絵里「おやつ失踪事件」 (29)
凛「でね、にこちゃんたらおかしいんだよ」
絵里「へえ。にこは面白いわね」
凛「うん。そうなの。にこちゃんは面白いにゃ~」
ガチャ
絵里「あら?まだ皆んな来てないのね?」
凛「みたいだね」
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絵里「皆んなが来るまで二人でおやつでも食べてましょうか?」
凛「え?おやつなんてあるの?」
絵里「ええ。さっきことりに貰ったの。ことりの手作りよ」
凛「え~なんで絵里ちゃんだけ貰ってるの?」
絵里「たまたま会ったからよ。いいでしょ?凛も食べれるんだし」
凛「ま~そうだね」
絵里「でしょ?」
ガサゴソ
絵里「あれ?おかしいわね?」
凛「どうしたの?」
絵里「ない…ことりから貰ったお菓子がない…」
凛「ええ?どうして…」
絵里「誰か…勝手に食べたわね」
凛「え?凛じゃないよ?」
絵里「わかってるわよ。さっきまで一緒にトイレに行ってたんだから」
凛「凛達がトイレに行った後に来た人が勝手に食べたのかな?無用心に鞄を置きっぱなしにするから。でも勝手に鞄の中身を見る人なんているかな?」
絵里「いや…私もしかしたらトイレに行く前にお菓子を出したかもしれない。うん、出した。鞄から出したわ」
凛「え?本当に?凛気がつかなかったにゃ」
絵里「はあ…そうするとやっぱり誰か勝手に食べたわね」
凛「凛のおやつを…許せないにゃ~」
絵里「まあ、犯人はなんとなく想像ついてるわ。過去に似た様な事があったから」
凛「そうなんだ」
絵里「ええ。三人居るんだけど一人はアリバイがあるから二人のうちどっちかね」
凛「え?そうなの?一人はアリバイあるの?」
絵里「私とずっと一緒にいたからね」
凛「え?絵里ちゃんと一緒に居たのって凛だけだよ?」
絵里「そうよ?前に凜と穂乃果と希とで私のチョコレート勝手に食べたの忘れてないわよね?」
凛「…」
絵里「凛?私が言いたい事分かるわよね?」
凛「凛、怒られるの?」
絵里「怒らないわよ…どうしてそうなるの。いまの話で凛もなんとなく犯人が絞れたでしょ?」
凛「本当に凛じゃないからね?」
絵里「だから、分かってるから。食べたかもしれないお馬鹿さんを連れてきて頂戴?」
凛「え?なんで凛が?」
絵里「過去の贖罪よ」
凛「え~」
ガチャ
凛「絵里ちゃん連れてきたよ?」
絵里「早かったわね?」
凛「廊下歩いてたもん」
絵里「そう…って、ええ?」
にこ「何よ用事って?」
絵里「えっと…にこ、ちょっと待ってて」
にこ「はあ?」
絵里「凛?なぜにこを連れてきたの?」
凛「絵里ちゃんが言ったから」
絵里「私…にこを連れて来てって言ったかしら?」
凛「お馬鹿を連れてこいって…」
絵里「凛…あなたね…私の話聞いてた?」
にこ「ちょっと、どういう事?今にこの事馬鹿って言った?」
絵里「いや、違うのよ。私のお菓子を勝手に食べた人がいるみたいでね?過去にも私のチョコレートを勝手に食べたお馬鹿さんがいるから連れてきてって凛に頼んだのよ」
にこ「………はあああ?どういう事よ凛?私の事馬鹿だと思ってるの?」
凛「ん~」
にこ「嘘でも否定しなさいよ!にこのどこが馬鹿なのよ。ねえ、絵里?にこは馬鹿じゃないわよね?」
絵里「えっと…」
にこ「なんで返答に困ってるのよ。ふざけてるの?馬鹿はあんた達じゃないの?」
絵里「と、とりあえず。一応聞いておくけど私のお菓子を勝手に食べたのはにこじゃないわよね?」
にこ「違うに決まってるでしょ?馬鹿呼ばわりした上に疑うわけ?」
絵里「違うのよ。ごめんなさい。一応形式上聞いておこうと思っただけだから。犯人はなんとなく分かってるからね?」
にこ「全く…ふざけんじゃないわよ」
絵里「お、怒らないで?犯人が見つかってお菓子が返ってきたらにこにも分けてあげるから」
にこ「返ってきたらって何よ?食べられちゃったんでしょ?」
絵里「あっ、そうか」
にこ「そうかじゃないわよ…どっちが馬鹿なんだか…」
凛「それはどう考えても絵里ちゃんよりはにこちゃんの方だにゃ」
にこ「はあ?」
絵里「お願いだからこれ以上煽らないで…話をややこしくしないで」
絵里「とりあえず凛?にこの他に居るでしょ?食いしん坊のお馬鹿さんが」
凛「かよちんはお馬鹿なんかじゃないにゃ!馬鹿って言った方が馬鹿にゃー!」
絵里「誰も花陽の話なんかしてないわよ」
にこ「その理屈でいくとにこの事を馬鹿呼ばわりしたあんたも馬鹿になるからね?まあ、馬鹿だけど…」
絵里「ねえ?私が言ってるのは穂乃果と希の事よ?」
凛「だったら最初からそう言うってよ」
絵里「話を聞いてればわかるでしょ?」
凛「お馬鹿さんを連れてこいなんて回りくどい言い方するからいけないんだよ」
絵里「もう…わかったから。私が悪かったから穂乃果と希を連れてきて」
ガチャ
凛「連れてきたよ」
穂乃果「何かな?何かな?お菓子の話って何かな?」
希「もしかしてお菓子をくれるん?えりち太っ腹やなぁ」
絵里「…凛?二人になんて言って話したの?」
凛「絵里ちゃんからお菓子についてのお話があるから来てって」
穂乃果「絵里ちゃん?お菓子がどうしたの?」
絵里「あのね…」
希「もったいぶらなくてもいいやん。お菓子くれるんやろ?えりちの事やから…チョコレートかな?」
絵里「二人とも…私のおやつを勝手に食べてないわよね?」
穂乃果「え?」
希「は?」
にこ「なんとなく想像つくわね」
絵里「あの…私のおやつが消えたのよ」
穂乃果「もしかして…お菓子貰えないの?期待させといて?」
希「いや、むしろ疑われてるやん。なんでウチ等疑われとるん?」
絵里「いや、だって過去に私のおやつを勝手に食べた事があったでしょ?」
穂乃果「あったけど今日は違うよ」
希「そうやって。ウチ等ちゃうよ!あれやない?にこっちやないの?」
にこ「だから、私は違うってば」
絵里「うん。なんとなく入ってきた時の感じで二人が違うってのは分かったわ」
凛「え?違ったの?じゃあ、穂乃果ちゃんも希ちゃんもにこちゃんも馬鹿って言われ損?」
穂乃果「え?どういう事?」
希「ウチ等居ないところで馬鹿呼ばわりされてたん?」
絵里「いや…」
穂乃果「酷いよ!穂乃果馬鹿じゃないもん!」
希「えりち酷いなぁ。ウチ傷ついたわぁ。これはもう帰りにパフェ食べないと立ち直れんわぁ」
絵里「わかった。ごめんなさい。奢るから。二人にパフェ奢るから。ね?」
凛「え?凛は?一番動いてる凛には何もないのに二人には奢るの?」
にこ「にこが一番の被害者なんだけど?」
絵里「被害者は私のはずなんだけど…」
希「まあまあ」
穂乃果「あれ?そう言えば海未ちゃんは?先に部室に行ってるって言ってたのに居ないなぁ?」
絵里「え?いや、でも海未に限って」
にこ「いや、海未よ?何か天然起こして食べた事もありない事もないわよ?」
絵里「そう…かしら?」
穂乃果「え?海未ちゃん疑ってるの?」
希「流石にありえんやろ?」
絵里「そ、そうよね?」
希「えりちが食べた事忘れただけとかやないの?」
絵里「食べた事を忘れるなんてあり得るわけないでしょ」
にこ「それこそ馬鹿よね」
にこ「真姫はもっとありえなさそうだし」
希「外部の犯行とか?」
絵里「花陽…我慢できなくなっちゃったなんて…」
にこ「なきにしもあらずだけどね」
ガチャ
海未「お疲れ様です」
穂乃果「あっ!?海未ちゃん?」
絵里「海未?あの…」
海未「穂乃果!あなたまた生徒会の資料を出すの忘れていたでしょう?」
穂乃果「え?」
ことり「さっきまで二人で資料作り直してたんだよ?」
穂乃果「ご、ごめん」
絵里「ことり…」
ことり「あっ!?絵里ちゃん?さっきのお菓子なんだけど」
絵里「ごめんなさい」
ことり「え?」
絵里「せっかくことりがくれたのに誰かが勝手に食べちゃったみたいで…」
ことり「え?絵里ちゃん?何を言ってるの?」
絵里「だから…」
ことり「はい、これ」
絵里「え?このお菓子は?」
ことり「さっき両手が塞がってるからって後で渡すねって言ったでしょ?」
絵里「あっ…」
穂乃果「え?どういう事?」
絵里「私に…日直でノートを集めて職員室に行く途中で…手が塞がっていたから」
凛「さっき鞄から出して置いといたって言ってなかったっけ?」
絵里「思い込み…みたい」
にこ「何よそれ」
希「えりち…」
ことり「あっ!もちろん全員分あるからね?」
にこ「凛…お馬鹿さんはあなたと一緒にいたみたいね」
絵里「ご、ごめんなさい」
希「まあ、ええやん」
穂乃果「そうだよ。ことりちゃんがお菓子くれるみたいだしね!皆んなで仲良く頂こうよ」
ことり「え?穂乃果ちゃんと希ちゃんとにこちゃんには朝あげたよね?カップケーキ」
穂乃果「え?」
希「あっ!」
にこ「あれだったの?」
絵里「あなた達…貰ってたの?」
穂乃果「てっきり朝ごはんにと…」
希「えりちがお菓子って言うから…」
にこ「カップケーキの事だったのね…」
海未「あなた達…大丈夫ですか?」
凛「全員おバカにゃ」
ことり「はい。凛ちゃんの分」
凛「にゃ~美味しそうだね」
真姫「ことりごくれたカップケーキ…美味しいわね」
花陽「うん。ことりちゃんケーキも上手に作れて凄いよね」
完
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