【艦これ】提督(電車に乗るのも久しぶりだなぁ……) (31)



※鬱で重い展開あるよ!

※現実だとどうなるかは運次第? こうなったら祈ってね!

※艦これでやる必要ない? 違うんだ「艦これでもないと綺麗に落とせない」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498991295



 夏の夕暮れ、横須賀へ向かう電車は帰路へ就く人たちで溢れていた。

提督(あーこの感じ懐かしいなぁ……)

提督(会議が大本営で開かれたから、久々に電車乗ったけど、
   この人で一杯の感覚は社会人時代を思い出すなぁ)

提督(あの時は毎朝毎晩の満員電車が当たり前だったし)

提督(鎮守府なんぞに勤めることになってから、専ら車で移動になったけど、
   やっぱこの感じは電車じゃないと味わえないなぁ)

提督(わざわざ私服に着替えて乗った甲斐もあったかな)

提督(車窓から流れる景色をダラダラ見るのもいいなぁ、ビルばっかりだけど)

提督(んーこの当たり前の風景を守ってるんだよなぁ、実働は艦娘が全部やってるんだけどね)

提督(よっし、これからも頑張るぞ!)



女「この人痴漢です!」

そう叫ぶと女性は提督の右腕を掴んだ。

正義マン1「取り押さえろ!」

正義マン2「痴漢だ! 痴漢だ!」

正義マン3「女の敵!」

提督「わっ!?」

提督はあっという間に三人の男に組み伏せられた。

女「この人が私のお尻を……」

正義マン1「許せん!」

正義マン2「私人による現行犯逮捕だ!」

正義マン3「か弱い女性を狙った犯行、許せるものではないぞ!」

提督「待て! 待て一体何なんだ! 触ってなんかいないぞ!」

女「本当なんです、この人が私のお尻を!」

正義マン1「嘘をつくな!」

正義マン2「このハゲ!」

正義マン3「阪神の青柳みたいな頭しやがって!」

提督「ハゲは関係ないだろぉ!」



警官「で、その女性の尻を触ったと」

提督「違います! 私は何もやってません!」

警官「やかましい! やった人間はみんなそう言うんだ!」

提督「じゃあやってない人間はどう言えばいいんです!」

警官「いちいち口答えするな! 素直にやったと言えばいいんだ!」

提督「素直にやってないってのを聞いてくださいよ!」

警官「頑固な奴め! 留置所に入ってろ!」

提督「頑固なのはそっちでしょうが! ちゃんと目撃者とか探してくださいよ!」





元帥「うむ、分かった、報告ありがとう。それでは……」

元帥「まずいな……」

秘書「どうかされました?」

元帥「横須賀へ向かう電車で提督君が痴漢で捕まったそうだ」

秘書「本当ですか!?」

元帥「あぁ本当らしい、騒ぎにならんようにマスコミには緘口令が引かれたが、
   痴漢かぁ、彼はやっていないよな」

秘書「彼の鎮守府での評判を聞く限りは、艦娘に一切セクハラをしない提督だそうですが」

元帥「珍しい位に潔癖な男だな。ふつう軽いセクハラ位はあると思うのだが」

秘書「艦娘の人って何だかんだ甘いですからねぇ。
   しかしそんな人が痴漢なんてするんでしょうか?」

元帥「しないだろうな、だが、現に逮捕されている。状況が掴めないな。
   秘書君、提督君へ面会に行ってもらえないか? 着替えなんかも必要だろう」

秘書「分かりました、閣下はどうされます?」

元帥「セクハラ無しのホワイト提督が逮捕されたんだ、彼の鎮守府での動揺は激しいだろう。
   それを抑えに行かねばならん」

秘書「確かにそうですね、では私はこれから提督の捕まった警察署の方へ行ってまいります」

元帥「あぁ、よろしく頼む。これから忙しくなるな……」



提督「あ、秘書さん……」

秘書「会議ぶりですね、こんなところで会うとは思っていませんでしたが」

提督「すみません……」

秘書「謝る必要はありませんよ。貴方やってないんでしょう?」

提督「はい! それはもう……」

秘書「とりあえず着替えと下着を持ってきました。辛いことになるかもしれませんが、
   どうか心を強く持ってください」

提督「はい……」

秘書「で、一体全体どうして捕まったんですか?」

提督「それは私が聞きたい位ですよ。いきなり前に居た女性が痴漢です!って叫んだと思ったら、
   あっという間に周りにいた連中に押さえつけられまして、
   そして気が付けば警察で取り調べを受けて……」

秘書「本当一瞬のことだったんですね」

提督「そうです、何が何だかさっぱり分かりませんよ」

秘書「無罪を証明できる目撃者なんかは居なかったんですか?」

提督「それが分かれば苦労しないですよ。本当すぐに警察に連れていかれましたからね」

秘書「んー、目撃者探しから始めないと駄目ですねこれは。
   あと弁護士は大本営の顧問弁護士が居ますから、その方にお任せしましょう」

提督「そうして下さると助かります。弁護士のあてなんてありませんから」

秘書「ではそういうことで、面会時間も終わりそうですし、一旦帰りますね。
   それではまた」

提督「わざわざ来てくださって、ありがとうございます」

秘書「貴方はセクハラもしないホワイト提督だそうですからね、無罪を信じていますよ」

提督「ありがとうございます!」




元帥「という訳だ、君たちの提督は現在警察に拘束されている」

大和「何ですって!?」

武蔵「どういうことかさっぱり分からないz……、ですね」

加賀「頭に来ました」

赤城「加賀さん、抑えてください。今は提督が帰還されるのを待つのみです」

雪風「雪風は信じています! しれぇは無罪です!」

時津風「そうだよ、そうだよ!」

元帥「私も彼の無罪は確信しているが……、どうなるかは私にも分からん。
   今秘書を彼の元へと行かせ、着替えなぞも持たせているが……。
   他に何か必要なものはあるか? 例えば持病の薬とか」

長門「洗面所のリアップは、必要でしょうか?」

元帥「それは彼には諦めてもらうべきだな」

陸奥「ストレスでますますハゲないといいけど……」

吹雪「司令官は特に持病は無かったはずです、頭頂部以外は」

元帥「それならばひとまずは安心か。だがしばらく提督不在になるから、
   君たちにも少し守ってもらわねばならんことがある」

朝潮「お伺いします」

元帥「まず出撃と遠征は彼が帰還するまで停止。
   そして訓練はして構わんが、実弾は使ってはならん。念のため私の配下を弾薬庫に置いておく」

妙高「当然の措置ですね」

元帥「後は私の権限でここが回るように手配しておく、食料などはいつも通りに配給されるだろう」

神通「ありがとうございます」

元帥「君たちには辛い時間だろうが、どうか提督君を信じて、待っていてほしい」

艦娘たち「かしこまりました!」






曙「全く、何やってんのよあのクソ提督は!」

潮「提督はやってないよ!」

曙「だったら何で捕まってるのよ!」

潮「そんなこと、分からないよ!」

朧「二人とも、ケンカは駄目だよ」

漣「ご主人様の黄金の右手が誤作動したのかな?」

朧「そんな訳ない! きっと何かの間違いなんだ!」

漣「冗談よ、冗談。ご主人様はむやみに女体に触れる方じゃあないのです」

潮「そうだよね」

曙「クソ提督、早く帰ってきなさいよ……!」




龍驤「ひょえぇぇぇ、痴漢で捕まったらほぼ有罪ってホンマか!?」

瑞鶴「ここにそんなことについて書いてる本なんてないから、ネットで軽く調べたんだけど……、
   捕まったらまず痴漢だって言った女性の意見が通るそうよ」

龍驤「やっててもやってなくてもか?」

瑞鶴「目撃者が居れば話は別なんでしょうけど、居るのかなぁ?」

龍驤「居らんかったらどないなんねん」

瑞鶴「居なかったら……、やっぱり書類送検されて裁判まで進むのかな?
   で、裁判まで言った場合はほぼ有罪みたいね」

龍驤「裁判ってちゃんとやってるんちゃうん?」

瑞鶴「なんかねぇ、調べたら本当酷いのよ。手が動かない人が最高裁で、
   『その時だけ手が動いた』ってことで有罪になったし、
   防衛医大の教授が捕まった時は辛うじて無罪になったみたいだけど、
   最高裁まで進んで無罪判決が出るまで何年もかかったらしいし……」

龍驤「あかんやん!」

瑞鶴「だから、提督が無罪だって言ってくれる人を見つけないとダメかな」

龍驤「どうする? 鎮守府総出で探すか? 確か横須賀行の電車やっけ?」

瑞鶴「そうよねぇ、探すしかないわよね、秘書艦の吹雪ちゃんに許可貰ってこようか」

龍驤「せやな。忘れられんうちに探したほうがええわな。じゃ行こか」

瑞鶴「行きましょう!」




吹雪「ええと、すみません外出許可が出ないと、鎮守府の外に行っちゃだめなんです」

龍驤「あちゃ~。司令官が居らな外出許可も出されへんか!」

瑞鶴「大淀さん、何とかなりませんか? 目撃者が居れば何とかなるかもしれないんです!」

大淀「難しい、ですね。今のところ騒ぎにはなってませんけど、
   血の気の多い子が警察署を襲撃したりしたら大変なことになりますし……。
   元帥閣下の麾下の艦隊の方が居ますし、そちらから元帥閣下に許可を貰えば何とか……」

龍驤「そういや今は元帥閣下の権限でこの鎮守府動いてるんやったな。聞いてくるわ!」

瑞鶴「じゃあ私も! ありがとうございましたー!」

吹雪「外出許可、出るんでしょうか?」

大淀「難しいと思いますよ。元帥閣下はお忙しい方ですし、
   下手なことになったらそれこそ海軍を巻き込んだ騒動になりますし、
   それに目撃者を探すんでしたら、元帥閣下もやってるでしょうし、
   許可が出るとは思えませんね。元帥閣下の指示に従っているという形であるとはいえ、
   今は提督不在で、私たちのコントロールが効きにくい状況でしょうし」

吹雪「そうですか、司令官は大丈夫ですよね」

大淀「間違いなく大丈夫でしょう、あんないい方は居ないと思いますし」

吹雪「ですよね!」

大淀(そういえば「それでも僕はやってない」のDVDはここにはありませんよね。
   あれを見られるとちょっと不味いかもしれません……
   あったら今のうちに処分しておきましょうか)





元帥「で、私の部下が痴漢容疑で警察に捕まったんだ、弁護をお願いできないだろうか?」

顧問弁護士「痴漢、ですって……!?」

元帥「無論、彼はやっていないだろう。だがそれを証明してくれる者も、
   今のところ居ないようだ、だからこそ、弁護士の力が必要なのだが……」

顧問弁護士「キィィィィ! 女の敵!」

元帥「どうかしたのかね?」

顧問弁護士「そんな女の敵の弁護はお断りします! では失礼します!」

元帥「待ってくれ! 誤解だ! 彼がやったという証拠は何一つないんだ!
   目撃者さえいれば何とかなるんだ!」

元帥「行ってしまったか……、やはり女性だとこういうのは難しいのか?
   それとも彼女の信念の問題か……?」

元帥「とりあえず新しい弁護士と、後は目撃者探しだなぁ」

元帥「次の弁護士はうまくやってくれるといいが……」



秘書「申し訳ありませんが、顧問弁護士の方が何かトラブルがあったようで、
   現在新しい弁護士を探しているところなんです」

提督「そう、ですか……」

秘書「艦娘の方に聞いたところ必要なものはリアップ位しかなかったそうですが、
   何か困ったことはありますか?」

提督「そうですね……、とりあえず週に風呂が二回というのはちょっと困りますね。
   あと煙草も吸えないのが……」

秘書「煙草、吸えないんですか? お風呂が週に二回というのも驚きですが……」

提督「刑務官の方に聞いたんですが今は全面禁煙だそうで、全く何でこんな目に……」

秘書「お察しします……。弁護士の方さえ見つかれば、我々も次の手を打てますので……」

提督「お願いします、あいつらの面倒を見れないのが本当残念で……」

秘書「現在鎮守府の方は元帥閣下の権限で動かしていますので、ご心配なく」

提督「それを聞いて安心しました。ここを出たら真っ先に元帥閣下の所にお礼に行かないとですね」

秘書「まずはあなたの無罪を証明するところからですね、我々も手を尽くします」

提督「よろしくお願いします!」



一般弁護士「了解しました、その件、私にお任せください!」

元帥「よろしく頼む! ではまず我々は何をすればいい?」

男弁護士「そうですね、この場合ですとやはり目撃者を見つけるのが第一かと思われます。
     看板を立てるなり、聞き込みを行うなり、ですね」

元帥「大本営からも人を私の権限で出す、よろしく頼んだぞ」

一般弁護士「任されました!」

元帥「とりあえずこれで安心かな……、後は鎮守府の艦娘のフォローでもやっておくべきか。
   戦闘できるとはいえ、慕っている提督が急にいなくなったのだからな」

元帥「全く、どこのどいつだあの提督君を痴漢なんぞで訴えた奴は……」

一般弁護士「あ、そういえば鎮守府の提督さんなんですよね、今回の依頼の件は」

元帥「あぁ、そうだが何か問題でも?」

一般弁護士「大本営から出る方って、艦娘だったりします?
      もしそうだとすると、かなり艦娘の方って目立つので止めてもらいたいのですが」

元帥「それはまた、どうしてだ?」

一般弁護士「今回の件、ニュースになっていませんので、マスコミには緘口令を敷いていますよね?」

元帥「あぁ、そうだが、捜査の段階で痴漢なぞと決めつけられたら海軍には大変な打撃だ」

一般弁護士「目立つ艦娘さんがウロウロすると、海軍で何かあったかと、
      余計な詮索をする一般人やジャーナリストも出てくると思いますんで、
      人手はあくまで一般人にしていただけませんか?」

元帥「ううむ、言われてみればそうだな、事が公になって、海軍への批判が出てくると、
   彼を守ることも難しくなるな。私の首だけじゃ済まない問題にもなる」

一般弁護士「そうです、なのであくまで人間の方に協力して頂きたいと思います」

元帥「分かった、そのように手配する。とりあえず彼の鎮守府で外出許可を出さなくて良かったな。
   彼の艦娘も捜索に参加してがっていたが、万が一のために止めていたんだ」

一般弁護士「いい判断です」




元帥麾下大和(以下元帥大和)「ですから、それは認められません!」

翔鶴「何故私たちが目撃者を探したら駄目なんですか!」

雲龍「このまま待っているのは、辛い……」

足柄「勝利を掴むためには、地道に足で捜さないと!」

元帥武蔵「そうは言ってもだな、大本営でも弁護士を探してその辺りのことは手を付けている。
     素人が出張っても邪魔になるだけだぞ」

蒼龍「でも私たちにもできることはあるはずです!」

飛龍「そうです!」

元帥加賀「今は大人しくしておいて、騒動になったらそれこそここの提督を庇えなくなるから」

大鳳「そう、ですか……」

由良「仕方ない、ですね」

元帥阿武隈「ご理解、下さい」





警官「いい加減に認めたらどうだ! あの女性はお前に触られたと言っているんだ!」ダン!

提督「いい加減に理解して下さい、私は何もやってません!」

警官「懲りない奴だな……、海軍だからって警察を舐めるんじゃねぇぞ!」

提督「海軍だろうと何だろうとやってないものはやってないんです!」

警官「この女の敵がぁ!」

提督「決めつけないでくれませんかねぇ!」

警官「やかましい! そのハゲ頭のせいでモテなくて犯行に及んだんだろう!
   わかっているんだぞ!」

提督「ハゲは関係ないでしょう、ハゲは!」

警官「大人しく吐けば示談という形にして、娑婆に帰れるぞ」

提督「何でやってもいない罪を被る必要があるんですか! あの女性を呼んでください。
   名誉棄損で訴えてやります!」

警官「この期に及んで、恥知らずな……!」

提督「恥も何も何もやってないんですから当然の措置でしょうが!
   こっちは国防の為に働いているのに、穴が開いたらどう責任を取るつもりなんですか!」

警官「関係あるか、貴様のような卑劣な犯罪者を捕まえるのが俺の仕事だ!」

提督「犯罪者なぞと決めつけないでもらいたいものですね!」



署長「では、彼は依然無罪を主張していると」

警官「このままですと書類送検ですね、全く手のかかる」

署長「海軍相手とはまた厄介だが、犯罪者は犯罪者だ、粛々と取り調べなければならん」

警官「重々承知しております。では私はこれで」

署長「ご苦労。しかし提督などという女だらけの職場の人間も痴漢なんてするのだなぁ。
   逆に女性ばかりで手を出せず苦しいのか? 全く迷惑な話だ」

署長「犯罪者は厳格に裁かれねばならない、たとえそれが国防に就いている人間でも」

署長「それが警察と、いうものなんだ……!」



霞「うぅぅ、クズ司令官……」

陽炎「霞、辛いのは分かるけど訓練に集中して!」

霰「ちゃんとしないと……、また罰走だよ……」

不知火「! 神通さんが見ています、霞さん、今は堪えて!」

神通「霞さん、気持ちが入っていないようですね、鎮守府を五周!」

霞「は、い……」

神通(いけませんね……、提督不在がどんどん響いています。
   提督、お早いお帰りをお待ちしております……)

陽炎「神通さん、私も集中してなかったんで走ってきます!」

霰「私、も……」

不知火「不知火も不注意でした。それでは走ってまいります!」

神通「! 私も気を抜いていました、駄目ですね、これでは手本になりません。走りましょうか」

神通(辛くても、駆逐艦の子達も、頑張っています。提督、どうかご無事で……)




明石「できました、プリズンブレイク君Ver.2.26rev3.34です!」

夕張「これで提督を助けられますね、明石さん!」

明石「全く国家権力の横暴ですよ、じゃあ行きましょう夕張さん、いざ警察署へ、です!」

天龍「面白そうなことしてるじゃねぇか」

明石「て、天龍!?」

天龍「フフ、怖いか?」

夕張「たかが軽巡一人、押し通るわよ!」

龍田「この先はぁ、一方通行ですよ~」

古鷹「重巡洋艦は提督が不在でも、いい所見せちゃいます!」

加古「今日は寝ないよ、変なことしそうな奴らは止める!」

明石「くっ、囲まれた!?」

天龍「じゃあその訳の分からん機械を置いて、回れ右して工廠に戻るんだな」

古鷹「大淀さんや元帥閣下の所の艦娘さんに見つかる前にね!」

加古「後吹雪ちゃんにも!」

夕張「こ、降参します!」


武蔵「そうか、明石夕張が変な機械を作っていたが食い止めた、か」

龍田「えぇ、今回の所はね」

武蔵「やはり、動揺が見られるな、提督が不在だから当然だが」

龍田「今は大丈夫ですけど~、この先続くようでしたら~、
   私たちも止められる保証はありませんよ~」

武蔵「そして弾薬庫を守る元帥麾下の艦娘たちが襲われ、我々は叛乱軍となる、か……」

龍田「蹶起軍、の方が格好いいですよ~」

武蔵「やっていることは同じではないか、今はまだ頻度が低いからいいが、
   大淀や吹雪の耳に入ったら事だぞ、ただでさえ提督不在で忙しいし心労が重なっているのに」

龍田「庇いきれなくなった時が~、最後ですよねぇ」

武蔵「全く、あの男一人居ないだけでこうも苦労するとはな、提督はよくやっていたようだ」

龍田「それには同意します~」





秘書「これで貴方の逮捕から五日になるが、まだ目撃者は見つかっていません、
   我々の至らないところです」

提督「顔を上げてください秘書さん、目撃者さえいれば何とかなるんですから」

秘書「そうですね。あ、これは新しい着替えです」

提督「ありがとうございます。いい加減風呂に碌に入れないのにも慣れてきましたね。
   風呂って言っても石鹸も使えませんが」

秘書「今は夏なのに、完全に人権無視ですね」

提督「まぁ犯罪者ですしね」

秘書「諦めないで下さい、あなたの無実を証明してくれる方はきっと現れます!」

提督「いえ、私は無罪を確信していますけど、警察から見たら、の話ですよ。
   逮捕したら皆犯罪者でしょう?」

秘書「流石にそれは乱暴ではないですか?」

提督「でも現に厳しく取り調べ受けてますしねぇ。全く、何であの女の、
   訳の分からない証言だけでこんな目に遭わないといけないのか……」

秘書「そういえば、逆に提督さんの犯行を見た、という方も居ないんでしたか」

提督「そのせいか、取り調べが本当厳しいんです、自白させれば勝ちと思ってるんでしょうね」

秘書「んー、でもこういう場合証拠とか証言も取りますよね」

提督「証言は今は居ませんからともかくとして、証拠って何になるんでしょうか?
   指紋とか……」

秘書「それです!」

提督「おおう!?」




元帥「何! 彼の無罪を主張できるかもしれないだと!」

秘書「そうですよ! 何か今回の件はおかしいと思ってたんですが、証拠が全く無いんですよ!
   痴漢だと訴えた女性の言ってることだけが今回の逮捕の根拠なんですよ!」

元帥「だとすると……、何か証拠になりそうなものに心当たりはあるか……?」

秘書「私にはありませんが、ありそうな方に心当たりがあります」

元帥「ほう、ではその者を呼んでくれ、今後の対策を練ろうか」

秘書「はい!」


技官「ええと、私に何の御用でしょうか、元帥閣下」

元帥「技官君、君は元は警察の鑑識に居て、志願して海軍に移ったと聞くが本当か?」

技官「はい、以前は警察の鑑識で科学捜査を担当していました」

元帥「そうか、科学捜査担当ならば何かわかるかもしれんな、秘書君、お手柄だぞ!」

秘書「ありがとうございます。ではお伺いしたいのですが、
   とある方が今痴漢で警察に逮捕されて留置所に居るんですが、
   その罪状を覆すような証拠というものは、取れますでしょうか?」

技官「その場合ですと、被害者の方の衣類に被疑者の指紋が付いているか、
   あるいは被疑者の手に被害者の方の服の繊維片が付着していることを調べるのが定石です」

元帥「そのような捜査は行われたと言っていたか、秘書君」

秘書「いいえ、被害者女性の言っていることのみで逮捕されていたようです。
   そのような科学捜査は行われていなかったと言っていました」

技官「ですがこのような捜査は当然、事件当日でないと行えませんね」

元帥「ううむ、今からだと流石に遅すぎるか……」

秘書「ですが科学捜査が行われていない点を突けば、何かしらの活路は開けるのではないでしょうか」

元帥「そうかもな、弁護士君に聞いてみるか」




一般弁護士「科学捜査ですか、痴漢となるとそういうのがおざなりになりがちなもので、
      私としても頭から抜け落ちていましたね、申し訳ありません!」

元帥「いや、これでここから逆転できそうか?」

一般弁護士「そうですね。科学捜査の不備があったことを突けばあるいは不起訴に持ち込める、
      かもしれないでしょうが、警察の方も意地になっているでしょうし、
      少々厄介かもしれませんね」

元帥「では海軍から捜査の不備について圧力をかけるのはどうだ?
   不備があったということは、法律に違反しているのではないか?
   それを押せば何とかなるんじゃあないか?」

一般弁護士「横車を押すのは……、ですが事情が事情ですしね、
      通らないことも無いと思いますが、禍根は残るかと」

元帥「それでも彼は救わねばならん、それに彼を待つ艦娘も居るんだ」

一般弁護士「そうですよね、では念のため元帥閣下とお知り合いの議員の方などが居れば、
      そちらを通しても圧力をかけることができるかと」

元帥「なるほど、分かった、やってみよう」




与党議員「聞いているのかね署長君、十分な証拠も取らずに逮捕して未だに、
     国家のために働く軍人を不当に拘束しているのだろう!」

署長「いえ、ですので、被害者の方からの告発がありましたし……」

与党議員「だから何だ、証拠も取らなくていいとでも思っているのか!」

署長「いえ、そういう訳では全く……」

与党議員「ではなぜ拘束を続けているんだ!」

署長「捜査に必要なことでして……」

与党議員「まぁいい、この件はじっくりと検討させてもらうぞ」ガチャン!

署長「くっ……」

ジリリリリリリリリ!

署長「もしもし、署長です」

野党議員「君が署長君かね、何でも大した証拠もなく不当に国防に従事する提督を拘束しているとか」

署長「いえ、不当ではありません、訴えがあったものですから……」

野党議員「あったから何だというのだ、証言だけで確かな証拠を取らないまま留置場に入れるなどと、
     貴様それでも警察官か!」

署長「捜査は十分に行われています!」

野党議員「では何故科学捜査を行わなかったのだ!」

署長「それは……」

野党議員「この件は我が党でもじっくりと検討させてもらうことにする、ではまた後程」ガチャン!

署長「くそっ! いつも通りに捜査していただけなのにどうして……」

ジリリリリリリ!

署長「はい、署長です」

元帥「貴様が我が優秀なる部下を不当に証拠もなく拘束している者か、
   私は海軍大本営の元帥である。何故私の部下を不当に逮捕したのだ!」

署長「不当に逮捕なぞしてはおらん! 痴漢だと訴えがあったから捕まえたのだ!」

元帥「では何故十分な科学捜査を行わなかったのだ! これでは法の下の平等など死んでいるぞ!」

署長「部外者が偉そうな口を利くな!」

元帥「私の部下を無意味に拘束している時点で貴様も私も当事者だ!
   海軍としては提督君の不当なる拘束を即時解除することを要求する!」

署長「海軍ごときが……」

元帥「だが法を破っているのは貴様の方だろうが、疑わしきは罰せずの原則はどこに行った!
   私の提督君が十分な捜査を受けずに留置場に入れられている、それだけで十分な罪だ!」

署長「う、ううう」

元帥「貴様も男なら泣いている場合か! 過ちはすぐに正せ!」

署長「うううううううう……」




金剛「弾薬庫を、開けろ」

酒匂「もう我慢できません、司令を救わないと!」

如月「やだ、返り血で髪が痛んじゃう……」

伊19「イクの魚雷が、うずうずしてるのね」

祥鳳「私の我慢も、そうは長く持たないわ」

加賀「頭に来ています」

艦娘達「もう我慢の限界です! 弾薬庫を開けて、警察署から提督を救うんです!」

元帥大和「皆さん、お願いですから、引き返してください! 今からでも遅くありません!」

元帥武蔵「お前たちの提督を信じて待てんとは……!!」

元帥赤城「慕う気持ちも分かりますが、我々に弓を引くことがどういうことか、理解してください!」

元帥三隈「皆さま、ここから離れてくださいまし、これ以上は冗談では済みませんよ!」

元帥Saratoga「お願いです、どうか戻って! Please back!」

元帥「これは大変なことになっているな!」

元帥五十鈴「これ以上は止められそうにないわ! 何とかして元帥!」

元帥「皆! こちらを向いてくれ!」

榛名「……、あれ、提督……?」

提督「皆、待たせて済まない、帰ってきたぞ」

金剛「て、テートクゥ!」

艦娘達「提督! ご無事でしたか!」

提督「あぁ、風呂に碌に入れちゃいないし髭も剃れてないが、無事だよ」

青葉「でも頭頂部は、もう……」

提督「ハゲは関係ないだろ今はぁ!」

長門「提督よ、リアップを持ってきたぞ、さぁ間に合わなくなる前に塗るんだ!」

提督「長門ぉ! 動揺しすぎてリアップを握りつぶしてるぞぉ!」

陸奥「あら、あらあら……」

伊勢「まぁ、提督が無事に帰ってきて、何より?」

日向「まぁそうなるな」

元帥「めでたし、めでたし、だな!」





 今回は以上です。
ええとまぁ今回艦これでこれやったのは、
「艦これでもないとここまで上手くいく描写はリアリティがない」
からです。いや本当。
このリアリティが出てくるのは捕まるのが警察官と検察官と後は、議員位?
文中にも書きましたが、防衛医大の先生も無罪を勝ち取るのに数年掛かっていますし。

こういうので一番の問題はまさに警察や裁判官が、
「被疑者は有罪であり」「被害者の証言は絶対である」という、
まさに魔女狩りならぬ痴漢狩り全盛の中世ジャップランドな状態にあることでしょう。
日本の司法を中世並と断じたのはモーリシャスの議員か誰かでしたね。
あの国観光名所ですし一回行ってみたいです。


http://news.livedoor.com/article/detail/13206280/
 こんなことを言っていますが、正直に言えばこれは本来、すべての痴漢被疑者に行われるべき
捜査なんです。法の下の平等が生きているならばの話ですが、
ですがそれを負担だと言い張る警察にはあきれてものも言えませんね。
やって当たり前のことをして理解しろとは厚かましいにもほどがありませんかねぇ?

裁判官も同様です。
何故手が動かないと医師の診断まで出た人間が
「その時だけ手が動いた」などという判決を出せるのか。馬鹿なのか、
頭にカエルでも入っているのか。こんな判決を出した裁判官はまだ最高裁判所判事であれば、
次の選挙で不信任にバツ印をつけてやりましょう。

http://www.asahi.com/articles/ASK6P5K0XK6PPTIL015.html
 後は最近大阪ででっちあげ犯が捕まっていますが、なぜか犯人は釈放されています。
虚偽告発じゃないんですかねぇ、大阪府警の頭かち割って頭の中を見てみたいです。
論ずるに値しない行為ですね。苦情を送るべきです。意見を送れば変わると楽観しましょう。

 防衛するにはどうしたらいいのか、まず男性専用車両の設置を要望することですね。
あるだけで安心感が違います。あとは仮に捕まった際は、
警官に科学捜査を要求することでしょうか。むろん警官から握手を求められたりしても、
決してやってはいけません。無罪の証拠を放棄することになるでしょうし。

以前再放送か何かで観た、世にも奇妙な物語で右手が勝手に動く男の話がありましたが、
その話だと痴漢で捕まっても即釈放されていましたね、まさに時代の違いというかなんというか。
その当時の雰囲気を警官や裁判官が共有しているから冤罪がなくならないんです。
厳正な捜査と公平な裁判が日本で受けられるよう、祈ります。

長々となりましたが以上です、書きたいものを書けてよかったです。
まぁ書きたいものしか書いてないんですがねw ではよき提督ライフを。
html化依頼出してきますね。

あ、でっち上げた女性が捕まってないのは仕様です。
警察も「でっちあげか誤認か分からん」で済ませそうですし。
相手の住所氏名が分かれば名誉棄損と業務妨害辺りでワンチャン、でしょうか。
詳しくは分かりませんけどね。あと取り調べとか留置場での描写も刑事ドラマとかで観た程度なので、
正確かは不明ですよ。取り調べとか受けたことないですからw

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年07月03日 (月) 21:15:17   ID: mknnlgch

笑ってんじゃねーよ

2 :  SS好きの774さん   2017年07月15日 (土) 18:48:20   ID: qQ9lHSEj

笑って見れない普通に怖いわ

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