フレデリカ「トランプレゼンごっこ」 (21)
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フレデリカ「フンフンフフーン、復習」
肇「フレデリカさん、漢字間違えてますよ」
フレデリカ「なんとぉ!今回は本当に復習なんだー」
杏「バカな…フレデリカちゃんの口から、そんな単語が…」
文香「それで…一体、何の復習を…」
フレデリカ「アタシ達に足りて無いモノってなんだと思う?」
杏「ツッコミ」
肇「常識」
文香「落ち着き」
フレデリカ「そー!通販力!!」
杏「誰も言ってないよ」
文香「通販力、とは一体…」
肇「女子力の一種じゃ無いですか?」
文香「では、奪い取らなくては…」
杏「そんな会話してる奴に女子力なんてないよ」
フレデリカ「えっとねー、こないだ通販ごっこやったでしょー?」
杏「あぁ、あのフリートーク生放送ね」
フレデリカ「でも何も売れなかったよねー?」
肇「それは何も売ってないからです」
フレデリカ「そう、アタシ達にはプレゼンする能力が欠落している!!」
文香「そんな…っ!それでは、立派な女子力になれません…!」
杏「女子力ってなんだ」
フレデリカ「湯飲み、タブレット、陶芸セット、聖書と魅力的な商品だったのに売れなかったのは、売り出し方が悪かったからなんじゃないかなー?」
杏「あの間違い探しみたいな問題集を聖書と一緒にするな」
肇「それは、全国の皆さんが陶芸の魅力を知らないのがいけません」
フレデリカ「ならさー、通販のあの限られた時間内でアタシ達が伝えるべきだったんじゃない?」
肇「…私悪くないです…悪くないもん…」
文香「…大丈夫ですよ、肇さん。貴女が如何に無様な醜態を晒しても此処には私達しかいませんから」
フレデリカ「うわー杏ちゃんが肇ちゃんの事泣かしたー!」
杏「お前らフォローする気ないだろ」
肇「ごほんっ。それで、五千兆に一の可能性として、私の通販の仕方に非があったとしましょう」
杏「1/2でしょ」
文香「半分はフレデリカさんのせいですからね」
フレデリカ「えっとねー、さっきも言ったけどプレゼン力を鍛えよー!って。何かの魅力を上手く伝えられる様になったら、それってアタシ達のステップアップに繋がるんじゃないかなー?」
杏「…なんだこの…間違ってない」
肇「…フレデリカさん、疲れてるならお茶を淹れますが…」
文香「子守唄、歌ってさしあげましょうか…?」
フレデリカ「それで、自分の主張や何かの魅力を上手く伝えられる人ってどんな人だと思う?」
杏「それこそ、大勢を相手に自分の意見を伝え慣れてる人でしょ」
肇「そうですね、演説や通販に長けている…」
文香「議員や…それこそ、大統領でしょうか」
フレデリカ「そー!トランプ!」
フレデリカ「とゆー訳でじゃん!トランプを用意したよー」
杏「知能指数が元に戻った気がする」
フレデリカ「通販と言えば演説!演説と言えば大統領!大統領と言えばトランプ!…あとは、分かるね?」
肇「…確かに、良い手段かもしれません」
文香「このトランプの良さを語ればよいのですね」
杏「そのくらいなら簡単そうだね。材質とか利便性とか」
フレデリカ「でもそれだけじゃつまらないでしょー?」
杏「いやトランプの魅力語るのに楽しさも何も無いと思うけど」
フレデリカ「だからねー、みんなそれぞれトランプを一枚引いて、そのカードの良さをプレゼンしよー!」
肇「良いでしょう…女子力の高さ、見せてあげます」
文香「文学少女のトランプ力を侮らないで下さい」
杏「プレゼン力見せろよ」
フレデリカ「フレちゃんの先行!ドロー!」
杏「先行にドローは無いよ」
フレデリカ「…ふっふー、困ったなー、完璧だなー!最高のトランプを引いちゃったなー!」
文香「それでは…フレデリカさん」
肇「プレゼン、どうぞ!」
フレデリカ「アタシがドローしたカードはハートのキング!」
杏「おー、割りかし色々と言いやすそう」
フレデリカ「じゃーまず、13についての利点から語っていこっか。13と言ったら何を思い浮かべる?」
杏「FFかめだか箱」
肇「金曜日やトランプですね」
文香「逆にして31アイス」
フレデリカ「そー、先ずは色んな物事に繋げられる。これってメリットだよねー?」
杏「メリットなのか?」
フレデリカ「例えば高校や大学で新しく作った友達と初めて喋る時って何話せばいーのか困る時あるでしょー?そんな時!」
肇「…トランプの13を見せる事で、そこから連想出来る物事から会話を広げられる…!」
文香「大富豪の時も、JK、2、1と違って交換に出される事がほぼなく、安心して抱え込める切り札として活用出来ますね」
フレデリカ「ねー、お財布の中からこのカードを取り出して見せれば、「お、こいつトーク上手いな?」ってなるでしょー?」
杏「なるほど…いやならないでしょ」
フレデリカ「次はハートのメリット。これはもう語らなくてもいいんじゃないかなー?」
杏「…心か」
フレデリカ「でも、やっぱりこのハートと13を結び付けてこそ本当にハートのキングの魅力を語った、って事になる。じゃー考えていこっか」
肇「ハート、キング…」
文香「モデルとなった人物は知っていますが…そこから…」
フレデリカ「ハートのキング、ハートキング、ハーキング…ハッキング!そう、これはハッキングのカード!!」
杏「なるほど分からん」
フレデリカ「ハッキングって事は、パソコンが上手く使えるって事。このハートのキングを持ち歩くだけで、君はパソコン系の講義で単位が取れる!!」
肇「ならないと思います」
文香「私が買い取りましょう」
フレデリカ「よーし!アタシのターン終わり!」
杏「そう言うシステムなのかこのゲーム」
文香「それでは…次は、私のターンですね…」
杏「文香ちゃんが引いたカードはー?」
肇「…クローバーの13、ですね」
フレデリカ「わぁお、文香ちゃんもアタシとおそろー!」
杏「13は既にフレデリカちゃんが言っちゃってるから、別の方向からのプレゼンが求められるね」
文香「それでは、このカードについてのメリットを纏めた考察レポートを書きますので、2分ほどお待ちを…」
文香「書き終わりました…」
杏「うわ、凄い量」
文香「レポートは私の味方です…即興で喋る事が苦手な私に、力を…」
フレデリカ「じゃーさっきアタシがメリットを喋っちゃったし、文香ちゃんはデメリットねー」
肇「……」
文香「…誰ですかこんなゴミにしかならない役に立たないレポートを書いた間抜けは」
杏「ふぁいとー文香ちゃん」
文香「…行きます」
文香「まず最初に…先ほど肇さんが言っておりましたが、13と言えば連想されるものは当然13日の金曜日…あまり、縁起の良い数字とは言えませんね」
杏「まぁ13って素数だしね」
フレデリカ「時計も12までだしねー」
肇「二人一組を組もうとすると、一人文香さんになってしまいますから」
文香「ごほんっ…また、古来から13と言うのは不吉な数字として伝えられてきた気がします。例を挙げれば七五三…これは合計すれば13です。名のある武将達が散って逝ったのも1月から12月の間…つまり13よりも小さい数字ですから、13と深い関連性が見受けられます」
杏「無理がある」
肇「まぁ最後まで聞きましょう」
文香「それに、直前に肇さんがのたまっていた、13人では二人一組で一人溢れてしまう…では逆に、組めた二人一組の数は…?」
杏「6組」
フレデリカ「3!組」
肇「それ文字でしか…文香さんには伝わりませんから」
文香「では、思い出してみて下さい…全世界で汎用性の高いアルファベット、その6つ目の文字は…?」
フレデリカ「…F!」
文香「そう、FはunFortunateのF、不幸の象徴。つまり、13もまた不幸の象徴として全世界に浸透しているのです」
文香「では引き続き、クローバーに関するデメリット…これはもう、述べるまでもありませんね?」
杏「いやあるでしょ」
肇「クローバーって、幸運の象徴みたいなイメージがありますが」
フレデリカ「確か葉っぱの枚数で違うんだっけー?」
文香「13葉のクローバー…奇妙ですね、嫌です」
杏「嫌」
文香「それに、13とはキング…一国の主である王様が、二十四時間を二で割った十二よりも大きな数字である十三時間も、戦争前に公園でクローバーを毟っている姿を想像して下さい」
肇「履歴書片手にワンカップ酒の方がまだマシですね」
フレデリカ「やばいねー」
杏「文香ちゃんの想像力の方がやべぇよ」
文香「以上になります。皆さんも、これでクローバーの13の酷さを理解して頂けたかと…」
杏「…まぁいいや、次は杏の番ね」
肇「引いたカードは…ハートの10…」
文香「なんとも言いづらいカードですね」
フレデリカ「それじゃー杏ちゃん!頑張ってこのハートの10の魅力を語ってねー」
杏「きっつ…えっと、まずさー…10の魅力はー…うーん…あ、全トランプの数字の中で唯一0を含むよね」
文香「さすが杏さんですね…着眼点が違います」
肇「他の数字との明確な差異を持ってくる…なるほど」
フレデリカ「オンリーワンって良いよねー、0だけど」
杏「兎も角として、この時点で10っていう数字がどれだけ特別なものかは分かってもらえただろうけど」
杏「次。10は英語でテン、つまり天。だからこの10は天下を統べる、って意味があるんだよ」
肇「11以上に負けてませんか?」
杏「…いい着眼点だね。でも杏が何も考えてないと思う?」
フレデリカ「あ、これ杏ちゃん何も考えてなかったやつだねー」
文香「…ここから、いかにして天上を統べにいくのでしょう…」
杏「いかにして…あ!以下にすればいいんだ!つまり大富豪で11バックを発動させれば11.12.13にも勝てる!」
フレデリカ「わぁお!10はムテキ!」
杏「また10の最強性が証明されちゃったね。んじゃあハートは…うん、逆さにすると桃っぽいでしょ?」
肇「色若干違いますけど」
フレデリカ「最近肇ちゃんがクレーマーじみてきてるねー」
文香「桃…とう…まさか…!」
杏「そう、桃も十も、とうって読む…繋がっちゃったね」
肇「なるほど…なるほど?」
フレデリカ「繋がりを見つけちゃったかー…これは最強だねー」
文香「繋がりの力は無限大、1×5は百万ですからね…」
杏「じゃー最後にこのハートと10を踏まえて。ハート、テン…ハッテン…つまり、発展。まだまだこのカードには発展の余地があるって事になるよね」
文香「これ以上最強に…」
フレデリカ「フレちゃんじゃ…勝てない…!」
肇「…えー…」
フレデリカ「それじゃーここからはテンポアップしていこっか!」
肇「ダイヤの5、五千兆円の象徴です。欲しい」
フレデリカ「スペードの1、盾としても剣としても使える!強そう!」
文香「クローバーの2、クラブで蟹です。食べたい」
杏「ハートの1、出てこないやつ。有名」
肇「クローバーの9、クロック、つまりお金持ちの象徴です。なりたい」
フレデリカ「スペードの9!スペック!超能力欲しい!」
文香「クローバーの3、クロワッサンですね。夕飯は焼肉にしましよう」
杏「ダイヤの8、大富豪の時一枚は握っておきたいよね。ついでにお金」
フレデリカ「ここからデメリット!」
肇「スペードの11、イレブンとエレベーターが似てるのでスピードエレベーターです。ぷくー」
フレデリカ「ダイヤの13、お金持ちアピールする王様!良くないよねー!」
文香「ジョーカー…つまりJK、肇さんですね。以上です」
肇「あの」
杏「はいはいやめやめ」
文香「頭を使ったからか、お腹が空きましたね…」
杏「あー…無駄に疲れた」
肇「でもこれで、何かを見極める力や伝える力、褒める力が培われたと思いませんか?」
フレデリカ「アタシ達絶対成長しちゃったねー」
文香「ふふっ、そうですね。それにお互い、より絆が深まった気がします」
杏「お互いの良いところを上手く言葉に出来るようになったかもね」
フレデリカ「それじゃーみんなの良いと述・べ・よ!」
肇「…文香さん、いざとなったらトランプ食べそうですよね」
文香「肇さん、うっかりウノって言い忘れそうな顔をしていますよ」
フレデリカ「えっとねー、F」
杏「時間返せ」
花粉の季節が終わったのに今度は湿気です
辛いです
お付き合い、ありがとうございました
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