二宮飛鳥「七夕アフター」 佐藤心「そうめん食べるぞ☆」 (16)

的場梨沙「飛鳥の短冊の中身を知りたい」
的場梨沙「飛鳥の短冊の中身を知りたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436436253/)

と若干つながっているところがあります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499520754

7月8日 朝


心「あっつー……まだ7月なのになんて暑さ……日差しに殺されちゃう」

心「このままだと、8月が終わるころには溶けて本来の姿を保っていられないかも……はぁとがはぁととしての形を失ってしまう……」

心「………」


心「今のセリフ飛鳥ちゃんぽくなかった?」

梨沙「そう?」

心「いやぁ、一緒に過ごしているうちに口調がうつるとは、仲良くなってる証拠だな♪」

梨沙「本物の飛鳥、違うセリフ言いそうだけどねえ」

心「そんなことないって! きっと飛鳥ちゃんも今日の天気について聞かれたら同じこと言うって!」

梨沙「そうかしら……って、あそこの前歩いてるの飛鳥じゃない?」

心「お、ホントだ。ナイスタイミング♪」

梨沙「事務所に着く前に3人そろうなんて珍しいわね。おーい、あすかーー!」

飛鳥「……ん。ああ、キミ達か。おはよう」

心「おはスウィーティー☆」

梨沙「おはよ。早速だけど飛鳥、今日の天気についての感想言ってよ」

飛鳥「今日の天気?」

飛鳥「………」


飛鳥「暑い」

心「思ったより10倍短い!」

梨沙「残念ね! これが正解よ」

飛鳥「なんの話をしているんだ?」



飛鳥「――なるほど、そういう流れか」

心「飛鳥ちゃんならもっと情緒あふれるセリフを言ってくれると思ったんだけどなー」

飛鳥「期待を裏切ったようで悪いけれど、ボクだっていつもいつも詩的なことばかり言えるわけじゃないよ」

梨沙「自分で自分のセリフを詩的って言うんだ」

飛鳥「あと、寝起きは頭が回らない」

心「スロースターターだね♪」

梨沙「まあ、暑い時は暑いって言えれば十分よね」

飛鳥「まったくだ。毎年毎年思うけれど、日本の夏はヒトが生きるには暑すぎる」

心「はぁともこうまで暑いとさすがにまいっちんぐ☆ 汗かいてお化粧も落ちちゃうし、猛暑は女の敵だわ♪」

梨沙「お化粧かぁ……アタシも、もっとオトナっぽいメイクしてみようかしら」

飛鳥「梨沙は今のままでいいと思うけどね。かわいげがあるから」

梨沙「そ、そう? ありがと」

飛鳥「うん。キミにはそういう顔が一番似合っている」

梨沙「……なんか今日の飛鳥、やけにストレートね」

心「寝起きは頭が回らないから素直なんじゃない?」

事務所にて


梨沙「おはようございます」

飛鳥「おはよう」

心「おはスウィーティー……あ゛あ゛~~~クーラーが効いてて生き返る~~」

P「おはよう、みんな。あと心さん、女性がそういう声出すのはちょっと」

心「だって外暑いんだもん♪ やっぱり屋内最高!」

P「朝から元気ですねー。元気ついでに、これの片づけ手伝ってくれませんか」

心「これ? ああ、七夕の笹と短冊」

飛鳥「昨日で七夕も終わったから、お役御免というわけか」

梨沙「せっかくみんなでお願い事書いたのに、片付けちゃうのはなんかもったいないわね」

P「気持ちはわかるけど、ずっと置いてるわけにもいかないしな」

飛鳥「終わりがあるからこそ、その存在はいっそう輝きを増す。桜の花と同じで、風情とはそういうものさ」

心(飛鳥ちゃんの頭、冴えてきた?)

P「短冊は一度持ち主のところに返そうと思ってるので、笹から外すときは丁寧にお願いします」

心「オッケー☆ はぁとにおまかせ☆」

梨沙「アタシも手伝ってあげる!」

飛鳥「ボクも、レッスンまで少し時間があるから」

P「ありがとう」

飛鳥「気にしなくてもいい。今一度、自らが七夕に託した願いを振り返るいい機会だから」

心「飛鳥ちゃんのポジティブ思考、好きだぞ☆」

梨沙「ん、しょっと……あ。これハートさんの短冊だ」

心「どれどれ? おー、ホントだ。読んでいいよ?」

梨沙「えーと……『トップアイドルになって、引退後は幸せな家庭を築きたい☆ 聞いてるかプロデューサー☆』」

P「どうして俺に向けて願ってるんですか。織姫と彦星に願ってくださいよ」

心「………察しろ☆」

P「返答に困る……」

飛鳥「あ。これは梨沙の書いた短冊だね」

心「え? でもこっちにもあるよ?」

P「短冊はひとり一枚のルールだったはずだけど……」

梨沙「あー。一応、そのルールは守ってるわよ? ほら、ハートさんの持ってるほうの短冊見て」

心「『飛鳥の胸が雫くらいになりますように  的場梨砂』……まずお願いの中身にツッコミたいんだけど」

梨沙「それ、梨沙じゃなくて梨砂って書いてるでしょ? だから別人が書いた短冊なのよ」

P「グレーゾーンだけど、まあ他人のために願ってるからセーフにしよう」

飛鳥「ボクとしてはセーフにしたくないんだけど」

梨沙「いいじゃないのよ。ほら、晴とありすもアタシと同じお願い事書いてくれてるわよ。この短冊いる?」

飛鳥「いる? と聞かれても」

心「でも、好意であることには間違いないよね♪ もらっとくとご利益あるかもしれないぞ~?」

飛鳥「………理解った。もらっておこう」

飛鳥「ありがとう……と、言うべきなのかな」

梨沙「そうそう! 感謝しておきなさい!」ニコニコ

飛鳥「梨沙じゃなくて梨砂に感謝しているだけだよ、ボクは」

梨沙「んぐっ……言い返せない……」

飛鳥「ふふっ」


翌日


梨沙「………」

飛鳥「梨沙、どうかしたのかい。ぼーっとしているようだけれど」

梨沙「うーん。やっぱり物足りないなーって」

飛鳥「物足りない?」

梨沙「そこのスペース。この前まで笹が置いてあったから、なくなっちゃうと寂しいのよね」

飛鳥「ふむ……確かに。少し味気なさを感じるね」

梨沙「でしょ? 笹の代わりに、あそこになにか置きたいわね……」



心「ふっふっふ……そういうことなら、今ちょうどぴったりのものを買ってきたぞ☆」ガチャリ

梨沙「あ、ハートさん。って、なにその大きな箱」

飛鳥「雪美と薫と一緒に買い物に行くと言っていたが……それが戦利品かい?」

心「そ♪ これこそが、夏の暑さとともに七夕ロスも吹き飛ばす商品!」

心「その名も!」

薫「そうめん!」ヒョコッ

雪美「スライダー……」ヒョコッ

飛鳥「そうめんスライダー……?」

梨沙「それって、アレよね。流しそうめんするための道具よね」

飛鳥「へえ。プールのウォータースライダーを模した形になっているのか。エンターテインメントに富んでいるね」

心「しかも全長5メートル☆」

薫「すごーい!」

雪美「流しそうめん……」ワクワク

梨沙「もしかしてこれ、事務所に置くつもり?」

心「もち☆ 夏はみんなで流しそうめんって決まってるし♪」

梨沙「3回くらいで飽きそうな気はするけど」

心「そんなことないって! ちゃんといっぱい遊ぶから!」

梨沙「ホントに? ちゃんと手入れもする?」

心「するする♪ ね、雪美ちゃん? 薫ちゃん?」

雪美「………」コクコク

薫「使った後はちゃんと洗ってお片付けするー!」

梨沙「………よし! ならいいわ!」

心「やった☆」

薫「やったー!」

雪美「………」ガッツポ


飛鳥「………」

飛鳥(嘆願する方と許可を出す方、年齢が逆じゃないだろうか……)

その後


心「それじゃ、流すぞ~~」

薫「いっぱい食べたいなー!」

雪美「……頑張る………」

梨沙「ふふん、アタシの腕を舐めないほうがいいわよ? パパにお箸の使い方褒められてるし!」

飛鳥「季節感溢れる食事と遊びの融合……混ざり合いに心が躍るな」

心「なんだかんだ全員ノリノリだね♪ よーし、スウィーティーにいっぱい流しちゃうぞ☆」



薫「あ、とれた! 一本だけ緑色だ!」

雪美「……ピンクのそうめん……とれた」

梨沙「そうめんって時々違う色の麺が混ざってるわよね。あれってなんでなのかしら」

飛鳥「そうしたほうが見た目がよくて趣を感じられるから、とか聞いたことがあるね」

心「その辺は歴史をたどるといろんな理由がありそうだねー」

薫「あのねあのね! 愛媛県にはぜーんぶピンク色のそうめんとか、ぜーんぶ緑色のそうめんとかあるんだよ! 白いそうめんとあわせて、五色そうめんっていうの!」

飛鳥「そういえば、薫は愛媛出身だったね」

梨沙「晴と同じね」

雪美「全部ピンクのそうめん……食べたい……」

心「はぁともちょっと気になる♪ でも、今日は普通のそうめんしか買ってきてないから……」

心「………」

飛鳥「? どうしたの、ボクをじっと見て」

雪美「………」ジーー

雪美「……飛鳥の髪の……ピンク色……」

飛鳥「これは違うっ」

心「ダメかー」

梨沙「さすがにダメに決まってるでしょ」

薫「今度は五色そうめんたべたいねー!」

………

……


飛鳥「………」

P「飛鳥、なにを見ているんだ?」

飛鳥「あぁ。昨日、懐かしいものが部屋から見つかってね」

P「懐かしいもの? どれどれ」

P「飛鳥の胸が雫くらいになりますように……って。これ、昔梨沙が書いた短冊じゃないか」

飛鳥「あの時もらって以降、なんだかんだと捨てられなくてね。今の今まで部屋に置き続けていたらしい」

P「やけに状態がいいけど、割と大事に保管していたのか?」

飛鳥「さあね。当時のボクに聞いてくれ」フフ

P「そうか……でも、ご利益はあったみたいだな」チラリ

飛鳥「まあ、雫さんには遠く及ばないけれど。成長はしたね」

飛鳥「願い事の実現に10年かかったよ」

P「織姫と彦星に短冊の願いが届くまで、時間がかかったのかもしれないな」

飛鳥「そういう解釈にしておこうか。ロマンがあるから」

飛鳥「時の流れの中で、過去が希望をくれる。全ては糸のように繋がっているのかもしれない」

P「そういう糸は、大切にしたいな」

飛鳥「同感だ」

飛鳥「そうだ。時の流れ、糸といえば」

P「なに?」

飛鳥「時代を経て、新発売のそうめんスライダーはついに全長25メートルになったらしい」

P「さすがに長すぎて不便じゃないか?」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
七夕に書けなかったので七夕の次の日の話を書きました。そうめん食べたい

シリーズ前作
二宮飛鳥「雨の日」

その他過去作
小松伊吹「キス魔奏」
橘ありす「凛さんって、顔文字とか使わなさそうですよね」
などもよろしくお願いします

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