも学校に来ていない)
さやか(マミさんは…まぁいつも通りとして…あの…佐倉…?ってやつ)
さやか(…どうにも嫌な予感しかしないな)
まどか「だから私は!皆でバナナ食べるんだぜぇーー!!!」ガツガツガツ
さやか「結局食べてるじゃん」
さやか「…でもまぁ」クスクス
さやか(そうだよね、あんたは結局そういう奴なんだ)
さやか「頼もーーー!!!」
杏子「…」
さやか「…」
杏子「なんだよ、誰かと思ったらこの間のお荷物じゃねえか」
杏子「遂に覚悟が決まったってか?んならお望み通り縄張り争いと行こうか?」
さやか「…和解しに来た」
杏子「…あ?」
さやか「…別に、仲良くしようってわけじゃない、あんたにそのつもりがないのは分かってる」
さやか「…だからせめて喧嘩にならないように…」
杏子「…ははぁ、釘を指しておこうってか」
杏子「あんたも馬鹿だね、マミはそんなことも教えちゃくれないのか」ヒュッ
さやか「っ…!」
杏子「喧嘩じゃねえよ、殺し合いだ」
さやか「…」
杏子「あたしの居場所を喋ったのは誰だ?マミしかいねぇよな?」
杏子「へぇ、単身乗り込ませるってことは相当お前のことを買ってるってわけだ」
さやか「ち、違う!私はまだ魔法少女じゃない!」
杏子「まだ?じゃあやっぱり殺して正解じゃねえか」
さやか「…」
杏子「…」
杏子「…あのさあ」スッ
杏子「何があったか知んないけど、下らない正義感に踊らされてるんならやめときな」
杏子「…中途半端な覚悟で首突っ込むことじゃねえんだよ」
杏子「そんなもん振りかざして死んじまったら元も子も…」
さやか「…違うよ」
杏子「…?」
さやか「これは、正義感なんて綺麗なものじゃない」
さやか「…これは」
さやか「…単なる、あいつの願いだ」
杏子「…へえ」
杏子「気になるね、他人の事情に首突っ込むことが願いってやつのバカを」
さやか「…バカじゃない」
杏子「バカだろ、他人なんてほっときゃいいんだ」
杏子「お前達みたいな奴らが人のために願うんだろうが」
杏子「魔法少女はやむにやまれぬ事情を持つものだけにふさわしい、当たり前のことさ」
杏子「そんな事情なんてないくせに、平和ボケした毎日を生きてるくせに、ただみんな仲良くだァ?」
杏子「ンなこと考えてるやつがバカじゃねぇわけねぇだろうがっ!」
さやか「アホだ!!!」
杏子「…」
さやか「…」
杏子「…は?」
さやか「…」
さやか「…あいつは、アホなんだよ」
さやか「誰よりアホで、それはもう究極的にアホで、きっと他人の気持ち一つ察して挙げられやしない」
さやか「どうしようもないアホだ」
杏子「…何を…」
さやか「それでも、あいつは優しいから!分かってるんだ!」
さやか「人の気持ちなんて察せられないアホでも、やるべき事がわかってるんだよ!」
さやか「アホだからこそ!誰より分かってる!」
さやか「痛いのが辛いことが!死が怖いことが!」
杏子「…せぇ…うるっせぇ!!」
さやか「…喧嘩するのが、苦しいってことが!!!」バキッ
杏子「…」
さやか「…」
さやか「私もアホになっちゃった、みたいだね」
杏子「…そうだな、これは、宣戦布告って捉えていいんだな?」
さやか「…どうとでも、捉えてよ」
さやか「…あいつはアホすぎて自分の考えを伝えられないから」
さやか「だから、私が代弁するんだ」
さやか「…それで私はいいんだ…それが、私があの子にしてあげたいことだから」
杏子「…そいつのことは知らねーが…」
杏子「お前随分とまぁ、アホだぜ」
さやか「知ってるって…」
杏子「魔法少女に一般人が手ぇ出して、タダで済むとは思ってねーよな?」
杏子「へぇ、ぶん殴られるなんて久々だけど、やっぱりここまで差があるもんだ」
杏子「次は、魔力を込めた拳をお前にくれてやるよ」
さやか「…」
杏子「…」
杏子「…ふふ、あたしはお前以上のアホみたいだな」
さやか「…え?」
杏子「…下らねー、全くもって下らねー」
杏子「誰かのためだとか、喧嘩は嫌だとか」
杏子「なんだよそりゃ、どこのお人好しだよ、本当に下らねー」
杏子「…下らねー、けど…確かにあたしにもあったんだ、そういう時期が」
杏子「あったんだ、「皆仲良く」とか本気で思ってた、アホみてーな時期が」
杏子「なぁ、一つだけ聞いていいか?」
さやか「…何?」
杏子「他人のために願うことは馬鹿だと思うか?」
さやか「…思わない」
杏子「…」
さやか「大切な人のためなら、願うのは当たり前だと思うから」
さやか「大切な人が、無事にそばに居てくれるだけで、私は幸せだから」
さやか「…」
杏子「…」
さやか「…まぁ」
杏子「…?」
さやか「アホだな、とは思うけれどね」
杏子「…っぷはは!」
杏子「何だそりゃ!結局アホなんじゃねーか!あははは!」
杏子「…っはー…あははは…」
杏子「…」
杏子「たまーに食いたくなるんだよ」
さやか「…?」
杏子「知ってるか?…マミの奴、あぁ見えてケーキ作りが趣味なんだぜ?」
マミ(…後輩を危険な目に合わせたばっかりか…佐倉さんにまで遅れをとるなんて)
マミ「…幻滅、したわよね」
まどか「マミさんこのバナナケーキすげぇ上手いっす!うめぇーーーー!!」
マミ「うふふ、そう?どんどん食べて、ほら、ほらほら」
まどか「むぐぁぁぁーーー!これしき食べられずに何が魔法少女かぁーーー!!!」
マミ「…ふふ」
マミ(やけっぱちになって作り過ぎちゃったけど、食べてくれる人がいて良かったわ)
ドンドンドンドンドン
マミ「ひゃあ!?」
マミ「ちょ、何…?」
マミ「鹿目さん…外からすごい音が聞こえない…?」
まどか「バナナはうめぇ!うっひょーーーー!!!」
マミ「あぁもう!」
マミ「…」ソー
杏子「開けろコラァ……!」
マミ「ひっ!!!」
杏子「うおおおおおおお!!!イチゴタルトにマンゴーケーキ!チョコレートケーキまであるじゃねえか!」
さやか「ホントだ…うっまこれ…」
杏子「あふぁふぃふぁんへんもは!はひ!ひゃあおかわい!」
マミ「あの、えぇっと…はいお代わり…」トポトポ
杏子「んーーー!ひはひはひふっはへどひゃっひゃはひのへーひはふふぇーーーー!!!」
さやか(食い意地すっごいな…)
まどか「…!」
さやか「おい、張り合わなくていいから」
まどか「はひはん!ほほへほっほははばへーひもっへきへ!あほはぁほははひ!」
マミ「…はい」トポトポ
まどか「むぐぁぁぁーーー!!」
杏子「うおおーーーーー!!」
さやか「美味しいですねー、マミさん、私もお代わりいいですか?」
マミ「ええ、勿論」トポトポ
さやか「…ふう」
杏子「…」
まどか「…」
杏子「…やるな、お前」
まどか「…イチゴちゃんこそ」
杏子(…イチゴ?)
マミ「って言うか!佐倉さん!あなた何しに来たの!?」
杏子「何しにって、決まってんだろ」
マミ(っ…!やっぱり…この前の続)
杏子「ケーキ食いに来たんだよ、なぁさやか?」
マミ「…ケーキ!やっぱりケーキなのね!そういうことなら私だって受けて立つわ!覚悟は…!」
マミ「…ケーキ?」
さやか「遅い遅い、遅いですよマミさん、もう相当こいつケーキ食べてましたよ」
マミ「…それって…」
マミ「つまり、仲直りしに来たってこと?」
杏子「ち、ちげぇ!ケーキ食いに来たって言ってんだろ!」
さやか「嫌だからそれはつまりケーキを食べるほどの仲に戻ろうって言うことじゃ」
杏子「うるせーアホ!あたしはケーキ食いに来たんだよ!」
さやか「…っと、まぁこういう事ですよ」
マミ「…」
杏子「…別に、昔に戻ろうとか、そういう訳じゃねえよ」
杏子「…ただ、あたし以上のアホがいるって聞いてきたからな」
杏子「そいつが言うにゃ、喧嘩は嫌らしい」
マミ「…」
さやか「ちなみにアホってのはこいつ」
まどか「よろしくね!イチゴちゃん!」
杏子「イチゴちゃんってなんだよ、あたしはリンゴが好きなんだよ」
まどか「よろしくね!リンゴちゃん!」
杏子「おいこいつもしかして相当アホか?」
さやか「アホだよー、引くレベルで」
マミ「…」
杏子「だから…まぁ…」
杏子「…悪かった、意固地になっちまって」
杏子「…戻ろうなんて言わねぇよ…ただ、昔みたいに時々…ケーキ食いに来ても…良いか?」
マミ「…もちろんよ」
マミ「…当たり前でしょぉぉぉおおお…!」ザバァ
杏子「うわっ!きったね!?」
まどか「おっぱいがお漏らしした!」
マミ「うわぁぁぁぁぁああああ…!」
さやか「…」
さやか(…)
さやか(…んで、あんたはどこにいんのさ、ほむら)
さやか(あんたが望んだか、どうかは知らないけれど…)
さやか(…でもまぁ、こっちは一段落付いたところだよ)
さやか(とっとと学校に来て、またまどかを餌付けしなさいよ、ほむら)
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「…」
QB「随分とお疲れのようだね、暁美ほむら」
ほむら「…」
ほむら「あなたこそ、出番がなくて随分と暇だったみたいね」
QB「まだ軽口を叩くような余裕があるのかい?もうそんな体力すら惜しむ位のはずだけど」
ほむら「分かってるなら出ていきなさい」
QB「そうも行かないね、丁度いい機会だ、君のことについていくつか質問があるんだけれど」
ほむら「お前達なんかに話すと思ってるの?インキュベーター」
QB「…やっぱり、君は真実を知ってるみたいだ」
QB「どうしたものかな、君のことが知りたいって言うのは嘘偽りのない僕の本音だよ」
ほむら「どの口が…嘘偽りじゃなくて不都合な事実には口を閉ざすだけの話でしょうに」
QB「否定はしないよ、不利益なことについて喋らないのは君たちもやっていることだろう?」
ほむら「…」
QB「とは言ったものの、僕には君の考えがさっぱりわからない」
QB「どうして急に、そこまで濁るくらいのストレスを溜め込んでしまったんだい?」
ほむら「…」
ほむら「…まどかが、アホだから」
QB「…」
ほむら「…アホだから…周りの皆は付いていくわ、争いなく、平和に仲良くやって行けてるわ」
ほむら「…きっとこんな私でさえ、まどかは当然のように受け入れてくれる」
ほむら「でも、それは私にとって辛すぎる」
ほむら「今まで他人の気持ちを踏みにじってきたくせに、当たり前のようにあの和の中に入るのは…」
ほむら「…あの幸せは、私にとって辛すぎる…!」
QB「…随分の要領を得ないね」
QB「つまり君はこういうことを言いたいわけだ、酷い人間である自分は、幸せになる価値がないと」
QB「驚いた、と言うより不思議だね」
QB「他人の幸せを踏みにじって幸せになろうとするのが君達人類だろうに」
ほむら「…そうね」
QB「…首が随分と悪いようだ、横になった方がいい」
ほむら「…?」
QB「さっきから、ずっと首を抑えているよ」
ほむら「何のつもり?私に取り入ろうってこと?」
ほむら「…とっとと出ていくことね…!じゃないと貴重なスペアが一つ無駄になるわよ…!」
QB「やれやれ、じゃあそうさせてもらうよ」
ほむら「…」
QB(人間の負の感情はあそこまで判断力を鈍らせてしまうものなんだね)
QB(まぁ魔法少女だったとしても、当然といえば当然)
QB(なんせ魔女の口付けは、知覚されずに捕食するための道具だからね)
ほむら「…」
QB「抜け殻でも、戦い抜いた挙句の絶望でも、どちらでも僕は構わない」
QB「どちらせによ、最終的にそのエントロピーは僕らのものだから」
さやか「んでまたこうして四人で集まってケーキを食べちゃってるわけですけれど」
マミ「ひゃあ!もう!止めてったら鹿目さん!」
まどか「私にだってこれさえあれば…畜生…畜生ーーーー!!こんなむゴハァッ!!!」
さやか「はいはい、すいませんねマミさん」
杏子(こいつあたしを殴った時は本気じゃなかったんだな)
さやか「…んで、ほむらの話ですけど」
マミ「…ここ最近見てないわね…暁美さん」
さやか「どこに行っちゃったんだろ」
杏子「あたしは良くは知らねーが、そのほむら?って奴はあの時の魔法少女か?」
さやか「ん、そう」
杏子「はー、一つの街に魔法少女が三人居着くとか聞いたことねーな」
マミ「心当たりはないの?美樹さん」
さやか「無いですね…寧ろまどかがほむらのケータイ番号を勝手に自分のに登録してたんで知ってるとしたらまどかなんですけど」
まどか「ケータイ?売っちゃったよー!!バナナ欲しさに!あはははは!」
杏子「とんでもねえアホだなこいつは」
さやか「みなまで言わない」
さやか「流石に一週間も姿が見えないとなるとちょっと心配なわけで」
杏子「つってもなー、あたし自身そいつのことよく知らねぇわけだし…」
さやか「…」ジロッ
杏子「うっ…ま、まぁ協力するのは構わねーよ…」
杏子「実際どういうやつなんだよ?」
さやか「…どういう奴…?」
まどか「ほむらちゃんはねー!私にバナナをくれたすっごいいい人だよ!」
杏子「あぁ、そうだなまどか」ニコッ
マミ(佐倉さんの顔が未だかつて無いくらい菩薩の微笑みに!)
さやか「…んー、一言で言えば、ちょっと遠いやつかな」
杏子「遠い?」
さやか「…皆で話してる時に、ちょっとだけ遠くから見てるやつ、そんな感じ」
杏子「…」
マミ「…」
杏子「随分とまぁ抽象的な意見もあったもんだ、お前ら友達じゃねえのかよ」
さやか「…友達だよ…少なくとも私はそう思ってる」
さやか「…まどかも…アホだけど多分思ってる」
さやか「でもあいつは、そうは思ってないと思う」
杏子「ま、友達なら顔くらい出しに来るわな」
杏子「お前そいつの家とか知らねぇのかよ?」
さやか「それもまどかが知ってる」
杏子「まどか」
まどか「バナ…」
杏子「そうだな」
さやか「まどかに聞くのは論外か…」
マミ(鹿目さんの扱いにどんどん慣れてる佐倉さん凄い)
QB「やあ」
マミ「あら、QB、来てたの?」
QB「ちょっと近くに立ち寄ったものだったからね、そう言えば美樹さやか、鹿目まどか、願いは結局決まったのかな?」
さやか「あー…その事なんだけど…とりあえず保留」
QB「そうかい、まどかは…」
まどか「一生分のバナナが欲しい!」
QB「お安い御用さ」パァァァァ
杏子「おい何光らせてやがる、あっち行け馬鹿野郎」ブンッ
QB「きゅっぷい!何するんだい?鹿目まどかの願いを叶えようとしただけじゃないか!」
マミ「鹿目さん、一生分のバナナはないけれど、一週間に一度私のバナナケーキを食べられるって言うのはどうかしら?」
まどか「最高ォォーーー!!!」
杏子「ほんとにちょろい奴だなこいつ」
さやか「あははー…」
QB「…」
QB「ところで、君たちは暁美ほむらを探しているようだね」
杏子「出歯亀は感心しねぇなぁQB」
QB「まぁまぁ、そう言わないでおくれよ、君たちにとって有益な情報を持ってきたつもりだよ」
マミ「有益?」
QB「ずばり、暁美ほむらの居場所さ」
さやか「…!」
QB「と言っても、僕も少しばかり遅れをとった」
QB「正直に言うよ、君たちはもう彼女に合わない方がいい」
さやか「…え?」
QB「彼女のソウルジェムが呪いを生み始めている、死んでしまうのは時間の問題だ」
さやか「…あんた、何言ってんの…?」
さやか「何でそんなこと黙ってたの!?」
QB「勘違いしないでおくれよ、僕も精一杯彼女を探したさ」
杏子「…ソウルジェムが呪いを…?」
杏子「初耳だな、QB、あたしはそんなことこれっぽっちも聞いてなかったんだけどよ」
QB「そうかな?僕は再三注意していたはずだよ、グリーフシードでソウルジェムの汚れを取らないと大変なことになるってね」
杏子「…」
マミ「こ、こうしちゃいられないわ…!すぐに暁美さんを…!」
QB「助けて、どうするつもりだい?」
さやか「どうするって…!そんなの…!」
QB「彼女がこのままここに居着けば、確実に君たちの取り分が減る」
QB「そうでなくとも彼女は前にも言った通りイレギュラーだ、何を企んでいるかわかったものじゃない」
QB「それでもなお、君たちは…」
まどか「助けるよ」
さやか「…!」
まどか「だってほむらちゃんは私にバナナをくれた良い人だもん!」
QB「…」
QB「…?…??」
QB「い、意味がわからないな、まどか…その理屈は全然理にかなっていないよ…」
QB「バナナをくれたから助ける?何を言ってるんだい?気は確かかい?」
QB「彼女が君にバナナを与えたのは裏があったかもしれないとは考えないのかい?」
まどか「…?…??」
まどか「バナナをくれた優しいほむらちゃんが、苦しんでる時にそばに居てあげたいって、何か変なの?」
QB「だから…」
杏子「…っく、くく…!理屈じゃねーな、なあまどか」
さやか「じゃ、教えてもらおうかな、QB」
マミ「暁美さんは今、どこにいるのかしら?」
QB「…」
QB「…やれやれ…」
ほむら「…」ズルズル…
ほむら(…ここは…)
ほむら(…ちっ…まずったわ…魔女の…結界…!)
ほむら(…知らないうちにこんな所に迷い込んでいたなんて…!)
ほむら「…私は…まだ…死ねない…死ぬわけには行かない…」
他人の気持ちを踏みにじってきたくせに
ほむら「…うるさい」
ほむら「…そんな事…!分かってるっ…!!それでも、そうでもしないとまどかは助けられないのよ!」
ほむら「だから私は…!自分の気持ちと命を削ってまで…時間を繰り返しているんじゃない!」
「違うよ、ほむらちゃん」
ほむら「…っ…!」
「…あなたが繰り返してるのは、単なる自己満足のためでしょ?」
「…自分の気に入らない結果を、認めたくないから醜く足掻いてるんでしょ?」
「ね?」
ほむら「あぁ…!!ああああああ…!!」
ほむら「うるさい!うるさいっ!!!…うるさいっ!!」
ジワジワ
ほむら「…っ…!!!!!」
ほむら「あなたがっ!!助けてだなんて言うから!繰り返したくもない時間を何度も繰り返してるんじゃないっ!!!!!」
魔女「キャハハハハハハハーーーッ!!!!」ゲラゲラゲラゲラ
ほむら「…違…っ!私は…!私は…?」
ほむら「…私は…」
ほむら(…あぁもう、繰り返す意味なんてあるのかしら)
ほむら(どうせ繰り返したところで、まどかは救えない、私の心に傷が増えるだけ)
ほむら(それならばもういっそ、すべて諦めて)
ほむら(まどかを助けたいという私の願いさえ、私自身が諦めて)
ほむら(…そうしてしまった方が、いいんじゃないかしら)
ほむら「…もう、嫌だぁ…」
ほむら(悪夢はどんどん増える、傷はどんどん増える)
ほむら(それなのに…)
ほむら「…誰か私を…」
ほむら(彼女との思い出は、減るばかりだ)
ほむら「殺してよ…」
まどか「バナナあげる」
ほむら「…」
ほむら「…え?」
まどか「…だから、バナナあげるっ」
ほむら「…まど…か?…どうして、ここが…?」
まどか「バナナあげるっていってるでしょおおおおおおおおおおお!?」
ほむら「もぐがぅっ…!ぐっ…!」
杏子「おー、やってるやってる」
さやか「アホだ」
マミ「アホね」
ほむら「…」
ほむら「…」
まどか「…」フンス
ほむら「…」ポロポロ
ほむら「…優しくしないで…私に、私を…許さないで」
魔女「キャハハハハハハハーーーッ!!!!」
ほむら「…っ!いやあァァァーーーー!!!」
杏子「…!?」
さやか「…景色が…!」
マミ「…これって…」
QB「…」
QB「鏡の魔女」
QB「他者の真相意識に潜り込んで、精神的な傷をそのまま視覚的なものとして投影する性質を持つ」
QB「厄介なものに目をつけられたものだね、彼女は」
今すぐ殺してあげるわ
あなたはどこまで愚かなの?
これは、魔法少女のものよ
さやか「…」
杏子「…どういう事だおい…!?なんであたし達が映っていやがる!?」
マミ「…暁美さんは、私たちのことを初めから知っていた…?」
QB「だね、そしてこの映像から察するに、彼女はかなり酷いことを君たちにしていたみたいだ」
ほむら「…黙れ…!黙れえええっ!!」
QB「動けない体で吠えても怖くないよ、むしろ一番怖いのは君のはずなのに」
ほむら「…!」
ほむら(悔しい…!悔しい…!!こんな形で知られるなんて…!せめて彼女達には知られたくなかったのに…!)
ほむら(…私は…何のために…!!!)
ほむら「そうよっ!私は今まであなた達にさんざん酷いことをしてきたわっ!」
ほむら「私の目的を達成するために!私はあなた達の気持ちを踏みにじってきたわよ!」
ほむら「だから!私はその輪の中に入る資格がないのよ!」
ほむら「まどかは、私を当たり前のように受け入れてくれるけど!私はそんなの望んじゃいない!」
ほむら「私は、ただまどかが…!」
ほむら「…まどかが生きてさえいてくれればよかったのにっ!!!!」
さやか「…」
杏子「…」
マミ「…」
ほむら「…はぁ…はぁ…」
ほむら「…ええ、そうよ…最低よ、私って」
ほむら「…そして今はもう、まどかを諦めるつもりでさえいる」
ほむら「…最低…最低だわ…うふ、あはは…あはははは!!」
ジワジワ
QB「…彼女のソウルジェムが濁り切るのも時間の問題だ」
QB「とりあえずこの結界から出た方がいい」
杏子「…「あれ」を見たあとに、お前のことを信用でいると思ってんのか」
QB「…目ざといね」
杏子「マミやさやかと違ってあたしは疑り深いんだよ、インキュベーター…だっけか?」
QB「なら尚更わかっているだろうに、彼女はもうすぐ…」
まどか「…」スパァン
ほむら「…っ…!」
ほむら「…んな…?」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「…まどか…?」
まどか「ごめんっ!!すっごいどうでもいいっ!!!」
さやか「…」
杏子「…」ケタケタ
マミ「…」
まどか「ほむらちゃんの何がどうとか本当にどうでもいいよ!だって私アホだし!ほむらちゃんが何に悩んでるのかとか一つも分からない!」
まどか「…」ムキムキ
まどか「バナナうめぇ」
ほむら「…」
まどか「…でもね、もし、ほむらちゃんが何かで悩んでて、それがすっごく辛いことだったなら」
まどか「私は、そばにいてあげたいよ」
ほむら「…」
まどか「…」モグモグ
ほむら「…許して、くれるの…?」
まどか「…?いやぁ…だから…」
まどか「早くマミさんのおっぱい揉んで遊ぼうッ!て言ってるの!!」
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「…どうして、あなたはそこまで…アホなのかしら」
まどか「アホじゃない!」
ほむら「アホよ、ええ、とんでもないくらい、途方もないくらいにあなたはアホよ」
ほむら「…でも、例えアホだったとしても、あなたは…」
ほむら「…やっぱりまどかなのね」グググッ
QB「…ば、馬鹿な…」
QB「…有り得ない…!あそこまで濁りきったソウルジェムが持ちこたえるだなんて…!」
QB「そんなの有り得ない…!そんな馬鹿なことが…!!!」
杏子「いやぁ、そうじゃねえだろ、QB」
QB「…?」
杏子「お前さぁ、今の話ちゃんと聞いてたのかよ?」
QB「…何だい?鹿目まどかと暁美ほむらの絆が奇跡を起こしたとでも言うつもりかい?」
QB「そんな馬鹿なことは僕らは認めない」
杏子「だからさぁ、そういう事じゃねえんだよなぁ」
杏子「ほむらが立ち直ったのも、まどかがああいうこと言ったのも関係ねえんだよ」
杏子「…馬鹿じゃねえよ」
QB「…?」
QB「…」
QB「…!」
QB「…~~~…!」
QB「…そんな…アホな…!!!」
杏子「やったぜ」パチン
さやか「やったね」パチン
マミ(すっごいアホっぽい)
杏子「さて、よう、暁美ほむら」
杏子「初めまして、じゃなかったみてーだな」
ほむら「…杏子…」
杏子「しっかしむず痒いもんだな、あんたはあたしのことを知ってるくせにあたしはあんたのことを何一つ知らない」
杏子「…と、言いたいが、一つだけわかったことがあるぜ」
杏子「あんたは相当負けず嫌いで、意地っ張りだってことだ」
杏子「だけど、まぁ今回は敗北を認めろ、あんたは負けたんだ」
杏子「負け犬は大人しく反省会でも開くんだな、まぁそう時間はかからねぇだろ」
杏子「…だから、まぁ…お前も野暮なことすんじゃねーよ」
魔女「…ギギ…ギギ…!!」
魔女「ァァァァァァァァーーーー!!!」
杏子「消えとけバカが」
マミ「…ティロ・フィナーレ!」
ガガガガガガァン!!!
QB「…」
さやか「…」
まどか「…バナナうめぇ」
QB「…それって、そんなに美味しいのかい?」
まどか「あげないよっ!」
QB「僕が思うにきっとバナナにはソウルジェムの濁りを取る成分が入ってる、じゃなければ絶対にあんなことはありえない」
さやか「…あんたも人に言えるほど賢いやつじゃないね」
QB「…何を…僕らの科学力は君たち地球の人類のそれを遥かに凌ぐほどの…」
さやか「あんなもん…」
さやか「単なる女子中学生の思春期だっつーの!」
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