伊織「おいしい物が食べたいわね」 (28)


響「こないださ」

千早「え?」

響「こないだ、うちの事務所からあの番組出てたでしょ? ポセイドンさんの、クイズ番組。ポセリーグ」

千早「そういえば出てたみたいね」

響「自分、家で見てたんだけどさ。春香と貴音と雪歩と真とあずささん出てたんだけどね」

千早「ええ」

響「番組の中で、5人が順番にクイズに答えるっていうのあって、その時の問題が『【さ】で始まる四字熟語』だったんだけど、ラストの雪歩がさ‥‥うーん」

千早「どうしたの?」

響「これ、話してもちょっと伝わらないかも。多分、録画したDVDが資料として‥‥」ゴソゴソ

千早「‥‥‥‥」

響「‥‥あ、あった。ちょっと待ってね」

千早「ええ」

響「えーと‥‥早送りで‥‥あ、この辺かな」ピッ


天の声『それでは、765プロチームのファイブボンバー、スタートです』

春香『えーと、えーと‥‥七転八倒!』ピンポン

あずさ『し、し‥‥新進気鋭?』ピンポン

貴音『秋風落莫』ピンポン

真『七転八倒は出たから‥‥えー、えー、し‥‥し‥‥あ! 疾風怒濤!」ピンポン

雪歩『しゅちにくりぃん !』ピンポン テレレテッテテー


千早「ふふっ!」

響「しゅちにくりぃぃいん!」

千早「よ、よりによって何故そんな言葉を‥‥それも萩原さんが」

響「この後、散々いじられてたぞ。世界で一番大きな声で酒池肉林って叫んだアイドルとか言われて」

千早「物凄いギャップね。というか、萩原さんのあんなに大きな声、久々に聞いたわ」

響「あはは! それが、よりにもよって、酒池肉林なんだ」

千早「ふふっ」

響「‥‥さて」

千早「‥‥‥‥」

響「暇だね」

千早「‥‥帰れば?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497451659

響「えー? だって今日、みんないないんだもん。動物番組のゲストで」

千早「番組って‥‥我那覇さんは?」

響「呼ばれはしたんだけどさ‥‥ディレクターさんが「動物メインで撮りたいんで、我那覇さん、いるだけになっちゃいますけど。横に」って」

千早「ふふっ」

響「「テロップも、アイドルじゃなくて、飼い主の我那覇さんで出すし、喋っても多分全部切られちゃいますよ」だって」

千早「ハム蔵達のバーターとして出演って言うのも少し切ないわね」

響「でしょ? だから今回は、マネージャーとして参加って事で」

千早「なるほど」

響「だから、あんまり早く帰っても寂しいんだよね」

千早「そういう事ね。‥‥我那覇さん」

響「‥‥帰れば?」

千早「か‥‥あっ」

響「今の流れで千早が言いそうな事なんて、想像つくぞ」

千早「嫌な意思疎通ね」

響「千早こそ、実は寂しいんじゃないの? なんだかんだ、もう2時間こうしてるし」

千早「残念。私はちゃんと用があるの。水瀬さんが今度カバーアルバム出すらしくて」

響「うん」

千早「その中に、私がCD持ってるものも何曲かあるから、参考に貸して欲しいんですって。だからこうして‥‥」ガシャ

響「おお、結構あるね。あ、自分の知ってるのもあるぞ」

千早「有名どころが多いみたいね。中には、かなりコアなグループもいるけど」

響「これ、ちゃんと中身入ってるの?」

千早「ええ。私、どちらかというとちゃんとケースに戻すほうだし。一応確認もしたわ」

響「そっか。いや、こないだ、学校の友達にCD借りてさ」

千早「ええ」

響「家に帰って、楽しみにしてケース開けたら、ポンコツ浪漫大活劇バンピートロットのディスクが入ってたんだよね」

千早「ふふっ!」

響「音楽CDのケースに別のCDとか、ゲームのケースに別のゲームとかならわかるけどさ。なんで音楽CDのケースにポンコツ浪漫大活劇バンピートロットのディスクが入ってるのかっていうね」

千早「たしかにそうね。聞いてみたの? なんでポンコツ浪漫大活劇バンピートロットが入ってたのか」

響「次の日にね。そしたらなんか、新しいゲームしようと思って機械開けたら、前にやったポンコツ浪漫大活劇バンピートロットが入ってたから、近くの適当なケースにポンコツ浪漫大活劇バンピートロット入れて、そのままにしてたんだって」

千早「なるほど。その結果、間違えて我那覇さんにポンコツ浪漫大活劇バンピートロットの入ったケースを渡してしまったのね」

響「うん」

千早「‥‥ちなみに、そのポンコツ浪漫大活劇バンピートロットは」

響「もういいよ! もう、完全に言いたいだけでしょ。ポンコツ浪漫大活劇バンピートロットを」

千早「ふふっ」

響「ふふふっ」

千早「‥‥‥‥」

響「‥‥あ、千早。髪の毛にゴミついてるぞ。右のとこ」

千早「え? この辺り?」

響「嘘」

千早「‥‥‥‥」

響「‥‥‥‥」

千早「‥‥ぷふっ!」

響「あははは! え、なん‥‥どうしたのいきなり!」

千早「いえ、ちょっと‥‥「今この瞬間、世界の誰よりもしょうもない嘘を吐いた人は我那覇さんよね」って思うと、なんだか面白くなっちゃって」

響「あはは! 壮大! 世界レベルの話に!」

千早「ふう‥‥」

伊織「大体、なんでよりにもよってあんたと組んでクイズなのよ! よりにもよって!あんたと!組んで!」ガチャ

真「なんだよそれ! 2回も言う事ないだろ! そういう伊織だって5問も間違ってたじゃないか!」

響「わあ」

千早「部屋の空気が一気に変わったわね」

響「まあまあまあ、どうしたんさ」

伊織「聞いてよ! 今日は都内の商店街をウロウロして、たまにクイズが出て、正解すれば店の商品が食べられる、みたいな感じの番組にゲストとして出たんだけどね!」

響「ああ、夕方とかによく見る感じの」

伊織「それが真と組んだせいで全問不正解よ! カメラ止めた後でも、本当に食べさせてくれないし!」

真「僕が正解して伊織が外した問題もあっただろ! 大体、ちゃんと食べれたじゃないか! 葉っぱ!」

千早「2人共、少し落ち着い‥‥ちょっと待って。え? 葉っぱ?」

響「待って待って待って。何? 葉っぱ食べたの?」

伊織「あ、違うわよ。葉っぱって言っても、桜餅の外に巻いてあるやつよ。塩漬けの。食べていいやつ」

真「和菓子屋さんでのクイズは、賞品が桜餅だったんだよね」

響「違う違う違う。食べれるやつだからセーフ、とかじゃなくて」

真「あんまり何も食べれないからさ、本当はコンビで正解しなきゃダメなんだけど、みんなに頼んで。「次の問題、どっちかだけでも正解したら葉っぱでいいんで下さい!」って。で、伊織が正解して」

千早「葉っぱ‥‥アイドルが‥‥」

響「ダメでしょ、それ。むしろ、他の出演者が「可哀想だからこれ食べる?」「いいんですか!? って、葉っぱじゃないですかー!」みたいなのでしょ。普通」

伊織「それが私達くらいになると、喜んで食べちゃうから」

真「ね。「え! 1人1枚食べていいんですか!」とか言ってね」

伊織「並みのアイドルじゃちょっと真似できないわよね」

真「もう、あれだから。その放送を見たプロデューサーと律子に怒られるとこまでが1セットだから。ハードルは割と高いよね。この境地に至るまでの」

伊織「事務所の品位を落とす、っていう、皆を巻き込んでのね。荒業というか。大きな代償を支払って、ようやく至れるレベルだから」

響「‥‥なんか最近、テレビに呼ばれるじゃない? 歌わないで帰る回数が増えてきてる気がするんだよね」

千早「私もよ。以前までの私なら、発狂してたレベルだと思うわ」

真「いやいやいや、何か、私達は違うのよ! みたいに言って、こっちのせいみたいにしてるけど、同じだからね」

響「え?」

伊織「え? じゃなくて。響なんかはもう、完全にこっちの組みだから。むしろ筆頭よ筆頭」

真「前にプロデューサーと律子と小鳥さんが、何かノートみたいの囲んで話してたからさ。チラッとみたら、ページの上の方に『バ』と『ミ』って書いてて。その下に、僕らの名前書いてあったんだよね。振り分ける感じに」

千早「バ?」

真「で、気になったから「これ、バとかミってなんなんですか?」って聞いたら「バラエティとミュージックだよ!」って。ちょっと怒った感じで。特に律子が」

響「あー‥‥苦労してるんだね。仕事の振り分け」

真「千早はね。あれだった。ギリギリでミの方にいた」

千早「やったわ」

伊織「やってないわよ。昔から今に至るまで、これだけ歌歌言っててギリギリって、致命傷レベルよ」

真「他のみんなはね。まあ、バラエティメインでもいいかな、と思いつつだけど。千早は、まず歌中心ありきで、それなのにバラエティにも出されちゃうっていうね」

千早「つまり、2つの要素が高いレベルで拮抗しているという‥‥」

伊織「いや、何かいい風に言ってるけど、そんな高尚な話ではないわよ」

真「っていうか、そういうとこだと思うよ。バに寄っていってる原因は」

響「でも、プロデューサーも律子もさ、みんな別に歌を蔑ろにしたり、ふざけて仕事してるわけじゃないんだし、何もそう目くじらを立てなくてもね、いいと思うぞ」

伊織「なんでちょっと他人事目線なのよ。でもたしかに、もうちょっと大らかでもいいと思うわ」

真「あずささんみたいな?」

伊織「それはちょっと大らか過ぎるでしょ」

千早「‥‥あずささんって、怒る事あるのかしら」

真「そりゃあるでしょ」

響「あずささんが怒りそうな事‥‥うーん‥‥あ、思い付いたぞ!」

伊織「ん?」

響「こう、あずささんが着替えしてるでしょ? そこに後ろからこっそり近付いてさ」

真「うん」

響「ガッ!って頭掴んで、ロッカーの角にぬえええい! ガンッ! って」

伊織「んふっ! それ誰でも怒る‥‥っていうか、それもう、怒るとかじゃないわよ。事件じゃないの」

真「事務所内での凶行」

響「次の日くらいにテレビで自分が出てるの。「あずささんの怒るところが見たかっただけだと供述しており‥‥」って」

真「もうちょっと現実的にさ。そうだな‥‥お昼とかに、あずささんがカップ麺か何か食べようとしてるとこに、こっそり近付いて」

千早「こっそり近付くのが基本形なの?」

真「で、テーブルに乗ってるカップ麺を、ぬええええい! ガッ! バシャー! って」

伊織「だからそれ、誰でも怒るでしょ! 何? あずさを怒らせるには、ちょっと頭おかしくなんないといけないの?」

千早「あ、それじゃあ」

響「ん?」

千早「疲れたあずささんが、事務所で仮眠してるところにこっそり近付いて」

真「出た。こっそり近付いて」

千早「この辺り、こう‥‥首の下辺りからみぞおちの下辺りまでを、私と入れ替えるっていう」

伊織「誰でも怒るでしょ!」

千早「なんでよ!」

真「あははは!あっははははは!」

響「何、その無駄に息ピッタリなコンビプレイ」

千早「水瀬さんは? この中だと一番あずささんの事知ってるんじゃない?」

伊織「そうねえ。あずさが怒りそうな事‥‥こう‥‥何がいいかしら‥‥あ、モスバーガーあるじゃない」

響「うん」

伊織「あれを、包み紙無しの状態で一個食べて、そのままあずさの顔面を撫で繰り回すっていうのは?」

響「あははは! 嫌すぎる!」

真「いきなり顔撫で回されるだけでも嫌なのに、モス食べてギットギトになってる手で」

千早「でもそれ、どちらかというと、普通の人なら怒るけどあずささんなら万に一つ怒らない可能性があるかも知れない事、じゃないかしら?」

伊織「んふっ、長い」

響「こんな会話プロデューサーか律子辺りに見られたら、すっごい嫌な顔するんだろうなぁ」

真「あ、プロデューサーといえば、さっき車でさ「やっぱり響か伊織の代わりに、美希か貴音にするべきだったかなぁ」って言ってたけど、心当たりある?」

伊織「さあ。仕事の割り振りとかじゃないの?」

響「色々大変なんだね」

真「あ、それと、「もし何か食べに行く事になったら、鍋と焼肉は避けてくれ」って伝えるように言われたよ」

千早「よくわからないけど、わかったわ」

響「色々大変なんだね」

伊織「それにしても、お腹空いたわ‥‥」

響「ああ、ご飯食べてないんだもんね。んふっ‥‥葉っぱしか」

千早「今の時代、馬でももっと色々食べてるわよ。何かないのかしら」

伊織「お菓子とか探すより、何か食べに行きましょうよ」

響「ん? 帰ったら何か用意してくれてるんじゃないの?」

伊織「今ちょっと、うち、てんやわんやなのよ。アレが流行っちゃって」

真「アレ? あ、インフルエンザかな。今の時期だとちょっと遅いけど」

千早「大変じゃない。水瀬さんも気をつけないといけないわね」

伊織「違うわよ。アレよ。アレ。えーと、なんだったかしら‥‥あ、マインクラフト」

響「んふっ! えっ?」

伊織「なんか、うちで働いてる人間の間で妙に流行ってて。今日なんてもう、2人しかいないから」

真「ゲームやりたくて仕事休んでるんだ」

伊織「コックなんて、1人もいないっていうね。朝も、歩いてきたし」

響「すごいね」

伊織「というわけで、何か食べ行きましょうよ。何かこう、美味しい物食べたいわね」

千早「随分と大雑把ね」

伊織「最近私、新しい仕事がやたら重なっちゃって。オクパードなわけ」

千早「おくぱあど?」

伊織「忙しいの。で、ここ10日くらい、まともな休みもなかったし、カンサードなのよ。わかる? 疲れてるの。明日は久々に休みだし、美味しい物でも食べて英気を養わないと」

真「美味しい物かぁ‥‥あ、あれ美味しいよね。バターご飯に、醤油の代わりにごはんですよ入れて混ぜて食べるの、すごい好き。エンセリオ、マジで」

伊織「いや、そういうんじゃなくて。美味しそうだけど。あと、乗ってくれてありがと」

響「あれも美味しいぞ。卵かけご飯に、サンマの缶詰を汁ごと入れて食べるの」

伊織「いやいや、だからね。美味しいのベクトルが違うのよ」

千早「海苔でチーズとセロリ巻いたやつなんてどうかしら」

伊織「おつまみじゃないの。ジャンルが変わっちゃったわよ」

響「ギョウザ」

伊織「普通!」

響「いやいやいや。なん‥‥んふっ‥‥なんで普通の事言って怒られなきゃならないんだ?」

千早「美味しい物ね‥‥幅が広すぎて、逆に難しいわね」

伊織「そうね‥‥なんていうかこう、小難しい感想とかなしに、一口食べて単純に「おいしい!」ってなるような。王道的な食べ物とかがいいかしらね」

真「タコス」

伊織「人の話聞いてた?」

響「すり身」

伊織「何の?」

千早「ミンククジラ」

伊織「すり身にしちゃ勿体な‥‥しりとり! なんでしりとりしてんのよ!」

響「ふふっ、気付いた」

真「ラッパ」

伊織「しりとりはもうい‥‥食べ物じゃない!」

真「あっははは!」

千早「お腹ぺこぺこなのに遊びに付き合わされる水瀬さん」

伊織「いや、実際問題、あれよ? あんまり長引くと、みんな帰ってくるじゃない?」

響「あ、うん。そんな時間かもね」

伊織「そうなったら、折角だしみんなで食べようか、みたいになるじゃない。で、何か適当に、事務所でケンタッキーか何か食べてね。「みんなで食べるのが一番おいしいね!」みたいな感じで、お茶を濁す事になりかねないじゃない」

千早「お茶を濁すとか言うんじゃないわよ。いいじゃないの。そういうので」

伊織「いや、いいんだけどね。今日はもっと、食事をメインに味わいたい気分なのよ」

真「でも、食事っていうのはさ、何を食べるかより、誰と食べるかじゃない」

伊織「今はそういうのいいから。え、何。BUSHI選手好きなの?」

響「そういえばさっき、ふざけてクジラって言ってたけど、こないだ社長とプロデューサー食べてきたって言ってたぞ。クジラ専門店で」

伊織「あら。何よ、割といい物食べてるじゃないの」

千早「クジラは値段的に手が出せないとしても、海産物もいいわね」

響「‥‥お寿司?」

伊織「いいわね。間違いなく美味しい物じゃない」

千早「手頃な値段で食べられる店もそこそこあるとはいえ、少し勇気がいるわね‥‥」

響「だよね。どうせなら、ちゃんとしたの食べたいしね。変な、スーパーのパック寿司と見分けつかないようなのじゃなくて」

真「あ、お好み焼きとかいいんじゃない?」

千早「どうしてそれを2分前に言わないの?」

響「もう、みんな完全に寿司脳になっちゃってるぞ」

伊織「そうよ。寿司脳に‥‥寿司脳?」

真「何それ。寿司脳」

響「いや、適当に作った単語に、そんな食いつかれても困るぞ」

真「寿司脳もいいけどさ、タイミング的にあれじゃない。懐が寂しい頃合だと思うんだけど」

響「うっ‥‥」

千早「たしかに‥‥」

真「どんなに切り詰めて生活するとしても‥‥そうだな‥‥ひぃふぅみ‥‥今日使えるのは、1800円がいいところだなぁ。僕は」

響「自分もそんなもんかな。灯油代で財布がカリカリ削られてるし」

千早「私は‥‥そうね。出せても2000かしら。水瀬さんは?」

伊織「40万」

真「ふふっ! 何その、思い出したかのようなセレブ感」

伊織「まあ、似たようなもんね。こないだ、買い物しちゃったし」

響「おお、何買ったの?」

伊織「目薬とアクエリアス」

響「普通の買い物! コートとかカバンとかじゃないんだ」

真「いいよ、薬局での買い物なんて報告しなくて」

伊織「2000円弱だと‥‥全部100円の皿なら、40貫くらいは食べられるけど」

響「でもさ、折角行くなら美味しいやつも食べたくなると思うぞ。かにみそとか」

千早「だとすると、やっぱり少し心許ないわね」


参考価格:http://toriton-kita1.jp/takeout/


真「でしょ?」

響「じゃあ、妥協して真案にしようか」

伊織「そうね。次点の真案で」

千早「真案で我慢しましょうか」

真「なんでちょっとバカにしてるの?」

響「お好み焼きだと、平均850円くらい?」

伊織「何が入ってるかにもよるけど、そのくらいじゃない?」

真「大人はそれにお酒を頼むからプラス3000円くらいだよね」

響「‥‥あれ? よく考えてみたら、4人でそれぞれ2000円前後でしょ? 合わせて8000円‥‥家で食べれば、相当豪華になるぞ」

伊織「たしかに‥‥色々入ったやつだと、1200円とかするものね。店だと」

真「調子に乗ってイカの一夜干しとか頼んだら、もっとかかるよね」

響「自分達で作れば、豚もイカもチーズもエビもアサリも入れ放題だぞ」

真「焼きそばとか追加できるんじゃない?」

伊織「あら、なんか、割といい感じじゃない?」

響「だね。じゃあ、誰の家に集まろうか」

千早「あっ」

伊織「何?」

千早「いえ、今思い出したんだけど、お好み焼き、ダメだと思うわ」

真「え、なんで? あんまり好きじゃない?」

千早「そういうわけじゃないけど。‥‥誰か、鉄板とかホットプレート、持っているの?」

響「うわっ、そうだった」

伊織「そういえば、前にもこの問題に遭遇したんだったわね」

真「そうなの?」

千早「その時は、たまたま音無さんがいてどうにかなったんだけれど」

真「うちには一応あるけど‥‥微妙だよね。家族普通にいるし」

伊織「いきなり押しかけてお好み焼き焼き始めるとか、真の人間関係が疑われるわよ」

響「んー、どうしよっか。‥‥あ、じゃあ、間取る?」

千早「間?」

響「うん。ほら、最初はお寿司食べたいね、って流れだったけど、高いからお好み焼きって事になって、じゃあどうせなら家で食べてもっと安く済ませようって感じだったでしょ?」

真「うん」

響「じゃあ、お寿司を家で食べて安く済ませればいいんさー」

伊織「今から漁船のチャーターなんて間に合うかしら」

響「いや、材料を自力で確保とか、そういう話じゃなく。そういうのはTOKIOの人達に任せとけばいいんさ」

千早「つまり?」

響「手巻き寿司」

伊織「採用」

響「はやっ。え、自分で案出しといてなんだけど、いいの?」

伊織「いいじゃない。間違いなく美味しいし。それにもう、お腹が若干限界に差し掛かってるし」

真「なんせ、僕ら葉っぱしか食べてないから」

千早「んふっ‥‥ちょっと、それ強烈すぎるからやめてくれない? 言葉が」

響「じゃ、ささっと買い物行こうか。どこでやる?」

千早「うちでもいいけど、食器とかは足りないかも知れないわね。酢飯なんかを作る、桶っていうのかしら? それもないし。我那覇さんの家、ちょうどいいんじゃない?」

響「あー、そうだね」

真「ちょうどいい?」

響「うん。うち今、みんないないから」

伊織「ああ、なんか前に、そんなような事言ってたわね。じゃあいいかしら?」

響「うん。じゃあ行こうか?」

真「あ、ちょっと待って。ちょっと、ご飯いらないって連絡入れとかないと。‥‥もしもしー? あ、今日ね、事務所のみんなでご飯食べてくから。‥‥うん。うん? あー、多分、明日かな」

響「え、なんか今、気のせいかな。うちに泊まってく感出してた?」

伊織「あら、違うの?」

響「初耳なんだけど」

千早「着替えを事務所に置いておくと、こういう時に助かるわね」

響「初耳なんだけど」

真「うん。はーい。じゃあそういう‥‥あ、ちなみにさ、今日の夕飯、何の予定だったの? うん。え? フキと? さつま揚げの煮たやつ? うん。はーい。じゃあねー。‥‥お待たせ」

伊織「ちょっと。あんた今、夕飯の内容如何によっては、帰ろうとしてたでしょ」

真「いや、別にそんな事は‥‥ほら、ご飯って、何を食べるかじゃなくて誰と」

千早「今日の夕飯がカニだったら?」

真「帰る」

伊織「正直すぎるわよ」

響「帰り道からちょっと逸れるけど、産直の店あるからそこでいいかな。元々安い上に、そろそろ値引きも始まる時間だし。質も結構いいんだー。運がよければカニもあるかもだぞ」

千早「任せるわ」

響「じゃあ行くかー」




 





真「あ、なんか、手巻き寿司パックみたいの売ってるよ。割引きもしてるし、これにする? 3つくらい買えばちょうどよさそうかな」

響「うーん、一応他のも見てからかな。買われちゃうかもだから、一応カゴに入れといて」

伊織「トビッコ買いましょうよ。トビッコ」

響「だね。2ついるかな」

千早「パックに入ってない魚も結構あるわね。これ、美味しいのかしら」

響「どれ? ああ、これ、ブリとかハマチの成長前らしいぞ。いいんじゃない?」

千早「自分で切らないといけないようだけど‥‥大丈夫?」

響「いや、3枚におろすところからってわけじゃないんだし。細長く切るくらい誰でもできるでしょ」

真「響ー、これは?」

響「タコは、パックにも入ってるぞ。多めに食べたいならいいけど。好きなの?」

真「いや、別に」

響「いや、じゃあ戻してきてよ」

伊織「これは?」

響「それは‥‥何それ?」

伊織「ひき肉」

響「え、何。もしかして、自分に割と面倒な調理やらせようとしてる?」

伊織「ダメ?」

響「‥‥ちょっと、もう少し可愛くやってみて」

伊織「だめぇ?」

響「ダメ」

伊織「なんでやらせたのよ!」

響「あはは! や、まあ、これは流石にちょっと面倒くさいけど、何か出来合いのもの使って似たような感じにしようか」

伊織「話せるぅ!」

真「響、響! じゃあ僕も、回転寿司とかによくある、天ぷらのやつとか食べたい!」

響「可愛くやって」

真「だぁめへぇ~?」

響「ふくっ‥‥! も、もう一声」

真「んだぁははぁめへへへぇ~ん?」

響「ぷはっ! ほ、方向性おかしくなってる! あ、うちに、お弁当用に入れる冷凍食品の天ぷらあった。それでいいよね? タレ味の」

真「オッケー!」

千早「じゃあ、私はこれで」

響「いや、別にわざわざ面倒なやつ要求するコーナーじゃ‥‥何それ」

千早「食パンと卵と牛乳とバター」

響「なんでフレンチトースト作らせようとしてるんさー!」

伊織「それ、わざわざ探して持ってきたの?」

千早「ええ。戻してくるわ」

響「‥‥あ、バターだけそのまま持っといて。ちょうど切れてた」

千早「わかったわ」

響「よし、こんなもんかな。パックは1つだけでよさそうだね」

伊織「海苔とかはあるの?」

響「あー、どうだったかな‥‥まあ、買っとこうか」

真「海苔ってさ、ちょっと食べ始めると、無限に食べちゃうよね」

伊織「海苔だけにノーリミットって?‥‥うっさいわよ!」

真「誰もそんなの言ってないだろ!」

響「個人的にはちょっと面白かった。あ、千早戻ってきたぞ。うわ、またなんか持ってる」

真「何それ?」

千早「アボカド」

響「ちゃんとした物だった」

伊織「しかも、割と女子っぽいやつ。千早なのに」

千早「失礼ね。‥‥いや、それちょっと本気で失礼なやつじゃないの!」

響「まあまあ。じゃあ、お会計しちゃおうか」

真「あれ? お菓子とかは?」

響「わあ、本気で泊まってく感じだ」

伊織「どうせ寂しいんでしょ?」

響「や、録画した火災調査官・紅蓮次郎とかあるから、別にそれほどでもないんだけど」

千早「なんでそのチョイス?」

響「あ、十津川警部もあった」

伊織「え、何。あんた今日、ご飯誘わなかったら、船越さん祭開催する予定だったの?」

真「濃ゆい時間だなー」

響「まあいいや。じゃあ、適当に何か‥‥あ、ほねっことか、ささみガムならうちにあるけど」

千早「ああいうの、たまにすごく美味しそうに見えるのあるわよね」

伊織「無人島に流れ着いて、それしかなかったら、割と迷わず食べられそうよね」

真「っていうか、僕、今でも食べられそうなくらいお腹空いてるんだけど。急がない?」

伊織「葉っぱしか食べてないものね」

千早「ふくっ! やっぱりそれ、私ダメ。弱いわ」











響「ただいまー」

千早伊織真「おじゃましまーす」ゾロゾロ

響「ちょっと、急いでご飯炊いちゃうね。草食系女子が2人いるから。適当に座ってて」

伊織「なんか、響の家に動物がいないって不思議な感じね」

千早「そうね。‥‥あら? 何、これ」

響「あー、ちょっと寂しさを紛れさせるために、ぬいぐるみ置いてるんだ。邪魔だったらどっか退かしといて」

千早「いや、それはいいんだけれど、なんで河童なの?」

真「せめて動物置けばいいのに」

伊織「まあ、響なら妖怪飼ってても少し納得しちゃいそうではあるけどね」

真「名前つけるならなんだろう」

千早「我那覇さんの事だから‥‥カパ正とかそういう」

響「いやー、河童だったら、もう決まりでしょ」

伊織「何?」

響「デビット」

伊織「カッパーフィールド? うっさいわよ!」

真「妖怪はちょっと捻るんだ。名前」

千早「じゃあ、天狗は?」

響「天狗‥‥いや、そもそも、天狗のビジュアルだと、もう人間でしょ。ほぼ」

伊織「割と年配の」

響「あのー‥‥今日からそのぉ、ペットとしてここで暮らしてもらう形になるんですけどもー‥‥って」

真「あはは! 丁寧!」

響「名前とか、多分もうあるからね。こっちで勝手に付けなくても。‥‥っと、ご飯、早炊きにしたから結構すぐできるぞ。中身用意しようか」

伊織「何すればいいの?」

響「そうだなぁ。自分はお刺身切るから、伊織はツナとかアボカドとか、そういうやつの準備してくれる?」

伊織「わかったわ」

千早「私は?」

響「海苔切ってくれる? ハサミはこれ使って、8等分に」

千早「それくらいなら出来そうね」

真「僕は?」

響「えーとねえ。えーと‥‥じゃあ、声出し」

真「了解!」

響「終わったらテーブルに出しといてね。勝手に棚開けて皿とか器も使っていいから」

真「オッケーオッケー! いいよー! いい指示出てるよー!」

伊織「ふくっ‥‥こ、これ、ツナマヨの味は私の好みで大丈夫?」

響「うん。お任せしまーす」

真「大事大事! ここ大事だよー! 慎重に、時間いっぱい使っていこー!」

千早「くくっ‥‥の、海苔は何枚くらい切れば、いいかしら。多すぎても余してしまうわよね」

真「いいよいいよー! 確認取っていこう!」

響「あ、ああ‥‥ふふっ‥‥と、とりあえず、5枚くらい切ってくれれば、いいかな‥‥」

真「5枚5枚! 5枚でいこー! 足りなかったら切り足せばいいからねー!」

伊織「んふふ‥‥うるさ‥‥」

真「いいよー! 相手の動き見ていこう! 慌てないでー!」

千早「相手って」

真「いけるいける! いい感じだよー!‥‥ねえ。ちょっと、ねえ」

響「な、何?」

真「バカじゃん」

響「ふぐぅ!」

真「何? 何と戦ってるの? どういう競技なの?」

響「あれ? なんか、変な感じだった?」

真「変な感じっていうか。ご飯の支度してる人達の中に、変な奴一人混ざってるじゃん」

響「あ、何か、他の事やりたい感じ?」

真「まあ、何もやる事ないんだったら、見てるから、それはそれで別にいいけど」

響「冷凍庫に、さっき言ってた冷食入ってるから、温めといてくれる? あと、鶏の照り焼き買ってきてるから、小さくほぐしといて」

真「あるじゃん! やる事あるじゃん! 何? なんで声出しさせたの?」

響「いやなんか‥‥一人はその役割が必要かなと思って」

伊織「司令塔が?」

響「そう、司令塔が」

伊織「やっぱり、指示が上手くいかないと選手も力を出せないから」

真「そう? そういう事であるなら別にいいんだけどね?」

千早「まあ、指示は我那覇さんが出してたけれど」

真「あれあれあれ? おかしな話だよ。司令塔は2人いらないじゃないか」

響「いや、それはまあ‥‥でも、そういうのとは違うから」

伊織「ほら、監督とキャプテンは別物じゃない」

響「そうそうそう。やっぱりね、現場の事は、現場の者しかわからないから」

千早「あまり監督が前に出過ぎると、チームの士気にも関わるし」

真「あ、響が監督で、僕がキャプテンなんだ。まあまあまあ、そういう事なら悪い気はしないけどね」

響「いいから早くやってよ」

真「ふくっ‥‥! なるほどなるほど。そういう事を言うんだね。よーし、決闘だ。表へ出ろ!」

伊織「あ、真。マヨネーズ取って」

真「あ、うん。はい。‥‥これ、照り焼きもマヨネーズで和える?」

響「いやー、それは各自でいいんじゃない? ギトギトになっちゃうぞ」

千早「海苔、切れたわ」

響「はーい。あ、上の棚にプラスチックの桶入ってるから、出しといてくれる?」

千早「上? あ、これかしら。‥‥あったわ。ここ置いとくわね」

響「はーい。よし、魚切れたぞ」

真「結構あるね。こっちも準備できたよ」

伊織「真、ちょっとツナマヨ味見」

真「あーん。‥‥あ、ダメだ。多分今、何食べても美味しいから、あんまり参考にならないよ」

伊織「葉っぱを経てのツナマヨだものね。ま、こんなもんかしら」

響「あ、ご飯炊けた。今日はちょっと、これ使うね。すしのこ」

伊織「いいんじゃない?」

響「ご飯を桶に移してー、すしのこをパラパラっと‥‥あっ」ドサッ

千早「‥‥‥‥」

伊織「‥‥ちょっと。何やってんのよ」

響「いや、だいじょ‥‥大丈夫だから! トランキーロトランキーロ! あっっせんなよ!」

真「いや、響が一番焦って見えるけどね」

響「ほら、こうやってちゃんと混ぜれば案外‥‥千早、味見」

千早「‥‥すっぱ」

真「ふふっ、ダメじゃん」

伊織「どうすんのよ?」

響「冷凍ご飯ちょっとあるから、チンして混ぜるかー」







響「お待たせー」

伊織「なんとかなったみたいね」

真「お腹空いたー!」

千早「私も普通にお腹空いたわ。真と水瀬さんなんて、もう限界じゃない? なんせ」

伊織「葉っぱしか」

真「食べてないから」

千早「ひふっ‥‥!」

響「なんかもう、絶対怒られると思うぞ。それじゃ、いただきまーす」

千早伊織真「いただきまーす」

真「じゃあ、まずはこの‥‥なんだろ、これ。謎の白身から‥‥くーっ、美味しそう! あむっ!」

千早「謎の白身って言い方、全然美味しそうに聞こえないけど」

響「カレイじゃなかったかな」

伊織「じゃあ私は‥‥この、謎のイカから」

響「イカじゃん。謎じゃないじゃん」

真「おいしー! いやあ、食べ物って美味しいね!」

千早「その感想、切なすぎるわね」

響「伊織、これ巻いたから食べていいよ」

伊織「ありがと。何これ?」

響「シソ」

伊織「葉っぱじゃないの!」

響「あっはは! あ、じゃあ自分、ちょっと反則のやつ作る」

千早「反則?」

響「まず、トビッコをマヨネーズで和えてー。それをご飯に塗って、サーモンとエビを‥‥はい、できた」

伊織「あむっ。‥‥あー、たしかにこれ、反則だわ」

真「マヨネーズってさ、ずるいよね」

千早「たしかに」

響「マヨネーズ、にんにく、ごま油は、飛び道具だと思うぞ」

伊織「なんだったらもう、海苔とお米でマヨネーズ巻いただけでも成立しちゃうものね」

千早「そもそも酢飯もちょっとずるい気がするわ」

響「だね。ただの白ご飯で、この量食べれないよね」

真「あ、キャリフォルニア巻きってどうするんだっけ」

伊織「キャリフォルニア」

響「えーと、キャリフォルニア巻きはね、アボカドとマグロとエビ、だっけ?」

千早「キャリフォルニアっていうくらいだから、もっとアメリカ人の好きそうな物が入ってるんじゃないしら。牛肉とか」

真「あー、たしかに。ピクルスとか入ってそう」

伊織「そうね。それにやっぱり、お米よりパンの方が慣れ親しんでそうね」

響「じゃあ、肉はそのままより、ひき肉にして、固めて焼いた方がいいよね。挟んで食べる感じで」

伊織「ちょっと、どんな食べ物か想像もつかないわね」

千早「未知の食べ物ね。キャリフォルニア」

響「‥‥で、なんかこんな感じじゃなかったっけ。はい」

真「ありがとう!」

響「どう?」

真「んーと‥‥うん、なんか、こんなのだった気がする。美味しい」

伊織「誰も正解を知らないやつ」

千早「私、食べた事ないわ。たしか」

響「でもまあ、普通に単品で食べるのが一番美味しい気がするぞ」

真「なんだかんだ言ってそうなるよね」

伊織「そうね。こう、素材そのままの味を素直にストレートに‥‥あ、響。私もキャリフォルニア作って」

響「今の会話なんだったの?」

千早「ふふっ!」

真「いや、でもまあ、そっちはそっちでね。納豆にイカ混ぜたりマグロ混ぜたりしたのとか、普通に美味しいし」

伊織「こう‥‥マグロのたたきの伊織ちゃんがいるだけで十分に成り立つけど、そこに納豆の亜美と、卵の黄身であるあずさが加わる事で、竜宮小町という別の」

響「やっすいなー。え、何。竜宮小町って、そういう回転寿司のアレンジレシピ的なものなの?」

伊織「まあ、当たらずとも遠からずと言うか」

真「怒られるよ!」

千早「ちなみに律子は?」

伊織「それはまあ、シャリでしょうね。律子という基盤がある事で、私達はそれぞれの個性を発揮しながらも調和がね、取れるというか」

響「あれ? これ、なんかちょっといい事言ってる風だから怒られ‥‥あー、いや、ギリ怒られるかな?」

真「よりによって、題材が爆弾巻きだからなぁ。もうちょっといい具材ないの?」

伊織「えーと‥‥伊織ちゃんというエンガワを、タレの亜美と大葉のあずさが‥‥」

響「なんか、ちょいちょい自分をメインに持っていきたがるよね」

真「まあね。まあ、普段から若干そういうところあるよね」

伊織「ああもう! うっさいわね! じゃあこれ、海苔とご飯が律子! で、これ伊織ちゃん!」

千早「マグロの赤身」

伊織「これがあずさ!」

真「カレイ」

伊織「それで、これが亜美!」

響「イクラ」

伊織「これをギュッと一まとめにして、それぞれのいい所を凝縮した、この手巻き寿司が竜宮小町なわけ! いただきます!」

千早「‥‥‥‥」

真「‥‥おいしい?」

伊織「‥‥なっまぐさ」

響「あははは! そりゃね! なんかもう、みっちみちだからね! 律子ちょっと裂けてるからね!」

伊織「これもう、竜宮小町解散だわ‥‥」

真「そこまで!?」

千早「例えに使った手巻き寿司が美味しくなかったから解散て、さっきの話じゃないけど、流石のあずささんも怒るわよ」

響「いや、もう、怒るとかじゃなくて、困惑でしょ」

伊織「あー、まずかった。でもこれ、765プロのみんなを具に当てはめてくってどうかしら」

真「え? 例えば‥‥春香は赤いし、755プロと言えばって感じだからマグロ。とか、そういう?」

伊織「そうそう。あんたは海苔‥‥ちょっとお洒落な創作和食とかだと、キャビアとかもありそうね」

響「待って待って。こっち2人、青いんだけど」

千早「お寿司のネタどうこうじゃなくて、食べ物としてどうかと思う色ね」

真「っていうか、伊織も微妙じゃない? サーモンはピンクっていうよりオレンジだし。エビがかろうじてピンクかな?」

伊織「何言ってんのよ。アレがあるじゃない」

千早「何かあったかしら。ガリもまあ、店によってはピンクといえばピンクだけれど‥‥」

伊織「でんぶ」

響「あっははは! 地味! 地っ味!」

千早「太巻きの一部に、ふぁさ‥‥ってなってるだけじゃないの!」

伊織「ちょいちょい自分をメインに持ってくとか言うから」

真「気にしてたんだ!」

響「あっ!」

千早「な、なに?」

響「こういうさ、今日、酢飯入れたような器。こういうのさ、桶じゃなくて、おひつっていうんじゃない?」

伊織「今!?」

真「今その訂正、だっれも求めてないから! このタイミングで!」

千早「というか、結構食べたわね。もう、お米がほとんど残ってないわ」

響「あー、なんだったら炊くけど、どうする?」

伊織「もういいんじゃない? 私は満足よ」

真「僕も。なんだかんだ、話しながら、かなり食べたしね」

千早「お米なのに、軽食感覚でひょいひょい行けて、ちょっと怖いわね。一口の量が少ないからかしら」

響「じゃあ、残ったネタは醤油に漬けておこうか。明日の朝ご飯、食べてくんでしょ? ご飯炊いといて、丼にしよっか」

真「うわぁ、朝から豪勢だなぁ」

響「あ、みんなはうどんだけどね」

千早「だとしたらなんで言ったの? わざわざ」

響「うそうそ。じゃあ、これでごちそう様って事にして‥‥え? 確認だけど、全員泊まってくんだよね?」

伊織「私は完全にそのつもりだけど」

真「僕も。電話で言っちゃったし」

千早「私も、迷惑でなければ。そこそこ遠いし」

響「まあ、それは別にいいんだけどさ‥‥布団どうしよっかな」

千早「私は別にいぬ美と‥‥あ、いないんだったわね」

響「待って。いたとして、そんなメルヘンチックな寝方するつもりだったの? 流石に風邪ひくぞ」

伊織「じゃあ、私はワニ子と」

響「いや、ワニ子もいないから。いたとしても、ワニ子キンッキンに冷えてるから。朝方とか。変温動物だから」

真「それじゃ、僕はゴリ朗と」

響「いないから。ゴリ朗はずっといないから。この部屋をアニマル惑星か何かと思ってるの? え、ゴリラだよね? いたとしても、背骨ボッキボキだから。一緒に寝たら」

真「最近暖かいし、タオルケットか何か貸してくれればそれでいいんじゃない?」

響「いやー、流石にそれはなぁ。夜中になると冷え込む事もあるし。もう1組なら布団あるけど」

千早「じゃあ、大丈夫じゃないかしら? 幸い、今日のメンバーは、サイズ感が割りと小さめだし」

真「あのさ」

伊織「あんた、その自爆精神、なんとかした方がいいと思うわよ。アイドルとして」

千早「今日だけは2人に言われたくなかったわ」

響「じゃあまあ、とりあえず布団敷こうか。厳しそうだったら、最悪、新聞紙とかおがくずとかあるし」

伊織「巣」

響「じゃあ真、ちょっと手伝って。2人は食器下げといてくれる? 洗うのは明日やるから」

千早「わかったわ。‥‥あ、水瀬さん。すっかり忘れてたわ。これ、頼まれてたCD」

伊織「あらありがと! 結構マイナーなグループなのに、よく持ってたわね」

千早「ええ。前に、たまたまファンの方と共演する事があって、薦められたのよ」

伊織「聞いてみてもいいかしら。どうにも、サンプルだと感覚が掴みにくくて‥‥響ー、CDコンポ、使って大丈夫?」

響「いいぞー」

伊織「それじゃ早速‥‥って!」

千早「水瀬さん? どうしたの?」

伊織「なんで、ポンコツ浪漫大活劇バンピートロットのディスクがCDプレイヤーに入ってるのよーっ!」





                                           おわりだよ~


はい、というわけで、読んで頂いてありがとうございます。
一応シリーズ物(?)っぽい感じだったんですが、一巡させる事ができました。
尋常じゃないくらい間が空いたんですが、伊織に何を食べらすかで時間のほとんどを使ってた気がします。
おにぎりかラーメン使えたら楽だったのに。
あと、唐突にロスインゴ語使わせたくなったんで、繋がり変にならないように半分くらい書き直しました。
 
3つ書いていて、酒を飲ませられないっていうところでかなり苦しんだんで、ミリオン組も加えた成人アイドルで、誰かこういうの書いてくれればいいなーと思います。

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