後輩曜ちゃんと先輩梨子ちゃん (34)

へーっくしょん!

ぐずっ...ううっ...

まさか高校の入学式翌日に風邪を引いて休むなんて思わなかった


私の名前は渡辺曜、この春から浦の星女学院に通う事になった一年生!
特技は水泳!中でも飛び込みは全国クラスのバリバリの体育会系であります!

もちろん小学校から中学校迄は皆勤賞・・・だったんだけど

曜「頭が痛い...節々が痛い...」

こうして入学早々ベッドの上に釘付けになっている次第であります・・・

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497031084


~翌日~

もう大丈夫ね、とママからお墨付きを貰って、元気よく出発!

みんなは昨日から、私は今日から、輝かしい高校が始まるのだ!


自宅から少し離れたバス亭からバスに乗ると、最後尾にツンとした感じの美人が座っていた

津島善子先輩、同じ小学校中学校に通っていて・・・なんというか、ある意味有名人
まぁ、有名人な理由はさておいて、元気に挨拶!おはヨーソロー!善子先輩!


善子「あら、風邪はもう大丈夫なの?リトルデーモン?」

リトルデーモン、っていうのは友達とかマイフレンド的な何かだと私は思ってる(勝手に)

曜「うん!昨日しっかり休んだから元気全快であります!」

ビシッと敬礼!それを見てフフッと笑う善子先輩、それでこそ私のリトルデーモンね、なんて言ってる

善子「あと、善子じゃなくてヨハネよ」

曜「了解であります!ヨハネ善子先輩!」

善子「うん、わかってないわね...」

バスに揺られる時間、昨日学校で何か変わった事はなかったか、と尋ねてみる

善子「そうね...うちのクラスに転校生が来たわよ?」

善子先輩のクラスって言ったら2年生?

善子「東京からですって、こんな辺鄙な所に遙々と、大変よね」


学校に登校した私は、親友兼幼なじみの二人に囲まれる

花丸「曜ちゃんが学校休むなんて、槍の雨が降るかと思ったずらよ」
少し皮肉を効かせながらも優しく笑う女の子は国木田花丸ちゃん、文学部で図書委員をしていたバリバリの文科系、あとおっぱいが大きい

ルビィ「うん、ホントに心配してたんだよ」
心から心配そうに話す女の子は黒澤ルビィちゃん、気弱で引っ込み思案だけどアイドルが好きで、本当は熱い女の子


曜「心配かけてごめんね、もう大丈夫だから!」


昼休み、私は善子先輩に呼ばれて2年生の教室へ

メールだと「千歌が時代はスクールアイドルだよ!とか叫び始めて手に終えない」とか書いてあるけど、話がよく分からない・・・

千歌先輩・・・一学年上の高海千歌ちゃんは、私の幼なじみで昔馴染み
よく遊んだり一緒に色々な事をしたり中学校の時は補習を受けたり・・・私にとってお姉さん2号なのだ
1号?まぁそれはおいおい...

・・・それよりスクールアイドルって何?


千歌「だーかーら!」

二年の教室では千歌ちゃんが善子先輩相手に力説をしていた

千歌「時代はスクールアイドルなんだよ!」

善子「はいはい、それ朝から何回も聞いてるわ」

千歌「善子ちゃんも一緒にスクールアイドルを...」

善子「却下、これも朝から何回も言ってるわね」

むーっ!と膨らむ千歌ちゃんの頬っぺた、まるでハムスターみたい...
なんて考えてると、千歌ちゃんがこっちを見つけてダダダッ!と駆け寄ってくる

千歌「曜ちゃん!時代はスクールアイドルなんだよ!」


千歌ちゃんからスクールアイドルの動画を見せられる

千歌「ね!ね!?凄いでしょ?」

うーん、確かに、同じ高校生とは思えないかも

千歌「みんなキラキラしてて...輝いていて...」

衣装も曲も自分たちで作ってるんだよ!と千歌ちゃん

へー、それは凄いかも
・・・でも千歌ちゃん

曜「衣装や曲、作れるアテでもあるの?」


う"っ・・・と怯む千歌ちゃん

私ダンスなら踊れるかも知れないけど、衣装作ったりとか出来ないよ?軽い裁縫くらいなら出来るけど・・・

千歌「で、でも!作曲できるメンバーはいるのだ!」

善子「良くわかってない内に無理やり部員にしただけでしょ...」

転校生を、と親指で指差す善子先輩


その指の先には見慣れない制服を来た少女

背は私より少し高いかな?身体は細い...文科系の人だ
金色の切れ長の瞳と赤みがかった綺麗なストレートロング...

千歌「そうだよ!転校生にして期待の新戦力!」

ババーンと大きな身ぶり手振りでその娘を紹介する

千歌「桜内梨子ちゃん!美術部員でピアノ経験者!」

そして何より!と続ける

千歌「あの音ノ木坂学院からの転校生!奇跡だよ~!」

・・・音ノ木坂?

千歌「も~!曜ちゃん!さっき動画見せたでしょ!」

曜「あ~?さっき見たえっと...」

千歌「μ'sだよ!」

その学校なんだよ!と続ける千歌ちゃん

曜「はぁ...」

千歌「何その気の無い返事!善子ちゃんみたいじゃん!」

曜「いや、だって...」


善子先輩の横に居る桜内先輩を見る・・・うわっ、完全に困惑してる・・・
というか怯えてない?

梨子「え、えっと...」

桜内先輩は私をおっかなびっくりしながら見る
あっそっか、自己紹介しなきゃ

曜「渡辺曜、です」

はじめまして桜内先輩

梨子「は、はじめまして...?」

うわぁ、完全にここはどこ?私はだれ?状態だ・・・

転校して早々に千歌ちゃんの超強引な勧誘を受けただけで、絶対に状況把握出来てないやつだ・・・

千歌「曜ちゃんはね?運動神経抜群で、私の自慢の妹分なんだよ!」

いや、千歌ちゃん今そんな事を言っても、桜内先輩「だから何?」みたいにしか思えないよ

千歌「でね!曜ちゃん!」

ズズイッと身を乗り出してくる千歌ちゃん

千歌「スクールアイドル、始めない?」

曜「いや、無理だし」

千歌「ガーン!」

曜「いやいやいや・・・水泳部に入るの知ってるでしょ?」

ショックを受ける千歌ちゃん・・・の横でもう一人、ショックを受けてる人が・・・


うわぁ、桜内先輩、涙目になってこっちみてる

『私を見捨てるの?渡辺さん』って目が語ってるよ・・・

・・・なんか不憫になってきた

曜「...あ、あのさ」

ダメだ、このまま千歌ちゃんを放置したままだと。いや、桜内先輩と二人だけにしたら
桜内先輩が不憫過ぎるよ・・・

曜「練習の合間を縫っての掛け持ちで良ければ、付き合うよ...」

善子先輩は腕組みしながら大きくため息をつく・・・
お人好し過ぎるわよ、と目が語ってる

桜内先輩は・・・

うわっ、パァァァァッ!て擬音が聞こえる位の笑顔、むっちゃ笑顔
分かりやすい人だなぁ・・・

千歌ちゃんはそんな桜内先輩の内心がわかってるのか、わかってないのか・・・私の手を握ってブンブンと上下に振ってる


なんか私の高校生活・・・波乱万丈になりそう・・・

放課後

花丸ちゃんは図書委員、ルビィちゃんはお姉ちゃんと一緒に帰るとかで生徒会室
善子先輩は委員会だかで呼び出し
つまり私はひとり寂しく下校・・・

その帰り道、ふと後ろから声をかけられる
振り向くと、桜内先輩

少しお話でもしない?と誘われて二人で少し歩いて松月までやってきた


曜「ごめんなさい」

私はペコリと頭を下げる
千歌ちゃんが迷惑をおかけしまして・・・

桜内先輩はきょとん、として慌てて手をパタパタと動かしながら話す

梨子「ううん、私こそごめんなさい」

私を不憫に思って、スクールアイドルやってみるって言ってくれたんだよね?とお礼を言われる

梨子「どうもありがとう...えっと...」

曜でいいですよ、と私が言うと

梨子「じゃぁ...曜ちゃん」

曜ちゃん、と言いながらフフッと笑うその笑顔に、私は少しだけ心臓が早くなるのを感じる

・・・え?

いやいやいや


梨子「・・・でね?曜ちゃん?」

はっとして我に返る
な、なんでしょうか?

梨子「ううん、高海さん...千歌ちゃんってああやって強引に私を誘ったのって、早くクラスや学校に馴染んでもらう為なのかなって」

曜「買いかぶり過ぎだと思います」

キッパリと断言
千歌ちゃんはゴーイングマイウェイを地で行く人ですから、と指摘をする

それを聞いてるまたクスクスと笑う桜内先輩

梨子「それだけ言われるのに千歌ちゃんの周りに友達がいっぱい居るってことは...」

求心力のある人なのね、と先輩

まぁ、へんなカリスマみたいなのはあるんだよね、千歌ちゃん

梨子「とにかく、これから一緒によろしくね?」

曜ちゃん、と

ドクン!とまた心臓が跳ね上がる

いやいやいや
いやいやいや

桜内先輩はこれから同じ部活でがんばる仲間だし、うん、仲間だし



自室に帰ってこれからの事を考える(宿題の事は考えない)

スクールアイドルかぁ
確かに千歌ちゃんから見せられた動画だと、キラキラしてたなぁ

私もああやってキラキラ・・・

ってああああああ!

ああいうフリフリヒラヒラな衣装を着て踊るんじゃん!
めっちゃ恥ずかしい!無茶苦茶恥ずかしい!
どうしよう!全然考えてなかった!
ただあのときは、困ってる桜内先輩を助けたい一心で・・・

曜「...桜内先輩かぁ」

ボーイッシュで髪の毛クシャクシャな私と違って、桜内先輩って女の子らしいもんなぁ・・・
きっとアイドルみたいな格好も似合うんだろうなぁ・・・

『メールダヨーソロー!』

ん?メールだ・・・

『From桜内先輩』

!?桜内先輩からだ!

『曜ちゃんへ、今日はお疲れ様。そして本当にありがとうね。明日から一緒の部活で頑張ろうね』

短っ!でもらしいって言えばらしいか・・・

へへへ、でも桜内先輩からメールもらっちゃった・・・


「曜ちゃん?ご飯よ...何か良い事でもあったの?」

な、なんでもないであります!ママ!

うーん

昼休み、私は珍しく真剣に頭を使って考える

その様子に親友二人がどうしたのか、といった表情をして観察している


曜「作曲は、桜内先輩...」

考えているのはスクールアイドル部の構想、大まかに思い付くのは"作詞" "作曲" "衣装" "ダンス"
そのうち作曲は千歌ちゃん曰く、桜内先輩が居れば大丈夫だそうで

曜「ダンスは...私がなんとか」

シンクロナイズスイミングや飛び込みみたいなもの、と考えたら私がなんとかできそう...多分

曜「つまりあとは...作詞と衣装」

花丸「何をさっきからブツブツ言ってるずらか?」

曜「ん、あ、えっとね?私が千歌ちゃんに誘われてスクールアイドルを始めるって話したじゃない?」

かくかくしかじか、作詞と衣装作りが出来るメンバーを探さないといけな・・・ん?

かくかくしかじか、作詞と衣装作りが出来るメンバーを探さないといけな・・・ん?

花丸←文学部で図書委員、かわいい
ルビィ←裁縫が得意、かわいい

曜「き...」

ルビィ「...き?」

曜「奇跡だよーっ!」


曜「という訳で是非スクールアイドル部に...」

花丸「お断りするずら」

ガーン!・・・って昨日このリアクションどっかで見たよ!
る、ルビィちゃんは?

ルビィ「ごめんね、曜ちゃん...ルビィも人前で歌って踊るのは...」

ですよね・・・
あぁ、どうしようせっかくアテを見つけたのに・・・

花丸「...匂うずら」

曜「えっ?」

花丸「曜ちゃん...ずいぶんと真剣ずら」

そ、そうかな?

花丸「...曜ちゃんから匂うずら」

だから何が!?

花丸「...ラブコメの匂いを感じるずら!」

続きます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom