偽卯月「みなさん!夢は諦めずに頑張れば、いつか叶うものなんですよ!ぶいっ!」
偽アイドル達「「いぇーーーい!!!」」パチパチ
偽卯月「………………」
偽卯月(遂に…遂にやりました…)
偽卯月(これで みくちゃん、美穂ちゃん、菜々ちゃん、杏ちゃん。そして私、島村卯月でC5のメンバー
の熱狂的なファン達が揃いました!)
偽卯月「私達は、遂に辿り着く事が出来たんです!」
偽C5「「いえぇええええええい!!」」
偽卯月(長年の悲願達成に参加メンバーのみなさんのテンションも際限なく上がっています)
偽卯月(しかしそれも仕方ありません、なぜなら…)
偽卯月(アイドルファンの聖地、あの346プロにまさに今、C5の大ファンである私達が足を踏み入れているからです!)
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偽卯月(ことの経緯は簡単なものです)
偽卯月(私は元々346プロの『C5』と言うアイドルユニットの熱狂的なファンでした)
偽卯月(しかし悲しい事に現代日本の方々には愛と言うものが無いらしく、ネット上でそういう発言をしようものなら、途端に『ウザい』『いい年してアイドルとか気持ち悪い』と一部心のない人達に蔑まれるのが現状……)
偽卯月(しかし、そんな日本もまだ捨てたものではなかったんです!)
偽卯月(どんなに叩かれてもぞんざいにあしらわれてもネット上で活動を続けるうちに、私はとある四人の人達と運命的な出会いを果たしたのです…)
偽卯月(そう。私と同様、C5の熱狂的なファンの方々とです。)
偽卯月(ネット越しとは言え、そこは熱い思いを心に秘めた者同士。私達の間に揺るぎない絆が芽生えるのにそう時間はかかりませんでした。)
偽卯月(というか第1回ビデオチャット会議を行って数分後には全員で号泣しながらお互いを慰め合ってました。)
偽卯月(こんな悲しい世の中では、私達のような純粋な心の持ち主はいつだって排斥対処だったからです…)
偽卯月(全員すっかり世間から蔑まれる事に慣れきっていたから……こうして認めあえる「仲間」に出会えた奇跡には心の底から感動しました)
偽卯月(だからでなのしょうか。ネット上でのお付き合いではハードルの高いはずのオフ会のお話もすぐ持ち上がりました)
偽卯月(それと時を同じくして、メンバーの一人が「346プロの事務所と思しき建造物」を発見したと報告してきました。)
偽卯月(ちなみにこの346プロの事務所と言うのは公式で発表されている怖い事務員さんだらけの形上の事務所ではなく、秘匿されている本物のアイドル達が毎日のように通う正真正銘の事務所の事です!)
偽卯月(そうなってしまうともう、それが例え犯罪だとしても……
偽C5「「じゃあ、実際に346プロに忍び込んで会っちゃいましょうか!イェーイ!ピース!ピース!」」
となるのは、必然の結果だったんです…)
偽菜々「という訳で、今日のナナ達のお仕事はこれですよ!キャハ☆」
偽C5「「おぉ~!」」
偽菜々「えへへぇ、なんだか照れちゃいますねぇ~」
偽卯月(さっそく飛び出した、これぞウサミンっぽい言動にメンバーみんなが感動して菜々ちゃん自身もまた照れてる様子です。)
偽卯月(あぁ、私達は今、まさに夢の世界の中にいます……)
偽卯月(一つだけ不満があるとすれば菜々ちゃんの顔が笑顔のまま全く変わらない事ですが、そこまで高望みはしません。)
偽卯月(少なくとも、全員が素顔でやるより、こうして「アイドルのお面」を被っている方が、没入感がありますから。)
偽卯月「『次のLIVEを盛り上げる為の演出についてのアイディア出し』ですか」
偽菜々「はい!」
偽卯月(しかし問題は、菜々ちゃんがハイクオリティで本人に「成りきっている」のはこれまでの発言で分かっていますが、他のメンバーが、私と菜々ちゃん以外、まだ誰も「キャラ」として何も喋っていません……)
偽卯月(この最高の一日に危惧が残るとすればそれだけです)
偽卯月(これから始まるロールプレイにおいて、「ぽくない」発言や挙動は絶対厳禁ですから……)
偽卯月(現時点で私と菜々ちゃんは高いクオリティでぽくふるまえているはずです。)
偽卯月(だからこそ、他の三人が心配なんですよね……)
偽卯月(オフ会で容姿について触れるのはタブーと理解した上で言わせて貰えれば、残りの三人、見た目からしてダメそうな雰囲気がプンプンしているんですよ…)
偽卯月(容姿と言っても、みなさんお面をつけているので、もちろん顔以外のことではありますが…)
偽卯月(そう言う意味でも、私と菜々ちゃんは髪型、体型などはそれぞれのキャラを演じる事に全く問題がないレベルと言えるでしょう)
偽卯月(でも、他のメンバーは違います)
偽卯月(まず美穂ちゃんですが……)
偽美穂「…………ごほっ、ごほ」
偽卯月(全体的に骨みたいに細くて肌が不健康な程に白いです!そして咳が多いと言うか、偶に吐血しています!とにかく凄く体調の悪そうな方です)
偽美穂「……ごほごほっ……あ、医者に連絡をしないと……」
偽C5「「………………」」
偽卯月(『隣に点滴スタンドがある事といい、今の独り言といい、絶対に重病人の方ですよね?きっと今回相当な無理をして参加してますよねぇ!?』)
偽卯月(とは内心思うものの、口にはしません。私だけでなく、みなさん、あえて口にしないのです。どれだけ無理があっても、オフ会でそれが禁句なことぐらい重々承知しているからです。)
偽卯月(最初からネットで知り合った時点で相手の正体や持病について全く気にしていませんし、私達は彼女を心から対等で掛け替えのない仲間だと思っています!)
偽美穂「ごほん…LIVEを盛り上げる為には…ごほっごほ……まずステージをくまさん柄に……ゴハァっ!!!」吐血
偽C5「「………………」」
偽卯月(それでも…それでも!私達は何も言いません。見なかった事にします。彼女は彼女なりに美穂ちゃんに成りきっているんです!いいんです!それでいいんです!よしとするんですよ!島村卯月!!!)
偽美穂「ふごふご………ふご…」血の付いたお面をハンカチで拭く
偽卯月(と、とりあえず、視線をみくちゃんに移しましょう)
偽みく「LIVEを盛り上げる方法…うーん、難しいにゃ……」
偽卯月「………………」
偽卯月(続きまして…彼女が前川みくこと、みくちゃんです。
……たとえ声が野太く、顎にやった人差指が流木のように太くごつごつしていたとしても……)
偽みく「そうだにゃ~、あ!みんなでネコ耳をつけるのはどうかな!!」
偽卯月(たとえ、衣装が筋肉でミチミチになっていても、タウンワークのようにぶ厚い胸板であっても、天井に頭がつきかねない高身長を誇っていたとしても、彼女がみくちゃんったらみくちゃんなんですっ!)
偽菜々「……シュ、シュワルツェネッガーさん?」
偽C5「「こら菜々ちゃん!!」」
偽菜々「!?」びく
偽卯月(菜々ちゃんが抑えきれず漏らした言葉をみくちゃん以外のメンバーで一斉にツッコミ、言葉をかき消しました。セーフです。ギリギリセーフです。聞かれてないです)
偽卯月(どうやらこの菜々ちゃん、自分に嘘をつくのが苦手な性質の人みたいですね、本来はいい事なんでしょうが、この場においてそれは障害になりそうです。)
偽みく「?」くいっと首を傾げる
偽卯月(うぅ…病人の美穂ちゃんと違って演技のクオリティだけは完璧なので余計にいたたまれません!どうしましょう…)
偽卯月(『なんで台詞と挙動の完璧度だけがそんなに高いんでしょうか?筋肉ムキムキのお兄さん!』)
偽みく「にゃふふ、みくはみんなとネコ耳を付けてLIVEが出来ればそれで大満足にゃ!」ムキムキの両腕を胸の前で組んでクネクネ
偽菜々「…う、うぐぅ………」
偽C5「「こら菜々ちゃん!」」
偽菜々「!?」びく
偽卯月(気持ちは分かります!分かりますけど、今はどうか…どうか抑えて下さい!)
偽みく「?」可愛い動作で首を傾げる
偽卯月(こ、ここは杏ちゃんに助けを求めてみましょう!)
偽卯月(ホンモノの346プロのアイドル達もなんだかんだで、本当に大変な時はいつも杏ちゃんが助けてくれていますし、なんとかなるはずです…)
偽卯月「あ、杏ちゃん!」
偽杏「ん?どうしたの、卯月」
偽C5「「!?」」
偽卯月(それは意外なほど完璧な『双葉杏』の声でした。)
偽卯月(菜々ちゃんの再現度にも引けを取りません。いえ、もしかしたらそれを上回っているかも知れません)
偽卯月(しかも彼女、なんと奇跡的に体格も、スリーサイズも綺麗な金髪の髪まで完璧なんです。そう言う意味では菜々ちゃんを本当に超えています。あのお面の中に本人がいたとしてもなんの違和感もありません…)
偽卯月(ですが…)
偽杏「はぁ、まったく、みんなも杏と一緒に休もうよー、仕事なんてやれる時にやればいいんだからさ」ジャラジャラ
偽卯月(ずっと両手、両足に付いている手錠と足枷の鎖が、金属的な音を事務所中に響かせいるんです……)
偽C5(「「な、なんで身体中に拘束具が付いてるのぉーーー!?」」)
偽杏「?」
偽C5「「……………」」サッ
偽卯月(杏ちゃん以外の全員が視線を伏せます。本当はここに集まった時から気になっていたものの、誰も聞けていないからです。)
偽卯月(これに関しては場の空気に配慮してとかいう次元の話ではなくて、普通に訊いたらオフ会どころの話じゃなくなりそうだからです…)
偽卯月(というか、この人の犯罪者臭も凄いですが、杏ちゃんに近い見た目の女の子が身体中に拘束具が付けられているというこの絵面もまた別の犯罪臭が凄いんですよ(涙))
偽卯月(今この状況を誰かに目撃されたら、不法進入とか以前に言われのない罪で逮捕された上で色んな冤罪ましましで裁判所に向かわされる事間違いなしです!!)
杏「要するに、私が言いたいのは~~」
偽卯月(囚人…じゃなくて杏ちゃんが普通に喋り出します。なんでそんなに饒舌なのに拘束具のフォローは入れてくれないんでしょうか?)
偽卯月(せめてそうしてくれれば、多少無理があっても言い訳してくれればこの際『そう言う事』にしてスルー出来るのに…)
偽杏「?卯月、どうしたの?大丈夫?さっきから汗がすごいよ?」
偽卯月「え?あの、あはは、は、はい!だ、大丈夫です!し、島村卯月、がんばります!ぶいっ!」
偽杏「そう?まあ、体調悪いんだったら無理せず休んで、病院にでも行った方がいいよー」
偽卯月「そ、そうですね、えへへ~…」
偽杏「最近の医療技術は凄いんだぞ、人の顔とか声、体格だって、簡単に変えられちゃうんだからなー」
偽C5「「!!??」」
偽卯月(い、いじってました!!この人、自分の身体をいじって『なりきって』ましたよぉ!!!)
偽卯月(どれだけ杏ちゃんが好きなんでしょうか…もはや狂気の沙汰です……ちょっと怖くて泣きそうです…)
偽卯月(他のみんなも恐怖でガタガタ身体を震わしています…)
偽杏「はぁ、働きたくないなー」
偽卯月(どうやら同じみ杏ちゃんの働きたくないモードの時間のようです。これを機にお馴染みC5のゆるふわキャキャうふふトークに持っていければ、この場の空気も持ち直せるはずです。
ここで私が的確な返しを入れさえすれば、空気まだ持ち直ります!!)
偽杏「いっその事、独房に入れられるレベルの犯罪者にでもなったらずっと働かずに済むののにねー」
偽C5「「闇が深過ぎるよぉーーー!!!」」
偽卯月「……………」ガタガタ
偽卯月(もはや冗談の域を逸脱していました…確かに杏ちゃんはそっち系統の発言をしますけどっ!しますけれども!!だからと言って犯罪や本当に悪い事にまでは手を出しませんから!!)
偽卯月(それにこの杏ちゃんが言うと冗談に聞こえません!!だって杏ちゃん、あなたすでに拘束されてますから!!拘束されてますから!!!)
偽杏「ん?何か言った?」
偽C5「「なんでもありません」」
偽卯月(みんなすぐに背筋を伸ばして答えました。……あぁ、杏ちゃんのお面の照り返しがどんどん禍々しく見え始めてきました……)
偽杏「それにしてもあついなー、暖房効きすぎなんじゃない?」ジャラジャラ
偽菜々「そ、そうですね、あはは…」
偽みく「みくもそう思ってた所にゃ!」可愛い仕草
偽美穂「言われて見れば…ごほっごほ……そうだね、ガハッ!?」吐血
偽卯月「……わ、私窓開けてきますね」
偽卯月(なんなんでしょうか、このカオスな空間は、日清さんが新たに開発したインスタントで出来る地獄絵図か何かでしょうか?)
偽杏「あー、あつー」
偽卯月(杏ちゃんが自分の服をぱたぱたさせて扇ぎ始めました。仕草もですがここで一番暑がるの所もまた北海道出身の杏ちゃんっぽい芸の細かさが輝いてます。)
偽卯月(でも一応なりきりとは言えアイドルが胸元や身体をはだけさせてるのはいただけませ………って!?
偽C5(「「なんか胸に『喉』って刺青が入ってるぅーーー!!!」」)
偽卯月(「喉」ってなんですか!「喉」!「喉」って!「暴」とか「狂」だったら逆にまだネタっぽかったのに、「喉」って…本来、普通の漢字なだけに刺青になるだけですごく猟奇的です…)
偽卯月(っていうか杏ちゃんボディに刺青が入ってるのがもう恐怖ですよ!)
偽卯月(とにかくこれで、仮に実は拘束具も刺青もファッションでしたと言うオチがあったとしても、この人の中身がそうとう歪んでいる事が、しっかり証明されてしまいました。)
偽菜々「……えと……その…あ、あの…ですね…、えーと、ナナはっ!じゃなくて……。その……」ガクブルガクブル
偽卯月(菜々ちゃんが完全に緊張して、もはや演技が続行不可能になりかけていますよ!どうするんですかこれ!!)
偽杏「うーん、菜々ちゃん、とりあえずまたみんなに他の案でもないか聞いてみたら?」
偽菜々「そ、そそ、そうですね!!はい、じゃあ……その……、まだ意見がある人いますか?……」
偽卯月(杏ちゃんのフォロー(元々この人のせいですが)で、菜々ちゃんがギリギリ持ち直しました。)
偽卯月(色々思うところはあるものの、彼女も彼女なりにちゃんと「場を作ろう」と言う意識はあるみたいですし、とりあえず杏ちゃんが何者だろうと問題にはしません)
偽卯月(病人の美穂ちゃんとムキムキのみくちゃんもそう考えたようで、改めて演技に戻る姿勢に入りました。)
偽美穂「私はそうですね……」
偽卯月(美穂ちゃんが何か言おうとしてくれています。まだお面に吐血の血が付いてるとかそんな事は関係ありません!
その程度のこと、今の私たちなら簡単に目を瞑れますから!!)
偽美穂「次のステージでは、あ〈ボキッ〉………」
偽C5「「!?」」
偽美穂「…………ぐ…」
偽C5「「…………?」」
偽美穂「ぐぎぁあぁあーー!!!」
偽C5「「大丈夫ですかぁあぁあああ!?」」
偽卯月(肋骨辺りを抑えて座り込む美穂ちゃんにC5の面々が騒然とします。私も驚いてます。だって今絶対大丈夫じゃない音がしてましたよ!?)
偽美穂「だ、大丈夫です…いつもの……ごほっごほ…事なので……ぐはぁ」吐血
偽美穂「ただ元から脆い骨が…ごほごほ、咳のし過ぎで骨折してるだけなので……ごほごほ」
偽C5「「それ全然大丈夫じゃないよね!?」」
偽美穂「いつもの事です……わ、私に構わず、先に進めて下さい………ゴフゥ」吐血
偽C5「「み、美穂ちゃん!!」」
偽卯月(今すぐにでも救急車を呼んであげたい気分でしたが、美穂ちゃんの心意気に胸を打たれてぐっと自分を押しとどめます。)
偽卯月(こんな機会、もう一生こないかもですもんね?最後まで完遂したいんですよね?美穂ちゃん……)
偽卯月(私達は美穂ちゃんのその意志を受け継ぎお話を再開します!そこに…そこに!感動の結末があることを信じて!!!)
偽みく「うーん、みくはね~」クネクネ
偽卯月(シュワちゃん…じゃなくて、みくちゃんが話し出しました。みくちゃんは相変わらずいいガタイで「前川みく的可愛い仕草」を行って)
偽みく「やっぱり可愛い仔猫チャン達を呼んでみんなでにゃんにゃん、猫チャンパーティをしたいのにゃ!!」
偽菜々「……うぇっぷ」
偽C5「「こら菜々ちゃん!!」」
偽みく「?」びく
偽卯月(私と杏ちゃんで完全に吐きかけている菜々ちゃんを宥めるものの、私達も限界でした。本人のムキムキっぷりと相まって、言っては悪いですがとても気持ちが悪いんです……)
偽卯月(もうこうなったら最後の頼み綱、杏ちゃんにどうにかして貰うしかありません!)
偽卯月(いくら拘束具や刺青があったとしてもこの中では最もスペックが高いはずなんですから!)
偽杏「?卯月どうかしたのー?そんな捨てられた子犬みたいな目をして。ほら、杏とお菓子でも食べてゆっくりしようよ~」
偽卯月「は、はい!そうですね」
偽卯月(やっぱり普通に接していれば杏ちゃんが一番っぽいです。これなら!これならなんとかなります!)
偽卯月(しかし油断してはいけません、このまま杏ちゃんに好き勝手お話をさせてしまうと、またみんながドン引きするような言葉が口から出てくる事は明白です!なので、)
偽卯月「あ、そうだ、そろそろ話をまとめちゃいましょうよ!」
偽杏「まあ、杏は何も参加してないけど、仕事がはやく終わる事にはさんせー」
偽卯月(よし!これで杏ちゃんがしばらく余計な事を言う隙を封じました。後はこれでうまいこと締める事が出来れば……いける!)
偽C5「「………………」」
偽卯月(この時、私達の心は一つになっていました)
偽卯月(なんでしょうか…この気持ち、高翌揚感は……、初めて…いえ、ネット越しに初めて理解者に出会えた時のあの暖かい気持ちと少し近くて、でも、違う、そんな不思議な、気持ち……恐らく、この時みんな同じ気持ちでした。)
偽卯月(……結局私達は、全然C5っぽくはなかったです。私や菜々ちゃんだって落ち度がなかっただけで、結局最後まで他のみんなのように『自分から』意見を言う事はありませんでした……だからある意味この会は大失敗で…)
偽卯月(でも…だけど……なんでしょうか……私……)
偽菜々「そうですね、次のLIVEを盛り上げる為の演出ですけど。ナナ達は、このまま…
偽卯月(菜々ちゃんが、凄くらしいまとめに入っています。私達は……なぜだかそれを聞いて、凄く感動してしまっていました。)
偽卯月(ああ、良かったな。なんだかんだあったけど、今日、こうやって偽物のC5で集まれて、ホント良かったです…)
《ウゥゥゥゥゥ ウゥゥゥゥゥ ウゥゥゥゥゥ》
偽卯月(唐突に、事務所内に響き渡るパトカーのサイレンの音。そして、外から窓に当たる赤いランプ)
C5「「……………………」」
偽杏「……………………」サッ
偽卯月(菜々ちゃんのまとめが止まり、杏ちゃんが目をそらし顔から、たらりと一筋の汗が……)
C5「「逮捕劇キタァァァァァーーー!!!」」
偽卯月(もうみんな、大パニックでした)
偽美穂「ひぇえええええ!!〈ボキッ〉ふごぉおお〈バキッ〉アバババァ」
偽みく「ち、違うの!この薬は筋肉を増幅させるだけで、怪しいものじゃないのにゃあ!!」
偽卯月(美穂ちゃん、みくちゃんが完全に我を失い)
偽菜々「うぇええん!……ごめんなさぁい!!まだ小学三年生なのに夜遊びしてごめんなざぁい!!うぇええん」
偽卯月(どさくさに紛れて菜々ちゃんが、重大なカミングアウトをしています)
偽杏「ちくちしょう…遂にここまで来やがったか!忌々しい国家の犬っころめが……」
偽卯月(杏ちゃんが物凄いドスの利いた声を発して暴言を吐いてます)
偽卯月(しかし、周りがこれだけ混沌としていると、人は逆に冷静になるようで。私は落ち着いて杏ちゃんに尋ねます。)
偽卯月「これ、杏ちゃん絡みの警察ですか?私達の事務所侵入じゃなくて?」
偽杏「100%私だね。大量のパトカーが来ているみたいだし。流石にアイドル事務所とはいえ無法侵入ごときに、これだけの人員は割かないでしょ。でも……」
偽卯月「でも?」
偽杏「私を置いて、みんな逃げて。私の為にみんなまで捕まる必要はないから…」
偽C5「「え?」」
偽杏「ほら、私こんな足だしさ?」ジャラジャラ
偽杏「ここまでは、仲間達の、手を借りて来たんだけど、迎えに来るのはもうちょっと後なんだ」
偽杏「だから私は逃げられない。仕方ないから捕まるよ…。それにみんなまで付き合う必要はないでしょ?」
偽杏「安心して、私はこんなだけど、仲間の事を売るような真似は……」
偽C5「「…………………」」協力して鉄球を持ちあげ、逃げる準備を始める
偽杏「み、みんな…?ちょっと、いいよ、そんなの!みんなだけで逃げてよ!」
偽菜々「出来ません!」
(いつの間にかお面を外した菜々ちゃん…可愛いらしい小学生の女の子が目尻に涙を溜めつつ杏ちゃんを見ます。)
偽菜々「私…今日凄く楽しかったんだもん!みんなもうお友達なんだもん!お友達なんだもん!!」
(必死に訴える彼女に続いて、美穂ちゃんもお面をとり…不健康そうな顔で微笑む)
偽美穂「先の長い健康な命を犠牲にしてまで、私が逃げるのも可笑しな話ですからね、ふふふ……ごほごほっ」吐血
(更にみくちゃんも、お面を外し……どこかの傭兵のような逞しい顔を露出させ、今までと違ったハードボイルドな声で語ります。)
偽みく「あんたが今までに何をして来たのかは知らねぇが、ここで捕まえられては俺たちの寝覚めが悪いってもんぜ。
なんせここは346プロのアイドル達の聖域で……それ以上に今や俺たちが、友情を育んだ聖域でもあるんだからな!」
(ニヤリと微笑む、妙にかっこいいガチムチお兄さん。まあステージ衣装を着ているんですが…)
(そんなみんなの態度に杏ちゃんが、ふっと、何か、嬉しそうに息を吐きました。)
偽杏「……はぁ、まったく。偽物のC5のクセに……無駄に仲間思いなんだからさ……」
偽C5「「だって私達、あのC5の…346プロのアイドル達の大ファンなんだから!仕方ないでしょ!!!」」
偽杏「まったく……」
???「仕方ないですね。その選択に免じて、今回だけは警察の人を私がどうにかします」
偽C5「「………へ?」」
???「私もですが、本当はこんな事しちゃ、駄目なんですからね?」
(そう言いながら私はお面を外します。そうして、その下から出て来た顔は……勿論、お面と同じ私の顔です。)
偽C5「「ほ、本物ぉおおぉおおおおあ!?」」
卯月「ええっと…本当に今気付いたんですか?」
偽CD5「………」コクコク
卯月「えへへ、ちょっと凹みますね、やっぱり私ってそんなにアイドルのオーラとかないんでしょうかね?」
偽菜々「な、なんで……本物の卯月ちゃんがここに…?」
卯月「私もみなさんと同じでC5のみんなのファンだからですよ」
卯月「意外かもしれませんが、私も他のメンバーのCDやグッズを買ったりSNSを逐一チェックしたりしてるんですよ?」
卯月「なんたって私もアイドルである以前に一人のファンですからねっ!」
卯月「だからあの時ネットで皆さんと出会えた時は本当に嬉しかったんです」
卯月「私と同じくらいこのC5が好きな人達と出逢えたこと…そんな人たちとお互いの事を認めあえたことが…」
卯月「それで私もみなさんに会いたくなっちゃったんですよ」
卯月「さすがに事務所に勝手に潜り込むのはどうかと思いましたが…」
卯月「結局私も一緒に潜りこんじゃいましたしね、えへへ」
卯月「でも、正体を隠していたのはお互いさまなので謝りませんよ?」
偽C5「「………………………」」
卯月「なので…ここは私がどうにかします。だからみんなはここから逃げて下さい」
偽C5「「……………………っ!」」
(あれからの事ですが、結局みんな捕まっちゃいました。)
(あ、でも別に逃げて捕まった訳じゃないんですよ?
あの後、皆さん、自分から自首しに行っちゃたんです。)
(私は止めたんですけど、『私達の大好きなアイドルに迷惑を掛けるくらいだったら捕まった方がマシだ!』の一点張りで……本当に困った人たちです)
(それからのいいお知らせと言えば、皆さんと連絡先を交換して、今でもたまに連絡(囚人さんはお手紙で、ですけど)している事です。みんな、私の長電話にはさすがに参ってしまう、なんて言うんですよ?ひどいですよね)
(他にも、偽菜々ちゃんはアイドルを目指して全寮制の育成場に入ったり、病人美穂ちゃんと筋肉ムキムキみくちゃんがまさかの結婚をしたり、ダーティな杏ちゃんは、また逃げ出して現在インターポールに追われる身になっていたり…色々ありました)
(そんな感じで、その後の私達は楽しくやっています。)
(そして今日は……)
卯月「みなさん、聞いて下さい」
卯月「みなさん!夢は諦めずに頑張れば、いつか叶うものなんですよ!ぶいっ!」
偽C5「「いぇーーーい!!!」」パチパチ
卯月「遂に…遂にやりました……」
卯月「私達は、遂に辿り着く事が出来たんです!ここに…LIVE会場の上に無事不法侵入出来ましたよ!いぇい!」
偽C5「「いえぇええええええい!!」」
(今日は私達、もう一つのC5の新しい記念日になる日です。)
おわり
前作
卯月「アイドルのみなさん、聞いて下さい」
凛「アイドルのみんな、聞いて欲しいんだけど」
未央「アイドルのみんな、聞いて、聞いて」
李衣菜「アイドルのみんな、ちょっと聞いて!」
今回も生徒会の一存オマージュですが
原作を知っている人はもうご存知の通り後半にかけて物語が滅茶苦茶分岐します。
理由は知ってる人も驚かせたかったってだけの理由です。
ちなみに原作を知らない人に元ネタの内容をやんやり伝えると、後半、超衝撃展開につぐ衝撃展開からの最後30秒で驚愕の事実が判明!!そして究極のバッドエンドへ!!!って感じです。いや、誇張とかじゃなくてマジです。
なのでオチは甘過ぎるくらいのハッピーエンドにしてみました。
なんだかんだで一番書きたかった話なので個人的には仕上がりに満足してます。
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