北条加蓮「カケラ」 (15)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです
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手のひらをライトにかざす
すらりと伸びた指先、その先端、しっかり整えられたネイル
「今度はどうしよっかな~」
机の上に並んでいるマニキュアの瓶を眺める
一番入れている青系の数種類に、その季節に合わせてたまに入れている緑やピンク、その他色とりどりの瓶たち
コレでもないアレでもない
いろいろな瓶を取っては戻し、それを何度か繰り返す
「あ~もう決まんないっ!いつもと同じじゃなんかな~~」
もう一度マニキュアを見渡すため、机の上に視線を投げた
今日、みんなと買い物に行って買ってきたものの袋を手に取る
がさごそがさごそ~
あ~~こんな感じか、確かこれに似てるのは……
「なんかいいこと思いついたかも♪」
「あったあった!これならいい感じかな!ふふっ♪」
袋から取り出したそれと、机の上から取った瓶を見比べる
うん、これならほぼ同じ色だね
よし、これで行こうかな
まずは左手の人差し指から…………
袋から取り出したそれを手に取り、容器を繰り出し、カット面を上唇の口角にあてそっと滑らせる
そして次に下唇にへ、と
真っ赤なルージュに、それと合わせてみたネイル
鏡に映る自分の姿
いつもは絶対にしない、赤
ふふん♪これで明日はからかってみよ♪
指先を唇にあて、ポーズをとってみる
大丈夫?似合ってるはず
培った自分のセンスを信じよう
ちゃんと気付いてもらえるかな……?
始めて引いた真っ赤なルージュにね
事務所の扉に手をかける
この時間ならもうプロデューサーはいるはず
剥がれたりしてないよね?
手元の確認をする
うん、大丈夫
扉を開けて、部屋の中へ
おは────────────
反射的に進める足が止まってしまう
あれ……ちひろさん……?
ドン
足を止めたときに、勢い余って手を扉にぶつけてしまう
その音によって、こちらに二人が振り向いた
私という想定外の存在にたじろぐ二人
あぁ、あの二人の間にとって私は招かざる存在なんだな
「ちがうのよ加蓮ちゃんこれはね────」
「ふーん、二人ってそういう仲だったんだったんだね。いいじゃんお似合いじゃん。応援してるから♪」
「だからそういうのじゃないんですって!」
「そうだって!ちひろさんの言う通りそんなじゃなくてだな……」
「「……………」」
「……あっ!ところでねっ!加蓮ちゃんがその色のネイルをしてるのって珍しいわね!」
「ん?そうだったか?加蓮ってたまに赤っぽいのしてなかった気がするけど」
どうしてちひろさんがそれを言うの!!!
それに……
やっぱり気づいてはくれないんだ
挑戦してみたんだ。ほかの子に似合うんじゃない?って言われて、ね
なんて適当にはぐらかして、二人をからかってから、ちょっと用事がある、そんなことを言って部屋から逃げるように飛び出した
はーあ、そういって腕を伸ばす
指先でネイルが剥がれているだけじゃなくて、爪が割れているのに気付いた
「はーあ、私の恋も砕けちゃったみたい」
おしまいてぃせーらー
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