春香「先輩後輩と感謝の気持ち」 (29)
これはアイドルマスターミリオンライブシアターデイズのお話です
かなりコミュの内容をパロディ、改変してます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499527557
シアター用の新しい衣装に身を包んだ春香が
俺の前をくるくる回っている
「どうだ春香、新しい衣装の着心地は」
「はい!ばっちりです」
「そうか、ならよかった」
「デザインもとってもかわいくって…素敵ですよねー♪」
「あぁ、よくできてると思う」
「ですよね、ですよね!」
「これを着てステージに立つ春香が楽しみだな」
「…私…頑張らないとですね!」
「ん?急にどうしたんだ?」
「あ、えっと…この衣装って私用にデザインしてくれたんですよね」
「まぁそうだな」
「もちろん、作っていただいたのは感謝してますけど…」
「もしかして特別扱いされて落ち着かないのか?」
「そ…そうですね」
「なるほどな…」
「正直何で私だけこんないい衣装?って思っちゃいました…」
「ふむ…実はな?」
俺は、この衣装の作成に当たって作成秘話のようなものを話し始めた
~春香サイド~
「春香、ちょっといいか?」
私が事務所で今度のお芝居の台本を読んでいる時にプロデューサーさんから声をかけられました。
「はい?Pさん、なんですか?」
「実はな?今度うちで新しいプロジェクトが発足することになってな」
「新しいプロジェクト?」
「あぁ、俺もさっき社長から聞かされたところなんだ」
「へぇ-!!どんな内容なんですか?」
「39プロジェクトっていうものらしい」
「サンキュープロジェクト?」
「うちの事務所に新しいアイドルを39人追加して劇場を盛り上げようというものらしい」
「新しいアイドル…?」
「そうだぞ、春香達の後輩アイドルができるってことだな」
「後輩…?」
私に後輩ができる…?
アイドルとしてやっと軌道に乗り始めて765プロのみんなも忙しくなってきたこのときに後輩ができてちゃんとやっていけるのだろうか?
「春香?」
「は…はいっ!?」
「どうしたんだ、ボーとして」
「い…いえ、大丈夫ですよ」
「そうか?ならいいんだけど」
プロデューサーさんは一呼吸おいて
「まぁ頼んだぞ、、先輩!」
「は、はい!!」
私が先輩…か…
正直私なんてまだまだだと思っているのに…
美希とかなら誰とでもちゃんと仲良くなりそうだなぁ
千早ちゃんは先輩としてしっかりできそうだなぁ
私には…何ができるだろう?
少しでも先輩らしく
私にできること…
「そうだ!!!」
次の日、私は事務所に居たメンバーに話をすることにした
「ってことで新しく入ってきてくれたアイドルの子達にウェルカムパーティーしたいと思います!!!」
「ウェルカムパーティー?(なの?)」
今は会議室…兼事務所のソファーで千早ちゃん、美希と作戦会議
「まぁ確かに歓迎会をすることはありかしら」
「でしょでしょ!?」
「ミキはなんでもいいのー」
「美希もちゃんと考えてよ!作戦会議なんだから!」
「でも39人も新しいアイドルが増えるのね、私たちもうかうかしてられないわね」
「ミキは簡単には負けないの!」
「美希はいつもどおりにやっても先輩できてそうだよね」
「春香!パン買ってきて!ミキはイチゴロールがいいな♪」
「えぇ!?いきなり何!?」
「先輩っぽくしてみたの!」
「私に先輩っぽくしてどうするの…」
「美希はそのままが良さそうね…」
「話を戻すよ!!ウェルカムパーティーの話なんだけど」
「場所は…」
その後計画を立てて一応まとめてプロデューサーさんのところに行くことをしました
「と言うことを考えたんですけど…どうですか?」
「うん、いいと思う」
「ほんとですか!?」
「まぁどうやってスケジュールを調節するかだよなぁ」
「あっ…どうしよう」
「まぁ、任せとけ」
「大丈夫ですか?」
「俺に任せろって、春香達はパーティの内容でも考えておくんだな」
「…はい!!ありがとうございます!!」
私は新しく来る後輩にどうやったら楽しんでもらえるかと言うことしか頭の中になかった
すこしでも先輩らしくいられるように
うーん、でも先輩らしいって何だろう?
後輩ができるって聞いた時からずっとこの疑問が頭の中でもやもやしていた
さっき美希が言ってたみたいに後輩に仕事を任せたりするのも
確かに先輩像としてよくドラマとかに出くるだけど…
「私に…後輩かぁ」
ふっと言葉に出してみる
実際学校でも後輩はいたにはいたけど
アイドル活動の方が忙しくてあんまり関われなかったなぁ
事務所には年下居るけど後輩って言うよりは仲間?という表現の方が正しい気がする
難しい…
亜美とか真美とかに接する感じなのかな?
うーん…後輩かぁ
仲間…仲間?
「あっ!!そうか!!!」
私の中にある答えができた気がする
先輩としてどうあるべきなのか
そしてウェルカムパーティーの日
新人の子達はプロデューサーさんが連れてきてくれるらしいので
私たちは事務所でパーティーの準備をしながら到着を待っていた
「どんな子達が来てくれるのかなぁ」
「たしかにどんな子達が来るか楽しみね」
「ミキによくしてくれる子が来てくれるといいなぁ、アハッ♪」
今日は結局みんなの仕事はおやすみできるわけがなく
はじめに計画を立てていた私、美希、千早ちゃんの3人が代表で
ウェルカムパーティーを行うことになりました
「何時くらいに来るのかしら?」
「もうすぐ来ると思うんだけど」
「ミキは新人の子達が来るまでお昼寝してるなの♪」
「美希も準備手伝ってよぉ」
なんだかんだいろいろ準備してたら外からわいわいした声が聞こえてきた
「春香、準備できてるか」
といったラインがプロデューサーさんから来ていたのを返すと
千早ちゃんに一言伝えて美希を起こして
みんなを迎える準備を整える
事務所の扉が開いてプロデューサーさんが入ってくる
その後ろから続々と新しいアイドルであろう子達が入ってくる
その中には私達の姿を見つけてびっくりしている子も居る
それもそのはず、今日はみんな事務所の案内という形でここに来ている
「ようこそ!!765プロへ!!!」
私たち3人は手に持っていたクラッカーを一斉に鳴らす
みんなはさらにびっくりしている
さぁ、ウェルカムパーティーのスタートだよ!!
みんなの自己紹介も終わり
最後は私たち3人の自己紹介になった
「ミキなのーよろしくなの♪」
「如月千早です。みんなこれからよろしく」
2人が自己紹介を終えて私の番
私は最近ずっと考えていた自己紹介をする
「天海春香です!」
自分の名前をはじめに言う
みんなは真剣に聞いてくれる
中には年が結構離れた子や
年上の人もいる
そんな中で私が先輩として言える言葉
「まずはじめに、765プロへようこそ!765プロを選んでくれてありがとう!
一応ここに居る3人は先輩って形になるんだけど…実は私、後輩ができるって聞いてからずっと先輩って何なんだろう?って思ってました。」
みんなはまっすぐ私を見る。
ここに居る人たちって理由は何であっても、私たちと同じ夢を見てこの世界に飛び込んできたんだ
みんなに私の思ってること…全部伝えたい!!
「いままで765プロでは先輩後輩って感じはあんまり無かったから…
全然実感沸かなくってすごく悩みました」
千早ちゃんとプロデューサーさんが苦笑しているのが見える
みんなが仲良しで誰が上で誰が下とか
そんなエゴはたぶんダメだと思う
「私はわざわざ先輩後輩にしなくてもいいんじゃ無いかって思ってます。」
新人の子達はびっくりした顔で私を見る
きっとこの子達はこれから下積みが始まる
もちろん私たちも下積みをやってきたのだけども
せめて、仲間の中
事務所の中では落ち着いた場所であって欲しい
「私はここに居るみんなを…
みんなを仲間として迎えようと思います」
仲のいい事務所、それが765プロ
「先輩後輩なんていう垣根の無い、みんなで765プロを作っていきましょう!!」
訪れる静寂
やがて沸き上がる拍手
「春香、いい挨拶だったぞ」
プロデューサーさんは褒めてくれたけど
普通はあり得ないよね、こんなの先輩後輩が嫌だからって逃げたように見えるし
でも、みんないい笑顔をしてくれてるから
あの挨拶は成功?だったのかな
春香の挨拶が終わったあとパーティーは進み
準備していた料理やジュースもほとんど無くなって
もうそろそろお開きになりそうな時に
「プロデューサーさん!!少しお話いいですか?」
新人のアイドル達が何人かが声をかけてきた
「おう、いいけど?どうしたんだ」
「あの…私たちこんな歓迎を受けてお返しをし無きゃダメだと思うんですよ」
「お返しを?」
別に春香はお返しもらっても辞退しそうだなーとは思うけど…
「名前もほとんどしらんかった私たちを仲間として受け入れてくれた人やし…
きっとお返しなんて全く求めてもいないんやと思うんですよ」
「でもこのままじゃきっとダメだと思うんですよ!!」
「うーん、お返しかぁ」
「なにかありませんか?」
必死な目で俺を見つめる
きっとさっきの挨拶が心に響いたんだろう
この子達も芸能界では先輩後輩が激しい思ってたのだろう
正直その手の話はよく聞くし、有名な人がテレビでもよく言ってる
実際他の事務所ではどうなのかわからないけど
うちの事務所の子達はそんなことはしないと思ってるし
やっぱりこの子達にとっては不安が一つ無くなって救われたのかもしれない
「わかった、それだったら…」
おれは春香の次の仕事に関わることをこの子達に任せることにした
数日後
「プロデューサーさん!!この間のお話こんな感じで良いですか?」
新人の子達が一枚の紙を見せてくる
「これは…あぁ!!良いと思うぞ!」
「それじゃあ…」
「これで春香の新しい衣装を作ってもらおう!!」
「やったぁ!!」
「って言うことがあったんだ」
「…そうだったんですか」
「みんななりの春香への恩返しだったんだろうな」
「みんな…ありがとう…!!」
「あっ!!しまった!!」
「え?ど…どうしたんですか?」
「いや、こんな話したら春香は気負いすぎるんじゃ無いかってことで、みんなから内緒にするように言われてたんだった…」
「ええっ!?」
「すまん…聞かなかったことにしてくれないか?」
「そんな器用なことできませんよ~!」
「そこをなんとか!頼む!!」
「…しかたないですね」
「助かる…」
「とにかくそういうことなら…この衣装で失敗なんてできませんよね?」
春香はどこか期待と喜びに顔を輝かして
「今から特別レッスン、お願いします!!」
仲間からもらった感謝に対して、仲間として、そして先輩としてその背中でみんなを引っ張っていってくれることだろう。
ここまでのお付き合い、ありがとうございました
またいつかお会いしましょう
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