瑞希「…困りました」
ここは765プロライブシアターの一角にある765プロオカルト研究部…通称オカ研部の部室である
オカ研部部長の真壁瑞希は、何かを見ながら難しい顔をしていた
ジュリア「どうしたんだ、瑞希?」
ギターを弄っていた部員のジュリアは瑞希の呟きに顔を上げる
志保「何やら難しい顔をしているみたいですけど…」
スマートフォンを弄っていた部員の北沢志保も同じように顔を上げた
瑞希「はい、とても難しい問題です………これは難問だぞ」
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ジュリア「一体何があったんだ?」
志保「新しい依頼か何かでしょうか」
ジュリアと志保が瑞希を心配して瑞希が睨めっこしているものが何かを確認する
志保「これは…」
ジュリア「…クロスワードパズル?」
瑞希「はい、今回の景品には鮫のぬいぐるみがあって、是非とも欲しいところです」
瑞希の発言に脱力するジュリアと志保
ジュリア「心配して損したぜ…」
ジュリアが自分の座っていた場所に戻ろうとした時、部屋の奥から声が聞こえてきた
「ねえねえジュリアーノー、冷蔵庫からプリン取ってきて欲しいなー」
ジュリア「自分で取れよ-!」
「ええー、面倒くさい…杏奈ちゃんも取って欲しいって言ってますし、だめぇ?」
「…杏奈…そんなこと…言ってない…」
ジュリアはやれやれと言わんばかりに肩をすくめた
ジュリア「しょうがねえなぁ…」
冷蔵庫に向かい、プリンを二つとスプーンを用意する
志保「…結局そうやってジュリアさんが甘やかすから駄目なのでは?」
ジュリア「あたしもわかってはいるんだけどな…な-んか翼を相手にすると怒る気が失せるんだよな…ほら、志保の分」
ジュリアが新たにプリンとスプーンを用意し、志保に渡す
志保「あ、ありがとうございます」
ジュリア「瑞希も、食うか?ずっと考えてても答えは出ないだろうし甘いもの食ってリフレッシュしな」
瑞希「…そうですね、いただきます」
クロスワードを中断し、ジュリアからプリンを受け取る瑞希
ジュリアはそのまま部屋の奥へと歩いて行った
ジュリア「ほら翼、アンナ、プリン」
翼「わあい!ありがとうジュリアーノ!」
プリンを受け取って無邪気にはしゃいでいるのは伊吹翼
ジュリア、志保と同じくオカ研の部員なのだが、気が向いた時にしか活動に参加しない気分屋だ
杏奈「ん…ジュリアさん……ありがとう、です……」
ゲームをプレイしながらお礼を言ったのは望月杏奈
彼女もオカ研の部員…ではない
どこから聞きつけたのか、オカ研の部室が冷暖房完備の快適で過ごしやすい部屋だと知っており何かと居座っている
翼「ねえねえジュリアーノ、あーんして欲しいな~」
ジュリア「やだよ、プロデューサーにやって貰えば良いだろ?」
翼「もちろんプロデューサーさんにもお願いしますけど~それとは別にジュリアーノにもやって欲しいなぁ…だめぇ?」
ジュリア「駄目」
翼「ぶーぶー!ジュリアーノのケチ!」
ジュリア「はいはいケチで結構…そういや今日プロデューサーは?」
瑞希「プロデューサーはもうそろそろ来ます」
志保「…そう言えば瑞希さんはプロデューサーさんからプロデューサーさんのスケジュール表を貰ってましたね」
瑞希「はい、プロデューサーが預けてくれました」
翼「良いな~、わたしもプロデューサーさんのスケジュール表欲しいです」
瑞希「部長の特権です………ぶい」
そんな話をしていると、部室の扉がノックされた
瑞希「どうやら来訪者のようですね………どうぞ」
「お邪魔しまーす!」
扉を開けて入ってきたのは高坂海美、三つ編みが可愛らしい元気一杯の可愛らしい765プロのアイドルの一人だ可愛らしい
瑞希「ようこそ高坂さん、オカ研部へ」
海美「あ、みずきんとしほりんだ!おはよう!」
志保「おはようございます」
ジュリア「海美じゃないか」
海美「ジュリアもおはよう」
ジュリア「おう」
瑞希「高坂さんがオカ研部に来たのは、何か怪奇現象があったからでしょうか」
「それは俺から説明する」
開いたままになった扉から、一人の男が入ってきた
この男はP、765プロのプロデューサーでオカ研の顧問でもある
瑞希「…お帰りなさい、プロデューサー」
P「ただいま、瑞希」
翼「プロデューサーさ~ん!」
P「おっと」
翼「ねえねえプロデューサーさん、一緒にプリン食べようよ!」
P「良いけど、話が終わってからな」
翼「は~い!あ、あーんもして欲しいです」
P「はいはい」
Pは翼の頭を撫でた後、瑞希に向き合った
P「瑞希、依頼だ」
瑞希「はい」
瑞希「急に走りたくなる…ですか」
海美「うん」
ジュリア「それっていつものことじゃないか…?」
海美「そうだけど、そうじゃないの!」
海美「撮影中とか収録中とかでも急に走りたくなるの!」
海美「でもそうなった時は身体を動かしてないとなんか体調が悪くなって…」
瑞希「…」
ジュリア「ミズキ、どう思う?」
瑞希「そうですね…高坂さんの性格的にどこまで素なのか、どこから怪奇現象なのかわかりません………むむむ」
P「この件に関しては先に可憐が調査してくれている」
ジュリア「結果は出てるのか?」
P「ああ、霊障で間違いないそうだ」
ジュリア「霊障、ね」
志保「なるほど、でしたら…」
瑞希「私達の出番、ですね」
P「準備が出来次第地下に来てくれ」
瑞希「はい」
P「海美、行くぞ」
海美「うん!」
瑞希「私達も、準備を始めましょう」
シアター内にある隠し通路を使って地下室へ向かうオカ研一行
その表情には緊張があった
ジュリア「何度もやってるはずなのに慣れないよな、こればかりは」
志保「…そうですね」
瑞希「相手は不定形ですから、何が起こるか予測出来ないのも理由ですね」
ジュリア「ある意味ライブより恐いんだよな…」
志保「着きましたよ」
扉の前で立ち止まった三人は、扉にパスワードを入力し、扉を開いた
P「お、来たな」
「お、おはようございます」
結構な広さの部屋には既にプロデューサーと海美がいた
そしてもう1人、見た目こそ派手なもののとても気弱な少女も一緒にいた
瑞希「おはようございます、篠宮さん」
彼女は篠宮可憐、オカ研の部員で、感覚が優れており霊の存在を察知できる
志保「可憐さん、海美さんに憑いている霊は一体…?」
可憐「そ、その………です」
ジュリア「カレン、良く聞こえなかった」
可憐「ご、ごめんなさい!その…ま、マグロです!」
ジュリア「…はい?」
志保「マグロ…ですか?」
可憐「は、はい、小さいので稚魚だと思います…」
ジュリア「マグロ…マグロかぁ…」
志保「一体どこから引き寄せてきたんですか…」
翼「もしかして、年末年始の生っすかの時じゃないですか?」
ジュリア「うわっ、翼!?」
部室にいたはずの翼がいつの間にか地下室に来ていた
瑞希「年末年始…なるほど、確かに高坂さんはマグロ漁船に乗っていましたね」
海美「うん!いっぱい釣っていっぱい食べたよ!」
翼「マグロ、美味しかったですよね~♪」
海美「ね~♪」
瑞希「…マグロは泳ぎ続けなければ心臓が止まる魚、霊になってもそれは変わらなかったということですね」
ジュリア「だけど稚魚だから海美の心臓を止めるだけの力は無く、体調不良を引き起こす程度だったって訳だな」
海美「…けほっ」
P「…!海美、苦しいか」
海美「…うん、走りたくなってきた」
P「瑞希、考えるのは後回しだ、そろそろ始めてくれ」
瑞希「わかりました」
瑞希「篠宮さん、結界は?」
可憐「だ、大丈夫です、ちゃんと張れてます」
瑞希「ありがとうございます…北沢さん」
志保「こっちも大丈夫です、いつでも撃てます」
瑞希「ジュリアさん」
ジュリア「あたしも問題ないぜ」
瑞希「では、除霊を開始しましょう………いきます」
海美「ううっ…走りたい-!」
突如として海美が部屋を駆け回る
志保「ちょっ、海美さん!走り回ると狙いが定まらないのでジッとしていてください!」
ジュリア「祓われたくないのか!?」
海美「そんなこと言ったって!苦しいもん!」
銃を構えた志保が何とか照準を合わせようとするが、走り回る海美に苦戦していた
志保「ちょこまかと…!」
瑞希「北沢さん、銃を変えてみてはどうでしょうか」
瑞希「相手が素早く動き回るなら点での攻撃はあまり効きません、なら面を攻撃しましょう」
志保「面を攻撃…そうですね、ならこっちを使います」
そういってハンドガンをしまった志保が取り出したのは
志保「海美さん、目と鼻は塞いでいてくださいね、危ないですから」
ショットガンだった
海美「ちょっ、な、なにそれ!?」
志保「ショットガンです」
そう言いながら海美に銃口を向ける志保
海美「こ、恐いって!」
志保「大丈夫です、痛くありませんから」
海美「そう言う問題じゃなくて!」
志保「いきます」
海美「ひいっ!」
志保が引き金を引くと、弾丸が拡散してあたり一面を襲う
志保「海美さん、避けないでください、弾だってタダじゃ無いんですから」
海美「当たったら死んじゃうから!」
志保「大丈夫です、人には無害ですから」
そう言って微笑みながら引き金を引いた
拡散した弾の一つが、海美の脚に直撃した
海美「…あれ?痛くない」
志保「だから言ったじゃないですか」
海美が脚を見ると、白いナニかが付着していた
海美「…なに?この白いの」
脚についた白いナニかを指で掬い、匂いを嗅ぐ海美
志保「塩です」
海美「塩?」
志保「特殊な手段で作った特製の清めの塩です、幽霊には良く効くんです」
海美「へー…あれ、そう言えば止まってるのに苦しくない」
瑞希「先程の北沢さんのショットガンによる攻撃で高坂さんからマグロは引き離せました」
瑞希「稚魚だったので僅かな塩でも効いたようです」
海美「マグロはどこいったの?」
ジュリア「こっちだ」
海美が視線を向けると小さなマグロが苦しそうに地面を跳ねている
海美「あれ、私にも見えてる」
ジュリア「志保の塩で半分実体化してるからな」
海美「そうなんだ!しほりん凄いね!」
志保「べ、別にこのくらいは基本ですから」
志保が顔を赤くしてそっぽを向いた
ジュリア「このままトドメをさすか?」
瑞希「…いえ、プロデューサーにお任せしましょう」
ジュリア「良いのか?多分移らせても喋れないぜ?」
瑞希「大丈夫です、プロデューサーなら必ず」
ジュリア「ま、ミズキが言うなら任せるか」
瑞希「プロデューサー」
P「ん」
瑞希「お願いします」
P「わかった」
Pが弱々しく跳ねるマグロに近付き、膝をつく
そしてマグロに手を翳すと、マグロは光になってPの中へと消えた
P「…なるほど」
瑞希「どうでしたか?」
P「こいつは、もっと泳ぎたかったんだ」
P「広い海を、ずっと泳いでいたかった、だけど海美に釣り上げられて、そのまま鮫の餌になって」
P「無念だったんだな、だけど仇を取ってくれた海美に感謝もしていた」
海美「…」
P「無念と感謝が混ざり合って同じく運動好きの海美に取り憑いた…マグロは無意識だったみたいだがな」
海美「そっか…」
海美がPに近付き、胸に手を当てた
海美「私と走って、楽しかった?」
P「…ああ」
海美「うん、私も楽しかった、ありがとう」
瑞希「一件落着…でしょうか」
志保「…プロデューサーさん、海美さんに触られて鼻の下が伸びてませんか」
ジュリア「伸びてない伸びてない」
ジュリア「それよりもプロデューサー、そろそろマグロを離した方が良いんじゃないのか?」
ジュリア「アンタすぐ取り込まれるんだからさ」
P「あ、その事なんだがな、ジュリア」
ジュリア「ん?」
P「手遅れだ、走りたくてたまらない」
そういって部屋の中を駆け回るP
ジュリア「ちょっ」
P「いやー、どうもまだ満足してなかったみたいだわこいつ、ははは」
ジュリア「笑ってる場合か!」
志保「はあ…」
瑞希「プロデューサー…」
海美「あ、プロデューサー楽しそうだし私も一緒に走る!」
P「離れていた方が良いぞ、海美」
海美「?なんで?」
P「ダイナマイトが飛んでくる」
次の瞬間
地下室は爆発した
それから数日後
瑞希「高坂さん、あれから如何でしょうか?」
海美「うん、調子悪くなることも無くなったし大丈夫!」
瑞希「なら良かったです」
翼「結局プロデューサーさん、あーんしてくれなかったな~」
杏奈「…仕方ない…ね…」
志保「全く、プロデューサーさんはずっと紬さんに付きっきりで…」
ジュリア「愚痴っても仕方ないだろ?仕事なんだからさ」
可憐「み、みなさん、お茶が入りました」
海美のマグロ霊事件が解決し、穏やかな時間を過ごすオカ研
一部不満がある者もいるようだが、皆思い思いに寛いでいた
海美「あ、そう言えばさ…うっ、不味い…」
自分の作ったマドレーヌを食べて顔を顰める海美
海美「聞いた?シアターに勿体ないお化けが出るって話」
ジュリア「いや」
瑞希「初耳ですね」
海美「なんでもおやつとか残すと勿体ないですー!とか勿体ないですわ!って出て来るんだって」
ジュリア「…それ、ヤヨと千鶴じゃ…」
瑞希「興味深い怪奇現象ですね」
瑞希「これはオカ研として調べなければ」
ジュリア「いや、だからさ」
瑞希「さっそく行きましょう」
ジュリア「OKミズキ、お前今暇だな?暇なんだな?」
瑞希「そんなことはありません………多分」
顔を逸らしながらそう答える瑞希
ジュリア「はあ…仕方ないな、付き合ってやるか」
瑞希「ありがとうございます、ジュリアさん」
瑞希「では…行きましょう」
瑞希「765プロオカルト研究部、出動です」
尾張名古屋
ふとTA03のオカ研ネタをやってみたくなったので書いてみた
ダイナマイトまだあったのか...
乙です
>>1
真壁瑞希(17) Da
http://imgur.com/YdnetTK
http://imgur.com/mnzUhl2
ジュリア(16) Vo
http://imgur.com/5tJ1lNT
http://imgur.com/fAvSAp4
北沢志保(14) Vi
http://imgur.com/U4JIWmU
http://imgur.com/Knn1Hsb
>>5
伊吹翼(14) Vi
http://imgur.com/jYD95ta
http://imgur.com/WPyvMIA
望月杏奈(14) Vo
http://imgur.com/m6Y8Lf2
http://imgur.com/EUUQM82
>>7
高坂海美(16) Da
http://imgur.com/juio3tI
http://imgur.com/rc3XyBi
>>13
篠宮可憐(16) Vi
http://imgur.com/n0mr0Te
http://imgur.com/OoKdH2C
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