ほむら「ど、どうなっているのよ転校生…」 (137)

…まただ。いつも巴マミは仲間ができると思うと浮かれて…死んでしまう。

ほむら「…弱い癖に。先輩ぶって…貴女は馬鹿よ。」

優しくて、強い先輩…今でもそう思ってるわ。

…でも貴女は一人でいるべきではなかった。

…私を頼って欲しかった。

…でも無理ね。巴マミはキュゥべえを大切な家族だと思ってる。

ほむら「…失礼しました。」

さようなら…巴マミ。




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マミさん…。どうして死んじゃったの?


…どうしてほむらちゃんはキュゥべえを敵視するの?


グリーフシードを独り占めしたいからなの?


まどか「…分かんないよ。ほむらちゃん。」


…でも、もし私が魔法少女だったらこんな事なかったのかな。


まどか「…誰か教えてよ…。」


QB「お困りのようだね。鹿目まどか。そんなの君が願えばすぐ分かるんだ。」


QB「…美樹さやかが死ぬのも見たいのかい?」


まどか「…嫌だよ。さやかちゃんまで失いたくない。」


QB「…なら君がさやかを守れば良い。魔法少女として…。」

まどか「…そうだね。私の願いは…。」


…その時。


まどか「…電話?…ウソ、さやかちゃんから…!」


まどか「どうしたの・・何かあったの・・」


さやか「うわ、びっくりした…。あ、あのね仁美の様子がおかしいの。」


さやか「それでね…キュゥべえも居ないし、どうすればいいか分かんなくて。」


まどか「…どこに行けばいい?」


さやか「えっと、方角的に廃工場かな…。」


まどか「分かった。今行く。」


まどか「キュゥべえ!…居ない…?」

<廃工場>
たくさんの人…この人たち全員魔女に魅入られたっていうの?


さやか「どうしてこういう時に限って居ないのよ…。」


さやか「…このままじゃ、仁美まで…。…って!キュ」


あたしの目の端に映ったのはキュゥべえ。…の筈だった、…のに。


ほむら「まだ契約していないのね?」


目の前には転校生がいた。


さやか「…まだ、だよ。あんたがキュゥべえをどっかにやったみたいだからね。」


ほむら「…そう。」


いつも、ここで美樹さやかは契約してしまう。


…何故今回は契約していないのか疑問だけれど。


私は時を止め、拳銃で魔女を撃つ。


ほむら「…。モニターに移される前に早く倒さないと。」


魔法を解除。そして魔女が倒れる直前。


…マミさんが半狂乱となって私達を殺そうとしているのが映った。

さやか「…今の何よ。なんでマミさんがみんなを…。」


ほむら「美樹さやか…見てしまったのね。」


忘れてしまいたい記憶。魔女になった美樹さやかを見て…みんなを殺そうとした巴マミ。


まどか「…今のは何なの?」


そこに居たのは…信じられないものを見たかのようなまどかだった。

QB「ぜひ僕にも聞かせてほしいな。君は何なのか。」


ほむら「インキュベーター…!」


QB「…その名前も知っているんだね。…暁美ほむら。君は時間遡行者なんだろう?」


ほむら「…ッ死ねインキュベーター!」


QB「ぎゅぷっ」


さやか「何してんのさ転校生。何でキュゥべえを…」


QB「…無駄だと知っているのに殺すなんて…わけがわからないよ。」


まどか「キュ…べぇ…?」


さやか「キュ、キュゥべえが化けて出てきた…。」


ほむら「違うわ。コイツは…死なないの。」


さやか「…へ?キュゥべえゾンビなの?」


QB「…どちらかと言うと君達の方がゾンビだよ。」


QB「…だってソウルジェムさえ無事なら君達は死なないんだから。」

QB「…それにあの魔女は何だったんだろうね?まるで…人魚みたいだったけど。」


ほむら「口を閉じなさいインキュベーター!」


まどか「…もう止めて。聞きたくないよそんなの。」


さやか「…。」


QB「どうしてだい。…君は暁美ほむらが分からないんだろう?教えてあげたじゃないか。」


QB「暁美ほむら。君の…


ほむら「…ッ。」


カチッ


QB「…居ない…。」





ほむら「…何故。いつもなら契約前に都合の悪い話は言わないはず。」


…まさか真実を告げて契約させるつもり?いえ…知り合って間もない私にそこまで同情するのかしら。


ほむら「…それにあんな話をしたら美樹さやかは契約しないはず。」


いつもの時間軸ならそんな話、聞かない限りは答えない…むしろ聞かれてもはぐらかしていた。


ほむら「どういうつもりかは知らないけど…アイツの思う通りにはさせないわ。」


佐倉杏子とも接触しておかないと…ワルプルギスの夜を攻略するにはあの子の力が必要不可欠。


ほむら「…キュゥべえより早く佐倉杏子と話さないと。アイツの狙いが分からない以上、いつもより気をつけて接触する必要がありそうね…。」

…次の日の放課後…
<見滝原ゲームセンター>
居た。いつものように彼女はダンスゲームをしている。


…何故かしら。今までイレギュラーな事が起こりすぎていたから?


ほむら「…変ね、こんな事でホッとするなんて。」


ほむら「…佐倉杏子、少し良いかしら?」


杏子「…待ってたよ。イレギュラー。」


待っていた…?


ほむら「…キュゥべえに言われたのかしら?」


杏子「ご名答。…まぁ、そういうこった。」


やられた…。巴マミが死んだ事を報告しに行ったのね。その時に全部…。


ほむら「…なら、全て聞いているのね。」


杏子「あぁ…あんたキュゥべえをしつこくつけ狙ってんだろ?」


ほむら「…それ以外に私の過去も聞いたのかしら?」


杏子「…?人の過去嗅ぎ回るようなマネはしねー主義だけど。」


杏子「あんただって聞かれたくない話の
一つや二つくらいあるだろう?」


ほむら「…そう。本題に入るわね…あと少しでこの町にワルプルギスの夜が来る。」

杏子「…何故分かる。」


ほむら「…それは秘密。でももし現れたら貴女のいる町も被害に遭うわ。」


ほむら「…だからワルプルギスの夜までの間、私と共闘してほしい。報酬はワルプルギスの夜討伐後…見滝原の町を貴女のテリトリーにして良いわ。」


杏子「…まぁいい。その代わり、もしワルプルギスの夜が来なくてもその縄張りはアタシの物にさせてもらう。」


ほむら「構わないわ。」


杏子「それでワルプルギスの夜とやらはいつ来るんだ?」


ほむら「…二週間後。ワルプルギスの夜は必ず見滝原にやってくる。」

杏子「そうかい。ま、アタシとしては来ない方が良いんだけどね。」


…私だってそうよ。もうアイツの笑い声なんか聞きたくない。


でも、必ず現れて私達を絶望に突き落とす。


でも何故か今回はキュゥべえが契約する前にソウルジェムの秘密を明かしてくれた。


…巴マミは死んでしまったけれど今回のループなら勝てるかもしれない。


ほむら「私としても来ないに越した事はない。…でも念には念を入れる必要がある。」


ほむら「…今度こそ乗り越えてみせる…ワルプルギスの夜を…!」

さやか「…どう思う、昨日の事。」


まどか「ほむらちゃんが時間遡行者とか、マミさんがみんなを殺そうとしたとか…わけわかんないよ。」


さやか「…あたしだって分かんない。あんなマミさん見た事ないよ…。」


まどか「…あれは一体何だったの?」


QB「暁美ほむらの記憶さ。あの魔女は精神攻撃を使う。あれは暁美ほむらにとって忘れたい記憶なんだろう。」


まどか「…そうなんだ。」


さやか「…キュゥべえ。教えてくれたのは感謝するわ。…でもこれ以上は聞きたくない。」


さやか「帰ってよ。」


QB「…やれやれ。君達が何なのか分からないようだから教えたのに…全くわけがわからないよ。」

カチッ


ほむら「…鉛玉でも食らってなさい。」


私はM134をセットし、魔女に向かって放つ。


カチッ


突然降ってきた鉛玉になす術も無く、倒れていく魔女。


杏子「…戦闘スタイルにおいてもイレギュラーってか。」


杏子「…あんたのソレ、魔法で作ったやつ?なんか本物っぽく見えるんだけど。」


ほむら「本物よ。触ってみる?」


杏子「遠慮しとく。…でもさぁ、教えちゃって良いの?不意打ちなら誰相手でも勝てるんじゃない?」


ほむら「…そうね。でも連携も取れなくてワルプルギスの夜に勝てるなんて思わないで。」


杏子「…はいはい。それにしてもキュゥべえに聞いたわけでも無いのにどうして知っているんだか…。」

…転校生の記憶、か。


…なら、あの魔女は何だったの?どうしてまどかは魔法少女になっていたの?


…それにどうしてマミさんはあの赤髪の子を殺したの?


時間遡行。…時間を巻き戻す。


さやか「…いくら考えても無駄だよね。」


…マミさん、知ってたのかな。魔法少女がゾンビだったなんて。


さやか「…あたし、どうすればいいんだろう。」


…もし、あたしがゾンビになっても恭介は変わらず横にいてくれるのかな。

<病院>
昨日は行けなかったからな…。ひょっとしたらあたしの事、待ってたりして。


さやか「…恭す、け…?」


そこに恭介は居なくて、代わりに…手紙が置いてあった。


さやか「…何だろ。」


手紙には「遺書」と書いてあった。


さやか「何これ。」


…遺書という文字にあたしは冷静ではいられなくなった。

<手紙>
父さん、母さん、さやかへ


…昨日、医者に言われたんだ。


僕の腕はもう治ることはない。


バイオリンが弾けない僕に何の価値がある?


父さんも、母さんもきっと僕を要らなくなるだろう。


…いつもさやかはCDを持ってきていたんだ。きっとさやかもバイオリンを弾けないと知ったら離れていくはずだ。


…治る事はないと言われた瞬間、もう僕に生きる価値などないと、言われたのと同じ事だった。


さようなら。

さやか「…嘘でしょ?冗談止めてよ。…冗談にしては悪趣味だよ。」


さやか「…ねぇ、恭介。嘘だよね?」


入院患者「きゃぁぁぁぁぁ。」


入院患者「か、上条君が…、」


看護師A「どうしたんですか…って、大丈夫!?出血が激しいわ。急いで手術をしないと…。」


看護師A「急いで上条君の親御さんに連絡して!」


看護師B「わ、分かりました!」


…恭介まで居なくならないでよ。

医者「我々も全力を尽くしましたが…。」


上条父「…恭介。」


上条母「私達は恭介がバイオリンを弾けなくても大事な息子だと思ってるわ…。」


どうしたんだろう。なんで泣いているの?


恭介は助かったんでしょ?


上条父「…悪いけど、さやかちゃん帰ってもらえるかい。」


さやか「…どうして、ですか。」


上条父「…君を見ていると余計につらくなるんだ。」


さやか「…そうですか。失礼しました。」

小父さん達どうしてあんなに泣いていたんだろう。…どう、して。


…電話。


さやか「…まどかからだ。」


ピッ


さやか「…。」


…今は誰とも話したくない。


さやか「…雨、降ってるなぁ。」


ー雨が止まないよ。


…なんで。

まどか「…さやかちゃん大丈夫かな…。」


まどか「…マミさんも死んじゃって、上条君まで…。」


…神様はさやかちゃんの事嫌いなの?


まどか「…私はさやかちゃんの味方だから。…何があっても。」


…さやかちゃん。大好きだよ。


今度は私がさやかちゃんを守ってみせるから。



良い調子だわ。佐倉杏子との連携も取れるようになってきた。


それとも今回…美樹さやかが契約しなかったのが大きいのか。


ー「…キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を助けてあげてくれないかな。」


ほむら「今度こそ貴女との約束を果たしてみせる。」


一体…私はこの約束を果たすために何回繰り返したのかしら。


…弱虫だった私はもういない。


ほむら「…そろそろ寝ましょうか。」


…パチンッ


QB「…。」

…次の日の朝…
<通学路>
仁美「…さやかさん、遅いですわね。」


まどか「…そうだね。」


仁美「…やはり上条君の事を気に病んで…。」


まどか「…。」


さやか「二人とも、おはよう!」


さやか「どうしたのー?二人とも考え込んじゃって。あたしが来たのにも気づかないんだから!」


まどか「さやかちゃん、大丈夫なの?」


さやか「大丈夫じゃないよ。急がないと遅刻しちゃうよ?」


まどか「そ、そうだね。急がないと。」

<学校>
さやか「ギリギリ間に合ったぁ…。」


仁美「朝から疲れましたわ…。」


まどか「もう動けないよぉ…。」


…もし私も契約しなかったらこんな毎日を過ごせたのかしら。


ほむら「おはようまどか。」


まどか「おはようほむらちゃん…。」


さやか「おはよう転校生。」


ほむら「あら、珍しい事もあるものね。私に挨拶なんて。」


さやか「?クラスメートに挨拶するのは普通でしょ?」


ほむら「…そうね。おはよう志筑さん。ついでに美樹さやか。」


さやか「ついでは余計だよ。」

先生「…みんな席に座って。HRを始めます。」


さやか「?暗いね早乙女先生。」


まどか「…そうだね。」


先生「…知っている人がいるかもしれませんが、先日上条君が…、……。」


先生は何を言っているの?なんでみんな泣いてるの?


ほむら「!…どうして。」


中沢「…なんで自殺なんてしたんだよ。」


女子A「…上条君…私、好きだったのに。」


さやか「やめてよ。もうやめて…。」


次の瞬間…あたしの視界は真っ暗になった。

<保健室>
ほむら「…起きなさい美樹さやか。」


まどか「さやかちゃん、起きてよぉ…。」


ほむら「…何で…こうなるのよ!」


…やっと、やっと上手くいくと思ったのに…。


まどか「嫌だよ…さやかちゃん。」


…こうしてまどかは美樹さやかに語りかけているが、美樹さやかは死んだように動かなかった。

ほむら「…どか、…まどか、起きて!」


まどか「…ふぇ?」


私、寝ちゃってたんだ…。


ほむら「…美樹さやかは病院に搬送されたわ。…植物状態みたい。」


まどか「…そっか。どこの病院?行ってくるよ。」


ほむら「…行ってどうするの?」


まどか「…さやかちゃんに会いに行くの。だって、さやかちゃんいつも上条君のお見舞い行ってたから。」


まどか「…教えてくれないなら先生に聞くよ。…そこを退いて。」


ほむら「無駄よ。行っても貴女に出来ることなんて…


まどか「…あるよ。ほむらちゃんに何があったか知らないけど、私は諦めたくないの。」

…まただ。いつもまどかは…美樹さやかのために行ってしまう。


ほむら「…もう無理ね。また貴女との約束を守れなかった。」


シュウウウ…


ほむら「…ソウルジェム、結構濁ってきたわね…。でも、もう…どうでもいいわ…。」


…落ちて行く感覚。深い、深い闇の中へと、堕ちて行くような…。


…希望と絶望のバランスは差し引きゼロ。その通りだったわ…佐倉杏子。


QB「…ふらふらと歩いてどうしたんだい?暁美ほむら。」


ほむら「…ほっといて。…私はもうこんな自分、嫌なの…。早く私は…。」


…魔女に、なりたいの。


QB「…そうかい。なら、僕と二度目の契約をしないかい?」


QB「そうしたら、君の願いを叶えてあげられる。」

QB「さぁ、僕と二度目の契約をして君の願いを叶えてよ!」


ほむら「…良いわ。契約する…。」


…そして私は悪魔と契約を結んだ。


QB「…契約は成立だ。君の祈りはエントロピーを凌駕した。ーさぁ、解き放ってごらんその新しい力を!」


ほむら「…えぇ。」


次の瞬間…まばゆい光に包まれて、私は意識を失った…。

<病院>
まどか「…お寝坊さんだね。早く起きて学校行こう?」


まどか「さやかちゃん…。」


…声が、聞こえる。


さやか「ま、どか…?」


まどか「やっと、起きたんだね。…良かったよぉ…。」


どうして…まどかが?


さやか「ここ…病院?」


まどか「そうだよ。さやかちゃん、学校で倒れちゃって…。」


…病院?それに美樹さやか?


さやか「私…誰に見える?」


まどか「…さやかちゃんだよ。…上条君の事がそんなにショックだったんだね…。」


…どういうこと?


杏子「…い!起きろ!」


ほむら「…誰?」


目の前に居るのはあの時見た赤髪の子。


杏子「…おいおい大丈夫か?そんな様子じゃ、ワルプルギスの前にくたばっちまうんじゃねぇのか?」


ほむら「ワルプルギス?」


杏子「…本当に大丈夫かお前?」


ほむら「…大丈夫。てゆうかどこなのよここ…。」


杏子「…アタシの家だよ。あんた道路で倒れてたから運んできたんだ。」


ほむら「…見かけによらず力持ちなんだね。」

…倒れてたのは別にいいとしても…。


コイツは本当にあのほむらか?


杏子「…魔法少女だからな。」


ほむら「…魔法少女…か。…アンタはさ、どんな願いを叶えてもらったの?」


ほむら「…あんたにだってあったんでしょ?命に代えても叶えたい願い事。」


…何で、こんな瞳してんだよ。


杏子「…アタシは、みんなが親父の話を聞いてくれるようにって願ったんだ。」


杏子「…アタシの親父って神父をやってたんだ。…だけどさ周りからは胡散臭い新興宗教者としか映んなかったみてーで、本部からも破門されちまった。」


杏子「…だからアイツに願ったんだ。その後は良かったよ。」


杏子「ここはいつも大賑わい。親父も喜んでたよ。…魔法少女の力って分かるまではな。」


杏子「…人が集まってたのがインチキだって知った途端に親父は狂っちまった。」


杏子「…いっつも酒を呑んだくれて、アタシだけじゃない。妹にだって暴力をふるった。」

杏子「…だからさ、アタシは…もう人のために力を使うのが怖くなっちまった。」


杏子「…誰かのためにした事が裏目にでるなんてこの世の中では当たり前だ。」


杏子「…だから…ってなんでお前泣いてんだよ!」


ほむら「…ごめん。」


…何でコイツは…


杏子「…お前にだってあったんだろ。叶えたいこと。」


ほむら「…あったよ。あったけど…もう無理なの。もう叶える事なんてできない。」


ほむら「…だってもう、恭介は…死んじゃったんだもん。」

…7時間前…
<真っ暗な世界>

…一面、真っ黒だ。


さやか「…どこなの?此処は…。」


QB「…君の精神世界というやつさ。」


さやか「…キュゥべえ。…やっぱり恭介、死んじゃったんだね…。」


QB「…そうだね。」


さやか「…そっかぁ。…あたし、何にも出来なかったよ。…何にも。」


さやか「…あたし恭介の事、全然分かってなかった。マミさんの事だって…。」


さやか「…あたしって本当馬鹿。…こんなあたしだから、恭介の事死なせちゃったんだ。」


さやか「…もっと、違うあたしなら…。」


QB「…そうかい。君は自分を変えたいんだね。」


さやか「…そうかもね。」


QB「…なら、僕と契約して…違う君になってよ!」

さやか「…あたしは魔法少女にはならないよ。」


QB「…僕は君に魔法少女になれなんて一言も言ってないよ。」


さやか「…本当に?」


QB「…僕が嘘を吐けないことを知っているだろう?」


さやか「…そういえばそうだっけ。…じゃあアンタと契約してあげる。」


QB「…契約は成立だ。君の祈りはエントロピーを凌駕した。ーさぁ、解き放ってごらんその新しい力を!」


次の瞬間…あたしの精神世界とやらは音を立てて崩れていった。

QB「君達の願いは叶えたよ。暁美ほむら、美樹さやか。」


QB「君達は自分自身を変えたがっていた。」


QB「僕は何も契約違反はしていないはずさ。」


QB「…それにしても、新しいエネルギーのためとはいえ…せっかく絶望しかけていたのにね。」


QB「わけがわからないよ。…わざわざ彼女たちを選んだ理由はなんだい?」


QB「…また、だんまりかい。まぁいい。僕としてもエネルギーさえ手に入ればそれでいいからね。」


QB「きゅっぷい。」

ほむら「あたしの話、話してもいいかな?」


杏子「好きにしろ。」


ほむら「…じゃあ話すね。…あたしには幼なじみがいたの。その幼なじみはね、バイオリンがすごく上手だったの。」


ほむら「でもね、事故にあっちゃって…もう弾けなくなっちゃったの。」


ほむら「あたしはいっぱい励ましたよ。その幼なじみが好きそうなCDを持っていったりしてね。」


ほむら「…だけど、もう腕は治らないって医者に言われたらしいの。」


ほむら「…あたし、いつもお見舞いに行ってたのに、医者に言われたその日だけは行けなかったの。」


ほむら「…親友がね、魔女に魅入られてるのを見ちゃったから。」

ほむら「…それからその子は助けられたんだけど、恭介はその時、きっと一人で悩んでたんだ。」


ほむら「…それでさ、あたしがお見舞いに来た時に屋上から恭介が落ちて…。」


ほむら「…その後、手術したのに駄目だった。…もし、あたしがもう少し早くに行けば恭介を助けられたのにね。」


ほむら「…先生から恭介が自殺したって聞いたらさ、あたしもう耐えられなくなっちゃったの。」


ほむら「あたし相当参ってたみたいでさ…。キュゥべえとね、契約しちゃったの。」


ほむら「違う自分になりたいって。」


ほむら「…今のあたし、ほむらなんでしょ?」

ほむら「ありがとね。話、聞いてくれて。…そろそろ帰るね。」


杏子「…待てよ。」


ほむら「…何?」


杏子「…どうなってんだよ。お前は…ほむらじゃないのか?」


ほむら「…そうだよ。あたしはほむらじゃない。…だからアンタの事も知らない。」


ほむら「…バイバイ。」


去っていくあいつにアタシは声をかけることが出来なかった。


…アタシは声をかけてどうするつもりだったんだ?


…わからない。でも、あいつをほっといちゃいけない気がして…。


杏子「…アタシらしくもねぇ。」

…あの子、何でマミさんに殺されたのかな。


ほむら「…別に悪い子じゃないと思うんだけどなぁ。」


ほむら「…って、それより転校生を探さないとね。」


そういえばあたし…転校生のよく行くところも知らないし、転校生の家の場所も知らないんだよなぁ。


…まどかに電話する?


ほむら「…いや、今のあたしはほむらなんだ。電話かけたらおかしいような…。」


…一体、どこにいるのよ転校生…。

まどか「…さやかちゃんが起きたってお医者さんに伝えてくるね。」


さやか「…え、えぇ…お願いするわ。」


…この状況。おそらくアイツの仕業だけれど…


さやか「…ソウルジェムは…。」


…紫色に輝くソウルジェムは僅かに濁っていながらも穏やかな光を放っていた。


さやか「…あった。」


…私は美樹さやかの体にいる。だとしたら、美樹さやかは私の体に…?


…とにかく、美樹さやかに会わないと。


さやか「…一応、メモに書いといた方が良いわよね。」


[ちょっと出かけてくる。すぐ帰るから。]


さやか「…行ってきます。」








まどか「…さやかちゃんが目を覚ましたみたいです。」


医者「…それで美樹さんのご様子は。」


まどか「少し錯乱状態みたいです。」


医者「…そうですか。でも今は少し放っといた方がいいでしょう。」


まどか「…分かりました。それじゃあ…失礼します。」


…さやかちゃん。大丈夫だよね?


まどか「…私、さやかちゃんの力になれているのかな。」


まどか「…さやかちゃんはいつも私のこと助けてくれてたのに…。」



さやか[美樹さやか!この近くに居るのならテレパシーに応えて!]


…応答なし、か。


…佐倉杏子の居そうな所に行く?


…いえ、今の私は佐倉杏子とは初対面。


それに美樹さやかが佐倉杏子と会っていなかった場合…


さやか「…いつも、いつも面倒なことばかり引き起こして…!」


…とりあえず今は闇雲に探すしかない。

…さっきのあいつは…


杏子「魔力反応もなかったし、見た所ソウルジェムもなかった。」


…それにいつものほむらと比べてどこか危なっかしくて…


杏子「…なんだか、ほっとけねぇ。」


…何考えてんだ。…他人のために何かをしたところでどうせ碌な事にならないってさっきあいつに言ったばかりだろ。


…でも、もしほっといてあいつが…居なくなっちまったら?


杏子「…今から急げば追いつけるか…?」


…本当にアタシらしくねぇ。

…ずっと探し歩いているのにどこにもいない。


ほむら「…どこに行ってるのよ転校生…。」


ほむら「…もう、あたしの携帯に電話かけるしか手段はないんじゃ…。」


ほむら「…他人のとか、もう気にしてらんないよね。」


…後で謝るから。


ほむら「…えっと、携帯は…。」


…ポケットの中を探したり、したけど…


ほむら「…ない。」


…鞄は持っていなかったし、ポケットにあるかと思ってたのに…。

ほむら「…どうして携帯持ってないのさ…。」


…探し歩いても見つからない、携帯もないんじゃあ…


ほむら「…ホントにどうしよう…。」


…テレパシーもあまりに離れすぎてたら意味ないし…。


ほむら「…さっきの赤髪の子のところにいた方が良かった気がしてきた…。」


…とりあえず、さっきの場所に戻ろう。


美樹さやか…


さやか「…どこにいるのよ…。」


…そろそろ影の魔女が現れる。


さやか「…魔法少女になっていないから大丈夫だとは思うけれど…。」


通行人A「…しつけぇな!向こうへ行きやがれ!」


?…なんだかあっちの方が少し騒がしいわね…。


通行人B「…うるせぇな。そんな子、見てねーよ。」


杏子「…そうか。」


杏子「…あのさ長い黒髪で、見滝原中学の制服着た子…見なかったか?」


…!佐倉杏子!


さやか「…どうして貴女がここに…。」

さやか「…佐倉杏子。少し、良いかしら。」


杏子「!アンタは…。」


さやか「美樹さやか…いえ、貴女…暁美ほむらに会ったのね?」


杏子「…あぁ。」


さやか「…そんなに警戒しないでほしいわ。…貴女がさっき会った暁美ほむらについて…教えてもらいたいの。」


さやか「…佐倉杏子。貴女は暁美ほむらと話したのでしょう?」


杏子「…あぁ。そうだよ…。」


さやか「…なら、違和感は感じなかった?…あの子は暁美ほむらじゃない。」

杏子「…それはさっき会ったあいつから聞いたよ。」


杏子「…それを知ってるってことは…。」


さやか「…えぇ。貴女の察している通りよ。私は暁美ほむら。」


さやか「といっても今は…暁美ほむらではないけれど。」


さやか「…貴女、暁美ほむらを探しているんでしょう?…二手に分かれたら早く見つかるわ。」


杏子「…でも、見つかった時どうすんだ?」


さやか「…それに関しては大丈夫よ。…はいこれ。」


杏子「…何だこれ?」


さやか「…携帯よ。盾の中に入ってたから。」

さやか「…もし、見つかったときはこの番号にかけて。」


杏子「…あ、あぁ。」


…佐倉杏子。


さやか「…貴女、もしかして使い方…分からないの?」


杏子「…うん。」


…前のループで携帯を持っていないのは知っていたけれど…


さやか「…じゃあ、見つかったらこのボタンを押すようにして。…それ以外のボタンを押さないで。」


さやか「…それと乱暴に扱わないで。精密機械なんだから魔女からの攻撃が当たったら一発で壊れるわ。」


さやか「…これがあればテレパシー反応範囲外でも連絡を取り合えるようになる。」

さやか「それじゃあ…私はこっちの方を探すから。」


杏子「…分かった。アタシは向こうの方を探す。」


…美樹さやかは佐倉杏子に会っていたのね。


さやか「…わざわざ佐倉杏子が探すなんて…何をしでかしたのよ。」


…まぁいいわ。殺し合いを始めそうには見えないし、多分大丈夫でしょう。


さやか「…待ってなさい、美樹さやか…。」

ほむら「…なんか寒気を感じたような…。」


…というか、


ほむら「ここ…どこだろ?」


…ひょっとしてあたし…迷った?


ほむら「…どうしよ。転校生には会えないし…。」


ほむら「…近くに駅はあるけど、さらに遠くに行っちゃったら…まずいよね。」


ほむら「…でも、このまま探してても会えるか分からないし。」


ほむら「…なんか電車乗って戻った方が良い気がしてきた。」

<車内>
ほむら「…えっと、見滝原までは…二駅か。」


ほむら「…転校生が定期を持ってて良かったよ。」


ほむら「…ていうか、全然人が居ないなぁ。」


…夕方くらいだとたまに空いてる時もあるけど…


…この車両に居るのあたししか居ないみたいだし。


ほむら「…なんだか、不気味だなぁ。」

ほむら「…誰もいないなんてことはないよね。」


あたしは車内を散策することにした。


…だけど、探してもこの電車に乗っている人はいなかった。


…車掌室らしきものはあったけど扉がなかったし、中が見えないようにしてあった。


ほむら「…おかしいよ。」


…この電車は…


パァァァァ


さやか「…一応、魔法少女には変身できるみたいだけれど…。」


…私はソウルジェムの方に目をやった。


…ソウルジェムは僅かに魔力反応を起こしていた。


さやか「!これって、魔女の魔力反応…。」


さやか「…今までこんな魔力を放つ魔女は居なかったはずだけれど。」


さやか「…行くしか、ないわよね…。」

さやか「…ここ、ね。」


…私は結界に入り、周りを見渡す。


さやか「…やっぱりこんな結界見たことがないわ…。」


…たくさんの電車。


さやか「…やけにリアルで少し気味が悪いわね…。」


さやか「…使い魔も見当たらないし…。」


さやか「…爆弾でも使おうかしら。」


…私はお手製爆弾を取り出し、一つの電車に向かって投げた。

…鳴り響く爆発音。


ほむら「な、何があったの…?」


…不気味な空間にそれを破壊するかのような音。


ほむら「…やっぱりここって魔女の結界なんだ。」


ほむら「…ってことはこの爆発を起こしたのは魔法少女だよね。」


…魔法少女で、しかもこの近くに居るのならテレパシーは通じるはず。


ほむら[あの!…魔法少女ですよね?テレパシー聞こえたら返事してくれませんか]


ほむら「…さすがに魔女退治に巻き込まれて死んじゃいましたとかシャレにならないよ…。」

<病院>
看護師A「…美樹さん。入りますよ。」


看護師A「美樹さん?大丈夫ですかー?」


医者「…どうしたんですか?」


看護師A「さっきからノックをしたり、呼びかけたりしているんですけど反応がなくて…。」


医者「…ふむ。疲れているのかもしれない。点滴を打った方が良さそうだな。」


看護師A「…そうですよね。」


ガラッ


看護師A「…美樹さん…?」

看護師A「…居ない…の?」


医者「…とりあえず彼女の友人に電話した方が良いだろう。」


看護師A「急いで連絡してきます!」


看護師A「…確か、連絡先を書いてもらったはず。」


看護師A「…あった。」


看護師A「…まさか、後追い自殺とかしてないわよね?」

…電話。


まどか「…もしもし。どうしたんですか。」


看護師A「…鹿目さん。美樹さんが居ないんだけれど、場所とか分かるかしら。」


まどか「…病院に、居ないんですか?」


看護師A「…えぇ。部屋にいなくて…。」


まどか「…なら、売店に行ってるだけかもしれないじゃないですか。部屋にいないだけで大騒ぎすることもないはずです。」


まどか「…それだけなら、切ってもいいですか?」


看護師A「…それだけよ。」


まどか「…そうですか。」


プツッ

…あの子はさやかちゃんじゃない。


まどか「…早く本物のさやかちゃんを探さなくちゃ。」


さやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃん


まどか「…どこにいるの?」


まどか「…絶対見つけるからね。」


…だからさやかちゃん、待っててね?


まどか「大好きだよ、さやかちゃん。」


まどか「…あは」

ほむら[あの!…魔法少女ですよね?テレパシー聞こえたら返事してくれませんか]


!…今のって…


さやか「…この近くに居るのね美樹さやか。」


さやか「…テレパシーの方向からいって…。」


さやか[…美樹さやか!そこから動かないで!]


さやか「…あっちにある電車からかしら?」


…本当にこの時間軸はイレギュラーなことばかり起こるわね…。

ほむら「…さ、さっきのって転校生?」


さやか「…そうよ。」


ほむら「うわあぁぁぁぁ」


さやか「煩いわね。少しくらい静かになさい。」


ほむら「で、でもいつの間に…。」


さやか「質問は後よ。…おそらく魔女はこの奥の部屋に居るはずよ。」


さやか「…離れてなさい。」


ほむら「わ、分かったよ。」


…転校生はいつの間にか手に銃を持ち、奥の車掌室へと向けていた。

杏子「…こんな時に魔女かよ…。」


…つくづく魔女ってのはタイミングが悪いな。


杏子「…仕方ねぇ、か。」


…そこに居たのは祈りを捧げたようなシルエットの魔女だった。


杏子「…気にくわねぇ。」


杏子「…お前のしていることはただの独り善がりだ。」


杏子「来いよ。相手してやるからさ。」

杏子「…ッ。」


…この魔女なかなか強え。


杏子「…近づくのすら困難だな。」


…でもアタシだって戦いづらい敵と何度も殺り合って来たんだ。


杏子「…これでも食らいやがれ!」


多節棍を伸ばし、魔女へ攻撃する。


杏子「…ま、こんなもんか。」


アタシは落ちたグリーフシードを拾い、


杏子「…結構時間食っちまったな…。」


魔女に対して文句を言いつつ、あいつを探すのを再開した。

…見たことのない魔女だったけど、たいしたことなかったわね。


さやか「…佐倉杏子に連絡しないと…。」


ピリリリリリ


さやか「…出ないわね…。」


…そういえば他のボタン押すなって言った…ような気がする。


さやか「杏子に使い方もっと詳しく教えておくべきだったわ…。」


ピッ


杏子「…何があったんだ?」


さやか「…出てくれてよかったわ。」

杏子「通りすがりのやつが使い方を教えてくれたんだよ。」


さやか「…そう。それでその人は?」


杏子「人探してるとか言ってて…気づいたら居なかったよ。」


さやか「…変わった人も居るものね。」


杏子「そうだな。それでなんで電話かけてきたんだ?」


さやか「…暁美ほむらが見つかったわ。…でも今日はもう遅いから会うのは明日でも良いかしら。」


杏子「…あぁ、良いよ。」


さやか「ありがとう佐倉杏子。…それじゃ。」


ピッ

ほむら「…電話終わった?」


さやか「終わったわ。」


さやか「…一つ良いかしら。入れ替わっていることをまどかには言わないようにして。」


ほむら「…分かったよ。まどかに言ったらきっと心配しちゃうもんね。」


さやか「…それと、私達を戻すためにあいつと契約する可能性がある。」


ほむら「…そうだね。戻すためにまどかが魔法少女になるなんてこと…させたくないよ。」


さやか「…そうね。…それと美樹さやか…この地図の通りに行けば私の家があるわ。」


ほむら「…えっ?あたし転校生の家に泊まるの?」


さやか「…今の貴女は暁美ほむらなのよ?貴女の家に一人で行ったら空き巣かなんかだと思われるわよ。」

ほむら「空き巣って…。」


さやか「…それじゃあ私は病院に行くから。」


ほむら「…え。ちょ、ちょっと待ってよ!」


さやか「…何?」


ほむら「…本当にあたし転校生の家に泊まるの?」


さやか「嘘とか言ってどうするのよ。」


ほむら「…いや、そんなにあたしたち仲良くなかったよね?…なのに家に上げるって…。」


さやか「…なら野宿する?」


さやか「家の場所は教えたはずよ。…はい鍵。」


ほむら「…もう行っちゃった…。」

<病院>
さやか「お騒がせしてすみませんでした。」


看護師A「…出かけるとしても今度からは場所を書いておいてね。」


さやか「分かりました。」


…場所を書きようがなかったけれど。


医者「…まぁ、それくらい元気なら明日退院でも大丈夫かな。」


看護師A「そうですね。」


さやか「…。」


看護師A「…あのさ、美樹さん。ひょっとして鹿目さんと喧嘩でもした?」


さやか「…まどかと?していませんけど。」


看護師A「…なら機嫌が悪かっただけなのかしら?」

ほむら「…勝手に入ってもいいのかなぁ?」


ほむら「…でも野宿するわけにもいかないし。」


カチャリ


ほむら「…失礼します。」


…誰もいないみたい。


ほむら「一人暮らし…なのかな。」


ほむら「…転校生…。」

まどか「やっと見つけたよ、さやかちゃん。」


まどか「…ふふっ。さやかちゃんってばほむらちゃんの家にいるなんて…。」


まどか「…ねぇ。さやかちゃん言ってたよね?」


まどか「…まどかはあたしの嫁になるのだーって。」


まどか「旦那さんはね、お嫁さん以外を見ちゃダメなんだよ?」


まどか「…てぃひ」


まどか「…さやかちゃん。約束破らないでね?」

…次の日の朝…
<病院>
さやか「…朝、ね。」


さやか「…今日は学校に行けるのかしら。」


ガラッ


看護師A「おはよう。元気そうね。」


さやか「…おはようございます。」


看護師A「…この様子なら学校にも行けそうね。」


さやか「そうですか。」


看護師A「でもその前に…一応検査だけはしておきましょう。」


さやか「分かりました。」

医者「…心拍数異常なし。…ふむ。もう退院しても大丈夫だろう。」


看護師A「良かったわね美樹さん。」


さやか「そうですね。良かったです。」


さやか「…失礼しました。」


…それにしても昨日は何度呼んでもあいつは来なかった。


さやか「一体何を考えているの…インキュベーター。」

<通学路>
まどか「おはよう。」


仁美「おはようございます。まどかさん。」


まどか「それじゃ、行こっか。」


仁美「…はい。」


仁美「…さやかさん、学校に来れると良いのですが…。」


まどか「…来るよ。さやかちゃんは絶対に。」


まどか「…だって今まで私との約束を破ったことなんて、ないから。」

<学校>
仁美「…珍しいですわね。まだ暁美さんが来ていらっしゃらないなんて。」


まどか「…お寝坊さんだからね。」


ガラッ


まどか「…おはよう。」


ほむら「おはようまどか。」


仁美「おはようございます。」


まどか「…ねぇ、そろそろ先生来るよ。席に座ろうよ。」


ほむら「う、うん。」


先生「みんな席に座って。」


…てぃひひひひ

…2時間後…
さやか「…遅れてすみません」


先生「いえ、それよりも具合はどう?」


さやか「もう大丈夫です」


先生「…なら良かったわ」


仁美「さやかさん、本当に大丈夫かしら…」


まどか「…大丈夫って言うんなら大丈夫なんじゃない」


仁美「まどかさん。さやかさんと喧嘩でもしましたの?」


まどか「…してないよ。…仁美ちゃん、授業に集中しなくていいの?」



…昼休み…
まどか「私達と一緒にお昼、食べない?」


ほむら「え、えっと…」


まどか「…駄目なの?」


ほむら「い、いいよ。一緒に食べよう」


仁美「…さやかさん。まどかさんと喧嘩なさったんですの?」


さやか「喧嘩した覚えはないけれど…」


仁美「実は朝に…暁美さんに挨拶しようとしたら遮られたんですの」


仁美「…今も暁美さんにべったりですし…」


仁美「てっきりさやかさんと喧嘩して気まずいから暁美さんといるのかと思いましたが…」

…いつもまどかと転校生ってこんなに仲良くしてたっけ?


まどか「はい、あーん」


ほむら「えっ?あ、あーん」


まどか「美味しい?」


ほむら「う、うん。美味しいよ」


まどか「良かった。パンだけじゃ栄養偏るからね」


さやか[…美樹さやか!貴女、まどかに入れ替わったことを言ったの!?]


ほむら[言ってないってば!]


さやか[…本当に?いつもまどかは私にこんなことしてくれてないわよ]


ほむら[知らないよ…]

まどか「…私もあーんしてほしいなって」


ほむら「えっと…はい、あーん」


まどか「えへへ…美味しいよ」


仁美「キマシタワ-」


まどか「もう一回して…くれる?」


ほむら(…もう何回目だろう)ハイドウゾ


まどか「……」


まどか「…そろそろお昼休み終わっちゃうから教室戻るね」

ほむら「あ、そうだね。早く戻らないと」


まどか「早く戻らないとね。…さやかちゃん」


さやか「そっ、そうね」


仁美「そうですわね」


ほむら「次の授業ってなんだったっけ?」


まどか「数学だよ」


まどか(早く…元のさやかちゃんに戻ってね?)


…放課後…
まどか「一緒に帰ろうよ」


ほむら「えっと…今日は無理なんだ。ごめんね」


まどか「…そう。何の用事なの?」


ほむら「ちょっと会わないといけない人がいてさ」


まどか「…ふーん。私も行っちゃ駄目かな…」


ほむら[ど、どうしよう転校生]


さやか[断りなさいよ]


ほむら[そうだよね…]


ほむら「…ごめんね。さすがにまどかと行くわけには…」

まどか「そっかぁ…しょうがないね」


まどか「なら、明日は絶対一緒に帰ろうね!」


ほむら「…うん。いいよ」


まどか「それじゃあ…仁美ちゃん、さやかちゃん帰ろっか?」


さやか「あ、あたしも今日は用事があるんだよね」


まどか「…そうなんだ。さやかちゃんも用事があるんだね」


さやか「だから今日は一緒に帰れないんだ。…ごめんね、まどか」


まどか「…別に大丈夫だよ。仕方ない、もんね」

ほむら(…今日はやけにまどかが話しかけてきたな…)


さやか「…聞いてるの?美樹さやか」


ほむら「…へっ?あ、ごめん。聞いてなかった」


さやか「今日のまどかの様子が変だったって話よ」


ほむら「確かに変だったかもしれないけど…転校生と仲良くしようと思ってるんじゃない?」


さやか「…そうかしら?」


ほむら「そうだよ。たぶん、まどかなりに頑張ってるんだと思うけど…」


さやか「…貴女ってホント能天気ね」


ほむら「それはちょっと失礼じゃない?」


さやか「褒めてるのよ」


ほむら「そうは思えないけど…」

仁美「…じゃあ私はこちらですので」


まどか「あ、そうだったね。」


仁美「まどかさん…」


まどか「…何?」


仁美「…いえ、なんでもありません。でも、喧嘩したなら仲直りしなきゃ駄目ですわよ」


まどか「そうだね」


仁美「…それじゃあ」


まどか「喧嘩なんてしてないのに…変な仁美ちゃん」

<見滝原ゲームセンター>
さやか「…杏子、約束通り来たわよ」


ほむら「あっ、アンタ昨日の!」


杏子「あぁ…お前らか」


さやか「?どうしたの杏子?…なんだかやつれているわよ」


杏子「昨日の…通りすがりのやつがさ、何度も何度も電話かけてきて…」


ほむら「ねぇ…大丈夫なの?」


杏子「大丈夫じゃねぇよ。悪りぃが…帰ってもらえるか」

さやか「ちょっと気味が悪いわね…」


さやか「…少し貸してもらえるかしら?」


杏子「あぁ…」


…携帯を見ると


着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信着信


さやか「ひっ」


ほむら「どうしたの…って、うわ何これ…」

ピリリリリリ


杏子「もう、いやぁぁ」


ほむら「…あたしが出るよ」


ピッ


ほむら「…もしもし。あのさ、もう電話かけてこないでくれない?」


ー「…ッ」


ピ----


ほむら「…切れたみたいだよ」


杏子「…なんで、こんな…」


さやか「この携帯は早く処分するか、電話番号を変えるかしないと駄目ね…」

さやか「かかってきたときの話…教えてもらえるかしら?」


杏子「…いいよ。一番初めに、その…見つかったのかって質問の電話がかかってきたんだ」


杏子「見つかった。ってアタシは答えて…それから、しばらくはかかってこなかったんだ」



杏子「…でもしばらくして電話が鳴って…[許さないから。]って言われたんだ」


杏子「それからずっと無言電話をかけてきてさ…今に至るって訳」


さやか「…許さない?何のことなのかしら…」


ほむら「…怒ってるみたいだよね」

さやか「…杏子。貴女…殺されないようにしてね」


杏子「余計怖くなるようなこと言うなよ…」


ほむら「…でも殺されないとは言い切れなくない?あんだけ電話かけてたんだよ?」


さやか「…確かに一人でいたら刺されたりしそうね」


杏子「えっ…嘘だろ…?」


さやか「…だから、美樹さやか。貴女が面倒見なさい」


ほむら「…転校生の家に呼ぶってこと?」


さやか「そうなるわね」


杏子「…一人で居たくないよ…」ウルウル


さやか(…こんなに怯えている佐倉杏子なんて初めて見るわ…)

ほむら「…まぁ、あたしとしても一人は寂しかったし…」


杏子「一緒に居てくれるのか!?」


ほむら「うん。さやかちゃんが一緒に居てあげるよ!」


さやか「…じゃあ私はキュゥべえを探してくるから」


ほむら「あたしも探すの手伝うよ」


さやか「…杏子を一人にしておく気?それに貴女、魔法少女の脚力にはついていけないでしょう」


ほむら「た、確かにそうだけど…」


さやか「…分かったらさっさと家に帰ってくれた方が助かるわ」

杏子「お邪魔します」


ほむら「…そういえばアンタ名前なんていうの?聞いてなかったよね」


杏子「…佐倉杏子だ」


ほむら「あたしは美樹さやかだよ。…まぁ今は転校生なんだけど…」


ほむら「よろしくね、杏子!」


杏子「…よろしくな」

まどか「…さやかちゃん。私以外の人と同棲なんて…」


まどか「…さやかちゃんは浮気者だね?」


まどか「私以外の人を見ちゃ駄目だよ。さやかちゃん…」


まどか「…それにしても杏子ちゃんは邪魔だね」


まどか「どうしようかなぁ…」


まどか「てぃひひっ」

ほむら「…やっぱりあるのは栄養補助食品くらいか…」


ほむら「…スーパー行った方が良いよね」


ほむら(…お金はあるって言ってたけど、どうやって手に入れたんだか…)


ほむら「杏子ー。スーパー行くんだけど一緒に行かない?」


杏子「…外に出たくない」


ほむら(…どうすればいいのかな…)


ほむら「じゃあ、留守番してても大丈夫ー?」


杏子「…大丈夫だ」


ほむら「インターホン鳴っても出ちゃ駄目だよー?」


杏子「分かった」

ほむら「じゃあ…気をつけてね」


杏子「あぁ…」


…外に出たらアイツが居るんじゃないかと思うと怖くて出かけられそうもない


杏子「…アタシってこんなに弱かったっけ」


プルルルルル


杏子「で、電話…?」


杏子「…ひょっとしてさやか、か?」


ピッ


杏子「もしもし」


ー「死ね」


プツッ

杏子「ひっ」


…なんで電話がかかってきたんだよ


杏子「…さやかぁ」


ピンポ-ン


杏子「…絶対に出るもんか」


ピンポ-ン


杏子「…早く帰ってくれ…」


ガチャガチャ


ー「早く出てきてよ。居るんでしょ?」


ピンポ-ン


ー「この泥棒猫」

ほむら「…どうしよう」


ほむら「杏子の好物を聞いておけば良かった…」


苦手なものがないと良いんだけど…


ほむら「…魚とかでも喜ぶかなぁ」


まどか「ねぇ、ほむらちゃんもお買い物?」


ほむら「あっ、まどか…」


まどか「…用事はもう済んだのかな?」


ほむら「う、うん。それで何を買おうかなって思って」

まどか「これって夕飯?」


ほむら「そうだよ」


まどか「…ならさ、私の家に食べに来ない?ママもたっくんも喜ぶと思うんだけど…」


ほむら「あのさ、それってもう一人追加とかってできるかな…」


まどか「できるか分かんないけど…パパに頼んでみるね」


ほむら「良かった。杏子が怯えてるみたいでさ…まどかなら安心だから」


まどか「…杏子?」


ほむら「あっ、えっと…友達のお隣さんのお姉さんの知り合いの子なんだよ」


まどか「…そう」


ほむら(…誤魔化せたかな)

まどか「…やっぱり無理かもしれない」


ほむら「急だったもんね。…仕方ないよ」


まどか「そうだね」


まどか「…じゃあ私、用があるから」


ほむら「じゃあ、また明日ー」


まどか「また、明日…」


ほむら「…早めに帰んないと杏子が心配しちゃうよね」


ほむら「急がないと」

まどか「…なんであんな子をそんなに心配するの」


まどか「私よりも良いって言うのかな?」


まどか「ねぇ、さやかちゃん…あの子のどこが良いの」


…教えてよ


まどか「…さやかちゃんは可哀想な子をほっとけないだけだよね」


まどか「だってさやかちゃんは優しいもんね」


まどか「さやかちゃんを奪うなんて許せない。…杏子ちゃん、夜道に気をつけてね?」

ほむら「ただいまー」


杏子「さやかぁっ」バタバタ


ほむら「ど、どうしたの?そんなに慌てて…」


杏子「…電話が…」


ほむら「電話?」


杏子「インターホンも何度も鳴ってたし、怖くて…」


ほむら「…大丈夫だって。あたしがついてるからさ」


杏子「…本当か?どっか行ったりしないか?」


ほむら「…学校には行かないといけないんだけど…それ以外は出来るだけ杏子と一緒に居るよ」


杏子「さやか…ありがと」


ほむら「気にすんなって!あたしが杏子を守るからね!」

…次の日の朝…
目覚まし「マドカ!オハヨウ!」


まどか「おはよう、さやかちゃん」


まどか「…急いで準備しないとね」


詢子「…まどか」


まどか「どうしたの?いつもはまだ寝てるのに」


詢子「さやかちゃんにあんまり迷惑かけないようにな」


まどか「迷惑?…そんなのかけてるわけないよ」


まどか「ママも急いで準備したら?遅刻しちゃうよ」


詢子「…そうだな」

<通学路>
仁美「まどかさん。仲直りはなさいましたか?」


まどか「…誰と?」


仁美「…まどかさんがそんな態度をとるなら、暁美さんに聞かせてもらいます」


まどか「そう。勝手に聞いたら?」


仁美「…まどかさんなんて知りませんわ!」


まどか「…行っちゃった。」


…なんで怒ったのかな?

<学校>
仁美「暁美さん。お話があります」


ほむら「あたしに?」


仁美「ここじゃあ話しづらいので、向こうの方で…」


ほむら「別にいいけど…」


仁美「単刀直入にお聞きします。まどかさんと何があったんですの?」


ほむら「…まどかと?…何もなかったと思うんだけど…」


仁美「惚けないで下さい。…さやかさんの様子も変ですし、何かあったんですよね?」


ほむら「えっと…」


仁美「はっきりおっしゃって下さい」


まどか「…ねぇ、仁美ちゃん。何の話をしてるの?」


仁美「まどかさん…。貴女には聞いてません」


ほむら「ちょっ、仁美…それは言い過ぎだよ。いくら人に聞かれたくない話だとしても…」


仁美「…もういいですわ」


ほむら「ちょ、仁美?」


まどか「…行っちゃったね?」


ほむら「何の用だったんだろう。…それよりまどか。いつからそこに居たの?」


まどか「…さやかちゃんの様子が変だって話が聞こえたから。そのあたりからかな」


ほむら「そうだったの。…でもなんか仁美は他の人に聞かれたくなかったって感じだったけど…」


まどか「…ねぇ、ほむらちゃん。いつから仁美って呼ぶようにしたの?」


まどか「仁美ちゃんと仲良かったかな?」


ほむら「えっ、あ…クラスメートだしね。いつまでも苗字呼びじゃ駄目かなって…」


まどか「ふーん。クラスメートだから…ね」


ほむら「…まどか?」


まどか「そろそろ教室に戻ろっか?」


ほむら「そ、そうだね…」

…放課後…


ほむら(…杏子大丈夫かなぁ。早く帰ってあげたほうがいいよね…)


まどか「…ねぇ、今日こそは一緒に帰ろ?」


ほむら「あ、あのさ…しばらく一緒には帰れそうもないんだ」


まどか「…それってさ、杏子ちゃん絡みなのかな?」


ほむら「…実はそうなんだ。昨日、家にも来てたみたいで…」


まどか「…そう」


ほむら「ホントごめん。…しばらく杏子のそばにいてあげたいから」


まどか「約束、破るんだね」ボソッ


ほむら「え?」


まどか「…なんでもないよ。気にしないで」

かなりひどい。醜い

作者とISP・地域が同一の書き込みがあるため保留
ほむら「ど、どうなっているのよ転校生…」
ほむら「ど、どうなっているのよ転校生…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459963399/)
2016/05/18(水) 23:21:45.03

[ゴンベッサ]
http://i.imgur.com/fF9gvAD.jpg
ネット上でゴンベッサと呼ばれている、都道府県SSの後書き「で、無視...と。」の作者。
2013年に人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者は自分であると詐称し、炎上した。
詳しくは「ゴンベッサ」で検索

なお、本人は現在も自分のヲチに一人で粘着して三年以上の自演活動を続けており、
さっさとネットから消えればいいものを自演による燃料投下をやめないため
現在も枯れない油田状態になっている模様 →http://goo.gl/HbQkN5

SS作者ゴンベッサとは何者か?
http://www64.atwiki.jp/ranzers/pages/10.html

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