向日葵「さくひま、ひまさく短篇集」櫻子「キス!」 (17)

①:櫻子「ぐーぐー」Zzzz 向日葵「またこの子は……」


向日葵「遊びに来たと思ったらすぐに寝てしまって……」

櫻子「ぐーぐー」

向日葵「まったくこの子ったら……」

櫻子「ぐーぐー」

向日葵「……」

櫻子「ぐーぐー」


向日葵(いつもギャーギャーうるさい癖に寝ている時は静かなのね)

櫻子「……」

向日葵(ふふっ)

櫻子「……」

向日葵(いつもは表情豊かなくせに寝ている時だけは穏やかな顔)

櫻子「……」

向日葵(こうして見てみると……やっぱり、櫻子も大人になっていきますのね)

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向日葵(本当に綺麗----)

向日葵(髪はふわふわで気持ちよさそうですわ。肌は穢れを知らない雪みたいに綺麗。そして、くちびるは----)

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……」


向日葵「櫻子……起きてますわね? 顔真っ赤ですわよ」

櫻子「っ!」


櫻子「ちげーし! 向日葵が顔を近づけてきたから、て、てっきりキスしてくるのかなーって!」

向日葵「なっなななななな!? そんな事するわけないでしょう!」

櫻子「じゃあ、なんで顔を近づけてきたんだよ! 私が寝ている間に何をしようとしたの!?」

向日葵「違いますわ! そ、その、ただ、綺麗だなーって思っただけで!」

櫻子「き、きききききれい!!!?」

向日葵「ち、違いますのよ! これはちょっと勘違いが! そう櫻子の背後にあった床が綺麗だなーと思っただけで!」



ちなつ「あーーーっ! もう!」

向日葵「吉川さん!?」

櫻子「いたの!?」

ちなつ「そこはキスしなさいよ! タイトルでも『キス!』ってあるでしょ!」

向日葵・櫻子「なっ//」

あかり「え、えーと、とりあえず」

あかり「さくひま、ひまさく短篇集、はっじまるよ~」



① 終わり

②:向日葵「赤ちゃんってどうやったらできるのかしら?」櫻子「へ?」


向日葵「杉浦先輩に聞いたら、キスをしたらできるって言ってましたわ。ちなみに櫻子。よく姉妹でおやすみのチューをやってると言ってましたが……。ね、ねぇ、その……お腹が少し大きくなったりしていないわよね?」

櫻子「できるわけねーだろ。もし、キスでできるんだったら、キス魔の池田先輩とか沢山できてるでしょ?」

向日葵「そういわれると……確かにそうですわよね。ホッとしましたわ」

櫻子「え?」

向日葵「あっ、いえ、では、どうやって赤ちゃんってできるのかしら?」

櫻子「……」


櫻子(だって----)

櫻子(キスで子供ができるんだったら、もうとっくに子供できてるし……)

向日葵「うーん、でも杉浦先輩はキスだと言ってましたし……」


櫻子(そもそも向日葵がダメなんだ。私の家でお泊り会とか……)

櫻子(あんな近くで寝ていて我慢できるわけないじゃん)

櫻子(私と同じベッドで真横で……あんな綺麗な顔で気持ちよさそうに寝息たてやがって……)

櫻子(近いから寝息が私に当たるんだよ!)

櫻子(だから、私は……ただ口を……唇を塞ぎたくて……)

櫻子(……)


向日葵「櫻子?」

櫻子「ひゃい!?」

向日葵「ど、どうしましたの? 顔が真っ赤ですわよ? あっ、風邪を引いたのね? まったくいつもあれだけ----」

櫻子「ちげーーーし!」

向日葵「じゃあ、なんで赤いの?」

櫻子「べ、別に癖になって何回もやってなんか!」

向日葵「え?」

櫻子「っ~~~~~~~~~~~~~!!!」



「な、なに、一人でテンパってますの!?」

「だから、ちがうのーーーーーっ!!」




② 終わり

③:綾乃「え!?子供の作り方!?」向日葵「はい」


綾乃「そ、その……//」

向日葵「……」ドキドキ

綾乃(これは後輩からの相談。相談よ。ちょっと恥ずかしいけど、ちゃんと答えてあげないと。そうよ! 私は生徒会副会長! 可愛い後輩にちゃんと教えてあげないと、何か間違いがあってからでは遅いのよ!)

綾乃「キスだと思うわ!」

向日葵「き、キスですか」

綾乃「ええ、キスよ」

向日葵「……」

綾乃「……」

向日葵「……」


向日葵(や、ヤバいですわ……)

向日葵(この前、勉強に来た櫻子がうたた寝……いえ、ぐっすり寝ている時に一度だけ…………)

向日葵(ど、どどどどどどどどうしましょう!!!?)

向日葵(私、櫻子と赤ちゃんを養う経済力なんか……)

向日葵(……)

向日葵(櫻子との赤ちゃん……ふふっ、きっと生意気だけど可愛いんでしょうね)

向日葵(ち、違います! 今はその妄想をしている時間じゃないですわ!)

向日葵(そう! 櫻子が悪いんですわ!)

向日葵(あんな可愛い寝息を立てて、目の前で寝られてたら、キスぐらいしちゃいますわ!)

向日葵(だから、全部櫻子のせいですわ!)

向日葵(そうね、まずは櫻子に養ってもらって、私は家事を……)


向日葵(ち、違います! 今はそんな夢のような生活は置いておいて)

綾乃「ふ、古谷さん?」

向日葵「ひゃいっ!?」

綾乃「ど、どうかしたの?」

向日葵「あっ、いえ、その……。あっ、その、ありがとうございました!」

綾乃「べ、別にいいの。でも、間違いがないようにね?」

向日葵「はい!」

向日葵(よく考えたら、私の中に赤ちゃんがいる気配はないですわ)

向日葵(ということは……櫻子のお腹の中に赤ちゃんが!?)

向日葵(これは確認の必要がありますわね……)






綾乃(ふぅ、ちゃんと言えてよかったわ)

千歳(うふふ。綾乃ちゃん可愛ええなー)



②のSSに続く

③ 終わり

④:向日葵「きゃっ」櫻子「!?」


千歳「あーっ! 古谷さんが転んだ拍子に櫻子ちゃんを押し倒して、そのままキスしとるー!」

向日葵・櫻子「っ~~~~~//」

ちなつ「二人とも大丈夫!?」

向日葵・櫻子「……」

ちなつ「って、いつまでキスしてるの!?」

向日葵「ち、違います! これは櫻子が気持ちよさそうにしてるから!」

櫻子「ち、ちげーし! これは向日葵が手を離してくれなくて!」

綾乃「∵」


④ 終わり

⑤:京子「4番は3番にキス~」

ちなつ「えーと、誰?」

櫻子「はいはーい。私3番~」

向日葵「……4番ですわ」

櫻子「げっ、向日葵かよ……」

向日葵「『げっ』ってなによ! それはこっちのセリフですわ!」

櫻子「なんだと!?」

ちなつ「はいはい、どうでもいいから早くやってねー」


向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「じゃあ、行きますわよ」

櫻子「お、おう」


向日葵(って、私何を言ってますのーーー!?)

向日葵(『じゃあ、行きますわよ』ってどこに行きますの!?)

向日葵(ち、違いますわ。本当は櫻子から来てほしいのに……)

向日葵(そうですわ! よく考えたら、ほっぺにキスをすればいいんですわ! そうほっぺ! ほっぺなら!)

櫻子「……」


向日葵(無理ぃっーーーーーーーーー!!!!)

向日葵(なんで櫻子のほっぺは、そんなにぷにぷにしてますの!? そんなほっぺにキスしたらとろけて死んじゃうかもしれませんわ!)

向日葵(そ、そうですわ。場所は指定されていませんし、手の甲にキスすれば……)

櫻子「……」

向日葵(って、なんで目を閉じましたの!? え!? な、なんなんですの!? その覚悟を決めたみたいな表情は……)

櫻子「……」

向日葵(顔真っ赤で……か、かわいい……)

櫻子「……」

向日葵(そうですわ。これは王様ゲーム。王様のいう事は絶対。だから私がキスしても何も変じゃ……)

櫻子「……」

向日葵(櫻子……好き……)



櫻子「……」

向日葵(……)


向日葵「あっ、そうですわ! 今日は夕飯の買い物を頼まれていたんですの! 櫻子、帰りますわよ!」

櫻子「え?」








向日葵(やっぱり、ダメですわ。だって勿体ないですもの)

櫻子「向日葵ー。どこに行くの!?」

向日葵(だって私たちの初めてのキスは----)

向日葵(こんな所じゃなくて、ちゃんとしたところで----)





向日葵(ね? 櫻子。あなただってそう思うでしょ?)

櫻子「ちょっと待っててば! 向日葵ー!」



⑤ 終わり

⑥:ちなつ「わーい。結衣先輩が捨てたペットボトルー」

櫻子「でも、それ空っぽだよ?」ハテ

ちなつ「ふふふふふ。このペットボトルの口の部分を見てみて」

櫻子「え?」

ちなつ「ここにはね……。結衣先輩の唾液が一杯ついてるの!」

櫻子「へ、へぇ……」

ちなつ「あぁああああーーーー! 結衣先輩ーーーーー! 結衣先輩の味がしまーーーす」ペロペロペロペロ


  *  *  *


櫻子(間接キスかー。ちなつちゃんは大人だなー)

向日葵「櫻子」

櫻子「え? なに?」

向日葵「まったく……私の話を聞いていなかったのね?」

櫻子「え?」

向日葵「はい、オレンジジュース」

櫻子「へ?」

向日葵「あなた言ってたでしょ? これを半分飲んだら私にもくれって。だから、半分残しておきましたわ」

櫻子(って、これストローじゃん!!!?)

櫻子(ということは、ストローの先端には向日葵の唾液が……)

櫻子(……)ゴクリンコ


櫻子(って、私キモっキモっキモっキモっキモ!!)


向日葵「ん? どうかしました? 顔が真っ赤ですわよ?」

櫻子「ち、ちげーし!!! べ、別に間接キスとか思ってねーし!!!!」

向日葵「えっ……あ……ぅ//」

櫻子「………………あっ」




「ちげーーーーーーしーーーーーーー!!!!!」




⑥ 終わり

⑦:向日葵「櫻子の手を触ると赤くなって触らせてくれませんの」綾乃「そう」

向日葵「櫻子ともっと仲良くなりたくて手を握ったり、『好き』って呟いたりすると、櫻子が顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに走って逃げるんです。あぁっ、もうっ、たまりませんわ! 櫻子可愛すぎて!」

綾乃「え、えーと?」

向日葵「今の櫻子の反応も可愛いんですが、出来れば少しでも長く手を握ってたりするには、どうすればいいのかなーと思いまして」

綾乃「そんな事で私に相談しないで!」

向日葵「そんな事って、私真剣に悩んでますのに!」


綾乃「じゃあ、なんでキスはできるの!?」

櫻子「杉浦先輩! キスは別腹って知らないんですか?」ちゅっちゅちゅっちゅ

向日葵「もうっ。櫻子ったら……。杉浦先輩に相談している時くらいキスをやめてってあれほど」

櫻子「だってぇー」

綾乃「もういやーーーっ。真剣に話を聞こうとした私がバカみたいじゃない!!!」

ダダダダダ


千歳「綾乃ちゃん!? どこに行くん!? 綾乃ちゃーーーん」




⑦ 終わり

⑧:櫻子「お小遣い全部使っちゃった……」

櫻子「というわけで、私に抱き着く1回100円。キスだったら1回1000円でどうっすか?」

綾乃「いや、どうっすか? って聞かれてもね……」

バサッ

綾乃「ん?」

櫻子「なにこれ?」

向日葵「私の通帳ですわ。100万ありますわ」

櫻子「え?」

向日葵「じゃあ、キスを100万回お願いしますわ」

櫻子「……へ?」

向日葵「では、杉浦先輩。生徒会の仕事も終わりましたし、お先します」

櫻子「む、無理! 100万回とか無理だから! やめろーーーー」


綾乃「∵」


⑧ 終わり

⑨:櫻子「誕生日おめでとう!」


櫻子「誕生日おめでとう。向日葵」

向日葵「覚えていてくれたのね。ありがとう櫻子」

櫻子「誕生日プレゼント何がいい?」

向日葵「え、えーと、急に言われても……そうね、櫻子ができる範囲で何がいいのかしら?」


櫻子「ね? ね? じゃあさ、びっくりさせてやるから、目を閉じてよ」

向日葵「?」

向日葵(なるほど、すでにプレゼントをバッグの中かどこかに用意してますのね。そして、私が目を閉じた後に目の前に用意して……。ふふっ、嬉しいですわ。プレゼントはなにかしら?)




チュッ


向日葵「えぇ!?」

櫻子「えへへ。これが誕生日プレゼントね」

向日葵「ななななななな!!!」

櫻子「あはははは。向日葵バカみたいに真っ赤ーっ」

向日葵「って、あなただって真っ赤じゃない!」

櫻子「バーカ。これは夕日のせいだしー」

向日葵「私だって夕日のせいですわ!」

櫻子「ふーん」

向日葵「なによ」

櫻子「ね? ね? 嬉しかった?」ニコッ

向日葵「なっ----!」


櫻子「あははは。向日葵、嬉しそうな顔してる」

向日葵「してません!」

櫻子「じゃあ、誕生日プレゼント嬉しくなかったの?」シュン

向日葵「え? あ、いえ、それは………………ああ! もう正直に言いますわ! 嬉しかったですわ! できればもう一回して欲しいくらい!」

櫻子「へ?」

向日葵「な、なによ」


櫻子「あっ、いや~、そこまで言われると照れると言うか……//」

向日葵「あ、あなたが言えって言ったんでしょう!?」

櫻子「えーと、じゃあ……」




櫻子「もう一回する?」


向日葵「っ~~~~~//」

 
  *  *  *


「お姉ちゃんおかえりなさい」

「楓。ただいまですわ」

「お姉ちゃん?」

「ん? どうかしました?」


「すっごく幸せそうな顔……ううん、幸せそうな感じがするの。何かいい事あったの?」

「え? えーと、そうね……」



「きっと、素敵な誕生日プレゼントを貰ったからですわ」

「そうなんだ。お姉ちゃん、よかったね」

「はい♪」






       終わり

これにて終わりになります。
読んでくれてありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!

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